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  • 特許-多方向押圧型スイッチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】多方向押圧型スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/00 20060101AFI20220411BHJP
   H01H 25/06 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H01H25/00 N
H01H25/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018141154
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017465
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】趙 雲
(72)【発明者】
【氏名】川嶌 義之
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185001(JP,A)
【文献】特開2009-238707(JP,A)
【文献】特開平11-144567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00
H01H 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作つまみと、
前記操作つまみの揺動と一体に揺動し且つ前記操作つまみを単独で上下動するように保持する作動体と、
前記操作つまみの下面側に設置され、当該操作つまみの上下動によって動作される中央スイッチ接点と、
前記作動体の下面側に設置され、当該作動体の揺動によって動作される周辺スイッチ接点と、
前記中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点全体を覆うと共にその上に前記操作つまみ及び作動体を設置する防塵防滴部材と、
を具備し、
前記操作つまみによって前記防塵防滴部材を介して前記中央スイッチ接点を動作させ、一方前記作動体によって前記防塵防滴部材を介して前記周辺スイッチ接点を動作させ
さらに前記中央スイッチ接点と周辺スイッチ接点は、基台上に載置され、
前記作動体は、前記防塵防滴部材を挿通して前記基台に固定されることを特徴とする多方向押圧型スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の多方向押圧型スイッチであって、
前記作動体は、
前記操作つまみを上下動自在に保持するつまみ保持部と、
前記つまみ保持部の周囲の位置に設置され、前記周辺スイッチ接点を動作させる動作部と、
前記つまみ保持部及び動作部の周囲に設置され、前記防塵防滴部材を挿通して前記基台に固定される固定部と、
前記つまみ保持部及び動作部と前記固定部間を揺動自在に連結するヒンジ部と、
を具備して構成されていることを特徴とする多方向押圧型スイッチ。
【請求項3】
操作つまみと、
前記操作つまみの揺動と一体に揺動し且つ前記操作つまみを単独で上下動するように保持する作動体と、
前記操作つまみの下面側に設置され、当該操作つまみの上下動によって動作される中央スイッチ接点と、
前記作動体の下面側に設置され、当該作動体の揺動によって動作される周辺スイッチ接点と、
前記中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点全体を覆うと共にその上に前記操作つまみ及び作動体を設置する防塵防滴部材と、
を具備し、
前記操作つまみによって前記防塵防滴部材を介して前記中央スイッチ接点を動作させ、一方前記作動体によって前記防塵防滴部材を介して前記周辺スイッチ接点を動作させ、
さらに前記作動体は、
前記操作つまみを上下動自在に保持するつまみ保持部と、
前記つまみ保持部の周囲の位置に設置され、前記周辺スイッチ接点を動作させる動作部と、
前記つまみ保持部及び動作部の周囲に設置され、前記防塵防滴部材を挿通して基台に固定される固定部と、
前記つまみ保持部及び動作部と前記固定部間を揺動自在に連結するヒンジ部と、
を具備して構成されていることを特徴とする多方向押圧型スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみを押圧又は揺動することによって、異なるスイッチ接点を動作させる多方向押圧型スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオ機器、ゲーム機、車載用ナビゲーション機器、各種OA機器、各種リモコン装置、各種携帯機器などを操作するデバイスとして、多方向に揺動する操作つまみを備えた多方向押圧型スイッチが開発され使用されている。
