(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A63F7/02 312C
A63F7/02 326C
(21)【出願番号】P 2017223333
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】原 徳昭
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-013379(JP,A)
【文献】特開平07-008608(JP,A)
【文献】特開2001-334021(JP,A)
【文献】特開昭58-221969(JP,A)
【文献】特開2004-154467(JP,A)
【文献】特開2005-192785(JP,A)
【文献】特開2012-139334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面に透明板を少なくとも二重に配設する弾球遊技機であって、紫外線を遮断する外側透明板を前面枠に保持させることで該外側透明板を単独で開閉可能に構成するとともに、紫外線が照射されたときに限って視認可能となるフォトクロミックインキを用いて遊技盤に固植される遊技釘の正規の位置情報を透明シートに印刷し、該透明シートを
内側透明板に貼付してなることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
紫外線が照射されたときに限って視認可能となるフォトクロミックインキを用いて遊技盤に固植される遊技釘の正規の位置情報を透明シートに印刷し、該透明シートを該遊技盤の前面に配設される透明板に貼付し、前記遊技盤と前記透明シートとに正面視で合致位置し得る基準マークをそれぞれ表示するとともに、前記透明板を前記遊技盤に対し上下左右に位置を微調整し得る位置調整手段を設けてなることを特徴とした弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に固植された多数本の遊技釘の位置が正規の位置から変動していないかどうかを確認するための手段を備えたパチンコ遊技機,アレンジボール遊技機,雀球遊技機等のパチンコ球を遊技媒体とする弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の弾球遊技機は、遊技盤の前面の遊技領域に多数本の遊技釘が固植され、該遊技領域を流下する遊技球は該遊技釘に誘導され、入賞口に入賞したり、入賞しないでアウト球排出口に至るものに分別される。このため遊技盤に固植された遊技釘の位置は入賞状況に大きく影響する。
ところでこれらの遊技釘は、釘打機により機種に応じて予め決められた遊技盤の所定位置に打ち付けられるが、釘打機の精度に限度があることから、遊技釘が必ずしも基準どおり正確に位置するとは限らないとともに、遊技場に長期間設置され遊技に使用されていると、遊技球が遊技釘に繰り返し衝突することにより遊技釘が曲がり、釘頭も正規の位置から大きくずれてしまうことがある。また、製造後に意図的に遊技釘を曲げることで、遊技領域を流下する遊技球の流れを変えて、入賞状況を大きく変えてしまうということもあった。
【0003】
一方、下記特許文献1に示された遊技機の釘位置調整方法は、遊技釘の基準位置を示す孔または画像を設けた透明または半透明の測定用の表示シートを遊技盤の遊技領域に沿って平行に保持し、該表示シートをめくりながら遊技釘の位置を調整するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技盤に固植された多数本の遊技釘について、正規の位置からのずれを測定・把握することは容易でなく、その確認や調整を行うことは、経験豊富な専門の作業者であっても時間を要する大変な作業であった。
また、特許文献1に示された方法では、いちいち表示シートを遊技盤の遊技領域に沿って平行に保持しなければならならないので、手間が掛かるという問題があるとともに、表示シートが妄動し易いうえ、遊技釘を基準とし該遊技釘に対して該表示シートを差し込んで位置合わせを行うものであるので、基準としている遊技釘自体が位置ズレしていると、測定・検査を正確にできないおそれがある。
そこで、表示シートを予め遊技盤前面の透明板に貼り付けておくことも考えられた。しかし、表示シートを貼り付けていると、遊技者もまた表示シートの表示が見えるので、遊技中に実際の遊技釘の位置とのズレなどを認識することも可能となり、このために遊技者が無用な不信感を起こすようになり、トラブル発生の要因になるおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、表示シートの表示が遊技者に見られることはなく、しかも、遊技釘の位置を常に正確に検査・確認することが可能な弾球遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明に係る弾球遊技機は、紫外線が照射されたときに限って視認可能となるフォトクロミックインキを用いて遊技盤に固植される遊技釘の正規の位置情報を透明シートに印刷し、該透明シートを該遊技盤の前面に配設される透明板に貼付してなることを特徴とする。
