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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】液晶装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20220411BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 505
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017029426
(22)【出願日】2017-02-20
(65)【公開番号】P2018136381
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸星 孝
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 克則
(72)【発明者】
【氏名】名古屋 崇
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 英夫
(72)【発明者】
【氏名】磯前 慶友
(72)【発明者】
【氏名】石鍋 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】柴田 陽生
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039955(JP,A)
【文献】特開2010-044182(JP,A)
【文献】特開2012-137685(JP,A)
【文献】特開2000-338475(JP,A)
【文献】特開平09-329793(JP,A)
【文献】国際公開第2006/100713(WO,A1)
【文献】特開平10-268322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられる第2基板と、
前記第1基板の表面に設けられ、2次元マトリクス状に並んで配置される複数の画素電極と、
前記第2基板の表面に設けられ、前記画素電極と対向する対向電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられる液晶層と、
前記画素電極の周囲に沿って前記第1基板に設けられ、前記第2基板に向かって延在し、幅が1μmより狭い壁部と、
を有し、
前記壁部は、前記画素電極の周囲を囲う領域の一部に、囲っている前記画素電極上の空間と、隣接する前記画素電極上の空間とを連通する開口が設けられており、
前記壁部は、絶縁性の部材で形成され、
前記壁部は、前記第1基板上の前記画素電極の周囲に沿った区間である周囲区間のうち、一部の区間である壁区間において、囲っている前記画素電極上の空間を隣接する前記画素電極上の空間から遮断する壁面部が設けられ、前記周囲区間のうち前記壁区間以外の区間である開口区間が前記開口となり、
前記周囲区間は、矩形であり、第1頂点から第2頂点にわたる第1辺区間と、前記第2頂点から第3頂点にわたる第2辺区間と、前記第3頂点から第4頂点にわたる第3辺区間と、前記第4頂点から前記第1頂点にわたる第4辺区間と、を有し、
前記壁部は、
前記周囲区間のうち、前記第1辺区間の一部の区間であって、前記第1頂点及び前記第2頂点を含まない区間に設けられる第1壁面部と、
前記周囲区間のうち、前記第2辺区間の一部の区間であって、前記第2頂点及び前記第3頂点を含まない区間に設けられる第2壁面部と、
前記周囲区間のうち、前記第3辺区間の一部の区間であって、前記第3頂点及び前記第4頂点を含まない区間に設けられる第3壁面部と、
前記周囲区間のうち、前記第4辺区間の一部の区間であって、前記第4頂点及び前記第1頂点を含まない区間に設けられる第4壁面部と、
を有し、
前記周囲区間のうち、前記第1壁面部、前記第2壁面部、前記第3壁面部及び前記第4壁面部が設けられた区間以外の区間が開口しており、
前記画素電極のピッチは1μmであり、前記第1壁面部、前記第2壁面部、前記第3壁面部及び前記第4壁面部の幅は200nmであり、長さは500nmであり、
前記壁部は、アンカリング強度が1.0×10-5J/m2以下、かつ比誘電率が4.5以下の部材で形成される
液晶装置。
【請求項2】
前記画素電極は、外部から入射した光を反射するものであり、
前記反射した光を、前記液晶層を経由して出射することにより画像を表示する、請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
参照光を出力する光源部と、
前記参照光をホログラムの再生波面情報に基づき変調して、変調した前記参照光を出力光として出力し、前記出力光により立体画像を表示させる空間光変調器と、を有し、
前記空間光変調器は、前記第1基板、前記第2基板、前記画素電極、前記対向電極、前記画素電極、及び前記液晶層を有し、前記液晶層において前記参照光を変調する、請求項1又は請求項2に記載の液晶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示する場合、一般的に、画像表示パネル上などに2次元の画像を表示させる。また、左右の眼に別々の画像を見せることで、画像に立体感を与える3Dディスプレイも実用化されている。しかし、この3Dディスプレイは、両眼の視差を用いているため、眼の焦点距離と輻輳距離とに矛盾が生じ、視聴者に疲労感を生じさせる場合があった。また、この3Dディスプレイで視聴する場合は、専用の眼鏡を用いたり、視点を固定したりする必要があった。それに対し、ホログラム表示技術を用いて3次元の立体画像を表示させる技術が知られている。ホログラム表示技術を用いた場合、物体光を完全に再現するため、視覚的に矛盾がない立体像を再生することが可能となる。
【0003】
現在、ホログラム表示技術として、液晶素子を用いた反射型の空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)を利用する技術が開発されている。この空間光変調器は、液晶層を有する液晶装置であり、液晶層を用いて干渉縞を再現(表示)させる。そして、空間光変調器に参照光を入射させ、反射した参照光が液晶層の干渉縞によって回折して、空間光変調器の外部に立体画像を表示させる。液晶層を用いて干渉縞を表示させる場合、視域角の大きさは、液晶層を駆動する画素電極のピッチに依存する。すなわち、視域角を大きくするためには、画素電極のピッチを小さくすることが必要となっている。また、ホログラム表示技術に限られず、2次元画像を表示する場合であっても、例えばプロジェクタなどをダウンサイジング化する場合に、画素電極のピッチを小さくすることが求められている。
【0004】
しかし、画素電極のピッチを、例えば数μmオーダーまで小さくすると、画素電極からの電界が隣接する領域に漏れだす可能性が高くなり、液晶層を適切に駆動できなくなるおそれが生じる。また、液晶素子には弾性力が働くため、隣接する画素電極上の液晶素子の動きに追従してしまい、液晶層を適切に駆動できなくなるおそれもある。そのため、液晶層を適切に駆動するため、画素電極の間に壁を設けることが検討されている。例えば、特許文献1には、2次元画像を表示する表示装置において、画素電極の間に絶縁性の壁を設ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-039955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、画素電極の間に壁を設けると、液晶素子を注入する際に、壁に阻まれて、全ての画素電極上の領域に液晶素子を充填することが困難となるおそれがある。また、壁と底面との間に液晶素子が入り込み、液晶素子を適切に駆動できなくなるおそれも生じる。また、画素電極のピッチを小さくした場合、相対的に壁の領域が大きくなって、開口率が低下するおそれもある。このような場合、画像を適切に表示することが困難となる。