(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ファーサイドエアバッグ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20220408BHJP
B60R 21/2338 20110101ALI20220408BHJP
B60R 21/231 20110101ALI20220408BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/2338
B60R21/231
(21)【出願番号】P 2020569066
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(86)【国際出願番号】 KR2018007203
(87)【国際公開番号】W WO2020004679
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ピュン、チョンキ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テイク
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-076640(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0131129(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0055980(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0051824(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0024278(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0118150(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0355155(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0232922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B60R 21/2338
B60R 21/231
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席間で膨張して、乗員を保護する、ファーサイドエアバッグであって
、
設定基準方向に展開する第1の膨張区分と、
前記第1の膨張区分に接続され、かつ前記
設定基準方向から設定角度だけ傾斜した方向に膨張する第2の膨張区分と、を備え
、
前記第1の膨張区分及び前記第2の膨張区分が、設定サイズを有する布地を設定位置で屈曲させ、前記ファーサイドエアバッグの区分を設定範囲内で互いに接触させ、次いで、前記区分を設定領域の長さだけ接続することによって形成される、ファーサイドエアバッグ。
【請求項2】
横断方向における前記第2の膨張区分の長さが、少なくとも、前記横断方向における前記第1の膨張区分の長さ以上である、請求項1に記載のファーサイドエアバッグ。
【請求項3】
形状維持テザーが、前記第1の膨張区分と前記第2の膨張区分との間に設置され、固定された一方の側と、前記第1の膨張区分又は前記第2の膨張区分のうちの少なくとも1つと接続された他方の側と、を有し、前記形状維持テザーの前記他方の側が、前記第2の膨張区分と接続されて、前記第1の膨張区分と前記第2の膨張区分との間の傾斜角度を設定する、請求項1
又は2に記載のファーサイドエアバッグ。
【請求項4】
前記形状維持テザーが、
座席に固定された一方の側と、前記第2の膨張区分の形状を維持するための、前記第2の膨張区分に接続された他方の側と、を有する固定テザーを備える、請求項
3に記載のファーサイドエアバッグ。
【請求項5】
前記形状維持テザーが、
前記固定テザーに連結された一方の側と、前記第
1の膨張区分
に連結された他方の側と、を有する接続テザーを
更に備えている、請求項
4に記載のファーサイドエアバッグ。
【請求項6】
前記固定テザーの前記一方の側が、前記座席の一方の側に設けられた回転防止ブラケットと当該座席との間に挿入されている、請求項
5に記載のファーサイドエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ファーサイドエアバッグに関する。
【0002】
具体的には、本技術は、基準方向に展開する区分と、基準展開方向から設定角度だけ傾斜した方向に展開する区分とを含むように構成され、したがって乗員を安全に保護することができる、ファーサイドエアバッグに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車産業は、依然として連続的に開発されている産業の1つである。
【0004】
