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特許7055499弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20220411BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20220411BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20220411BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/25 C
H03H9/64 Z
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021086637
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2021-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英司
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-249840(JP,A)
【文献】特開2018-006851(JP,A)
【文献】国際公開第2007/083432(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/147687(WO,A1)
【文献】特開2004-015669(JP,A)
【文献】特開2018-050158(JP,A)
【文献】国際公開第2008/059674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続されたデバイスチップと、
前記配線基板とともに、前記デバイスチップを封止する封止部と、
を備え、
前記デバイスチップは、
弾性表面波を励振する共振器と、
前記共振器と電気的に接続する第1メタライズ層と、
前記第1メタライズ層の表面の一部および前記共振器上に亘って形成された第1絶縁層と、
前記第1メタライズ層の表面において前記第1絶縁層に覆われていない部分および前記第1絶縁層において前記第1メタライズ層の表面を覆った部分に亘って形成され、バンプパッドとして機能する露出面を有した第2メタライズ層と、
前記第1絶縁層上および前記第2メタライズ層の前記露出面の縁部に亘って形成された第2絶縁層と、
を備える弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第1メタライズ層は、前記第2絶縁層と直接接合していない請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記第2メタライズ層は、前記第1メタライズ層、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層と直接接合している請求項1または請求項2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記第1絶縁層は、前記第1メタライズ層、前記第2メタライズ層および前記第2絶縁層と直接接合している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第1絶縁層の熱膨張係数は、前記第2絶縁層の熱膨張係数よりも小さい請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記第2メタライズ層の幅は、前記第1メタライズ層の幅よりも小さい請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続されたデバイスチップと、
前記配線基板とともに、前記デバイスチップを封止する封止部と、
を備え、
前記デバイスチップは、
弾性表面波を励振する共振器と、
前記共振器と電気的に接続する第1メタライズ層と、
前記第1メタライズ層の表面の一部および前記共振器上に亘って形成された第1絶縁層と、
前記第1メタライズ層の表面において前記第1絶縁層に覆われていない部分および前記第1絶縁層において前記第1メタライズ層の表面を覆った部分に亘って形成された第2メタライズ層と、
前記第2メタライズ層の表面の一部に形成され、バンプパッドとして機能する露出面を有した第3メタライズ層と、
前記第1絶縁層上、前記第2メタライズ層の側面、前記第3メタライズ層の側面、前記第3メタライズ層の前記露出面の縁部に亘って形成された第2絶縁層と、
を備える弾性波デバイス。
【請求項8】
前記配線基板と前記デバイスチップとを電気的に接続するバンプ、
を備え、
前記バンプは、自らの最大長径の位置が前記第2絶縁層から離れた状態で、前記デバイスチップの主面の側から透視した際に前記第2絶縁層の縁部に重なった位置に配置され、前記第2絶縁層と接触せず、前記第3メタライズ層の前記露出面と接合した請求項7に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記第2メタライズ層の幅は、前記第1メタライズ層の幅よりも小さく、
前記第3メタライズ層の幅は、前記第2メタライズ層の幅よりも小さい請求項7または請求項8に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記デバイスチップは、圧電性基板と、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板が接合された基板である請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項11】
複数の弾性表面波共振器からなるバンドパスフィルタが形成された第2デバイスチップ、
を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項12】
複数の音響薄膜共振器からなるバンドパスフィルタが形成された第2デバイスチップ、を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールに関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、弾性波デバイスを開示する。当該弾性波デバイスは、貫通ビア等の放熱経路を介して放熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-157922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の弾性波デバイスにおいては、封止部の内部において、デバイスチップにおける配線と共振器とが露出する。このため、デバイスチップにおける配線と共振器とが腐食し得る。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、デバイスチップにおける配線と共振器との腐食を抑制することができる弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる弾性波デバイスは、