従って、画素電極のピッチを小さくした液晶装置において壁を設ける場合、画像を適切に表示できるような壁を設けることが求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、画像を適切に表示する液晶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる液晶装置は、第1基板と、前記第1基板に対向して設けられる第2基板と、前記第1基板の表面に設けられ、2次元マトリクス状に並んで配置される複数の画素電極と、前記第2基板の表面に設けられ、前記画素電極と対向する対向電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられる液晶層と、前記画素電極の周囲に沿って前記第1基板に設けられ、前記第2基板に向かって延在し、幅が1μmより狭い壁部と、を有し、前記壁部は、前記画素電極の周囲を囲う領域の一部に、囲っている前記画素電極上の空間と、隣接する前記画素電極上の空間とを連通する開口が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液晶素子を適切に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る液晶装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る液晶部の模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る液晶部の模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る液晶部の模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係る壁部の構成を示す上面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る液晶部の模式図である。
図7図7は、第2実施形態に係る壁部の構成を示す上面図である。
図8図8は、第3実施形態に係る液晶部の模式図である。
図9図9は、第3実施形態に係る液晶部の断面図である。
図10図10は、第3実施形態の他の例に係る液晶部の断面図である。
図11図11は、第1実施例のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施例のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図13図13は、第3実施例における比誘電率ごとの駆動可能領域を示すグラフである。
図14図14は、第3実施例における比誘電率ごとの駆動可能領域を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
(液晶装置の全体構成)
図1は、第1実施形態に係る液晶装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る液晶装置1は、光源部10と、液晶部12と、制御部14とを有する。液晶装置1は、ホログラム表示技術を用い、画像として立体画像Aを表示する表示装置である。この立体画像Aは、時間経過に従って画像が変化する動画像である。
【0013】
光源部10は、参照光LAを液晶部12に出射する。参照光LAは、コヒーレント光である。光源部10は、例えばコリメートレンズ及びレーザ発光部を有し、発光部から出射されるレーザ光をコリメートレンズにより平行光にして、参照光LAとして出射する。液晶部12は、液晶層を有する装置であり、本実施形態では、空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)である。液晶部12は、入射された参照光LAを、ホログラムの再生波面情報に基づき変調する。液晶部12は、変調した参照光LAを出力光LBとして外部に出射する。制御部14は、光源部10及び液晶部12の動作を制御する。液晶装置1は、この出力光LBにより、液晶部12の表面から所定距離だけ離れた位置A1において、立体画像Aを表示させる。
【0014】
具体的には、液晶部12は、液晶表示装置、ここではLCOS(Liquid Crystal on Silicon)である。液晶部12は、制御部14の制御により液晶層を駆動することで、ホログラム、すなわち干渉縞を再現(表示)させる。液晶部12は、制御部14が計算した再生波面情報に基づき、この干渉縞を表示する。再生波面情報とは、必要とされる立体画像Aを表示するためには、どのような干渉縞を用いて参照光LAを変調させるかを示す情報である。言い換えれば、再生波面情報とは、所望の立体画像Aを表示させるための干渉縞のパターンを示す情報である。制御部14は、画像を表示させるための画像信号を受信し、その画像信号に基づく画像を立体画像Aとして表示させるために必要な再生波面情報を生成する。制御部14は、この再生波面情報に基づき、液晶部12の液晶層を駆動させて、干渉縞を表示させる。液晶部12に入射した参照光LAは、この干渉縞によって変調、すなわち回折され、回折された出力光LBとして出射される。この出力光LBは、位置A1において結像して、立体画像Aとして表示される。
【0015】
このように液晶部12から離れた位置A1に立体画像Aを表示させる場合、広い視域角が求められる。視域角を広くするためには、画素のピッチを小さくすることが必要となっている。すなわち、ホログラム表示技術は、光の回折により立体画像Aを再生するため、画素のピッチが大きい場合、両眼で立体画像Aを観察するのに十分な視域角を実現することが困難である。立体画像Aを表示するのに十分な視域角を実現するためには、画素のピッチを、例えば10μm以下のミクロンオーダーまで小さくする必要がある。一例として、位置A1が観察者から30cmの距離にあり、立体画像Aを10cmの大きさとする場合、約30°の視域角が必要となる。この場合、画素のピッチは、約1μmにする必要がある。
【0016】
このように画素のピッチを小さくした場合、1つの画素からの電界が、隣接する領域に漏れだし、液晶素子を適切に駆動できなくなるおそれが生じる。また、液晶素子には弾性力が働くため、隣接する画素上の液晶素子の動きに追従してしまい、液晶素子を適切に駆動できなくなるおそれもある。そのため、本実施形態に係る液晶部12は、画素の間に壁部を設けて、電界の漏れだし、及び液晶素子間の弾性力の伝達の抑制を行っている。以下、具体的な液晶部12の構成を説明する。
【0017】
(液晶部の構成)
図2から図4は、第1実施形態に係る液晶部の模式図である。図2は、液晶部12の内部構造の一部を抽出した上面図である。図3は、図2の線A-Aから見た液晶部12の断面図である。図4は、図2の線B-Bから見た液晶部12の断面図である。図3に示すように、液晶部12は、第1基板20と、第2基板22と、パネル24と、画素電極30と、配向膜32と、壁部33と、ブラックマトリクス42と、対向電極44と、配向膜46とを有する。液晶部12は、各層の間に設けられる絶縁層など、その他の構成も有する場合があるが、説明を省略する。以下、液晶部12の表面に沿った方向をX方向とし、液晶部12の表面に沿い、かつX方向と直交する方向を、Y方向とする。また、X方向及びY方向(すなわち液晶部12の表面)に直交する方向であり、液晶部12の各部材が積層される方向を、Z方向とする。また、液晶部12の参照光LAが入射してくる側の表面を、前面12Aとし、液晶部12の前面12Aと反対側の表面を、背面12Bとする。
【0018】
図3に示すように、第1基板20は、シリコンなどの半導体基板、ガラス基板、又は樹脂基板などである。第1基板20は、表面がX方向及びY方向に平行な面に沿って延在する。第2基板22は、第1基板20に対向して設けられる基板である。第2基板22は、第1基板20よりも前面12A側に設けられる。第2基板22は、シリコンなどの半導体基板、ガラス基板、又は樹脂基板などであり、光を透過する部材で形成されている。また、パネル24は、ガラスなどの透光性を有する板である。パネル24は、第2基板22の前面12Aの表面に設けられている。ただし、液晶装置1は、必ずしもパネル24を有していなくてもよい。
【0019】
図3に示すように、画素電極30は、第1基板20の前面12A側の表面に設けられている。画素電極30は、制御部14の制御により、干渉縞を表示するための電圧が印加される電極である。また、画素電極30は、参照光LAを反射する反射電極を兼ねている。画素電極30は、例えばアルミニウム又は銀製の、光を反射可能な部材で構成されている。
【0020】
