(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】Nkx3.2断片及び活性成分としてNkx3.2断片を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20220411BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220411BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220411BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220411BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20220411BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220411BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20220411BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20220411BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20220411BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220411BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20220411BHJP
A61P 19/08 20060101ALN20220411BHJP
【FI】
A61K38/16 ZNA
A61P19/02
A61P29/00 101
A61K48/00
A61K35/761
A61K35/76
A61K35/763
C12N7/01
C07K14/47
C12N15/12
A61P43/00 111
A61P19/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020183392
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2019545223の分割
【原出願日】2017-11-09
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2016-0149090
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519163980
【氏名又は名称】アイシーエム・カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICM CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 323 Room 426,50,Yonsei-ro,Seodaemun-gu,Seoul 03722,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ-ウォン
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0004047(US,A1)
【文献】日本臨牀,2014年,72, 増刊3,pp.159-164
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番
号21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを活性成分として含む
、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項2】
前記関節炎が、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
配列番
号21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを活性成分として含む
、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項4】
前記ウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス及びワクシニアウイルスからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項
3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記関節炎が、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項
3に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎の病理学的組織環境下での安定性が改善されたNkx3.2断片及び活性成分としてNkx3.2断片を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的に起こる関節炎の1つである変形性関節炎は、変性変化が、関節を保護する軟骨組織、骨及び関節を形成する靭帯、等に損傷を与える疾患であり、それによって炎症及び痛みをもたらす。従来、変形性関節炎の治療は、炎症の制御によって主に実施されてきた。しかしながら、炎症の制御は、根本的な治療的技術であり得ないということが証明された。
【0003】
したがって、変形性関節炎の原因を治療するためには、過程、例えば軟骨細胞の生成、分化、死、カルシウム沈着を調節する標的の同定、及び標的を制御する方法の開発が必要である。
【0004】
一方、過剰発現するNkx3.2(NK3ホメオボックス2)が、変形性関節炎によって引き起こされる軟骨組織の喪失を抑制することが示されており、したがってこのタンパク質を、変形性関節炎の治療に使用してもよい。この関連において、韓国特許番号10-1150900は、Nkx3.2タンパク質を使用する関節炎を治療するための組成物、関節炎診断用キット、又は関節炎用の治療的薬剤をスクリーニングする方法について記述している。
【0005】
加えて、Nkx3.2タンパク質の分解が、軟骨細胞の肥大及びカルシウム沈着の過程において活性化されるインディアンヘッジホッグ(Ihh)シグナル伝達によって促進され、この現象が、タンパク質分解酵素、Siah1により媒介されることが示された。さらに、インディアンヘッジホッグシグナル伝達が、軟骨細胞カルシウム沈着を併発する変形性関節炎の発生と共に増大し、インディアンヘッジホッグシグナル伝達の制御が、動物モデルにおいて変形性関節炎の進行を抑制することが示された。
【発明の詳細な説明】
【0006】
[技術的課題]
本発明者らは、変形性関節炎の病理学的環境下で効果的に機能できるNkx3.2バリアントを使用する変形性関節炎の治療法を開発する研究を行った。その結果、本発明者らは、Siah1により誘導されるタンパク質分解に耐性のあるNkx3.2断片を作製した。本発明者らは、上述したNkx3.2断片が、全長Nkx3.2と同程度のレベルでNF-κB活性化を誘導できることも同定した。さらに、本発明者らは、Nkx3.2断片が、変形性関節炎に対して全長Nkx3.2と比較して著しく改善された治療的効能を呈することを発見した。
【0007】
[課題の解決手段]
上記の目的を達成するために、
本発明は、式(I):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(I)
により表されるポリペプチドを提供し、
上記式(I)において、
コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0008】
本発明は、式(II):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(II)
により表されるポリペプチドも提供し、
上記式(II)において、
コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0009】
さらに、本発明は、上述したポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
加えて、本発明は、上述したポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、上述した発現ベクターを保有する宿主細胞を提供する。
【0012】
加えて、本発明は、活性成分として上述したポリペプチドのいずれかを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、上述したポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを提供する。