【0003】
この種の多方向押圧型スイッチは、例えば特許文献1に示すように、操作つまみである揺動部材(40)を用意し、この揺動部材(40)の基部(41)の上に基部(41)の揺動と共に揺動するようにスイッチ作動部材(60)を取り付け、基部(41)下面に設けた1つの押圧部(45)とスイッチ作動部材(60)下面に設けた4つの押圧部(65)にそれぞれ対向する位置にスイッチ接点(23),(24)を配置し、揺動部材(40)を直立位置にて下方向に押圧すると押圧部(45)がスイッチ接点(23)を押圧(オン)し、揺動部材(40)を揺動するとスイッチ作動部材(60)も揺動して下降した側の押圧部(65)がスイッチ接点(24)を押圧(オン)する構成に構成されている。さらに上記各部材は、上下ケース(80),(10)内に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-144567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す従来の多方向押圧型スイッチにおいては、液体や粉塵など(以下「液体など」という)の浸入を防止する防滴構造を具備していない。このため、例えば上ケース(80)の貫通孔(81)と揺動部材(40)のレバー(43)の間の隙間からその内部に浸入した液体などは、容易に各スイッチ接点(23),(24)上に到達し、その電気的機能を阻害(例えば接触不良など)する虞があった。
【0006】
上記問題を解決するため、例えば各スイッチ接点(23),(24)を設置したフレキシブルスイッチ基板(20)の上面に、防滴用の樹脂フィルムを貼り付ける方法も考えられる。しかし、貼り付けた樹脂フィルムは、フレキシブルスイッチ基板(20)との間に隙間が生じて剥離し易く、防滴効果が確実とは言えない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、容易且つ確実に、スイッチ接点の防滴を図ることができる多方向押圧型スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、操作つまみと、前記操作つまみの揺動と一体に揺動し且つ前記操作つまみを単独で上下動するように保持する作動体と、前記操作つまみの下面側に設置され、当該操作つまみの上下動によって動作される中央スイッチ接点と、前記作動体の下面側に設置され、当該作動体の揺動によって動作される周辺スイッチ接点と、前記中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点全体を覆うと共にその上に前記操作つまみ及び作動体を設置する防塵防滴部材と、を具備し、前記操作つまみによって前記防塵防滴部材を介して前記中央スイッチ接点を動作させ、一方前記作動体によって前記防塵防滴部材を介して前記周辺スイッチ接点を動作させ、さらに前記中央スイッチ接点と周辺スイッチ接点は、基台上に載置され、前記作動体は、前記防塵防滴部材を挿通して前記基台に固定されることを特徴としている。
本発明によれば、防塵防滴部材を、中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点全体を覆うように設置したので、これら中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点を容易且つ確実に防塵防滴することができる。
【0009】
また本発明によれば、作動体と基台に対する防塵防滴部材の設置位置の位置ずれを防止することができる。
【0010】
また本発明は、上記特徴に加え、前記作動体は、前記操作つまみを上下動自在に保持するつまみ保持部と、前記つまみ保持部の周囲の位置に設置され、前記周辺スイッチ接点を動作させる動作部と、前記つまみ保持部及び動作部の周囲に設置され、前記防塵防滴部材を挿通して前記基台に固定される固定部と、前記つまみ保持部及び動作部と前記固定部間を揺動自在に連結するヒンジ部と、を具備して構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、作動体のつまみ保持部及び動作部の周囲に設置された固定部によって、防塵防滴部材を固定する構成なので、作動体と基台に対する防塵防滴部材の設置位置の位置ずれを確実に防止することができる。
