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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/10 20200101AFI20220411BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20220411BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20220411BHJP
   H04N 13/30 20180101ALI20220411BHJP
【FI】
G02B30/10
A61B3/113
G02C7/04
H04N13/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017179720
(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公開番号】P2019056738
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】519380923
【氏名又は名称】天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城川 政宜
(72)【発明者】
【氏名】住吉 研
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0097277(US,A1)
【文献】特開2013-205749(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001158(WO,A1)
【文献】特開平07-318850(JP,A)
【文献】特開平08-076051(JP,A)
【文献】特開2013-235256(JP,A)
【文献】特開2006-272005(JP,A)
【文献】特開2012-018245(JP,A)
【文献】特開平08-166556(JP,A)
【文献】特開平05-142511(JP,A)
【文献】特表2005-513884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/10-30/32
H04N 13/00-13/398
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素画素群を含み、前記複数の要素画素群のそれぞれが再生像を表示するための要素画像を表示する、表示モジュールと、
複数の要素レンズを含み、前記複数の要素画素群の前に前記複数の要素レンズの各要素レンズが配置されている、要素レンズアレイと、
複数のディオプタ調整素子を含み、前記複数の要素レンズの各要素レンズの前に、ディオプタ調整素子が配置されている、ディオプタ調整素子アレイと、
制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記複数のディオプタ調整素子の一部を、ユーザの眼の一方の視力に対して制御し、
前記複数のディオプタ調整素子の他の部分を、前記ユーザの眼の他方の視力に対して制御し、
ユーザに視認される前記再生像を前記表示モジュールの前に形成する場合、前記ユーザの視認方向における前記ディオプタ調整素子アレイの左側の領域が右眼用領域、右側の領域が左眼用領域であり、
ユーザに視認される前記再生像を前記表示モジュールの奥に形成する場合、前記ユーザの視認方向における前記ディオプタ調整素子アレイの左側の領域が左眼用領域、右側の領域が右眼用領域である、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、
前記ユーザの視力についての情報に基づいて、前記再生像の位置を決定し、
前記位置に基づいて前記複数の要素画素群それぞれの前記要素画像を生成する、
表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記再生像の位置に基づいて、前記ユーザの眼それぞれの視力に対して制御するディオプタ調整素子を、前記複数のディオプタ調整素子から選択する、
表示装置。
【請求項4】
複数の要素画素群を含み、前記複数の要素画素群のそれぞれが再生像を表示するための要素画像を表示する、表示モジュールと、
複数の要素レンズを含み、前記複数の要素画素群の前に前記複数の要素レンズの各要素レンズが配置されている、要素レンズアレイと、
複数のディオプタ調整素子を含み、前記複数の要素レンズの各要素レンズの前に、ディオプタ調整素子が配置されている、ディオプタ調整素子アレイと、
制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記複数のディオプタ調整素子を、ユーザから前記ディオプタ調整素子アレイを視る方向を基準として、左右方向に複数の領域に分割し、
前記複数の領域の一部を、前記ユーザの眼の一方の視力に対して制御し、
前記複数の領域の他の一部を、前記ユーザの眼の他方の視力に対して制御する、
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記複数の領域は、前記複数のディオプタ調整素子の左半分の領域と右半分の領域で構成されている、
表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記複数の領域は、右側領域、左側領域及び前記右側領域と前記左側領域の間の中央領域とで構成され、
前記制御部は、
前記右側領域を、前記ユーザの眼の前記一方の視力に対して制御し、
前記左側領域を、前記ユーザの眼の前記他方の視力に対して制御し、
前記中央領域を、前記ユーザのより悪い視力に対して制御する、
表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記ディオプタ調整素子アレイを通過した光が集光することなく前記ユーザの眼に入射するように、前記ディオプタ調整素子アレイを制御する、
表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、
前記再生像が前記表示モジュールの前に位置するように前記要素画像を生成し、
前記ディオプタ調整素子アレイを通過した光が集光した後に前記ユーザの眼に入射するように、前記ディオプタ調整素子アレイを制御する、
表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、
前記複数のディオプタ調整素子の前記一部に対向する要素画像を表示した状態で、前記ユーザの眼の前記一方を指定したユーザ入力に応じて、前記複数のディオプタ調整素子の前記一部のディオプタ値を調整し、
前記複数のディオプタ調整素子の前記他の部分に対向する要素画像を表示した状態で、前記ユーザの眼の前記他方を指定したユーザ入力に応じて、前記複数のディオプタ調整素子の前記他の部分のディオプタ値を調整する、
表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置であって、
さらに、前記ユーザの視線を追跡する視線追跡装置を含み、
前記制御部は、前記視線追跡装置の測定結果に基づいて、前記ディオプタ調整素子アレイにおいて、前記複数のディオプタ調整素子の前記一部と前記他の部分とを決定する、
表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記右眼用領域と前記左眼用領域との間の境界は、前記ディオプタ調整素子アレイの水平方向の中心であり、
前記境界は、ユーザの左眼と右眼との間の中央と実質的に一致する、
表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、