配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続されたデバイスチップと、
前記配線基板とともに、前記デバイスチップを封止する封止部と、
を備え、
前記デバイスチップは、
弾性表面波を励振する共振器と、
前記共振器と電気的に接続する第1メタライズ層と、
前記第1メタライズ層の表面の一部および前記共振器上に亘って形成された第1絶縁層と、
前記第1メタライズ層の表面において前記第1絶縁層に覆われていない部分および前記第1絶縁層において前記第1メタライズ層の表面を覆った部分に亘って形成され、バンプパッドとして機能する露出面を有した第2メタライズ層と、
前記第1絶縁層上および前記第2メタライズ層の前記露出面の縁部に亘って形成された第2絶縁層と、
を備える弾性波デバイスとした。
【0008】
前記第1メタライズ層は、前記第2絶縁層と直接接合していないことが、本開示の一形態とされる。
【0009】
前記第2メタライズ層は、前記第1メタライズ層、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層と直接接合していることが、本開示の一形態とされる。
【0010】
前記第1絶縁層は、前記第1メタライズ層、前記第2メタライズ層および前記第2絶縁層と直接接合していることが、本発明の一形態とされる。
【0011】
前記第1絶縁層の熱膨張係数は、前記第2絶縁層の熱膨張係数よりも小さいことが、本発明の一形態とされる。
【0012】
前記第2メタライズ層の幅は、前記第1メタライズ層の幅よりも小さいことが、本開示の一形態とされる。
【0013】
本開示にかかる弾性波デバイスは、
配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続されたデバイスチップと、
前記配線基板とともに、前記デバイスチップを封止する封止部と、
を備え、
前記デバイスチップは、
弾性表面波を励振する共振器と、
前記共振器と電気的に接続する第1メタライズ層と、
前記第1メタライズ層の表面の一部および前記共振器上に亘って形成された第1絶縁層と、
前記第1メタライズ層の表面において前記第1絶縁層に覆われていない部分および前記第1絶縁層において前記第1メタライズ層の表面を覆った部分に亘って形成された第2メタライズ層と、
前記第2メタライズ層の表面の一部に形成され、バンプパッドとして機能する露出面を有した第3メタライズ層と、
前記第1絶縁層上、前記第2メタライズ層の側面、前記第3メタライズ層の側面および前記第3メタライズ層の前記露出面縁部に亘って形成された第2絶縁層と、
を備える弾性波デバイスとした。
【0014】
前記配線基板と前記デバイスチップとを電気的に接続するバンプ、
を備え、
前記バンプは、自らの最大長径の位置が前記第2絶縁層から離れた状態で、前記デバイスチップの主面の側から透視した際に前記第2絶縁層の縁部に重なった位置に配置され、前記第2絶縁層と接触せず、前記第3メタライズ層の前記露出面と接合した本開示の一形態とされる。
前記第2メタライズ層の幅は、前記第1メタライズ層の幅よりも小さく、
前記第3メタライズ層の幅は、前記第2メタライズ層の幅よりも小さいことが、本開示の一形態とされる。

【0015】
前記デバイスチップは、圧電性基板と、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板が接合された基板であることが、本開示の一形態とされる。
【0016】
複数の弾性表面波共振器からなるバンドパスフィルタが形成された第2デバイスチップ、を備えることが、本開示の一形態とされる。
【0017】
複数の音響薄膜共振器からなるバンドパスフィルタが形成された第2デバイスチップ、を備えることが、本開示の一形態とされる。
【0018】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本開示の一形態とされる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、デバイスチップにおける配線と共振器との腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
図2】実施の形態1における弾性波デバイスのデバイスチップの平面図である。
図3】実施の形態1における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図4】実施の形態1における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図5】実施の形態1における弾性波デバイスの要部の平面図である。
図6】実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の例を示す図である。
図7】実施の形態2における弾性波デバイスの縦断面図である。
図8】実施の形態2における弾性波デバイスの第2デバイスチップの弾性波素子が音響薄膜共振器である例を示す図である。
図9】実施の形態3における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図10】実施の形態3における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図11】実施の形態3における弾性波デバイスの要部の平面図である。
図12】実施の形態4における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図13】実施の形態4における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
図14】実施の形態4における弾性波デバイスの要部の平面図である。
図15】実施の形態5における弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0022】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【0023】
図1は、弾性波デバイス1として、デュプレクサである弾性波デバイスの例を示す。
【0024】
図1に示されるように、弾性波デバイス1は、配線基板3と複数のバンプ15とデバイスチップ5と封止部17とを備える。
