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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】経口型内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220411BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A61B1/00 C
A61B1/00 530
A61B1/00 611
A61B8/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020514531
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2018010111
(87)【国際公開番号】W WO2019050218
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0113136
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520078204
【氏名又は名称】エンドルフィン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム,ハン ボ
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-195961(JP,A)
【文献】特開平05-042155(JP,A)
【文献】特開2001-269343(JP,A)
【文献】特開2004-350705(JP,A)
【文献】特開2006-129946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置において、
人体の消化器官を移動しながら前記消化器官を撮影して、映像データを出力する一つ以上の撮影部と、
前記消化器官の内壁の下領域(以下、「粘膜下領域」と称する)及び前記消化器官の周辺に位置する周辺臓器に関する超音波データを出力する一つ以上の超音波部と、
外部の磁力に反応して、前記経口型内視鏡装置の位置、姿勢及び進行方向を調節するマグネティック部と、
前記映像データ及び前記超音波データを外部の装置に送信し、外部の制御信号を受信する送受信部と、
前記消化器官及び前記粘膜下領域を同時にまたは別々に撮影するように、前記一つ以上の撮影部及び前記一つ以上の超音波部を制御する制御部と、
前記一つ以上の撮影部、一つ以上の超音波部、マグネティック部、送受信部及び制御部に電源を供給する電源部と、を含み、
前記一つ以上の超音波部は、前記経口型内視鏡装置における対向する面に密着するように備えられ、前記外部の磁力との相互作用により前記経口型内視鏡装置が前記消化器官の内壁に密着するように備えられ
前記経口型内視鏡装置における前記一つ以上の超音波部と対向する面は、平らに形成されることを特徴とする経口型内視鏡装置。
【請求項2】
前記外部の磁力は、前記マグネティック部を駆動するための外部のマグネティックコントローラにより生じ、
前記マグネティックコントローラは、患者の上体と密着または近接させて前記外部の磁力を前記マグネティック部に作用させることを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項3】
前記マグネティックコントローラは、
前記経口型内視鏡装置が前記周辺臓器と最も近づいた胃の内壁に移動するように前記マグネティック部を制御し、
前記制御部は、
前記経口型内視鏡装置が前記周辺臓器と最も近づいた胃の内壁に移動すれば、前記最も近づいた胃の内壁を撮影するように前記一つ以上の撮影部を制御し、前記最も近づいた胃の粘膜下領域を撮影するように前記一つ以上の超音波部を制御することを特徴とする請求項2に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項4】
前記周辺臓器が膵臓である場合、
前記制御部は、前記膵臓の中心部分を撮影する周波数と、前記膵臓の頭部及び尾部を撮影する周波数とを互いに異ならせて前記膵臓を撮影するように前記一つ以上の超音波部を制御することを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項5】
前記一つ以上の撮影部のイメージセンサ及び前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、
前記消化器官において同じ方向を撮影するように、前記経口型内視鏡装置の同一線上に沿って並ぶように配列されることを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項6】
前記超音波振動子が多数である場合、
前記一つ以上の撮影部のイメージセンサは、前記イメージセンサの画角と前記超音波振動子の超音波の走査範囲とが重なり合うように、前記超音波振動子の間のうちのいずれか一個所に備えられることを特徴とする請求項5に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項7】
前記経口型内視鏡装置における前記一つ以上の超音波振動子に対向する面は、正の曲率を有する曲面に形成されることを特徴とする請求項5に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項8】
前記一つ以上の撮影部のイメージセンサ及び前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、
前記消化器官において同じ方向を撮影するように、前記経口型内視鏡装置の円周に沿って二列に平行に配列されることを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項9】
前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、
前記経口型内視鏡装置の円周の一部である少なくとも一つの円弧に沿って配列されることを特徴とする請求項8に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項10】
前記電源部は、
充電可能な充電池及び前記充電池のほかの通常のバッテリのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項11】
前記超音波部が多数である場合、前記多数の超音波部は、前記経口型内視鏡装置の正面、背面及び側面のうちの少なくとも一つの面に備えられることを特徴とする請求項に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項12】
前記経口型内視鏡装置の本体のうちの前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子に対向する面が平らに形成されて、前記一つ以上の超音波振動子が前記平らに形成された面に密着して備えられるようにすることを特徴とする請求項に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項13】
前記マグネティック部は、
第1の永久磁石と、
第2の永久磁石と、
を含み、
導体である前記電源部は、前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に備えられることを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【請求項14】
