(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】巻上げドラムおよびカーテン開閉装置
(51)【国際特許分類】
B66D 1/30 20060101AFI20220411BHJP
B66D 1/36 20060101ALI20220411BHJP
B66D 1/54 20060101ALI20220411BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20220411BHJP
E06B 9/64 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B66D1/30 A
B66D1/36 Z
B66D1/54 A
E06B9/56 A
E06B9/64
(21)【出願番号】P 2018021763
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】593036589
【氏名又は名称】株式会社アズマ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】田辺 誠
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164275(JP,A)
【文献】実開昭51-140954(JP,U)
【文献】特開平09-077478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00- 5/34
E06B 9/56- 9/92
A47H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸と、
前記主軸に固定され該主軸とともに回転する巻芯部と、
前記主軸に固定され該主軸とともに回転し、前記巻芯部を回転駆動する第1ワイヤが掛けられるプーリ部と、
を備え、
前記巻芯部は、
前記主軸方向にテーパー角を有する周壁と、
前記主軸方向に対して垂直方向に周回する凹状溝部を前記周壁に複数並べてなり、該周壁に巻上げた第2ワイヤの位置決めを行う巻回溝と、
前記巻回溝と交差して前記主軸方向に沿って延設され、該巻芯部を回転させることにより前記巻回溝の一の凹状溝部に巻回した前記第2ワイヤを隣接する他の凹状溝部に移動して巻回させる巻位置送り溝と、
前記第2ワイヤの一端部を固定する固定部と、
を備え、
前記プーリ部は、
前記巻芯部のテーパー小径側に配置され
、
前記巻位置送り溝は、
前記主軸方向に延設された略らせん状に形成され、
前記主軸方向の溝幅が、前記第2ワイヤの径よりも大きく、前記第2ワイヤの径の4倍までの大きさを有する、
ことを特徴とする巻上げドラム。
【請求項2】
請求項1に記載の巻上げドラムと、
前記巻上げドラムのプーリ部に掛けられた第1ワイヤの巻上げおよび送り出しを行って前記プーリ部を双方向に回転させるウインチと、
前記巻上げドラムの巻芯部に一端部を固定した第2ワイヤに張力を付与するように該第2ワイヤの他端部を固定するワイヤ固定部と、
カーテン材の端部に固定され、延設方向の端部を前記巻上げドラムと接続して前記カーテン材の巻上げおよび送り出しを前記巻上げドラムの回転に応じて行う巻上げ芯材と、
を備えたことを特徴とするカーテン開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ等の巻上げおよび送り出しを行う巻上げドラムと、当該巻上げドラムを用いてカーテンの開閉を行うカーテン開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一本の長尺ワイヤ等を巻上げる巻上げドラムは、乱雑にワイヤを当該ドラムに巻き付けることによって、十分な長さを巻き取ることができなくなることを防ぐため、ドラム形状の芯部材等にワイヤを誘導する巻回溝を設けている(例えば、特許文献1参照)。
この巻上げドラムは、一様な外径の芯部材を有しており、この芯部材の周面に1本のワイヤをらせん状に巻上げる巻回溝が形成されている。この巻回溝は、ワイヤを密着させて効率良く巻上げるように、例えば断面が略半円状に形成されており、また、らせん状に配置した1本の溝によって構成されている。このらせん状に設けられた巻回溝は、ワイヤが密着してらせん状に巻き取るように間隔をつめて形成されている。
【0003】
