(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】コンクリート吹付機
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
E04G21/02 103B
(21)【出願番号】P 2022008486
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2022-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522031962
【氏名又は名称】メイコウ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】青野 重季
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-217593(JP,A)
【文献】実開昭57-095256(JP,U)
【文献】実開昭57-165260(JP,U)
【文献】実開昭52-104954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
E21D 11/10
B05B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート材料が投入されるホッパーと、
複数の収容領域が設けられ、回転することにより前記ホッパーに投入されたコンクリート材料が各収容領域に順次送られて収容されるローターと、
前記ローターを回転させるモーターと、
前記ホッパーと前記ローターとの間に設けられ、前記ホッパーから前記ローターの各前記収容領域に送られるコンクリート材料が通過する第1穴および前記ローターの各前記収容領域に気体を送るための第2穴がそれぞれ形成されている中間部材と、
を備え、
前記第2穴から送られた気体によって前記ローターの各前記収容領域に収容されているコンクリート材料が押し出されることにより前記ローターからコンクリート材料が吐出されるようになっており、
複数の前記収容領域は前記ローターの周方向に沿って並ぶよう配置されており、
前記ローターの直径に対する隣り合う前記収容領域の間の距離の大きさの割合は0.03~0.1の範囲内の大きさであり、前記ローターの直径に対する前記ローターの外周縁と各前記収容領域との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさである、コンクリート吹付機。
【請求項2】
前記ホッパーに収容されているコンクリート材料を撹拌するための撹拌羽根を更に備え、
前記ローターには、前記撹拌羽根を前記ローターに取り付けるための羽根取付ボスが通る凹部が中心に形成されており、
前記ローターの直径に対する前記ローターの前記凹部と前記収容領域との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさである、請求項1記載のコンクリート吹付機。
【請求項3】
前記ローターの前記外周縁と前記収容領域との間の距離の大きさに対する前記ローターの前記凹部と前記収容領域との間の距離の大きさの割合は0.8~1.2の範囲内の大きさである、請求項2記載のコンクリート吹付機。
【請求項4】
前記第2穴は、前記ローターの軸方向に延びる細長い第1部分と、前記第1部分から前記ローターの径方向に沿って突出する第2部分とを有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート吹付機。
【請求項5】
前記第2部分は、前記ローターの径方向に沿って前記第1部分から両側にそれぞれ突出しており、前記第2穴は十字形状となっている、請求項4記載のコンクリート吹付機。
【請求項6】
前記ローターに設けられている前記収容領域の数は6乃至12の範囲内の数である、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のコンクリート吹付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート吹付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高層の建築物の壁面や山岳トンネルの内壁にコンクリートを吹き付けるためのコンクリート吹付機として様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1には、乾式吹付用または湿式吹付用のコンクリート材料が落とし込まれる複数のチャンバを備えた回転ローターと、回転ローターの上部および下部に設けられてローターとともに回転し、ローターのチャンバと対応して同形の孔が形成されているロータープレートとを有するローター式のコンクリート吹付機が開示されている。特許文献1等に開示される従来のコンクリート吹付機では、ローターを回転させながら、概してローターの周方向に延びる細長い空気穴から圧縮空気をチャンバに吹き付けることによりチャンバに収容されるコンクリート材料を吐出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるコンクリート吹付機では、ローターの外周縁とチャンバとの間の距離が短いため、チャンバに送られる圧縮空気がロータープレートとこのロータープレートに接触するジョイントプレートとの間の隙間からローターの外部に漏れ出てしまうことによりコンクリート材料の吐出圧が小さくなるため遠くにある対象物までコンクリート材料を吹き付けることができないという問題がある。