(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】横引きスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/06 20060101AFI20220411BHJP
E06B 9/52 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
E06B9/06 620G
E06B9/52 N
(21)【出願番号】P 2018179022
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】橋間 康祐
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 洋一
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-88736(JP,A)
【文献】特開2003-161089(JP,A)
【文献】特開2007-154425(JP,A)
【文献】特開2018-3546(JP,A)
【文献】特開2005-23578(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1529853(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06- 9/18
9/40- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設置するためのスクリーン装置の外枠を形成するスクリーン枠と、該スクリーン枠に組み付けて操作框により横引きで開閉自在に形成した展張可能なスクリーン及び該スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするスライドレールを備えた内部ユニットとにより構成された横引きスクリーン装置であって、
上記スクリーン枠には、その上辺の上枠に沿って、上記スクリーンが、該上枠の一端に配設した側枠に対向配置する支持部材と上記操作框との間に、該操作框の横引きで開閉操作可能に張設され、上記側枠に対向させた支持部材は、該側枠に対し着脱自在に係合固定可能にして、それらの間に上記内部ユニットのスライドレールを下部から導出入可能に収容するガイド収容空間を形成させ、
一方、上記スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするスライドレールは、上記スクリーンの下端部を受ける短寸溝形のガイド駒の多数を、隣接する該ガイド駒の連接部を相互に回転可能に連接することにより長溝状に構成し、該スライドレールの一端を前記操作框の下端に連結すると共に、その他端を、上記側枠と上記支持部材との間のガイド収容空間に、その下端から上方に湾曲して挿通可能に形成し、且つ、上記ガイド駒にはその両側部にガイド突子を突設し、上記ガイド収容空間内には該ガイド突子を摺接させて上記ガイド駒を上記ガイド収容空間に所要の経路に沿って導出入させるガイド面を形設し、
上記支持部材におけるガイド面に沿って上記スライドレールを上記ガイド収容空間の内端まで挿入すると共に、該支持部材、スクリーン及び操作框を互いに組み付けた状態の内部ユニットは、それらが建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠に装脱可能な大きさに形成されている、
ことを特徴とする横引きスクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横引きスクリーン装置において、
上記スクリーン枠における上記支持部材を当接させる上記側枠と該支持部材とが、それらを相互に当接固定したときに、該側枠と該支持部材との間の空間が上記スライドレールを挿通するための所要の上記ガイド収容空間になるように位置決めする当接面を有するものとして構成されている、
ことを特徴とする横引きスクリーン装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の横引きスクリーン装置において、
上記操作框の下端面、及び該操作框の下端に連結したスライドレールのガイド駒の下面が前記スクリーンの開閉に伴って摺動する建物開口部の下枠上に、該操作框及びスライドレールのガイド駒の摺動をガイドする薄帯状の下レールを敷設し、上記操作框の下端面及びガイド駒の下面に、該下レールに跨乗して摺動させるための凹溝を設けている、