前記ディオプタ調整素子アレイ上の右眼の視線と左眼の視線の中点を特定し、前記左眼用領域と前記右眼用領域を決定する、
表示装置。
【請求項13】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記再生像は平面像である、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置を使用する計算機や携帯端末の普及、また、老齢人口の増加に伴い、眼鏡やコンタクトレンズ等の視力補正器具を利用する人の人口は益々増加している。一般に、人の左眼と右眼の視力は異なっており、視力補正器具は、視力が異なる左眼と右眼それぞれのために適切に眼に入射する光の進路を補正する。
【0003】
例えば、特開2014-038302号公報は、視力の異なる使用者、左右の視力が異なる使用者が、簡単な操作により、異なる距離にある視認対象物を、個別に、明瞭に視認することができる汎用性のある可変焦点眼鏡を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-038302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人の視力は変化するため、現在使用している眼鏡又はコンタクトレンズの度数が、ユーザにとって最適であるとは限らない。また、視力の悪いユーザが裸眼で表示画像を視認できれば、ユーザの助けとなる。したがって、表示装置がユーザの視力に応じた画像を表示することができる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数の要素画素群を含み、前記複数の要素画素群のそれぞれが再生像を表示するための要素画像を表示する、表示モジュールと、複数の要素レンズを含み、前記複数の要素画素群の前に前記複数の要素レンズの各要素レンズが配置されている、要素レンズアレイと、複数のディオプタ調整素子を含み、前記複数の要素レンズの各要素レンズの前に、ディオプタ調整素子が配置されている、ディオプタ調整素子アレイと、制御部と、を含み、前記制御部は、前記複数のディオプタ調整素子の一部を、ユーザの眼の一方の視力に対して制御し、前記複数のディオプタ調整素子の他の部分を、前記ユーザの眼の他方の視力に対して制御する、表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、ユーザの視力に応じた画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本実施形態に係る、視力補正表示装置の論理構成例を模式的に示す。
図1B】視力補正表示装置のハードウェア構成例を模式的に示す。
図1C】視力補正表示モジュールの構成例を模式的に示す。
図2A】元画像の一例を示す。
図2B】ユーザに視認される像を、視力補正表示モジュールの前、つまり、視力補正表示モジュールとユーザとの間に形成するための、要素画像を示す。
図3A】液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群の一点からの光線を模式的に示す。
図3B】液晶レンズによる再生像の補正を模式的に示す。
図4A図3Aを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。
図4B図3Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。
図5A】液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群の一点からの光線を模式的に示す。
図5B】液晶レンズによる再生像の補正を模式的に示す。
図6図5Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。
図7A】元画像の一例を示す。
図7B】ユーザに視認される像を、視力補正表示モジュールの背後に形成するための、要素画像を示す。
図8A】液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群の一点からの光線を模式的に示す。
図8B】液晶レンズによる再生像の補正を模式的に示す
図9A図8Aを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。
図9B図8Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。
図10】表示制御部の処理フローを示す。
図11】近視のユーザのために再生像を補正する視力補正表示モジュールを模式的に示す。
図12】右眼用領域及び左眼用領域が接する領域近傍を模式的に示す。
図13】遠視のユーザのために再生像を補正する視力補正表示モジュールを模式的に示す。
図14】右眼用領域及び左眼用領域が接する領域近傍を模式的に示す。
図15】右眼用領域と左眼用領域とが接する領域の近傍で表示される要素画像は、右眼及び左眼の双方によって視認され得ることを模式的に示す。
図16】液晶レンズアレイのディオプタ制御の他の例を示す。
図17】視力補正表示装置の他の論理構成例を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0010】
以下に開示される視力補正表示装置は、インテグラルフォトグラフィの原理に基づくインテグラルイメージングを利用する。インテグラルイメージングは、立体像(再生像)を表示する技術である。インテグラルイメージングは、複数の要素画像からの光を、複数の要素画像それぞれに対応するマイクロレンズ(要素レンズ)を通して照射することで、特定の位置に再生像を形成する。
【0011】
複数のマイクロレンズからの光線は、再生像の位置に実際の物体が存在する場合に、その物体からの光線を再現した光線であり、ユーザは、特殊な眼鏡を使用することなく、再生像を視認することができる。なお、インテグラルフォトグラフィ及びインテグラルイメージングは、広く知られた技術であり詳細な説明を省略する。
【0012】
本開示の視力補正表示装置は、表示モジュールと、表示モジュールの前に配置されたマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイの前に配置された液晶レンズアレイ(ディオプタ調整素子アレイ)と、を含む。各マイクロレンズの前に、対応する液晶レンズ(ディオプタ調整素子)が配置される。マイクロレンズは要素レンズであり、液晶レンズはディオプタ調整素子の例であり、液晶レンズアレイとは、ディオプタ調整素子アレイの例である。表示モジュールは、インテグラルフォトグラフィの原理に基づく複数の要素画像を表示する。
【0013】
要素画像の数は、マイクロレンズの数に一致する。要素画像は、それぞれ、異なるマイクロレンズに対応しており、各要素画像からの光線は、対応するマイクロレンズを通って、液晶レンズアレイに入射する。液晶レンズは、焦点可変レンズであり、つまり、ディオプタ可変レンズである。液晶レンズと異なる焦点可変レンズが使用されてもよい。
【0014】
コントローラは、ユーザの視力に応じて要素画像及び液晶レンズアレイを制御する。各要素画像を変更することで、再生像の位置を変更することができる。ユーザに視認される再生像の位置は、視力補正表示装置の前又は背後である。視力補正表示装置は、例えば、近視のユーザのために視力補正表示装置の前に再生像を表示し、遠視のユーザのために視力補正表示装置の背後に再生像を表示する。
【0015】
コントローラは、ユーザの左右それぞれの視力に対して、液晶レンズアレイの右眼の視力又は左眼の視力に対応する液晶レンズを制御する。具体的には、コントローラは、各液晶レンズのディオプタを、ユーザの右眼の視力又は左眼の視力に対して調整する。このように要素画像及び液晶レンズアレイを制御することで、様々な視力のユーザに対して、適切な画像を表示することができる。
