(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】鍵管理ボックス
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20220411BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20220411BHJP
【FI】
E05B19/00 E
E05B19/00 J
E05B49/00 F
(21)【出願番号】P 2020168425
(22)【出願日】2020-10-05
(62)【分割の表示】P 2018104070の分割
【原出願日】2018-05-30
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明広
(72)【発明者】
【氏名】梅村 正美
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 信彦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-095913(JP,A)
【文献】特許第5456463(JP,B2)
【文献】特開2008-267116(JP,A)
【文献】特開2005-299257(JP,A)
【文献】特開2006-112091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
E05B 49/00-49/04
E05B 77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口扉の電気錠を解錠するために、外部の使用者に使用される外部使用者用鍵を保管管理するためのものであって、前記外部使用者用鍵が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段と、を有する鍵管理ボックスにおいて、
前記外部の使用者は、前記出入口扉を開閉することについて予め合意を受けた使用者であって、
前記鍵管理ボックスは、
前記合意を確認する合意確認手段と、
前記外部の使用者の顔情報を取得する撮影手段
および外部の使用者の音声を取得する録音手
段と、
前記合意確認手段による確認と、前記撮影手段による前記顔情報の取得
および前記録音手段による前記音声の取
得と、が行われた後に、前記外部使用者用鍵に前記外部の使用者が開閉することについて合意を受けた前記出入口扉の前記電気錠を解錠する解錠権限を付与する権限付与手段と、
前記解錠権限が付与された場合に、前記鍵ロック手段を解除する制御手段と、
を有すること、
前記出入口扉が設けられた部屋に、前記部屋の内部を撮影する撮影装置が配置されていること、
を特徴とする鍵管理ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅に配置された部屋の電気錠を解錠するために、外部の使用者に使用される共通鍵を集中して保管管理するためのものであって、共通鍵が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段と、を有する鍵管理ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
学生寮においては、電灯の交換、家電製品の修理、家具等の備え付け品の修繕など、学生寮内のトラブルに対応する保険が利用されている。学生寮の入居者が上記の学生寮内トラブルの対応を業者に依頼する場合、作業立ち合いのために入居者は在宅していなければならない。その他、入居者が荷物の宅配を依頼しているような場合、荷物の受け取りのために入居者は在宅していなければならない。しかし、入居者の都合により不在となる場合には、学生寮内トラブル対応であれば作業日程の再調整、荷物の宅配であれば再配達をする必要があった。そこで、入居者の不在時においても学生寮内トラブルの対応や荷物の配達ができるようにするには、作業や配達を行う業者に対し部屋の錠前を解錠するための鍵の受け渡しが必要となる。
【0003】
学生寮管理者が、業者に直接手渡しをすることで鍵の受け渡しをすることができるが、学生寮管理者と業者が連絡を取り合い、待ち合わせしなければならないため、手間と時間がかかる。または、入居者が業者に直接手渡しをすることで鍵の受け渡しをすることができるが、入居者は用事を有するために学生寮を不在にしているのであり、直接手渡しすることができる時間があるのであれば、業者が部屋に訪問してくるのを待てば良く、訪問を待つ方が鍵を不正使用されるおそれもない。その他に、施錠された郵便受けに鍵を入れておき、業者に郵便ポストの解錠方法を伝達しておくことでも鍵の受け渡しが可能であるが、第三者に郵便受けが破壊され、鍵が取り出される恐れがあり、セキュリティが担保できない。
【0004】
鍵の受け渡しをするための手間と時間の排除およびセキュリティ担保のためのシステムとして、集合住宅に配置された部屋の錠前を解錠するために、集合住宅の複数の利用者に使用される共通鍵を集中して保管管理するためのものであって、前記共通鍵が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段と、を有する鍵管理ボックスを用いることができる。
例えば、特許文献1には、個人認証手段を有し、該個人認証手段が特定の使用者を認識したときに、認識した使用者が解錠許可を有する保管庫特定データを、共通鍵の有するICタグに書き込む書込手段を有する鍵管理ボックスが開示されており、使用者は該保管庫特定データが書き込まれた共通鍵を使用することで、解錠許可を有する保管庫の錠前を解錠することができる。
【0005】
つまり、入居者の不在時に作業や配達を行う業者は、スマートフォンを用いるなどして、事前に入居者との間で不在時に部屋に入室することについて合意を受けた者であることの確認を合意確認手段で行う。該合意確認手段が、業者が合意を受けた者であることを認識したとき、書込手段が、認識した業者が解錠許可を有する特定データ(すなわち業者の入室について合意した入居者の部屋の特定データ)を共通鍵の有するICタグに書き込む。業者は入居者の合意を受けた部屋の特定データが書き込まれた共通鍵を使用することで、入室について入居者の合意を受けた部屋の錠前を解錠することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の鍵管理ボックスには、以下のような問題があった。
入居者の不在時に業者が入居者の部屋に訪問する場合、入居者は、どのような者が部屋に入ったのか知ることができない。また、訪問した業者が、部屋内に放置された金銭などを偶然に見つけるなどした場合に、出来心で窃盗をしてしまうなど、部屋を荒らす可能性がある。さらには、入居者は、部屋に訪問した業者が確実に部屋を退出しているかどうかを確認することができず、入居者が帰宅時に部屋内で業者と鉢合わせをする可能性もある。特に入居者が女性である場合には、上記のような問題が解消されない限りは、入居者の不在時に業者が入居者の部屋に訪問することに対して不安が大きく、学生寮における電灯の交換、家電製品の修理、家具等の備え付け品の修繕など、学生寮内のトラブルに対応する保険の活用を図ることができない可能性がある。
【0008】
また、従来の鍵管理ボックスが上記のような問題点は学生寮の入居者の安全性に関する問題であるため、製造者が問題点に気づきながら放置し、鍵管理ボックスの製造を続けることは、製造物に対する責任を問われる可能性もある。そのため、入居者の不在時にどのような者が部屋に訪問したのか、該訪問した者が確実に部屋を退出しているか否かを知ることができる鍵管理ボックスが求められる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、集合住宅の入居者の心情に配慮しつつ、セキュリティを担保した共通鍵の提供を行うことができる鍵管理ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の鍵管理ボックスは、次のような構成を有している。