図2に示すように、液晶部12は、複数の画素電極30を有する。複数の画素電極30は、第1基板20の表面に、2次元マトリクス状に並んで配置される。第1実施形態では、複数の画素電極30は、X方向及びY方向に沿って配列している。ここで、隣接する画素電極30の中心O同士の距離を、ピッチL1とする。ピッチL1は、1μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。また、本実施形態では、画素電極30は、矩形(ここでは正方形)である。画素電極30のX方向及びY方向に沿った長さL2、すなわち画素電極の1辺の長さは、1μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。ピッチL1を3μ以下とした場合、視域角を12度以上とすることが可能となる。ただし、画素電極30同士は、互いに接触せず離間しており、間に壁部33が配設されているため、ピッチL1は、長さL2よりも長くなっている。ただし、ピッチL1及び長さL2は、これらの数値範囲に限られない。また、画素電極30の形状も、矩形に限られない。また、画素電極30の数も、複数であれば任意である。なお、本実施形態では、画素電極30の占める領域が、画素の領域となる。
【0021】
図3に示すように、配向膜32は、画素電極30の前面12A側の表面に設けられている。配向膜32は、例えばラビング処理(溝加工)がなされており、後述する液晶素子51の配向方向を規定する。壁部33については、後述する。
【0022】
図3に示すように、ブラックマトリクス42は、光を遮断する遮光層であり、第2基板22の背面12B側の表面に設けられている。ブラックマトリクス42は、複数の画素電極30の間の領域に対向した位置に設けられている。より詳しくは、ブラックマトリクス42は、Z方向に沿って壁部33に重畳する位置(壁区間R1に重畳する位置)と、Z方向に沿って開口部35に重畳する位置(開口区間R2に重畳する位置)とに設けられる。壁部33、開口部35、壁区間R1、及び開口区間R2の位置などは、後述する。また、ブラックマトリクス42の間には、透明な樹脂などからなる絶縁層を設けてもよい。ただし、液晶装置1は、ブラックマトリクス42やこの絶縁層を必ずしも備えていなくてもよい。なお、本実施形態における液晶部12は、単色の参照光LAで画像を表示する。ただし、液晶装置1は、空間光変調器である液晶部12を複数(3つ)備え、各液晶部12に三原色のそれぞれの光を入射し、液晶部12からの光を合成することで、カラー画像を表示してもよい(3板式)。また、液晶装置1は、1つの液晶部12に対し、時分割で参照光LAの色を切り替えることにより、カラー画像を表示してもよい(フィールドカラーシーケンシャル式)。
【0023】
図3に示すように、対向電極44は、第2基板22の背面12B側の表面、ここではブラックマトリクス42の背面12B側の表面に設けられる。対向電極44は、本実施形態では、1つである。対向電極44は、背面12B側の表面が、複数の画素電極30の前面12A側の表面と対向する。対向電極44は、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などの、光を透過可能な導電性材料で形成される。また、配向膜46は、対向電極44の背面12B側の表面に設けられる。配向膜46は、例えばラビング処理(溝加工)がなされており、後述する液晶素子51の配向方向を規定する。
【0024】
液晶層50は、複数の画素電極30と対向電極44との間、ここでは配向膜32と配向膜46との間に設けられる。すなわち、液晶層50は、複数の画素電極30(配向膜32)の前面12A側の表面と、対向電極44(配向膜46)の背面12B側の表面との間に形成される空間に充填される。
【0025】
液晶層50は、複数の液晶素子51を有する。液晶層50内の液晶素子51は、画素電極30と対向電極44との間に電圧が印加されていない場合、配向膜32、46により配向方向が規定され、一方向に配向している。本実施形態では、液晶素子51は、長軸方向が、X方向に沿って配向している。また、液晶素子51は、プレチルトされており、液晶素子51の長軸方向は、液晶部12の表面に対し、Z方向に傾斜している。ここで、液晶部12の表面と液晶素子51の長軸方向との間の角度、すなわちZ方向への傾斜角度を、プレチルト角θとする。プレチルト角θは、1°以上10°以下であることが好ましい。プレチルト角θが大きい方が、中間調などの均一性を向上することが可能となる。ただし、プレチルト角θは任意であり、例えば0°であってもよい。
【0026】
画素電極30と対向電極44との間に電圧が印加されると、画素電極30と対向電極44とは、液晶層50内に電界を生じさせる。液晶層50内の液晶素子51は、この電界によって配向方向が変化する。この電界は、画素電極30毎に印加される電圧に応じて、画素電極30に重畳する領域毎に異なり、液晶素子51の配向方向も、画素電極30に重畳する領域毎に変化する。従って、液晶層50は、位置毎に光を透過する領域と光を遮蔽する領域とに区分され、これにより、干渉縞を再現する。光源部10から出射された参照光LAは、前面12Aから液晶部12の内部に入射し、画素電極30の表面で反射される。反射された参照光LAは、液晶層50に入射して、液晶層50が再現する干渉縞を透過して回折(変調)し、回折(変調)した出力光LBとして、前面12Aから外部に出射される。外部に出射された出力光LBは、位置A1において結像して立体画像Aを表示させる。以下、壁部33について説明する。
【0027】
(壁部の構成)
図2から図4に示すように、壁部33は、壁面部34と開口部35とを有する。壁部33は、壁面部34が、第1基板20の前面12A側の表面に設けられ、第2基板22に向かって、液晶層50内を延在する。本実施形態においては、壁面部34は、Z方向に沿った一方の端面が、第1基板20の前面12A側の表面に設けられ(接触し)、Z方向に沿った他方の端面が、第2基板22の背面12B側の表面に設けられる(接触する)。すなわち、第1実施形態の壁部33は、壁面部34が、第1基板20の表面から第2基板22の表面まで延在している。壁面部34は、画素電極30と同じ層に設けられており、画素電極30の周囲に格子状に配置されている。より詳しくは、図2に示すように、壁面部34は、画素電極30の周囲を囲うように設けられ、壁面部34の内周と画素電極30とで囲われる空間SPを形成している。空間SPは、液晶層50内における画素電極30上の空間であるということができる。また、液晶部12は、複数の壁部33を有しており、それぞれの壁部33が有する壁面部34が、画素電極30のそれぞれの周囲を囲うことで、それぞれの画素電極30上に空間SPを形成している。すなわち、壁部33は、隣接する画素電極30同士(空間SP同士)を区分している。また、壁部33は、画素電極30の表面を覆わず、画素電極30の表面を開放している。
【0028】
図2に示すように、開口としての開口部35は、壁部33の画素電極30の周囲を囲う領域の一部に設けられている。すなわち、壁部33は、画素電極30の周囲の全周を囲う領域のうち、一部の領域に壁面部34を有し、壁面部34以外の領域に開口部35を有する。開口部35は、壁面部34の一方の表面から他方の表面までを貫通している。すなわち、開口部35は、壁面部34が囲う画素電極30上の空間SPと、隣接する画素電極30上の空間SPとを連通している。隣接する画素電極30上の空間SPとは、例えば、図2に示す空間SP1である。空間SP1は、空間SPを囲う壁部33とは異なる壁部33によって囲われた空間SPである。このように、壁部33は、壁面部34が、空間SPとそれに隣接する空間SP(空間SP1)とを遮断し、開口部35において、空間SPとそれに隣接する空間SP(空間SP1)とを連通している。
【0029】
更に詳しくは、図2に示すように、壁面部34は、Y方向に沿って延在する領域34SAと、X方向に沿って延在する領域34SBとを有する。壁面部34は、領域34SAにおける幅D1が、1μmより狭い。また、壁面部34は、幅D1が、200nm以上であることが好ましく、さらに200nm以上500nm以下であることがより好ましい。なお、幅D1は、領域34SAにおけるX方向に沿った長さであり、壁面部34の表面34S1と表面34S2との間の長さであるということもできる。表面34S1は、領域34SAのY方向に沿った表面のうち一方の表面である。また、表面34S2は、領域34SAのY方向に沿った表面のうち他方の表面、すなわち表面34S1と反対側の表面である。
【0030】
