(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 9/72 20060101AFI20220411BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20220411BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20220411BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20220411BHJP
H03H 9/25 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H03H9/72
H03H9/64 Z
H03H9/17 F
H03H9/70
H03H9/25 C
(21)【出願番号】P 2021015364
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2021-07-21
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英司
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-011300(JP,A)
【文献】特開2013-168996(JP,A)
【文献】特開2012-231437(JP,A)
【文献】特開2019-121879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信通過帯域を有する送信フィルタと
受信通過帯域を有する受信フィルタと
を備える弾性波デバイスであって、
前記送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器を有し、
前記複数の直列共振器のうちで、前記送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器は、
前記受信通過帯域の最も高い周波数と
同じ反共振周波数を有し、
前記送信通過帯域の周波数から離れた共振周波数を有し、
前記複数の直列共振器のキャパシタンスの平均値よりも小さく、かつ、
前記複数の並列共振器のキャパシタンスの平均値よりも大きいキャパシタンスを有する、弾性波デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術的進歩により、移動体通信端末に代表されるスマートフォンなどは、目覚ましく小型化、軽量化されている。このような移動通信端末に用いられるフィルタとしては、小型化が可能な弾性波デバイスが用いられている。また、移動体通信システムとしては、同時送受信する通信システムが急増しデュプレクサ等の弾性波デバイスの需要が急増している。
【0003】
これらの状況によって、デュプレクサ等の弾性波デバイスの要求仕様がより厳しくなってきている。すなわち、従来に比してより小型で、よりアイソレーション特性に優れたデュプレクサ等の弾性波デバイスが必要となっている。
【0004】
特許文献1には、複数のフィルタを有する弾性波デバイスにおいて、アイソレーション特性を向上させるため、付加回路を設ける技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、十分に小型化ができ、かつ、十分なアイソレーション特性をもつ弾性波デバイスを提供することができない。本発明は、より小型で、よりアイソレーション特性に優れた弾性波デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明にあっては、
送信通過帯域を有する送信フィルタと
受信通過帯域を有する受信フィルタと
を備える弾性波デバイスであって、
前記送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器を有し、
前記複数の直列共振器のうちで、前記送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器は、
前記受信通過帯域の最も高い周波数と同じ反共振周波数を有し、
前記送信通過帯域の周波数ではない共振周波数を有し、
前記複数の直列共振器のキャパシタンスの平均値よりも小さく、かつ、
前記複数の並列共振器のキャパシタンスの平均値よりも大きいキャパシタンスを有する、
弾性波デバイスとした。
【0011】
前記送信フィルタと前記受信フィルタの少なくとも一方は、音響薄膜共振器を用いたフィルタであることが、本発明の一形態とされる。
【0012】
前記送信フィルタと前記受信フィルタの少なくとも一方は、圧電基板上に形成された弾性表面波共振器を用いたフィルタであることが、本発明の一形態とされる。
【0013】
前記送信フィルタおよび前記受信フィルタは弾性表面波共振器を用いたフィルタであり、同一の圧電基板上に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【0014】
前記圧電基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板が接合されていることが、本発明の一形態とされる。
【0015】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本発明の一形態とされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より小型で、よりアイソレーション特性に優れた弾性波デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる弾性波デバイス1の断面図である。
【
図2】
図2は、デバイスチップ5(Tx)の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本実施例と比較例のアイソレーション特性を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施例と比較例のデュプレクサの通過特性を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例2にかかるデバイスチップ105の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例3にかかるモジュール100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施の形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0019】