前記マグネティック部は、
前記外部の磁力との相互作用により前記経口型内視鏡装置が前記消化器官の内壁に密着するようにすることを特徴とする請求項1に記載の経口型内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口型内視鏡装置に係り、さらに詳しくは、消化器官だけでなく消化器官の周辺の臓器をモニタリングすることができる経口型内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の消化器官は食道、胃、小腸および大腸に大きく分けられる。通常、食道と胃は、十二指腸の遠位部まで挿入可能な上部胃腸管内視鏡で観察し、大腸は小腸の末端部である回腸末端部まで観察することが可能な大腸内視鏡で観察する。
【0003】
しかし、小腸の場合、まだ内視鏡による診断及び治療方法が確立されていない。したがって、従来は小腸バリウム造影及びCT撮影を含む様々な放射線診断法を小腸に適用しているが、小腸疾患の診断率はかなり低い。
【0004】
最近では、このような問題を補完するために、経口型内視鏡の研究開発が活発に進められている。経口型内視鏡は、嚥下可能なカプセル状のもので、小型カメラで食道、胃、小腸だけでなく大腸まで近接撮影して観察することができる。
【0005】
しかし、従来の経口型内視鏡は、消化器官内で異常症状と判断されるか精密な観察が必要な部位で停止したり、すでに行き過ぎた部位に移動したりして再観察することが難しい。というのは、従来の経口型内視鏡は、消化器官の蠕動運動により受動的に移動するからである。
【0006】
また、一部の経口型内視鏡システムは、人体の周辺に強力な磁場を形成する磁気装置を用いて、胃内の経口型内視鏡の位置、姿勢などを外部から制御しているが、制御用装置が大型であるため、施設の規模が大きく、施設費用はもとより運用コストも高価であるという欠点がある。
【0007】
なお、従来の経口型内視鏡に超音波センサを搭載して胃管粘膜下及び筋肉層腫瘍、さらに膵臓などの胃の周辺の臓器まで検診する研究が試みられているが、経口型内視鏡と消化器官の内壁との間に空気層が存在するため、超音波撮影自体が不可能であることが明らかになった。このような問題を解決するためには、経口型内視鏡を消化器官の内壁に密着させることが有効な解決策であるが、まだ解決されていないのが現状である。したがって、膵臓などの胃の周辺の臓器を検診するためには、CT撮影やプローブを用いた超音波内視鏡を別途に使用する不便がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した問題を解決するための本発明の目的は、小腸と大腸だけでなく、相対的に大きなサイズを有する胃を含む各消化器官についてより正確な観察及び診断を行なうため、姿勢、移動方向、移動速度および撮影方向を制御することが可能な経口型内視鏡装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、内視鏡だけでは正確に診断しにくい疾患を、超音波方式を用いてより正確に診断することが可能な経口型内視鏡装置を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、小型および低価格の機器で内視鏡装置の移動と撮影方向を制御しながら、同時に超音波方式で消化器官内/外壁を詳細に診察することが可能な経口型内視鏡装置を提供することにある。
【0011】
さらにまた、本発明の他の目的は、従来のプローブを用いた超音波内視鏡を用いることなく、胃の周辺に位置する周辺臓器の超音波撮影が可能な経口型内視鏡装置を提供することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、以上で説明したものに限定されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による経口型内視鏡装置は、嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置において、人体の消化器官を移動しながら前記消化器官を撮影して、映像データを出力する一つ以上の撮影部と、前記消化器官の内壁の下領域(以下、「粘膜下領域」と称する)及び前記消化器官の周辺に位置する周辺臓器に関する超音波データを出力する一つ以上の超音波部と、外部の磁力に反応して、前記経口型内視鏡装置の位置、姿勢及び進行方向を調節するマグネティック部と、前記映像データ及び前記超音波データを外部の装置に送信し、外部の制御信号を受信する送受信部と、前記消化器官及び前記粘膜下領域を同時にまたは別々に撮影するように、前記一つ以上の撮影部及び前記一つ以上の超音波部を制御する制御部と、
前記一つ以上の撮影部、一つ以上の超音波部、マグネティック部、送受信部及び制御部に電源を供給する電源部と、を含み、前記一つ以上の超音波部は、前記経口型内視鏡装置における対向する面に密着するように備えられ、前記外部の磁力との相互作用により前記経口型内視鏡装置が前記消化器官の内壁に密着するように備えられ、前記経口型内視鏡装置における前記一つ以上の超音波部と対向する面は、平らに形成されることを特徴とする。
【0014】
前記外部の磁力は、前記マグネティック部を駆動するための外部のマグネティックコントローラにより生じ、前記マグネティックコントローラは、患者の上体と密着または近接させて前記外部の磁力を前記マグネティック部に作用させることを特徴とする。
【0015】
前記マグネティックコントローラは、前記経口型内視鏡装置が前記周辺臓器と最も近づいた胃の内壁に移動するように前記マグネティック部を制御し、前記制御部は、前記経口型内視鏡装置が前記周辺臓器と最も近づいた胃の内壁に移動すれば、前記最も近づいた胃の内壁を撮影するように前記一つ以上の撮影部を制御し、前記最も近づいた胃の粘膜下領域を撮影するように前記一つ以上の超音波部を制御することを特徴とする。
【0016】
前記周辺臓器が膵臓である場合、前記制御部は、前記膵臓の中心部分を撮影する周波数と、前記膵臓の頭部及び尾部を撮影する周波数とを互いに異ならせて前記膵臓を撮影するように前記一つ以上の超音波部を制御することを特徴とする。
【0017】
前記一つ以上の撮影部のイメージセンサ及び前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、前記消化器官において同じ方向を撮影するように、前記経口型内視鏡装置の同一線上に沿って並ぶように配列されることを特徴とする。
【0018】
前記超音波振動子が多数である場合、前記一つ以上の撮影部のイメージセンサは、前記イメージセンサの画角と前記超音波振動子の超音波の走査範囲とが重なり合うように、前記超音波振動子の間のうちのいずれか一個所に備えられることを特徴とする。
【0019】
前記経口型内視鏡装置における前記一つ以上の超音波振動子に対向する面は、正の曲率を有する曲面に形成されることを特徴とする。
【0020】
前記一つ以上の撮影部のイメージセンサ及び前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、前記消化器官において同じ方向を撮影するように、前記経口型内視鏡装置の円周に沿って二列に平行に配列されることを特徴とする。
【0021】
前記一つ以上の超音波部の一つ以上の超音波振動子は、前記経口型内視鏡装置の円周の一部である少なくとも一つの円弧に沿って配列されることを特徴とする。
【0023】