ことを特徴とする横引きスクリーン装置。
【請求項4】
請求項3に記載の横引きスクリーン装置において、
上記建物開口部の下枠上において、操作框がスクリーンの収納位置から該スクリーンの展張を始める位置までの範囲に敷設している上記下レールを、第1レール部とし、上記第1レール部を越えた部位から上記操作框がスクリーンの展張位置に達するまでの範囲の上記下レールを第2レール部とし、
上記第1レール部は、前記ガイド駒が前記ガイド収容空間のガイド面に沿って移動する範囲を除き、薄帯状のレール本体の側面上部に鈎形係合凸条を突出させて、前記ガイド収容空間からその下方に導出されるガイド駒の下面の両側部に設けられた鈎形突部が上記鈎形係合凸条に係合することにより、その第1レール部上にある操作框及びガイド駒は該第1レール部から離脱することがなく、
一方、上記第2レール部は、薄帯状のレール本体の側面上部に鈎形弱係合凸条を突出させているが、該鈎形弱係合凸条は操作框の下端面における上記鈎形突部に確実に係合する程度の突出量がなく、操作框を係合位置のずれによって第2レール部から離脱可能なものであり、また、該鈎形弱係合凸条は、ガイド駒の多数が連接されている状態ではそれらが第2レール部から離脱し難いが、少数のガイド駒の鈎形突部しか第2レール部に係合していなければ、ガイド駒の進行方向の横ずれによって第2レール部から離脱可能なものとして構成され、
これにより、支持部材、スクリーン及び操作框を互いに組み付けた状態の内部ユニットが建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠からの離脱を防止する離脱防止機構が構成されている、
ことを特徴とする横引きスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横引きで開閉するスクリーンの下端部を保持してガイドするスライドレールを備え、該スライドレールがスクリーンの開閉に応じてスクリーン枠の一方の側枠の下端部からその側枠内に出入りする構成を備えたバリアフリー形のものにおいて、建物開口部に設置するスクリーン枠に対し、内部ユニットの組み付けやそのメンテナンス等のための着脱を容易にした横引きスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーンを交互に逆方向に折り返すことにより伸展自在とし、それを横引きにより開閉自在にしたスクリーン装置において、該スクリーンの開閉に応じて、該スクリーンの下端部をガイドするスライドレールを、該スクリーンの開閉方向の少なくとも一端側に配設した框材の下端部からその内部に出入りさせることにより、張設状態にある上記スクリーンの下端部に沿って導出入させるようにしたものは、例えば、特許文献1や特許文献2において既に開示されている。このようなスクリーン装置は、スクリーンの収納時に該スライドレールもスクリーンの張設位置から框材内に収納され、それによってスクリーンの収納時に該スクリーン装置の設置位置がバリアフリー化されるという利便性があることからも、各種の建築物において多用されている。
【0003】
而して、この種のスライドレールを備えたスクリーン装置は、それを建物開口部に容易且つ安価に設置可能にするばかりでなく、そのメンテナンス性を向上させるために各部の構造の簡易化等を図るなどの必要があるが、それ以前に、スクリーン装置の外枠を形成する前記スクリーン枠や、該スクリーン枠内に収める各種の内部ユニットの組み付け、それらのメンテナンス等のための内部ユニットの取り外しも、容易且つ簡易であることが必要であり、しかしながら、必ずしも満足できる構成のものとして提案されていないのが現状である。
【0004】
特に、上記既知のスクリーン装置においては、建物開口部に直接的に設置するスクリーン枠に対して、該スクリーン枠内に収めるスライドレール等を含む内部ユニットが、スクリーンの開閉動作に伴って相対的に複雑に変位するので、該スライドレールを含む内部ユニットが、各種部品と干渉することなくスクリーンの下端部をガイドするようにし、しかも、該スクリーン装置のメンテナンスのための内部ユニットの取り出しや、それらの組み付けをも簡単且つ容易であるものとして構成することが望まれる。また、そのような構成を採用するに当たって、補助部品等を用いたりしてスクリーン枠の見付寸法の増加をも抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-23578号公報