(1)出入口扉の電気錠を解錠するために、外部の使用者に使用される外部使用者用鍵を保管管理するためのものであって、外部使用者用鍵が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段と、を有する鍵管理ボックスにおいて、外部の使用者は、出入口扉を開閉することについて予め合意を受けた使用者であって、鍵管理ボックスは、合意を確認する合意確認手段と、外部の使用者の顔情報を取得する撮影手段および外部の使用者の音声を取得する録音手段と、合意確認手段による確認と、前記撮影手段による前記顔情報の取得および前記録音手段による前記音声の取得と、が行われた後に、外部使用者用鍵に外部の使用者が開閉することについて合意を受けた出入口扉の電気錠を解錠する解錠権限を付与する権限付与手段と、解錠権限が付与された場合に、鍵ロック手段を解除する制御手段と、を有すること、出入口扉が設けられた部屋に、部屋の内部を撮影する撮影装置が配置されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の鍵管理ボックスは、上記構成を有することにより、次のような作用・効果を有する。
(1,2)集合住宅に配置された部屋の電気錠を解錠するために、外部の使用者に使用される共通鍵を集中して保管管理するためのものであって、共通鍵が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段と、を有する鍵管理ボックスにおいて、外部の使用者は、集合住宅の入居者から入居者の不在中に入居者の部屋に入室することについて予め合意を受けた使用者であって、鍵管理ボックスは、合意を確認する合意確認手段と、合意確認手段により確認が行われた場合に、外部の使用者の顔情報を取得する撮影手段と、撮影手段により撮影した顔情報を記憶しておく撮影データ記憶手段と、顔情報の記憶が完了した場合に、共通鍵に外部の使用者が入室することについて合意を受けた部屋の電気錠を解錠する解錠権限を付与する権限付与手段と、解錠権限が付与された場合に、鍵ロック手段を解除する制御手段と、を有すること、また、鍵管理ボックスは、外部の使用者が前記集合住宅を退出する際に、撮影手段により、第2の顔情報を取得し、第2の顔情報を、撮影データ記憶手段に記憶させること、を特徴とするので、業者が入居者の不在時に部屋に入室するには、鍵管理ボックスのところに行き、合意確認手段に予め入居者との間で行われた合意内容を確認させ、撮影手段に業者の顔情報を取得させ、共通鍵を取り出し不能としている鍵ロック手段を解除させ、共通鍵の提供を受けなければならない。また、業者が学生寮を退出する際にも鍵管理ボックスの撮影手段に再び顔情報を取得させなければならず、取得された業者の顔情報は、撮影データ記憶手段に記憶される。業者は、顔情報が鍵管理ボックスに記憶されていることから、入室した部屋において不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。さらに、業者にとっては、共通鍵の提供を受けることで、入居者の不在時であっても、学生寮内トラブルの対応作業や、荷物の宅配をすることができるため、作業日程の再調整や荷物の再配達を行う必要がなく、効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】電子キー1の制御構成を示すブロック図である。
【
図5】電気錠20を構成する第1ユニットの斜視図である。
【
図6】電気錠20を構成する第2ユニットの斜視図である。
【
図10】電気錠20の制御構成を示すブロック図である。
【
図11】電気錠20の動作を示すフローチャートである。
【
図13】鍵管理ボックス80の制御構成を示すブロック図である。
【
図14】入室時の鍵管理ボックス80の制御方法を示すフローチャートである。
【
図15】鍵返却時の鍵管理ボックス80の制御方法を示すフローチャートである。
【
図16】入室時のタッチパネル83の表示画像を示す図である。
【
図17】鍵返却時のタッチパネル83の表示画像を示す図である。
【
図18】撮影装置100の設置例を示す参考図である。
【
図19】撮影装置100の制御方法を示すフローチャートである。
【
図20】スマートフォンに送信された撮影データの表示画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の鍵管理ボックス80の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<電子キー>
はじめに、本実施形態で使用するデジタルキーである電子キー1(共通鍵の一例)について説明する。
電子キー1は、
図1に示すように、金属製の差込体2にICユニット3が取り付けられている。ICユニット3の内部は中空部を形成し、
図3に示すように、差込体2の枠部2aが該中空部に収納されることで、ICユニット3と差込体2が一体となっている。枠部2aには、ICタグ用基板4に搭載されたICタグ5を収容する開口部2bが形成され、枠部2aとICタグ5が接触することを防いでいる。ICタグ用基板4には、ICタグ5と、ICタグ5の第1端子5aおよび第2端子5bと、がはんだ付けにより取り付けられている。
【0026】
電子キー1は、
図4に示すように、アクセス許可制御手段6と、外部通信インターフェース手段7と、を備える。
アクセス許可制御手段6は、電子キー1が鍵管理ボックス80から取り出されるときに、第1および第2端子5a,5bと接続し、外部通信インターフェース手段7が電子キーID記憶手段8や部屋番号情報記憶手段9、管理番号記憶手段10、有効時間データ記憶手段11、履歴記憶手段12にアクセスすることを許可するものである。
電子キーID記憶手段8は、「電子キーID」を記憶するものである。ここで電子キーIDとは、電子キー1を識別するための固有の識別番号をいう。本実施例では、接触式ICタグ5の固有の識別番号を「電子キーID」として電子キーID記憶手段8に記憶している。ICタグ5は、世の中に同じ識別番号を有するものが存在せず、またその識別番号の書き換えも困難である。よって、電子キー1は製造時に個別の識別番号を付与して記憶する手間をかけずに、ICタグ5の識別番号をそのまま用いて他の電子キー1と区別することが可能である。
【0027】
部屋番号情報記憶手段9は、学生寮の複数の部屋のうち、外部の使用者である業者が入室することについて合意を受けた部屋Rを特定する部屋番号情報が読み書きされる。また、管理番号記憶手段10は、鍵管理ボックス80の管理番号設定部974により設定される管理番号を記憶するものである。
【0028】
有効時間データ記憶手段11は、部屋番号情報を用いて部屋Rの電気錠20を解錠可能な有効時間を示す有効時間データを記憶するものである。有効時間データは、電子キー1を鍵管理ボックス80から取り出す際に、有効時間データ記憶手段11に書き込まれる。
履歴記憶手段12は、電子キー1を用いて部屋Rの電気錠20を解錠したときに、部屋Rの識別番号および解錠した日時等の使用履歴が書き込まれ、また、電子キー1を鍵管理ボックス80に返却したときに使用履歴が鍵管理ボックス80に読み取られるものである。
【0029】
外部通信インターフェース手段7は、ICタグ5にデータを読み書きする手段(例えば、後述する電気錠20のデータ読取手段42および鍵管理ボックス80のICタグデータ読取手段90、部屋番号情報書込手段91、管理番号書込手段92、有効時間データ書込手段99等)との通信を制御するものである。該データを読み書きする手段は、第1及び第2端子5a,5bに接触して、ICタグ5にデータを読み書きする。
【0030】
<電気錠>
次に、本実施形態で使用する電気錠20について説明する。
電気錠20は、学生寮の部屋Rの出入り口に設けられた扉Dを施錠または解錠するものである。電気錠20は、扉Dに既設されたサムターンを取り外し、扉Dに後付けすることができる。