また、壁面部34は、領域34SBにおける幅D2が、1μmより狭い。また、壁面部34は、幅D2が、200nm以上であることが好ましく、さらに200nm以上500nm以下であることがより好ましい。なお、幅D2は、領域34SBにおけるY方向に沿った長さであり、表面34S3と表面34S4との間の長さであるということもできる。表面34S3は、領域34SBのX方向に沿った表面のうち一方の表面である。また、表面34S4は、領域34SBのX方向に沿った表面のうち他方の表面、すなわち表面34S3と反対側の表面である。
【0031】
本実施形態では、壁面部34は、Y方向に沿った幅D1とX方向に沿った幅D2とが、同じ長さである。以下、幅D1と幅D2とを区別しない場合は、幅Dと記載する。この幅Dは、隣接する2つの画素電極30の間における、これらの画素電極30の並ぶ方向に沿った壁面部34の長さであるということができる。すなわち、壁面部34は、X方向に並ぶ画素電極30の間に位置する領域においては、X方向の長さが幅D(幅D1)であり、Y方向に並ぶ画素電極30の間に位置する領域においては、Y方向の長さが幅D(幅D2)である。なお、幅D1と幅D2とは、長さが異なってもよい。幅D1は、液晶素子51の配向方向に沿った方向の壁部33の長さであり、幅D2は、液晶素子51の配向方向に直交する方向の壁部33の長さであるともいうことができる。液晶素子51は、配向方向に直交する方向に対し、弾性力が高く働く。従って、例えば幅D2を幅D1より大きくすることで、配向方向に直交する方向に隣接する液晶素子51が追従することを抑制したり、配向方向に直交する方向の電界の漏れ出しを抑制したりすることができる。これにより、液晶素子51を適切に駆動しつつ、幅D1を小さくすることで画素の開口面積が小さくなることを抑制して、画像を明るくすることができる。
【0032】
また、壁面部34は、領域34SBにおけるX方向に沿った長さL3が、画素電極30のピッチL1に対して、20%以上80%以下の長さであることが好ましく、画素電極30のピッチL1に対して60%以上80%以下の長さであることがより好ましい。同様に、壁面部34は、領域34SAにおけるY方向に沿った長さL4が、画素電極30のピッチL1に対して、20%以上80%以下の長さであることが好ましく、画素電極30のピッチL1に対して60%以上80%以下の長さであることがより好ましい。本実施形態において、長さL3は、長さL4と同じ長さであるが、異なる長さであってもよい。
【0033】
壁面部34は、比誘電率が4以下の絶縁性の部材で形成されていることが好ましく、比誘電率が3以下であることがより好ましい。また、壁面部34は、アンカリング強度が比較的低いことが好ましく、アンカリング強度が1.0×10-4J/m2以下の部材で形成されることが好ましく、アンカリング強度が1.0×10-7J/m2以上の部材で形成されていることが好ましい。また、壁面部34は、アンカリング強度が1.0×10-5J/m2以下であることがより好ましい。例えば、壁面部34は、アクリル製の部材である。なお、アンカリング強度とは、壁面部34の表面が液晶素子51の動きを固定させるように働く、壁面部34の単位面積当たりのエネルギーである。アンカリング強度が高いと、壁面部34が液晶素子51の配向方向を固定する力が強くなる。壁面部34は、アンカリング強度を低くすることで、電圧印加時において液晶素子51の配向方向を変更させやすくしている。ただし、壁面部34は、絶縁性を有する部材であれば、比誘電率及びアンカリング強度はこの範囲に限られない。
【0034】
以下、壁部の形状をより詳細に説明する。図5は、第1実施形態に係る壁部の構成を示す上面図である。図5は、図2の一部拡大図である。図5に示すように、壁部33は、第1壁面部34Aと、第2壁面部34Bと、第3壁面部34Cと、第4壁面部34Dと、開口部35とを有する。第1壁面部34A、第2壁面部34B、第3壁面部34C、及び第4壁面部34Dは、壁面部34であり、周囲区間Rのうちの一部の区間に設けられる。周囲区間Rは、画素電極30の周囲のうちの全周に沿った区間であり、第1基板20の表面上の区間である。さらに言えば、周囲区間Rは、複数の画素電極30のうち1つの画素電極30のみを囲う区間であり、囲った画素電極30に隣接する画素電極30よりも、内側(囲った画素電極30側)に位置している。上述した空間SPは、この周囲区間Rと画素電極30とに囲われる液晶層50内の空間である。
【0035】
周囲区間Rは、画素電極30の形状に沿った矩形状となっており、第1辺区間RS1と、第2辺区間RS2と、第3辺区間RS3と、第4辺区間RS4とを有している。第1辺区間RS1、第2辺区間RS2、第3辺区間RS3、及び第4辺区間RS4は、周囲区間Rが囲う画素電極30のそれぞれ別の一辺に沿った区間である。第1辺区間RS1は、周囲区間Rの頂点である第1頂点RV1から第2頂点RV2にわたった区間である。第2辺区間RS2は、周囲区間Rの頂点である第2頂点RV2から第3頂点RV3にわたった区間である。第3辺区間RS3は、周囲区間Rの頂点である第3頂点RV3から第4頂点RV4にわたった区間である。第4辺区間RS4は、第4頂点RV4から第1頂点RV1にわたった区間である。
【0036】
第1壁面部34Aは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第1壁区間R1Aに設けられている。第1壁区間R1Aは、第4辺区間RS4の一部の区間から、第1頂点RV1を経て第1辺区間RS1の一部の区間にわたって設けられている。より詳しくは、第1壁面部34A(第1壁区間R1A)は、中間位置P42から、第1頂点RV1を経て中間位置P11にわたって延在している。中間位置P42は、第4辺区間RS4上の第4頂点RV4と第1頂点RV1との間の位置である。中間位置P11は、第1辺区間RS1上の第1頂点RV1と第2頂点RV2との間の位置である。
【0037】
また、第1壁面部34Aは、クロス状の形状をしており、第1頂点RV1から、Y方向に沿って中間位置P42と反対側の位置P42’にも延在している。そして、第1壁面部34Aは、第1頂点RV1から、X方向に沿って中間位置P11と反対側の位置P11’にも延在している。第1壁面部34Aは、中間位置P42から第1頂点RV1を経て位置P42’までが、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。そして、第1壁面部34Aは、中間位置P11から第1頂点RV1を経て位置P11’までが、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0038】
第2壁面部34Bは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第2壁区間R1Bに設けられている。第2壁区間R1Bは、第1辺区間RS1の一部の区間から、第2頂点RV2を経て第2辺区間RS2の一部の区間にわたって設けられている。より詳しくは、第2壁面部34B(第2壁区間R1B)は、中間位置P12から、第2頂点RV2を経て中間位置P21にわたって延在している。中間位置P12は、第1辺区間RS1上の第1頂点RV1と第2頂点RV2との間の位置である。中間位置P12は、中間位置P11よりも、第2頂点RV2側に位置している。また、中間位置P21は、第2辺区間RS2上の第2頂点RV2と第3頂点RV3との間の位置である。
【0039】
また、第2壁面部34Bは、第1壁面部34Aと同じ形状をしており、第2頂点RV2から、Y方向に沿って中間位置P21と反対側の位置P21’にも延在している。そして、第2壁面部34Bは、第2頂点RV2から、X方向に沿って中間位置P12と反対側の位置P12’にも延在している。第2壁面部34Bは、中間位置P21から第2頂点RV2を経て位置P21’までが、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。そして、第2壁面部34Bは、中間位置P12から第2頂点RV2を経て位置P12’までが、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0040】