【文献】特開2005-36518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、横引きで開閉するスクリーンの下端部を保持してガイドするスライドレールを備えた上述の横引きスクリーン装置において、上記問題点を解決した製品を提供することにあり、更に具体的には、上記横引きスクリーン装置において、建物開口部に固定的に設置されるスクリーン枠に対し、該スクリーン枠内に収めるスライドレール等を含む内部ユニットを、他の部品と干渉することがないような態様で容易に組み付けて安定的に動作させることができ、また、それらのメンテナンスのための解体をも容易に行えるようにした横引きスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部に設置するためのスクリーン装置の外枠を形成するスクリーン枠と、該スクリーン枠に組み付けて操作框により横引きで開閉自在に形成した展張可能なスクリーン及び該スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするスライドレールを備えた内部ユニットとにより構成された横引きスクリーン装置であって、下記の特徴的構成を備えた横引きスクリーン装置が提供される。
このような構成、特に、本発明に係る横引きスクリーン装置が、スクリーン装置の外枠を形成するスクリーン枠と、該スクリーン枠に組み付けて操作框により横引きで開閉されるスクリーン及び該スクリーンの下端部をガイドするスライドレールを備えた内部ユニットとの2要素を主体として構成されていることが、上記課題の解決のために有効な基本的構成である。
【0008】
本発明における上記特徴的構成の一つは、まず、上記スクリーン枠に、その上辺の上枠に沿って、上記スクリーンが、該上枠の一端に配設した側枠に対向配置する支持部材と上記操作框との間に、該操作框の横引きで開閉操作可能に張設され、上記側枠に対向させた支持部材は、該側枠に対し着脱自在に係合固定可能にして、それらの間に上記内部ユニットのスライドレールを下部から導出入可能に収容するガイド収容空間を形成させた点にある。
【0009】
また、本発明における上記スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするスライドレールは、上記スクリーンの下端部を受ける短寸溝形のガイド駒の多数を、隣接する該ガイド駒の連接部を相互に回転可能に連接することにより長溝状に構成しているが、本発明の特徴的構成として、該スライドレールの一端を前記操作框の下端に連結すると共に、その他端を、上記側枠と上記支持部材との間のガイド収容空間に、その下端から上方に湾曲して挿通可能に形成し、且つ、上記ガイド駒にはその両側部にガイド突子を突設し、上記ガイド収容空間内には該ガイド突子を摺接させて上記ガイド駒を上記ガイド収容空間に所要の経路に沿って導出入させるガイド面を形設している。
【0010】
更に、本発明においては、上記支持部材におけるガイド面に沿って上記スライドレールを上記ガイド収容空間の内端まで挿入すると共に、該支持部材、スクリーン及び操作框を互いに組み付けた状態の内部ユニットは、それらが建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠に装脱可能な大きさに形成される。
【0011】
本発明に係る上記横引きスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーン枠における上記支持部材を当接させる上記側枠と該支持部材とが、それらを相互に当接固定したときに、該側枠と該支持部材との間の空間が上記スライドレールを挿通するための所要の上記ガイド収容空間になるように位置決めする当接面を有するものとして構成される。
【0012】
本発明に係る上記横引きスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記操作框の下端面、及び該操作框の下端に連結したスライドレールのガイド駒の下面が前記スクリーンの開閉に伴って摺動する建物開口部の下枠上に、該操作框及びスライドレールのガイド駒の摺動をガイドする薄帯状の下レールを敷設し、上記操作框の下端面及びガイド駒の下面に、該下レールに跨乗して摺動させるための凹溝が設けられる。
【0013】