前記電源部は、充電可能な充電池及び前記充電池のほかの通常のバッテリのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0025】
前記マグネティック部は、第1の永久磁石と、第2の永久磁石と、を含み、導体である前記電源部は、前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、マグネティックを使用して、経口型内視鏡装置の移動方向、移動速度および撮影方向を制御することにより、小腸と大腸だけでなく、相対的に大きなサイズを有する胃を含む各種消化器官についてのより正確な観察及び診断を行うことができる。
【0027】
また、本発明によれば、小型の超音波素子を用いて、従来の光学経口型内視鏡だけでは正確に診断しにくい疾患をより正確に診断することができる。
【0028】
さらに、本発明によれば、マグネティックと超音波素子を同時に備えることにより、小型および低価格の機器で消化器官の内壁だけでなく粘膜下領域を詳細に診察することができる。
【0029】
さらにまた、本発明によれば、磁力を利用して経口型内視鏡装置を胃の内壁に密着させることで、胃の粘膜下領域と胃の周辺に位置する周辺臓器とをより鮮明に超音波撮影することができ、これにより、別のCT撮影やプローブを用いた超音波内視鏡が不要なため、患者の利便性を向上させることができる。
【0030】
本発明の効果は、以上で説明したものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態で、嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態で、嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態で、嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態で、嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
図5】本発明の経口型内視鏡装置を示すブロック図である。
図6】本発明の超音波部を示すブロック図である。
図7】人体の消化器官の中で胃と胃の周辺に位置する膵臓を示す図である。
図8】二つの永久磁石と電源部の配置の一例を説明するための概念図である。
図9】本発明の第1の実施形態の経口型内視鏡装置の概要を示す概念図である。
図10】本発明の第2の実施形態の経口型内視鏡装置の概要を示す概念図である。
図11】本発明の第3の実施形態の経口型内視鏡装置の概要を示す概念図である。
図12】本発明の第4の実施形態(図12(a))と、第5の実施形態(図12(b))の経口型内視鏡装置の概要を示す概念図である。
図13】本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置の膵臓内視鏡の方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴および利点は、添付した図面と関連する以下に述べる好適な実施の形態を通じて容易に理解される。なお、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。ここで紹介される実施形態は、開示する内容が完全になるように、また、本発明の思想が十分に伝達されるようにするためのものである。
【0033】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素上にあると言及される場合に、それは、他の構成要素上に直接形成されるか、またはそれらの間に第3の構成要素が介在してもよい。また、図面において、構成要素の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために記載されたものである。
【0034】
本明細書において、第1、第2などの用語が構成要素を記述するために使用された場合、これらの構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は、単にある構成要素を他の構成要素と区別させるために使用されるだけである。ここに説明および例示される実施形態は、その相補的な実施形態も含む。
【0035】
また、第1のエレメントが第2のエレメント上(ON)で動作または実行されると言及されるとき、第1のエレメントは、第2のエレメントが動作または実行される環境で動作または実行されるか、または第2のエレメントと直接または間接的に相互作用を介して動作または実行されるものとする。
【0036】
あるエレメント、構成品、装置、またはシステムがプログラムまたはソフトウェアからなる構成要素を含むと言及される場合、明示的な言及がなくても、そのエレメント、構成品、装置、またはシステムは、そのプログラムまたはソフトウェアが実行または動作するのに必要なハードウェア(例えば、メモリ、CPUなど)や他のプログラムまたはソフトウェア(例えば、オペレーティングシステムやハードウェアの駆動に必要なドライバなど)を含むものとする。
【0037】
また、あるエレメントが実現されるにあたって、特別な言及がない場合は、そのエレメントは、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェア及びハードウェアのいずれの形態でも実現できるものとする。
【0038】
また、本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文章で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprisesおよび/またはcomprising)」は、言及された構成要素が1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しないとする。
【0039】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。特定の実施形態の様々な特定的な内容は、発明をより具体的に説明するためのものである。本発明を理解できる当該分野における知識を有する者は、このような様々な特定的な内容がなくても理解できる。
【0040】
本発明を記述するにあたり、一般に知られており、本発明と大きく関連性がない部分は、混乱をきたすので、記述していない。
【0041】
本明細書において、モジュールとは、本発明の技術的思想を行うためのハードウェア及びハードウェアを駆動するためのソフトウェアの機能的、構造的な結合を意味する。例えば、前記モジュールは所定のコードと、所定のコードが実行されるためのハードウェアリソースの論理的な単位を意味することができ、物理的に連結されたコードや1種類のハードウェアを必ずしも意味するものではない。
【0042】
また、本発明の様々な実施形態に係る、図5図6図9乃至図12(a)及び図12(b)に示す嚥下可能な形態の第1~第5の経口型内視鏡装置100、600~900、900aの各々の構成要素は、機能及び論理的に分離できることを表すために個別に図面に示したものであり、物理的に必ずしも別の構成要素や別のコードとして実現されることを意味するものではなく、本発明の技術分野の専門家にとっては容易に推論することができる。
【0043】
以下、本発明において実施しようとする具体的な技術内容について、添付図面を参照して詳しく説明する。
【0044】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置100が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