【0014】
加えて、本発明は、活性成分として上述した組換えウイルスのいずれかを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、それを必要とする対象に上述した医薬組成物を投与する工程を含む、関節炎を予防又は治療する方法を提供する。
【0016】
[発明の有利な効果]
本発明のNkx3.2断片は、全長Nkx3.2と同程度のレベルでNF-κBを活性化する機能があり、Siah1により媒介されるタンパク質分解に耐性がある。加えて、上述したNkx3.2断片は、動物モデルに基づくin vivo有効性評価において全長Nkx3.2と比較して変形性関節炎に対して改善された治療的効果を呈する。したがって、Nkx3.2断片は、関節炎を予防又は治療するために効果的に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、Siah1により媒介されるタンパク質分解に対するNkx3.2断片の耐性を示す写真である。
【
図2】
図2は、IκBαに対するNkx3.2断片の結合を示す写真である。
【
図3】
図3は、NKx3.2断片によるIκBαの分解の誘導を示す写真である。
【
図4】
図4は、NKx3.2断片によるNF-κBの転写活性の活性化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、Nkx3.2により誘導されるNF-κB活性化過程の基礎になる分子機序を図示する概念図である。
【
図6】
図6は、変形性関節炎誘導動物モデルを使用するNkx3.2断片の治療的効果の評価の動物実験手順の概念図である。
【
図7】
図7は、罹患した領域において発現されるNkx3.2又はNkx3.2断片の変形性関節炎に対する治療的効能の組織病理学的評価を示す写真である。
【
図8】
図8は、組織学的分析によって得られた全体のデータの定量的評価に基づく0~5段階の変形性関節炎の重症度を示すグラフである。
【発明を実施するための最善な様式】
【0018】
以下に、本発明が、詳細に述べられることになる。
【0019】
本発明は、式(I):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(I)
により表されるポリペプチドを提供し、
上記式(I)において、
コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0020】
コアドメインは、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列166位~309位を含むポリペプチドである。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0021】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~165位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0022】
N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の幾つかの態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38、41、44、47、50若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0023】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列310~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0024】
C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0025】
具体的には、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0026】
本発明の幾つかの態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、15、17、19、21若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0027】
アミノ酸残基の削除は、N末端伸長ドメインとC末端伸長ドメインの一方又は両方において起こってもよい。ある特定の態様において、ポリペプチドは、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0028】
本発明は、配列番号13又はその断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。断片は、1~53個のアミノ酸が配列番号13の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。加えて、断片は、1~23個のアミノ酸が配列番号13の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0029】
本発明の他の態様において、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含んでもよい。加えて、ポリペプチドは、11、18、38、41、44、47、50又は53個のアミノ酸残基が、配列番号13の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。加えて、ポリペプチドは、13、15、17、19、21又は23個のアミノ酸残基が、配列番号13の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0030】
加えて、本発明は、式(II):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(II)
により表されるポリペプチドを提供し、
上記式(II)において、
コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0031】
コアドメインは、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列154位~317位を含むポリペプチドである。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0032】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~153位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0033】
N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0034】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列318位~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0035】
C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0036】
具体的には、C末端伸長ドメインは、13又は15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0037】
本発明の態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は3、6、9、13若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0038】
上記の式(I)又は(II)により表されるポリペプチドは、Nkx3.2タンパク質の断片であり、生体には天然に存在しない。にもかかわらず、ポリペプチドは、全長Nkx3.2タンパク質と同等の活性を有するが、in vivoで容易に分解されず、したがって、全長Nkx3.2より長く体内に存在し続け、優れた活性を呈し得る。
【0039】
本発明は、上記の式(I)又は(II)により表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0040】
本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号2又は38、配列番号36又は40及び配列番号6又は42のヌクレオチド配列をそれぞれ含んでもよい、コアドメイン、N末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインをコードする。