また、本発明に係る上記横引きスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記建物開口部の下枠上において、操作框がスクリーンの収納位置から該スクリーンの展張を始める位置までの範囲に敷設している上記下レールを、第1レール部とし、上記第1レール部を越えた部位から上記操作框がスクリーンの展張位置に達するまでの範囲の上記下レールを第2レール部とし、上記第1レール部は、前記ガイド駒が前記ガイド収容空間のガイド面に沿って移動する範囲を除き、薄帯状のレール本体の側面上部に鈎形係合凸条を突出させて、前記ガイド収容空間からその下方に導出されるガイド駒の下面の両側部に設けられた鈎形突部が上記鈎形係合凸条に係合することにより、その第1レール部上にある操作框及びガイド駒は該第1レール部から離脱することがないものとして構成される。
【0014】
更に、上記第2レール部は、薄帯状のレール本体の側面上部に鈎形弱係合凸条を突出させているが、該鈎形弱係合凸条は操作框の下端面における上記鈎形突部に確実に係合する程度の突出量がなく、操作框を係合位置のずれによって第2レール部から離脱可能なものであり、また、該鈎形弱係合凸条は、ガイド駒の多数が連接されている状態ではそれらが第2レール部から離脱し難いが、少数のガイド駒の鈎形突部しか第2レール部に係合していなければ、ガイド駒の進行方向の横ずれによって第2レール部から離脱可能なものとして構成され、これにより、支持部材、スクリーン及び操作框を互いに組み付けた状態の内部ユニットが建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠からの離脱を防止する離脱防止機構が構成される。
【0015】
上記構成を有する横引きスクリーン装置を建物開口部に設置するに際しては、予めその横引きスクリーン装置を設置しようとする建物開口部に、該スクリーン装置の外枠を形成するスクリーン枠を取り付けておき、続いて、該上枠の一端に配設した側枠に対向配置する支持部材と上記操作框との間に、該操作框の横引きで開閉操作可能にしたスクリーンが張設され、且つ、該操作框の下端に連結したところの上記スクリーンの下端部の展張をガイドするスライドレールを、そのガイド駒の両側部に突設したガイド突子を上記支持部材に設けたガイド面に摺接させることにより、上記支持部材に対して、スクリーン、操作框及びスライドレール等からなる内部ユニットを組み付け、該内部ユニットを上記スクリーン枠に対する組み付け準備状態に保持させる。
【0016】
この内部ユニットの組み付け準備状態では、上記内部ユニットが建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠に対して装着可能な大きさに形成され、そのため、建物開口部に予め取り付けておいたスクリーン枠に内部ユニットを容易に装着することができる。また、この状態で、上記スクリーン枠内に嵌め込んだ内部ユニットの支持部材を、上記スクリーン枠の上枠の一端に取り付けられている側枠に当接させて固定することにより、上記内部ユニットはスクリーン枠に位置決めして係止固定され、これにより、該支持部材と上記スクリーン枠の側枠との間に、スライドレールを挿通するための所定のガイド収容空間が形成される。
【0017】
このようにして建物開口部のスクリーン枠に内部ユニットを取り付けると、操作框を操作することにより、該スクリーンの開閉を自由に行うことができる。また、このようにして設置した横引きスクリーン装置に何らかの異状が発生して、メンテナンスの必要が生じたときには、操作框の操作により内部ユニットを一旦前記収納位置に、つまり、内部ユニットの組み付け準備状態に保ち、その状態で、スクリーン枠内に嵌め込んだ内部ユニットの支持部材を上記スクリーン枠の側枠から離脱させたうえで、該内部ユニットの操作框及びスライドレールをスクリーン枠の第2レール部上に位置させると、該操作框及びスライドレールは下レールの第2レール部から容易に離脱可能になっているので、内部ユニットは下レールから容易に離脱することができ、この状態でスライドレールを前記ガイド収容空間から引き出せば、内部ユニットの各部を容易に保守点検、または修理することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上に詳述した本発明の横引きスクリーン装置によれば、横引きで開閉するスクリーンの下端部を保持してガイドするスライドレールを備えた上述の横引きスクリーン装置において、上記問題点を解決した製品を提供することにあり、更に具体的には、上記横引きスクリーン装置において、建物開口部に固定的に設置されるスクリーン枠に対し、該スクリーン枠内に収めるスライドレール等を含む内部ユニットを、他の部品と干渉することがないような態様で容易に組み付けて安定的に動作させることができ、また、それらのメンテナンスのための解体をも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る横引きスクリーン装置の実施例におけるスクリーン収納状態の構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】同実施例におけるスクリーンの半展張状態を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図3の状態にあるスクリーン装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【
図5】スクリーン枠に対する内部ユニットの組み込み態様を示す模式的説明図である。
【
図6】
図5に示す態様での内部ユニットの組み込みを完了した状態を示す模式的説明図である。
【
図7】(a)は、支持部材に対してスライドガイドの組み付けを開始する状態を示す斜視図、(b)は上記組み付けを更に進行させた状態の斜視図である。
【
図9】(a)~(d)は、建物開口部の下辺に設置する下レールとその上を移動する操作框の下端面及びガイド駒の下面の凹溝との係合の態様を示す横断面図で、(a)は、下レールの第1レール部と操作框の凹溝との係合関係を、(b)は、同第1レール部とガイド駒の凹溝との係合関係を、(c)は、同第2レール部と操作框の凹溝との係合関係を、(d)は、同第2レール部とガイド駒の凹溝との係合関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~
図4は、本発明に係る横引きスクリーン装置の実施例の概要を示し、
図5及び
図6は、そのスクリーン枠1に対する後述の内部ユニット5の装着の過程を示している。
この横引きスクリーン装置は、基本的には、横引きで開閉するスクリーン8の下端部を保持してガイドするスライドレール12を備えたものであり、図示の実施例においては、
図2に示すように、交互に一定幅で逆方向に折り返して伸展自在としたスクリーン8を用いる場合を示しているが、当該スクリーンがこの種の横引きスクリーン装置に適しているのであって、必ずしもそれに限るものではない。
【0021】
図示の実施例の具体的な構成要素について説明すると、この横引きスクリーン装置は、主たる構成要素として、建物開口部(図示省略)に設置するためのスクリーン装置の外枠を形成するスクリーン枠1と、該スクリーン枠に組み付けて操作框10により横引きで開閉自在に形成した展張可能な上記スクリーン8及び該スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするスライドレール12を備えた内部ユニット5との2要素を備えている。
【0022】
上記スクリーン枠1は、
図4に示す下向きの凹溝2aにより、スクリーン8の一端に取り付けた操作框10の上端の横移動をガイドすると共に、該スクリーン8の上端を収容可能にした上辺の上枠2と、折り畳みにより収納状態にしたスクリーン8を支持部材9(
図2)を介して保持する一方の側枠3と、上記側枠3に対向する位置にあって、展張状態にあるスクリーン8の操作框10を受ける受け枠4とを備え、図示の実施例では上枠2に対向する下枠を備えていないが、必要に応じてそれを設けることもできるものである。
なお、スクリーン枠1自体に下枠と言えるものがない場合には、スクリーン枠1自体の下部に位置する建物開口部枠が下枠として機能することになり、或いは、後述する下レール20にその下枠としての機能を持たせることもできる。
【0023】
一方、上記スクリーン枠1に組み付ける内部ユニット5の一部を構成するところのスクリーンユニット7は、上記上枠2の一端に配設した側枠3に対向配置する支持部材9と、上記操作框10とを、それらの間に展張可能な上記スクリーン8を両側から挟むように対峙させ、それらの支持部材9及び操作框10を該スクリーン8の両端と連結することにより、該操作框10でスクリーン8を横引きで開閉自在に形成したものである。該スクリーンユニット7は、上記操作框10の下端に連結して上記スクリーン8の下端部に沿って延びると共に、該スクリーンの下端部を保持してその展張をガイドするように配設されるスライドレール12を備えている。このスライドレール12は、張設状態にあるスクリーン8の下端部に沿って導出され、該スクリーン8の下端部の風等の外力による揺れを抑止するためにも有効なものである。