第3壁面部34Cは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第3壁区間R1Cに設けられている。第3壁区間R1Cは、第2辺区間RS2の一部の区間から、第3頂点RV3を経て第3辺区間RS3の一部の区間にわたって設けられている。より詳しくは、第3壁面部34C(第3壁区間R1C)は、中間位置P22から、第3頂点RV3を経て中間位置P31にわたって延在している。中間位置P22は、第2辺区間RS2上の第2頂点RV2と第3頂点RV3との間の位置である。中間位置P22は、中間位置P21よりも、第3頂点RV3側に位置している。また、中間位置P31は、第3辺区間RS3上の第3頂点RV3と第4頂点RV4との間の位置である。
【0041】
また、第3壁面部34Cは、第1壁面部34Aと同じ形状をしており、第3頂点RV3から、Y方向に沿って中間位置P22と反対側の位置P22’にも延在している。そして、第3壁面部34Cは、第3頂点RV3から、X方向に沿って中間位置P31と反対側の位置P31’にも延在している。第3壁面部34Cは、中間位置P22から第3頂点RV3を経て位置P22’までが、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。そして、第3壁面部34Cは、中間位置P31から第3頂点RV3を経て位置P31’までが、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0042】
第4壁面部34Dは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第4壁区間R1Dに設けられている。第4壁区間R1Dは、第3辺区間RS3の一部の区間から、第4頂点RV4を経て第4辺区間RS4の一部の区間にわたって設けられている。より詳しくは、第4壁面部34D(第4壁区間R1D)は、中間位置P32から、第4頂点RV4を経て中間位置P41にわたって延在している。中間位置P32は、第3辺区間RS3上の第3頂点RV3と第4頂点RV4との間の位置である。中間位置P32は、中間位置P31よりも、第4頂点RV4側に位置している。また、中間位置P41は、第4辺区間RS4上の第4頂点RV4と第1頂点RV1との間の位置である。中間位置P41は、中間位置P42よりも、第4頂点RV4側に位置している。
【0043】
また、第4壁面部34Dは、第1壁面部34Aと同じ形状をしており、第4頂点RV4から、Y方向に沿って中間位置P41と反対側の位置P41’にも延在している。そして、第4壁面部34Dは、第4頂点RV4から、X方向に沿って中間位置P32と反対側の位置P32’にも延在している。第4壁面部34Dは、中間位置P41から第4頂点RV4を経て位置P41’までが、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。そして、第4壁面部34Dは、中間位置P32から第4頂点RV4を経て位置P32’までが、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0044】
このように、第1壁面部34A、第2壁面部34B、第3壁面部34C、及び第4壁面部34Dは、周囲区間Rのうちの一部の区間にそれぞれ設けられている。すなわち、壁面部34は、周囲区間Rのうちの一部の区間である壁区間R1に設けられているということができる。壁区間R1は、第1壁区間R1A、第2壁区間R1B、第3壁区間R1C、及び第4壁区間R1Dの全てを含む区間である。壁面部34は、この壁区間R1上を延在しており、開口区間R2には設けられていない。開口区間R2は、周囲区間Rのうちの壁区間R1以外の区間である。言い換えれば、壁部33は、壁区間R1に壁面部34を有し、開口区間R2において開口している(開口部35を有している)といえる。
【0045】
具体的には、開口部35は、第1壁面部34Aと第2壁面部34Bとの間の開口区間R2Aと、第2壁面部34Bと第3壁面部34Cとの間の開口区間R2Bと、第3壁面部34Cと第4壁面部34Dとの間の開口区間R2Cと、第4壁面部34Dと第1壁面部34Aとの間の開口区間R2Dとに開口している。開口区間R2Aは、第1辺区間RS1上の中間位置P11と中間位置P12の間の区間であり、開口区間R2Bは、第2辺区間RS2上の中間位置P21と中間位置P22の間の区間であり、開口区間R2Cは、第3辺区間RS3上の中間位置P31と中間位置P32の間の区間であり、開口区間R2Dは、第4辺区間RS4上の中間位置P41と中間位置P42の間の区間であるということもできる。
【0046】
壁区間R1の合計長さは、周囲区間Rの長さに対し、20%以上80%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましい。壁区間R1をこの長さ比率とすることで、壁部33を適切に設けて電極の漏れ出しなどを抑制しつつ、開口部35の領域を適切に確保することができる。ただし、壁区間R1の長さは、この比率に限られない。
【0047】
このように、壁部33は、壁区間R1において、画素電極30上の空間SPを、隣接する画素電極30上の空間SPに対して遮断している。一方、壁部33は、開口区間R2においては、画素電極30上の空間SPを、隣接する画素電極30上の空間SPに対して遮断せず、これらの空間SPを連通している。さらに言えば、本実施形態においては、壁部33は、壁面部34により画素電極30の頂点位置を囲っているが、画素電極30の辺の一部(開口区間R2AからR2D)を囲わず開放している。
【0048】
以上説明したように、第1実施形態に係る液晶装置1は、第1基板20と、第2基板22と、複数の画素電極30と、対向電極44と、液晶層50と、壁部33とを有する。第2基板22は、第1基板20と対向して設けられる。複数の画素電極30は、第1基板20の表面に設けられ、2次元マトリクス状に並んで配置される。対向電極44は、第2基板22の表面に設けられ、画素電極30と対向する。液晶層50は、第1基板20と第2基板22との間に設けられる。壁部33は、画素電極30の周囲に沿って第1基板20上に設けられ、第2基板22に向かって延在する。壁部33は、幅Dが1μmより小さい。また、壁部33は、画素電極の周囲を囲う領域(周囲区間R上の領域)の一部(開口区間R2上の領域)に、開口部35が設けられている。開口部35は、壁部33が囲っている画素電極30上の空間SPと、隣接する画素電極30上の空間SP(図2の空間SP1)とを連通する。
【0049】
上述のように、画素電極30のピッチL1を小さくした場合、1つの画素電極30からの電界が隣接する画素電極30上の空間SPにまで漏れ出したり、画素電極30上の液晶素子51と隣接する画素電極30上の液晶素子51との動きが追従したりして、適切に液晶素子51を駆動させることができなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る液晶装置1は、液晶層50内において画素電極30の周囲を壁部33で囲うことで、画素電極30からの電界が隣接する空間SPまで漏れ出すことを抑制する。また、液晶装置1は、壁部33が囲う画素電極30上の液晶素子51と、隣接する画素電極30上の液晶素子51とを遮断して、液晶素子51の動きが追従することを抑制する。このように、液晶装置1は、壁部33を設けることで、液晶素子51を適切に駆動して、画像を適切に表示することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る液晶装置1は、開口部35を設けている。壁部33を設けた場合、液晶層50を充填する空間に液晶素子51を注入する際に、壁部33に阻まれて、全ての空間に液晶素子51を充填できなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る液晶装置1は、開口部35で、画素電極30上の空間SP同士を連通させている。従って、本実施形態に係る液晶装置1は、液晶素子51を全ての空間SPに適切に充填させて、液晶素子51を適切に駆動することができる。また、液晶素子51は、壁部33と底面(第1基板20)との間に入り込んで配向方向が固定されて動きにくくなったり、設定した配向方向と異なる方向に向いたりするおそれがある。本実施形態に係る液晶装置1は、開口部35を設けて壁部33の面積を小さくすることにより、電界の漏れだしなどを抑制しつつ、壁部33と底面(第1基板20)との間に入り込む液晶素子51の数を少なくすることができる。従って、本実施形態に係る液晶装置1は、液晶素子51を適切に駆動することで、画像を適切に表示することができる。
【0051】