【0041】
ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号35又は配列番号5のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0042】
加えて、ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号37、配列番号39又は配列番号41のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0043】
本発明は、ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0044】
発現ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター又はウイルスベクターでもよい。発現ベクターは、本発明によるポリヌクレオチドが発現され、その中に分泌され得るように当業者により構築され得る。
【0045】
加えて、本発明は、発現ベクターを保有する宿主細胞を提供する。
【0046】
宿主細胞は、本発明によるポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトされた細胞であり、原核生物細胞又は真核生物細胞であってもよい。具体的には、宿主細胞は、哺乳動物細胞であってもよい。トランスフェクションは、当業者に公知の方法を使用して実施することができる。一方、原核生物細胞の例は大腸菌(E. coli)であってもよく、真核生物細胞の例は酵母であってもよい。加えて、哺乳動物細胞は、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、HeLa細胞、CapT細胞(ヒト羊水由来細胞)又はCOS細胞であってよい。
【0047】
本発明は、ここで提供されるポリヌクレオチドを含む、組換えウイルスを提供する。
【0048】
ウイルスは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス及びワクシニアウイルスからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。具体的には、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)であってもよい。アデノ随伴ウイルスは、特定の血清型に限定されず、幾つかの態様において、AAVは、AAV1~AAV9のいずれか1つであってもよい。
【0049】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、分裂しない細胞に感染する能力があり、様々な型の細胞に感染する能力を有するので、アデノ随伴ウイルスが、本発明の遺伝子送達システムとして適当に使用される。調製物の詳細及びAAVベクターの使用については、例えば、米国特許第5,139,941号及び第4,797,368号に記述されている。
【0050】
一般に、AAVは、2つのAAV末端反復に隣接する目的の遺伝子配列を含むプラスミドと末端反復を含まない野生型AAVコード配列を含む発現プラスミドとの同時トランスフェクションにより作製できる。
【0051】
本発明の態様において、本発明者らは、Nkx3.2断片を作製し、その断片がSiah1によって分解されないことを発見した(
図1)。本発明者らは、ここで提供されるNKx3.2断片が、IκBαに結合することによってIκBαの分解を誘導し(
図2及び
図3)、NF-κBの転写活性化を誘導する(
図4)ことも発見した。加えて、本発明者らは、Nkx3.2断片をコードするポリヌクレオチドを含むアデノ随伴ウイルスが、変形性関節炎誘導マウスに投与されると、損傷を受けた軟骨組織が回復することを発見した(
図7及び
図8)。したがって、本発明のNkx3.2断片は、関節炎を予防又は治療するために効果的に使用され得る。
【0052】
本発明は、活性成分としてここで提供されるポリペプチドを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。具体的には、本発明は、活性成分としてここで提供されるNkx3.2断片を含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【0053】
Nkx3.2断片は、式(I):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(I)
により表されるポリペプチドであってもよく、
上記式(I)において、
コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0054】
コアドメインは、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列166位~309位を含むポリペプチドである。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0055】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~165位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0056】
N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38、41、44、47、50若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0057】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列310位~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0058】
C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0059】
具体的には、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0060】
ある特定の態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、15、17、19、21若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0061】
アミノ酸残基の削除は、N末端伸長ドメインとC末端伸長ドメインの一方又は両方において起こってもよい。幾つかの態様において、ポリペプチドは、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0062】
本発明は、配列番号13又はその断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。断片は、1~53個のアミノ酸が配列番号13の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。加えて断片は、1~23個のアミノ酸が配列番号13の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0063】
本発明の態様において、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含んでもよい。加えて、ポリペプチドは、11、18、38、41、44、47、50又は53個のアミノ酸残基が、配列番号13の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。加えて、ポリペプチドは、13、15、17、19、21又は23個のアミノ酸残基が、配列番号13の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0064】
加えて、Nkx3.2断片は、式(II):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(II)
により表されるポリペプチドであってもよく、
上記式(II)において、
コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0065】
コアドメインは、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列154位~317位を含むポリペプチドである。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0066】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~153位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0067】
