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  • 特許-従量課金制リースマット交換システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】従量課金制リースマット交換システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220411BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021133791
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2021-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521367008
【氏名又は名称】株式会社リースマット
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】大上 陽平
【審査官】萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299609(JP,A)
【文献】特開平09-041749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0119957(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に敷設されるリースマットの汚れ量を求める汚れ量算出部と、
前記汚れ量算出部が求めた前記リースマットの汚れ量に基づいて、前記リースマットに対するリース料を決定するリース料決定部と、
を備え
前記汚れ量算出部は、前記リースマット上を歩く人の人数を数えるカウント部を含み、
前記人数に基づいて前記リースマット上を歩いた歩数を求めて前記汚れ量を算出することを特徴とする従量課金制リースマット交換システム。
【請求項2】
請求項に記載の従量課金制リースマット交換システムにおいて、
前記汚れ量算出部は、前記歩数を高精度に求めるために前記リースマット上を歩く人を判別可能に撮影するカメラ部を含むことを特徴とする従量課金制リースマットシステム。
【請求項3】
請求項に記載の従量課金制リースマット交換システムにおいて、
前記汚れ量算出部は、前記リースマット上に乗る重量物の重量を計測する重量センサを含み、
前記歩数と前記重量に基づいて前記汚れ量を求めることを特徴とする従量課金制リースマット交換システム。
【請求項4】
請求項に記載の従量課金制リースマット交換システムにおいて、
前記汚れ量算出部は、前記リースマットを歩いた人に関する係数の総和に基づいて前記汚れ量を求めることを特徴とする従量課金制リースマット交換システム。
【請求項5】
請求項に記載の従量課金制リースマット交換システムにおいて、
前記係数は、前記歩数に関する補正係数α、天候に関する補正係数β、前記重量に関する補正係数γの少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする従量課金制リースマット交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従量課金制リースマット交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルや商業ビルなどの建物のエントランスにリースマットが敷かれている。これらのリースマットは、所定の期間が経過後、綺麗なマットに交換される。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、異なる二方向から人体の通過を検知するための人体検知センサと、人体検知センサによる人体検知に基づいて音声を発するスピーカとを設けた人体検知ユニットを、履物に付着した泥等の汚れを除去するためのマット本体を収容するマットベースの外側面の隅部又は中間部に設けた泥拭い音声マットが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、履物に付着した泥等の汚れを除去するためのマット本体を収容するマットベースの外側面の隅部又は中間部に対して取り付け可能にした枠体の外側をマットベースの外側面に沿う形状にするとともに、該枠体にはマットベースの内側に向けて異なる二方向から人体の通過を検知するための人体検知センサを設けるとともに、人体検知センサによる人体検知に基づいて音声を発するスピーカとを設けた泥拭いマット用人体検知ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-9422号公報
【文献】特開平11-9423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来は、一定期間経過するとリースマットを取り換えていたが、リースマットの設置場所によっては汚れに差が生じ得る。汚れがひどいリースマットと、あまり汚れていないリースマットを交換した場合のリース料が同じ場合には、借り手は納得感が低くなるという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、借り手にとって納得感が高いリースマットのビジネスモデルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る従量課金制リースマット交換システムは、建物内に敷設されるリースマットの汚れ量を求める汚れ量算出部と、前記汚れ量算出部が求めた前記リースマットの汚れ量に基づいて、前記リースマットに対するリース料を決定するリース料決定部と、を備え、前記汚れ量算出部は、前記リースマット上を歩く人の人数を数えるカウント部を含み、前記人数に基づいて前記リースマット上を歩いた歩数を求めて前記汚れ量を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る従量課金制リースマット交換システムにおいて、前記汚れ量算出部は、前記歩数を高精度に求めるために前記リースマット上を歩く人