【0045】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡システムは、経口型内視鏡装置100、マグネティックコントローラ200、レシーバ(Receiver)300及びモニタリング装置400を含むことができる。
【0046】
図1に示す経口型内視鏡装置100は、図9乃至図12(a)及び図12(b)を参照して説明する第1~第5の経口型内視鏡装置600~900、900aのうちいずれかであってもよい。
【0047】
経口型内視鏡装置100は、口で嚥下可能なカプセル形態であり、イメージセンサを用いた映像撮影と超音波センサを用いた超音波撮影とが可能である。また、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置100は、永久磁石を備えており、マグネティックコントローラ200で発生する外部の磁力により、経口型内視鏡装置100の姿勢及び進行方向を制御することができる。特に、姿勢制御により、経口型内視鏡装置100は、永久磁石とマグネティックコントローラ200によって胃の内壁に密着して胃の内壁を撮影し、また、内壁の粘膜下領域を撮影することができる。
【0048】
マグネティックコントローラ200は、外部の磁力を発生させる外部マグネティックを使用して経口型内視鏡装置100の位置、姿勢及び進行方向を制御することができ、本発明の実施形態においてマグネティックコントローラ200は、検査者が手で握って操作することができるハンドヘルドタイプであるか、または多関節ロボットアームの末端に装着されてリモートで自動、半自動で操作されるタイプであってもよい。ここで重要なことは、マグネティックコントローラ200は、手やロボットアームで操作することができる程度の小さなサイズのもので、患者の上体に密着または近接させて経口型内視鏡装置100に直接磁力を作用させることができる構成と呼ばれる点である。この点で、従来の人体の周辺に強力な磁場を形成する大型のマグネティック装置との明確な違いがある。
【0049】
検査者は、経口型内視鏡装置100を飲み込んだ患者の腹部にマグネティックコントローラ200を接近させておいて、患者の体の状態に適した磁力強度を調節することができる。検査者は、マグネティックコントローラ200を経口型内視鏡装置100を飲み込んだ患者の腹部に乗せて、消化器官内での経口型内視鏡装置100の位置をモニタリング装置400の映像を通じて確認する。
【0050】
そして、検査者がマグネティックコントローラ200を腹部から動かすと、マグネティックコントローラ200が動きに応じて、外部マグネティックから出る磁力の方向が変わり、経口型内視鏡装置100の姿勢又は進行方向が制御されることができる。すなわち、マグネティックコントローラ200は、検査者の手動操作(またはロボットアームの遠隔操作)に応じて経口型内視鏡装置100の姿勢又は進行方向を制御し、これにより経口型内視鏡装置100は、消化器官の中で撮影が必要な内壁に移動され、撮影が必要な内壁または内壁の粘膜下領域をイメージセンサおよび/または超音波センサで撮影してレシーバ300に無線で送信することができる。
【0051】
レシーバ300は、経口型内視鏡装置100から出力される各センサの映像データまたは超音波データを受信して、モニタリング装置400に送信する。また、レシーバ300は、モニタリング装置400から出力される、経口型内視鏡装置100の動作を制御するための動作制御信号を受信して、経口型内視鏡装置100に送信する。動作制御信号は、例えば、後述する撮影部120及び超音波部130が同時に撮影を進行するように、または順次撮影を進行するように制御する信号を含む。
【0052】
モニタリング装置400は、レシーバ300を介して受信した映像データと超音波データを分析して、表示可能な形で処理した後、画面に表示するPC(Personal Computer)であってもよい。
【0053】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置100が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
【0054】
図2に示す第2の経口型内視鏡システムは、図1を参照して説明した第1の経口型内視鏡システムと類似している。
【0055】
ただし、図1の場合、マグネティックコントローラ200は、経口型内視鏡装置100の姿勢及び進行方向を制御し、動作制御信号は、モニタリング装置400で発生している。
【0056】
これに対し、図2に示すマグネティックコントローラ200aは、モニタリング装置400で発生する動作制御信号を自分で直接発生し、レシーバ300に出力することができる。レシーバ300は、マグネティックコントローラ200aから受信した動作制御信号を経口型内視鏡装置100に送信する。
【0057】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置100が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
【0058】
図3に示す第3の経口型内視鏡システムは、上述した第1の経口型内視鏡システムと類似している。ただし、図3の場合、マグネティックコントローラ200cは、経口型内視鏡装置100を制御するための動作制御信号を直接発生し、直接経口型内視鏡装置100に送信することができる。また、マグネティックコントローラ200cは、経口型内視鏡装置100から受信される各センサの映像データまたは超音波データをレシーバ300に送信することができる。このような場合、経口型内視鏡装置100とマグネティックコントローラ200cは、後述するガルバニックカップリング(Galvanic coupling)方式またはRF通信技術を利用して通信することができる。
【0059】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る嚥下可能な形態の経口型内視鏡装置100が適用された経口型内視鏡システムの概要を示す図である。
【0060】
図4に示す第4の経口型内視鏡システムは、上述した第3の経口型内視鏡システムと類似している。ただし、図4の場合、マグネティックコントローラ200dは、その中にレシーバ300を内蔵している点に違いがある。経口型内視鏡装置100から受信される映像データ又は超音波データは、レシーバ300に収集及び保存され、保存されたセンサの映像データ又は超音波データをモニタリング装置400に送信することができる。
【0061】
図5は、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置100を示すブロック図である。
【0062】
図5に示すように、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置100は、送受信部110、撮影部120、超音波部130、電源部140、マグネティック部150及び制御部160を含むことができる。
【0063】
送受信部110は、モニタリング装置400から出力された動作制御信号を、レシーバ300またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cを介して受信して制御部160に伝達する。また、送受信部110は、撮影部120から出力される映像データ又は超音波部130から出力される超音波データをレシーバ300のような外部装置に送信する。
