(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20220411BHJP
B27N 3/08 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C10L5/44
B27N3/08
(21)【出願番号】P 2021061959
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】202110217597.5
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517058417
【氏名又は名称】王 凱
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】王 凱
(72)【発明者】
【氏名】張 枝栄
(72)【発明者】
【氏名】張 国勇
(72)【発明者】
【氏名】胡 暁松
(72)【発明者】
【氏名】姜 宏涛
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(72)【発明者】
【氏名】小川 重幸
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-30920(JP,A)
【文献】実開昭52-45599(JP,U)
【文献】登録実用新案第3233802(JP,U)
【文献】登録実用新案第3233918(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
B27N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法であって、前記圧密製品を製造するための原料が主に、沈香葉と沈香芽を含み、前記沈香葉と前記沈香芽の質量比が5-10:2-4であり、前記高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が7.5-9%、沈香芽の含水率が5-7%になるまで乾燥するステップと、
S2:各原料を所定の質量比とし、それぞれ粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形し、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項2】
ステップS2において沈香葉の粉砕後の粒度は5-20mmであり、沈香芽の粉砕後の粒度は5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項3】
前記沈香葉の粉砕後の粒度は15-20mmであり、沈香芽の粉砕後の粒度は2mm未満であることを特徴とする請求項2に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項4】
前記圧密製品の製造原料は、木屑をさらに含み、前記木屑と前記沈香葉及び前記沈香芽との質量比は、1-2:5-10:2-4であることを特徴とする請求項1に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項5】
ステップS1は、木屑を、含水率が6-7%になるまで乾燥し、粒度が10mm未満になるまで粉砕することをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項6】
ステップS3において、混練された沈香葉及び沈香芽を高周波加熱した後、プレス成形することは、具体的には、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、80-100℃に高周波加熱し、2-6minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150-160℃に高周波加熱し、10-20minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15-20minの保圧時間で加圧するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2-5のいずれか1項に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項7】
ステップS3のプレス成形の後に、内部圧密製品を常温に下げるために、前記木板、上板及び下板に冷水を当てるというS4急冷ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2-5のいずれか1項に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項8】
前記冷水の温度は20℃未満であることを特徴とする請求項7に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項9】
ステップS3のプレス成形の後に、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を複数の立方体に切断するという切断ステップS5をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【請求項10】
前記圧密製品の嵩密度は1g.cm
-3-1.3g.cm