【0016】
以下において、図面を参照して本実施形態を具体的に説明する。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0017】
[装置構成]
図1Aに、本実施形態に係る、視力補正表示装置1の論理構成例を模式的に示す。視力補正表示装置1は、表示制御部10及び視力補正表示モジュール20を含む。表示制御部10は、要素画像生成部11及び液晶レンズ制御部13を含む。視力補正表示モジュール20は、表示モジュール21、マイクロレンズアレイ(要素レンズアレイ)23、及び液晶レンズアレイ25を含む。
【0018】
表示モジュール21は、例えば、液晶表示モジュール又はOLED(Organic Light Emitting Diode)表示モジュールである。表示モジュール21の種類は問わない。表示モジュール21は、例えば、マトリックス状に配置された複数の画素を含む表示パネルと、表示パネルの画素を駆動する駆動回路及びその制御回路を含む。
【0019】
要素画像生成部11は、ユーザの視力情報51に基づき、元画像(データ)53から複数の要素画像(データ)を生成する。要素画像生成部11は、生成した要素画像を、表示モジュール21に送信する。表示モジュール21は、生成された複数の要素画像を一つの画面において表示する。
【0020】
液晶レンズ制御部13は、ユーザの視力情報51に基づき、液晶レンズアレイ25を制御する。具体的には、液晶レンズ制御部13は、ユーザの視力情報51に基づき、液晶レンズアレイ25の各液晶レンズのディオプタ(焦点距離)を制御する。後述するように、液晶レンズ制御部13は、一つの液晶レンズのディオプタを、ユーザの右眼又は左眼の一方の視力に応じて制御する。
【0021】
液晶レンズ制御部13は、さらに、ユーザ操作に応じて、液晶レンズアレイ25を制御する。液晶レンズ制御部13は、右眼及び左眼それぞれに対するユーザ入力を受け、右眼及び左眼それぞれに対応する液晶レンズのディオプタを調整する。これにより、ユーザの実際の視力より即した画像を表示できる。
【0022】
図1Bに、視力補正表示装置1のハードウェア構成例を模式的に示す。視力補正表示装置1は、例えば、携帯情報端末(スマートフォンのような携帯電話を含む)に組み込まれている。
【0023】
視力補正表示装置1は、視力補正表示モジュール20に加え、制御装置102及び入力デバイス127を含む。制御装置102は、例えば、計算機構成を有することができる。具体的には、制御装置102は、例えば、プロセッサ121、入出力インタフェース(入出力I/F)122、通信インタフェース(通信I/F)123、補助記憶装置125、及びメモリ126を含む。これらはバスを介して接続されている。
【0024】
入出力インタフェース122は、複数のポートを含み、複数の外部デバイスと接続され得る。入出力インタフェース122は、外部プロトコルと内部プロトコルとの間の変換を行う。図1Bにおいて、入出力インタフェース122には、視力補正表示モジュール20が接続される。表示モジュール21及び液晶レンズアレイ25への制御信号は、入出力インタフェース122から送信される。
【0025】
入出力インタフェース122は、さらに、入力デバイス127に接続されている。入力デバイス127は、ユーザに操作されるデバイスであって、例えば、タッチパネルデバイス(表示デバイスと共に使用される)や操作ボタンである。入力デバイス127からの信号は、入出力インタフェース122により受信される。
【0026】
通信インタフェース123は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインタフェース装置である。通信インタフェース123は、外部メモリと接続するためのインタフェースを含んでもよい。
【0027】
補助記憶装置125は、例えば、フラッシュメモリデバイス等の不揮発性記憶装置であり、プロセッサ121が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。本例において、補助記憶装置125は、元画像53を格納している。元画像53は、視力補正表示モジュール20によって立体表示される画像である。補助記憶装置125は、複数の元画像を格納し得る。元画像53は静止画像であるが、複数の元画像により、動画像を構成することができる。
【0028】
一般に、補助記憶装置125に格納されているデータは、メモリ126にロードされて使用される。メモリ126は、例えば、揮発性メモリであり、プロセッサ121が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。補助記憶装置125、メモリ126及びこれらの組み合わせは、それぞれ、記憶装置である。
【0029】
プロセッサ121は、メモリ126に格納されたプログラムを実行する。プロセッサ121は、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部(手段)として動作する。例えば、プロセッサ121は、要素画像生成プログラムに従って動作することで要素画像生成部11として機能し、液晶レンズ制御プログラムに従って動作することで液晶レンズ制御部13として機能する。
【0030】
本例において、要素画像生成部11及び液晶レンズ制御部13は、プロセッサ121により実装されているが、これらの機能を有する論理回路がプロセッサ121とは別に実装されてもよい。
【0031】
図1Cに、視力補正表示モジュール20の構成例を模式的に示す。ユーザは、方向33から、視力補正表示モジュール20を視る。即ち、本開示において、ユーザは、視力補正表示モジュール20の前から、画像を視る。つまり、ユーザ側が視力補正表示モジュール20の前側であり、その反対側は後側である。
【0032】
図1Cに示すように、表示モジュール21の前にマイクロレンズアレイ23が配置され、マイクロレンズアレイ23の前に液晶レンズアレイ25が配置されている。表示モジュール21は、マトリックス状に配置された複数の画素(画素アレイ)を含む。
【0033】
マイクロレンズアレイ23は、マトリックス状に配置された複数のマイクロレンズ(要素レンズ)を含む。マイクロレンズは、例えば、半凸レンズである。一つのマイクロレンズが、対応する複数の画素(要素画素群)と対向する。一つのマイクロレンズに対向する要素画素群が、一つの要素画像を表示する。一つのマイクロレンズに対向する要素画素群からの光が、そのマイクロレンズに入射する。
【0034】
一つのマイクロレンズの前に、一つの液晶レンズが対向して配置される。マイクロレンズを通過した光は、対向する液晶レンズを通過して、ユーザの眼に向かう。各液晶レンズは、ディオプタを変更可能であり、通過する光の発散度を制御する。
【0035】
本開示において、発散度は、光の発散度合を示す。平行光の発散度は0であり、発散角度が大きくなるほど、発散度は大きくなる。収束光は、負の発散度を有し、収束角度が大きくなるほど発散度の絶対値が大きくなる。このように、本開示においては、発散光及び収束光共に、その角度が発散度によって表わされる。発散度の制御は、例えば、平行光を発散させる又は収束させる。
【0036】
[液晶レンズによる近視補正]
以下において、液晶レンズによる視力補正を説明する。まず、液晶レンズによる近視の視力補正を説明する。ユーザが近視の場合、視力補正表示装置1は、視力補正表示モジュール20の前の位置で視認される像を表示する。図2Aに元画像53の一例を示す。元画像53は、アルファベット「ABC」を示す。元画像53を囲む破線矩形枠は、要素画素群の表示領域の外形に対応する。本例においては、表示される再生像は、奥行が0の立体像、つまり、平面像である。元画像53は、奥行が視認される立体像を表示するための情報を含んでもよい。