を判別可能に撮影するカメラ部を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る従量課金制リースマット交換システムにおいて、前記汚れ量算出部は、前記リースマット上に乗る重量物の重量を計測する重量センサを含み、前記歩数と前記重量に基づいて前記汚れ量を求めることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る従量課金制リースマット交換システムにおいて、前記汚れ量算出部は、前記リースマットを歩いた人に関する係数の総和に基づいて前記汚れ量を求めることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る従量課金制リースマット交換システムにおいて、前記係数は、前記歩数に関する補正係数α、天候に関する補正係数β、前記重量に関する補正係数γの少なくともいずれか1つが用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、借り手にとって納得感が高いリースマットのビジネスモデルを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る実施形態の従量課金制リースマット交換システムを示すである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の従量課金制リースマット交換システム10を示す図である。従量課金制リースマット交換システム10は、リースマット4を使用している状態に応じてリース料が決定されるシステムである。従量課金制リースマット交換システム10は、汚れ量算出部14と、リース料決定部16と、記憶部18とを備えている。
【0018】
汚れ量算出部14は、建物内に敷設されるリースマット4の汚れ量を算出する機能を有する。汚れ量算出部14は、光電センサ部20と、カメラ部22と、圧力センサ部24と、天候センサ部26とを備えている。
【0019】
光電センサ部20は、光のさまざまな性質を利用して物体の有無や表面状態の変化などを検出するセンサである。光電センサ部20は、光を出す投光部20aと、光を受ける受光部20bから構成されてる。
【0020】
投光部20a及び受光部20bは、図1に示されるように、リースマット4の所定の高さ位置、例えば、人2の腰の高さ位置に所定の間隔を置いて設けられる。これにより、人2がいない状態では、投光部20aから受光部20bに向けて投光された光が受光部20bによって受光される。
【0021】
投光部20aから投光された光がリースマット4上を歩く人2によって遮られると、受光部20bに到達する量が変化する。受光部20bは、この変化を検出して電気信号に変換し、出力する。使用される光としては、可視光(主に赤、色判別用に緑、青)と赤外光が大半である。
【0022】
ここでは、光電センサ部20は、透過型であるものとして説明したが、その他の形式を用いてもよく、例えば、回帰反射型や拡散反射型を用いてもよい。
【0023】
このように、光電センサ部20は、リースマット4上を人2が歩くと、光が遮断されるため、汚れ量算出部14は、これをカウントアップすることにより、人数を測定することが出来るカウンタ部としても機能する。
【0024】
ここで、汚れ量算出部14は、歩数に関しての補正係数αを用いて歩数を求めて、汚れ量を算出する。補正係数αは、リースマット4の長さ(人2の進行方向の長さ)を歩幅で割ることにより求めた値であり、これが歩数に相当すると考える。
【0025】
一般的に、例えば、成人の男性の歩幅は約70cmであり、リースマット4の長さを140cmとすると、140cm÷70cm=2.0が歩数として求められ、これを補正係数αとして汚れ量を算出する際の基準に使用する。なお、平均の歩幅は、大人と子供で大きく異なり、男女の性別差によっても異なるため、それぞれの平均値で補正係数αを求めることが好ましい。
【0026】
カメラ部22は、歩数、すなわち、補正係数αを高精度に推定するためにリースマット4上を歩く人2を判別可能に撮影するカメラ装置を含んで構成される。カメラ部22は、リースマット4上を歩く人2を撮影可能なようにリースマット4の近傍の所定の高さ位置に設定される。
【0027】
カメラ部22は、リースマット4上を歩く人2を撮影するように常時撮像していてもよいが、節電などの観点から光電センサ部20によって人2が検知されたときに、撮像するようにしてもよい。
【0028】
このように、カメラ部22は、リースマット4上を人2が歩くと、当該人2の姿を撮影しているため、汚れ量算出部14は、映像に映っている人2の画像について画像処理を行うことで、人数や性別、年齢、身長などを判別することが出来る。
【0029】
圧力センサ部24は、リースマット4上に乗る重量物の重量を計測する重量センサとして機能する。例えば、リースマット4の下に設けられる抵抗式の圧力センサを用いることで実現可能である。
【0030】
ここで、汚れ量算出部14は、重さに関しての補正係数γを用いて、汚れ量を算出する。補正係数γは、圧力センサ部24によって検知されるリースマット4上の重量物により求めれる値である。
【0031】
ここでは、重量物が重いほどリースマット4への汚れが増えると想定しており、例えば、100kg以上の重さがあるものがリースマット4を通過した場合には、補正係数γの値は、2.0に設定される。
【0032】
天候センサ部26は、建物の外の天候を検出するように設けられている。天候センサ部26は、例えば、雨量センサ、温度センサ、湿度センサなどを用いることで天候を検知することが出来る。天候センサ部26は、所定の時間毎、例えば、1時間毎に検知したデータを送付する。
【0033】
ここで、汚れ量算出部14は、天候に関しての補正係数βを用いて、汚れ量を算出する。補正係数βは、天候センサ部26によって検知される天候より求めれる値である。例えば、午前又は午後の天気に応じ、雨であれば、補正係数βを2.0にするなど設定して汚れ量を算出する。
【0034】
リース料決定部16は、汚れ量算出部14が求めたリースマット4の汚れ量に基づいて、リースマット4に対するリース料を決定する機能を有する