近年、自動車は、環境に優しいことの目的のために排気ガスを低減すること、安定した乗り心地を向上させること、エンジン効率を向上させることによって自動車の性能を発揮すること、自律運転を実現することなどの様々な方向において開発され、これらの中でも事故中の乗員を保護することが最も重要となっている。
【0005】
乗員を保護するための装置であるエアバッグは、典型的には、車両の前面に膨張する前面エアバッグと、車両の外側に膨張するカーテンエアバッグと、車両を運転する運転手と運転手の助手席に座っている乗員との間で膨張するファーサイドエアバッグとである。
【0006】
自動車事故は様々な可能性を上昇させ、運転手は、自動車事故が発生したときに、衝突の直前に一方向にステアリングホイールを無意識的に回転させ得、したがって、自動車は、正面衝突するのではなく、側面衝突する可能性が高くなる。したがって、異なる方向に展開するエアバッグが重要であるが、最近では、座席間に展開するファーサイドエアバッグの重要性が強調されている。
【0007】
ファーサイドエアバッグは、座席間、すなわち乗員(上述の運転手と乗員と)の間で展開して、乗員に適用される衝撃を低減し、衝撃によって乗員が車外に投げ出されることを防止する。加えて、ファーサイドエアバッグは、自動車の乗員が互いに衝突することを防止し得る。
【0008】
上記の役割を実行するために、ファーサイドエアバッグは、乗員が互いに衝突したときに乗員を安定的に支持しなければならず、それらの衝撃を吸収しなければならない。具体的には、乗員が衝突したときの衝撃によりファーサイドエアバッグが回転することを防止することが最も重要である。
【0009】
しかしながら、ファーサイドエアバッグが、エアバッグが設置されている位置の特性により、エアバッグが回転又は移動することを防止する任意の構造によって支持されていないため、ファーサイドエアバッグは、乗員が衝突した際に乗員を十分に支持しないことがあり得、その設置の目的に影を差し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
韓国特許第「10/1691959」号、「FAR-SIDE AIRBAG DEVICE」
【0011】
韓国特許出願第「10/2015/0087425」号、「SIDE AIRBAG DEVICE」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ファーサイドエアバッグを提供することである。
【0013】
特に、本発明は、上記課題を解決するために開発されたものであって、本発明の目的は、支持するための構造がなくても、それに衝突した乗員によって自ら回転せず、かつ確実に固定され、それによって、乗員を安定的に支持する、ファーサイドエアバッグを提供することである。
【0014】
本発明により達成される技術的目的は、上述のものに限定されるものではなく、上述されない他の技術的目的は、後述する説明に基づいて、本発明が属する技術分野の当業者には明らかに理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
座席間で膨張して、乗員を保護する、本発明のファーサイドエアバッグは、設定基準方向に展開する第1の膨張区分と、第1の膨張区分に接続され、かつ基準方向から設定角度だけ傾斜した方向に膨張する第2の膨張区分と、を含む。
【0016】
本明細書では、横断方向における第2の膨張区分の長さは、少なくとも、横断方向における第1の膨張区分の長さ以上であり得る。
【0017】
ファーサイドエアバッグの第1の膨張区分及び第2の膨張区分は、設定サイズを有する布地を設定位置で屈曲させ、設定範囲内で互いに接触させ、次いで、区分を設定領域の長さだけ接続することによって、形成され得る。
【0018】
加えて、形状維持テザーが、第1の膨張区分と第2の膨張区分との間の形状を維持するために設置され得、形状維持テザーは、固定された一方の側と、第1の膨張区分又は第2の膨張区分のうちの少なくとも1つと接続された他方の側と、を有し得、形状維持テザーの他方の側が、第2の膨張区分と接続されて、第1の膨張区分と第2の膨張区分との間の傾斜角度を設定し得る。
【0019】
本明細書では、形状維持テザーは、固定された一方の側と、第2の膨張区分に接続されて、第2の膨張区分の形状を維持する他方の側と、を有する固定テザーを含み得る。
【0020】
加えて、形状維持テザーは、固定された一方の側と、第2の膨張区分上に設置された他方の側と、を有する接続テザーを含み得、固定テザーの一方の側又は接続テザーの一方の側のうちのいずれか1つは、座席に固定され得、かつ他方は、座席に固定されたテザーに接続され得る。
【0021】
加えて、座席に固定された形状維持テザーのテザーは、座席と、座席の一方の側に設置された回転防止ブラケットとの間に挿入され得る。
(発明の有利な効果)
【0022】