【0037】
図2Bに、ユーザに視認される像を、視力補正表示モジュール20の前、つまり、視力補正表示モジュール20とユーザとの間に形成するための、要素画像531を示す。各要素画素群211が、一つの要素画像531を表示する。各要素画素群211は、元画像53の再生像を特定の位置でユーザに視認させるために適切な要素画像531を表示する。
【0038】
要素画像531は、元画像53を面内で180度回転させた向きを有する。要素画素群211が表示する要素画像531の位置は、表示モジュール21の表示領域の中心に向かってシフトしている。要素画素群211内での要素画像531の位置及び形状を変化させることで、再生像位置を変化させる、例えば、再生像位置をユーザに近づける、又は、ユーザから遠ざけることができる。
【0039】
図3Aに、液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群211の一点からの光線を模式的に示す。図3Aの例において、一つの要素画素群211に一つのみのマイクロレンズ231が対向する。要素画素群211の一点からの発散光は、要素画素群211に対向するマイクロレンズ231に入射する。発散光はマイクロレンズ231による屈折により、平行光に変化する。
【0040】
要素画素群211の一点からの光は、当該点とマイクロレンズ231の中心を通る直線方向に平行に進む。この直線方向は、主光線41と一致する。平行光において、主光線41と周辺光線43は平行である。マイクロレンズ231からの平行光は、ユーザの眼30に入射する。
【0041】
異なる要素画像531の同一点からの光の主光線41は、再生像の点aで交差する。ユーザは、視認方向における点aを通過した光を、再生像の点aからの光として認識する。図3Aの例において、距離Xは、表示モジュール21の法線方向における、点aと眼30との間の距離、つまり、再生像と眼30と間の距離を示す。このように、インテグラルイメージングは、物体からの反射光を再現して、再生像をユーザに認識させることができる。
【0042】
図3Aが示す状態において、眼30の視力は近視であり、再生像からの光の焦点位置F1は、網膜の手前である。この状態において、ユーザが眼30により視認する再生像はぼやけており、はっきりと視認することができない。
【0043】
図3Bに、液晶レンズ251による再生像の補正を模式的に示す。図3Bは、距離Xの再生像を近視のためにはっきりと視認できないユーザのための補正を示す。液晶レンズ251は、ディオプタd0を有する。ディオプタd0は負の値であり、液晶レンズ251は凹レンズとして機能する。
【0044】
本例において、液晶レンズ251は、マイクロレンズ231からの平行光の発散度を大きくして、入射した平行光を発散光に変化させる。液晶レンズ251は、主光線41の進行方向を維持しつつ、周辺光線43の発散度合を大きくする。主光線41は、液晶レンズ251が存在しない(液晶レンズのディオプタが0)である場合と同様に、点aを通過する。
【0045】
液晶レンズ251からの発散光は、ユーザの眼30に入射する。眼30への入射角度に変化により、眼30への入射光の焦点が網膜の手前位置F1から網膜上の位置F0に移動する。液晶レンズ251が、周辺光線の拡がり度合いをこのように変化させることで、距離Xの再生像が補正されて、眼30による再生像のはっきりとした視認を可能とする。液晶レンズ251による補正は、再生像をユーザの眼30のより近くに移動することに相当する。近視の眼30は、再生像が近くに移動することで、その光を網膜上に集光することができる。
【0046】
図4A及び図4Bに、図3A及び図3Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。図4Aは、液晶レンズアレイ25が省略されている、又は、そのディオプタが0である構成を示す。一つの要素画像の再生像の一点に対応する点からの光は、マイクロレンズ231Aを通過して、左眼30Lに入射する。他の要素画像の再生像の上記一点に対応する点からの光は、マイクロレンズ231Bを通過して、右眼30Rに入射する。
【0047】
上述のように要素画像の一点から発散光は、マイクロレンズにより、平行光に変換される。マイクロレンズ231A、231Bからの光の主光線は、共に点aを通過する。点aは、上記再生像の一点の位置である。
【0048】
図4Aの例において、右眼30Rの視力は弱近視であり、左眼30Lの視力は強近視である。右眼30R及び左眼30Lの焦点は共に網膜の手前であり、ユーザは右眼30R及び左眼30Lいずれによっても、再生像をはっきりと視認することができない。
【0049】
図4Bに示すように、マイクロレンズ231Aの前に液晶レンズ251Aが配置され、マイクロレンズ231Bの前に液晶レンズ251Bが配置されている。液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bは、それぞれ、マイクロレンズ231A及びマイクロレンズ231Bからの光の進路を補正する。
【0050】
表示制御部10の液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのディオプタを独立に制御する。液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bが負のディオプタを持つように制御する。さらに、液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251Aのディオプタd1を液晶レンズ251Bのディオプタd2よりも小さい(絶対値が大きい)値に設定する。
【0051】
液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのからの主光線は、共に点aを通過する。液晶レンズ251Aからの発散光は強近視の左眼30Lに入射し、液晶レンズ251Bからの発散光は弱近視の右眼30Rに入射する。液晶レンズ251Aからの光の発散度は、液晶レンズ251Bからの光の発散度よりも大きい。したがって、強近視の左眼30L及び弱近視の右眼30R共に、無理なく光を網膜上に集光することができる。
【0052】
上述のように、右眼の視力と左眼の視力に差が存在する場合に、右眼の視力に対応する液晶レンズと左眼の視力に対応する液晶レンズを独立に制御することで、適切に視力補正を実現できる。
【0053】
次に、液晶レンズによる再生像の他の補正方法を説明する。図3Aから図4Bを参照して説明した方法は、液晶レンズによりマイクロレンズからの光の発散度を増加させ、液晶レンズからの発散光を眼に入射させることで、近視のための光の補正を行う。以下に説明する方法は、マイクロレンズからの光を液晶レンズにより眼の手前で集光させ、集光点からの発散光を眼に入射させる。以下に説明する構成において、一つの要素画素群に一つのみのマイクロレンズが対向する。
【0054】
図5A及び図5Bに、再生像の本補正方法を説明するための図である。図5Aは、液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群211の一点からの光線を模式的に示す。要素画素群211の一点からの発散光は、要素画素群211に対向するマイクロレンズ231に入射する。発散光はマイクロレンズ231による屈折により、平行光に変化する。
【0055】
要素画素群211の一点からの光は、当該点とマイクロレンズ231の中心を通る直線方向に平行に進む。マイクロレンズ231からの平行光は、ユーザの眼30に入射する。ユーザは、視認方向における点aを通過した光を、再生像の点aからの光として認識する。表示モジュール21の法線方向における、点aと眼30との間の距離は、Xである。
【0056】
