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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】剪断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 15/14 20060101AFI20220411BHJP
   B23D 15/04 20060101ALI20220411BHJP
   B23D 15/08 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B23D15/14
B23D15/04
B23D15/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021136406
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599095159
【氏名又は名称】株式会社ムラタ溶研
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】村田 彰久
(72)【発明者】
【氏名】村田 唯介
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公告第01179784(DE,B)
【文献】特開2004-082251(JP,A)
【文献】特表2012-508656(JP,A)
【文献】実開平03-036712(JP,U)
【文献】特開平08-284902(JP,A)
【文献】特開2018-086686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 15/14
B23D 15/04
B23D 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定刃と、可動刃と、前記可動刃を駆動する駆動装置と、を備える剪断装置であって、
前記駆動装置は、前記可動刃の幅方向一方側に形成された第1軸孔に挿通された第1ピボット軸を介して連結された第1ピストンロッドと、前記第1ピストンロッドと平行に作動するように設けられるとともに前記可動刃の幅方向他方側に形成された第2軸孔に挿通された第2ピボット軸を介して連結された第2ピストンロッドと、前記第1ピストンロッド及び前記第2ピストンロッドを作動させる油圧回路と、を備え、
前記第1軸孔及び前記第2軸孔の少なくとも一方が、前記第1ピボット軸及び前記第2ピボット軸の少なくとも一方との間に遊びを持たせるように前記可動刃の幅方向に沿って延びる長孔とされることにより、前記可動刃、前記第1ピストンロッド及び前記第2ピストンロッドの少なくとも一方と、ルーズジョイントにより連結されており、
前記油圧回路は、前記第1ピストンロッドを剪断方向に押し出して前記可動刃の切込み位置で停止させた後に前記第1ピストンロッドを停止させた状態で前記第2ピストンロッドを剪断方向に押し出すように構成されている、
前記剪断装置。
【請求項2】
前記第1ピストンロッドは、前記可動刃の前記切込み位置でストロークエンドに達するように構成されており、
前記油圧回路は、第1ピストンロッドを作動させる作動油を供給する第1油路と、前記第1油路から分岐して前記第2ピストンロッドを作動させる作動油を供給する第2油路と、前記第2油路に介在された絞りと、前記絞りをバイパスするバイパス油路と、前記バイパス油路に介在されて前記第2ピストンロッドへの作動油の流れを阻止する逆止弁と、を備え、
剪断時には、作動油が供給されることにより、前記絞りによって前記第2油路の作動油の流れが制限されて、前記第2ピストンロッドの作動が制限された状態で、前記第1ピストンロッドが優先的に押し出され、前記第1ピストンロッドが前記可動刃の前記切込み位置でストロークエンドに達すると、前記第1油圧シリンダーに作動油をそれ以上供給できなくなって、前記絞りを通じて前記第2油路から前記第2油圧シリンダーに作動油が供給され、前記第2ピストンロッドが作動し、押し出され、
剪断後は、前記第1油路より前記第1油圧シリンダーから作動油が引き抜かれ、前記バイパス油路より前記第2油圧シリンダーから作動油が引き抜かれるように構成されている、請求項1に記載の剪断装置。
【請求項3】
前記絞りは、可変絞りである、請求項に記載の剪断装置。
【請求項4】