【0031】
電気錠20は、
図5および
図6に示すように、部屋Rの外側に配置される第1ユニット21と、部屋Rの内側に配置される第2ユニット22から構成されており、扉Dに設けられたデッドボルト(図示せず)を突出又は退避させることで、施錠と解錠を行う。デッドボルトは、電気錠20に内設された図示しない内部カムに連結している。第1ユニット21は、電子キー1を挿入するキーシリンダ23を有し、キーシリンダ23に挿入された電子キー1を回転させることで、電気錠20の内部カムに回転力を与え、デッドボルトを突出又は退避させる。
【0032】
図7に示すように、電気錠20は、鍵穴26aを備える内筒26が外筒25に回転可能に保持されている。電気錠20は、鍵穴26aの外部に配置されるデータ読取手段42と、鍵穴26aに電子キー1が挿入されない場合に、電子キー1とデータ読取手段42との接続を遮断する一方、鍵穴26aに電子キー1が挿入される場合に、電子キー1とデータ読取手段42を接続する接続制御手段30を有する。
【0033】
そして、電気錠20は、解錠を許可する解錠許可手段60と、データ読取手段42に接続し、データ読取手段42が電子キー1から読み取ったIDデータに基づいて認証を行い、認証に成功した場合に、解錠許可手段60に解錠を許可させる制御基板70を備える。
【0034】
第1ユニット21は、外筒25に内筒26が回転可能及び摺動可能に保持されている。外筒25は、前面側の開口部外周面に、化粧リング28が外筒25に螺設されている。外筒25は、前面側の開口部より少し奥側に段差部25aが設けられ、その段差部25aに内筒26のショルダー部26bが当接することにより、内筒26の前方(屋外側、図中左方向)への移動が制限される(以下、この場合に内筒26が配置される位置を「キー挿入位置」ともいう。)。また、外筒25は、背面側の開口部に後端プレート36が固定され、その後端プレート36に内筒26が当接することにより、内筒26の後方(屋内側、図中右方向)への移動が制限される(以下、この場合に内筒26が配置される位置を「押し込み位置」といもいう。)。
【0035】
第1ユニット21は、スライド軸34が内筒26に対して一体的に連結されている。スライド軸34の端部には、保持軸35が一体的に取り付けられている。よって、スライド軸34及び保持軸35は、内筒26と一体的に回転運動及びスライド運動を行う。尚、本実施形態では、スライド軸34と保持軸35により、「シャフト」が構成される。
【0036】
図7および
図8に示すように、内筒26は、電子キー1が挿入される鍵穴26aを備える。第1ユニット21は、鍵穴26aの内部に、電子キー1の第1および第2端子5a,5bに接触する鍵穴内部コンタクト部材31が配置されている。一方、第2ユニット22は、鍵穴外部コンタクト部材32が配置されている。鍵穴外部コンタクト部材32は、保持軸35の外周面に装着されている。
【0037】
図8に示すように、鍵穴内部コンタクト部材31は、絶縁材料で被覆された配線33を介して鍵穴外部コンタクト部材32に通信可能に接続されている。配線33は、スライド軸34及び保持軸35のスライドを阻害しないように、スライド軸34の中空部に配置されている。尚、本実施形態では、鍵穴内部コンタクト部材31、配線33、鍵穴外部コンタクト部材32により、「シャフト」に保持され、鍵穴26aに挿入された電子キー1に接触する「接触手段」が構成されている。
【0038】
内筒26は、
図9に示すように、内筒26は、第1ホルダ261と、第2ホルダ262と、第3ホルダ263と、バックプレート27を連結ボルト264で連結することにより、一体化したものである。また、
図7および
図8に示すように、バックプレート27には、スライド軸34が連結され、内筒26とスライド軸34が一体的に動作するようにしている。バックプレート27には、スライド軸34が連結され、内筒26とスライド軸34が一体的に動作するようにしている。
【0039】
第2ユニット22は、ハウジング41に、内部カム(図示せず)に連結するギヤカム49が回転可能に保持されている。カム部材48は、円筒部48cがギヤカム49に装填されるとともに、ハウジング41に内設されたシャフトソケット50の円筒部50aに保持され、軸線を中心に回転したり、軸線に沿って往復直線運動したりできるようになっている。
【0040】
第2ユニット22は、スライド軸34及び保持軸35が、ギヤカム49からカム部材48を介してシャフトソケット50に挿通され、鍵穴外部コンタクト部材32がシャフトソケット50内に配置されるようになっている。
【0041】
第2ユニット22は、スライド軸34及び保持軸35を挟んで内筒26と反対側に、リセットレバー51が配置されている。リセットレバー51は、ハウジング41に固定された回転軸53に回動可能に保持されている。リセットばね52は、リセットレバー51を挟んで保持軸35と反対側に配置され、リセットレバー51、保持軸35、スライド軸34を介して内筒26を図中左方向へ常時付勢することにより、内筒26をキー挿入位置(
図7参照)に自動的に移動させるようにしている。
【0042】
データ読取手段42は、外筒25と内筒26を介して電圧を印加されないように、外筒25と内筒26から離れてシャフトソケット50に固設されている。データ読取手段42は、リセットばね52に抗して内筒26を押し込み位置までスライドさせた場合に限り、鍵穴外部コンタクト部材32に通信可能に接触するように、保持軸35のスライド経路上に配置されている。そのため、データ読取手段42は、電子キー1を鍵穴26aに挿入しない場合には、鍵穴外部コンタクト部材32に通信可能に接触せず、電子キー1との接続を遮断される。電子キー1を鍵穴26aに挿入して押圧した場合には、鍵穴外部コンタクト部材32に通信可能に接触し、電子キー1に接続される。よって、本実施形態では、鍵穴内部コンタクト部材31、配線33、鍵穴外部コンタクト部材32、スライド軸34と保持軸35とリセットばね52により、接続制御手段30が構成される。
【0043】
図7に示すように、解錠許可手段60は、ソレノイド43、スライドレバー44、スライドプレート45、スライドばね46、リンク部材47、カム部材48、ギヤカム49により構成されている。
【0044】
図9に示すように、カム部材48は、スライド軸34と一体的に回転するように、スライド軸34に対して連結されている。また、カム部材48は、スライド軸34に対してスライド可能に取り付けられている。カム部材48は、ギヤカム49に形成された十字形のカム溝49aに係合するように、十字形のカム48aが設けられている。そのため、カム48aとカム溝49aが係合する場合に、内筒26の回転力がスライド軸34、カム部材48を介してギヤカム49に伝達される。
【0045】
図9に示すように、カム部材48の外周面には、カム溝48bが環状に形成され、リンク部材47のカムピン47aが係合している。リンク部材47は、ハウジング41に揺動可能に保持されている。そのため、カム部材48は、リンク部材47が揺動することによって、スライド軸34に沿ってスライドし、カム48aをカム溝49aに係合させたり、カム48aとカム溝49aの係合状態を解除させたりする。
【0046】
図7及び
図9に示すように、リンク部材47は、スライドプレート45が水平方向に往復直線運動することで、内筒26側又は内筒26と反対側へ向かって揺動する。スライドプレート45は、スライドばね46によって内筒26と反対側へ向かって常時付勢されている。スライドレバー44は、スライドプレート45を挟んでスライドばね46と反対側の位置において、回転軸53に回動可能に保持されている。スライドレバー44は、支軸54を介してソレノイド43のプランジャ55に連結され、プランジャ55の上下動に応じて支軸54を中心に回動する。
【0047】