【0025】
例えば、配線基板3は、樹脂からなる多層基板である。例えば、配線基板3は、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板である。
【0026】
複数のバンプ15は、配線基板3と電気的に接続される。例えば、バンプ15は、金バンプである。例えば、バンプ15の高さは、20μmから50μmである。複数のバンプ15は、デバイスチップ5の主面(図1においては下面)の配線と電気的に接続される。
【0027】
デバイスチップ5は、配線基板3と複数のバンプ15を介してボンディングされる。
【0028】
例えば、デバイスチップ5は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶で形成された基板である。例えば、デバイスチップ5は、圧電セラミックスで形成された基板である。例えば、デバイスチップ5は、圧電基板と支持基板とが接合された基板である。例えば、支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスで形成された基板である。
【0029】
デバイスチップ5は、機能素子が形成される基板である。例えば、デバイスチップ5の主面において、受信フィルタと送信フィルタとが形成される。
【0030】
受信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、受信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0031】
送信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0032】
封止部17は、デバイスチップ5を覆うように形成される。封止部17は、配線基板3ともに、デバイスチップ5を封止する。例えば、封止部17は、合成樹脂等の絶縁体により形成される。例えば、封止部17は、金属で形成される。例えば、封止部17は、絶縁層と金属層とで形成される。
【0033】
封止部17が合成樹脂で形成される場合、当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミドなどである。好ましくは、封止部17は、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いてエポキシ樹脂で形成される。
【0034】
次に、図2を用いて、デバイスチップ5の構成を説明する。
図2は実施の形態1における弾性波デバイスのデバイスチップの平面図である。
【0035】
図2に示されるように、複数の弾性波素子52と配線パターン54とは、デバイスチップ5の主面に形成される。
【0036】
複数の弾性波素子52は、複数の直列共振器S1、S2、S3、S4、S5と複数の並列共振器P1、P2、P3、P4とを含む。
【0037】
複数の直列共振器S1、S2、S3、S4、S5と複数の並列共振器P1、P2、P3、P4とは、送信フィルタとして機能し得るように形成される。その他の直列共振器とその他の並列共振器とは、受信フィルタとしての機能し得るように形成される。
【0038】
例えば、配線パターン54は、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウムなどの適宜の金属もしくは合金により形成される。例えば、配線パターン54は、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成される。例えば、配線パターン54の厚みは、1500nmから4500nmである。
【0039】
配線パターン54は、弾性波素子52と電気的に接続される。配線パターン54は、アンテナ用バンプパッドANTと送信用バンプパッドTxと受信用バンプパッドRxと4つのグランドバンプパッドGNDとを含む。これらのバンプパッドは、実装された際にバンプ15(図2においては図示されず)と電気的に接続する。
【0040】
次に、図3を用いて、配線パターン54を説明する。
図3は実施の形態1における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。
【0041】
図3に示されるように、配線パターン54は、第1メタライズ層54aと第1絶縁層54bとを備える。第1メタライズ層54aは、金属で形成される。第1メタライズ層54aは、最下層となる。第1絶縁層54bは、樹脂で形成される。第1絶縁層54bは、第1メタライズ層54aの表面を覆うように形成される。
【0042】
次に、図4図5とを用いて、バンプパッドと弾性波素子52との関係を説明する。
図4は実施の形態1における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。図5は実施の形態1における弾性波デバイスの要部の平面図である。
【0043】
図4において、第1メタライズ層54aは、弾性波素子52と電気的に接続する。第1絶縁層54bは、第1メタライズ層54aの表面の一部および弾性波素子52上に亘って形成される。具体的には、第1絶縁層54bは、バンプパッドとなる箇所において、第1メタライズ層54aの表面の一部を覆う。第1絶縁層54bは、弾性波素子52も覆う。
【0044】
バンプパッドとなる箇所において、配線パターン54は、第2メタライズ層54cを備える。第2メタライズ層54cは、金属で形成される。第2メタライズ層54cは、第1メタライズ層54aの表面において第1絶縁層54bに覆われていない部分および第1絶縁層54bにおいて第1メタライズ層54aの表面を覆った部分に亘って形成される。第2メタライズ層54cの幅は、第1メタライズ層54aの幅よりも小さい。第2メタライズ層54cは、バンプ15と電気的に接続する。
【0045】
図5に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、配線パターン54と直交する方向から見た際に、第2メタライズ層54cの縁部は、第1メタライズ層54aの領域の内部に存在する。図4に示されるように、第2メタライズ層54cの幅M1は、第1メタライズ層54aの幅M2よりも小さい。
【0046】
例えば、第1メタライズ層54aの幅M1は、130μm程度である。例えば、第2メタライズ層54cの幅M2は、127μm程度である。この場合、第1メタライズ層54aの縁部に対し、第2メタライズ層54cの縁部のオフセット量O1は、1.5μm程度となる。
【0047】
バンプパッドとなる箇所において、第2メタライズ層54cの縁部に対し、第1絶縁層54bの縁部のオフセット量O2は、2.0μm程度となる。
【0048】