前記剪断ヘッドは、並行状に延びる第1辺部及び第2辺部と、前記第1辺部及び第2辺部を連設する連設部とを備えるコ字状であって、前記第1辺部の先端側に設けられた位置決め孔と、前記第2辺部の先端側に出没可能に設けられて、前記位置決め孔に嵌入可能な第3ピストンロッドと、を備え、前記第3ピストンロッドは、前記第1ピストンロッドと同期して作動するように構成されている、請求項1~の何れかに記載の剪断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状金属薄板を剪断する剪断装置に係り、特に、帯状金属薄板溶接装置に組み込まれる剪断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先行する帯状金属薄板と後続の帯状金属薄板とを連結するために、先行する帯状金属薄板を後端縁で剪断し、後続の帯状金属薄板を先端縁で剪断して、切断された互いの端縁同士を突き合わせて溶接する溶接装置が知られている(特許文献1、2等)。
【0003】
図7は、従来の帯状金属薄板溶接装置1の一例であり、溶接トーチ2と、剪断装置3を備えている。剪断装置3は、図7の収納位置から、矢印Y1で示す方向に移動することができる。溶接トーチ101は、図7の待機位置から、矢印Y2方向に往復動して溶接を行うことができる。
【0004】
この種の溶接装置に組み込まれる剪断装置は、シャーリング装置、剪断機等とも呼ばれ、一般に、図8及び図9に概略構造を示すように、剪断ヘッド4に固定された固定刃5と、剪断ヘッド4に設けられた可動刃6と、剪断ヘッド4に設けられて可動刃6を上下動させる油圧シリンダー7と、を備え、可動刃6を上下方向に平行移動させることにより、帯状金属薄板を剪断する。図8は待機位置、図9は剪断位置を其々示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-86686号公報
【文献】特開2018-39090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の剪断装置は、可動刃を作動する油圧を高めるために増圧シリンダーを設けたり、固定刃及び可動刃を保持する剪断ヘッド等の剛性を高める等して、板厚寸法の大きい帯状金属薄板に対応している。
【0007】
しかしながら、増圧シリンダーを追加したり剛性を高めたりするにつれて剪断装置が大型化し、製造コストも増大する。
【0008】
そこで、本発明は、大型化及びコスト増を抑制しつつ、板厚寸法の大きい帯状金属薄板を剪断可能な剪断装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る剪断装置は、固定刃と、可動刃と、前記可動刃を駆動する駆動装置と、を備える剪断装置であって、前記駆動装置は、前記可動刃の幅方向一方側に形成された第1軸孔に挿通された第1ピボット軸を介して連結された第1ピストンロッドと、前記第1ピストンロッドと平行に作動するように設けられるとともに前記可動刃の幅方向他方側に形成された第2軸孔に挿通された第2ピボット軸を介して連結された第2ピストンロッドと、前記第1ピストンロッド及び前記第2ピストンロッドを作動させる油圧回路と、を備え、前記第1軸孔及び前記第2軸孔の少なくとも一方が、前記第1ピボット軸及び前記第2ピボット軸の少なくとも一方との間に遊びを持たせるように前記可動刃の幅方向に沿って延びる長孔とされることにより、前記可動刃は、前記第1ピストンロッド及び前記第2ピストンロッドの少なくとも一方と、ルーズジョイントにより連結されており、前記油圧回路は、前記第1ピストンロッドを剪断方向に押し出して前記可動刃の切込み位置で停止させた後に前記第2ピストンロッドを剪断方向に押し出すように構成されている。前記絞りは、可変絞りとし得る。
【0011】
前記第1ピストンロッドは、前記可動刃の前記切込み位置でストロークエンドに達するように構成されており、前記油圧回路は、第1ピストンロッドを作動させる作動油を供給する第1油路と、前記第1油路から分岐して前記第2ピストンロッドを作動させる作動油を供給する第2油路と、前記第2油路に介在された絞りと、前記絞りをバイパスするバイパス油路と、前記バイパス油路に介在されて前記第2ピストンロッドへの作動油の流れを阻止する逆止弁と、を備え、剪断時には、作動油が供給されることにより、絞りによって前記第2油路の作動油の流れが制限されて、前記第2ピストンロッドの作動が制限された状態で、前記第1ピストンロッドが優先的に押し出され、前記第1ピストンロッドが前記可動刃の前記切込み位置でストロークエンドに達すると、前記第1油圧シリンダーに作動油をそれ以上供給できなくなって、絞りを通じて前記第2油路から前記第2油圧シリンダーに作動油が供給され、前記第2ピストンロッドが作動し、押し出され、剪断後は、前記第1油路より前記第1油圧シリンダーから作動油が引き抜かれ、前記バイパス油路より前記第2油圧シリンダーから作動油が引き抜かれるように構成され得る