本発明のファーサイドエアバッグは、第1の膨張区分と、第1の膨張区分の膨張方向から設定角度だけ傾斜した方向に膨張する第2の膨張区分と、を含み、また、乗員が衝突する際に十分な時間で乗員がエアバッグに衝突することを可能にすることにより、本発明のファーサイドエアバッグは、支持するための構造がなくても、乗員による衝突によって回転せず、かつ確実に固定され、したがって、乗員を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のファーサイドエアバッグを図示する。
【0024】
【
図2】一実施形態による、本発明のファーサイドエアバッグの製造プロセスを図示する。
【0025】
【
図3】別の実施形態による、本発明のファーサイドエアバッグの製造プロセスを図示する。
【0026】
【
図4】本発明のファーサイドエアバッグの形状維持テザーを図示する。
【0027】
【
図5】回転防止ブラケットに接続されている本発明のファーサイドエアバッグを図示する。
【0028】
【
図6】本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグを図示する。
【0029】
【
図7】本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの製造プロセスの一実施形態を図示する。
【0030】
【
図8】本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの形状維持テザーを図示する。
【0031】
【
図9】本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの形状維持テザーを図示する。
【0032】
【
図10】回転防止ブラケットに接続されている本発明の別の実施形態のファーサイドエアバッグを図示する。
【0033】
【
図11A】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【
図11B】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【0034】
【
図12A】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【
図12B】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【0035】
【
図13A】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【
図13B】同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、例示的な図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0037】
それぞれの図面上の要素に参照番号を追加する際、同じ要素には同一の参照番号が付されているが、それらは異なる図面上に表示されることに留意されたい。加えて、本発明の説明では、本発明を不必要な詳細において不明瞭にするため、関連する周知の構造又は機能について詳細に説明しない。
【0038】
加えて、図面に図示される要素のサイズ又は形状は、明示的な説明及び便宜のために誇張されて図示され得る。加えて、本発明の構成及び動作を考慮して特に定義される用語は、本発明の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0039】
図1は、本発明のファーサイドエアバッグを図示する。
【0040】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、関連技術のエアバッグとは異なる形態を有する。
【0041】
車両が側面衝突するとき、本発明のファーサイドエアバッグ1は、車両から投げ出されている乗員の胸部の側面と接触して、乗員を長時間支持し、それによって、乗員が衝撃から保護され、乗員が投げ出され他の乗員と衝突することを防止する。
【0042】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、座席の側面に固定され、衝突時にECU又はACUなどの制御ユニットによって座席間に展開する。
【0043】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、第1の膨張区分100及び第2の膨張区分200を含む。加えて、インフレーターが設置されたインフレーター穴10と、インフレーターに供給されるガスを排出するための通気穴とが形成されていることが明らかである。
【0044】
第1の膨張区分100は、基準方向に展開する。本明細書では、基準方向は、一例として上方向である。より正確には、第1の膨張区分は、車両の上部から一方向に傾斜する方向に展開する。第1の膨張区分100が膨張したとき、そのサイズは、乗員の少なくとも腹部を十分に覆うのに十分なものである。
【0045】
第2の膨張区分200は、第1の膨張区分100と接続されており、膨張したときに第1の膨張区分100とは異なる方向に展開する。すなわち、第2の膨張区分は、第1の膨張区分100が膨張する基準方向から設定角度だけ傾斜した方向に膨張する。すなわち、