上記のように巻回溝を設けた巻上げドラムは、例えば高所に設けられている窓の遮光あるいは採光を調整する装置に使用されている。
具体的には、上記の窓にカーテンが備えられており、このカーテンをワイヤの送り出しあるいは巻上げによって開閉する開閉装置があり、この開閉装置に前述の巻上げドラムが用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-279649号公報
【文献】特開平7-289196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の巻上げドラムは、ワイヤを巻上げる芯部分に設けられた溝が当該ドラムの回転軸に対して斜めに傾いている。
上記のように、らせん状の溝を設けた場合、外部からワイヤをドラムへ引き寄せる向きと、当該ドラムにワイヤを巻き付ける向きが若干ずれることから、巻上げ途中のワイヤが溝から少しでも離脱すると、再び上記の溝に沿って巻上げることが困難になり、ワイヤが乱雑に重なる場合がある。
このようにワイヤが乱雑に重なり合って巻上げられると、ドラム回転中に巻上げ負荷が局部的に変動することになり、巻上げを安定継続させるためには大きな回転駆動力が必要になる。また、巻回されたワイヤを滑らかに引き出すことが難しくなり、乱雑に巻き上げることを繰り返すとワイヤの劣化を早めてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、ワイヤの巻上げを滑らかに行い、また、カーテン等の開閉動作を確実に行うことを可能にする巻上げドラムおよびカーテン開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る巻上げドラムは、主軸と、前記主軸に固定され該主軸とともに回転する巻芯部と、前記主軸に固定され該主軸とともに回転し、前記巻芯部を回転駆動する第1ワイヤが掛けられるプーリ部と、を備え、前記巻芯部は、前記主軸方向にテーパー角を有する周壁と、前記主軸方向に対して垂直方向に周回する凹状溝部を前記周壁に複数並べてなり、該周壁に巻上げた第2ワイヤの位置決めを行う巻回溝と、前記巻回溝と交差して前記主軸方向に沿って延設され、該巻芯部を回転させることにより前記巻回溝の一の凹状溝部に巻回した前記第2ワイヤを隣接する他の凹状溝部に移動して巻回させる巻位置送り溝と、前記第2ワイヤの一端部を固定する固定部と、を備え、前記プーリ部は、前記巻芯部のテーパー小径側に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、前記巻位置送り溝は、前記主軸方向に延設された略らせん状に形成され、前記主軸方向の溝幅が前記第2ワイヤの径に応じた大きさを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記巻位置送り溝は、前記巻回溝を有する周壁の形状ならびに寸法に対応させた径の溝に形成され、前記主軸方向の溝幅が前記第2ワイヤの径に応じた大きさを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るカーテン開閉装置は、上記の巻上げドラムと、前記巻上げドラムのプーリ部に掛けられた第1ワイヤの巻上げおよび送り出しを行って前記プーリ部を双方向に回転させるウインチと、前記巻上げドラムの巻芯部に一端部を固定した第2ワイヤに張力を付与するように該第2ワイヤの他端部を固定するワイヤ固定部と、カーテン材の端部に固定され、延設方向の端部を前記巻上げドラムと接続して前記カーテン材の巻上げおよび送り出しを前記巻上げドラムの回転に応じて行う巻上げ芯材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワイヤの巻上げおよび送り出しを円滑に行うことができ、ストレスを抑えてワイヤを巻上げ位置に誘導し、左右どちらの回転方向にも巻上げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例による巻上げドラムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の巻上げドラムがワイヤを巻上げた状態を示す説明図である。
【
図3】
図1のスマートドラムを使用したカーテン開閉装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
(実施例)