また、例えば画素電極30のピッチを小さくした場合、相対的に壁部33の領域が大きくなってしまい、開口率が低下するおそれがある。開口率が低下すると、出力光LBの光量が低下して、画像を適切に表示できなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る液晶装置1は、壁部33の幅Dを1μmより小さくしている。この液晶装置1は、壁部33の幅Dをこの範囲まで小さくすることで、例えば画素電極30のピッチを小さくした場合でも、開口率の低下を抑制することができる。このように、本実施形態に係る液晶装置1は、開口部35が開口する壁部33を設け、かつ、壁部33の幅D1を1μm以下とすることで、例えば画素電極30のピッチを小さくした場合においても、画像を適切に表示することを可能としている。
【0052】
また、壁部33は、比誘電率が4以下の絶縁性の部材で形成されることが好ましい。この壁部33は、比誘電率が4以下であるため、電界の漏れ出しを適切に抑制し、液晶素子51をより適切に駆動することができる。
【0053】
また、壁部33は、アンカリング強度が1.0×10-4J/m2以下の部材で形成されることが好ましい。この壁部33は、アンカリング強度を小さくすることにより、壁部33付近の液晶素子51の動きを固定する力を適切に弱めて、電圧印加時において液晶素子51の配向方向を変更させやすくなる。従って、この壁部33は、液晶素子51をより適切に駆動することができる。なお、壁部33は、比誘電率を4以下としつつ、アンカリング強度を1.0×10-4J/m2以下とすることがより好ましい。壁部33は、比誘電率が小さいことで、電圧を印加しない場合において、隣接する画素電極30からの電圧によって配向方向を液晶素子51が動いてしまうことを抑制しつつ、アンカリング強度が小さいことで、電圧印加時において、液晶素子51が動きにくくなることを抑制する。
【0054】
また、壁部33は、壁区間R1に壁面部34が設けられ、開口区間R2において開口している(開口部35が設けられている)ことが好ましい。壁区間R1は、周囲区間Rのうちの一部の区間であり、開口区間R2は、周囲区間Rのうち、壁区間R1以外の区間である。周囲区間Rは、第1基板20上の画素電極30の周囲に沿った区間である。壁面部34は、壁区間R2において、囲っている画素電極30上の空間SPを、隣接する画素電極30上の空間SP(図2の例では空間SP1)から遮断している。この壁部33は、壁区間R1において、画素電極30上の空間SPを隣接する空間SPから遮断しつつ、開口区間R2において、画素電極30上の空間SPを隣接する空間SPに連通させている。従って、液晶装置1は、壁区間R1において電界の漏れ出し等を抑制しつつ、開口区間R2において、液晶素子51の充填を補助しつつ液晶素子51の動きの固定を抑制する。従って、この液晶装置1は、液晶素子51をより適切に駆動することができる。
【0055】
また、壁区間R1の長さは、周囲区間Rに対し、20%以上80%以下の長さであることが好ましい。液晶装置1は、壁部33を設ける壁区間R1の長さをこの範囲とすることで、開口部35を保持しつつ、壁部33により電界の漏れ出しなどを抑制して、液晶素子51をより適切に駆動することができる。
【0056】
また、周囲区間Rは、矩形であり、第1頂点RV1から第2頂点RV2にわたる第1辺区間RS1と、第2頂点RV2から第3頂点RV3にわたる第2辺区間RS2と、第3頂点RV3から第4頂点RV4にわたる第3辺区間RS3と、第4頂点RV4から第1頂点RV1にわたる第4辺区間RS4と、を有することが好ましい。そして、壁部33は、第1壁面部34Aと、第2壁面部34Bと、第3壁面部34Cと、第4壁面部34Dとを有することが好ましい。第1壁面部34Aは、第4辺区間RS4の一部の区間から、第1頂点RV1を経て第1辺区間RS1の一部の区間にわたって設けられている。第2壁面部34Bは、第1辺区間RS1の一部の区間から、第2頂点RV2を経て第2辺区間RS2の一部の区間にわたって設けられている。第3壁面部34Cは、第2辺区間RS2の一部の区間から、第3頂点RV3を経て第3辺区間RS3の一部の区間にわたって設けられている。第4壁面部34Dは、第3辺区間RS3の一部の区間から、第4頂点RV4を経て第4辺区間RS4の一部の区間にわたって設けられている。また、周囲区間Rのうち、第1壁面部34A、第2壁面部34B、第3壁面部34C及び第4壁面部34Dが設けられた区間以外の区間が開口している。この壁部33は、第1壁面部34Aと第2壁面部34Bと第3壁面部34Cと第4壁面部34Dとで、画素電極30の頂点位置の周辺を囲いつつ、それ以外の区間を開放している。従って、この壁部33は、開口部35を保持しつつ、壁部33により電界の漏れ出しなどを抑制して、液晶素子51をより適切に駆動することができる。
【0057】
また、液晶装置1は、隣接する画素電極30の中心O同士の間の距離であるピッチL1は、3μm以下であることが好ましい。この液晶装置1は、ピッチL1をこのように小さくすることにより、例えば立体画像Aなどを表示する際に、液晶素子51をより適切に駆動することができる。
【0058】
また、画素電極30は、外部から入射した光(参照光LAなど)を反射するものであり、液晶装置1は、画素電極30が反射した光を、液晶層50を経由して出射することにより画像を表示することが好ましい。この液晶装置1は、反射型の液晶表示装置であるため、例えば立体画像D1などを適切に表示することができる。
【0059】
また、液晶装置1は、光源部10と、空間光変調器(液晶部12)とを有することが好ましい。この光源部10は、参照光LAを出力する。空間光変調器は、参照光LAをホログラムの再生波面情報に基づき変調して、変調した参照光LAを出力光LBとして出力し、出力光LBにより立体画像Aを表示させる。そして、この空間光変調器は、第1基板20と、第2基板22と、複数の画素電極30と、対向電極44と、液晶層50と、壁部33とを有し、液晶層50において参照光LAを変調する。この液晶装置1は、開口部35を有することで液晶素子51をより適切に駆動して、立体画像Aを適切に表示することが可能となる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る液晶装置1は、壁部33aの形状が、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0061】
図6は、第2実施形態に係る液晶部の模式図である。図6に示すように、第2実施形態に係る液晶部12aは、壁部33aを有する。壁部33aは、壁面部34aと開口部35aとを有している。壁面部34aは、Y方向に沿って延在する領域34SAと、X方向に沿って延在する領域34SBとが、互いに分割されている。また、壁面部34aは、画素電極30の頂点位置を囲わず、画素電極30の辺の一部を囲っている。
【0062】
また、壁部33aは、領域34SBにおけるX方向に沿った長さL3が、画素電極30のピッチL1に対して、20%以上80%以下の長さであることが好ましく、画素電極30のピッチL1に対して60%以上80%以下の長さであることがより好ましい。さらに、長さL3は、ピッチL1に対し、70%未満の長さであることがさらに好ましい。同様に、壁部33aは、領域34SAにおけるY方向に沿った長さL4が、画素電極30のピッチL1に対して、20%以上80%以下の長さであることが好ましく、画素電極30のピッチL1に対して60%以上80%以下の長さであることがより好ましい。さらに、長さL4は、ピッチL1に対し、70%未満の長さであることがさらに好ましい。本実施形態において、長さL3は、長さL4と同じ長さであるが、異なる長さであってもよい。以下、壁部33aの詳細な構成を説明する。
【0063】
図7は、第2実施形態に係る壁部の構成を示す上面図である。図7に示すように、壁面部34aは、壁区間R1a上に設けられており、開口部35aは、開口区間R2aに開口している。より詳しくは、壁面部34aは、第1壁面部34Aaと、第2壁面部34Baと、第3壁面部34Caと、第4壁面部34Daとを有する。
【0064】