図5Aが示す状態において、眼30の視力は近視であり、再生像からの光の焦点位置F1は、網膜の手前である。この状態において、ユーザが眼30により視認する再生像はぼやけており、はっきりと視認することができない。
【0057】
図5Bは、液晶レンズ251による再生像の補正を模式的に示す。図5Bは、距離Xの再生像を近視のためにはっきりと視認できないユーザのための補正を示す。液晶レンズ251は、ディオプタd0を有する。ディオプタd0は正の値であり、液晶レンズ251は凸レンズとして機能する。
【0058】
本例において、液晶レンズ251は、マイクロレンズ231からの平行光の発散度を小さくして、入射した平行光を収束光に変化させる。液晶レンズ251は、主光線41の進行方向を維持しつつ、周辺光線43の発散度合を小さくする。したがって、主光線41は、液晶レンズ251が存在しない(液晶レンズのディオプタが0)である場合と同様に、点aを通過する。
【0059】
液晶レンズ251からの収束光は、ユーザの眼30の手前の点bで集光する。その後、点bからの発散光が眼30に入射する。眼30への入射角度に変化により、眼30への入射光の焦点が網膜の手前位置F1から網膜上の位置F0に移動する。液晶レンズ251が、周辺光線の拡がり度合いをこのように変化させることで、距離Xの再生像が補正されて、眼30による再生像のはっきりとした視認を可能とする。
【0060】
液晶レンズ251による補正は、再生像をユーザの眼30のより近くに移動することに相当する。近視の眼30は、再生像が近くに移動することで、その光を網膜上に集光することができる。
【0061】
図6に、図5Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。液晶レンズアレイ25が省略されている、又は、そのディオプタが0である構成は、図4Aを参照して説明した通りである。
【0062】
図6に示すように、マイクロレンズ231Aの前に液晶レンズ251Aが配置され、マイクロレンズ231Bの前に液晶レンズ251Bが配置されている。液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bは、それぞれ、マイクロレンズ231A及びマイクロレンズ231Bからの光の進路を補正する。
【0063】
表示制御部10の液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのディオプタを独立に制御する。液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bが正のディオプタを持つように制御する。さらに、液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251Aのディオプタd1を液晶レンズ251Bのディオプタd2よりも大きい値に設定する。
【0064】
液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのからの主光線は、共に点aを通過する。液晶レンズ251Aからの収束光は、点b1で集光する。点b1からの発散光は、強近視の左眼30Lに入射する。液晶レンズ251Bからの収束光は、点b2で集光する。点b2からの発散光は、弱近視の右眼30Rに入射する。
【0065】
点b1と左眼30Lとの間の距離Xlは、点b2と右眼30Rとの間の距離Xrよりも大きい。つまり、液晶レンズ251Aと点b1との間の距離は、液晶レンズ251Bと点b2との間の距離よりも小さい。したがって、液晶レンズ251Aからの収束光の収束度は、液晶レンズ251Bからの収束光の収束度よりも大きい。言い換えれば、液晶レンズ251Aからの収束光の発散度は、液晶レンズ251Bからの収束光の発散度よりも小さい。
【0066】
この結果、点b1からの発散光の発散度は、点b2からの発散光の発散度よりも大きくなる。したがって、強近視の左眼30L及び弱近視の右眼30R共に、無理なく光を網膜上に集光することができる。このように、右眼の視力と左眼の視力に差が存在する場合に、右眼の視力に対応する液晶レンズと左眼の視力に対応する液晶レンズを独立に制御することで、適切に視力補正を実現できる。
【0067】
[液晶レンズによる遠視補正]
以下において、液晶レンズによる遠視の視力補正を説明する。ユーザが遠視の場合、視力補正表示装置1は、視力補正表示モジュール20の背後の位置で視認される像を表示する。図7Aに元画像53の一例を示す。元画像53は、アルファベット「ABC」を示す。元画像53を囲む破線矩形枠は、要素画素群の表示領域の外形に対応する。本例においては、表示される再生像は、奥行が0の立体像、つまり、平面像である。元画像53は、奥行が視認される立体像を表示するための情報を含んでもよい。
【0068】
図7Bに、ユーザに視認される像を、視力補正表示モジュール20の背後に形成するための、要素画像531を示す。各要素画素群211が、一つの要素画像531を表示する。各要素画素群211は、元画像53の再生像を特定の位置でユーザに視認させるために適切な要素画像531を表示する。
【0069】
要素画像531は、元画像53と同一の向きを有する。要素画素群211が表示する要素画像531の位置は、表示モジュール21の表示領域の中心から離れる方向にシフトしている。要素画素群211内での要素画像531の位置及び形状を変化させることで、再生像位置を変化させる、例えば、再生像位置をユーザに近づける、又は、ユーザから遠ざけることができる。
【0070】
図8Aに、液晶レンズが存在しない場合の、要素画素群211の一点からの光線を模式的に示す。図8Aの例において、一つの要素画素群211に対して、一つのみのマイクロレンズ231が対向する。要素画素群211の一点からの発散光は、要素画素群211に対向するマイクロレンズ231に入射する。発散光はマイクロレンズ231による屈折により、平行光に変化する。
【0071】
図8Aの例において、距離Yは、表示モジュール21の法線方向における、再生像の点cと眼30との間の距離、つまり、再生像と眼30との間の距離を示す。再生像は、表示モジュール21の背後の位置に存在する。つまり、表示モジュール21が、再生像と眼30との間の位置に存在する。
【0072】
要素画素群211の一点からの光は、当該点とマイクロレンズ231の中心を通る直線方向に平行に進む。この直線方向は、主光線41と一致する。主光線41を要素画素群211の背後に伸ばした線は、再生像の点cを通過する。
【0073】
マイクロレンズ231からの平行光は、ユーザの眼30に入射する。異なる要素画像531の同一点からの光の主光線41を要素画素群211の背後に伸ばした線は、再生像の点cで交差する。ユーザは、視認方向における点cと重なる光を、再生像の点cからの光として認識する。
【0074】
図8Aが示す状態において、眼30の視力は遠視であり、再生像からの光の焦点位置(不図示)は、網膜の奥である。この状態において、ユーザが眼30により視認する再生像はぼやけており、はっきりと視認することができない。
【0075】
図8Bに、液晶レンズ251による再生像の補正を模式的に示す。図8Bは、距離Yの再生像を遠視のためにはっきりと視認できないユーザのための補正を示す。液晶レンズ251は、ディオプタd3を有する。ディオプタd3は正の値であり、液晶レンズ251は凸レンズとして機能する。
【0076】
本例において、液晶レンズ251は、マイクロレンズ231からの平行光の発散度を小さくして(収束度を大きくして)、入射した平行光を収束光に変化させる。液晶レンズ251は、主光線41の進行方向を維持しつつ、周辺光線43の発散度を小さくする。主光線41は、液晶レンズ251が存在しない(液晶レンズのディオプタが0)である場合と同様に、点cを通過する。
【0077】