スライドレバー44は、ソレノイド43が通電されず、プランジャ55を突出させている場合には、スライドプレート45から離間する姿勢(以下「非押圧姿勢」ともいう。)になる。一方、スライドレバー44は、ソレノイド43が通電され、プランジャ55を上方へ吸引すると、スライドプレート45に当接してスライドばね46に抗してスライドプレート45を内筒26側へ向かって押圧する姿勢(以下「押圧姿勢」ともいう。)になる。
【0048】
図7に示すように、スライドプレート45は、リンク部材47が貫き通される開口部45aが開設されている。スライドレバー44が非押圧姿勢で保持され、スライドプレート45がスライドばね46により内筒26と反対側へ付勢されている場合には、リンク部材47は、開口部45aの縁部により内筒26と反対側へ押圧され、揺動する。この場合、リンク部材47は、カム部材48をギヤカム49から離れる方向へ引っ張り、カム48aをカム溝48bに係合させない。この場合、内筒26を回転させても、カム部材48が空転し、ギヤカム49に回転力が付与されない。
【0049】
これに対して、スライドレバー44が押圧姿勢で保持され、スライドプレート45がスライドばね46に抗して内筒26側へスライドした場合には、リンク部材47は、スライドプレート45の加圧部45cに押圧されて内筒26側へ揺動する。これにより、リンク部材47は、カム部材48をギヤカム49側へ引っ張り、カム48aをカム溝48bに係合させる。この場合、内筒26を回転させると、その回転力がスライド軸34、カム部材48、ギヤカム49に伝達され、施錠又は解錠を行うことが可能になる。
【0050】
ところで、電気錠20は、回転軸53に回動可能に保持されるホールドレバー56を備える。ホールドレバー56は、スライドプレート45の保持突部45bの上方に配置されている。ホールドばね57は、ホールドレバー56をスライドプレート45側へ向かって付勢している。ホールドレバー56には、スライドプレート45の保持突部45bに係合可能な凹部56aが設けられている。
【0051】
ホールドレバー56は、リセットレバー51がリセットばね52に抗して押圧されない間は、リセットレバー51に回動を制限される。ホールドレバー56は、リセットレバー51がリセットばね52に抗して押圧されると、リセットレバー51による回動制限を解除される。リセットレバー51による回動制限が解除されても、ホールドレバー56は、保持突部45bが凹部56aの下方にくるまでは、保持突部45bに押し上げられて回動できない。一方、スライドプレート45が、保持突部45bを凹部56aの下方に配置するように移動すると、ホールドレバー56は、回動して、凹部56aを保持突部45bに係合させる。ホールドレバー56は、ホールドばね57に付勢されるため、ソレノイド43への通電が停止されても、スライドプレート45を保持し続けることが可能である。
【0052】
第2ユニット22は、内部構造が外部から見えないように本体カバー40で覆われている。サムターン24は、回転軸24aが本体カバー40に挿通されている。回転軸24aの先端部は、ハウジング41に回転可能に保持されたギヤ58に係合している。ギヤ58は、ギヤカム49に噛合している。そのため、サムターン24を回転させると、ギヤ58を介してギヤカム49が回転し、施錠又は解錠が行われる。
【0053】
続いて、電気錠20の取付構造について説明する。
図7に示すように、第1ユニット21と第2ユニット22は、サムターン取付穴D1に嵌合される嵌合部211,221備える。嵌合部211,221には、扉Dの既設のサムターンを固定していた固定ピンが挿入されるピン挿入穴211a,221aを備える。電気錠20は、既設のサムターンを固定していた固定ピンを扉Dから取り外し、既設のサムターンが取り付けられていたサムターン取付穴D1に嵌合部211,221を嵌め込み、ピン挿入穴211a,221aに固定ピンを挿通して扉Dに取り付けることにより、扉Dに後付けすることができる。
【0054】
本実施形態では、制御基板70は、電気錠20に備えられた乾電池を電源として駆動する。そのため、電気錠20は、配線しなくても、扉Dに設置できる。
【0055】
次に、電気錠20の電気的構成について、
図10を参照して説明する。
電気錠20は、制御基板70に、ソレノイド43と、データ読取手段42と、が接続されている。また、制御基板70は、CPU701と、ROM702と、RAM703と、NVRAM704と、を備える。
【0056】
ROM702には、電子キー1の認証が行われた場合に電気錠20の解錠許可を行う解錠許可プログラム702aが記憶されている。NVRAM704は、部屋番号情報記憶部704aと、管理番号記憶部704bと、履歴記憶部704cと、を有する。部屋番号情報記憶部704aは、電気錠20が取り付けられている部屋番号情報が記憶されている。また、管理番号記憶部704bは、データ読取手段42が読み取った電子キー1の管理番号記憶手段10に記憶された管理番号を記憶する。CPU701は、ROM702に記憶されたプログラムに従って、NVRAM704にデータを記憶させながら、電気錠20の動作を制御する。
【0057】
次に、電気錠20の動作手順について
図11を参照して説明する。
業者が、電気錠20に電子キー1を挿し込むと、データ読取手段42が、電子キー1に記憶されている部屋番号情報を読み取り、CPU701は、該読み取った部屋番号情報をNVRAM704の部屋番号情報記憶部704aに記憶されている部屋番号情報に照合し、権限認証を行う(S11)。読み取った部屋番号情報が部屋番号情報記憶部704aに記憶された部屋番号情報と一致せず、認証に失敗した場合には(S12:NO)、読み取り不良等の可能性があるので、CPU701は、エラー通知を行ってから(S19)、処理を終了する。エラー通知は、ブザーや音声等で行っても良いし、ランプ等で表示しても良いし、表示部を備える装置に電気錠20が接続されている場合には、表示部にエラーメッセージを表示させることにより通知しても良い。
【0058】
部屋番号情報の照合が一致した場合には(S12:YES)、データ読取手段42が、電子キー1の有効時間データ記憶手段11に記憶された有効時間データを読み取り、CPU701が有効時間内であると判断すれば(S13:YES)、次にデータ読取手段42が、電子キー1の管理番号記憶手段10に記憶された管理番号を読み取る。CPU701は、該読み取った管理番号をNVRAM704の管理番号記憶部704bに記憶されている管理番号と照合を行う(S14)。読み取った管理番号が管理番号記憶部704bに記憶された管理番号と一致した場合(S15:同一番号)、解錠許可プログラム702aにより解錠許可がなされ、キーシリンダ23が回転可能となる(S16)。また、読み取った管理番号が管理番号記憶部704bに記憶された管理番号よりも番号が大きい場合には(S15:大きい番号)、管理番号記憶部704bに記憶されていた管理番号が、読み取った大きい方の番号に書き換えられた上で(S18)、解錠許可プログラム702aにより解錠許可がなされ、キーシリンダ23が回転可能となる(S16)。読み取った管理番号が管理番号記憶部704bに記憶された管理番号よりも小さい番号である場合には、(S15:NO)、CPU701は、エラー通知を行ってから(S19)、処理を終了する。
【0059】
後述するように、鍵管理ボックス80は電子キー1の提供を行う度に先の提供時に設定した管理番号よりも大きい番号を設定する。そのため、例えば、業者が入室について合意を受けた部屋Rに入室しようとする場合、電気錠20には前回部屋Rに訪問した業者が使用した電子キー1に付与されていた管理番号(以下、前回管理番号)を記憶しているが、業者の電子キー1には前回部屋Rに訪問した業者の電子キー1に付与されていた管理番号よりも大きい管理番号(以下、提供管理番号)が付与されているため、業者が電子キー1を電気錠20挿し込むことで、電気錠20に記憶されていた前回管理番号が提供管理番号に書き換えられ(S18)、解錠許可がなされる(S16)。よって、前回部屋Rに訪問した業者が不正に電子キー1を持ち帰った場合でも、前回管理番号を有する電子キー1を電気錠20に挿し込んでも認証がなされず解錠できない(S15:NO)。