図1から分かるように、第2の膨張区分200は、第1の膨張区分100に対して垂直な方向に展開し得る。より正確には、第2の膨張区分200は、上側から一方向に、傾斜した第1の膨張区分100の方向から乗員に向かって傾斜した方向に展開する。
【0046】
加えて、第2の膨張区分200が膨張すると、横断方向における第2の膨張区分200の長さは、少なくとも、横断方向における第1の膨張区分100の長さ以上に形成されている。
【0047】
したがって、ファーサイドエアバッグ1が膨張するとき、第2の膨張区分200は、乗員の胸部の側面を支持する。
【0048】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、上記の形状に形成されており、これにより、ファーサイドエアバッグ1は、関連技術のファーサイドエアバッグ1と比較して、乗員を支持し、かつエアバッグ自体に加えられる衝撃を低減するのに十分な時間を有するようになっている。
【0049】
加えて、支持構造体が存在しない状態でエアバッグが乗員によって回転することを最大限に防止するために、関連技術のファーサイドエアバッグ1は、回転に対してエアバッグを支持する方向にファーサイドエアバッグ1を前進するように実装される。これと比較して、本発明は、乗員が第2の膨張区分200と衝突したときに第2の膨張区分200と設定角度で配置された第1の膨張区分100に回転する性質を有する衝撃を移動させることと、第1の膨張区分100に、このように移動する第2の膨張区分200の反対側を支持させることとによって、関連技術のエアバッグ1の問題を解決する。
【0050】
加えて、上述した構造で形成された本発明のファーサイドエアバッグ1は、ファーサイドエアバッグ1を支持するための唯一の構造を利用し得る。コンソールボックスは、ファーサイドエアバッグ1が展開する場所に配置され得、コンソールボックスは、支持構造として利用され得る。
【0051】
図1から分かるように、第2の膨張区分200は、乗員が斜め下方向に車両の中心の前側に向かって移動する衝撃によって生じる衝撃を伝達し、第1の膨張区分100に衝撃を伝達し、第1の膨張区分100はそれに従って下方に移動し得る。ファーサイドエアバッグ1を支持するための唯一の構造であるコンソールボックスが第1の膨張区分の下に存在するため、第1の膨張区分100はコンソールボックスによって支持され、回転されず、したがって、乗員を安全に支持することができる。
【0052】
図2は、一実施形態による、本発明のファーサイドエアバッグの製造プロセスを図示する。
【0053】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、一例として、設定サイズを有する布地を屈曲させて接続することによって、製造され得る。
【0054】
図2のプロセスを説明すると、設定サイズの布地を設定位置で屈曲させ、その区分を設定範囲50で互いに接触させる。本明細書では、設定サイズの布地は、前部パネル及び後部パネルの周囲を接続することによって製造され得る。別の実施形態では、布地は、分離されたパネルを接続するのではなく、1つのパネルによって製造され得る。
【0055】
このようにして設けられた布地を仮想線L1に沿って分割し、その布地を仮想線L1に沿って屈曲させ、設定区分を互いに接触させる。その後、互いに接触する区分の設定範囲50のみを、接続手段を介して接続する。
【0056】
本明細書では、接続手段は、縫製、接着剤などの様々な方法を含み得る。すなわち、接続は、図面に示されるように縫製に限定されず、布地は、布地が爆発的に供給されたガスによって破壊されない限り、他の方法で接続され得る。
【0057】
図3は、別の実施形態による、本発明のファーサイドエアバッグの製造プロセスを図示する。
【0058】
上述したように、本発明の接続手段がガスの供給などの衝撃によって布地を破壊しない限り、任意の接続手段を使用することができ、布地を屈曲させ、かつ区分を互いに接触させることによって形成された設定範囲50を接続するので、上記の縫製に加えて、別個の接続布地440を介して布地を接続し得る。
【0059】
別の実施形態によるファーサイドエアバッグの製造方法は、上記実施形態と同一の方法で製造され得るが、製造のためのベースである布地に加えて、接続布地400は、接続手段として機能し、したがって、設定範囲50に差がある。
【0060】
すなわち、別の実施形態によるファーサイドエアバッグを製造するための方法における設定範囲50は、上記実施形態によるファーサイドエアバッグを製造するために設定された設定範囲50よりも小さく設定され得る。接続布地400は、その元の長さで広がり得るが、それよりも長くは広がらない。第2の膨張区分200が膨張したときに、第2の膨張区分200は、第1の膨張区分100を膨張方向から傾斜状態で膨張させ、傾斜状態を維持し得る。
【0061】
上述した方法でエアバッグを製造する場合には、関連技術のエアバッグとは異なる構成を付加する専用の布地を製造する必要がなく、第1の膨張区分100及び第2の膨張区分200を含むファーサイドエアバッグ1を簡易な方法で製造することができる。
【0062】