液晶レンズ251からの収束光は、ユーザの眼30に入射する。眼30への入射角度の変化により、眼30への入射光の焦点が網膜の奥の位置から網膜上の位置F0に移動する。液晶レンズ251が、周辺光線の拡がり度合いをこのように変化させることで、距離Yの再生像が補正されて、眼30による再生像のはっきりとした視認を可能とする。液晶レンズ251による補正は、再生像をユーザの眼30のより遠くに移動することに相当する。遠視の眼30は、再生像が遠くに移動することで、その光を網膜上に集光することができる。
【0078】
図9A及び図9Bに、図8A及び図8Bを参照した説明を、左右の眼の双方に適用する例を示す。図9Aは、液晶レンズアレイ25が省略されている、又は、そのディオプタが0である構成を示す。一つの要素画像の再生像の一点に対応する点からの光は、マイクロレンズ231Bを通過して、左眼30Lに入射する。他の要素画像の再生像の上記一点に対応する点からの光は、マイクロレンズ231Aを通過して、右眼30Rに入射する。
【0079】
上述のように要素画像の一点から発散光は、マイクロレンズにより、平行光に変換される。マイクロレンズ231A、231Bからの光の主光線をマイクロレンズ231A、231Bの背後に延ばした先に、点cが存在する。点cは、上記再生像の一点の位置である。
【0080】
図9Aの例において、右眼30Rの視力は弱遠視であり、左眼30Lの視力は強遠視である。右眼30R及び左眼30Lの焦点は共に網膜の奥であり、ユーザは右眼30R及び左眼30Lいずれによっても、再生像をはっきりと視認することができない。
【0081】
図9Bに示すように、マイクロレンズ231Aの前に液晶レンズ251Aが配置され、マイクロレンズ231Bの前に液晶レンズ251Bが配置されている。液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bは、それぞれ、マイクロレンズ231A及びマイクロレンズ231Bからの光の進路を補正する。
【0082】
表示制御部10の液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのディオプタを独立に制御する。液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bが正のディオプタを持つように制御する。さらに、液晶レンズ制御部13は、液晶レンズ251Bのディオプタd6を、液晶レンズ251Aのディオプタd5をよりも大きい値に設定する。
【0083】
液晶レンズ251A及び液晶レンズ251Bのからの主光線を表示モジュール21の背後に延ばした線は、共に点cを通過する。液晶レンズ251Aからの収束光は弱遠視の右眼30Rに入射し、液晶レンズ251Bからの収束光は強遠視の左眼30Lに入射する。
【0084】
液晶レンズ251Bからの光の発散度は、液晶レンズ251Aからの光の発散度よりも小さい。つまり、液晶レンズ251Bからの光の収束度は、液晶レンズ251Aからの光の収束度よりも大きい。したがって、強遠視の左眼30L及び弱遠視の右眼30R共に、無理なく光を網膜上に集光することができる。
【0085】
上述のように、右眼の視力と左眼の視力に差が存在する場合に、右眼の視力に対応する液晶レンズと左眼の視力に対応する液晶レンズを独立に制御することで、適切に視力補正を実現できる。
【0086】
[表示モジュール及び液晶レンズの制御]
以下において、表示制御部10による、表示モジュール21及び液晶レンズアレイ25の制御を説明する。表示制御部10は、ユーザから入力されたユーザの視力情報及び入力デバイスの操作によるユーザ入力に応じて、視力補正表示モジュール20を制御する。
【0087】
図10に、表示制御部10の処理フローを示す。表示制御部10は、入力デバイス127からユーザにより入力された視力情報51を取得する(S101)。視力情報51は、補助記憶装置125に格納されていてもよい。表示制御部10は、ユーザ指定に応じて補助記憶装置125から視力情報51を取得する。
【0088】
視力情報51は、例えば、右眼及び左眼それぞれの度数をディオプタによって示す。眼のディオプタは、例えば、レンズと同一の基準で示される。例えば、近視は、負のディオプタで示され、遠視は正のディオプタで示される。
【0089】
要素画像生成部11は、視力情報51に基づいて、再生像の位置を決定する(S102)。例えば、要素画像生成部11は、視力情報51が近視を示す場合、表示モジュール21の前において、表示モジュール21から規定距離の位置を、再生像の位置と決定する。視力情報51が遠視を示す場合、表示モジュール21の背後において、表示モジュール21から規定距離の位置を、再生像の位置と決定する。
【0090】
要素画像生成部11は、視力情報51が示す度数に応じて、再生像と表示モジュール21からの距離を変更してもよい。要素画像生成部11は、予め設定された関数又は変換テーブル(これらは変換情報である)を保持しており、視力情報51が示す右眼及び/又は左眼の度数から、再生像と表示モジュール21との間の距離を決定する。近視又は遠視の度数が大きい程、再生像と表示モジュール21からの距離が大きくなる。近視の再生像が表示モジュール21の前に位置し、遠視の再生像が表示モジュール21の背後に位置することは、規定距離を使用する上記の方法と同様である。
【0091】
要素画像生成部11は、決定した再生像の位置に基づいて、元画像53から表示モジュール21が表示する複数の要素画像(からなる一つの表示画像)を生成する。図2A、2B、7A及び7Bを参照して説明したように、再生像と表示モジュール21との位置関係によって、要素画像の向きが異なる。
【0092】
要素画像生成部11は、表示モジュール21における要素画素群それぞれの要素画像を、予め定められているモデルに従って生成する。要素画像の生成は公知の技術であり詳細な説明を省略する。視力情報51に応じて再生像と表示モジュール21との間の距離を変化させる構成において、要素画像生成部11は、当該距離に基づいて、要素画像それぞれの形状及び要素画素群における位置を変化させることで、再生像の位置を変化させることができる。
【0093】
液晶レンズ制御部13は、視力情報51に基づいて、液晶レンズアレイ25を調整する(S104)。具体的には、液晶レンズ制御部13は、右眼及び左眼それぞれの視力情報及び再生像の位置に基づいて、液晶レンズの右眼用のディオプタと左眼用のディオプタを決定する。
【0094】
要素画像生成部11は、予め設定された関数又は変換テーブル(これらは変換情報である)を保持しており、視力情報51が示す右眼の度数(視力)、及び、再生像の位置から、右眼の度数に応じた一つのディオプタ値を決定する。さらに、要素画像生成部11は、上記変換情報を使用して、視力情報51が示す左眼の度数(視力)、及び、再生像の位置から、左眼の度数に応じた一つのディオプタ値を決定する。
【0095】
液晶レンズ制御部13は、特定の液晶レンズを決定した二つのディオプタ値の一方を示すように制御し、他の液晶レンズを決定した二つのディオプタ値の他方を示すように制御する。液晶レンズアレイ25の調整の詳細は後述する。このように、液晶レンズ制御部13は、視力情報51を参照して、ユーザの右眼の視力及び左眼の視力に対して液晶レンズアレイ25を制御する。
【0096】
再生像の位置は、表示モジュール21の前又は背後及び表示モジュール21からの距離で表わされる。距離は上述のように規定値又は視力情報51に応じて決定される変数である。要素画像生成部11は、全ての液晶レンズに共通のディオプタを、右眼及び/又は左眼の度数と、再生像の位置と、に基づき、決定してもよい。全ての液晶レンズのディオプタが共通の場合は、液晶レンズ制御部13は、全ての液晶レンズを共通のディオプタ値を示すように制御する。
【0097】