-3であり、前記圧密製品は、燃料、圧密板材、装飾板材のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧密生産技術の分野に属し、特に、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然の沈香は非常に高価であり、人工的に沈香を得るために、従来技術では大量の沈香木を植栽しているが、いくらかの人工的介入技術を採取しても沈香が得られる沈香木は依然として非常に少ないので、大量の沈香木が発生するとともに、大量の沈香葉及び沈香芽が廃棄され、このような報告は見られないが、これらの廃棄物を技術的手段によって利用し、且つ沈香が得られるのに近い経済的効果を維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、沈香葉と沈香芽の使用範囲を広げるために、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の具体的な技術的解決手段は、圧密製品を製造するための原料が主に、沈香葉と沈香芽を含み、沈香葉と沈香芽の質量比が5-10:2-4であり、
圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が7.5-9%、沈香芽の含水率が5-7%になるまで乾燥するステップと、
S2:各原料を所定の質量比とし、それぞれ粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形し、圧密製品を得るステップと、を含む、ことである。
【0005】
本発明にて提供される圧密製品は、廃棄された沈香葉と沈香芽を利用して、嵩密度が高く、輸送、貯蔵を容易にし、ここで、嵩密度ρ=m/vであり、mは圧密製品の質量であり、vは圧密製品の体積であり、バイオマス成型燃料の燃焼性能や物理的性能は、原料の種類、粉砕粒度、圧密製品の体積などと直接関係することは周知であり、従来技術では、木葉や藁などの原料を圧密製品に製造していたが、圧密製品の燃焼性能や物性を両立させるためには、通常、製造される圧密製品の単位体積が小さく、使用に際しては、大量の圧密製品を一度に投入する必要があり、操作しにくく、本発明は、数多くの実験研究により、単独で沈香葉と沈香芽をブロックにプレスして得られた圧密製品が、プレス時に高い温度を必要とするか、又は物理的特性が良くないことを見出し、研究過程で驚くべきことに、両者を混合してプレスして得られた圧密製品が、燃焼性能と物理的性能を両立させることができ、且つ両者の比率を限定することにより、プレス時の温度を低下させ、省資源化を図ることができ、民生用の圧密製品及び産業用ボイラーの圧密製品として使用できることを見出した。
【0006】
さらに、ステップS2において沈香葉の粉砕後の粒度は5-20mmであり、沈香芽の粉砕後の粒度は5mm未満である。
【0007】
沈香葉の粒径を沈香芽の粒径よりも大きく制限することにより、それに含まれる茎は、圧縮中に複数回曲げられ、他の沈香葉の茎と絡み合って引きかかり、粒径が小さい沈香芽としっかり固定すると同時に、沈香芽の粒径が小さいため、粒径が大きいために圧密製品が緩むという問題を回避できる。
【0008】
さらに、沈香葉の粉砕後の粒度は15-20mmであり、沈香芽の粉砕後の粒度は2mm未満である。
【0009】
沈香葉及び沈香芽の粒径をさらに限定することにより、圧密製品ブロックの飛散抵抗性を顕著に向上させることができる。
【0010】
さらに、前記圧密製品の製造原料は、木屑をさらに含み、木屑と沈香葉及び沈香芽との質量比は、1-2:5-10:2-4である。
【0011】
さらに、ステップS1は、木屑を、含水率が6-7%になるまで乾燥し、粒度が10mm未満になるまで粉砕することをさらに含む。
【0012】
好ましくは、この木屑は、沈香木屑であり、本発明では、圧密製品に木屑を添加することにより、廃棄された木屑を再利用することができるが、その際、木屑の質量割合を上記範囲に限定しなければ圧密製品の成形性や飛散抵抗性に影響を与えることが、多くの実験により判明している。
【0013】
さらに、ステップS3において、混練された沈香葉及び沈香芽を高周波加熱した後、プレス成形することは、具体的には、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、80-100℃に高周波加熱し、2-6minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150-160℃に高周波加熱し、10-20minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15-20minの保圧時間で加圧するステップと、を含む。
【0014】
本発明は、まずステップS31により各原料を80-100℃に加熱し、各原料内部の水分子を十分に運動させて各原料内部及び各原料間に均一に分布させ、ステップS32により各原料を150-160℃に加熱し、各原料中のリグニンを軟化させ、10-20min保温した後リグニンが完全に軟化し、ステップS33により加圧、保圧を行い、各原料をプレス成型し、金型は大型で、プレス成型後に、圧密製品を、目標とする体積の大きさに切断してもよく、単位体積に切断してもよく、プレス成型後の圧密製品は再び切断する必要がなく、金型の体積は設備の大きさに応じて選択することができる。
【0015】
さらに、金型と加熱プレス機の上板及び下板は、いずれも熱伝導性材質で作製され、ステップS3のプレス成形の後に、内部圧密製品を常温に下げるまでに、木板、上板及び下板に冷水を当てるというS4急冷ステップをさらに含む。
【0016】
さらに、冷水の温度は20℃未満である。
【0017】
本発明は、ステップS4により、金型内の圧密製品を常温に降温した後、高温条件下で圧密製品を取り出した時の表面の水分の多量の蒸発による圧密製品の表面の乾燥を回避するとともに、圧密製品の内部と外部の含水率差を低減することができる。
【0018】
さらに、ステップS3のプレス成形の後に、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を複数の立方体に切断するというステップS5をさらに含む。
【0019】
さらに、この圧密製品の嵩密度は1g.cm-3-1.3g.cm-3である。
【発明の効果】
【0020】