また、隣り合うチャンバの間に空気穴が位置しているときにはチャンバからのコンクリート材料の吐出が行われないためローターからのコンクリートの吐出が間欠的になり対象物にコンクリートを安定的に吹き付けることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、遠くにある対象物までコンクリート材料を吹き付けることができるコンクリート吹付機を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、コンクリートを安定的に吹き付けることができるコンクリート吹付機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリート吹付機は、コンクリート材料が投入されるホッパーと、複数の収容領域が設けられ、回転することにより前記ホッパーに投入されたコンクリート材料が各収容領域に順次送られて収容されるローターと、前記ローターを回転させるモーターと、前記ホッパーと前記ローターとの間に設けられ、前記ホッパーから前記ローターの各前記収容領域に送られるコンクリート材料が通過する第1穴および前記ローターの各前記収容領域に気体を送るための第2穴がそれぞれ形成されている中間部材と、を備え、前記第2穴から送られた気体によって前記ローターの各前記収容領域に収容されているコンクリート材料が押し出されることにより前記ローターからコンクリート材料が吐出されるようになっており、複数の前記収容領域は前記ローターの周方向に沿って並ぶよう配置されており、前記ローターの直径に対する隣り合う前記収容領域の間の距離の大きさの割合は0.03~0.1の範囲内の大きさであり、前記ローターの直径に対する前記ローターの外周縁と各前記収容領域との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさであることを特徴とする。
【0007】
本発明の他のコンクリート吹付機は、コンクリート材料が投入されるホッパーと、複数の収容領域が設けられ、回転することにより前記ホッパーに投入されたコンクリート材料が各収容領域に順次送られて収容されるローターと、前記ローターを回転させるモーターと、前記ホッパーと前記ローターとの間に設けられ、前記ホッパーから前記ローターの各前記収容領域に送られるコンクリート材料が通過する第1穴および前記ローターの各前記収容領域に気体を送るための第2穴がそれぞれ形成されている中間部材と、を備え、前記第2穴から送られた気体によって前記ローターの各前記収容領域に収容されているコンクリート材料が押し出されることにより前記ローターからコンクリート材料が吐出されるようになっており、複数の前記収容領域は前記ローターの周方向に沿って並ぶよう配置されており、前記第2穴は、前記ローターの軸方向に延びる細長い第1部分と、前記第1部分から前記ローターの径方向に沿って突出する第2部分とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンクリート吹付機によれば、遠くにある対象物までコンクリート材料を吹き付けることができる。また、本発明のコンクリート吹付機によれば、コンクリート材料を安定的に吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態によるコンクリート吹付機の分解斜視図である。
【
図2】
図1に示すコンクリート吹付機におけるローターの構成を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示すローターの貫通穴に嵌め込まれる磨耗部材の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示すコンクリート吹付機における上部ジョイントプレートの上面図である。
【
図7】
図6に示す上部ジョイントプレートに形成される空気穴を拡大して示す構成図である。
【
図8】従来のコンクリート吹付機におけるローターの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図7は、本実施の形態に係るコンクリート吹付機10である。
【0011】
まず、
図1を参照して本実施の形態のコンクリート吹付機10の構成の概略について説明する。
図1に示すように、本実施の形態によるコンクリート吹付機10は、本体部20と、本体部20に設けられた下部ベース21と、金属製のローター40と、ローター40を回転させるためのモーター22と、モーター22により回転させられるローターシャフト28と、コンクリート材料が貯留されるホッパー60とを備えている。本体部20の内部には図示しない循環ベルトが設けられており、モーター22による回転力が循環ベルトを介してローターシャフト28に伝達されることにより当該ローターシャフト28が回転するようになっている。また、ローター40の上部および下部にはそれぞれ上部磨耗板42および下部磨耗板44が取り付けられており、下部磨耗板44の下方には下部ジョイントプレート46および下部シートパッキン48が配置されている。また、上部磨耗板42の上方には上部ジョイントプレート50および上部シートパッキン52が配置されている。上部シートパッキン52の上方には上部ベース64が設けられており、この上部ベース64が複数(具体的には、4本)のテンションボルト30により下部ベース21に固定されることにより、上部ベース64と下部ベース21との間に、上から順に上部シートパッキン52、上部ジョイントプレート50、上部磨耗板42、ローター40、下部磨耗板44、下部ジョイントプレート46およびお下部シートパッキン48がそれぞれ挟まれるようになっている。また、下部ベース21にはコンクリート材料吐出ノズル26が形成されており、このコンクリート材料吐出ノズル26の先端にはホース取付部24が設けられている。また、上部ベース64には空気注入口66が設けられるとともに、上部ベース64の内部に撹拌羽根62が設けられており、ホッパー60に投入されたコンクリート材料が撹拌羽根62により撹拌されるようになっている。このようなコンクリート吹付機10の各構成要素の詳細について以下に説明する。
【0012】