紫外線を照射しない限り、透明シートに印刷された遊技釘の正規の位置情報は見えないので、遊技者は従来通り違和感なく遊技することができる。
【0008】
また本発明は上記弾球遊技機において、遊技盤の前面に透明板を少なくとも二重に配設する弾球遊技機であって、内側透明板に前記透明シートを貼付するとともに、紫外線を遮断する外側透明板を前面枠に保持させることで該外側透明板を単独で開閉可能に構成したことを特徴とする。
このため、外側透明板を閉じるだけで、紫外線を遮断することができるので、透明シートの表示が遊技者に見えないようにできる。
【0009】
また本発明は上記弾球遊技機において、フォトクロミックインキにより透明シートに印刷される釘位置マークは、遊技盤の遊技領域に固植される遊技釘の釘頭の外径よりも小さい外径の円形であることを特徴とする。
こうすることで、許容される一定の測定誤差を考慮したうえでの、遊技釘位置の測定・検査の合否の判定が容易になる。
【0010】
また本発明は上記弾球遊技機において、前記遊技盤と前記透明シートとに正面視で合致位置し得る基準マークをそれぞれ表示するとともに、前記透明板を前記遊技盤に対し上下左右に位置を微調整し得る位置調整手段を設けてなることを特徴とする。
このように基準マークどうしが合致するように前記透明板を位置調整することで、遊技釘の位置をより正確に測定・確認できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
透明シートの釘位置を示す表示を通常は遊技者が見られないので、遊技者とトラブル等の問題が発生するおそれがないとともに、必要に応じてその表示が見られるようになるので、遊技盤に固植された遊技釘の位置を容易にしかも正確に検査・確認できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤と内側透明板と透明シートの分解斜視図。
【
図4】本発明に係る弾球遊技機の内側透明板の正面図。
【
図5】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の分解斜視図。
【
図6】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の分解斜視図。
【
図7】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の分解斜視図。
【
図8】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の内部構造の正面図。
【
図9】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の内部構造の背面図。
【
図10】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤に内側透明板をセットする際の斜視図。
【
図11】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤に内側透明板をセットする際の斜視図。
【
図13】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤に内側透明板を固定した状態の斜視図。
【
図14】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤に内側透明板を固定した状態の正面図。
【
図16】本発明に係る弾球遊技機の遊技盤に内側透明板を固定した状態の要部の裏面図。
【
図17】本発明に係る弾球遊技機の釘位置確認状況を示す要部の縦断面図。
【
図18】本発明に係る弾球遊技機の釘位置確認状況を示す正面図。
【
図19】本発明に係る弾球遊技機の位置合わせ機構の他の実施形態を示す斜視図。
【
図24】本発明に係る弾球遊技機の他の実施形態を示す要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明に係る弾球遊技機の構成を図面に従い説明する。
図1~