【0064】
送受信部110は、ガルバニックカップリング(Galvanic coupling)方式を利用するか、アンテナを必要とするRF通信技術を利用することができ、また、単方向無線通信または双方向無線通信をサポートすることができる。これらの送受信部110は、一つ以上のASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されることができる。
【0065】
ガルバニックカップリング方式は、送受信機それぞれの信号電極(+)と接地電極(-)が人体のすべてに接触して二つの電極の間の電位差によって電場の変化を起こして信号を伝達する方式であって、信号の送受信のためのアンテナを必要とせず、低消費電力および小型化が可能であるという利点がある。
【0066】
一つ以上の撮影部120は、経口型内視鏡装置100が人体の消化器官を移動する間に、リアルタイムでまたは間欠的に消化器官の内壁を撮影して、可視光領域の映像データを出力する。このため、撮影部120は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)のような一つ以上のイメージセンサ、一つ以上の光学レンズ、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)のような照明素子などのカメラ撮影のための光学素子を含むことができる。照明素子は、白色光、青色光など定められた色の光を発光することができる。
【0067】
一つ以上の超音波部130は、経口型内視鏡装置100が人体の消化器官を移動する間に、リアルタイムまたは間欠的に消化器官の内壁の下領域(以下、「粘膜下領域」と称する)または消化器官に隣接して位置する周辺臓器に関する超音波映像データを出力することができる。消化器官の周辺臓器は膵臓、脾臓、腎臓、肝臓、胆嚢、唾液腺、心臓、肺、大腸などを含む。
【0068】
例えば、胃の周辺の臓器の一つである膵臓は、胃の幽門、幽門洞または大弯の一部と近接して位置するので、撮影部120は、胃の内壁のうち膵臓と対向する内壁を超近接撮影して異常の有無を判別できるようにする一方、超音波部130は、膵臓と対向する内壁の粘膜下領域を超音波撮影して疾患を判別できる。
【0069】
このような場合、患者は膵臓のように撮影が困難な部位の撮影のために、プローブを用いた超音波内視鏡撮影またはCT撮影をしなくても簡単に膵臓のような周辺の臓器の異常の有無について検診することができる。
【0070】
本発明の実施形態によれば、経口型内視鏡装置100における一つ以上の超音波部130と対向する面は、平らに形成されることができる。たとえば、一つ以上の超音波部130と対向する面が経口型内視鏡装置100の側面である場合、側面全体が平らに形成されるか、または側面全体の一部(すなわち、一つ以上の超音波部130と直接対向する一部の側面)が平らに形成されることができる。
【0071】
また、一つ以上の超音波部130は、対向する面に密着するように具備可能であり、これにより、より正確で鮮明な超音波撮影を行うことができる。すなわち、経口型内視鏡装置100の超音波部130と対向する面が平らな面になっているので、経口型内視鏡装置100は、消化器官の内壁に密着することができ、これにより、超音波部130と消化器官の内壁との間で空気層が排除されるため、結果として鮮明な超音波撮影が可能となる。
【0072】
このような一つ以上の超音波部130または一つ以上の超音波振動子と対向して平らに形成される面は、経口型内視鏡装置100本体の外面を含まなければならない。たとえば、外面だけを平らにし、外面と対向する内面は曲面に形成してもよく、内面及び内面と対向する外面の両方を平らに形成してもよい。重要なのは、消化器官の内壁と直接接触する外面が平らでなければ、超音波部130と消化器官の内壁との間での空気層が排除されることができないということであり、超音波部130が設けられる経口型内視鏡装置100の内面が必ずしも平らである必要はないということである。
【0073】
また、経口型内視鏡装置100に多数の超音波部130が備えられる場合、多数の超音波部は、経口型内視鏡装置100の正面、背面及び側面のうちの少なくとも一つの面に備えてもよい。例えば、経口型内視鏡装置100が円柱形状を呈し、断面が円形状である面を正面、反対面を背面、残りの柱に対応する面を側面とする場合、多数の超音波部は、正面にのみ、または正面と側面に、または正面と背面に、または正面、背面及び側面のすべてに設けられて、同時にまたは時間差をおいて超音波撮影を行うことができる。これは、経口型内視鏡装置100がカプセル形態である場合にも同様に適用できる。
【0074】
図6は、本発明の実施形態に係る超音波部130を示すブロック図である。
【0075】
図6に示すように、超音波部130は、多数のHV振動子(High VoltagePulser)131、HV Tx/Rxスイッチ132、振動子アレイ133、多数のプレ増幅器(Pre-AMP)134、多数の可変利得増幅器(VGA:Variable Gain Amplifier)135、多数のローパスフィルタ(LPF:Law Pass Filter)136及び多数のADコンバータ(ADC:Analog/Digital Converter)137を含む。
【0076】
多数の高電圧パルサ(HV Pulser)131、HV Tx/Rxスイッチ132、振動子アレイ133、多数のPre-AMP134、一つ以上のVGA135、多数のLPF136及び多数のADC137の数は、振動子アレイ133に備えられた超音波振動子の数と同じであり、動作も同じである。
【0077】
制御部160は、モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cから、活性化する超音波周波数として動作するようにする動作制御信号を受信すると、受信された動作制御信号の超音波周波数に該当するパルスを発生するように多数のHV Pulser131を制御する。
【0078】
多数のHV Pulser131は、受信された超音波周波数を発生するためのパルスを生成してHV Tx/Rxスイッチ132に伝達する。
【0079】
HV Tx/Rxスイッチ132は、各HV Pulser131から伝達されたパルスを振動子アレイ133のうち該当する超音波振動子に切り替える。
【0080】
振動子アレイ133は、多数の超音波振動子がアレイされたマルチ・トランスデューサ・アレイ(Multi-Transducer array)である。多数の超音波振動子は、HV Tx/Rxスイッチ132を介して伝達されたパルスに応じて振動して振動波を発生させる。また、振動子アレイ133は、一つの振動子だけを備えてもよい。これは、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置100は、全方向の撮影ではなく一方向撮影に集中するためのものなので、一つの振動子を用いて粘膜下領域の超音波撮影が可能であるからである。これにより、全方向の撮影に比べて、一方向撮影を行うことにより、より細かく、超音波映像の位置変化による誤差を最小限に抑えて、より正確な検診を行うことができる。
【0081】
胃の内壁のような箇所に走査範囲に基づいて注入された振動波は、内壁で反射されて各超音波振動子に受信される。
【0082】
振動子アレイ133の超音波振動子は、反射受信された振動波をHV Tx/Rxスイッチ132に伝達し、HV Tx/Rxスイッチ132は、反射受信された振動波を、各超音波振動子にマッピングされたPre-AMP134にスイッチングする。