N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0068】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列318位~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0069】
C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0070】
具体的には、C末端伸長ドメインは、13又は15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0071】
本発明の態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は3、6、9、13若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0072】
上記の式(I)又は(II)により表されるポリペプチドは、Nkx3.2タンパク質の断片であり、生体には天然に存在しない。しかしながら、ポリペプチドは、全長Nkx3.2タンパク質と同等の活性を有するが、in vivoで容易に分解されず、したがって、全長Nkx3.2より長く体内に存在し続け、優れた活性を呈し得る。
【0073】
Nkx3.2断片は、(I)又は(II)により表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞により得ることができる。
【0074】
ポリヌクレオチドは、配列番号2又は38、配列番号36又は40及び配列番号6又は42のヌクレオチド配列をそれぞれ含んでもよい、上述のコアドメイン、N末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインをコードする。
【0075】
ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号35又は配列番号5のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0076】
加えて、ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号37、配列番号39又は配列番号41のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0077】
発現ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター又はウイルスベクターでもよい。発現ベクターは、本発明によるポリヌクレオチドが発現され、その中に分泌され得るように当業者により構築され得る。
【0078】
宿主細胞は、本発明によるポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトされた細胞であり、原核生物細胞又は真核生物細胞であってもよい。具体的には、宿主細胞は、哺乳動物細胞であってもよい。トランスフェクションは、当業者に公知の方法により実施することができる。一方、原核生物細胞の例は大腸菌であってもよく、真核生物細胞の例は酵母であってもよい。加えて、哺乳動物細胞は、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、HeLa細胞、CapT細胞(ヒト羊水由来細胞)又はCOS細胞であってよい。
【0079】
関節炎は、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、老化関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。
【0080】
医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して活性成分として0.1%~99重量%、1%~90重量%及び10%~80重量%の本発明によるポリペプチドを含んでもよい。加えて、本発明の医薬組成物は、上記の活性成分に加えて同じ又は類似の機能を呈する1つ以上の活性成分をさらに含んでもよい。
【0081】
本発明による医薬組成物は、上記の活性成分に加えて投与のために1つ以上の薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。
【0082】
関節炎を予防又は治療するための、活性成分としてNkx3.2断片を含む医薬組成物の投薬は、疾患の型、疾患の重症度、活性成分及び医薬組成物に含まれる他の成分の型及び内容物、製剤の型、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の期間、投与経路、治療の期間、並びに同時に使用される薬物を含めた様々な因子に応じて調整されてもよい。
【0083】
しかしながら、所望の効果のために、本発明による医薬組成物に含まれるポリペプチドの投薬は、0.0001~100mg/kgでもよい。ここで、投与は、1日に1回実施されても又は数回に分けられてもよい。
【0084】
本発明は、活性成分として組換えウイルスを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。具体的には、本発明は、活性成分として、Nkx3.2断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【0085】
組換えウイルスに搭載されるポリヌクレオチドは、以下の式(I):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(I)
によって表されるポリペプチドをコードしてもよく、
上記式(I)において、
コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0086】
コアドメインは、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列166位~309位を含むポリペプチドである。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0087】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~165位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0088】
N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38、41、44、47、50若しくは53個のアミノ酸残基が、配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり得る。
【0089】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列310位~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0090】
C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0091】
具体的には、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0092】
本発明の態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は13、15、17、19、21若しくは23個のアミノ酸残基が、配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0093】
アミノ酸残基の削除は、N末端伸長ドメインとC末端伸長ドメインの一方又は両方において起こってもよい。本発明の態様において、ポリペプチドは、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0094】
加えて、組換えウイルスに搭載されるポリヌクレオチドは、以下の式(II):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン(II)
によって表されるポリペプチドをコードしてもよく、
上記式(II)において、
コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
N末端伸長ドメインは、1~41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