図1は、本発明の実施例による巻上げドラムの構成を示す説明図である。図示したスマートドラム(巻上げドラム)10は、均一な径を有する主軸21、後述する第2ワイヤを巻回する巻芯部12、後述する第1ワイヤを掛けるプーリ部16を備えて構成されている。
主軸11の先端にはプーリ部16が固定されており、プーリ部16に連設して巻芯部12が設けられている。
プーリ部16および巻芯部12は、いずれも主軸11と同一の中心軸上に設置されており、これらが一体回転するように固定されている。また、いずれの部分も上記中心軸に対して垂直な断面は真円に形成されている。
上記のプーリ部16は、巻芯部12のテーパー状小径側端部14に接して設けられている。
【0014】
巻芯部12は、主軸11の先端側から基端側へ向かって径が次第に大きくなるように形成されており、詳しくは、第2ワイヤの巻き取り芯となる円柱部分がテーパー状に形成され、当該円柱部分の延設方向、もしくは巻芯部12の回転軸方向にテーパー角を有している。
この巻芯部12のテーパー状に形成された周壁には、巻回溝17が設けられている。巻回溝17は、上記周壁のテーパー面において、巻芯部12の回転軸を垂直に横切るように設けられている。
即ち、巻芯部12の回転円周と同一方向に巻回溝17が形成されている。なお、この巻回溝17は、連通するらせん状に形成されたものではなく、前述のテーパー状の周壁を周回する溝、即ち不連続の凹状溝部を密に、あるいは適当な間隔を設けて複数個並べたものである。
【0015】
巻芯部12は、テーパー状の大径側の端部に、円状壁の鍔部13が設けられている。この鍔部13の所定位置には、前述の第2ワイヤの端部を挿通固定する挿通孔15が設けられている。なお、挿通孔15に相当する第2ワイヤの端部を固定する固定部を、例えば、巻芯部12のテーパー状小径側の適当な部位に設置してもよく、当該固定部を設ける位置は、上記の鍔部13に限定されない。
巻芯部12のテーパー状表面には、巻回溝17と共に巻位置送り溝18が形成されている。巻位置送り溝18は、スマートドラム10もしくは巻芯部12の表面において延設方向に沿って、即ち、巻回溝17と直交もしくは略直交する(交差する)ように設けられている。
【0016】
図1に例示した巻位置送り溝18は、巻芯部12の巻回溝17が形成されている部位の両端間において、当該巻芯部12のテーパー状の表面を、らせん状に延伸するように形成されている。即ち、全ての巻回溝17と交差するように巻位置送り溝18が設置されている。
また、巻芯部12に形成される巻位置送り溝18は、上記のらせん状に限定されず、巻回溝17を有する巻芯部12の形状(例えば、テーパー角度の大きさ、テーパー状表面の面形状等)や、当該巻芯部12の径寸法、スマートドラム10の回転軸(主軸)方向の寸法などに対応させた径の溝として形成したものであればよい。
即ち、巻回溝17に沿って巻回される第2ワイヤが、順次隣の巻回溝17へ移ることができる形状であれば、略らせん状、さらにスマートドラム10の回転軸(主軸)方向に延設された略直線状などでもよく、複数の溝形状を形成させたものでもよい。
【0017】
巻位置送り溝18は、溝内に巻回溝17が形成されておらず、即ち、巻回溝17の凹状溝部の無い滑らかな表面形状をしており、当該巻位置送り溝18の縁端部分で巻回溝17が途絶えるように構成されている。換言すると、巻位置送り溝18は、少なくとも巻回溝17と同等、もしくはそれ以上の溝深さを有している。
巻位置送り溝18の溝幅は、第2ワイヤの径よりも大きく設けられており、例えば、巻回溝17の4本分(概ね4倍)程度、換言すると、第2ワイヤの外径の4倍程度の幅員を有している。この巻位置送り溝18の溝幅は、例えば、スマートドラム10の回転軸(主軸)に沿った方向の寸法である。
【0018】
図2は、
図1の巻上げドラムがワイヤを巻上げた状態を示す説明図である。
図2に示したスマートドラム10は、図中上方からループ状の第1ワイヤ1をプーリ部16に掛け、図中下方から引き延ばされた第2ワイヤ2を巻芯部12に巻上げた状態を示している。
巻芯部12に巻回されている第2ワイヤ2の一端は、鍔部13の挿通孔15に挿通されている。挿通孔15に挿通された第2ワイヤ2の一端は、当該鍔部13の外側部分に引き出された部分に、例えば、スリーブ3が圧着されて鍔部13もしくはスマートドラム10に固定されている。