【0060】
業者が作業を行っている間に複数回電子キー1を使用する場合、2回目以降は、電気錠20は提供管理番号を記憶しているため、利用者の電子キー1の提供管理番号と照合され(S15:同一番号)、解錠許可がなされる(S16)。解錠許可がなされた後、CPU701は、扉Dの施錠と解錠の履歴をNVRAM314の履歴記憶部704cに記憶し(S17)、処理を終了する。
【0061】
<電子キー管理システム>
電子キー1を管理するシステムについて説明する。
図12に鍵管理ボックス80の構成図を示す。鍵管理ボックス80は、開閉扉81が付設され、待機状態において開閉扉81は閉じられている。鍵管理ボックス80の開閉扉81の内側には、10個の電子キー1を保持するキー孔ユニット(82Aから82Jまで)が付設されている。鍵管理ボックス80の開閉扉81の右側表面には操作手段としてのタッチパネル83が付設され、開閉扉81の上側表面にはCCDカメラ84と、マイク88と、が付設されている。キー孔ユニット82は、電子キー1が装着されるキー孔85、LED86、ネームプレート87を有している。キー孔85には、キー抜け阻止手段である鍵ロック手段89(
図13参照)により、通常は電子キー1を抜くことができない状態となっている。
【0062】
次に、鍵管理ボックス80のコントローラ95(制御手段)について説明する。
図13に制御の構成をブロック図で示す。コントローラ95は、CPU96、ROM97、RAM98、を備えている。ROM97は、入室時電子キー提供プログラム971(
図14中のS21からS32)、電子キー返却プログラム972(
図15中のS41からS52)、電子キーID記憶部973、管理番号設定部974、有効時間データ設定部975を備えている。
【0063】
また、RAM98は、業者の顔情報と音声を記憶する撮影データ記憶部981と、後述する撮影装置100により撮影した撮影データを記憶する撮影装置データ記憶部982と、予め学生寮管理者との間で学生寮内トラブルの対応を行うことを契約し、学生寮の部屋Rへの入室を許可されている複数の業者を記憶している外部使用者記憶部983と、該部屋Rへの入室を許可されている複数の業者のうち、各部屋Rの入居者によりどの業者のサービスを受けるか予め選択された業者を記憶する許可使用者記憶部984と、電子キー1の履歴記憶手段12に記憶された電子キー1の使用履歴を記憶する履歴記憶部985と、を備えている。
【0064】
コントローラ95には、各キー孔ユニット82に対応して付設されているキー抜け阻止手段である鍵ロック手段89A~89J、電子キー1が装着されたときに、電子キー1に内蔵されたICタグ5に記憶されているデータを読み取るためのICタグデータ読取手段90A~90J、業者が入室することについて合意を受けた部屋Rの部屋番号情報を電子キー1の部屋番号情報記憶手段9に書き込む部屋番号情報書込手段91A~91J、管理番号を電子キー1の管理番号記憶手段10に書き込む管理番号書込手段92A~92J、解錠権限の有効時間データを電子キー1の有効時間データ記憶手段11に書き込む有効時間データ書込手段99A~99J、LED86A~86Jが接続されている。また、コントローラ95には、タッチパネル83、QRコード(登録商標)読取部93、顔情報取得部94、マイク88、通信手段110が接続されている。QRコード読取部63と、顔認証部64と、はCCDカメラ84に接続されており、通信手段110は、学生寮の各部屋Rに設置された撮影装置100と、学生寮管理者のサーバ111と、に接続されている。
【0065】
撮影装置100は、
図18に示すように入居者の部屋Rの天井に設置されている。撮影装置100を部屋Rに設置することで、業者が入居者の部屋Rに入室し、作業をしている様子を撮影装置100で撮影することができる。撮影装置100は首振り機能を有し、部屋R全体を十分に撮影することが可能である。さらに撮影装置100は動作検知機能を有し、業者の入室を検知し、行動を追いかけることが可能である。業者は、撮影されていることで、入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。
【0066】
次に、本実施形態の作用について、
図14及び15のフローチャートと、
図16及び17の表示画像を用いて説明する。
まず、業者が学生寮の部屋Rに入室する場合について説明する。
業者は、学生寮管理者との間で、学生寮内トラブルの対応を行うなどの契約を予め交わしている業者であって、入居者が学生管理者と契約している業者のサービスを受けることを了承していることが前提となる。そして、入居者が実際にサービスを受けることを希望するときに、業者は、パソコン、スマートフォン、一般電話などを用いて予め学生寮管理者および入居者との間で入居者の不在時に部屋Rに入室することについて合意を行っておき、業者の業者名、訪問日時、訪問する部屋番号、学生寮内での予定作業時間、などの合意内容に関する情報を格納したQRコードを学生寮管理者から受け取る。ここまでは、鍵管理ボックス80を使わずに行われる。鍵管理ボックス80の待機状態では、
図16(a)に示すようにタッチパネル83に表示画像831が表示されており、業者は、学生寮に入った時に鍵管理ボックス80の所に行き、表示画像831に表示されている選択肢のうちの「鍵の提供」831aを選択する。すると、
図17(b)に示すようにタッチパネル83に表示画像832が表示され、業者は予めスマートフォンに保存しておいたQRコードを、表示枠832aに納まるようにCCDカメラ84に読み取らせる(S21)。CPU96は、通信手段110により学生寮管理者のサーバ111(
図13参照)に接続し、合意内容の照合を行う。
【0067】
ここで、合意内容の照合とは、QRコードに格納された情報に基づき、業者が外部使用者記憶部983及び許可使用者記憶部984に記憶されている業者であるか否か、入居者の部屋Rに入室しようとする日時が予め行われた合意と同一であるか否か、の判断をCPU96が入室時電子キー提供プログラム971によって行うものである。外部使用者記憶部983及び許可使用者記憶部984に記憶されている業者であるか否かの判断を行うことで、契約業者以外の部屋Rへの入室を防止することができ、入居者は安心感を得ることができる。
【0068】
合意内容の確認が取れると(S22:YES)、次に
図16(c)に示すようにタッチパネル83に表示画像833が表示される。ここで、CCDカメラ84により業者の撮影と、マイク88により業者の音声取得が行われるため、業者はCCDカメラ84およびマイク88に向かい、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間などを述べる(S23)。CCDカメラ84およびマイク88により取得された撮影データが、撮影データ記憶部981に記憶される(S24)。業者の顔情報や音声を記憶することで、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。なお、業者の撮影は、静止画でも良いし、動画でも良い。
【0069】
その後、部屋番号情報書込手段91により任意の電子キー1の部屋番号情報記憶手段9に、業者が入室について合意を受けた部屋Rの部屋番号情報(解錠権限)が書き込まれる(S25)。さらに、管理番号書込手段92が、電子キー1の管理番号記憶手段10に、管理番号を書き込み、有効時間データ書込手段99が、電子キー1の有効時間データ記憶手段11に有効時間データを書き込む(S26)。
【0070】