C末端伸長ドメインは、1~15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0095】
コアドメインとは、全長Nkx3.2タンパク質の154位~317位のアミノ酸配列を含むポリペプチドのことを指す。全長Nkx3.2タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含んでもよく、コアドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0096】
N末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのN末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列112位~153位を含むポリペプチドである。N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0097】
N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。本発明の態様において、N末端伸長ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は11、18、38若しくは41個のアミノ酸残基が、配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0098】
C末端伸長ドメインは、上述のコアドメインのC末端に結合しているドメインであり、全長Nkx3.2タンパク質のアミノ酸配列318位~333位を含むポリペプチドである。C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0099】
C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0100】
具体的には、C末端伸長ドメインは、13又は15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0101】
本発明の態様において、C末端伸長ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は3、6、9、13若しくは15個のアミノ酸残基が、配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0102】
上記の式(I)又は(II)により表されるポリペプチドは、Nkx3.2タンパク質の断片であり、in vivoで存在しない。しかしながら、ポリペプチドは、全長Nkx3.2タンパク質と同じ活性を有するが、in vivoで容易に分解されず、したがって、全長Nkx3.2より長く体内に存在し続けて優れた活性を呈する。
【0103】
Nkx3.2断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスは、(I)又は(II)により表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトされた宿主細胞によって得ることができる。
【0104】
ポリヌクレオチドは、配列番号2又は38、配列番号36又は40及び配列番号6又は42のヌクレオチド配列をそれぞれ含んでもよい、上述のコアドメイン、N末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインをコードする。
【0105】
ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号35又は配列番号5のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0106】
加えて、ポリヌクレオチドは、上記のとおりN末端伸長ドメイン及びC末端伸長ドメインにおけるアミノ酸残基の削除により得られる断片をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号37、配列番号39又は配列番号41のポリペプチドを発現する別のヌクレオチド配列で置換されたポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0107】
ポリヌクレオチドは、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0108】
ウイルスは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス及びワクシニアウイルスからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。具体的には、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)であってもよい。アデノ随伴ウイルスは、特定の血清型に限定されず、好ましくは、AAV1~AAV9のいずれか1つであってもよい。
【0109】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、分裂しない細胞に感染する能力があり、様々な型の細胞に感染する能力を有するので、アデノ随伴ウイルスが、本発明の遺伝子送達システムとして適当に使用される。調製物の詳細及びAAVベクターの使用については、米国特許第5,139,941号及び第4,797,368号に記述されている。
【0110】
一般に、AAVは、2つのAAV末端反復に隣接する目的の遺伝子配列を含むプラスミドと末端反復がない野生型AAVコード配列を含む発現プラスミドとの同時トランスフェクションにより作製できる。
【0111】
関節炎は、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、老化関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。
【0112】
本発明による医薬組成物は、上記の活性成分に加えて投与のために1つ以上の薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。
【0113】
活性成分として、Nkx3.2断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物の投薬は、疾患の型、疾患の重症度、活性成分及び医薬組成物に含まれる他の成分の型及び内容物、製剤の型、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の期間、投与経路、治療の期間、並びに同時に使用される薬物を含めた様々な因子に応じて調整されてもよい。
【0114】
しかしながら、所望の効果のために本発明による医薬組成物に含まれる組換えウイルスは、成人の場合1日につき1.0×105~1.0×1015個ウイルスゲノムの量で投与されてもよい。具体的には、本発明の医薬組成物の投薬は、投与が、成人の場合1日につき1.0×105~1.0×1015、1.0×107~1.0×1013、1.0×108~1.0×1012、又は1.0×109~1.0×1010個の量で実施されるものでもよい。
【0115】
本発明は、それを必要とする対象に医薬組成物を投与する工程を含む、関節炎を予防又は治療する方法を提供する。具体的には、本発明は、それを必要とする対象に、活性成分としてNkx3.2断片又はNkx3.2断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物を投与する工程を含む、関節炎を予防又は治療する方法を提供する。
【0116】
対象は、哺乳動物、特にヒトであってもよい。投与経路は、投与方法、容積及び体液の粘性、等を考慮して当技術に熟達した者により適切に選択され得る。具体的には、医薬組成物は、関節内投与であってもよい。
【0117】
医薬組成物は、関節内投与であってもよい。ここで、用語「関節内」は、投与が、関節内の骨の間の隙間である関節包に囲まれた内腔を介して実施されることを意味する。関節内投与を実施する様々な方法が存在する。例えば、患者が、天井を見る姿勢で横になった状態で片膝を90°曲げるよう求められ、注射器が関節内に挿入される方法がある。この姿勢では、内側及び外側の関節境界を、手で比較的容易に区別できる。注射は、内側と外側関節境界の一方又は両方で実施され得、内側関節境界線でほとんどの場合実施される。加えて、膝が伸展された姿勢で注射を実施する方法もある。両方の姿勢の場合、注射器が既定の注射部位に正しく挿入されれば、注射溶液はほとんど抵抗なく注射できる。しかしながら、注射器を押したときに、薬物がうまく入らず、抵抗感が認識される、又は患者が激しい痛みを訴える場合、注射器の注射部位が調整されるべきである。
【0118】