(実施例1)
図1は、実施例1にかかる弾性波デバイス1の断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例にかかる弾性波デバイス1は、配線基板3と、配線基板3上に実装された、2つのデバイスチップ5を備える。
【0021】
本実施例では、デバイスチップ5(Rx)を受信フィルタとして、デバイスチップ5(Tx)を送信フィルタとする、デュプレクサである弾性波デバイスの例を示すが、当然のことながら、本発明の適用対象として、デバイスチップ5が一つであるワンチップデュプレクサでもよいし、クワトロプレクサとしての弾性波デバイスとしてもよい。
【0022】
配線基板3は、例えば、樹脂からなる多層基板、または、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板等が用いられる。また、配線基板3は、複数の外部接続端子31を備える。
【0023】
デバイスチップ5上には、所望の周波数帯域の電気信号が通過するように構成されたバンドパスフィルタが形成されている。デバイスチップ5(Tx)上には、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタが形成されている。本実施例において、デバイスチップ5(Tx)上に構成されたバンドパスフィルタは、送信通過帯域を有するように構成された送信フィルタである。
【0024】
デバイスチップ5(Rx)上には、バンドパスフィルタが形成されている。本実施例において、デバイスチップ5(Rx)上に構成されたバンドパスフィルタは、受信通過帯域を有するように構成された受信フィルタである。
【0025】
配線基板3上に、複数の電極パッド9が形成されている。電極パッド9は、例えば、銅または銅を含む合金を用いることができる。また、電極パッド9は、例えば、10μm~20μmの厚みとすることができる。
【0026】
デバイスチップ5を覆うように、封止部17が形成されている。封止部17は、例えば、合成樹脂等の絶縁体により形成してもよく、金属を用いてもよい。合成樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミドなどを用いることができるが、これらに限るものではない。好ましくは、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いて封止部17を形成する。
【0027】
デバイスチップ5は、バンプ15を介して、配線基板3にフリップチップボンディングにより実装されている。
【0028】
バンプ15は、例えば、金バンプを用いることができる。バンプ15の高さは、例えば、20μmから50μmである。
【0029】
電極パッド9は、バンプ15を介して、デバイスチップ5と電気的に接続されている。
【0030】
次に、デバイスチップ5(Tx)上の構成について説明する。
図2は、デバイスチップ5(Tx)の構成例を示す図である。
【0031】
図2に示すように、デバイスチップ5(Tx)上に、弾性波素子52および配線パターン54が形成されている。
【0032】
弾性波素子52は、複数の直列共振器S1~S5および複数の並列共振器P1~P4を含む。
【0033】
配線パターン54は、入力パッドIn、出力パッドOutおよびグランドパッドGNDを構成する配線を含んでいる。また、配線パターン54は、弾性波素子52と電気的に接続されている。
【0034】
入力パッドInは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、送信フィルタの入力端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0035】
出力パッドOutは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、送信フィルタの出力端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0036】
グランドパッドGNDは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、送信フィルタのグランド端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0037】
本実施例において、複数の直列共振器のうち、送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器S1は、受信フィルタ(
図2において図示なし)の受信通過帯域の最も高い周波数に近似する反共振周波数を有している。
【0038】
また、直列共振器S1のキャパシタンスは、他の直列共振器S2~S5のキャパシタンスの平均値よりも、小さく設計されている。直列共振器S1の反共振周波数および共振周波数は、送信通過帯域の周波数から離れており、反共振周波数および共振周波数に直接高い電力が印可されないため、他の直列共振器よりも、耐電力が低くても破壊されにくい。よって、入力端子に最も近い位置に配置されている直列共振器であるにもかかわらず、小さく設計することができる。
【0039】
送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置されている直列共振器は、パワーアンプで増幅された電気信号が最初に印可される共振器である。よって、通常、送信フィルタにおいては、入力端子に最も近い位置に配置されている直列共振器は、破壊しないよう十分な耐電力を確保するため、比較的大きく設計される必要がある。
【0040】
本実施例のように、受信フィルタの受信通過帯域の最も高い周波数に近似する反共振周波数を有する直列共振器を送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置することで、耐電力が向上し、弾性波デバイス全体を小型化できる。
【0041】
また、直列共振器S1のキャパシタンスは、並列共振器P1~P4のキャパシタンスの平均値よりも、大きく設計されている。直列共振器は、配線パターンにより直接グランドパッドと接続されていない。よって、並列共振器に比べて、放熱されにくい。
【0042】
また、電力の印可の影響により、温度が上昇すると、共振器の周波数は、低周波側へシフトする。これらの影響を考慮すると、直列共振器S1のキャパシタンスは、並列共振器P1~P4のキャパシタンスの平均値よりも、大きく設計されることが望ましい。