管理番号は、通信手段110を通じて学生寮管理者のサーバ111で管理されており、同じ部屋番号に使用される電子キー1であって、先に提供された電子キー1に付与された管理番号より大きい番号の管理番号が、管理番号設定部974で設定される。そして、該大きい番号の管理番号が、管理番号書込手段92により、電子キー1の管理番号記憶手段10に書き込まれる(例えば、101号室に入室した前回部屋Rに訪問した業者の電子キー1に管理番号として10番が付与されていれば、101号室に入室する今回の業者の電子キー1には管理番号として11番が設定され、付与される)。また、有効時間データは、QRコードに格納された学生寮内での予定作業時間に関する情報に基づき、有効時間データ設定部975で設定される。電子キー1は、有効時間を経過すると、入室することについて合意を受けた部屋Rの電気錠20に差し込んでも解錠することができず、鍵としての機能を失う。
【0071】
次に、コントローラ95は、開閉扉81を開放すると同時に、
図16(d)に示すように、タッチパネル83に表示画像834を表示させ、データを書き込んだ任意の電子キー1が装着されているキー孔ユニット82の鍵ロック手段89を解除し、解除したキー孔ユニット82のLED86を点灯させる(S27)。よって、業者は所定の電子キー1を抜き取ることができる。電子キー1が抜き取られてICタグデータ読取手段90が電子キー1を検出しなくなったとき、コントローラ95は電子キー1がキー孔85から抜き取られたと判断して(S28:YES)、取り出された電子キー1と、取り出された時間を履歴記憶部985に記憶する(S29)。
【0072】
業者が電子キー1を取り出した時間が記憶され、さらに後述するように
図15のS48において電子キー1を返却した時間が履歴記憶部985に記憶されるため、業者の学生寮内での滞在時間が確認可能となる。よって、業者の訪問目的に見合う滞在時間であるか否かが確認できるため、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となり、犯罪行為の予防を図ることができるほか、実際に不正行為が行われた場合の状況証拠となり得る。
【0073】
電子キー1が取り出された時間が履歴記憶部985に記憶された後、
図16(e)に示すようにタッチパネル83に表示画像835が表示され、利用者に開閉扉81を閉じることを指示する(S30)。開閉扉81が閉じられたことを確認すると(S31:YES)、鍵管理ボックス80は、S24で撮影データ記憶部981に記憶した業者の撮影データと、S29で履歴記憶部985に記憶した電子キー1の取り出し時間と、を通信手段110により、入居者のスマートフォン120などに送信する(S32)。
【0074】
入居者は、図20に示すように、スマートフォン120の画面120aに撮影データを再生することで、撮影データを確認することができる。このとき、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間などの業者が話した音声も再生される。入居者は、業者の訪問があったことや、どのような者が訪問してきたか、を知ることができ、安心感を得ることができる。特に、入居者が女性であり、女性の作業員などの訪問を希望していた場合において、入居者は顔情報を確認することで確実に女性の作業員が訪問していることを知ることができ、安心感を得ることができる。
【0075】
業者の撮影データおよび電子キー1の取り出し時間の送信が完了すると、入室時電子キー提供プログラム971は終了し、タッチパネル83には、
図16(a)に示すように表示画像831が表示される。
【0076】
入室時電子キー提供プログラム971により電子キー1の提供を受けることで、業者にとっては、入居者の不在時であっても、学生寮内トラブルの対応作業や、荷物の宅配をすることができるため、作業日程の再調整や荷物の再配達を行う必要がなく、効率が良い。
【0077】
鍵管理ボックス80は、特定の1部屋Rの電気錠20のみでなく、学生寮の全ての部屋Rのうちの2以上の部屋Rの電気錠20を解錠できる電子キー1を提供することも可能である。例えば、業者が同日に複数の入居者との間で、入居者の不在中に作業を行うことを合意している場合など、業者は予め学生寮管理者から業者の業者名、訪問日時、訪問する部屋番号、学生寮内での予定作業時間、などの合意に関する情報を格納したQRコードを受け取っておく。清掃員は清掃を行う時に鍵管理ボックス80のところに行き、鍵管理ボックス80のCCDカメラ84にQRコードを読み取らせる。CPU96は、通信手段110により学生寮管理者のサーバ111に接続し、合意情報の照合を行う。合意確認が取れると、部屋番号情報書込手段91により任意の電子キー1の部屋番号情報記憶手段9に、業者が訪問する部屋Rが複数ある場合にはその全ての部屋番号情報(解錠権限)が書き込まれる。業者が訪問する部屋Rが複数ある場合、1つの部屋Rの作業が終わる度に鍵管理ボックス80のところに行き電子キー1の提供を受けなればならないのは迂遠であるため、1つの電子キー1で訪問する部屋Rの電気錠20を解錠できるようにしておくのが実用的である。
【0078】
次に、業者が部屋Rに入室した場合における撮影装置100の動作について、
図18乃至
図20を参照して説明する。
業者が、鍵管理ボックス80から取り出した電子キー1により電気錠20を解錠し、部屋Rに入室すると、部屋R内に設置された撮影装置100は動作検知機能を有するため、業者の入室を検知し(S61:YES)、部屋R内の撮影を開始する(S62)。撮影装置100は首振り機能を有するため、動作検知機能により業者の行動を追いかけつつ撮影することが可能である。業者は、撮影されていることで、入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。
【0079】
撮影装置100は、通信手段110を介して撮影を開始したことを学生寮管理者のサーバ111および入居者のスマートフォン120に通知する(S63)。その後、通信手段110を介して撮影装置100が撮影する部屋R内の様子(撮影装置データ)をリアルタイムで送信するため(S64)、S63で通知を受けた学生寮管理者および入居者は、部屋R内で業者が作業する様子をリアルタイムで確認することができる。その他、S63において、学生寮管理者のサーバ111および入居者のスマートフォン120のみならず、業者の管理部署などに撮影を開始したことを通知することができ、S64において、該管理部署に撮影装置データをリアルタイム送信することも可能である。
【0080】
動作検知機能が業者の動きを検知し続ける限り、撮影と撮影装置データのリアルタイム送信は続けられる(S65:YES)。そして、業者が退室し、動作検知機能が業者の動きを検知しなくなると(S65:NO)、撮影装置100は撮影を終了する(S66)。
【0081】
撮影装置データは、通信手段110を介して鍵管理ボックス80に送信され、撮影装置データ記憶部982に記憶される。記憶された撮影装置データは、通信手段110を介して学生寮管理者のサーバ111および入居者のスマートフォン120に送信可能である。その他、学生寮管理者のサーバ111および入居者のスマートフォン120のみならず、業者の管理部署などに撮影装置データを送信可能である。
【0082】
学生寮管理者や入居者は、撮影装置データを確認することで、部屋R内での作業の様子を確認することができる。例えば、入居者が宅配を依頼した場合に、宅配業者が荷物を部屋Rに持ち込む以外の行動を取っていないか、入居者が電灯の交換を業者に依頼した場合には、業者が部屋R内で電灯交換作業に関係のない場所に移動していないか、などを確認することができるため、業者が入居者の部屋R内で不正を行っていないかどうか知ることができ、安心感を得ることができる。さらに、撮影データを業者の管理部署などに送信すれば、作業担当者が訪問先で不正を行っていないかなどを確認することができる。
【0083】
次に、業者が電子キー1を鍵管理ボックス80に返却する場合について説明する。
業者は鍵管理ボックス80の所に行き、表示画像831(
図16(a))に表示されている選択肢のうちの「鍵の返却」831bを選択する。この場合、
図17(a)に示すように、タッチパネル83には表示画像842が表示され、業者は予めスマートフォンに保存しておいたQRコードを、表示枠842aに納まるようにCCDカメラ84に読み取らせる(S41)。CPU96は、通信手段110により学生寮管理者のサーバ111(