本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドのいずれか1つの領域を削除する工程を含む、体内での安定性を増大させたNkx3.2断片を作製する方法を提供し、その領域は、N末端領域及びC末端領域、並びにその組合せからなる群から選択される。
【0119】
N末端領域の削除は、1~165個のアミノ酸が配列番号7の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されるものであってもよい。具体的には、削除は、1~53個のアミノ酸が配列番号7の112位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されるものであってもよい。本発明の態様において、N末端領域の削除は、11、18、38、41、44、47、50又は53個のアミノ酸残基が、配列番号7の112位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に削除されるものであってもよい。
【0120】
C末端領域の削除は、1~23個のアミノ酸が配列番号7の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されるものであってもよい。本発明の態様において、C末端領域の削除は、13、15、17、19、21又は23個のアミノ酸残基が、配列番号7の333位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に削除されるものであってもよい。
【0121】
アミノ酸残基の削除は、N末端領域とC末端領域の一方又は両方で起こってもよい。本発明の態様において、Nkx3.2断片は、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列を含んでもよい。
【0122】
アミノ酸残基の削除は、当技術に熟達した者により適切な方法で実施され得る。上記の方法により作製された、体内での安定性を増大させたNkx3.2断片は、in vivoでSiah1によって容易に分解されず、したがって野生型Nkx3.2タンパク質より長く体内に存在してもよい。
【本発明を実施するための様式】
【0123】
以下に、本発明が、以下の実施例により詳細に述べられることになる。しかしながら、以下の実施例は本発明を例示することを単に目的とするものであり、本発明は、それに限定されない。
【0124】
実施例1 Nkx3.2断片を発現するベクターの構築
Siah1によって媒介されるタンパク質分解に耐性のあるバリアントを得るために、Nkx3.2断片を発現するベクターを以下の方法により構築した。
【0125】
具体的には、配列番号8により表されるヌクレオチド配列を有するNkx3.2遺伝子を鋳型として使用し、製造業者のプロトコールにしたがってLamp Pfu DNAポリメラーゼ(カタログ番号LP116-250、BIOFACT Co.,Ltd.、韓国)を使用して増幅した。増幅したPCR産物のそれぞれを、制限酵素EcoRI(カタログ番号FD0274、Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)、及びXhoI(カタログ番号FD0694、Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)又はXbaI(カタログ番号FD0684、Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)で切断し、T4リガーゼ(カタログ番号EL0011、Thermo Fisher Scientific Inc.、米国)を使用してpCS発現ベクター(Addgene、カタログ番号17095)にそれぞれ挿入した。
【0126】
結果として、Nkx3.2断片を発現する発現ベクターを20種類、下記の表1に示すように構築した。
【0127】
【0128】
実施例2 Siah1により媒介されるタンパク質分解に耐性のあるNkx3.2断片の選択
実施例1において構築したNkx3.2断片を発現する発現ベクターを使用して、Siah1によって分解されないNkx3.2断片を、以下の方法により選択した。
【0129】
第1に、Siah1(配列番号29;GenBank Accession番号AAH35562.1)を、実施例1に記載される同じ条件及び方法でPCRによって増幅し、増幅されたPCR産物を、EcoRI及びNcoIで切断した。Siah1を発現する発現ベクターを構築するために、得られた産物を、同じ制限酵素で切断されており、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素(HA)アミノ酸配列(配列番号33;YPYDVPDYA)が3回繰り返されているタグを含むpCS3HA発現ベクター(Addgeneプラスミド#17095、pCS2P+のEcoRIとClaI部位の間に3-HAエピトープタグが挿入されているベクター)に挿入した。
【0130】
一方、293T腎臓細胞株(カタログ番号CRL-3216、ATCC、米国)を、10%(体積/体積)ウシ胎仔血清(FBS)で補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)培地中で37℃及び5%CO2の条件で培養した。調製した細胞を、細胞数が5×105個になるように、60×15mm細胞培養プレートに分注した。Nkx3.2を発現する発現ベクター2μg及びNkx3.2断片を発現する発現ベクターのそれぞれ4μgを、それぞれ、Siah1を発現する発現ベクター2μgと一緒に使用して、細胞に一過性にトランスフェクションを行った。トランスフェクションを、製造業者のプロトコールにしたがってVivaMagic(カタログ番号VM001、VIVAGEN CO.,LTD.、韓国)を使用して実施した。
【0131】
全タンパク質を、トランスフェクトした細胞から単離し、Bio-Rad Laboratoriesタンパク質キット(カタログ番号500-0116、Bio-Rad Laboratories, Inc.、米国)を使用して定量化した。次いで、Nkx3.2、Siah1及びβアクチンのそれぞれに対するウェスタンブロッティングを従来の方法により実施した。ここで、抗Nkx3.2抗体(カタログ番号Ab83288、Abcam、イギリス)、抗HA抗体(カタログ番号11583816001、Roche、スイス)、抗Myc抗体(カタログ番号11667149001、Roche、スイス)、及び抗βアクチン抗体(カタログ番号LF-PA0207、AbFrontier、韓国)を、3%(体積/体積)ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するTBST緩衝液にそれぞれ1:1,000、1:5,000、1:5,000及び1:5,000で希釈し、使用した。結果として、ウェスタンブロッティングバンドの写真を
図1に例示し、下記の表2に要約する。
【0132】
【0133】
図1に例示され、表2に示されるとおり、全長Nkx3.2(1~333)とは異なり、Siah1によるNkx3.2タンパク質の分解は、断片Nkx3.2(1~320)、Nkx3.2(1~307)、Nkx3.2(123~333)、Nkx3.2(99~320)、Nkx3.2(112~320)、Nkx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)において起こらなかった。
【0134】
実施例3 Nkx3.2断片がIκBαに結合するかどうかの同定
Nkx3.2は、IκBαに結合することによってNF-κB活性化を誘導する。したがって、免疫沈降を使用して、断片Nkx3.2(112~320)、Nkx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)が、IκBαに結合するかどうか同定した。
【0135】
第1に、IκBα(配列番号31;GenBank Accession番号CAB65556)を、実施例1に記載される同じ条件及び方法でPCRによって増幅し、増幅されたPCR産物を、EcoRI及びXbaIで切断した。IκBαを発現する発現ベクターを構築するために、得られた産物を、同じ制限酵素で切断されており、Mycアミノ酸配列(配列番号34:EQKLISEEDL)が6回繰り返されたタグを含むpCS6Myc発現ベクター(Addgeneプラスミド#17095、pCS2P+のEcoRIとClaI部位の間に6-Mycエピトープタグが挿入されているベクター)に挿入した。
【0136】