【0083】
各Pre-AMP134は、反射受信された振動波を増幅し、各VGA135は、増幅された振動波の利得を可変増幅する。
【0084】
各LPF136は、可変利得増幅された振動波を低域通過させてノイズを除去し、各ADC137は、ノイズが除去された振動波をデジタル信号に変換する。
【0085】
制御部160は、各ADC137から入力されるデジタル信号をデジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)を用いて信号処理した後、レシーバ300に送信するように送受信部110を制御する。
【0086】
以下では、図7を参照して、経口型内視鏡装置100を用いて膵臓を超音波撮影する動作について説明する。
【0087】
図7は、人体の消化器官の中で胃510とその周辺に位置する膵臓540を示す図である。
【0088】
図7に示すように、膵臓540は、約15cmの細長い形で胃510の後ろに位置し、十二指腸530と接しており、脾臓と隣接している。膵臓540は、頭部・体部・尾部の3つに分けられ、十二指腸530に近い部分が頭、中間部が体部、最も細い部分が尾部である。一般的に、膵臓540に関連する疾患は、膵臓540のどの部分に疾患が発生するかによって症状も様々であるので、疾患発生の位置を把握することは非常に重要である。
【0089】
図7に示すように、膵臓540は、胃510及び十二指腸530と密着しているので、本発明の実施形態と同様に、磁力を利用して経口型内視鏡装置100を、胃510及び十二指腸530のうち膵臓540と最も近づいた内壁に密着させた後、膵臓540の撮影に適した互いに異なるまたは同じ周波数を用いて、膵臓540の頭部、体部および尾部を超音波撮影することが可能である。
【0090】
このとき、経口型内視鏡装置100は、胃510の幽門洞または大弯付近で膵臓540の体部又尾部に対応する胃510内壁を、撮影部120を用いて撮影し、再び超音波部130を用いて膵臓540の体部を超音波撮影することができる。
【0091】
また、胃510と十二指腸530がつながっている幽門520が薬物により弛緩すると、マグネティックコントローラ200の外部自力により経口型内視鏡装置100を十二指腸530に移動させる。経口型内視鏡装置100は、再び十二指腸530における、膵臓540の頭部又は尾部に対応する位置で、十二指腸530の内壁を撮影部120により撮影し、超音波部130を用いて膵臓540の頭部又は尾部を超音波撮影することができる。
【0092】
再び図5に示すように、電源部140は、経口型内視鏡装置100の各構成要素110~160に電源を供給する。電源部140は、充電可能なバッテリまたは充電できない交換式バッテリを含むことができる。充電可能なバッテリの充電方式としては、磁気誘導方式、磁気共鳴方式または電磁波方式などを含む多数の無線電力充電方式のいずれかを選択的に適用することができる。また、電源部140は、電源のOn/Offが可能である。
【0093】
マグネティック部150は、外部の磁力に反応して経口型内視鏡装置100の姿勢及び進行方向を調節できるようにする構成要素であって、一つ以上の永久磁石を含むことができる。すなわち、マグネティック部150は、マグネティックコントローラ200で発生する磁力を利用して、経口型内視鏡装置100の位置を移動、回転、撮影などのための姿勢調整及び進行方向を制御することができる。
【0094】
特に、マグネティック部150は、外部の磁力との相互作用により、経口型内視鏡装置100が消化器官の内壁に密着できるようにすることができる。
【0095】
マグネティック部150が二つ以上の永久磁石を含む場合、バッテリ形態の電源部140は、二つ以上の永久磁石の間に配置されてもよい。というのは、経口型内視鏡装置100の構成要素の中で最も重量があるのがマグネティック部150と電源部140であるため、電源部140を中央に配置しマグネティック部150の永久磁石をその両側に配置した方が、経口型内視鏡装置100の全体重量のバランスを取るのに有利であるからである。経口型内視鏡装置100の重量バランスがひどく偏向していると、マグネティックコントローラ200が姿勢及び進行方向を制御するのに非常に不利である。また、二つ以上の永久磁石間の距離を可能な限り遠くすると、マグネティックコントローラ200の外部磁力により経口型内視鏡装置100を消化器官の内壁に密着させたときに隙間ができて空気層が生じることを抑制することができるので、超音波撮影の面においても有利である。
【0096】
図8は、二つの永久磁石152、154と電源部140の配置の一例を説明するための概念図である。図8に示すように、マグネティック部150は、二つの永久磁石152、154を含み、導体性の電源部140は、二つの永久磁石152、154の間に備えられる。永久磁石152、154がそれぞれN/S極、N/S極の順序を持つように配置されると、マグネティック部150は、全体的に大きなN/S極を有する形態を有することができ、より大きな磁力を形成することができる。
【0097】
制御部160は、経口型内視鏡装置100の全体的な動作を制御する。制御部160は、モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cから出力された動作制御信号を、送受信部110を介して渡されると、動作制御信号に対応する動作を実行するように処理することができる。
【0098】
例えば、撮影部120と超音波部130が同時に内壁を撮影するようにする動作制御信号が受信されると、制御部160は、現在の撮影部120と超音波部130が向いている内壁または内壁の粘膜下領域を同時にまたはそれぞれ撮影するように、撮影部120と超音波部130を制御する。
【0099】
また、マグネティックコントローラ200が、経口型内視鏡装置100を消化器官の周辺の臓器と最も近づいた胃の内壁に移動させるために、マグネティック部150の姿勢及び進行方向を制御すると、マグネティック部150がこれに反応して、経口型内視鏡装置100は、周辺の臓器と最も近づいた胃の内壁に移動する。この場合、制御部160は、経口型内視鏡装置100が周辺の臓器と最も近づいた胃の内壁を撮影するように撮影部120を制御することができる。モニタリング装置400をモニタリングする検査者が、現在撮影された内壁に異常があることを発見するか、発見されなくても超音波撮影を命令すると、制御部160は、現在の内壁の粘膜下領域を撮影するように超音波部130を制御することができる。
【0100】
また、接写するための周辺臓器が膵臓である場合、検査者は、膵臓の頭部、尾部、及び中心部を撮影するための周波数を調整することができる。したがって、制御部160は、モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cからの動作制御信号により、膵臓の中心部分を撮影する周波数と、膵臓の頭部及び尾部を撮影する周波数とを互いに異ならせて膵臓を撮影するように超音波部130を制御することができる。これは、超音波周波数が高くなると、解像度は高くなる一方、周波数の走査深さ(または、可視レンジ(range))は短くなり、超音波周波数が低くなると、解像度は低くなる一方、周波数の走査深さは長くなるという特性を考慮したものである。
【0101】
また、撮影部120からの映像データと、超音波部130からの超音波データとを受信すると、制御部160は、受信された映像データと超音波データをフレーム化してレシーバ300に送信するように送受信部110を制御する。
【0102】