同時に、つまみ保持部及び動作部と固定部とをヒンジ部によって連結したので、つまみ保持部及び動作部の揺動を容易且つ確実に行うことができると同時に、つまみ保持部及び動作部を揺動させるための別部品を用意する必要も無く、構成の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易且つ確実に、スイッチ接点の防滴を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】多方向押圧型スイッチ1の斜視図である。
図2】多方向押圧型スイッチ1の分解斜視図である。
図3】作動体10と操作つまみ30と防塵防滴部材50とを下側から見た斜視図である。
図4】多方向押圧型スイッチ1の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態に係る多方向押圧型スイッチ1の斜視図、図2は多方向押圧型スイッチ1の分解斜視図、図3は多方向押圧型スイッチ1を構成する部品の内の作動体10と操作つまみ30と防塵防滴部材50とを下側から見た斜視図、図4は多方向押圧型スイッチ1の概略断面図(図1のA-A概略断面図)である。これらの図に示すように、多方向押圧型スイッチ1は、作動体10と操作つまみ30と防塵防滴部材50とスイッチ接点固定シート70とスイッチ基板90と基台110とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは防塵防滴部材50から作動体10側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0014】
作動体10は、合成樹脂の成形品であり、中央に形成されたつまみ保持部11と、つまみ保持部11の外周下面に形成された4つの動作部13と、つまみ保持部11の外周に連結される薄板状のヒンジ部15と、ヒンジ部15の所定位置から下方向に向かって突出する4つの固定部17とを、一体に成形して構成されている。
【0015】
つまみ保持部11は、内部が空洞の略円錐台形状であり、その上部中央に矩形状に貫通するつまみ挿通孔19を形成している。つまみ保持部11の内面側には、円周方向に等間隔に4つ(図3では3つのみ示す)の平板状の突起21が設けられている。各突起21の下方には、下記する操作つまみ30の位置決め突起37を挿入する凹状の位置決め凹部23(図3では2つのみ示す)が形成されている。
【0016】
動作部13は、つまみ保持部11の外周辺近傍下面の、周方向に等間隔な4つの位置から下方向に向けて小突起状に突出して形成されている。
【0017】
ヒンジ部15は、前記つまみ保持部11の前記各動作部13を設けた部分の外周位置から半径方向外方に向けて直線状(放射状)に突出する4本の平板状の突出部15aと、各突出部15aの先端をリング状に連結する平板状の環状部15bとを具備して構成されている。
【0018】
固定部17は、環状部15bの各突出部15aを連結する中間位置に設けられ、環状部15bの下面から下方向に突出する円柱状の固定部本体17aと、固定部本体17aの下面から突出する小突起状の基台挿入部17bとを具備して構成されている。
【0019】
操作つまみ30は、合成樹脂の成形品であり、略円板状のつまみ基部31と、つまみ基部31上に突出する略四角柱状のつまみ部33と、つまみ基部31の下面中央から下方向に突出する小突起状の動作部35とを、一体成形して構成されている。つまみ基部31の外周からは、矩形で小突起状の位置決め突起37が等間隔に4つ突出している。位置決め突起37は、前記作動体10の位置決め凹部23内に挿入され、位置決め突起37の先端辺が位置決め凹部23内の側面に当接することで、回転方向のがたつきを防止する。
【0020】
防塵防滴部材(防塵防滴シート)50は、弾性材(この例ではシリコンゴム)を略平板状に成形して構成されている。防塵防滴部材50の中央部分は、円錐台形状に上方向に突出する突出部51となっており、その下面側の円形の凹部は、スイッチ接点収納部53となっている。スイッチ接点収納部53の内底面(突出部51の下面)には、その中央と、その中央を等間隔に囲む4か所とに、それぞれ小突起状のスイッチ接点押圧部55,57が形成されている。スイッチ接点押圧部55は、前記操作つまみ30の動作部35に対向する位置に設けられ、また4つのスイッチ接点押圧部57は、前記作動体10の各動作部13に対向する位置に設けられている。一方、防塵防滴部材50の外周を囲む部分には、矩形状に囲むように上方向に突出する突出部(壁部)59が形成されている。突出部59の上端面は平面状となっていて、この実施形態では外装ケース当接部59aとなっている。防塵防滴部材50の突出部51の外側で、突出部59の内側の面には、円周状に等間隔に4つの円形の小孔からなる挿通部61が形成されている。各挿通部61は、前記作動体10の各基台挿入部17bに対向する位置に、各基台挿入部17bの外径寸法とほぼ同じで、固定部本体17aの外径寸法より小さい寸法で形成されている。また、防塵防滴部材50の突出部51と突出部59の間は凹部63となっている。なお、この実施形態では、防塵防滴部材50としてゴム材を用いたが、他の各種弾性材を用いて構成しても良い。