バンプ15の最大長径Bは、120μm程度である。このため、バンプ15は、バンプパッドとしての第2メタライズ層54cに対して安定して接合する。
【0049】
次に、図6を用いて、弾性波素子52の例を説明する。
図6は実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の例を示す図である。
【0050】
図6に示されるように、IDT(Interdigital Transducer)52aと一対の反射器52bとは、デバイスチップ5の第一主面に形成される。IDT52aと一対の反射器52bとは、弾性表面波を励振し得るように設けられる。
【0051】
例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、アルミニウムと銅の合金で形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金で形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、複数の金属層が積層した積層金属膜により形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bとの厚みは、150nmから400nmである。
【0052】
IDT52aは、一対の櫛形電極52cを備える。一対の櫛形電極52cは、互いに対向する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dとバスバー52eとを備える。複数の電極指52dは、長手方向を合わせて配置される。バスバー52eは、複数の電極指52dを接続する。
【0053】
一対の反射器52bの一方は、IDT52aの一側に隣接する。一対の反射器52bの他方は、IDT52aの他側に隣接する。
【0054】
以上で説明された実施の形態1によれば、第1絶縁層54bは、第1メタライズ層54aの表面の一部および弾性波素子52上に亘って形成される。第2メタライズ層54cは、第1メタライズ層54aの表面において第1絶縁層54bに覆われて部分および第1絶縁層54bにおいて前記第1メタライズ層54aの表面を覆った部分に亘って形成される。このため、バンプパッドとしての第2メタライズ層54cを露出させつつ、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食を抑制することができる。その結果、低損失で信頼性および耐久性の高い配線構造を実現することができる。
【0055】
また、デバイスチップは、圧電性基板と、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板が接合された基板である。このため、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食をより確実に抑制することができる。
【0056】
また、第2メタライズ層54cの幅は、第1メタライズ層54aの幅よりも小さい。このため、第2メタライズ層54cを安定して形成しつつ、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食をより確実に抑制することができる。
【0057】
なお、デバイスチップ5として、単一のバントパスフィルタとしての機能を備えていてもよい。この場合も、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食を抑制することができる。
【0058】
実施の形態2.
図7は実施の形態2における弾性波デバイスの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0059】
図7に示されるように、弾性波デバイス1は、第1デバイスチップ5aと第2デバイスチップ5bとを備える。第1デバイスチップ5aと第2デバイスチップ5bとは、バンドパスフィルタとして機能する。例えば、第1デバイスチップ5aは、送信フィルタと受信フィルタとのうちの一方として機能する。第2デバイスチップ5bは、送信フィルタと受信フィルタとのうちの他方として機能する。
【0060】
第1デバイスチップ5aは、実施の形態1のデバイスチップ5とほぼ同じ構成である。第2デバイスチップ5bは、実施の形態1のデバイスチップ5と異なる構成である。
【0061】
例えば、第1デバイスチップ5aは、実施の形態1と同じ弾性波素子52を備える。具体的には、第1デバイスチップ5bには、複数の弾性表面波共振器からなるバンドパスフィルタが形成される。
【0062】
例えば、第2デバイスチップ5bは、実施の形態1と同じ弾性波素子52を備える。具体的には、第1デバイスチップ5bには、複数の弾性表面波共振器からなるバンドパスフィルタが形成される。
【0063】
例えば、第2デバイスチップ5bは、実施の形態1と異なる弾性波素子52を備える。具体的には、第2デバイスチップ5bには、複数の音響薄膜共振器からなるバンドパスフィルタが形成される。
【0064】
次に、図8を用いて、第2デバイスチップ5bの弾性波素子52が音響薄膜共振器である例を説明する。
図8は実施の形態2における弾性波デバイスの第2デバイスチップの弾性波素子が音響薄膜共振器である例を示す図である。
【0065】
図8において、チップ基板60は、第2デバイスチップ5bとして機能する。例えば、例えば、チップ基板60は、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板である。
【0066】
圧電膜62は、チップ基板60上に設けられる。例えば、圧電膜62は、窒化アルミニウムで形成される。
【0067】
下部電極64と上部電極66とは、圧電膜62を挟むように設けられる。例えば、下部電極64と上部電極66とは、ルテニウム等の金属で形成される。
【0068】
空隙68は、下部電極64とチップ基板60との間に形成される。
【0069】
音響薄膜共振器において、下部電極64と上部電極66とは、圧電膜62の内部に厚み縦振動モードの弾性波を励振する。
【0070】
以上で説明された実施の形態2によれば、第2デバイスチップ5bには、複数の弾性表面波共振器からなるバンドパスフィルタが形成される。この場合も、第1デバイスチップ5aにおいて、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食を抑制することができる。
【0071】
また、第2デバイスチップ5bには、複数の音響薄膜共振器からなるバンドパスフィルタが形成されている。この場合も、第1デバイスチップ5aにおいて、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食を抑制することができる。
【0072】
実施の形態3.