次に、表示制御部10は、再生像を表示する(S105)。具体的には、要素画像生成部11は、生成した複数の要素画像を含む一つの表示画像のデータを、表示モジュール21に送信する。表示モジュール21は、受信した画像データに応じて、複数の要素画像それぞれを、所定要素画素群において表示する。
【0098】
ユーザは表示された再生像を視認して、液晶レンズアレイ25の再調整の有無を決定する。液晶レンズアレイ25の再調整を行う場合、ユーザは右眼又は左眼の一方を入力デバイス127で指定し、指定した眼の視力に対応する液晶レンズを入力デバイス127によりマニュアルで調整する。
【0099】
液晶レンズ制御部13は、入力デバイス127から、右眼又は左眼のうちの一方の指定を受信する。液晶レンズ制御部13は、指定された眼の視力に応じたディオプタを有する液晶レンズを同定する。左眼の視力及び右眼の視力と、対応する液晶レンズとの関係は後述する。液晶レンズ制御部13は、同定した液晶レンズを指定して、対応する要素画像を選択的に表示する(他の要素画像を消去する)ように、要素画像生成部11に指示する。これにより、ユーザが指定した眼のために液晶レンズの調整をよりしやすくなる。
【0100】
要素画像生成部11は、指定された液晶レンズに対向する要素画素群の要素画像のみからなる画像データを表示モジュール21に送信する。ここで、一つの要素画素群に対向する液晶レンズの数は一つであるとする。なお、全ての要素画像が表示されたままでもよい。
【0101】
液晶レンズ制御部13は、入力デバイス127を介して、ユーザから指定された眼に対する液晶レンズのディオプタを増減する指示を受信する(S106)。ユーザは、選択した眼の視力に応じて、液晶レンズのディオプタの増減を指示する。液晶レンズ制御部13は、ユーザ指示に応じて、同定された液晶レンズのディオプタを変化させる(S107)。このように、液晶レンズ制御部13は、ユーザから入力に従って、指定された眼の視力に対して液晶レンズアレイ25を制御する。ユーザからからの終了指示を受けて、液晶レンズ制御部13は、指定された眼に対する、液晶レンズの調整を終了する。
【0102】
液晶レンズ制御部13は、入力デバイス127から、右眼又は左眼のうちの他方の指定を受信する。液晶レンズ制御部13は、指定された眼の視力に応じたディオプタを有する液晶レンズを同定する。液晶レンズ制御部13は、同定した液晶レンズを指定して、対応する要素画像を選択的に表示する(他の要素画像を消去する)ように、要素画像生成部11に指示する。
【0103】
要素画像生成部11は、指定された液晶レンズに対向する要素画素群の要素画像のみからなる画像データを表示モジュール21に送信する。なお、全ての要素画像が表示されたままでもよい。
【0104】
液晶レンズ制御部13は、入力デバイス127を介して、ユーザから指定された眼に対する液晶レンズのディオプタを増減する指示を受信する(S108)。ユーザは、選択した眼の視力に応じて、液晶レンズのディオプタの増減を指示する。液晶レンズ制御部13は、ユーザ指示に応じて、同定された液晶レンズのディオプタを変化させる(S109)。このように、液晶レンズ制御部13は、ユーザから入力に従って、指定された眼の視力に対して液晶レンズアレイ25を制御する。ユーザからからの終了指示を受けて、液晶レンズ制御部13は、指定された眼に対する、液晶レンズの調整を終了する。
【0105】
なお、ステップS106~S109は省略してもよい。要素画像生成部11は、ユーザのマニュアル操作に応じて、再生像の位置を変更してもよい。要素画像生成部11は、左右の視力に応じて再生像の二つの位置を決定してもよい。要素画像生成部11は、左眼の視力に応じて制御される液晶レンズに対向する要素画像を、左眼視力に応じて決定した位置に再生像が形成されるように作成し、右眼の視力に応じて制御される液晶レンズに対向する要素画像を、右眼視力に応じて決定した位置に再生像が形成されるように作成してもよい。
【0106】
以下において、左右の眼の視力と対応する液晶レンズとの関係について説明する。図11に、近視のユーザのために再生像を補正する視力補正表示モジュール20を模式的に示す。液晶レンズアレイ25の右眼用領域255Rは右眼視力に応じたディオプタを有し、左眼用領域255Lは左眼視力に応じたディオプタを有する。
【0107】
図11の例において、右眼用領域255Rは、視認方向33において見た場合に、液晶レンズアレイ25の左半分の領域である。左眼用領域255Lは、視認方向33において見た場合に、液晶レンズアレイ25の右半分の領域である。右眼用領域255Rと左眼用領域255Lとの境界線は、液晶レンズアレイ25の左右方向における中央である。なお、境界線の位置は、中央でなくてもよい。
【0108】
液晶レンズ制御部13は、ユーザの視力情報及び/又はユーザ操作に応じて、右眼用領域255R及び左眼用領域255Lを、それぞれ独立に制御する。右眼用領域255Rの全ての液晶レンズは共通のディオプタを有し、左眼用領域255Lの全ての液晶レンズは共通のディオプタを有する。
【0109】
図12に、右眼用領域255R及び左眼用領域255Lが接する領域近傍を模式的に示す。本例において、再生像の位置aは、視力補正表示モジュール20の前、液晶レンズアレイ25から50mmである。強近視の左眼の度数(視力)は-7D、弱近視の右眼の度数(視力)は-5Dである。
【0110】
要素画素群211Aに含まれる一つの画素215Aからの発散光は、マイクロレンズ231Aによって平行光に変化する。マイクロレンズ231Aからの光は、液晶レンズ251Aに入射する。液晶レンズ251Aは、左眼用領域255Lに含まれる。液晶レンズ251Aは、負のディオプタを有し、平行光を発散光に変化させる。液晶レンズ251Aからの光は、左眼に向かう。
【0111】
要素画素群211Bに含まれる一つの画素215Bからの発散光は、マイクロレンズ231Bによって平行光に変化する。マイクロレンズ231Bからの光は、液晶レンズ251Bに入射する。液晶レンズ251Bは、右眼用領域255Rに含まれる。液晶レンズ251Bは、負のディオプタを有し、平行光を発散光に変化させる。液晶レンズ251Bから光は、右眼に向かう。
【0112】
上述のように、本例における左眼のディオプタが右眼のディオプタより小さい、つまり、近視の左眼のディオプタの絶対値が近視の右眼のディオプタの絶対値よりも大きい。したがって、左眼用領域255Lのディオプタは、右眼用領域255Rのディオプタよりも小さい、つまり、左眼用領域255Lのディオプタの絶対値は、右眼用領域255Rのディオプタの絶対値よりも大きい。
【0113】
図13に、遠視のユーザのために再生像を補正する視力補正表示モジュール20を模式的に示す。液晶レンズアレイ25の右眼用領域255Rは右眼視力に応じたディオプタを有し、左眼用領域255Lは左眼視力に応じたディオプタを有する。
【0114】
図13の例において、右眼用領域255Rは、視認方向33において見た場合に、液晶レンズアレイ25の右半分の領域である。左眼用領域255Lは、視認方向33において見た場合に、液晶レンズアレイ25の左半分の領域である。右眼用領域255Rと左眼用領域255Lとの境界線は、液晶レンズアレイ25の左右方向における中央である。なお、境界線の位置は、中央でなくてもよい。
【0115】
液晶レンズ制御部13は、ユーザの視力情報及び/又はユーザ操作に応じて、右眼用領域255R及び左眼用領域255Lを、それぞれ独立に制御する。右眼用領域255Rの全ての液晶レンズは共通のディオプタを有し、左眼用領域255Lの全ての液晶レンズは共通のディオプタを有する。
【0116】
図14に、右眼用領域255R及び左眼用領域255Lが接する領域近傍を模式的に示す。本例において、再生像の位置cは、視力補正表示モジュール20の背後、液晶レンズアレイ25から100mmである。強遠視の左眼の度数(視力)は2D、弱遠視の右眼の度数(視力)は1Dである。