【0021】
スイッチ接点固定シート70は、可撓性を有する樹脂フィルムを円板状に形成して構成されており、その下面には接着層が形成されている。スイッチ接点固定シート70の外径寸法は、下記するスイッチ基板90上に設置する全てのスイッチ接点93,95を覆う寸法に形成されている。
【0022】
スイッチ基板90は、可撓性を有する合成樹脂フィルム91上に、1つの中央スイッチ接点93と、中央スイッチ接点93の周囲を囲むように等間隔に配置された4つの周辺スイッチ接点95とを設置して構成されている。各スイッチ接点93,95は、合成樹脂フィルム91上に形成した図示しない接点パターン上に、略ドーム形状の弾性金属板からなる接点板93a,95aを載置して構成されている。中央スイッチ接点93は、前記操作つまみ30の動作部35に対向する位置に設置され、各周辺スイッチ接点95は、それぞれ作動体10の各動作部13に対向する位置に設置されている。一方、合成樹脂フィルム91の前記各スイッチ接点95を囲む位置には、4つの小孔からなる挿通部97が形成されている。各挿通部97は、作動体10の各基台挿入部17bに対向する位置に、各基台挿入部17bの外径寸法とほぼ同じで、固定部本体17aの外径寸法より小さい寸法で形成されている。なおこの実施形態では、スイッチ基板90としてフレキシブルスイッチ基板を用いたが、硬質のスイッチ基板を用いても良い。
【0023】
基台110は、硬質板製であり、この実施形態では金属板によって構成されており、その所定位置には4つの小孔からなる挿通部111を形成している。各挿通部111は、作動体10の各基台挿入部17bに対向する位置に、各基台挿入部17bの外径寸法とほぼ同じで、固定部本体17aの外径寸法より小さい寸法で形成されている。なお、基台110の材質は金属板に限られず、合成樹脂板など、他の各種材質を用いて構成しても良い。また前記スイッチ基板90として硬質のスイッチ基板を用いる場合は、基台110は省略しても良い。この場合は、硬質のスイッチ基板が基台を兼用する。
【0024】
多方向押圧型スイッチ1を組み立てるには、まず予め、スイッチ基板90の上面に、全てのスイッチ接点93,95を覆うように、スイッチ接点固定シート70を貼り付け、各接点板93a,95aを合成樹脂フィルム91上に固定しておく。
【0025】
そして、作動体10のつまみ保持部11の下面側に操作つまみ30を設置し、その際つまみ部33をつまみ挿通孔19に挿通してつまみ保持部11の上面側に突出させる。このとき、つまみ基部31の上面が突起21の下側辺に当接することで操作つまみ30の上方向への移動を規制している。また前述のように、操作つまみ30の4つの位置決め突起37は、作動体10の位置決め凹部23内に挿入され、位置決め突起37の先端辺が位置決め凹部23内の側面に当接することで、回転方向のがたつきを防止する。
【0026】
次に、前記操作つまみ30を装着した作動体10の下面側に、防塵防滴部材50と、前記スイッチ接点固定シート70を貼り付けたスイッチ基板90と、基台110とを設置し、その際、作動体10の各基台挿入部17bを、防塵防滴部材50の各挿通部61と、スイッチ基板90の各挿通部97と、基台110の挿通部111とに挿通し、基台110の下面から突出した各基台挿入部17bの先端を熱カシメして固定する。これによって、多方向押圧型スイッチ1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0027】
そして、操作つまみ30のつまみ部33を真下方向に向けて押圧すれば、作動体10のつまみ保持部11に対して操作つまみ30だけが下降し、その動作部35が防塵防滴部材50のスイッチ接点押圧部55の背面側を押圧し、これによってスイッチ接点押圧部55が下降して中央スイッチ接点93を押圧し、その接点板93aを反転してスイッチがオンする。前記つまみ部33への押圧を解除すれば、前記接点板93aはその弾性復帰力によって元の形状に自動復帰し、そのスイッチはオフする。
【0028】
次に、前記操作つまみ30のつまみ部33を、作動体10の何れかの動作部13がある方向(例えば図4のB方向)に向けて揺動させると、この操作つまみ30と作動体10のつまみ保持部11とが一体になって揺動し、下降した側の動作部13が防塵防滴部材50のスイッチ接点押圧部57の背面側を押圧し、これによってスイッチ接点押圧部57が下降して周辺スイッチ接点95を押圧し、その接点板95aを反転してスイッチがオンする。前記つまみ部33の揺動を解除すれば、前記接点板95aの弾性復帰力と、前記揺動によって撓んだヒンジ部15の弾性復帰力とによって、操作つまみ30とつまみ保持部11は元の形状に自動復帰し、そのスイッチはオフする。