【0013】
前記剪断ヘッドは、並行状に延びる第1辺部及び第2辺部と、前記第1辺部及び第2辺部を連設する連設部とを備えるコ字状であって、前記第1辺部の先端側設けられた位置決め孔と、前記第2辺部の先端側に出没可能に設けられて、前記位置決め孔に嵌入可能な第3ピストンロッドと、を備え、前記第3ピストンロッドは、前記第1ピストンロッドと同期して作動するように構成され得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記油圧回路から作動油の供給を開始すると、先ず可動刃の幅方向一方側が剪断方向に作動し、次いで、可動刃の幅方向他方側が剪断方向に作動する。それにより、剪断開始時のシャー角(レーキ角)を大きくして剪断荷重を小さくすることができる。
【0015】
また、第1ピストンロッドが切込み位置で停止するまでは、第2ピストンロッドと可動刃との連結位置が支点となり、第1ピストンロッドと可動刃との連結位置が力点となり、支点と力点との間の可動刃の刃先が作用点となるため、いわゆる第2種テコとして作用する。また、第1ピストンロッドが停止した後に第2ピストンロッドを作動させる場合は、第1ピストンロッドと可動刃との連結位置が支点となり、第2ピストンロッドと可動刃との連結位置が力点となり、第2種テコとして作用する。従って、第1ピストンロッド及び第2ピストンロッドを作動させる油圧が低くても大きな剪断力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る剪断装置の一実施形態の概略構造を示す正面図である。
図2図1の剪断装置の可動刃を示す正面図である。
図3図2の可動刃のルーズジョイント部分を拡大して示す要部拡大図である。
図4図1の剪断装置であって、可動刃が切込み位置にある正面図である。
図5図1の剪断装置であって、可動刃が剪断位置にある正面図である。
図6図1の剪断装置の平面図である。
図7】従来の帯状金属薄板溶接装置を示す斜視図である。
図8】従来の剪断装置の概略構成を示す正面図である。
図9図8の剪断装置の作動状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る剪断装置の一実施形態について以下に図1図6を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る剪断装置の一実施形態を示す概略構成図である。図1及び図2を参照して、剪断装置8は、固定刃5と、可動刃6と、可動刃6を駆動する駆動装置9と、を備える。駆動装置9は、可動刃6の幅方向一方側に連結された第1ピストンロッド10と、可動刃6の幅方向他方側に連結された第2ピストンロッド11と、第1ピストンロッド10と第2ピストンロッド11とを作動させる油圧回路12と、を備える。
【0019】
固定刃5及び可動刃6は、剪断ヘッド4に取り付けられる。剪断ヘッド4は、並行状に延びる第1辺部4a及び第2辺部4bと、第1辺部4a及び第2辺部4bを連設する連設部4cとを備えるコ字状に形成されている。固定刃5は、剪断ヘッド4の第1辺部4aに固定されている。可動刃6は、剪断ヘッド4の第2辺部4bに上下動可能に取り付けられている。第1ピストンロッド10を備える第1油圧シリンダー13が剪断ヘッド4の第2辺部4bに取り付けられている。第2ピストンロッド11を備える第2油圧シリンダー14も剪断ヘッド4の第2辺部4bに取り付けられている。第1ピストンロッド10と第2ピストンロッド11とは平行に設けられている。
【0020】
固定刃5の刃先は水平で、可動刃6の刃先は傾斜状に形成されているが水平に形成することもできる。図2に示すように、可動刃6の幅方向一方側に形成された第1軸孔6aに、第1ピボット軸10aが挿通されている。可動刃6に幅方向他方側に形成された第2軸孔6bに、第2ピボット軸11aが挿通されている。図示例において、図2を参照して、第1軸孔6a及び第2軸孔6bは、いずれも長孔に形成されている。それにより、第1軸孔6aと第1ピボット軸10aとの間、及び第2軸孔6bと第2ピボット軸11aとの間に、後述する所定の遊びが設けられ、可動刃6は、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11とルーズジョイントにより連結されている。
【0021】