【0117】
要素画素群211Aに含まれる一つの画素215Aからの発散光は、マイクロレンズ231Aによって平行光に変化する。マイクロレンズ231Aからの光は、液晶レンズ251Aに入射する。液晶レンズ251Aは、右眼用領域255Rに含まれる。液晶レンズ251Aは、正のディオプタを有し、平行光を収束光に変化させる。液晶レンズ251Aからの光は、右眼に向かう。
【0118】
要素画素群211Bに含まれる一つの画素215Bからの発散光は、マイクロレンズ231Bによって平行光に変化する。マイクロレンズ231Bからの光は、液晶レンズ251Bに入射する。液晶レンズ251Bは、左眼用領域255Lに含まれる。液晶レンズ251Bは、正のディオプタを有し、平行光を収束光に変化させる。液晶レンズ251Bから光は、左眼に向かう。
【0119】
上述のように、本例における遠視左眼のディオプタが遠視右眼のディオプタより大きい。したがって、左眼用領域255Lのディオプタは、右眼用領域255Rのディオプタよりも大きい。
【0120】
上述の例において、液晶レンズ制御部13は、液晶レンズアレイ25を左右方向において分割した一方の半分を右眼の視力に応じて制御し、他方の半分を左眼の視力に応じて制御する。この制御は、表示モジュール21及び液晶レンズアレイ25の左右方向における中央と、ユーザの左右の眼の中央とが略一致する状態を想定している。
【0121】
図15に示すように、右眼用領域255Rと左眼用領域255Lとが接する領域の近傍で表示される要素画像531A、531B及び531Cは、右眼30R及び左眼30Lの双方によって視認され得る。
【0122】
[他の実施例]
図16に、液晶レンズアレイ25のディオプタ制御の他の例を示す。液晶レンズアレイ25は、左右方向に三つの領域255A、255B、及び255Cに分割して制御される。領域の境界は、左右方向に垂直な上下方向に延びる。一例において、端の領域255A、255Cの幅は同一であり、中央の領域255Bの幅は、他の領域255A、255Cの幅よりも狭い。これら領域の幅は設計によって適切に決定される。
【0123】
液晶レンズ制御部13は、領域255Aを一方の眼の視力に応じて制御し、領域255Cを他方の眼の視力に応じて制御し、中央の領域255Bをより悪い視力、つまり、度数(ディオプタ)の絶対値が大きい視力に応じて制御する。
【0124】
図16において、左眼30Lが強近視(-7D)であり、右眼30Rが弱近視(-5D)である。視力補正表示装置1は、再生像を表示モジュール21の前に表示する。液晶レンズ制御部13は、領域255Aを左眼30Lの視力に応じて制御し、領域255Cを右眼30Rの視力に応じて制御する。左眼30Lの視力が右眼の視力よりも悪いため、液晶レンズ制御部13は、中央の領域255Bを左眼30Lの視力に応じて制御する。例えば、中央の領域255Bのディオプタは、領域255Aのディオプタと同一である。この制御により、よりはっきりと再生像をユーザに視認させることができる。
【0125】
上述のように、表示制御部10は、ユーザのマニュアル操作に応じた液晶レンズアレイ25の制御において、選択された眼の視力に応じて制御される液晶レンズに対向する画素の要素画像を選択的に表示する。表示制御部10は、より悪い視力の眼のための液晶レンズの調整のために、中央の領域255Bに対向する要素画像を表示し、他方の眼のための液晶レンズの調整において中央の領域255Bに対向する画素を消灯する。
【0126】
次に、視力補正表示装置1の他の構成例を説明する。図17に、視力補正表示装置1の論理構成例を模式的に示す。視力補正表示装置1は、図1Aを参照して説明した構成に加え、視線追跡センサ61及び視線追跡解析部15を含む。他の部分は、図1Aの構成と同様である。
【0127】
視線追跡センサ61は、ユーザの右眼及び左眼の視線を測定及び追跡する。視線追跡解析部15は、視線追跡センサ61からの測定データから、右眼及び左眼の視線の開始点及びそれらの方向(視線情報)を特定する。視線の開始点は、眼の位置に対応する。視線追跡解析部15は、視線情報を液晶レンズ制御部13に送信する。
【0128】
例えば、液晶レンズ制御部13は、視線情報に基づいて、液晶レンズアレイ25を制御する。具体的には、液晶レンズ制御部13は、視線情報に基づいて、右眼の視力に基づき制御する液晶レンズと左眼の視力に基づき制御する液晶レンズを決定する。
【0129】
例えば、液晶レンズ制御部13は、液晶レンズアレイ25上の右眼と左眼の視線の中点を特定し、その中点を左眼用領域255Lと右眼用領域255Rの境界に含めるように、左眼用領域255Lと右眼用領域255Rを決定する。
【0130】
液晶レンズアレイ25を3分割して制御する構成において、液晶レンズ制御部13は、上記中点が中央領域255Bの中央線に含まれるように、三つの領域を決定する。例えば、中央領域の幅が規定値であってもよい。液晶レンズ制御部13は、視線の角度の平均値に基づいて中央領域の幅を決定してもよい。
【0131】
液晶レンズ制御部13は、視線の中点に代えて、右眼と左眼の中央の位置から液晶レンズアレイ25の法線方向に延びる仮想線が液晶レンズアレイ25と当たる点を使用してもよい。視線情報は、液晶レンズ制御部13が参照する情報のみを含めばよい。
【0132】
例えば、液晶レンズ制御部13は、視線情報に基づいて、液晶レンズのディオプタを決定する。上記構成例は、ユーザの眼と視力補正表示モジュール20との間の特定の距離を仮定して、液晶レンズアレイ25のディオプタを制御する。液晶レンズ制御部13は、視線情報から、ユーザの眼と視力補正表示モジュール20との間の距離を決定し、その値に応じて液晶レンズのディオプタを決定してもよい。
【0133】
例えば、ディオプタを決定するための変換情報(関数又はテーブル)が、距離の変数を含む。ユーザの眼と視力補正表示モジュール20との間の距離は、例えば、左右の眼の間の中心点と、視力補正表示モジュール20の法線方向に延びる線を使用して定義してもよい。
【0134】
液晶レンズ制御部13は、視線情報に基づいて、液晶レンズアレイ25をオンタイムで制御してもよく、再生像の表示を開始するときに、視線情報に基づいて液晶レンズアレイ25の制御値を決定し、それら制御値を維持してもよい。
【0135】
上述のように、ユーザの視線情報に基づき液晶レンズアレイ25を制御することで、ユーザの現状に応じてより適切に再生像を補正することができる。なお、要素画像生成部11は、視線情報に基づいて、再生像を制御してもよい。例えば、左眼と右眼の位置の中央位置と視力補正表示モジュール20との間の距離に基づいて、再生像の位置を決定してもよい。
【0136】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 視力補正表示装置、10 表示制御部、11 要素画像生成部、13 液晶レンズ制御部、15 視線追跡解析部、15 液晶レンズアレイ、20 視力補正表示モジュール、21 表示モジュール、23 マイクロレンズアレイ、25 液晶レンズアレイ、27 入力デバイス、30 眼、30L 左眼、30R 右眼、33 視認方向、41 主光線、43 周辺光線、51 視力情報、53 元画像、61 視線追跡センサ、102 制御装置、121 プロセッサ、122 入出力インタフェース、123 通信インタフェース、125 補助記憶装置、126 メモリ、127 入力デバイス、211、211A、211B 要素画素群、215A、215B 画素、231、231A、231B マイクロレンズ、251、251A、251B 液晶レンズ、255A、255B、255C 液晶レンズアレイの領域、255L 左眼用領域、255R 右眼用領域、531、531A、531B、531C 要素画像
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17