図13参照)に接続し、合意内容情報の照合を行う。
【0084】
合意内容の確認が取れると(S42:YES)、
図17(b)に示すようにタッチパネル83に表示画像843が表示される。ここで、CCDカメラ84により業者の撮影と、マイク88により業者の音声取得が行われるため、業者はCCDカメラ84およびマイク88に向かい、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間,予定の作業時間通りに作業を行えなかった場合にはその理由などを述べる(S43)。CCDカメラ84およびマイク88により取得された撮影データが、撮影データ記憶部981に記憶される(S44)。業者の顔情報や音声を記憶することで、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。なお、業者の撮影は、静止画でも良いし、動画でも良い。
【0085】
次に、コントローラ95は、開閉扉81を開放すると同時に、電子キー1が装着されていないキー孔ユニット82の鍵ロック手段89を解除状態とする(S45)。タッチパネル83には、
図17(c)に示すように、表示画像844が表示され、業者は、電子キー1が装着されていない任意のキー孔85に、電子キー1を返却する(S46)。電子キー1が鍵管理ボックス80に返却されたときに、ICタグデータ読取手段90は、電子キー1の電子キーIDを読み取り、業者が借りていた電子キー1が返却されたことを確認し(S47:YES)、返却時間を履歴記憶部985に記憶する(S48)。
【0086】
図14のS29において業者が電子キー1を取り出した時間が記憶されているため、S48において電子キー1を返却した時間が履歴記憶部985に記憶されることで、業者の学生寮内での滞在時間が確認可能となる。よって、業者の訪問目的に見合う滞在時間であるか否かが確認できるため、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となり、犯罪行為の予防を図ることができるほか、実際に不正行為が行われた場合の状況証拠となり得る。
【0087】
返却時間が履歴記憶部985に記憶された後、コントローラ95のICタグデータ読取手段90が電子キー1から読み取った使用履歴データが、履歴記憶部985に、電子キー1の使用履歴として記憶される(S49)。その後、
図17(d)に示すように、タッチパネル83には表示画像845が表示され、業者に開閉扉81を閉じることを指示する(S50)。その後、
図17(d)に示すように、タッチパネル83には表示画像845が表示され、業者に開閉扉81を閉じることを指示する(S50)。開閉扉81が閉じられたことを確認すると(S51:YES)、鍵管理ボックス80は、S44で撮影データ記憶部981に記憶した業者の撮影データと、S48で履歴記憶部985に記憶した電子キー1の返却時間と、を通信手段110により、入居者のスマートフォンなどに送信する(S52)。
【0088】
入居者は、
図20に示すように、スマートフォン120の画面120aに撮影データを再生することで、撮影データを確認することができる。このとき、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間,予定の作業時間通りに作業を行えなかった場合にはその理由、などの業者が話した音声も再生される。入居者は、学生寮内トラブルなどの対応が完了したことや、業者が確実に部屋Rを退室したことなどを知ることができ、安心感を得ることができる。また、業者が部屋Rから退室したことを知ることで、入居者は部屋R内で業者と鉢合わせすることなく帰宅できる。
【0089】
業者の撮影データおよび電子キー1の返却時間の送信が完了すると、電子キー返却プログラム972は終了し、タッチパネル83には、
図16(a)に示すように表示画像831が表示される。
【0090】
なお、電子キー1に記憶された有効時間データにより定まる有効時間を経過しても電子キー1を鍵管理ボックス80に返却しない場合には、鍵管理ボックス80は通信手段110を通じて、学生寮管理者のサーバ72と通信し、学生寮管理者と業者に警告を出すことが可能である。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の鍵管理ボックス80によれば、
(1,2)集合住宅に配置された部屋Rの電気錠20を解錠するために、外部の使用者である業者に使用される電子キー1を集中して保管管理するためのものであって、電子キー1が装着され、取り出し不能とする鍵ロック手段89と、を有する鍵管理ボックス80において、業者は、集合住宅の入居者から入居者の不在中に入居者の部屋Rに入室することについて予め合意を受けた業者であって、鍵管理ボックス80は、合意を確認する合意確認手段(
図14中のS21およびS22)と、合意確認手段(
図14中のS21およびS22)により確認が行われた場合に、業者の顔情報を取得する撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)と、撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)により撮影した顔情報を記憶しておく撮影データ記憶部981と、顔情報の記憶が完了した場合に、共通鍵に業者が入室することについて合意を受けた部屋Rの電気錠20を解錠する解錠権限を付与する権限付与手段(部屋番号情報書込手段91)と、解錠権限が付与された場合に、鍵ロック手段89を解除する制御手段(コントローラ95)と、を有すること、また、鍵管理ボックス80は、業者が前記集合住宅を退出する際に、撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)により、第2の顔情報を取得し、第2の顔情報を、撮影データ記憶部981に記憶させること、を特徴とするので、業者が入居者の不在時に部屋Rに入室するには、鍵管理ボックス80のところに行き、合意確認手段(
図14中のS21およびS22)と、合意確認手段(
図14中のS21およびS22)に予め入居者との間で行われた合意内容を確認させ、撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)に業者の顔情報を取得させ、電子キー1を取り出し不能としている鍵ロック手段89を解除させ、電子キー1の提供を受けなければならない。また、業者が学生寮を退出する際にも鍵管理ボックス80の撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)に再び顔情報を取得させなければならず、取得された業者の顔情報は、撮影データ記憶部981に記憶される。業者は、顔情報が鍵管理ボックス80に記憶されていることから、入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。さらに、業者にとっては、電子キー1の提供を受けることで、入居者の不在時であっても、学生寮内トラブルの対応作業や、荷物の宅配をすることができるため、作業日程の再調整や荷物の再配達を行う必要がなく、効率が良い。
【0092】
(3)(1)または(2)に記載の鍵管理ボックス80において、鍵管理ボックス80は、通信手段110を有すること、通信手段110により、業者が鍵管理ボックス80を使用したことに関する情報を、外部端末に送信可能であること、を特徴とするので、例えば、業者が鍵管理ボックス80により電子キー1の提供を受けた時点で、電子キー1が貸し出されたこと、更に業者が鍵管理ボックス80に電子キー1を返却した時点で、電子キー1が返却されたこと、を入居者のスマートフォンにメールなどで通知することで、入居者は、業者が学生寮に来たこと、学生寮から退出したこと、入退室の時間を知ることができ、安心感を得ることができる。また、業者が学生寮から退出したことを知ることで、入居者は部屋R内で業者と鉢合わせすることなく帰宅できる。