図4は、本発明のファーサイドエアバッグの形状維持テザーを図示する。
【0063】
本発明のファーサイドエアバッグ1は、形状維持テザー400を含む。
【0064】
形状維持テザー400は、一方の側が車両に固定され(例えば、座席)、かつ他方の側が第1の膨張区分100及び第2の膨張区分200のうちの少なくとも1つに接続される。本明細書では、形状維持テザー400が接続される位置は、屈曲され、かつ接続手段によって接続される、布地の一部分から離間していることが明らかである。
【0065】
形状維持テザー400は、設定長さを有しており、ファーサイドエアバッグ1が設定長さよりも長い位置に展開すると、形状維持テザー400は、固定部によってファーサイドエアバッグ1を反対側に引っ張ることによって形状を維持する。したがって、本発明のファーサイドエアバッグ1の形状は、第1の膨張区分100と第2の膨張区分200との間の角度が設定角度よりも大きくなることを防止することにより、維持される。
【0066】
したがって、第2の膨張区分200は、乗員に向かって膨張し、乗員の胸部の側面を支持するようにしている。
【0067】
したがって、本発明のファーサイドエアバッグ1が展開するとき、第1の膨張区分100及び第2の膨張区分200は、設定長さだけ互いに離れるように制御され、第1の膨張区分100と第2の膨張区分200との間の傾斜角度が設定され得る。したがって、第2の膨張区分200を乗員に向かって膨張させ、第2の膨張区分200の側面を乗員の胸部の側面を支持するようにしている。
【0068】
加えて、形状維持テザー400は、本発明のファーサイドエアバッグ1が乗員との衝突により回転することを防止する働きをし得る。
【0069】
好ましくは、形状維持テザー400は、固定テザー410及び接続テザー420を含む。
【0070】
固定テザー410は、一方の側が車両に固定され、かつ他方の側が第2の膨張区分200と接続されて、第2の膨張区分200の膨張位置を制御する。したがって、第2の膨張区分200は、固定テザー410によって維持されたその形状を有し得る。
【0071】
接続テザー420は、一方の側が固定テザー410に固定され、かつ他方の側が第1の膨張区分100に接続されて、第1の膨張区分100の膨張位置を制御する。したがって、第1の膨張区分100は、接続テザー420によって維持されたその形状を有し得る。
【0072】
加えて、固定テザー410及び接続テザー420は、互いに接続され得、座席に固定され得る。
図4は、固定テザー410が一例として座席に固定されていることを図示し、これを参照して説明を行うが、これは限定的であると見なされるべきではない。
【0073】
固定テザー410は、接続テザー420よりも長く形成され得、一方の側が座席に固定され得る。接続テザー420の一方の側は、固定テザー410に接続されている。接続テザー420を、上述した方法で座席に接続するのではなく、固定テザー410に接続することにより、接続テザー420を製造するための材料の廃棄を防止することができる。
【0074】
図5は、回転防止ブラケットに接続されている本発明のファーサイドエアバッグを図示する。
【0075】
固定テザー410の一方の側は、座席と回転防止ブラケット500との間に挿入され得、固定され得る。
【0076】
回転防止ブラケット500は、断面「L」の形態であると観察され得る。回転防止ブラケット500は、座席に固定されており、座席に固定された一部分を除いた突出部が、回転方向と反対側のファーサイドエアバッグ1を支持する。
【0077】
設置穴415は、固定テザー410の一方の側に形成され得る。本明細書では、固定テザー410は、その上に形成された少なくとも2つの設置穴415を有して、ファーサイドエアバッグ1を安定的に支持し、設置穴415に対応する接続穴は、回転防止ブラケット500上に形成されおり、ボルト及びナットは、例として、設置穴415及び接続穴に接続され、固定テザー410は、回転防止ブラケット500と座席との間に固定されている。
【0078】
図6は、本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグを図示する。
【0079】
本発明の別の実施形態によるファーサイドエアバッグ1は、第3の膨張区分300を追加的に含む。第3の膨張区分300は、第2の膨張区分200と接続され、第2の膨張区分200の膨張方向から設定角度だけ再度傾斜した方向に展開する。
【0080】
つまり、第3の膨張区分300は、乗員の頭部の側面を追加的に支持し得る。したがって、乗員をより安全に保護することができる。
【0081】
第3の膨張区分300は、第2の膨張区分200と設定角度で展開し、したがって、頭部が第3の膨張区分300と衝突するとき、第3の膨張区分300は、斜め下方向に圧力を加え、かつ圧力が第1の膨張区分100によって第2の膨張区分200を介して再度支持されることにより、別の実施形態によるファーサイドエアバッグ1は、乗員を安定的に支持することができ、回転しない。
【0082】
図7は、本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの製造プロセスの一実施形態を図示する。
【0083】
第3の膨張区分300は、第2の膨張区分200のような布地を屈曲し、接続することによって製造され得る。本明細書では、布地を接続するための接続手段は、上述したものと同一であるので、その説明を省略する。
【0084】
別の実施形態によるファーサイドエアバッグ1を製造するために、布地は、第1の仮想ラインL1及び第2の仮想ラインL2に沿って2回屈曲される。布地は、第1の仮想線L1に沿って屈曲され、次いで、互いに接触する布地の部分は、設定範囲50と同じ長さで接続される。その後、布地は、第2の仮想線L2に沿って屈曲され、次いで、互いに接触する布地の部分は、設定範囲50と同じ長さで再度接続される。
【0085】
上記の方法で製造された別の実施形態のファーサイドエアバッグ1が、既存の布地を屈曲して接続するだけで製造されるため、専用の布地を製造する必要がない。
【0086】
図8は、本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの製造プロセスの別の実施形態を図示する。
【0087】
別の実施形態によるファーサイドエアバッグを製造するプロセスは、
図7を介して説明されるプロセスと同様であるが、
図3を介して上述したように、設定範囲50が接続布地440を介して接続されている点で異なる。
【0088】
加えて、
図3に記載したものと同一の方法で、布地が接続布地440を介して接続される場合、縫製によって製造するプロセスにおいて縫製された設定範囲50よりもわずかに小さい範囲を設定範囲50として設定し得る。
【0089】
接続布地440の役割は、
図3に記載したものと同一であるため、重複する説明は省略する。
【0090】
図9は、本発明の別の実施形態による、ファーサイドエアバッグの形状維持テザーを図示する。
【0091】
図10は、本発明の別の実施形態による、回転防止ブラケットに接続されている、ファーサイドエアバッグを図示する。
【0092】
更に別の実施形態によるファーサイドエアバッグ1は、追加のテザー430を含み得る。追加のテザー430は、第3の膨張区分300と第2の膨張区分200との間の設定屈曲角度を制御するように機能し得る。追加のテザー430は、一方の側が固定され得、かつ他方の側が第3の膨張区分300と接続され得る。追加のテザー430によって第3の膨張区分300を固定する方法は、上記の固定テザー410、接続テザー420によって、第2の膨張区分200、第3の膨張区分300を固定する方法とはほとんど異ならない。
【0093】
加えて、接続テザー420は、一例として、固定テザー410に接続された一方の側を有し得る。当然ながら、接続テザー420が固定テザー410よりも長く形成されると、接続テザー420は上記と同一の方法で接続されることは明らかである。
【0094】
加えて、追加のテザー430が接続される固定テザー410は、回転防止ブラケット500に接続され得る。上記と同一の方法で、固定テザー410は、座席と回転防止ブラケット500との間に挿入され得る。
【0095】
図11A、
図11Bは、同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【0096】
図12A、
図12Bは、同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【0097】
図13A、
図13Bは、同一の条件下での、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグを試験する結果を図示する。
【0098】
試験により、関連技術のファーサイドエアバッグ及び本発明のファーサイドエアバッグ1を同一の条件下で比較した。
【0099】
【0100】
図11A~
図13Bから分かるように、ダミーが衝突すると、関連技術のファーサイドエアバッグ1は、十分に支持されず、衝突によって回転し、したがって、ダミーは、コンソールボックスを越えて運転手の座席に移動される。この場合、運転手座席に座っている運転手が存在する場合、助手席に座っている乗員は、運転手と衝突し得、連続的に負傷し得る。
【0101】
対照的に、ダミーが衝突すると、本発明のファーサイドエアバッグ1は、ダミーを反対方向に十分に支持し、回転しない。すなわち、ダミーは、コンソールボックスを越えて運転手の座席に移動されない。したがって、乗員を投げ出して損傷することを防止することができ、また、助手席に座っている乗員及び運転手の座席に座っている乗員が互いに衝突することを防止し、怪我を防止することができる。すなわち、ファーサイドエアバッグ1の設置の元の目的を実現することができる。
【0102】
本発明は、特定の実施形態に関連して示され説明されてきたが、本発明が、以下に提示される特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的概念から逸脱することなく、範囲内で様々に改善かつ変更することができることは、当業者には明らかであろう。