【0024】
上記スライドレール12は、
図1,3,6及び7等に示すように、上記スクリーン8の下端部を受ける短寸溝形のガイド駒13の多数を、隣接する該ガイド駒の連接部13aの上部を相互に回転可能に連接することにより長溝状に構成しているが、この連接部13aにおける隣接ガイド駒13の連結は、該連接部が上に凹に屈曲可能になるように連結すればよく、例えば、
図7に示しているように、各ガイド駒13両側に対設している一対の側壁13b,13bの上端部に沿って穿設した挿通孔13cに一連の可撓線15を挿通してそれらを連結すると共に、隣接するガイド駒13の当接面を該挿通孔13cに直交する当り面にするとか、隣接ガイド駒13をその側壁上部においてピン等により上記屈曲を可能に連結するなどの構成を採用することができる。
【0025】
上記ガイド駒13の連結により構成されたスライドレール12は、その一端を前記操作框10の下端に連結すると共に、その他端を、上記ガイド駒13の屈曲可能な連結によって、上記側枠3と上記支持部材9との間に形成されたガイド収容空間16に、その下端から上方に湾曲して挿通可能に形成している。このスライドレール12の移動は、滑らかな移動が望ましく、そのため、
図7に示すように、上記ガイド駒13には、その両側部の側壁13b,13bの上端にガイド突子13dを突設し、一方、上記支持部材9には、ガイド収容空間16内において、該ガイド突子13dを摺接させてガイド駒13を所要の経路に沿って滑らかに導出入させるガイド面17を形設している。
【0026】
このようなスライドレール12の構成は、多数のガイド駒13のガイド突子13dが多点でガイド面17に接触することになるため、各ガイド突子13dが均等的な接触力でガイド面17に接触し、一部のガイド突子13dが強くガイド面17に接触するようなことがないので、ガイド面に沿うガイド駒13の移動が円滑化される。
また、上記ガイド面17を備えている支持部材9は、型材で形成した上部部材18aと曲面を持つ成形品で形成した下部部材18bとの接合によって構成しているが、それらを一体的なものとして構成することもできる。
【0027】
上記スクリーン枠1の側枠3に対向させた支持部材9は、その受け枠4側表面を、前記スクリーン8の一端を固定する固定面にすると同時に、スクリーン8の折り畳み時の収納域とし、一方、該支持部材9の裏面側は、それを上記側枠3に対して係合その他の適宜手段で着脱自在に当接固定可能にして、それらの間に、上記内部ユニット5のスライドレール12を下部から導出入可能に収容するガイド収容空間16を形成させている。従って、上記ガイド収容空間16を形成させるための側枠3と支持部材9との間には、該側枠3に対して支持部材9の位置決めをする当接面を適宜設けると共に、該支持部材9をその位置決め位置に保持させるための当接面3a,9aを設ける必要がある。これにより、上記側枠3と支持部材9との間には、それらを相互に当接固定したときに、それらの間に上記スライドレール12を挿通するための所要の上記ガイド収容空間16を形成する位置決めが行われるように構成され、しかも、それらの固定が安定的であると同時に、容易に離脱可能なものになる。
【0028】
上述のようにして支持部材9におけるガイド面17に沿って上記スライドレール12を上記ガイド収容空間16の内端まで挿入すると同時に、該支持部材9、スクリーン8及び操作框10を互いに組み付けた状態の内部ユニット5は、それを建物開口部に設置した上記スクリーン枠1内に組み付ける必要があるが、その組み付けは、
図5に示すように、内部ユニット5をスクリーン枠1に対して傾斜させた状態として行い得ること、また、スクリーン枠1の上枠2内に、操作框10の上端をガイドするための下向きの凹溝2aがあることなどを考慮すれば、上記内部ユニット5が、その状態でスクリーン枠1内に装脱可能な大きさに形
成できることは明らかである。特に、スライドレール12を支持部材9におけるガイド面17に沿ってガイド収容空間16に収容した構成は、内部ユニット5の組み付け時の取り扱いを簡便にするために非常に有効なものである。
【0029】