上述したように、下部ベース21にはモーター22が設けられており、このモーター22による回転力が図示しない循環ベルトを介してローターシャフト28に伝達されることにより当該ローターシャフト28が回転するようになっている。また、ローター40の下面にはローターシャフト28の先端が嵌め込まれる被取付部(図示せず)が形成されており、ローター40の被取付部にローターシャフト28の先端が嵌め込まれることによりローターシャフト28およびローター40は一体的に回転するようになっている。また、下部磨耗板44、下部ジョイントプレート46および下部シートパッキン48の中心にはそれぞれローターシャフト28が通過するための貫通穴44b、46a、48aが形成されている。また、ローター40の中心には羽根取付ボス40bが設けられており、この羽根取付ボス40bに撹拌羽根62が取り付けられることによりローター40および撹拌羽根62が一体的に回転するようになっている。また、上部シートパッキン52、上部ジョイントプレート50および上部磨耗板42の中心にはそれぞれ撹拌羽根62が通過するための貫通穴52b、50b、42bが形成されている。
【0013】
上部ベース64には複数(具体的には、4本)のテンションボルト30に対応して複数(具体的には、4つ)の取付穴64aが設けられており、この取付穴64aを通過したテンションボルト30の上部のネジ部分にテンションナット70が取り付けられることにより上部ベース64が下部ベース21に取り付けられるようになっている。また、テンションナット70と上部ベース64との間には上部ワッシャー72、ゴム部材74および下部ワッシャー76がそれぞれ配置されるようになっている。ここで、上部ワッシャー72、ゴム部材74および下部ワッシャー76の中心にはそれぞれテンションボルト30の上部のネジ部分が通過する貫通穴が形成されている。なお、
図1では1組のテンションナット70、上部ワッシャー72、ゴム部材74および下部ワッシャー76しか示されていないが、実際には4本のテンションボルト30に対応するよう4組のテンションナット70、上部ワッシャー72、ゴム部材74および下部ワッシャー76の組合せ体が設けられている。
【0014】
ホッパー60は締め付けネジ60aにより上部ベース64に固定されるようになっている。また、ホッパー60が上部ベース64に固定されたときに撹拌羽根62がホッパー60の内部に位置するようになり、撹拌羽根62がローターシャフト28やローター40と一体的に回転するとホッパー60に投入されたコンクリート材料が撹拌羽根62により撹拌されるようになっている。また、上部ベース64における後述する上部ジョイントプレート50の貫通穴50aに対応する位置に貫通穴(図示せず)が形成されており、この上部ベース64の貫通穴および上部ジョイントプレート50の貫通穴50aを通ってホッパー60の内部のコンクリート材料がローター40の貫通穴40aに送られるようになっている。
【0015】
図2は、ローター40の構成を示す斜視図である。ローター40は金属製であり、このローター40には複数(具体的には、9つ)の貫通穴40aが形成されている。各貫通穴40aはローター40の周方向に沿って並ぶよう配置されている。また、ローター40の中心には羽根取付ボス40bが通る凹部40cが形成されている。また、貫通穴40aには
図4および
図5に示すような磨耗部材41が嵌め込まれるようになっている。
図4および
図5に示すように、磨耗部材41は、筒状部分41cと、筒状部分41cの上部および下部に形成されるフランジ部分41bとを有しており、筒状部分41cの外径の大きさが貫通穴40aの内径の大きさと略同一または内径よりも小さくなっている。また、ローター40の上面および下面には、複数の貫通穴40aの各々に嵌め込まれる磨耗部材41のフランジ部分41bが挿入されるべき凹部が形成されている。このことにより、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41の筒状部分41cを嵌め込むことができるようになっている。一方、フランジ部分41bの外径の大きさはローター40の貫通穴40aの内径よりも大きくなっている。このことにより、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41の筒状部分41cが嵌め込まれたときに、筒状部分41cの上下にそれぞれ設けられたフランジ部分41bによって筒状部分41cが貫通穴40aから抜けなくなる。また、磨耗部材41の中心には貫通穴41aが形成されており、ホッパー60からローター40に送られるコンクリート材料は貫通穴41aの内部に収容されるようになっている。ここで、貫通穴41aの内部の領域をコンクリート材料の収容領域という。また、磨耗部材41は可撓性を有するゴム等から形成されている。このことにより、磨耗部材41の交換を行うときに、フランジ部分41bを変形させることにより、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41の筒状部分41cを嵌め込んだりこの貫通穴40aから筒状部分41cを取り外したりすることができるようになる。このように、本実施の形態では、筒状部分41cと、筒状部分41cの上部および下部に形成されるフランジ部分41bとを有する磨耗部材41をローター40の各貫通穴40aに着脱自在に取り付けることができるようになる。また、
図4および
図5に示すように、ローター40の各貫通穴40aにそれぞれ磨耗部材41が嵌め込まれたときに、隣り合う磨耗部材41のフランジ部分41bは互いに接触するようになっており、各フランジ部分41bにおいて隣り合うフランジ部分41bに当たる箇所は平面状となっている。
【0016】
ローター40の各貫通穴40aにそれぞれ磨耗部材41が嵌め込まれた状態で、このローター40の上面および下面にそれぞれ上部磨耗板42および下部磨耗板44がそれぞれ取り付けられるようになっている。このことにより、ローター40、上部磨耗板42および下部磨耗板44が一体化される。また、上部磨耗板42や下部磨耗板44が磨耗したときには、ローター40から上部磨耗板42や下部磨耗板44を取り外すことにより新品の上部磨耗板42や下部磨耗板44と交換することができる。また、磨耗部材41が磨耗したときには、ローター40から上部磨耗板42や下部磨耗板44を取り外した後、ローター40の貫通穴40aから磨耗部材41を取り外して新品の磨耗部材41を貫通穴40aに取り付けることができる。上部磨耗板42および下部磨耗板44には、それぞれローター40の貫通穴40aに嵌め込まれた各磨耗部材41の貫通穴41aに対応する位置に複数(具体的には、9つ)の貫通穴42a、44aが形成されている。