図9は実施の形態3における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0073】
図9に示されるように、配線パターン54は、第2絶縁層54dを備える。第2絶縁層54dは、第1絶縁層54b上および第2メタライズ層54cの表面に亘って形成される。
【0074】
次に、図10図11とを用いて、バンプパッドと弾性波素子52との関係を説明する。
図10は実施の形態3における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。図11は実施の形態3における弾性波デバイスの要部の平面図である。
【0075】
図10に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、第2絶縁層54dは、第1絶縁層54b上および第2メタライズ層54cの表面の一部に亘って形成される。第2絶縁層54dは、弾性波素子52の箇所においても第1絶縁層54bを覆う。第2メタライズ層54cは、バンプパッドとして機能する。
【0076】
図11に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、配線パターン54と直交する方向から見た際に、第2絶縁層54dの縁部は、第2メタライズ層54cの領域の内部に存在する。図10に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、第2メタライズ層54cの縁部に対し、第2絶縁層54dの縁部のオフセット量O3は、2.0μm程度となる。この場合、第2メタライズ層54cの露出部の幅Wは、123μm程度となる。
【0077】
バンプの最大長径は、120μm程度である。このため、バンプは、バンプパッドとしての第2メタライズ層54cに対して安定して接合する。
【0078】
バンプパッドとなる箇所において、第1メタライズ層54aは、第2絶縁層54dと直接接合していない。第2メタライズ層54cは、第1メタライズ層54a、第1絶縁層54bおよび第2絶縁層54dと直接接合している。第1絶縁層54bは、第1メタライズ層54a、第2メタライズ層54cおよび第2絶縁層54dと直接接合している。
【0079】
以上で説明された実施の形態3によれば、バンプパッドとなる箇所において、第2絶縁層54dは、第1絶縁層54b上および第2メタライズ層54cの表面の一部に亘って形成される。このため、配線としての第1メタライズ層54a、第2メタライズ層54c、弾性波素子52の腐食をより確実に抑制することができる。
【0080】
また、第1メタライズ層54aは、第2絶縁層54dと直接接合していない。このため、第2絶縁層54dが劣化したとしても、配線としての第1メタライズ層54aの腐食をより確実に抑制する
【0081】
また、第2メタライズ層54cは、第1メタライズ層54a、第1絶縁層54bおよび第2絶縁層54dと直接接合している。このため、各層の接合強度を維持することができる。
【0082】
また、第1絶縁層54bは、第1メタライズ層54a、第2メタライズ層54cおよび第2絶縁層54dと直接接合している。このため、第1絶縁層54bがの接合強度を維持することができる。
【0083】
また、第1絶縁層54bの熱膨張係数は、第2絶縁層54dの熱膨張係数よりも小さい。このため、第1絶縁層54bによる熱膨張により第2絶縁層54dが剥がれることを抑制できる。
【0084】
実施の形態4.