また、制御部160は、動作制御信号に応じて撮影部120または超音波部130に供給される電源を同時にまたは選択的にON/OFFするように電源部140を制御することができる。
【0103】
また、制御部160は、動作制御信号に応じて電源部140の電源がオンまたはオフされるように電源部140を制御することができる。
【0104】
また、制御部160は、撮影部120または超音波部130の解像度、すなわち、FPS(Frame Per Second:1秒当たりのフレーム)を2~Nの範囲で制御することができる。
【0105】
また、制御部160は、撮影部120のAGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)制御命令を伝達し、超音波周波数、電圧、増幅器制御命令を超音波部130に伝達することができる。
【0106】
以下では、図9乃至図12(a)及び図12(b)を参照して、本発明の様々な実施形態に係る経口型内視鏡装置100について説明する。
【0107】
図1乃至図7を参照して説明した経口型内視鏡装置100は、図9乃至図12(a)及び図12(b)を参照して説明する第1~第5の経口型内視鏡装置600~900、900aのうちのいずれかであり得る。したがって、図9乃至図12(a)及び図12(b)に示す第1~第5の経口型内視鏡装置600~900、900aは、図5を参照して説明した構成要素を含み、説明の便宜上、重複部分の詳細な説明は省略する。
【0108】
また、図9乃至図12(a)及び図12(b)を参照して説明した第1~第5の撮影部、第1~第5の超音波部、第1~第5のイメージセンサ610~910、910a、第1~第5の超音波振動子620~920、920aは、図5及び図6を参照して説明した撮影部120、超音波部130、撮影部120のCMOSのようなセンサ、振動子アレイ133に備えられた超音波振動子であり得る。
【0109】
また、図9乃至図12(a)及び図12(b)に示す第1~第5の経口型内視鏡装置600~900、900aの本体630~930、930aの一部は、超音波検出が可能な材質からなる。
【0110】
まず、図9は、本発明の第1の実施形態に係る第1の経口型内視鏡装置600の概要を示す概念図である。
【0111】
図9に示すように、第1の経口型内視鏡装置600は、消化器官において同じ方向、すなわち、同じ位置の内壁を撮影するように、第1の経口型内視鏡装置600の同一線上に並ぶように配列される第1の撮影部の第1のイメージセンサ610と、第1の超音波部の第1の超音波振動子620と、を含む。すなわち、第1のイメージセンサ610及び多数の第1の超音波振動子620は、第1の経口型内視鏡装置600の同一線上に沿って一列に配列される。
【0112】
このとき、第1のイメージセンサ610は、第1の超音波振動子620の中で最も外郭に位置する振動子の隣に備えられてもよい。
【0113】
また、図9は、一つの第1の超音波部に含まれた多数の第1の超音波振動子620の配列関係を示す一例、または一つの第1の超音波部が一つの第1の超音波振動子620を含んでいるときの多数の第1の超音波部の配列関係を示す一例のうちのいずれかであり得る。これは、図10及び図11に示す実施形態においても同様である。
【0114】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る第2の経口型内視鏡装置700の概要を示す概念図である。
【0115】
図10に示す第2の経口型内視鏡装置700は、図9を参照して説明した第1の経口型内視鏡装置600とほぼ同一である。ただし、第2の経口型内視鏡装置700の第2のイメージセンサ710は、第2のイメージセンサ710の画角と第2の超音波振動子720の超音波の走査範囲とが出来るだけ多く重なり合うように、第2の超音波振動子720の間に備えられてもよい。
【0116】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る第3の経口型内視鏡装置800の概要を示す概念図である。
【0117】
図11に示す第3の経口型内視鏡装置800は、図9を参照して説明した第1の経口型内視鏡装置600とほぼ同一である。ただし、第3の経口型内視鏡装置800における第3の超音波振動子820が備えられる面、すなわち、第3の超音波振動子820と対向して超音波が反射される面は、0よりも大きい曲率(C)を有する曲面で形成されてもよい。第3の超音波振動子820から走査される超音波が空気層を通過しないようにするためには、第3の超音波振動子820が備えられる面を平らにしたほうが最もよいが、ある設計の要因によりやむを得ず第3の経口型内視鏡装置800の外面を曲面にすべき場合もあり得る。この場合にも、第3の経口型内視鏡装置800が消化器官の内壁に最大限密着するために、曲面は正の曲率を持つ必要があり、その曲率値も可能な限り小さくすることが望ましい。
【0118】
図12(a)は、本発明の第4の実施形態に係る第4の経口型内視鏡装置900の概要を示す図である。
【0119】
図12(a)に示すように、第4の経口型内視鏡装置900は、消化器官において同じ方向、すなわち、同じ位置の内壁を撮影するように、第4のイメージセンサ910と第4の超音波振動子920とが並ぶように配列される。
【0120】
特に、第4のイメージセンサ910と第4の超音波振動子920とは、円筒状である第4の経口型内視鏡装置900の円周に対応する内面に沿って二列に平行に配列されてもよい。
【0121】
第4のイメージセンサ910は、図12(a)に示すように、第4の経口型内視鏡装置900のケース内面と所定の距離だけ離れて設けられてもよく、図示されてはいないが、第4の経口型内視鏡装置900のケース内面に密着するように備えられてもよい。ここで、第4のイメージセンサ910の形状や大きさは限定されない。
【0122】
また、第4の超音波振動子920は、第4の経口型内視鏡装置900の円周の一部である少なくとも一つの円弧に沿って、すなわち、円周に沿って部分的に配列されてもよい。
【0123】
また、図12(a)には示されていないが、第4のイメージセンサ910と第4の超音波振動子920は、円周全体に沿って設けられてもよいことはいうまでもない。
【0124】
図12(b)は、本発明の第5の実施形態に係る第5の経口型内視鏡装置900aの概要を示す概念図である。
【0125】
図12(b)に示すように、第5の経口型内視鏡装置900aは、円柱形状を有してもよく、第5のイメージセンサ910aと第5の超音波振動子920aは、第5の経口型内視鏡装置900aの正面及び背面のうちのどちらか一方の面に同一線上に沿って配置されてもよい。
【0126】
図12(b)に示す第5の経口型内視鏡装置900aの場合、第5の超音波振動子920aが備えられる面、すなわち、第5の超音波振動子920aと対向する面は、平らに形成されており、第5の超音波振動子920aは、この平らな面に密着するように備えられてもよい。
【0127】
図9乃至図12(b)には、それぞれ多数の第1~第5の超音波振動子が備えられているが、一つの第1~第5の超音波振動子が備えられてもよい。
【0128】
また、図9図10図11及び図12(b)を参照して説明した第1~第3の経口型内視鏡装置600、700、800と第5の経口型内視鏡装置900aにおいて、各本体630、730、830、930aの側面または正面に超音波センサを適用する場合、側面または正面を平らに(flat)構成することにより、第1~第3の経口型内視鏡装置600、700、800と第5の経口型内視鏡装置900aの側面または正面を消化器官の内壁に均一に密着させることができる。