【0017】
また、上部磨耗板42の中央には羽根取付ボス40bが通過する貫通穴42bが形成されている。なお、上部磨耗板42の各貫通穴42aは、当該上部磨耗板42がローター40に取り付けられたときに磨耗部材41の各貫通穴41aに対向する位置および大きさとなっており、各貫通穴42aの直径は、磨耗部材41の貫通穴41aの直径と略同一の大きさとなっている。また、貫通穴42bの直径は、ローター40の凹部40cの直径と略同一の大きさとなっている。
【0018】
図3は、ローター40の上面図である。本実施の形態では、ローター40の直径(
図3において参照符号aで表示)に対する凹部40cの直径の大きさ(
図3において参照符号bで表示)の割合は例えば0.3~0.35の範囲内の大きさとなっており、ローター40の直径に対する磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさ(
図3において参照符号cで表示)の割合は例えば0.15~0.2の範囲内の大きさとなっている。
【0019】
また、ローター40の直径に対する隣り合う磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさ(
図3において参照符号dで表示)の割合は例えば0.03~0.1、好ましくは0.05~0.06の範囲内の大きさとなっている。ここで、ローター40の直径に対する隣り合う磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさの割合が0.03よりも小さいと隣り合う貫通穴41aの間の距離が小さすぎるため、この貫通穴41aに送られる圧縮空気が別の貫通穴41aに漏れ出てしまい、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうおそれがある。また、ローター40の直径に対する隣り合う磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさの割合が0.1よりも大きい場合には、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを小さくする必要があり、貫通穴41aの容積も小さくなるためコンクリート材料の吐出量が少なくなってしまうおそれがある。
【0020】
また、ローター40の直径に対するローター40の外周縁と磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさ(
図3において参照符号eで表示)の割合は例えば0.06~0.1、好ましくは0.07~0.09の範囲内の大きさとなっている。ここで、ローター40の直径に対するローター40の外周縁と貫通穴41aの間の距離の大きさの割合が0.06よりも小さいとこの貫通穴41aに送られる圧縮空気がローター40の外方に漏れ出てしまい、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうおそれがある。また、ローター40の直径に対するローター40の外周縁と貫通穴41aの間の距離の大きさの割合が0.1よりも大きい場合には、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを小さくする必要があり、貫通穴41aの容積も小さくなるためコンクリート材料の吐出量が少なくなってしまうおそれがある。
【0021】
また、ローター40の直径に対する磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさ(
図3において参照符号fで表示)の割合も例えば0.06~0.1、好ましくは0.07~0.09の範囲内の大きさとなっている。ここで、ローター40の直径に対する磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさの割合が0.06よりも小さいと貫通穴41aに送られる圧縮空気が凹部40cに漏れ出てしまい、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうおそれがある。また、ローター40の直径に対する磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさの割合が0.1よりも大きい場合には、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを小さくする必要があり、貫通穴41aの容積も小さくなるためコンクリート材料の吐出量が少なくなってしまうおそれがある。
【0022】
また、ローター40の外周縁と磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさに対する磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさの割合は例えば0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1の範囲内の大きさとなっている。この場合は、ローター40の外周縁と磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさと、磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさとが比較的同じ値に近くなるので、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを比較的大きなものとしつつ、磨耗部材41の貫通穴41aから圧縮空気がローター40の外部および凹部40cの何れかに漏れ出ることを抑制することができる。