図3に示した遊技盤10は、中央に液晶等の図柄表示装置や演出装置(図示せず)を配設するための大きな窓孔11を形成したプラスチック製厚板状のもので、該遊技盤10の前面に球誘導用レール12a,12bが固着され、該球誘導レール12a,12bによって囲われた遊技領域13に多数本の遊技釘14が固植される。なお、この実施形態に示した該各遊技釘14は、表面が金色で、その釘頭を直径4.2mmの半球状に形成したものを使用している。また、該遊技領域13には、風車や電飾装置(図示せず)が配設されるほか、通過チャッカー,普通入賞口,始動入賞口,可変入賞口(いずれも図示せず)等を配設するための取付孔15a~15dが形成される。また、該遊技盤10の裏側には入賞球集合樋,遊技制御基板(図示せず)等が設けられる。遊技中は遊技者が前記球誘導レール12a,12bに沿って遊技球を発射し、該遊技球は遊技領域13を遊技釘14に誘導されながら流下する。そして、前記普通入賞口,始動入賞口等の入賞口に適宜確率で入賞し、入賞しなかった遊技球は、アウト球排出口21より排出される。
【0014】
球誘導レール12a,12bの外側領域であって該遊技盤10の向かって左側上部には、該球誘導レール12a,12bの起立厚さと同程度に前方に突出する側枠部材21aが該遊技盤10に予め形成された取付孔にビスによって固着され、該遊技盤10の向かって左側下部に同様の側枠部材21bが同様にビスによって固着され、該遊技盤10の向かって右側上部にも側枠部材21cが同様にビスによって固着され、該遊技盤10の向かって右側下部にも側枠部材21dが同様にビスによって固着される。
【0015】
また、遊技盤10の向かって左側の上下縁部に相当する前記側枠部材21a,21bにそれぞれ略正方形の遊嵌孔22a,22bを形成し、該遊嵌孔22a,22bの内底部に後述する
図12に示したように板バネ23を設けている。また、該遊技盤10の向かって右側の上縁部に小円形の位置決孔24をルーター加工機等の切削加工により形成し、該位置決孔24を基準として前記遊技領域13に多数の釘孔を穴開切削加工により形成し、該釘孔に前記遊技釘14を差し込むことにより、該位置決孔24を基準として多数本の遊技釘14が正確に位置するように固植される。
【0016】
また、前記側枠部材21cの上縁部にルーズクリップ25を回転自在に軸着するとともに、前記側枠部材21dに凹窪部26を形成し、該凹窪部26に遊技盤10の裏側まで貫通する略小判形の係合孔27を形成している。そして、前記側枠部材21cの上縁部寄りの前面と前記側枠部材21dの前面にそれぞれ十字状の基準マーク28a,28bを表示する。なお、側枠部材21a~21dは、遊技盤10に前記位置決孔24を基準として切削加工された図示しない取付孔に取り付けられる。したがって、該基準マーク28a,28bは、位置決孔24および遊技釘14に対して高精度に位置し得る。
【0017】
また、
図2に示したように、遊技盤10の前面に配設される内側透明板40は、プラスチック製の保持枠42によって全周が囲われ、該内側透明板40の前面に釘位置表示シート90が粘着剤により貼付される。該釘位置表示シート90は、透明シート91に紫外線が照射されときに限って視認可能となるフォトクロミックインキを用いて釘位置マーク92を印刷してなる。なお、フォトクロミックインキは紫外線が照射することで発色し紫外線を遮断することで消色するという変化を可逆的に繰り返すインクで、ブラックライト等の紫外線ライトを照射したときは勿論、太陽光や蛍光灯、LED等の紫外線を含む光が当たったときも発色し視認可能となる。そして、該釘位置マーク92によって遊技盤10に固植される多数本の遊技釘14の正規の位置が表示される。なお、該各釘位置マーク92は、外径が前記遊技釘14の釘頭の外径よりも小さい2.2mmの円形である。
また、該各釘位置マーク92の位置の基準となる十字状の基準マーク93a,93bをそれぞれ該釘位置表示シート90の向かって右上および左下に印刷によって表示する。また、該釘位置表示シート90の下縁部に機種名94を印刷している。なお、機種名94および前記基準マーク93a,93bは、普通の印刷インキを用いても前記フォトクロミックインキを用いて印刷してもよい。また、ホログラム式の偽造防止ラベル95を該釘位置表示シート90の下縁部に貼付し、該釘位置表示シート90をコピー機によって容易に偽造できないようにしている。
【0018】
次に前記保持枠42に設けられる位置調整手段の構成を説明する。該位置調整手段は、
図4にも示すように、遊嵌部43とロック部44と位置合わせ機構45とからなるが、先ず、遊嵌部43から説明すると、保持枠42の向かって左側辺に
図12に示したように先端部がL字状に折れ曲がった鉤状片43a,43bを一体に形成し、該鉤状片43a,43bを前記遊嵌孔22a,22bに遊嵌することにより、該保持枠42および内側透明板40が遊技盤10に対して上下左右に微動可能に支持され、該鉤状片43a,43bを前記板バネ23により押圧することで、該内側透明板40が遊技盤10の前面に一定間隔で保持されるようにしている。