【0093】
(4)(3)に記載の鍵管理ボックス80において、鍵管理ボックス80は、前記通信手段110により、撮影データ記憶部981に記憶された情報を、外部端末に送信可能であること、を特徴とするので、鍵管理ボックス80は、撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)により取得した業者の顔情報を、通信手段110により、入居者が所持するスマートフォンなどに送信することができる。入居者は、顔情報を確認することで、どのような者が部屋Rに入室したのか知ることができるため、安心感を得ることができる。特に、入居者が女性であり、女性の作業員などの訪問を希望していた場合において、入居者は顔情報を確認することで確実に女性の作業員が訪問していることを知ることができ、安心感を得ることができる。
【0094】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の鍵管理ボックス80において、鍵管理ボックス80は、業者の音声を取得するマイク88を有すること、撮影データ記憶部981は、撮影手段(CCDカメラ84及び顔情報取得部94からなる)が取得した顔情報とともに、マイク88により取得した業者の音声を記憶すること、を特徴とするので、マイク88により業者の話した内容を録音し、録音した内容を顔情報とともに撮影データ記憶部981に記憶させることができる。例えば、業者と学生寮管理者との事前契約の段階で、業者が鍵管理ボックス80から電子キー1の提供を受ける際に、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間などを語らせること、業者が電子キー1を鍵管理ボックス80に返却する際に、業者名,氏名,訪問の目的,作業時間,予定の作業時間通りに作業を行えなかった場合にはその理由などを語らせること、をマニュアル化させる。マニュアル化させ、業者に氏名等を語らせることで、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となり、犯罪行為の予防を図ることができる。
【0095】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の鍵管理ボックス80において、 鍵管理ボックス80は、予め集合住宅に入ることを許可されている複数の業者を記憶する外部使用者記憶部983を有すること、外部使用者記憶部983に記憶された複数の業者のうち、入居者が予め部屋Rに入室することについて許可している業者を記憶する許可使用者記憶部984を有すること、合意確認手段(
図14中のS21およびS22)は、外部使用者記憶部983と、許可使用者記憶部984と、に記録された業者であるか否かにより合意確認を行うこと、を特徴とするので、業者が入居者の部屋Rに入室するには、合意確認手段(
図14中のS21およびS22)において、入室しようとする業者が、予め学生寮管理者との契約などにより学生寮に入室することを許可され、外部使用者記憶部983に記憶された複数の業者の一つであること、外部使用者記憶部983に記憶された複数の業者のうち契約などにより入居者が部屋Rへの入室を許可し、許可使用者記憶部984に記憶された業者であること、の照合が合意確認手段(
図14中のS21およびS22)で行われなければならない。よって、契約業者以外の学生寮への入室および部屋Rへの入室を防止することができ、入居者は安心感を得ることができる。
【0096】
(7)(1)または(2)に記載の鍵管理ボックス80において、 鍵管理ボックス80は、業者が電子キー1を取り出した時間と、業者が電子キー1を返却した時間と、を記憶する履歴記憶部985を有すること、を特徴とするので、業者が電子キー1を取り出した時間と、電子キー1を返却した時間が履歴記憶部985に記憶されることで、業者の学生寮内での滞在時間が確認可能となる。よって、業者の訪問目的に見合う滞在時間であるか否かが確認できるため、業者は入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となり、犯罪行為の予防を図ることができるほか、実際に不正行為が行われた場合の状況証拠となり得る。
【0097】
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の鍵管理ボックス80において、集合住宅の入居者の部屋Rに、業者が、入居者の部屋Rに入室した際に部屋R内部を撮影する撮影装置100が配置され、鍵管理ボックス80は、撮影装置100が撮影した撮影データを記憶する撮影装置データ記憶部982を有すること、を特徴とするので、業者が入居者の部屋Rに入室し、作業をしている様子を部屋R内の撮影装置100で撮影し、撮影データを鍵管理ボックス80の撮影装置データ記憶部982に記憶させることができる。例えば、首振り機能を有する撮影装置100を用いれば、学生寮の部屋Rはワンルームであることが多いため、部屋R全体を十分に撮影することが可能である。さらに、動作検知機能を有する撮影装置100を用いれば、業者の入室を検知し、行動を追いかけることが可能である。業者は、撮影されていることで、入室した部屋Rにおいて不正を行いにくい心情となるため、犯罪行為の予防を図ることができる。
【0098】
(9)(8)に記載の鍵管理ボックス80において、鍵管理ボックス80は、撮影装置データ記憶部982に記憶された撮影データを、通信手段により外部端末に送信可能であること、を特徴とするので、撮影装置データ記憶部982に記憶されている業者の部屋R内での作業の様子を、通信手段110により入居者の有するスマートフォンなどに送信することができる。例えば、入居者が宅配を依頼した場合に、宅配業者が荷物を部屋Rに持ち込む以外の行動を取っていないか、入居者が電灯の交換を業者に依頼した場合には、業者が部屋R内で電灯交換作業に関係のない場所に移動していないか、などを撮影データにより確認することができるため、業者が入居者の部屋R内で不正を行っていないかどうか知ることができ、安心感を得ることができる。さらに、撮影データを業者の管理部署などに送信すれば、作業担当者が訪問先で不正を行っていないかなどを確認することができる。
【0099】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施の形態では、鍵管理ボックス80のCCDカメラ84により合意内容に関する情報が格納されたQRコードを読み取らせることとしているが、鍵管理ボックス80に非接触式ICチップ読取手段を設け、利用者が有するスマートフォンやICカードの非接触式ICチップに合意情報を格納させ、前記非接触式ICチップ読取手段により合意情報を読み取らせることとしても良い。また、管理番号として単純な数列を例として挙げているが、より複雑な暗号としても良い。さらに、撮影装置100の設置方法として、部屋Rの天井に設置する方法を例として挙げているが、部屋Rの床の上や、部屋R内に棚が置かれていれば、該棚の上に設置する方法を取っても良い。さらにまた、本実施形態における電気錠20の制御基板70は、電気錠20に備えられた乾電池を電源として駆動することとしているが、電子キー1が電池を備えるものとし、電子キー1を電気錠20に挿し込むことで、電子キー1の電池が電源となり、電気錠20の制御基板70を駆動できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 電子キー(共通鍵の一例)
20 電気錠
80 鍵管理ボックス
84 CCDカメラ(撮影手段の一部)
88 マイク(録音手段の一例)
89 鍵ロック手段
91 部屋番号情報書込手段(権限付与手段の一例)
94 顔情報取得部(撮影手段の一部)
95 コントローラ(制御手段の一例)
100 撮影装置
110 通信手段
981 撮影データ記憶部
982 撮影装置データ記憶部
983 外部使用者記憶部
984 許可使用者記憶部
985 履歴記憶部