【0029】
以上説明したように、多方向押圧型スイッチ1は、操作つまみ30と、操作つまみ30の揺動と一体に揺動し且つ操作つまみ30を単独で上下動するように保持する作動体10と、操作つまみ30の下面側に設置され、操作つまみ30の上下動によって動作される中央スイッチ接点93と、作動体10の下面側に設置され、作動体10の揺動によって動作される周辺スイッチ接点95と、中央スイッチ接点93及び周辺スイッチ接点95全体を覆うと共にその上に操作つまみ30及び作動体10を設置する防塵防滴部材50と、を具備し、操作つまみ30によって防塵防滴部材50を介して中央スイッチ接点93を動作させ、一方作動体10によって防塵防滴部材50を介して周辺スイッチ接点95を動作させる構造に構成されている。
【0030】
そして上記のように構成された多方向押圧型スイッチ1において、その上面側から液体などが浸入してきた場合、隙間となっている各部分からスイッチ基板90に向けて当該液体などが浸入しようとするが、この多方向押圧型スイッチ1においては、スイッチ基板90上に中央スイッチ接点93及び周辺スイッチ接点95全体を覆う防塵防滴部材50を設置しているので、これら中央スイッチ接点93及び周辺スイッチ接点95は容易且つ確実に防塵防滴される。
【0031】
また、この多方向押圧型スイッチ1は、例えば図4に一点鎖線で示すように、その上部が外装ケース130によって覆われ、外装ケース130に設けた開口131からつまみ部33が突出するように設置される。このとき、図4に示すように、外装ケース130の下面から矩形筒状に突出する側壁部133の先端辺(下端辺)を、防塵防滴部材50の突出部59上面の外装ケース当接部59aに当接させれば、前記開口131とつまみ部33の間から浸入した液体などが、防塵防滴部材50の突出部59を越えて、その下面側、即ち装置の内部側に浸入していくことを防止できる。なお、前記開口131から浸入した液体などは、防塵防滴部材50の突出部51と突出部59の間の凹部63内に溜まり、この位置から移動しない。そして液体の場合は蒸発し、粉塵の場合はそのまま凹部63に溜まる。即ち、突出部59は、この防塵防滴部材50の外方に液体などが流出していくのを防止する防波堤の役目も有している。なお、防塵防滴部材50に突出部59の部分を設けず、突出部59の内側までその外形寸法を小さくすると共に、外装ケース130の側壁部133の先端辺(下端辺)を当該側壁部133の下まで広げたスイッチ接点固定シート70(またはスイッチ基板90)に直接当接させる構成とした場合、スイッチ接点固定シート70(またはスイッチ基板90)には防塵防滴部材50のような弾力性(ゴム弾性)が無いので、両者の当接面間に隙間が生じる虞があり、確実な密閉性を維持できなくなる虞がある。従って、防塵防滴部材50の外周部分(必ずしも突出部59のように突出していなくて平板状のままでも良い)を、外装ケース130の側壁部133の先端辺に弾接しておけば、確実な密閉性を維持でき、好適となる。
【0032】
また、上記多方向押圧型スイッチ1は、中央スイッチ接点93と周辺スイッチ接点95を、基台110上に載置し、且つ作動体10を防塵防滴部材50を挿通して基台110に固定する構成としたので、言い換えれば、作動体10のつまみ保持部11及び動作部13の周囲に設置された固定部17によって、防塵防滴部材50を固定する構成としたので、作動体10と基台110に対する防塵防滴部材50の設置位置の位置ずれを確実に防止することができる。同時に、つまみ保持部11及び動作部13と固定部17とをヒンジ部15によって連結したので、つまみ保持部11及び動作部13の揺動を容易且つ確実に行うことができると同時に、つまみ保持部11及び動作部13を揺動させるための別部品を用意する必要も無く、構成の簡素化を図ることができる。
【0033】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、周辺スイッチ接点の数を4つとしたが、1つまたは4つ以外の複数個であっても良い。また中央スイッチ接点及び周辺スイッチ接点全体を覆う防塵防滴部材の形状なども種々の変形が可能である。また、上記記載は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 多方向押圧型スイッチ
10 作動体
11 つまみ保持部
13 動作部
15 ヒンジ部
17 固定部
30 操作つまみ
50 防塵防滴部材
70 スイッチ接点固定シート
90 スイッチ基板
93 中央スイッチ接点
95 周辺スイッチ接点
110 基台
図1
図2
図3
図4