また、ロック部44は、
図4,
図10に示したように、保持枠42の下辺の向かって右側寄りに遊技盤10の前記凹窪部26に遊嵌し得る水平断面コ字形の垂下部46を延設し、該垂下部46に縦長孔47および正面視円弧状のクサビ部49を形成してなり、該縦長孔47に
図15に示したようにロック片48を装着し得るようにしている。なお、該ロック片48は、縦長孔47に貫挿する軸部48aの前端に鉤状の摘子部48bを一体に形成するとともに、該軸部48aの後端に直交状の係合部48cを一体に形成してなる。
【0019】
一方、位置合わせ機構45は、保持枠42の上辺の向かって右側寄りにビス50a~50cによって止着される。また、該位置合わせ機構45の向かって右側近傍に板状止片51が該保持枠42に一体に形成される。次にこの位置合わせ機構45の構成を
図5~
図9に従い説明する。この位置合わせ機構45は、前記ビス50a~50cおよびビス54a,54bをケース52と蓋体53に貫挿することにより、該ケース52と蓋体53とを固着してなり、
図11に示したように該ケース52の背面に前記位置決孔24に嵌合し得る支軸55が突設され、該支軸55を左右に微動させるための左右動ダイヤル56が蓋体53に形成されたダイヤル孔56aから前面に露出し、該支軸55を上下に微動させるための上下動ダイヤル57が蓋体53に形成されたダイヤル孔57aから前面に露出する。該左右動ダイヤル56はダイヤル軸56bの下端部にウオーム56cが固着され、該ダイヤル軸56bをケース52に形成された軸受部52aに垂直に貫挿することにより回転自在に支持するとともに、該ウオーム56cと噛合するウオームホイール56dが該ケース52に形成された支持軸52bに回転自在に支持され、該ウオームホイール56dにはピニオン56eを一体に形成している。なお、支軸55の先端部は前記位置決孔24に対し嵌合し易いように先細テーパー状に形成されている。
【0020】
また、
図7に示したように、成形部材61a,61bにビス62a,62bを貫挿することにより左右動組体63が組み立てられる。該左右動組体63は、前記ケース52に水平方向に長いスリット状のガイド孔52cが形成され、成形部材61bの背面に形成された突縁63bを該ガイド孔52c中に摺動可能に貫挿することにより該ケース52内にて左右方向にのみ移動するように設けられる。また、
図8に示されるように該成形部材61bの下縁部にラック歯63cが一体に形成され、該ラック歯63cを前記ピニオン56eに噛合させている。
【0021】
また、前記上下動ダイヤル57にダイヤル軸57bをEリング57′で固着し、該ダイヤル軸57bを成形部材61aに形成された軸受部61dに水平に貫挿することにより該上下動ダイヤル57を回転自在に支持し、該ダイヤル軸57bの先端にウオーム57c固着し、前記成形部材61bに形成された支持軸61cにピニオン57dが一体に形成されたウオームホイール57eを回転自在に支持し、該ウオームホイール57eをウオーム57cに噛合させている。
また、前記支軸55の基端部に前記ピニオン57dと噛合するラック歯65aおよび上下方向に長いガイド孔65bが形成された軸基枠65が固着され、前記成形部材61bに突設されたガイド軸63dが該ガイド孔65bに遊嵌し、支軸55は前記成形部材61bに形成された上下方向に長い長孔63eに上下動可能に貫挿され、さらに該支軸55はケース52に形成された大径孔52dを貫通して該位置合わせ機構45の背面に突出している。
【0022】
このため、左右動ダイヤル56を回転させると、ピニオン56eが回転し左右動組体63を左右動させ支軸55を左右動させる一方、上下動ダイヤル57を回転させると、ピニオン57dが回転し軸基枠65を上下動させるので該支軸55を上下動させる。
【0023】
そして、
図10および
図11に示したように、保持枠42の一側縁に形成された鉤状片43a,43bを該遊技盤10の遊嵌孔22a,22bに遊嵌し、前記支軸55を位置決孔24に嵌合する。このとき保持枠42は遊技盤10に対して上下左右に微動可能に支持されていることから、該保持枠42を必要に応じていずれかの方向に動かすことで、位置決孔24に対して支軸55を嵌合することができる。また、前記ルーズクリップ25を回転させて前記板状止片51の表面上に摺接させることで、該保持枠42を微動可能に支持し得る。
【0024】