【0043】
図3は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
【0044】
図3に示すように、デバイスチップ5上に、弾性表面波を励振するIDT(Interdigital Transducer)52aと反射器52bが形成されている。IDT52aは、互いに対向する一対の櫛形電極52cを有する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dと複数の電極指52dを接続するバスバー52eを有する。反射器52bは、IDT52aの両側に設けられている。
【0045】
IDT52aおよび反射器52bは、例えば、アルミニウムと銅の合金からなる。IDT52aおよび反射器52bは、その厚みが、例えば、150nmから400nmの薄膜である。
【0046】
IDT52aおよび反射器52bは、他の金属、例えば、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金を含んでもよく、これらの合金により形成されてもよい。また、IDT52aおよび反射器52bは、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。
【0047】
弾性表面波共振器は、例えば、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウムなどの適宜の金属もしくは合金により形成することができる。また、弾性表面波共振器は、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。また、弾性表面波共振器は、その厚みが、例えば、150nmから400nmとすることができる。
【0048】
デバイスチップ5は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶、あるいは圧電セラミックスからなる基板を用いることができる。あるいは、後述するように、音響薄膜共振器を用いたバンドパスフィルタにおいては、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板を用いることができる。
【0049】
また、デバイスチップ5は、圧電基板と支持基板が接合された基板を用いてもよい。支持基板は、例えば、サファイア、アルミナ、スピネル、水晶、ガラスまたはシリコン基板を用いることができる。
【0050】
図4は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
【0051】
図4に示すように、デバイスチップ5となるチップ基板60上に圧電膜62が設けられている。圧電膜62を挟むように下部電極64および上部電極66が設けられている。下部電極64とチップ基板60との間に空隙68が形成されている。下部電極64および上部電極66は、圧電膜62内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。
【0052】
チップ基板60は、例えば、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板を用いることができる。圧電膜62は、例えば、窒化アルミニウムを用いることができる。下部電極64および上部電極66は、例えば、ルテニウム等の金属を用いることができる。
【0053】
配線パターン54は、例えば、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウムなどの適宜の金属もしくは合金により形成することができる。また、配線パターン54は、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。また、配線パターン54は、その厚みが、例えば、150nmから400nmとすることができる。
【0054】
デバイスチップ5(Rx)に形成される受信フィルタは、送信フィルタ同様、弾性波素子52を複数形成することで、適宜のバンドパスフィルタを構成することにより実現することができる。
【0055】
バンドパスフィルタは、入力パッドから入力された電気信号のうち、所望の周波数帯域のみの電気信号を出力パッドに通過させるように設計されている。ラダー型フィルタとして設計してもよいし、多重モード型フィルタとして設計してもよい。また、弾性表面波共振器により構成してもよいし、音響薄膜共振器により構成してもよい。
【0056】
受信フィルタにおいても、デバイスチップ5(Rx)上に、入力パッド、出力パッドおよびグランドパッドが形成されている(図示なし)。
【0057】
受信フィルタの入力パッドは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、受信フィルタの入力端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0058】
受信フィルタの出力パッドは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、受信フィルタの出力端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0059】
受信フィルタのグランドパッドは、バンプ15、電極パッド9および配線基板3を介して、受信フィルタのグランド端子となる外部接続端子31と電気的に接続されている。
【0060】
受信フィルタの入力端子から入力された電気信号は、受信フィルタを通過し、所望の周波数帯域の電気信号が、受信フィルタの出力端子である外部接続端子31から出力される。
【0061】
図5は、本実施例と比較例のアイソレーション特性を示す図である。
【0062】
図5に示すように、本実施例にかかる弾性波デバイスは、送信通過帯域が1920MHzから1980MHzであり、受信通過帯域が2110MHzから2170MHzである、デュプレクサである。
【0063】
実線で示された波形は、本実施例である弾性波デバイスのアイソレーション特性を示す。また、破線で示された波形は、比較例のアイソレーション特性を示す。比較例のデュプレクサは、送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器の共振周波数を送信通過帯域の低周波側となるように設計した。その他の条件は、本実施例のデュプレクサと同様とした。