【0129】
図13は、本発明の実施形態に係る経口型内視鏡装置100の膵臓内視鏡の方法を説明するためのフローチャートである。
【0130】
図13に示すように、経口型内視鏡装置100が患者の消化器官に進入すると、検査者は、患者の腹部に置かれたマグネティックコントローラ200を用いて経口型内視鏡装置100の移動を制御する(S1010)。
【0131】
モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cの動作制御信号により、経口型内視鏡装置100は、撮影部120を活性化させて消化器官の撮影を開始することができる(S1020)。
【0132】
経口型内視鏡装置100は、マグネティックコントローラ200の外部の磁力により膵臓と最も近づいた胃の内壁に移動する(S1030)。すなわち、検査者は、モニタリング装置400に表示される撮影部120が撮影した映像を見ながら、膵臓と近づいた位置を判断し、経口型内視鏡装置100が移動するようにマグネティックコントローラ200を操作する。
【0133】
膵臓と近づいた胃の内壁における経口型内視鏡装置100は、動作制御信号により、必要に応じて撮影部120の動作をOFFにし、超音波部130をONにする(S1040)。
【0134】
また、経口型内視鏡装置100は、マグネティックコントローラ200、200a、200bまたは200cの外部の磁力により胃の内壁になるべく密着した後、モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cにおいて所定の超音波周波数に応じて該当する周波数が発生するように超音波部130を制御する(S1050)。
【0135】
経口型内視鏡装置100の超音波部130は、超音波周波数に該当する振動波を発生させ、内壁で反射された振動波を受信し、これを利得増幅、デジタル変換などの信号処理を行って超音波データを出力する(S1060)。これにより、膵臓の一部に該当する超音波データが出力される。
【0136】
経口型内視鏡装置100は、ステップS1060で出力される超音波データをレシーバ300に送信する(S1070)。
【0137】
ステップS1070により膵臓の一部の超音波撮影が完了すると、ステップS1010の前に、注入された薬物などによる胃の幽門の弛緩有無を確認する。
【0138】
経口型内視鏡装置100が移動することができる程度に緩められたことが確認されれば、経口型内視鏡装置100は、マグネティックコントローラ200の外部の磁力に引かれて胃の幽門を通過して、膵臓の頭部と近接した十二指腸に移動する(S1080)。ステップS1070でまたはステップS1070の後、超音波部130はOFFにされ撮影部120はONにされて、撮影部120の照明素子は発光することができる。
【0139】
再び、膵臓の頭と近接した十二指腸の内壁における経口型内視鏡装置100は、動作制御信号により超音波部130をONにする(S1090)。ステップS1040及びステップS1090において、撮影部120は、ON状態を維持するか又はOFFにされるが、これは周辺の状況を考慮して選択的に適用できる。周辺の状況は、例えば、バッテリの残量、胃、膵臓または十二指腸の内/外壁の状態を含むことができる。
【0140】
さらに、経口型内視鏡装置100は、マグネティックコントローラ200、200a、200bまたは200cの外部の磁力により十二指腸の内壁に密着した後、モニタリング装置400またはマグネティックコントローラ200a、200b、200cにおいて所定の超音波周波数に応じて該当する周波数が発生するように超音波部130を制御する(S1100)。
【0141】
経口型内視鏡装置100の超音波部130は、超音波周波数に該当する振動波により膵臓を撮影した後、超音波データを出力する(S1110)。
【0142】
経口型内視鏡装置100は、ステップS1110で出力される超音波データをレシーバ300に送信する(S1120)。
【0143】
モニタリング装置400は、レシーバ300を介して受信した映像データと超音波データを表示可能な信号に分析及び処理して画面に表示する。
【0144】
一方、本発明に係る経口型内視鏡装置100の膵臓内視鏡の方法は、これを実現するための命令語のプログラムが類型的に具現されることにより、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に含まれて提供できるというのは、通常の技術者が容易に理解できる。
【0145】
すなわち、本発明に係る経口型内視鏡装置100の膵臓内視鏡の方法は、様々なコンピュータ手段を介して実行できるプログラム命令形態で実現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録できる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独で或いは組み合わせて含むことができる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例には、ハードディスクなどの磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDなどの光記録媒体(optical media)、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存および実行するように特別に構成されたすべての形態のハードウェア装置が含まれる。
【0146】
したがって、本発明は、経口型内視鏡装置100の膵臓内視鏡の方法を実現するために、前記電磁波特性測定システムを制御する、コンピュータ上で実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存されたプログラムを同時に提供する。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、消化器官及びその周辺の臓器を超音波でモニタリングすることができる経口型内視鏡装置として好適である。
【符号の説明】
【0148】
100 経口型内視鏡装置
110 送受信部
120 撮影部
130 超音波部
131 HV振動子
132 HV Tx/Rxスイッチ
133 振動子アレイ
134 可変利得増幅器
135 プレ増幅器
136 ローパスフィルタ
137 ADコンバータ
140 電源部
150 マグネティック部
152 永久磁石
154 永久磁石
160 制御部
200 マグネティックコントローラ
200a マグネティックコントローラ
200b マグネティックコントローラ
200c マグネティックコントローラ
300 レシーバ
400 モニタリング装置
510 胃
520 幽門
530 十二指腸
540 膵臓
600 第1の経口型内視鏡装置 610 第1のイメージセンサ
620 超音波振動子
630 本体
700 第2の経口型内視鏡装置
710 第2のイメージセンサ
720 第2の超音波振動子
730 本体
800 第3の経口型内視鏡装置
810 第3のイメージセンサ
820 第3の超音波振動子
830 本体
900 第4の経口型内視鏡装置
910 第4のイメージセンサ
920 第4の超音波振動子
930 本体
900a 第5の経口型内視鏡装置
910a 第5のイメージセンサ
920a 第5の超音波振動子
930a 本体





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