本発明にて提供される方法で製造された高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品は、廃棄された沈香葉と沈香芽を十分に使用し、製造された圧密製品は、嵩密度が大きく、体積が大きく、輸送、貯蔵を容易にし、中規模の試験により、大量生産に使用可能であることが示され、より重要なことは、経済的利益と環境的利益の両方のバランスをとることに達し、本発明の圧密製品は、燃料ブロックとしての使用の他に、圧密製品の優れた飛散抵抗性、成形性に基づいて、家庭用又は建築用の板材、複合材料のサンドイッチ構造のコア材などとしての使用にも適している。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
実施例1は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が7.5%、沈香芽の含水率が7%になるまで乾燥するステップと、
S2:沈香葉16000g、沈香芽14000gを採取し、沈香葉を平均粒径5mmに粉砕し、沈香芽を平均粒径4mmに粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS3は、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、80℃に高周波加熱し、6minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150℃に高周波加熱し、20minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【実施例2】
【0022】
実施例2は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が8%、沈香芽の含水率が6%になるまで乾燥するステップと、
S2:沈香葉25000g、沈香芽5000gを採取し、沈香葉を平均粒径15mmに粉砕し、沈香芽を平均粒径2mmに粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS3は、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、90℃に高周波加熱し、4minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を155℃に高周波加熱し、15minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を18minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【実施例3】
【0023】
実施例3は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が9%、沈香芽の含水率が5%になるまで乾燥するステップと、
S2:沈香葉20000g、沈香芽1000gを採取し、沈香葉を平均粒径20mmに粉砕し、沈香芽を平均粒径4mmに粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS3は、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、100℃に高周波加熱し、2minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を160℃に高周波加熱し、10minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を20minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【実施例4】
【0024】
実施例4は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が7.5%、沈香芽の含水率が7%になるまで乾燥し、木屑を含水率6%まで乾燥し、粒度5mmまで粉砕したステップと、
S2:木屑3000g、沈香葉15000g、沈香芽12000gを採取し、沈香葉を平均粒径5mmに粉砕し、沈香芽を平均粒径4mmに粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS3において、混練された沈香葉と沈香芽を高周波加熱した後、プレス成形することは、具体的には、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、80℃に高周波加熱し、6minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150℃に高周波加熱し、20minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本発明の実施例における木屑は、いずれも沈香木屑であり、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【実施例5】
【0025】
実施例5は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が8%、沈香芽の含水率が6%になるまで乾燥し、木屑を含水率6.5%まで乾燥し、粒度6mmまで粉砕したステップと、
S2:木屑4000g、沈香葉19000g、沈香芽7000gを採取し、沈香葉を平均粒径15mmに粉砕し、沈香芽を平均粒径2mmに粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS3は、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、80℃に高周波加熱し、6minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150℃に高周波加熱し、20minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【実施例6】