第1壁面部34Aaは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第1壁区間R1Aaに設けられている。第1壁区間R1Aaは、第1辺区間RS1の一部の区間であって、第1頂点RV1と第2頂点RV2とを含まない区間である。より詳しくは、第1壁面部34Aa(第1壁区間R1Aa)は、中間位置P11aから中間位置P12aにわたって延在している。中間位置P11aは、第1辺区間RS1上の第1頂点RV1と第2頂点RV2との間の位置である。中間位置P12aは、第1辺区間RS1上の第1頂点RV1と第2頂点RV2との間の位置であり、中間位置P11aよりも第2頂点RV2側の位置である。また、第1辺区間RS1の中央の位置は、中間位置P11aと中間位置P12aとの間に位置しており、第1壁面部34Aaは、第1辺区間RS1の中央位置を占めている。なお、第1壁面部34Aaは、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0065】
第2壁面部34Baは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第2壁区間R1Baに設けられている。第2壁区間R1Baは、第2辺区間RS2の一部の区間であって、第2頂点RV2と第3頂点RV3とを含まない区間である。より詳しくは、第2壁面部34Ba(第2壁区間R1Ba)は、中間位置P21aから中間位置P22aにわたって延在している。中間位置P21aは、第2辺区間RS2上の第2頂点RV2と第3頂点RV3との間の位置である。中間位置P22aは、第2辺区間RS2上の第2頂点RV2と第3頂点RV3との間の位置であり、中間位置P21aよりも第3頂点RV3側の位置である。また、第2辺区間RS2の中央の位置は、中間位置P21aと中間位置P22aとの間に位置しており、第2壁面部34Baは、第2辺区間RS2の中央位置を占めている。なお、第2壁面部34Baは、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。
【0066】
第3壁面部34Caは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第3壁区間R1Caに設けられている。第3壁区間R1Caは、第3辺区間RS3の一部の区間であって、第3頂点RV3と第4頂点RV4とを含まない区間である。より詳しくは、第3壁面部34Ca(第3壁区間R1Ca)は、中間位置P31aから中間位置P32aにわたって延在している。中間位置P31aは、第3辺区間RS3上の第3頂点RV3と第4頂点RV4との間の位置である。中間位置P32aは、第3辺区間RS3上の第3頂点RV3と第4頂点RV4との間の位置であり、中間位置P31aよりも第4頂点RV4側の位置である。また、第3辺区間RS3の中央の位置は、中間位置P31aと中間位置P32aとの間に位置しており、第3壁面部34Caは、第3辺区間RS3の中央位置を占めている。なお、第3壁面部34Caは、X方向に沿って延在する領域34SBに相当する。
【0067】
第4壁面部34Daは、周囲区間Rのうちの一部の区間である第4壁区間R1Daに設けられている。第4壁区間R1Daは、第4辺区間RS4の一部の区間であって、第4頂点RV4と第1頂点RV1とを含まない区間である。より詳しくは、第4壁面部34Da(第4壁区間R1Da)は、中間位置P41aから中間位置P42aにわたって延在している。中間位置P41aは、第4辺区間RS4上の第4頂点RV4と第1頂点RV1との間の位置である。中間位置P42aは、第4辺区間RS4上の第4頂点RV4と第1頂点RV1との間の位置であり、中間位置P41aよりも第1頂点RV1側の位置である。また、第4辺区間RS4の中央の位置は、中間位置P41aと中間位置P42aとの間に位置しており、第4壁面部34Daは、第4辺区間RS4の中央位置を占めている。なお、第4壁面部34Daは、Y方向に沿って延在する領域34SAに相当する。
【0068】
このように、第1壁面部34Aa、第2壁面部34Ba、第3壁面部34Ca、及び第4壁面部34Daを有する壁面部34aは、周囲区間Rのうちの一部の区間である壁区間R1aに設けられているということができる。壁区間R1aは、第1壁区間R1Aa、第2壁区間R1Ba、第3壁区間R1Ca、及び第4壁区間R1Daの全てを含む区間である。壁部33aは、この壁区間R1a上を延在しており、開口区間R2aには設けられていない。開口区間R2aは、周囲区間Rのうちの壁区間R1a以外の区間である。言い換えれば、壁部33aは、壁区間R1aにおいて壁面部34aを有し、開口区間R2aにおいて開口している(開口部35aを有している)といえる。
【0069】
具体的には、開口部35aは、第4壁面部34Daと第1壁面部34Aaとの間の開口区間R2Aaと、第1壁面部34Aaと第2壁面部34Baとの間の開口区間R2Baと、第2壁面部34Baと第3壁面部34Caとの間の開口区間R2Caと、第3壁面部34Caと第4壁面部34Daとの間の開口区間R2Daと、に開口している。開口区間R2Aaは、開口区間R2aのうち、中間位置P42aから第1頂点RV1を経て中間位置P11aまでの区間である。開口区間R2Baは、開口区間R2aのうち、中間位置P12aから第2頂点RV2を経て中間位置P21aまでの区間である。開口区間R2Caは、開口区間R2aのうち、中間位置P22aから第3頂点RV3を経て中間位置P31aまでの区間である。開口区間R2Daは、開口区間R2aのうち、中間位置P32aから第4頂点RV4を経て中間位置P41aまでの区間である。
【0070】
壁区間R1aの合計長さも、第1実施形態と同様に、周囲区間Rの長さに対し、20%以上80%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましい。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態に係る液晶装置1において、壁部33aは、第1壁面部34Aaと、第2壁面部34Baと、第3壁面部34Caと、第4壁面部34Daとを有することが好ましい。第1壁面部34Aaは、周囲区間Rのうち、第1辺区間RS1の一部の区間であって、第1頂点RV1及び第2頂点RV2を含まない区間に設けられる。第2壁面部34Baは、周囲区間Rのうち、第2辺区間RS2の一部の区間であって、第2頂点RV2及び第3頂点RV3を含まない区間に設けられる。第3壁面部34Caは、周囲区間Rのうち、第3辺区間RS3の一部の区間であって、第3頂点RV3及び第4頂点RV4を含まない区間に設けられる。第4壁面部34Daは、周囲区間Rのうち、第4辺区間RS4の一部の区間であって、第4頂点RV4及び第1頂点RV1を含まない区間に設けられる。そして、周囲区間Rのうち、第1壁面部34Aa、第2壁面部34Ba、第3壁面部34Ca及び第4壁面部34Daが設けられた区間以外の区間が開口している。
【0072】
この壁部33aは、第1壁面部34Aaと第2壁面部34Baと第3壁面部34Caと第4壁面部34Daとで、画素電極30の辺の一部を囲いつつ、頂点位置などそれ以外の区間を開放している。従って、第2実施形態に係る液晶装置1は、開口部35aを保持しつつ、壁部33aにより電界の漏れ出しなどを抑制して、液晶素子51を適切に駆動することができる。また、第2実施形態に係る液晶装置1は、壁部33aの長さL3、L4、及び壁区間R1aの長さを、第1実施形態より短くしてもよい。第2実施形態に係る液晶装置1は、画素電極30の辺の一部を壁部33aで囲っているため、壁部33aで囲う長さを短くしても、電界の漏れ出しや液晶素子51の追従を適切に抑制することが可能となっている。
【0073】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る液晶装置1は、壁部33bの形状が、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0074】
図8は、第3実施形態に係る液晶部の模式図である。図9は、第3実施形態に係る液晶部の断面図である。図8に示すように、第3実施形態に係る液晶部12bは、壁部33bを有する。第1実施形態に係る壁部33は、第1壁面部34Aと第2壁面部34Bと第3壁面部34Cと第4壁面部34Dとに分割されており、分割された各部の間に、開口部35が設けられていた。それに対し、壁部33bは、複数に分割されておらず、1つの部材である壁面部34bと、開口部35bとを有している。また、図8に示すように、壁面部34bは、第1基板20の表面において、画素電極30の周囲の全周を囲っている。また、図9に示すように、壁部33b(壁面部34b)は、第1基板20上から第2基板22に向かって延在しているが、第2基板22の表面(ここでは配向膜46の表面)まで到達していない。壁部33bは、第2基板22側の端部から第2基板22の表面までの間が開口しており、この間に開口部35bを形成している。この開口部35bは、第1実施形態と異なり、第1基板20から第2基板22にわたって開口せず、壁面部34bの一部の領域に開口している。