この状態で前記左右動ダイヤル56および上下動ダイヤル57を回転操作して支軸55を左右および上下に微動させる。このとき、該支軸55は位置決孔24に嵌合されているので、実際は保持枠42および該保持枠と一体の内側透明板40が左右および上下に微動する。また、手で直接、保持枠42を左右に動かすことにより支軸55を支点として該保持枠42を左右に僅かに傾斜させることもできる。このような微調整をすることにより、遊技板10に表示された前記基準マーク28a,28bに対し前記基準マーク93a,93bを正面視で完全に合致位置させる。そして、合致できたところで、前記係合孔27に貫挿されたロック片48の摘子部48bを回転操作し、
図15、
図16に示したように係合部48cを遊技盤10の裏側面に係合させる。なおこのとき摘子部48bが前記クサビ部49上に乗り上ることにより、軸部48aが前方に牽引されるので、保持枠42をしっかりと遊技板10に固定することができる。このように位置合わせ機構45を備えていることによっては、内側透明板40に釘位置表示シート90が多少はズレて貼付されていたとしても、基準マーク28a,28bと基準マーク93a,93bとを合致させることで、そのズレを無くすことができる。
【0025】
また、この弾球遊技機では、
図1に示したように、本体枠77の一側縁に開閉可能にヒンジされた前面枠76に外側透明板75を保持させ、該外側透明板75を前記内側透明板40とは別途に単独で開閉し得るようにしている。該外側透明板75は、透明板材75aと透明板材75cとの間に紫外線を吸収する透明なポリビニルブチラール(PVB)膜75bを接着剤として挟んでなる3層構造の合わせガラスであり、該前面枠76を閉じることにより、紫外線が該外側透明板75により遮断される。このため、紫外線が内部に侵入しなくなり、フォトクロミックインキにより印刷された前記釘位置マーク92は該外側透明板75を閉じた状態では外から見えないので、遊技者は該釘位置マーク92を気にすることなく遊技することができる。なお、紫外線を吸収する透明な接着剤であれば、ポリビニルブチラール(PVB)に限るものではない。
【0026】
一方、各遊技釘14の位置が釘位置マーク92と合致するかどうかを検査・確認するに際しては、前面枠76を開けることで外側透明板75を開放し、必要に応じて前述のように、左右動ダイヤル56および上下動ダイヤル57を回転操作して基準マーク28a,28bと基準マーク93a,93bを正面視で合致位置させ、保持枠42を遊技板10に固定する。そして、
図17に示したように、小型で携帯可能なブラックライト80を使用し、紫外線を遊技盤10の正面に向けて照射する。これによって紫外線が釘位置マーク92に照射されて該釘位置マーク92を視認できるようになることから、遊技盤10正面から見て各遊技釘14の釘頭が該釘位置マーク92と合致するかどうかを検査・確認し得る。このとき肉眼によっても十分に視認可能であるが、デジタル顕微鏡、マイクロスコープ等を使用し、遊技釘14と釘位置マーク92とのズレを検知するようにしてもよい。そして、例えば
図18に「OK」として示したように、釘位置マーク92が遊技釘14の釘頭円の範囲内に位置しておれば合格とし、「NG」として示したように、釘位置マーク92が遊技釘14の釘頭の円の範囲外に位置していると不合格とする。このように、釘位置マーク92を釘頭の円よりも小径の円で表示することにより、許容される一定の測定誤差を考慮したうえでの合否の判定が容易になる。
【0027】
図19~
図23は位置合わせ機構45の他の実施形態を示すもので、この実施形態では、前記実施形態と同一機能を果たす部分については前記
図5~
図9中の符号と同一符号を付すことによりその説明を割愛する。なお、この実施形態では、支軸55を左右に微動させるための左右動ダイヤル56が縦向きに軸支され、支軸55を上下に微動させるための上下動ダイヤル57が横向きに軸支される。即ち、この実施形態では、左右動ダイヤル56のダイヤル軸56bの外周、および、上下動ダイヤル57のダイヤル軸57bの外周にそれぞれ螺子溝を形成するとともに、箱状に形成された上下動体70に鉛直軸71を貫挿することで該上下動体70に該鉛直軸71に沿って上下動自在なるように支持し、該上下動体70にダイヤル軸57bを螺合するとともに、左右動体72に水平軸73を貫挿することにより該左右動体72を該上下動体70内にて該水平軸73に沿って左右動自在なるように支持し、該左右動体72に前記ダイヤル軸56bを螺合する。そして該左右動体72の背面に支軸55を突設し、該支軸55を52dから突出させる。このため、上下動ダイヤル57を回転操作すると上下動体70が上下動するにつれて支軸55が上下動し、左右動ダイヤル56を回転操作すると左右動体72が左右動するにつれて支軸55が左右動する。
このようにこの実施形態は、
図5~