【0035】
汚れ量は、以下の数式によって算出される。
【0036】
例えば、一人目の補正係数α=2.0、補正係数β=1.0、補正係数γ=1.0として求められると、σ=2.0+1.0+1.0=4.0として算出される。また、二人目がσ=3.0,三人目がσ=2.0と求められた場合に、上記式から汚れ量(D)=1×4.0+1×3.0+1×2.0=9.0として算出される。
【0037】
ここで、汚れ量(D)とリース料との料金テーブルが予め定められている。例えば、D=〇〇~△△の範囲では、リース料が□□円、D=△△~◎◎の範囲では、リース料が△□円といった形で決められている。このように求められた料金テーブルに基づいて、汚れ量(D)に対応したリース料が決定される。
【0038】
上記のような数式によって汚れ量が求められるものとして説明したが、例えば、プログラミング言語であるC言語を用いた場合には、以下のようなプログラムとして表現することが出来る。
【0039】
例えば、各人の汚れデータ[max]という配列に対して人間を検知する毎に、各人の汚れデータ[i]=σ×検知人数が入る。例えば、86人目の人2のデータは、各人の汚れデータ[86]となる。上記プログラムが実行されると、各人の汚れデータの総和、すなわち、汚れ量が求められることになる。
【0040】
記憶部18は、汚れ量(D)とリース料との料金テーブルなどを始め、各種データが記録を記憶している。
【0041】
続いて、上記構成の従量課金制リースマット交換システム10の作用について説明する。従来、企業などが入居するビルや百貨店などの商業施設のエントランスにリースマットが敷設されている。
【0042】
雨の日に汚れた靴で、リースマットの上を歩くと、泥や汚れがリースマットに付着してしまう。このため、リースマットは、一定期間(例えば、数ヶ月)経過したのちに、取り換えが行われ、綺麗な状態が保たれるようにしている。
【0043】
しかし、リースマットが設置されている場所の周辺の環境によっては、リースマットの汚れが少なかったり、反対に汚れが酷かったりと差が生じることがある。このような差があるにもかかわらず、リース代金が同じである場合には、リースマットの借り手の納得感が低くなるという課題がある。このような課題に対し、リースマットは顕著な効果を発揮する。
【0044】
従量課金制リースマット交換システム10によれば、リースマット4の上方に光電センサ部20が設置されているため、リースマット4を歩く人2の人数を把握することが出来る。なお、光電センサ部20は、複数の人2が同時に通過した場合には、複数人を検出できないため、カメラ部22がこの課題を解決する。
【0045】
カメラ部22によってリースマット4上を歩く人2を撮影することで大人、子供の判別や男女の判別も行うことができる。また、カメラ部22を用いることで、光電センサ部20の課題となっていた、複数の人2が同時にリースマット4を歩いた場合も判別できて、人数をより正確に数えることが出来る。
【0046】
なお、光電センサ部20に比べるとカメラ部22の方が、消費電力が大きくなるため、光電センサ部20が人2を検出した際にカメラ部22で撮影させるなどの工夫をすることで消費電力を抑えることが出来る。
【0047】
上記のように、従量課金制リースマット交換システム10によれば、光電センサ部20及びカメラ部22を用いることで、リースマット4を歩いた人数を検出することができるとともに、大人・子供の判別や男女の判別ができるため、正確な歩幅を用いて歩数を求めることできるため、リースマット4の汚れに影響する補正係数αを求めることが出来る。
【0048】
また、従量課金制リースマット交換システム10によれば、天候センサ部26が存在するため、各人2がリースマット4を歩いた際の天候に応じた補正係数βを求めて、より正確にリースマット4の汚れに影響する汚れ量を求めることが出来る。
【0049】
さらに、従量課金制リースマット交換システム10によれば、圧力センサ部24が存在するため、各人2がリースマット4を歩いた際の重量に応じた補正係数γを求めて、より正確にリースマット4の汚れに影響する汚れ量を求めることが出来る。
【0050】
以上のように、従量課金制リースマット交換システム10によれば、各人2がリースマット4上を歩いたときの歩幅に関する補正係数α、天候に関する補正係数β、重さに関する補正係数γを夫々求め、これらを考慮して得られた総和が汚れ量として算出される。
【0051】
この汚れ量に応じて、リース料が決定されるため、汚れが少なければ、リース料を抑えることができ、汚れが多いほどリース料が高くなり、実態に即した価格に設定される。これにより、リースマット4の借り手もより納得感を得ながらマットを借りることができるという顕著な効果を奏する。すなわち、従量課金制のリースマットのビジネスモデルを実現することが可能となる。
【0052】
なお、ここでは、「リースマット」という表現を用いたが、一定期間、マットを貸す対価として費用を徴収するというビジネスの形態を意味し、他の同義語として、レンタル、貸与、貸借などの言葉も当然に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0053】
2 人、4 リースマット、10 従量課金制リースマット交換システム、14 汚れ量算出部、16 リース料決定部、18 記憶部、20 光電センサ部、20a 投光部、20b 受光部、22 カメラ部、24 圧力センサ部、26 天候センサ部。

【要約】
【課題】借り手にとって納得感が高いリースマットのビジネスモデルを提供することである。
【解決手段】従量課金制リースマット交換システム10は、建物内に敷設されるリースマット4の汚れ量を求める汚れ量算出部14と、汚れ量算出部14が求めたリースマット4の汚れ量に基づいて、リースマット4に対するリース料を決定するリース料決定部16と、を備える。また、汚れ量算出部14は、リースマット4上を歩く人2の人数を数えるカウント部を備え、人数に基づいてリースマット上を歩いた歩数を求めて汚れ量を算出する。
【選択図】図1


図1