【0075】
図10は、第3実施形態の他の例に係る液晶部の断面図である。図9の例とは異なり、壁部33bは、図10に示すように、第1基板20上から第2基板22の表面(ここでは配向膜46の表面)まで延在しており、第1基板20と第2基板22との間の位置で、開口部35bが開口していてもよい。このように、本発明の壁部は、壁面部と開口部とを有していれば、開口部の位置は任意である。さらに言えば、本発明の壁部は、周囲区間Rのうちの一部の区間である壁区間R1にわたって壁面部が設けられており、壁区間R1以外の開口区間R2に開口部が設けられていることが好ましい。この場合、周囲区間Rは、第1基板と第2基板との間の任意の面上の区間である。例えば図3の例では、周囲区間Rは、第1基板20の表面上の区間である。また、図10の例では、周囲区間Rは、第1基板20と第2基板22との間の面上の区間である。この周囲区間Rは、例えば、方向Zに沿った第1基板20と第2基板22との間の距離に対し、第1基板20の表面から50%以内に位置していることが好ましい。
【0076】
なお、以上説明した各実施形態においては、液晶装置1が立体画像Aを表示している。しかし、液晶装置1は、2次元画像を表示する画像装置であってもよい。この場合、液晶装置1は、例えばパネル24上に2次元画像を表示し、又は、プロジェクタとして位置A1に2次元画像を投影して表示する。この液晶装置1は、液晶部12に干渉縞を表示させず、液晶層50を透過してパネル24に出射される光が2次元画像を表示するように、液晶層50を駆動する。この液晶装置1は、反射型の液晶装置であるため、光源部10を有さず、参照光LAの代わりに外光を画素電極30で反射させて2次元画像を表示させる。ただし、この液晶部12は、内部に例えばサイドライト光源などの光源を組み込み、この光源からの光を画素電極30で反射させてもよい。
【0077】
また、本実施形態において、液晶装置1は、画素電極30で参照光LAを反射させる反射型の液晶装置であったが、透過型の液晶装置であってもよい。この場合、光源部10は、液晶部12の背面12B側(第1基板20側)に設けられ、第1基板20の背面から液晶層50に向けて参照光LAを出射させ、液晶層50の干渉縞で参照光LAを変調して、前面12Aから出力光LBを出力する。また、2次元画像を表示する場合、液晶装置1は、第1基板20の背面から液晶層50に向けてバックライトを出射させ、液晶層50を透過してパネル24に出射される光が2次元画像を表示するように、液晶層50を駆動する。
【0078】
(第1実施例)
次に、第1実施例について説明する。第1実施例は、第1実施形態に係る液晶部12に電圧を印加した際の、液晶素子51の動きをシミュレーションした結果である。図11は、第1実施例のシミュレーション結果の一例を示す図である。第1実施例においては、図11の中央の画素電極30Aに電圧(ここでは3V)を印加し、その周囲の画素電極30には電圧を印加しなかった。また、第1実施例においては、液晶層50及び壁部33のZ方向に沿った厚みを1μmとし、画素電極30のピッチL1を、1μmとした。そして、第1実施例においては、壁部33の幅Dを200nmとし、壁部33の長さL3、L4、すなわち周囲区間Rに対する壁区間R1の長さの比率を変更しつつ、シミュレーションを行った。
【0079】
図11は、長さL3、L4が600mであり、周囲区間Rに対する壁区間R1の長さの比率が5/8(62.5%)におけるシミュレーション結果である。図11に示すように、電圧を印加した中央の画素電極30A上の液晶素子51Aは、電圧印加により配向方向が変化し、Z方向に向いている。一方、周囲の画素電極30上の液晶素子51Bは、中央の画素電極30Aの電界、及び液晶素子51Aの影響が抑制され、配向方向が保たれている。このように、第1実施形態に係る液晶部12は、壁部33に開口部35を設けても、画素電極30Aの電界、及び液晶素子51Aの影響が抑制され、液晶素子51を適切に駆動可能となっていることが分かる。
【0080】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、第2実施形態に係る液晶部12aに電圧を印加した際の、液晶素子51の動きをシミュレーションした結果である。第2実施例は、壁部33の代わりに壁部33aを用いた点以外は、第1実施例と同条件とした。
【0081】
図12は、第2実施例のシミュレーション結果の一例を示す図である。図12は、長さL3、L4が500mであり、周囲区間Rに対する壁区間R1の長さの比率が5/8(62.5%)におけるシミュレーション結果である。すなわち、図12の例は、壁区間R1の長さの比率が図11の例と同じである。図12に示すように、中央の画素電極30上の液晶素子51Aは、電圧印加により配向方向が変化し、Z方向に向いている。一方、周囲の画素電極30上の液晶素子51Bは、中央の画素電極30の電界、及び液晶素子51Aの影響が抑制され、配向方向が保たれている。さらに、図12に示すように、壁部33aを用いた場合、壁区間R1の長さの比率が壁34と同じ場合(図11)と比較して、液晶素子51Aの配向がより均一になっている。すなわち、壁部33aを用いた場合、電圧印加状態における液晶素子51をより適切に動かすことが可能になる。
【0082】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。第3実施例は、第2実施形態の壁部33aのアンカリング強度を低くした場合における液晶素子51の動きを、壁部33aの比誘電率ごとに、シミュレーションで比較したものである。第3実施例では、壁部33aのアンカリング強度を1.0×10-5J/m2とした。なお、第3実施例は、第2実施形態に係る壁部33aの形状において、中心線断面の2次元シミュレーションを行ったものである。
【0083】
図13及び図14は、第3実施例における比誘電率ごとの駆動可能領域を示すグラフである。駆動可能領域とは、画素電極30上の領域のうち、液晶素子51を適切に駆動できる領域を指す。電圧を印加した場合は、領域上の液晶素子51が、所定の角度以上動いた場合に、その領域を駆動可能領域とし、所定の角度以上動かない領域を、駆動可能領域でないとする。この場合の所定の角度は、完全に動いた角度を100%とし、動かない場合の原点角度を0%として規格化した場合において、90%としている。また、電圧を印加しない場合、領域上の液晶素子51の動きが所定の角度以下である場合に、その領域を駆動可能領域とし、所定の角度より大きく動いた領域を、駆動可能領域でないとする。この場合の所定の角度は、上述のように規格化した場合において、10%としている。
【0084】
図13は、電圧を印加した場合における比誘電率ごとの駆動可能領域の割合を示している。図14は、電圧を印加しない場合における比誘電率ごとの駆動可能領域の割合を示している。図13に示すように、弱アンカリングの場合、電圧を印加した条件において、比誘電率が約7以下で、画素電極30上の領域のうち、駆動可能領域が占める割合を70%以上とすることが可能となっている。同様に、弱アンカリングの場合、電圧を印加した条件において、比誘電率が10の場合でも、駆動可能領域が占める割合を60%以上とすることができる。また、図14に示すように、弱アンカリングの場合、電圧を印加しない条件で、比誘電率が約4.5以下で、駆動可能領域が占める割合を70%以上とすることが可能となっている。このように、壁部33aは、アンカリング強度を低くし、かつ比誘電率を低くすることで、液晶素子51をより適切に制御可能となることが分かる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 液晶装置
10 光源部
12 液晶部
14 制御部
20 第1基板
22 第2基板
30 画素電極
33 壁部
34 壁面部
35 開口部
44 対向電極
50 液晶層
51 液晶素子
D、D1、D2 幅
L1 ピッチ
R 周囲区間
R1 壁区間
R2 開口区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14