【0023】
なお、参考として従来技術のローター90の構成について
図8を用いて説明する。
図8に示すように、ローター90の中心には、当該ローター90に撹拌羽根62を取り付けるための羽根取付ボスが通る凹部90cが形成されている。また、ローター90の外周縁に近い位置に6つの第1貫通穴90aが形成されるとともに、ローター90の凹部90cに近い位置に6つの第2貫通穴90bが形成されており、各第1貫通穴90aおよび各第2貫通穴90bはローター90の周方向に沿って配置されるとともに各第1貫通穴90aおよび各第2貫通穴90bが交互に配置されている。また、各第1貫通穴90aおよび各第2貫通穴90bの直径の大きさは略同一となっている。この場合には、上部ジョイントプレート50に形成される空気穴50c(後述)がローター90の軸方向に沿って延びる細長いものであるときに、第1貫通穴90aおよび第2貫通穴90bのうち少なくとも何れかの貫通穴90a、90bには空気穴50cにより空気を送ることができるため、ローター90からコンクリート材料が連続的に吐出されるようになる。
【0024】
図8に示すような従来技術のローター90では、ローター90の直径(
図8において参照符号aで表示)に対する凹部90cの直径の大きさ(
図8において参照符号bで表示)の割合は例えば0.3~0.35の範囲内の大きさとなっており、ローター90の直径に対する貫通穴90a、90bの直径の大きさ(
図8において参照符号cで表示)の割合は例えば0.15~0.2の範囲内の大きさとなっている。また、ローター90の直径に対するローター90の外周縁と外側の貫通穴90aの間の距離の大きさ(
図8において参照符号dで表示)の割合は0.05~0.06の範囲内の大きさとなっており、ローター90の直径に対する凹部90cと外側の貫通穴90aの間の距離の大きさ(
図8において参照符号eで表示)の割合は0.12~0.13の範囲内の大きさとなっている。この場合は、ローター90の外周縁と外側の貫通穴90aの間の距離が短すぎるため、貫通穴90aに送られる圧縮空気がローター90の外方に漏れ出てしまい、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうおそれがある。また、ローター90の直径に対するローター90の外周縁と内側の貫通穴90bの間の距離の大きさ(
図8において参照符号fで表示)の割合は0.14~0.15の範囲内の大きさとなっており、ローター90の直径に対する凹部90cと内側の貫通穴90bの間の距離の大きさ(
図8において参照符号gで表示)の割合は0.03~0.04の範囲内の大きさとなっている。この場合は、凹部90cと内側の貫通穴90bの間の距離が短すぎるため、貫通穴90bに送られる圧縮空気が凹部90cに漏れ出てしまい、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうおそれがある。また、
図8に示すローター90では合計12個の貫通穴90a、90bが形成されているため、一つあたりの貫通穴90a、90bの容積が小さくなってしまい、ローター90からのコンクリート材料の吐出量も少なくなってしまうという問題がある。これに対し、本実施の形態のローター40では従来技術のローター90の様々な問題を解決することができる。
【0025】
上部磨耗板42の上方には上部ジョイントプレート50が設けられている。上部ジョイントプレート50の下面には円盤形状のゴムパッキンが貼られており、上部ジョイントプレート50と上部磨耗板42との間でこのゴムパッキンが挟まれるようになる。このようなゴムパッキンにより上部ジョイントプレート50と上部磨耗板42との間から圧縮空気が漏れ出ることを防止するようになっている。また、上部ジョイントプレート50の上方には上部シートパッキン52が取り付けられている。このような上部シートパッキン52により上部ベース64と上部ジョイントプレート50との間から圧縮空気が漏れ出ることを防止するようになっている。また、上部ジョイントプレート50および上部シートパッキン52はそれぞれ上部ベース64に取り付けられている。このことにより、ローター40が回転しても上部ジョイントプレート50および上部シートパッキン52は回転せず、上部ジョイントプレート50の下面に取り付けられたゴムパッキンと上部磨耗板42との間で摩擦力が働くようになる。
【0026】
図6は、上部ジョイントプレート50の上面図である。
図6に示すように、上部ジョイントプレート50には、ホッパー60からローター40の貫通穴40aにコンクリート材料を送るための貫通穴50aが形成されている。貫通穴50aは上部ジョイントプレート50の周方向に沿って延びる細長いものとなっている。また、上部ジョイントプレート50の中心には撹拌羽根62が通る貫通穴50bが形成されている。また、上部ジョイントプレート50の中心に対して貫通穴50aの反対側には空気穴50cが形成されている。ここで、上部ベース64の空気注入口66に接続されたホース等からこの上部ベース64の内部に圧縮空気が送られると、当該圧縮空気は空気穴50cを通ってローター40の貫通穴40a(より詳細には、貫通穴40aに嵌め込まれた磨耗部材41の貫通穴41a)に送られるようになっている。このことにより、磨耗部材41の貫通穴41aに収容されているコンクリート材料が下方に圧送されてローター40から吐出されるようになっている。
【0027】
本実施の形態では、
図7に示すように、空気穴50cは、上部ジョイントプレート50の軸方向に延びる細長い第1部分50dと、第1部分50dから上部ジョイントプレート50の径方向に沿って左右にそれぞれ突出する第2部分50eとを有する十字形状となっている。ここで、第1部分50dが上部ジョイントプレート50の軸方向に延びる細長い形状となっていることにより、断面が円形や多角形である空気穴と比較して断面積が小さくなるため圧縮空気をより高圧でローター40の貫通穴40aに送ることができる。また、第1部分50dから上部ジョイントプレート50の径方向に沿って左右にそれぞれ第2部分50eが突出することにより、ローター40が回転しているときに一対の貫通穴40aの間に第1部分50dが位置するタイミングでも各第2部分50eから圧縮空気を各貫通穴40a(より詳細には、貫通穴40aに嵌め込まれた磨耗部材41の貫通穴41a)に送ることができるようになるため、ローター40からのコンクリート材料の吐出を連続的に行うことができるようになる。