【0064】
図5に示すように、本実施例の受信通過帯域の高周波側のアイソレーション特性は、比較例と比べて大幅に改善していることがわかる。また、
図5に示す波形TxS1は、本実施例の送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器S1の共振特性を示す。
図5に示すように、直列共振器S1は、受信通過帯域の最も高い周波数である2170MHzに近似する反共振周波数を有する。
【0065】
図6は、本実施例と比較例のデュプレクサの通過特性を示す図である。
【0066】
実線で示された波形は、本実施例である弾性波デバイスのデュプレクサの通過特性を示す。また、破線で示された波形は、比較例の通過特性を示す。比較例のデュプレクサは、
図5で示したアイソレーション特性をもつデュプレクサである。その他の条件は、本実施例のデュプレクサと同様とした。
【0067】
図6に示すように、通過帯域の特性は、本実施例および比較例ともに同等の特性であるのに対して、通過帯域外となる2170MHz付近よりも高周波となる領域から、本実施例のアイソレーション特性が優れていることがわかる。
【0068】
すなわち、本発明によれば、より小型で、よりアイソレーション特性に優れた弾性波デバイスを提供することができる。
【0069】
(実施例2)
次に、本発明の別の実施形態である実施例2について説明する。
【0070】
図7は、実施例2にかかるデバイスチップ105の構成例を示す図である。
【0071】
図7に示すように、一つのデバイスチップ105上に、受信フィルタRxBPFと送信フィルタTxBPFが形成されている。これにより、一つのデバイスチップでデュプレクサとしての弾性波デバイスを提供することができる。
【0072】
図7に示すように、受信フィルタRxBPFの入力パッドIn(Rx)と送信フィルタTxBPFの出力パッドOut(Tx)は、共通となっている。また、
図7に示すように、受信フィルタRxBPFの出力パッドOut(Rx)と送信フィルタTxBPFの入力パッドIn(Tx)は、デバイスチップ105上において、最も離れた配置とすることが望ましい。受信フィルタRxBPFと送信フィルタTxBPF間の干渉を低減することができ、デュプレクサの特性が向上するからである。
【0073】
その他の構成は、実施例1と同様の構成を採用することができるため、説明を省略する。
【0074】
(実施例3)
次に、本発明の別の実施形態である実施例3について説明する。
【0075】
図8は、本発明の実施例3にかかるモジュール100の断面図である。
【0076】
図8に示すように、配線基板130の主面上に、弾性波デバイス1が実装されている。弾性波デバイス1は、例えば、実施例1または実施例2で説明した構成を採用したデュプレクサであるとすることができる。配線基板130は、複数の外部接続端子131を有している。複数の外部接続端子131は、所定の移動通信端末のマザーボードに実装される構成となっている。
【0077】
配線基板130の主面上に、インピーダンスマッチングのため、インダクタ111が実装されている。インダクタ111は、Integrated Passive Device(IPD)とすることができる。モジュール100は、弾性波デバイス1を含む複数の電子部品を封止するための封止部117により、封止されている。
【0078】
配線基板130の内部に、集積回路部品ICが実装されている。集積回路部品ICは、図示はしないが、スイッチング回路、ローノイズアンプを含む。
【0079】
その他の構成は、実施例1または実施例2で説明した内容と重複するため、省略する。
【0080】
以上説明した本発明の実施形態によれば、より矩形に近く、低損失で急峻性に優れた通過帯域特性を持つ多重モード型共振器を用いた弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することすることができる。
【0081】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【0082】
また、少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面を上述したが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。
【0083】
かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本発明の範囲内にあることが意図される。理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。
【0084】
方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0085】
また、ここで使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。前後左右、頂底上下、および横縦への言及はいずれも、記載の便宜を意図しており、本発明の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は例示にすぎない。
【符号の説明】
【0086】
1 弾性波デバイス
3 130 配線基板
5 105 デバイスチップ
9 電極パッド
15 バンプ
17 117 封止部
31 131 外部接続端子
52 弾性波素子
54 配線パターン
60 チップ基板
62 圧電膜
64 下部電極
66 上部電極
68 空隙
100 モジュール
111 インダクタ
IC 集積回路部品
【要約】
【課題】より小型で、よりアイソレーション特性に優れた弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供する。
【解決手段】送信通過帯域を有する送信フィルタと、受信通過帯域を有する受信フィルタとを備える弾性波デバイスであって、前記送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器を有し、前記複数の直列共振器のうちで、前記送信フィルタの入力端子に最も近い位置に配置された直列共振器は、前記受信通過帯域の最も高い周波数と
同じ反共振周波数を有し、前記送信通過帯域の周波数ではない共振周波数を有し、前記複数の直列共振器のキャパシタンスの平均値よりも小さく、かつ、前記複数の並列共振器のキャパシタンスの平均値よりも大きいキャパシタンスを有する、弾性波デバイス。
【選択図】
図2