【0026】
実施例6は、高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品を提供し、この圧密製品の製造方法は、
S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が9%、沈香芽の含水率が5%になるまで乾燥し、木屑を含水率7%まで乾燥し、粒度8mmまで粉砕したステップと、
S2:木屑4500g、沈香葉20000g、沈香芽5500gを採取し、それぞれ粉砕し、均一に混合するステップと、
S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形するステップと、を含み、
ステップS2において、沈香葉を平均粒径5-20mmに粉砕し、沈香芽を粒径5mm未満に粉砕し、
ステップS3において、混練された沈香葉と沈香芽を高周波加熱した後、プレス成形することは、具体的には、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、100℃に高周波加熱し、2minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を160℃に高周波加熱し、10minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を20minの保圧時間で加圧するステップと、
S4急冷ステップにおいて、内部圧密製品を常温に下げるために、木板、上板及び下板に温度20℃の冷水を当てるステップと、
S5切断ステップにおいて、プレス成形された沈香葉及び沈香芽を10個の20cm×15cm×10cmのそれぞれ3kgの質量を有する立方体に切断するステップと、を含み、
本発明の6つの実施例で使用される金型は下板の上面に固定され、金型は長方形の枠であり、枠の内壁の寸法は縦75cm、横40cm、高さ100cm超であり、上板は縦75cm、横40cm、高さ10cmであり、下板の縦及び横はそれぞれ100cm及び50cmであり、
本実施例で製造された圧密製品の嵩密度は1g.cm-3である。
【0027】
(対照例1)
対照例1は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉25000gと沈香芽5000gを沈香葉30000gに代え、沈香葉の粉砕後の粒度が15mmのことである。
【0028】
(対照例2)
対照例2は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉25000gと沈香芽5000gを沈香芽30000gに代え、沈香芽の粉砕後の粒度が2mmのことである。
【0029】
(対照例3)
対照例3は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉及び沈香芽の使用量を、沈香葉5000gと沈香芽25000gに修正したことである。
【0030】
(対照例4)
対照例4は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉及び沈香芽の使用量を、沈香葉5000gと沈香芽25000gに修正し、高温ステップにおいて、金型内の沈香葉と沈香芽を200℃まで高周波加熱し、保温時間を15minとしたことである。
【0031】
(対照例5)
対照例5は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉及び沈香芽の破砕粒度が15cmのことである。
【0032】
(対照例6)
対照例6は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、沈香葉及び沈香芽の破砕粒度が2cmのことである。
【0033】
(対照例7)
対照例7は、圧密製品を提供し、実施例4との相違点として、木屑10000g、沈香葉15000g、沈香芽5000gを各成分として用いたことである。
【0034】
(対照例8)
対照例8は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、急冷ステップを削除したことである。
【0035】
(対照例9)
対照例9は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、ステップS3が、
高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を155℃に高周波加熱し、15minの保温時間であるステップと、
高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を18minの保圧時間で加圧するステップと、を含む、ことである。
【0036】
(対照例10)
対照例10は、圧密製品を提供し、実施例2との相違点として、ステップS3が、
S31加温ステップにおいて、混練された各原料を金型に平らに敷き、70℃に高周波加熱し、4minの保温時間で保温するステップと、
S32高温ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を150℃に高周波加熱し、15minの保温時間であるステップと、
S33高圧ステップにおいて、金型内の沈香葉及び沈香芽を15minの保圧時間で加圧するステップと、を含む、ことである。
【0037】
(試験例1)圧密製品の燃焼性能の測定