【0028】
また、下部ジョイントプレート46が下部磨耗板44の上方に設けられている。下部ジョイントプレート46の上面には円盤形状のゴムパッキンが貼られており、下部ジョイントプレート46と下部磨耗板44との間でこのゴムパッキンが挟まれるようになる。このようなゴムパッキンにより下部ジョイントプレート46と下部磨耗板44との間から圧縮空気やコンクリート材料が漏れ出ることを防止するようになっている。また、下部ジョイントプレート46の下方には下部シートパッキン48が取り付けられている。このような下部シートパッキン48により下部ベース21と下部ジョイントプレート46との間から圧縮空気やコンクリート材料が漏れ出ることを防止するようになっている。また、下部ジョイントプレート46および下部シートパッキン48はそれぞれ下部ベース21に取り付けられている。このことにより、ローター40が回転しても下部ジョイントプレート46および下部シートパッキン48は回転せず、下部ジョイントプレート46の上面に取り付けられたゴムパッキンと下部磨耗板44との間で摩擦力が働くようになる。
【0029】
また、下部磨耗板44の中央にはローターシャフト28が通過する貫通穴44bが形成されている。なお、下部磨耗板44の各貫通穴44aは、当該下部磨耗板44がローター40に取り付けられたときに磨耗部材41の各貫通穴41aに対向する位置および大きさとなっており、各貫通穴44aの直径は、磨耗部材41の貫通穴41aの直径と略同一の大きさとなっている。
【0030】
下部ジョイントプレート46および下部シートパッキン48には、それぞれ、ローター40の貫通穴40a(より詳細には、貫通穴40aに嵌め込まれた磨耗部材41の貫通穴41a)から圧縮空気により下方に吐出されたコンクリート材料が通る貫通穴46b、48bが形成されている。また、これらの貫通穴46b、48bは下部ベース21の内部に設けられたコンクリート材料の通路に連通しており、ローター40の貫通穴40aから吐出されたコンクリート材料は下部ベース21の内部の通路を通ってコンクリート材料吐出ノズル26から外部に吐出されるようになる。ここで、コンクリート材料吐出ノズル26の先端に設けられたホース取付部24にホースが取り付けられている場合は、下部ベース21の内部の通路を通ったコンクリート材料はコンクリート材料吐出ノズル26からホースに送られるようになる。
【0031】
このような構成からなる本実施の形態のコンクリート吹付機10により対象物にコンクリート材料を吹き付ける動作について以下に説明する。
【0032】
まず、モーター22のスイッチをオンにし、モーター22を作動させる。このことにより、ローターシャフト28が回転するようになるため、ローター40、上部磨耗板42、下部磨耗板44、撹拌羽根62が一体的にローターシャフト28を中心として回転するようになる。また、空気注入口66にホースを取り付け、コンプレッサ等により圧縮された空気を空気注入口66に注入する。
【0033】
次に、ホッパー60にコンクリート材料を投入する。ホッパー60に投入されたコンクリート材料は撹拌羽根62により撹拌される。また、ホッパー60に収容されているコンクリート材料は、自重により、上部ベース64に形成されている貫通穴、上部シートパッキン52に形成されている貫通穴52aおよび上部ジョイントプレート50に形成されている貫通穴50aを通って、ローター40の貫通穴40aに取り付けられている磨耗部材41の貫通穴41aに送られ、この貫通穴41aに収容される。ここで、ホッパー60や上部ジョイントプレート50は下部ベース21に固定されているのに対し、ローター40が下部ベース21に対して回転するため、ホッパー60から自重により落下したコンクリート材料はホッパー60の回転に伴って当該ホッパー60に取り付けられている複数の磨耗部材41の貫通穴41aに順次送られるようになる。
【0034】
ローター40の貫通穴40aに取り付けられている磨耗部材41の貫通穴41aに対して、上部ジョイントプレート50に形成されている空気穴50cから圧縮空気が下方に向かって供給される。このことにより、磨耗部材41の貫通穴41aに収容されているコンクリート材料が下方に押し出され、この押し出されたコンクリート材料は下部ジョイントプレート46の貫通穴46bおよび下部シートパッキン48の貫通穴48bを通って下部ベース21の内部の通路に送られ、この通路を通ってコンクリート材料吐出ノズル26から外部に吐出される。ここで、コンクリート材料吐出ノズル26の先端に設けられたホース取付部24にホースが取り付けられている場合は、下部ベース21の内部の通路を通ったコンクリート材料はコンクリート材料吐出ノズル26からホースに送られるようになる。
【0035】
以上のような構成からなる本実施の形態のコンクリート吹付機10によれば、ホッパー60とローター40との間に設けられる上部ジョイントプレート50(中間部材)には、ホッパー60からローター40の各収容領域(具体的には、磨耗部材41の貫通穴41a)に送られるコンクリート材料が通過する貫通穴50a(第1穴)およびローター40の各収容領域に気体を送るための空気穴50c(第2穴)がそれぞれ形成されており、空気穴50cから送られた空気(気体)によってローター40の各収容領域に収容されているコンクリート材料が押し出されることによりローター40からコンクリート材料が吐出されるようになっており、複数の収容領域はローター40の周方向に沿って並ぶよう配置されている。また、ローター40の直径に対する隣り合う収容領域の間の距離の大きさの割合は0.03~0.1の範囲内の大きさであり、ローター40の直径に対するローター40の外周縁と収容領域との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさである。この場合には、収容領域が比較的大きなものとなるためコンクリート材料の吐出量が少なくなってしまうことを抑制することができ、また、磨耗部材41の貫通穴41aに送られる圧縮空気が別の貫通穴41aやローター40の外方に漏れ出てしまうことが抑制されるため、コンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうことを防止することができる。このため、遠くにある対象物までコンクリート材料を吹き付けることができるようになる。