図12は実施の形態4における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。なお、実施の形態3の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0085】
図12に示されるように、配線パターン54は、第3メタライズ層54eを備える。第3メタライズ層54eは、第2メタライズ層54cの表面の一部に形成される。
【0086】
第2絶縁層54dは、第1絶縁層54b上、第2メタライズ層54cの側面、第3メタライズ層54eの側面および第3メタライズ層54eの表面に亘って形成される。
【0087】
次に、図13図14とを用いて、バンプパッドと弾性波素子52との関係を説明する。
図13は実施の形態4における弾性波デバイスの要部の縦断面図である。図14は実施の形態4における弾性波デバイスの要部の平面図である。
【0088】
図13に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、第2絶縁層54dは、前記第1絶縁層54b上、前記第2メタライズ層54cの側面、前記第3メタライズ層54eの側面および前記第3メタライズ層54eの表面の一部に亘って形成される。第3メタライズ層54eは、バンプパッドとして機能する。
【0089】
図14に示されるように、バンプパッドとなる箇所において、配線パターン54と直交する方向から見た際に、第3メタライズ層54eの縁部は、第2メタライズ層54cの領域の内部に存在する。図13に示されるように、第3メタライズ層54eの幅M3は、前記第2メタライズ層54cの幅M2よりも小さい。
【0090】
例えば、第3メタライズ層54eの幅M3は、123μm程度である。この場合、第2メタライズ層54cの縁部に対し、第3メタライズ層54eの縁部のオフセット量O3は、2.0μm程度となる。
【0091】
バンプパッドとなる箇所において、第3メタライズ層54eの縁部に対し、第2絶縁層54dの縁部のオフセット量O4は、2.0μm程度となる。この場合、第3メタライズ層54eの露出部の幅Wは、119μm程度となる。
【0092】
バンプ15の最大長径は、120μm程度である。このため、図14においては、見かけ上、バンプ15は、第2絶縁層54dの縁部に重なる。ただし、図13に示さるように、バンプ15の最大長径の位置は、第2絶縁層54dよりも上方である。このため、バンプ15は、第2絶縁層54dと接触しない。その結果、バンプ15は、バンプパッドとしての第3メタライズ層54eに対して安定して接合する。
【0093】
以上で説明された実施の形態4によれば、第2絶縁層54dは、第1絶縁層54b上、前記第2メタライズ層54cの側面、前記第3メタライズ層54eの側面、前記第3メタライズ層54eの表面の一部に亘って形成される。このため、配線としての第1メタライズ層54a、第2メタライズ層54c、第3メタライズ層54e、弾性波素子52の腐食をより確実に抑制することができる。
【0094】
また、第2メタライズ層54cの幅は、第1メタライズ層54aの幅よりも小さい。第3メタライズ層54eの幅は、第2メタライズ層54cの幅よりも小さい。このため、第2メタライズ層54cと第3メタライズ層54eとを安定して形成しつつ、配線としての第1メタライズ層54a、第2メタライズ層54c、第3メタライズ層54e、弾性波素子52の腐食をより確実に抑制することができる。
【0095】
実施の形態5.
図15は実施の形態5における弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0096】
図12において、モジュール100は、配線基板130と集積回路部品ICと弾性波デバイス1とインダクタ11と封止部117とを備える。
【0097】
配線基板130は、実施の形態1の配線基板3と同等である。
【0098】
図示されないが、集積回路部品ICは、配線基板130の内部に実装される。集積回路部品ICは、スイッチング回路とローノイズアンプとを含む。
【0099】
弾性波デバイス1は、配線基板130の主面に実装される。
【0100】
インダクタ11は、配線基板130の主面に実装される。インダクタ11は、インピーダンスマッチングのために実装される。例えば、インダクタ111は、Integrated Passive Device(IPD)である。
【0101】
封止部117は、弾性波デバイス1を含む複数の電子部品を封止する。
【0102】
以上で説明された実施の形態5によれば、モジュール100は、弾性波デバイス1を備える。このため、配線としての第1メタライズ層54aと弾性波素子52との腐食を抑制する弾性波でバイアス1を備えたモジュール100を実現することができる。
【0103】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0104】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0105】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0106】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0107】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0108】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0109】
1 弾性波デバイス、 3 配線基板、 5 デバイスチップ、 5a 第1デバイスチップ、 5b 第2デバイスチップ、 15 バンプ、 17 封止部、 52 弾性波素子、 52a IDT、 52b 反射器、 52c 櫛形電極、 52d 電極指、 54 配線パターン、 54a 第1メタライズ層、 54b 第1絶縁層、 54c 第2メタライズ層、 54d 第2絶縁層、 54e 第3メタライズ層、 60 チップ基板、 62 圧電膜、 64 下部電極、 66 上部電極、 68 空隙、 100 モジュール、 105 デバイスチップ、 111 インダクタ、 117 封止部、 130 配線基板

【要約】
【課題】デバイスチップにおける配線と共振器との腐食を抑制することができる弾性波デバイスを提供する。
【解決手段】弾性波デバイスは、配線基板と、前記配線基板と電気的に接続されたデバイスチップと、前記配線基板とともに、前記デバイスチップを封止する封止部と、を備え、前記デバイスチップは、弾性表面波を励振する共振器と、前記共振器と電気的に接続する第1メタライズ層と、前記第1メタライズ層の表面の一部および前記共振器上に亘って形成された第1絶縁層と、前記第1メタライズ層の表面において前記第1絶縁層に覆われていない部分および前記第1絶縁層において前記第1メタライズ層の表面を覆った部分に亘って形成され、バンプパッドとして機能する第2メタライズ層と、を備える。
【選択図】図4

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15