図中のスマートドラム10は、プーリ部16に掛けられた環状の第1ワイヤ1によって上方へ引き上げる張力が作用しており、第1ワイヤ1が環状に移動することによってプーリ部16が回転駆動される。
【0019】
上記のように第1ワイヤ1によってプーリ部16が駆動されると、当該プーリ部16と一体となって巻芯部12が回転し、鍔部13に一端を固定した第2ワイヤ2を下方から巻上げる。
第2ワイヤ2の巻上げは、鍔部13側から巻芯部12への巻き付けが開始され、巻回溝17の凹状溝部に収めるように当該第2ワイヤ2が順次巻上げられる。このとき、巻回溝17の一つの凹状溝部に沿って巻芯部12を一周した第2ワイヤ2は、先に巻回された部分に当接することにより、巻位置送り溝18が設けられた位置において隣の凹状溝部に移動して巻回される。
前述のように巻位置送り溝18をらせん状に形成すると、当該巻位置送り溝18の縁端部において、一の巻回溝17の凹状溝部が隣接する巻回溝17の凹状溝部よりも短く形成されたものとなる。
【0020】
そのため、第2ワイヤ2が巻回溝17の一の(任意のいずれかの凹状溝部に誘導されて巻回しているとき、巻位置送り溝18の溝部分において上記の誘導がなくなり、隣接する(テーパー状の小径側に配置されている)凹状溝部にずれて(移動して)巻回されることが生じ易くなる。
このように、第2ワイヤ2が巻芯部12に巻上げられるときには、テーパー状の大径側に配置されている巻回溝17(凹状溝部)から小径側に配置されている巻回溝17(凹状溝部)へ、巻位置送り溝18が設けられている位置において巻回位置がずれて、順次巻上げが行われる。
【0021】
図3は、
図1のスマートドラムを使用したカーテン開閉装置の概略構成を示す説明図である。この図は、例えば家畜の飼育舎などの建造物にカーテン開閉装置を設置した概略態様を示している。図示したカーテン開閉装置は、例えば布製のシート(カーテン材)101、シート101の下端部位に取り付けられる巻き芯パイプ(巻上げ芯材)103、シート101の下端を巻き芯パイプ103に固定するパッカー104を備えている。
また、前述の窓または開口部を覆うようにシート101を張った状態において、当該シート101の両側端を各々覆う袖カバー105を備えている。
シート101の上端部および各袖カバー105は、建造物の窓枠部分等、またはその近傍となる木ズリなどの構造体に、固定部材102を用いて取り付け固定されている。
また、シート101の揺れ等を抑える揺れ止めロープ106、巻き芯パイプ103の一端部に固定されたスマートドラム(巻上げドラム)10、スマートドラム10に巻回された第2ワイヤ(下引ワイヤ)2の一端を前述の壁部等に固定するワイヤ止め108を備えている。
【0022】
また、スマートドラム10ならびに巻き芯パイプ103を上下方向に移動させる第1ワイヤ(上引ワイヤ)1が掛けられた大滑車109、第1ワイヤ1の巻上げおよび送り出しを行うウインチ110を備えている。
ワイヤ止め108は、前述の窓枠もしくは開口部の下端部よりも下方の壁部等に固定されており、大滑車109は、シート101の上端部よりも上方の位置(例えば壁部あるいは天井部)に設置固定されている。
また、図示したウインチ110は、手動で第1ワイヤ1の巻上げ、または送り出しを行うように構成されたもので、操作者が容易に操作できる位置に、例えば建造物の壁部あるいは支柱などに固定されている。
【0023】
スマートドラム10は、主軸11の基端側を巻き芯パイプ103の左右何れかの端部に挿入し、当該スマートドラム10と巻き芯パイプ103が同一回転するように、ボルトおよびナット等を用いて固定されている。即ち、プーリ部16は、巻き芯パイプ103の延設方向外端側に配置され、前述のように第1ワイヤ1が掛けられている。
巻芯部12は、プーリ部16と巻き芯パイプ103との間に配置され、シート101全体を窓等の下端まで張った状態、即ち、窓等を全閉とした状態において、所定長さの第2ワイヤ2が巻回される大きさを有している。また、巻芯部12に巻上げられた第2ワイヤ2は、巻芯部12とワイヤ止め108との間において後述する張力が生じるように、第2ワイヤ2の下端がワイヤ止め108に固定されている。
【0024】
巻芯部12は、上記の鍔部13に第2ワイヤ2の一端を固定し、当該巻芯部12のテーパー状の大径側から小径側へ向かって第2ワイヤ2を巻回させている。
巻芯部12に巻回された第2ワイヤ2は、巻芯部12の小径側からワイヤ止め108へ向かって張設され、前述のように当該第2ワイヤ2の他端が固定されている。