【0036】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、ホッパー60に収容されているコンクリート材料を撹拌するための撹拌羽根62が設けられており、ローター40には、撹拌羽根62をローター40に取り付けるための羽根取付ボス40bが通る凹部40cが中心に形成されており、ローター40の直径に対するローター40の凹部40cと収容領域(具体的には、磨耗部材41の貫通穴41a)との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさである。この場合には、収容領域が比較的大きなものとなるためコンクリート材料の吐出量が少なくなってしまうことを抑制することができ、また、磨耗部材41の貫通穴41aに送られる圧縮空気が凹部40cに漏れ出てしまうことが抑制されるため、羽根取付ボス40bにコンクリート材料が付着したりコンクリート材料の吐出圧や吐出量が少なくなってしまうことを防止することができる。
【0037】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、ローター40の外周縁と収容領域(具体的には、磨耗部材41の貫通穴41a)との間の距離の大きさに対するローター40の凹部40cと収容領域との間の距離の大きさの割合は0.8~1.2の範囲内の大きさである。この場合は、ローター40の外周縁と磨耗部材41の貫通穴41aの間の距離の大きさと、磨耗部材41の貫通穴41aと凹部40cとの間の距離の大きさとが比較的同じ値に近くなるので、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを比較的大きなものとしつつ、磨耗部材41の貫通穴41aから圧縮空気がローター40の外部および凹部40cの何れかに漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0038】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、空気穴50c(第2穴)は、ローター40の軸方向に延びる細長い第1部分50dと、第1部分50dからローター40の径方向に沿って突出する第2部分50eとを有している。この場合には、空気穴50cの第2部分50eが第1部分50dからローター40の径方向に沿って突出しているため、ローター40が回転しているときに一対の貫通穴40aの間に第1部分50dが位置するタイミングでも各第2部分50eから圧縮空気を磨耗部材41の貫通穴41aに送ることができるようになるため、ローター40からのコンクリート材料の吐出を連続的に行うことができるようになる。
【0039】
また、第2部分50eは、ローター40の径方向に沿って第1部分50dから両側にそれぞれ突出しており、空気穴50cは十字形状となっている。この場合は、空気穴50cに対するローター40の磨耗部材41の貫通穴41aがどの位置にあっても複数の貫通穴41aのうち何れかの貫通穴41aからコンクリート材料の吐出を行うことができる。なお、第2部分50eは、ローター40の径方向に沿って第1部分50dから両側にそれぞれ突出するような態様に限定されることはない。他の態様において、第2部分50eは、ローター40の径方向に沿って第1部分50dから一方のみに突出していてもよい。
【0040】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、ローター40には複数の貫通穴40aが当該ローター40の周方向に沿って並ぶよう形成されており、各貫通穴40aに筒状の磨耗部材41が着脱自在に取り付けられており、磨耗部材41の内部(具体的には、貫通穴41a)に収容領域が形成されている。この場合には、コンクリート吹付機10を長期間使用することにより磨耗部材41が磨耗、劣化した場合でも、ローター40そのものを交換するのではなくローター40の貫通穴40aから磨耗部材41を取り外して新品の磨耗部材41を取り付けるだけでよいので、ローター40そのものを交換する場合と比較してメンテナンスコストを低減することができる。
【0041】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、磨耗部材41はゴムから形成されている。この場合には、磨耗部材41を金属製のものとした場合と比較して磨耗部材41のコストを低減することができるため、メンテナンスコストも低減することができる。
【0042】
また、本実施の形態のコンクリート吹付機10においては、磨耗部材41は、筒状部分41cと、筒状部分41cの上部および下部に形成されるフランジ部分41bとを有しており、磨耗部材41は可撓性を有しており、筒状部分41cの外径の大きさがローター40の貫通穴40aの内径の大きさと略同一または内径よりも小さくなっており、フランジ部分41bの外径の大きさはローター40の貫通穴40aの内径よりも大きくなっている。このことにより、磨耗部材41の交換を行うときに、フランジ部分41bを変形させることにより、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41の筒状部分41cを嵌め込んだりこの貫通穴40aから筒状部分41cを取り外したりすることができるようになる。また、フランジ部分41bがゴム等である場合はパッキンの機能を果たすため、圧縮空気がローター40と上部磨耗板42や下部磨耗板44との間から漏れ出てしまうことをより一層確実に抑制することができる。