一実施形態において、図3を参照して、第1ピボット軸10a及び第2ピボット軸11aの外径Dが10mmであり、第1軸孔6a及び第2軸孔6bの長さLが12mm、幅Wが10.1mmである。
【0022】
油圧回路12は、第1油圧シリンダー13に作動油を供給する第1油路12aと、第1油路12aから分岐して第2油圧シリンダー14に作動油を供給する第2油路12bと、第2油路12bに介在された絞り12cとを備える。絞り12cは、好ましくは可変絞りである。絞り12を構成する可変絞りにより、第1ピストンロッド10と第2ピストンロッド11の作動タイミングを調節することができる。
【0023】
更に、油圧回路12は、絞り12cをバイパスするバイパス油路12dと、バイパス油路12dに介在されて第2ピストンロッド11への作動油の流れ、即ち、第2油圧シリンダー14への作動油の流れを阻止し、その逆方向の作動油の流れを許容する逆止弁12eと、を備えている。
【0024】
剪断ヘッド4の第1辺部4aの先端部に第1位置決め金具15が固定され、剪断ヘッド4の第2辺部4bの先端部に第2位置決め金具16が固定されている。第1位置決め金具15と第2位置決め金具16との間には、所定の隙間が設けられている。第2位置決め金具16には、第3油圧シリンダー17が組み込まれている。第3油圧シリンダー17の第3ピストンロッド17aは、図1に示すように、ピストン17bがシリンダーボトム側にある時は第2位置決め金具16内に収容されている。一方、第3ピストンロッド17aは、図4及び図5に示すように、ピストン17bがシリンダーヘッド側にある時は、第1位置決め金具15の底面に穿設された位置決め孔15aに嵌入する。第3油圧シリンダー17への作動油は、第1油路12aから分岐する第3油路17cを通じて供給される。第3油路17cは、第2油路12dの分岐点より上流側で第1油路12aから分岐している。
【0025】
上記構成を有する剪断装置8の作動について、次に説明する。図1は可動刃6が待機位置にある状態を示しており、可動刃6は、下端位置にあって、固定刃5から離れた状態にある。このとき、図外のオイルポンプにより、第1油路12aを通じて作動油が引き抜かれており、第1油圧シリンダー13及び第2油圧シリンダー14の其々のピストン13a、14aがシリンダーボトム側のストロークエンド位置にあり、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11の其々は、シリンダーチューブ13b、14b内に引き込まれている。また、この時、第3ピストンロッド17aは、第2位置決め金具16に引き込まれ、第2位置決め金具16内に埋没している。
【0026】
第1油路12aを通じて加圧された作動油が供給されると、絞り12cによって第2油路12bの作動油の流れが制限されているため、図4に示すように、第2ピストンロッド11の作動が制限された状態で、第1ピストンロッド10がシリンダーチューブ13bから優先的に押し出される。第1ピストンロッド10は、ピストン13aがシリンダーヘッド側のストロークエンドに達する位置まで押し出され、ストロークエンド位置で停止する。第1ピストンロッド10がストロークエンドに達して停止した位置では、図4に示すように、可動刃6の刃先の幅方向一端側は、固定刃5の刃先と交差し、ワークの端部を剪断する切込み位置にある。なお、第1ピストンロッド10は、切込み位置で停止すればよく、ストロークエンドの手前で停止させることもできでる。
【0027】
第1ピストンロッド10の作動と同期して、第2位置決め金具16内の第3ピストンロッド17aが作動し、第2位置決め金具16から第3ピストンロッド17aが突出して第1位置決め金具15の位置決め孔15aに嵌入する。それによって、剪断時に固定刃5と可動刃6との間のクリアランスが変化しないように、剪断ヘッド4の第1辺部4a及び第2辺部4bの先端部が互いに位置決めされる。また、このようにして、剪断ヘッド4の第1辺部4a及び第2辺部4bの先端部を固定することにより剪断ヘッド4の剛性を高め、剪断ヘッド4の厚さt(図6)を薄くして、装置全体の小型化を図ることができる。
【0028】
第1ピストンロッド10がシリンダーチューブ13bから押し出される際、第2ピボット軸11aが支点となり、第1ピボット軸10aが力点となることにより、第2種テコの原理によって可動刃6を作動させる。このような作動を可能にするために、第1軸孔6aと第1ピボット軸10aとの間、及び、第2軸孔6bと第2ピボット軸11aとの間に、上記した遊びが設けられ、可動刃6と、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11とがルーズジョイントにより連結されている。前記遊びの大きさは、可動刃6の寸法、第1軸孔6aと第2軸孔6bとの距離、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11のストローク長等によって適宜設定される。