次いで、Nkx3.2(1~333)を発現する発現ベクター及び実施例1において作製した断片を発現する発現ベクターのそれぞれ8μgを、それぞれ、等量のIκBαを発現する発現ベクターと一緒に使用して、293T腎臓細胞株に実施例2に記載の同じ条件及び方法でトランスフェクションを行った。ここで、IκBαタンパク質が、Nkx3.2タンパク質によって分解されることを防ぐために、プロテアソーム分解サプレッサーであるMG132(カタログ番号474790、Merck Millipore、ドイツ)を、濃度20μMで添加した。6時間後に、全タンパク質を細胞から単離し、免疫沈降を、IκBαを標識しているMycを認識する抗Myc抗体を使用して従来どおりの方法で実施した。次いで、ウェスタンブロッティングを、上記の抗体を使用して実施した。得られた結果の写真を、
図2に例示する。
【0137】
図2に例示するように、全長Nkx3.2(1~333)と類似して、バンドが、断片Nkx3.2(112~320)、Nkx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)に対して形成された。したがって、Nkx3.2断片は、IκBαに結合して、NF-κBの活性化に必ず必要とされる複合体を形成する機能を有すると同定された。
【0138】
実施例4 IκBαタンパク質が、Nkx3.2断片により分解されるかどうかの同定
Nkx3.2は、IκBαに結合し、したがってプロテアソームによるIκBαのユビキチン化及び分解を促進する。したがって、ウェスタンブロッティングを実施して、断片Nkx3.2(112~320)、Nkx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)が、これらの活性を維持するかどうか同定した。
【0139】
一方、ATDC5軟骨細胞株(カタログ番号RCB0565、理研、日本)を、10%(体積/体積)ウシ胎仔血清で補充したDMEM/F12(ダルベッコ改変イーグル培地:栄養混合物F-12)培地中で37℃及び5%CO2の条件で培養した。調製した細胞を、細胞数が5×105個になるように、90×20mm細胞培養プレートに分注した。Nkx3.2(1~333)を発現する発現ベクター4μg及びNkx3.2断片を発現する発現ベクターのそれぞれ8μgを、それぞれ、IκBαを発現する発現ベクター1μgと一緒に使用して、細胞に一過性にトランスフェクションを行った。トランスフェクションを、製造業者のプロトコールにしたがってVivaMagic(カタログ番号VM001、VIVAGEN CO., LTD.、韓国)を使用して実施した。
【0140】
その後の過程は、ウェスタンブロッティングを実施例2に記載の同じ条件及び方法で実施したものであり、得られた結果の写真を
図3に例示する。
【0141】
図3に示すように、全長Nkx3.2(1~333)と類似の強度を持つバンドが、断片Nkx3.2(112~320)、Nkx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)に対して形成された。それ故、Nkx3.2断片は、全長Nkx3.2と同じレベルでIκBαのタンパク質分解を誘導すると同定される。
【0142】
実施例5 NF-κBの転写機能が、Nkx3.2断片により活性化されるかどうかの同定
Nkx3.2は、NF-κB活性化を誘導することにより軟骨細胞の細胞死を抑制する。したがって、Nkx3.2断片によるNF-κB活性化を測定するために、NF-κB特異的DNA結合部位(配列番号35:GGGAATTTCC)が4回繰り返されるポリヌクレオチド配列を、MluI及びXhoIを使用してpGL3-Basicベクター(カタログ番号E1751、Promega、米国)に挿入して、4x-κB-Luc発現ベクターを構築した。さらに、発現ベクターを使用して、ルシフェラーゼ活性を分析することによりNkx3.2によるNF-κBの転写機能の活性化を測定した。
【0143】
最初に、全長Nkx3.2(1~333)を発現する発現ベクター及びNkx3.2断片を発現する発現ベクターのそれぞれ200ng、4x-κB-Luc発現ベクター100ng、並びにpRL-TK発現ベクター(カタログ番号E2241、Promega、米国)20ngをそれぞれ使用して、293T腎臓細胞株に一過性にトランスフェクションを行った。
【0144】
トランスフェクションを、製造業者のプロトコールにしたがってVivaMagicを使用して実施した。24時間後に、ルシフェラーゼアッセイを、製造業者のプロトコールにしたがってDual-Luciferase Reporter Assay System(カタログ番号E1910、Promega、米国)を使用して実施した。
【0145】
具体的には、トランスフェクトした293T腎臓細胞株の培養を除去し、1×PBSで洗浄した。1×受動的溶解緩衝液(PLB)150μlをそれに添加し、細胞を室温で15分間溶解させた。細胞溶解物10μlに、LAR II 50μlを添加し、得られたものを反応させておいた。次いで、ホタルルシフェラーゼ活性を測定した。このために、Stop & Glo 50μlを添加し、レニラルシフェラーゼ活性を測定した。各サンプルの、実験結果において、レニラルシフェラーゼ活性を、ホタルルシフェラーゼ活性に対して標準化し、パーセンテージの平均を、したがって、
図4に例示する。
【0146】
図4に示すように、陰性対照としてpCS2ベクターだけをトランスフェクトした細胞におけるルシフェラーゼ活性を1と設定した場合、全長Nkx3.2(1~333)だけでなく断片Nkx3.2(112~320)、NKx3.2(123~320)、Nkx3.2(130~320)、Nkx3.2(150~320)及びNkx3.2(153~318)も有意に増大したルシフェラーゼ活性を呈した。したがって、Nkx3.2断片は、全長Nkx3.2と類似のレベルでNF-κBの転写機能を活性化する機能を保持すると同定される。
【0147】
実施例6 変形性関節炎に対するNkx3.2断片の改善された治療的効能の同定
上記のin vitro実験によって、全長Nkx3.2と比較したNkx3.2断片の機能的優位性が同定された。したがって、Nkx3.2断片のin vivo機能の改善を同定するために、変形性関節炎に対するNkx3.2断片(123~320)及び全長Nkx3.2(1~333)の治療的効能を比較し、分析した。この目的のために、内側半月の不安定化(DMM)と呼ばれる外科的手順によって変形性関節炎を誘導したマウスモデルを選択した。実験を実施する過程を、
図6に図式的に例示する。
【0148】
具体的には、膝組織中の内側半月靭帯を切って、内側半月の構造的な不安定化を誘導し、したがって大腿軟骨と脛骨軟骨が互いに衝突し、その結果軟骨損傷が誘導され、それにより変形性関節炎を誘導した。対照のために、膝の外皮及び内皮を模擬手術により解剖し、縫合した動物群を使用した。変形性関節炎を誘導した動物群及び模擬手術を実行した対照を、8週間育てた。次いで、Nkx3.2断片(123~320)若しくは全長Nkx3.2(1~333)を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)又は空のベクターAAVを、相当する膝に関節内注射し、動物群を4週間育てた。変形性関節炎の進行程度を、組織病理学的分析により分析した。
【0149】
組織病理学的分析には、サフラニンO染色法を利用した。サフラニンOは、陽イオン性化合物染色剤であり、軟骨ヘパラン硫酸プロテオグリカンの陰イオン基に効果的に付着し、その結果赤色を呈する。赤みを帯びた暗染色された領域を、健康な状態の軟骨組織であると評価する。反対に、サフラニン-O染色が弱い又は呈さない部分及び損傷組織がある部分を、変形性関節炎の病理学が進行した病変と解釈する。
【0150】
図7に示すように、空のベクターAAVを関節内注射した対照群の場合、投与したウイルス粒子の量に関係なく、非常に激しい軟骨損傷及び変性現象が観察された。
【0151】
全長Nkx3.2(1~333)を発現するAAVを関節内注射した比較群の場合、変形性関節炎に対する有意な治療的効能が、1×1010個でAAV投与した群においてのみ観察された。
【0152】
反対に、NKx3.2断片(123~320)を発現するAAVを関節内注射した実験群の場合、変形性関節炎に対する優れた治療的効果を、1.25×109個でAAV投与した群が呈し、それが最も低い用量である。すなわち、Nkx3.2断片(123~320)の場合、変形性関節炎に対する治療的効能が、全長Nkx3.2(1~333)と比較して少なくとも10倍改善されると同定される。
【0153】
組織病理学的分析によって得られた全てのデータを定量的に評価し、結果を
図8に視覚的に例示する。各実験群において分析した動物数は3匹であり、変形性関節炎の重症度を0~5段階で評価した。結果から棒グラフを作成した。平均とSEMを、エラーバーで示した。ウイルス粒子用量A、B、C及びDは、この増大順序でそれぞれ1.25×10
9、2.5×10