実施例1-6及び対照例1-10で製造した圧密製品の発熱量を国際規格GB/T213-2003及びGB5186-85の条件で測定し、具体的な方法は、各圧密製品の発熱量の測定はSXHW-2型デジタルディスプレイサーモスタット熱量計により測定したものであり、試料(圧密製品を立方体1個ずつ、質量3kg)を耐食性ステンレス製のるつぼに入れ、るつぼをカートリッジに入れ、キャップをねじ込んで水を入れた楕円筒にカートリッジを入れ、カートリッジを水没させ、カートリッジを入れた楕円筒を熱量計の二重の水ジャケットに入れ、通電してカートリッジ内で点火した試料後の燃焼による発熱を、カートリッジ壁からバケツの水に伝導し、水温の上昇及び熱量系の熱容量を算出し、試料の発熱量を各群6個の平行サンプルとして平均した試験結果を表1に示した。
【0038】
【0039】
表1から明らかなように、実施例1-3は低位発熱量が15000J/gを上回っているのに対し、実施例4-6は低位発熱量が実施例1-3に対して顕著に向上し、対照例1はすべてが沈香葉を使用し、対照例2はすべてが沈香芽を使用しており、いずれも低位発熱量が低下しているのに対し、対照例3は実施例2に対して2成分の使用量を変え、低位発熱量が若干低下しているのに対し、対照例4は2成分の使用量を変え、高温ステップの温度を高めているが、その低位発熱量は実施例2と類似しているが、必要な温度が高く、資源を無駄にしている。
【0040】
(試験例2)圧密製品の飛散抵抗性試験
実施例1-6及び対照例1-10の石炭を参照した飛散抵抗強度の測定方法で、GB/T15459-1995に準拠して各組の圧密製品の飛散抵抗強度を測定し、各組の圧密製品を2mの高さから床に自由落下させ、落下した圧密製品を再び2mの高さから自由落下させて3回行い、破砕後の体積が1000mm3を超える圧密製品の元の圧密製品の質量に占める百分率を、圧密製品の飛散抵抗強度を各群6個の平行サンプルとして平均した試験結果を表2に示した。
【0041】
【0042】
表2から明らかなように、実施例4-6は、実施例1-3に加えて木屑を増加させて飛散抵抗性を低下させたが、依然として85%以上であり、対照例1は全て沈香葉を用いて飛散抵抗性を増大させたものであり、対照例2は全て沈香芽を用いて飛散抵抗性を顕著に低下させたものであり、対照例3は沈香葉と沈香芽の配合比率を変更して飛散抵抗性を低下させたものであり、対照例4は沈香葉と沈香芽の配合比率を調整して高温ステップの温度を高くして飛散抵抗性を実施例2よりも若干低くしたが、製造時に温度を高くする必要があり、資源を浪費したものであり、対照例5は沈香芽の粒径を高くして飛散抵抗性を顕著に変更しなかったものであり、対照例6は沈香葉の粒径を小さくように調整して飛散抵抗性を顕著に低下させたものであり、対照例7は木屑の使用量を高くして飛散抵抗性を15%程度低下させたものであり、対照例8は急冷ステップを削除して飛散抵抗性を顕著に低下させたものであり、対照例9は加温ステップを削除して、高温ステップを直接行って、飛散抵抗性を顕著に低下させたものであり、対照例10は加温ステップ及び高温ステップの温度を低くように調整して飛散抵抗性を10%程度低下させたものであり、これらの結果により、本発明の処方、比率及び方法に基づいて調整して得られた圧密製品の飛散抵抗性を低下させ、対照例1の飛散抵抗性を向上させたが、表1から、その燃焼性能が低く、採用できないことが示唆された。
【0043】
(試験例3)成形性試験
実施例1-3及び対照例1-10の圧密製品について、0日間放置、及び30日間放置、90日間放置後の各組の圧密製品を肉眼で観察した結果を表3に示す。
【0044】
【0045】
表3から明らかなように、実施例1-3の圧密製品は30日以内で成形効果が高く、緊密で、90日目までは小さな割れがあったが、対照例1は全てが沈香葉を用いたものであり、成形効果が悪く、割れがあり、時間の経過と共に割れが大きくなるものであり、対照例2は全てが沈香芽を用いたものであり、0日目で成形効果が良く、緊密であったが、30日目から割れが始まり、その後は大きくなるものであり、対照例3は沈香葉と沈香芽の配合比率を変化させて成形性が良く、緊密であったが、時間の経過と共に割れが大きくなり、対照例4は沈香葉と沈香芽の配合比率を調整し、同時に高温ステップの温度を高めて実施例1-3と同様の効果を得たが、製造過程での温度を高くして、資源の無駄があるものであり、対照例5は沈香芽の粒径を高めて成形性が悪く、緊密でなく、30日目から割れがあり、90日目での滓の落下があるものであり、対照例6は沈香葉の粒径を小さくように調整して成形性が良く、緊密であったが、30日目から割れがあり、90日目で細かい滓の落下があるものであり、対照例7は木屑の使用量を増やして成形性が良く、緊密であったが、30日目から割れがあり、時間の経過と共に割れが大きくなり、対照例8は急冷ステップを削除して成形性が悪く、割れが大きくなり、対照例9は加温ステップを削除して、高温ステップを直接行って、成形性が悪く、緊密でなく、90日目での滓の落下があるものであり、対照例10は加温ステップ及び高温ステップの温度を低くように調整して、成形性が悪く、緊密でなく、90日目での滓の落下があるものであり、以上の結果により、本発明の処方、比率及び方法に基づいて調整して得られた圧密製品の成形性が悪く、対照例4の成形効果が実施例1-3に類似しているが、資源をもっと無駄したことが示唆された。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の特許範囲及び明細書内容に基づいた等価な変化と修飾は、いずれも本発明の権利範囲内にある。
【要約】 (修正有)
【課題】高周波による沈香葉と沈香芽の圧密製品の製造方法を提供する。
【解決手段】圧密製品の製造方法は、S1:沈香葉と沈香芽の泥砂を取り除き、沈香葉の含水率が7.5-9%、沈香芽の含水率が5-7%になるまで乾燥するステップと、S2:各原料を所定の質量比とし、それぞれ粉砕し、均一に混合するステップと、S3:混練された各原料を高周波加熱した後、プレス成形し、圧密製品を得るステップと、を含み、本発明にて提供される沈香葉と沈香芽による圧密製品は、廃棄された沈香葉と沈香芽を十分に利用して、製造した圧密製品は、嵩密度が高く、体積が大きく、輸送、貯蔵を容易にする。
【選択図】なし