【0043】
また、ローター40の各貫通穴40aにそれぞれ磨耗部材41が嵌め込まれたときに、隣り合う磨耗部材41のフランジ部分41bは互いに接触するようになっており、各フランジ部分41bにおいて隣り合うフランジ部分41bに当たる箇所は平面状となっている。この場合には、ローター40の貫通穴40aの直径や磨耗部材41の貫通穴41aの直径の大きさを比較的大きなものとすることができるため、貫通穴41aの内部に形成される収容領域を大きくすることができ、よってコンクリート材料の吐出量を増やすことができる。
【0044】
なお、本実施の形態によるコンクリート吹付機10は、上記の態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0045】
例えば、上記の説明では、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41が嵌め込まれることにより、磨耗部材41の貫通穴41aにコンクリート材料の収容領域が形成される態様について述べたが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、ローター40の貫通穴40aに磨耗部材41が取り付けられるようになっておらず、ローター40の貫通穴40aそのものがコンクリート材料の収容領域として用いられるようになっていてもよい。この場合には、ローター40の直径に対する隣り合う収容領域(すなわち、貫通穴40a)の間の距離の大きさの割合は0.03~0.1、好ましくは0.05~0.06の範囲内の大きさとなり、ローター40の直径に対するローター40の外周縁と貫通穴40aとの間の距離の大きさの割合は0.06~0.1、好ましくは0.07~0.09の範囲内の大きさとなる。また、ローター40の直径に対するローター40の凹部40cと貫通穴40aとの間の距離の大きさの割合は0.06~0.1、好ましくは0.07~0.09の範囲内の大きさとなる。また、ローター40の外周縁と貫通穴40aとの間の距離の大きさに対するローター40の凹部40cと貫通穴40aとの間の距離の大きさの割合は0.8~1.2の範囲内の大きさとなる。
【0046】
また、上記の説明ではローター40に設けられている収容領域の数が9である場合について述べたが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、ローター40に設けられている収容領域の数が6乃至12の範囲内の数、好ましくは8乃至10の範囲内の数であってもよい。この場合でも、収容領域の容積が比較的大きくなるため、コンクリート材料の吐出量を大きなものとすることができる。なお、ローター40に設けられている収容領域の数が5以下の場合は収容領域とローター40の外周縁や凹部40cとの間の距離を一定の大きさ以上にしつつ収容領域の容積を大きくするのが難しくなる。また、ローター40に設けられている収容領域の数が13以上の場合は収容領域の容積が小さくなるためコンクリート材料の吐出量も少なくなってしまう。
【0047】
また、磨耗部材41の形状は
図4および
図5に示すようなものに限定されることはない。ローター40の貫通穴40aに着脱自在に取り付けることができるものであれば、磨耗部材41として他の様々な形状のものを用いることができる。
【0048】
また、上記の説明では空気穴50cからローター40の収容領域に圧縮空気が送られることにより収容領域に収容されているコンクリート材料がローター40から吐出される態様について説明したが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、ローター40の収容領域に空気以外の気体が送られることによりこの収容領域に収容されているコンクリート材料がローター40から吐出されるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 コンクリート吹付機
20 本体部
21 下部ベース
22 モーター
24 ホース取付部
26 コンクリート材料吐出ノズル
28 ローターシャフト
30 テンションボルト
40 ローター
40a 貫通穴
40b 羽根取付ボス
40c 凹部
41 磨耗部材
41a 貫通穴
41b フランジ部分
41c 筒状部分
42 上部磨耗板
42a 貫通穴
42b 貫通穴
44 下部磨耗板
44a 貫通穴
44b 貫通穴
46 下部ジョイントプレート
46a 貫通穴
46b 貫通穴
48 下部シートパッキン
48a 貫通穴
48b 貫通穴
50 上部ジョイントプレート
50a 貫通穴
50b 貫通穴
50c 空気穴
50d 第1部分
50e 第2部分
52 上部シートパッキン
52a 貫通穴
52b 貫通穴
60 ホッパー
60a 締め付けネジ
62 撹拌羽根
64 上部ベース
64a 取付穴
66 空気注入口
70 テンションナット
72 上部ワッシャー
74 ゴム部材
76 下部ワッシャー
90 ローター
90a 第1貫通穴
90b 第2貫通穴
90c 凹部
【要約】
【課題】遠くにある対象物までコンクリート材料を吹き付けることができるコンクリート吹付機を提供する。
【解決手段】上部ジョイントプレート50には、ホッパー60からローター40の各収容領域に送られるコンクリート材料が通過する貫通穴50aおよびローター40の各収容領域に気体を送るための空気穴50cがそれぞれ形成されており、空気穴50cから送られた空気によってローター40の各収容領域に収容されているコンクリート材料が押し出されることによりローター40からコンクリート材料が吐出される。ローター40の直径に対する隣り合う収容領域の間の距離の大きさの割合は0.03~0.1の範囲内の大きさであり、ローター40の直径に対するローターの外周縁と収容領域との間の距離の大きさの割合は0.06~0.1の範囲内の大きさである。
【選択図】
図1