9、5×10
9及び1×10
10個であった。
【0154】
図8に示すように、空のベクターAAVを関節内注射した対照の場合、投与したウイルス粒子の量に関係なく、4.5~5の高い点数が評価された。加えて、全長Nkx3.2(1~333)を発現するAAVを関節内注射した比較群において、低い点数1.5が、1×10
10個でAAV投与した群においてのみ評価された。反対に、NKx3.2断片(123~320)を発現するAAVを関節内注射した実験群の場合、1又はより小さい非常に低い点数が、1.25×10
9個でAAV投与した群から開始して評価され、それは最も低い用量である。すなわち、Nkx3.2断片(123~320)は、全長Nkx3.2(1~333)と比較して、変形性関節炎に対する優れた治療的効能を有すると同定される。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1] 以下の式(I):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン (I)
により表されるポリペプチドであり、
上記式(I)において、
前記コアドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドであり;
前記N末端伸長ドメインが、1~53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドであり;
前記C末端伸長ドメインが、1~23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、ポリペプチド。
[2] 前記N末端伸長ドメインが、11個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[3] 前記N末端伸長ドメインが、18個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[4] 前記N末端伸長ドメインが、38個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[5] 前記N末端伸長ドメインが、41個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[6] 前記N末端伸長ドメインが、44個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[7] 前記N末端伸長ドメインが、47個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[8] 前記N末端伸長ドメインが、50個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[9] 前記N末端伸長ドメインが、53個のアミノ酸が配列番号35の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[10] 前記C末端伸長ドメインが、13個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[11] 前記C末端伸長ドメインが、15個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[12] 前記C末端伸長ドメインが、17個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[13] 前記C末端伸長ドメインが、19個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[14] 前記C末端伸長ドメインが、21個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[15] 前記C末端伸長ドメインが、23個のアミノ酸が配列番号5の24位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[1]に記載のポリペプチド。
[16] 前記ポリペプチドが、配列番号13、14、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のアミノ酸配列を有する、[1]に記載のポリペプチド。
[17] 以下の式(II):
N末端伸長ドメイン-コアドメイン-C端末伸長ドメイン (II)
により表されるポリペプチドであり、
上記式(II)において、
前記コアドメインが、配列番号37のアミノ酸配列を有するポリペプチドであり;
前記N末端伸長ドメインが、1~41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続して削除可能である配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチドであり;
前記C末端伸長ドメインが、1~15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続して削除可能である配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、ポリペプチド。
[18] 前記N末端伸長ドメインが、11個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[19] 前記N末端伸長ドメインが、18個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[20] 前記N末端伸長ドメインが、38個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[21] 前記N末端伸長ドメインが、41個のアミノ酸が配列番号39の1位のアミノ酸から開始してN末端からC末端方向に連続的に削除されている配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[22] 前記C末端伸長ドメインが、3個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[23] 前記C末端伸長ドメインが、6個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[24] 前記C末端伸長ドメインが、9個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[25] 前記C末端伸長ドメインが、13個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[26] 前記C末端伸長ドメインが、15個のアミノ酸が配列番号41の16位のアミノ酸から開始してC末端からN末端方向に連続的に削除されている配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、[17]に記載のポリペプチド。
[27] [1]又は[17]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
[28] [27]に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
[29] [28]に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
[30] 活性成分として、[1]又は[17]に記載のポリペプチドを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物。
[31] 前記関節炎が、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つである、[30]に記載の医薬組成物。
[32] [27]のポリヌクレオチドを含む組換えウイルス。
[33] 前記ウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス及びワクシニアウイルスからなる群から選択されるいずれか1つである、[32]に記載の組換えウイルス。
[34] 活性成分として、[32]に記載の組換えウイルスを含む、関節炎を予防又は治療するための医薬組成物。
[35] 前記関節炎が、骨関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、反応性関節炎、及びその組合せからなる群から選択されるいずれか1つである、[34]に記載の医薬組成物。
[36] それを必要とする対象に[30]又は[34]に記載の医薬組成物を投与することを含む、関節炎を予防又は治療するための方法。
[37] 前記投与が、関節内投与により実施される、[36]に記載の方法。
【配列表】