また、上記横引きスクリーン装置においては、スライドレール12がスクリーン8の開閉に応じてスクリーン枠1の側枠3の下端部からその側枠内に出入りするバリアフリー形の構成を備えているため、操作框10によるスクリーン8の安定的な開閉操作のために、該スクリーンの展張を何らかの手段でガイドしてほぼ一定の経路で開閉する構成を付加することが望まれる。このような構成は、操作框10の下端面、及び該操作框の下端に連結したスライドレール12のガイド駒13の下面が、前記スクリーン8の開閉に伴って摺動する建物開口部の下枠上に、該操作框10及びスライドレール12のガイド駒13の摺動をガイドする敷居と同程度の高さの下レール20を敷設し(
図1や
図8参照)、上記操作框10の下端面及びガイド駒13の下面に、
図9に示すような、該下レール20に跨乗して摺動させるための凹溝11,24を設ければ、必ずしも安定的にスクリーン8のガイドを行えないにしても、或る程度のガイドを行うことができる。
【0030】
しかしながら、
図9を参照して以下に説明するような操作框10及びガイド駒13のガイド機構を採用すれば、より安定的に操作框10の開閉を行うことができる。
図8及び
図9(a)~(d)を参照してその構成について具体的に説明すると、先ず、上記建物開口部の下枠上に設置する下レール20は、操作框10が、
図1に示すスクリーン8の収納位置から該スクリーンの展張を若干始める位置までの範囲に敷設している上記下レールを、以下に説明する第1レール部21とし、該第1レール部を越えた部位から上記操作框10がスクリーン8の展張位置に達するまでの範囲の上記下レールを、以下に説明する第2レール部22とする必要がある。
【0031】
上記第1レール部21と第2レール部22との差異を、操作框及びガイド駒との関連において説明すると、
図7及び
図8に示すように、側枠3内においては、ガイド駒13が上部のガイド収容空間16のガイド面17に沿って移動する状態から、下レール20のレール本体23上に移行する状態にあり、この側枠3内には操作框10が入らないために、操作框とレール本体との関係を考慮する必要はないが、
図1に示すように、操作框10が側枠3に当接している状態では、
図9の(a)に示すように、操作框10の下端の両側部に設けられた鈎形突部11aをレール本体23の側面上部に設けた鈎形係合凸条21aに係合させておくのが、操作框の安定保持に有効である。
【0032】
また、スクリーンの収納位置からの操作框10の移動により、ガイド収容空間16のガイド面17に沿って下方に移動したガイド駒13が、下レール20のレール本体23に跨乗して側枠3内から出る段階では、該ガイド駒13の下面の両側部に設けた一対の鈎形突部24aを、レール本体23の側面上部に突出させた鈎形係合凸条21aの下部に係合させることにより、下レール20上に導出されたガイド駒13が第1レール部21から離脱するのが抑止される。そのため、上記ガイド駒13が側枠3内においてレール本体23に跨乗する第1レール部21の始端部25を除いて、該第1レール部21のレール本体23の側面上部に鈎形係合凸条21aを突出させている。
【0033】
一方、上記第2レール部22は、レール本体23の両側面上部に鈎形弱係合凸条22aを突出させているが、該鈎形弱係合凸条22aは操作框10の下端面における上記鈎形突部11aに確実に係合する程度の突出量がなく、操作框10を係合位置のずれによって第2レール部から離脱可能なものであり〔
図9の(c)参照〕、また、該鈎形弱係合凸条22aは、ガイド駒13の多数が連接されている状態ではそれらが第2レール部22から離脱し難いが、少数のガイド駒の鈎形突部24aしか第2レール部22に係合していなければ、ガイド駒13の進行方向の横ずれによって第2レール部22から離脱可能なものとして構成している〔
図9の(d)参照〕。
これにより、支持部材9、スクリーン8及び操作框10を互いに組み付けた状態の内部ユニット5が建物開口部に組み付けた上記スクリーン枠1からの離脱を防止する離脱防止機構が構成される。
【0034】
なお、
図1及び
図3等に示している符号27は、操作框10を側枠3に対して平行移動させるために、スクリーン枠1と操作框10との間に掛け廻した操作框の平行移動用のワイヤーを示している。
【符号の説明】
【0035】
1 スクリーン枠
2 上枠
3 側枠
5 内部ユニット
8 スクリーン
9 支持部材
9a 当接面
10 操作框
12 スライドレール
13 ガイド駒
13d ガイド突子
16 ガイド収容空間
17 ガイド面