【0029】
上記のように第2種テコの原理によって可動刃6を作動させることにより、小さな作動油圧力で大きな剪断力を発生させ得る。また、第1ピストンロッド10が第2ピストンロッド11より先に剪断方向へ作動してストロークエンドに達しているため、シャー角が大きくなり、剪断力が増す。
【0030】
第1ピストンロッド10がストロークエンドに達すると、第1油圧シリンダー13に作動油をそれ以上供給できなくなるため、絞り12cを通じて第2油路12bから第2油圧シリンダー14に作動油が供給され、第2ピストンロッド11が作動し、固定刃5と可動刃6との交差が進行して剪断動作が進行する。第2ピストンロッド11がシリンダーチューブ14bから押し出される際、第1ピボット軸10aが支点となり、第2ピボット軸11aが力点となることにより、第2種テコの原理によって可動刃6を剪断動作させる。第2ピストンロッド11の作動開始時にシャー角が増加しているため、大きな剪断力を得ることができる。
【0031】
剪断後に可動刃6を待機位置に戻す際、第1油圧シリンダー13及び第2油圧シリンダー14から作動油が引き抜かれるが、第2油路12bに逆止弁12eを設けておくことにより、第2油圧シリンダー14からの作動油引き抜きがスムースに行われ、可動刃6を待機位置に迅速に戻すことができる。
【0032】
本発明によれば、可動刃6を第2種テコの原理を利用した駆動装置を採用したことにより、剪断装置が大型化することなく剪断力を強化することができる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲のいて種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、図示例では、固定刃を上に可動刃を下に配置したが、可動刃を上に配置し、固定刃を下に配置することもできる。また、第1ピストンロッド10のみを可動刃6とルーズジョイントにより連結することもできるし、第2ピストンロッド11のみを可動刃6とルーズジョイントにより連結することもできる。また、絞り12cに代えて、開閉制御弁や方向切換弁等の制御弁を用いて、第1ピストンロッド10を作動する作動油の油路と第2ピストンロッド11を作動する作動油の油路とを切り替えることにより、第1ピストンロッド10をストロークエンドまで押し出して切込み位置で停止させてから、第2ピストンロッド11の作動により帯状金属薄板を剪断するように制御弁を制御することもできる。また、第1位置決め金具及び第2位置決め金具は、図示例では剪断ヘッドに別体として固定しているが、剪断ヘッドの一部分として剪断ヘッドに一体とすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
4 剪断ヘッド
5 固定刃
6 可動刃
8 剪断装置
9 駆動装置
10 第1ピストンロッド
11 第2ピストンロッド
12 油圧回路
12a 第1油路
12b 第2油路
12c 絞り
12d バイパス油路
12e 逆止弁
13 第1油圧シリンダー
14 第2油圧シリンダー
15 第1位置決め金具
16 第2位置決め金具
17 第3油圧シリンダー
17a 第3ピストンロッド
【要約】
【課題】 大型化及びコスト増を抑制しつつ、板厚寸法の大きい帯状金属薄板を剪断可能な剪断装置を提供する。
【解決手段】 固定刃5と、可動刃6と、可動刃6を駆動する駆動装置9と、を備える剪断装置であって、駆動装置9は、可動刃6の幅方向一方側に連結された第1ピストンロッド10と、可動刃6の幅方向他方側に連結された第2ピストンロッド11、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11を作動させる油圧回路12と、を備え、可動刃6は、第1ピストンロッド10及び第2ピストンロッド11の少なくとも一方とルーズジョイントにより連結されており、油圧回路12、第1ピストンロッド10を剪断方向に押し出して可動刃6の切込み位置で停止させた後に第2ピストンロッド11を剪断方向に押し出すように構成されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9