図9に示した実施形態におけるウオームとウオームホイールとからなる直交伝動機構を無くすことにより構成を簡略化したものであり、該左右動ダイヤル56および上下動ダイヤル57を回転操作することにより、前記実施形態と同様に透明板40が微動し、基準マーク28a,28bと基準マーク93a,93bとを合致位置させられる。このためこのような位置合わせ機構を用いても、位置合わせの基が確かなものとなり、遊技釘の位置ズレを常に正確に測定・検査することが可能となる。
【0028】
なお、この実施形態では、内側透明板40の前面に釘位置表示シート90を貼り付けたが、
図24に示したように、内側透明板40の内面に釘位置表示シート90を貼り付けてもよい。また、外側透明板75については、同図に示したように合わせガラスでなく、単に紫外線カットフィルム78を裏面に貼り付け、該外側透明板75を閉じることで紫外線が遮断され、釘位置マーク92が見えなくなるようにしてもよい。
【0029】
なお、この実施形態では、釘位置マーク92を円形によって表示したが、円形に限らず遊技釘の位置を測定し易い表示形態を採ることができる。例えば、複数本の釘を隙間なく並べて固植した道釘と称される部分では、その釘頭を囲うような長円形を表示することで、その長円形をはみ出す釘頭の有無を測定するようにしてもよい。さらには、入賞口の両側に遊技球が通過し得るように固植された2本の遊技釘の正規に本来あるべき間隔を表示し、その表示と実際の遊技釘の間隔とを比較・測定し得るようにしてもよい。このように遊技釘の正規の位置を表示する形態には種々のバリエーションがあり得る。また、遊技球の入賞の成否に関わる重要な遊技釘だけを重点的に測定・確認できるようにした表示であってもよい。要するに、透明シート91にフォトクロミックインキにより印刷することにより、その表示が遊技者から見られるおそれはなくなるので、遊技釘を測定・検査するに必要な情報を所望に印刷することができる。
【0030】
また、フォトクロミックインキは紫外線が照射されることで発色し紫外線を遮断することで消色するという変化を可逆的に繰り返すが、発色により視認可能となる紫外線の強さはその物性によって一定でない。このため、透明シート91に印刷された遊技釘の位置情報は、ブラックライト80を使用しなくても紫外線を遮断する外側透明板75を開放するだけで見られるようになることもある。また、その反対に、あえて紫外線を遮断する外側透明板75を設けなくても通常の光では透明シート91に印刷された遊技釘の位置情報は見えることなく、ブラックライト80を用いて強い紫外線を照射したときにだけその位置情報が見られるようにすることも可能である。ただし、この実施形態で示したように、紫外線を遮断する外側透明板75を設けたり、ブラックライト80を使用することによっては、遊技釘の位置情報をより明確に非表示状態と表示状態に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0031】
10…遊技盤、 11…窓孔、 12a,12b…球誘導用レール、 13…遊技領域、 14…遊技釘、 15a~15d…取付孔、 21…アウト球排出口、 21a~21d…側枠部材、 22a,22b…遊嵌孔、 23…板バネ、 24…位置決孔、 25…ルーズクリップ、 26…凹窪部、 27…係合孔、 28a,28b…基準マーク、 40…内側透明板、 42…保持枠、 43…遊嵌部、 43a,43b…鉤状片、 44…ロック部、 45…位置合わせ機構、 46…垂下部、 47…縦長孔、 48…ロック片、 48a…軸部、 48b…摘子部、 48c…係合部、 49…クサビ部、 50a~50c…ビス、 51…板状止片、 52…ケース、 52a…軸受部、 52b…支持軸、 52c…ガイド孔、 52d…大径孔、 53…蓋体、 54a,54b…ビス、 55…支軸、 56…左右動ダイヤル、 56a…ダイヤル孔、 56b…ダイヤル軸、 56c…ウオーム、 56d…ウオームホイール、 56e…ピニオン、 57…上下動ダイヤル、 57a…ダイヤル孔、 57b…ダイヤル軸、 57c…ウオーム、 57d…ピニオン、 57e…ウオームホイール、 57′…Eリング、 61a,61b…成形部材、 61c…支持軸、 61d…軸受部、 62a,62b…ビス、 63…左右動組体、 63b…突縁、 63c…ラック歯、 63d…ガイド軸、 63e…長孔、 65…軸基枠、 65a…ラック歯、 65b…ガイド孔、 70…上下動体、 71…鉛直軸、 72…左右動体、 73…水平軸、 75…外側透明板、 75a…透明板材、 75b…ポリビニルブチラール膜、 75c…透明板材、 76…前面枠、 77…本体枠、 78…紫外線カットフィルム、 80…ブラックライト、 90…釘位置表示シート、 91…透明シート、 92…釘位置マーク、 93a,93b…基準マーク、 94…機種名、 95…偽造防止シール