ここで、スマートドラム10は、回転軸が水平となるように配置されているので、ワイヤ止め108は、巻芯部12から延びた第2ワイヤ2を巻き芯パイプ103に対して垂直下方へ引っ張る位置に、即ち、巻芯部12の直下に設置固定されていることが好ましい。
上記のようにスマートドラム10に巻回された第2ワイヤ2は、窓等を遮蔽するシート101に張力を付与するように備えられ、シート101の下端に対して下方へ(好ましくは真下へ)引っ張る力を加えている。
【0025】
前述のように第2ワイヤ2には下方へ、好ましくは真下へ向かって張力が作用していることから、後述するようにスマートドラム10を回転駆動してシート101の下端側を下方へ移動させ、第2ワイヤ2がスマートドラム10(巻芯部12)へ巻上げられる際には、この下方へ引っ張る張力によって巻回溝17に嵌る。さらにスマートドラム10の回転が継続すると、前述の張力が作用している第2ワイヤ2は、巻芯部12に巻き付く際に、順次、前述のように並べて配置されている巻回溝17の各凹状溝部によって位置決めされ、テーパー状大径側から小径側へ向かって巻き付けられて行く。
なお、テーパー状の周壁面に設けられた巻回溝17は、前述のようにスマートドラム10もしくは巻芯部12の回転軸に対して垂直に形成されていることから、当該スマートドラム10を左右どちらの方向に回転させた場合でも、巻回溝17によって位置決めを行いながら第2ワイヤ2を巻上げることが可能である。
【0026】
シート101の下端、即ち巻き芯パイプ103は、大滑車109に掛けられた第1ワイヤ1によって吊り上げ支持されている。第1ワイヤ1の一端は、ウインチ110において巻上げ可能に固定されており、他端は例えば大滑車109の構造体に設けられた第1ワイヤ固定部(図示省略)に固定されており。第1ワイヤ1は、大滑車109のコロ(図示省略)と第1ワイヤ固定部との間において下方に環状に張設され、この部分にスマートドラム10のプーリ部16が掛けられてシート101下端の巻き芯パイプ103を吊り上げ支持している。
【0027】
ウインチ110を操作して、第1ワイヤ1を当該ウインチ110に巻上げたときには、前述の大滑車109のコロと第1ワイヤ固定部との間の、第1ワイヤ12長さが短くなってスマートドラム10ならびに巻き芯パイプ103が上方へ引き上げられる。
また、前述のように大滑車109からプーリ部16に掛けられている環状の第1ワイヤ1の長さが短くなってスマートドラム10が引き上げられるときには、当該プーリ部16が回転駆動されて、シート101が下端側から巻き芯パイプ103に巻上げられる。
このように巻き芯パイプ103を上昇させてシート101を巻上げるときには、スマートドラム10が回転することによって巻芯部12から第2ワイヤ2が送り出される。
【0028】
また、ウインチ110を操作して、当該ウインチ110に巻上げられている第1ワイヤ1を送り出したときには、前述の大滑車109のコロと第1ワイヤ固定部との間の、第1ワイヤ1の長さが長くなって、スマートドラム10ならびに巻き芯パイプ103が下方へ下降する。
また、上記のように大滑車109からプーリ部16に掛けられている第1ワイヤ1の長さが長くなるときには、上記のコロと第1ワイヤ固定部との間の第1ワイヤ1の長さが短くなる場合と逆方向にプーリ部16が回転駆動され、巻上げられているシート101が巻き芯パイプ103の下降に伴って引き出され、窓等の面前に張り出される。
このように巻き芯パイプ103を下降させてシート101を引き出すときには、スマートドラム10が回転することによって、前述のように巻芯部12に第2ワイヤ2が巻き上げられて行く。
【0029】
以上のように本実施例によれば、スマートドラム10の巻芯部12に巻回溝17と交差する巻位置送り溝18を設けたので、巻芯部12に第2ワイヤ2が巻き上げられるとき、順次隣の巻回溝17に移動することが容易になり、第2ワイヤ2を凹凸なく揃えて巻回することができる。
【符号の説明】
【0030】
1第1ワイヤ
2第2ワイヤ
3スリーブ
10スマートドラム
11主軸
12巻芯部
13鍔部
14小径側端部
15挿通孔
16プーリ部
17巻回溝
18巻位置送り溝
100カーテン開閉装置
101シート
102固定部材
103巻き芯パイプ
104パッカー
105袖カバー
106揺れ止めロープ
108ワイヤ止め
109大滑車
110ウインチ