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特許7055521アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220411BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20220411BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220411BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20220411BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220411BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220411BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220411BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220411BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220411BHJP
【FI】
C12N1/20 E ZNA
A61K35/741
A61P1/04
A61P1/14
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A23L33/135
C12N15/09 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021503149
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2020006179
(87)【国際公開番号】W WO2021040187
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0103511
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0033878
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13761BP
(73)【特許権者】
【識別番号】521022956
【氏名又は名称】エンテロバイオーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENTEROBIOME INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジョ グ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジュ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ド キュン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105106245(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03483256(EP,A1)
【文献】特開2019-137660(JP,A)
【文献】特開2019-043867(JP,A)
【文献】特表2018-534277(JP,A)
【文献】特表2016-503418(JP,A)
【文献】特表2019-500004(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159643(WO,A1)
【文献】Rui Zhai et al.,Frontiers in Cellular and Infection Microbiology,2019年07月,Vol. 9, Article 239,p. 1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A61K
A61P
A23L
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号:KCTC 13761BPで寄託されている、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株。
【請求項2】
配列番号1の16s rRNA遺伝子を含む、請求項1に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株。
【請求項3】
胃腸炎症性疾患または代謝性疾患の治療に有効である、請求項1に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株。
【請求項4】
胃腸炎症性疾患または代謝性疾患を予防または治療するための医薬組成物であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の菌株、その菌株の培養物、またはその菌株の乾燥産物を含む、医薬組成物。
【請求項5】
前記菌株のプロバイオティックの形態または前記菌株の殺菌された形態を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
インスリン抵抗性若しくは脂質異常症を予防若しくは治療するために、またはコレステロールレベル若しくは体重を減少させるために用いられる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸ベーチェット病、放射線腸炎、および虚血性腸炎からなる群より選択される消化管炎症性疾患の予防若しくは治療に用いられる、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項8】
濃度10~1012 CFU/gのアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株、または濃度10~1012 細胞/gのアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の生菌若しくは殺菌された細胞を含有する培養物を有効成分として含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
炎症性腸疾患(IBD)、インスリン抵抗性若しくは脂質異常症を予防または治療するために、またはコレステロールレベル若しくは体重を減少させるために用いられる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
薬学的に許容し得る担体または賦形剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項11】
食欲抑制ホルモンGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)およびPYY(ペプチドYY)の分泌を増加させて、食欲を抑制するための医薬組成物であって、請求項1~3のいずれか1項に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号:KCTC 13761BP)、その培養物またはその乾燥産物を含む、医薬組成物。
【請求項12】
胃腸炎症性疾患または代謝性疾患を予防または改善するように用いられる食品であって、請求項1~3のいずれか1項に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号:KCTC 13761BP)、その培養物、またはその乾燥産物を含む、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株およびその使用に関し、より詳細には、炎症性疾患または代謝疾患の予防または治療の効果を有する新規なアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株、並びに炎症性疾患または代謝疾患の予防または治療のための上記アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性疾患は、炎症化剤または放射線のような有害な刺激に対する人体の免疫系の過剰な反応により、マクロファージのような免疫細胞から分泌される腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-1(IL-1)、IL-6、プロスタグランジン、ロイコトリエンまたは一酸化窒素(NO)のような炎症性サイトカインによる疾患である。
【0003】
炎症性腸疾患(IBD)のような炎症性疾患は、粘膜損傷を引き起こす粘膜T細胞の機能障害、異常なサイトカイン産生および細胞炎症を特徴とする慢性、再発性および組織破壊性の疾患群である。症性疾患は、生活の質を劇的に低下させる重大な疾患であるが、その原因は依然として不明瞭である。
【0004】
炎症性腸疾患を例にとると、現在の治療の一つは、大腸切除術による大腸潰瘍を除去する方法であるが、この方法は、生活の質を低下させ、合併症のリスクを増大させる可能性がある。
【0005】
一方、他の医療的アプローチは、免疫調節剤を用いて免疫系を抑制することにより炎症を抑制する方法を含むが、免疫調節剤は免疫低下状態を誘発する可能性があり、様々な他の疾患に感染しやすくなる。
【0006】
従来の薬物または免疫調節剤による副作用を克服するために、プロバイオティック単独または抗生物質との組み合わせ物を用いて研究が行われている。健康増進における腸内細菌の役割に関する研究は、病原体に関する研究よりも注目を集めている。
【0007】
従来の薬物または免疫調節剤による副作用を克服するために、プロバイオティック単独または抗生物質との組み合わせ物を用いて研究が行われている。健康を促進する腸内細菌の役割の研究が活発に行われているので、乳酸菌製剤の関心が高まっている。
【0008】
プロバイオティックを用いて炎症や肥満を治療する技術として、韓国特許出願公開第2011-0095929号公報(特許文献1)には、生体内脂質吸収を抑制するラクトバチルス・ルーテリ菌株が公開されている。韓国特許第0996577号公報(特許文献2)には、血中コレステロールレベルを低下させおよび肥満を抑制するラクトバチルス・カルバタスが公開されている。韓国特許出願公開第2011-0010015号公報(特許文献3)には、血中コレステロールレベルを低下させながら肥満を抑制するラクトバチルス・ジョンソニーが公開されている。さらに、韓国特許出願公開2019-0034796号公報(特許文献4)には、抗酸化剤および抗炎症作用を有するラクトバチルス・プランタラム菌株が公開されている。
【0009】
しかしながら、上記のようなプロバイオティックは、炎症性疾患や代謝疾患の改善の効果がほとんどなく、それ故に新たな予防・治療手段としての使用が困難であるという問題点がある。
【文献】韓国特許出願公開第2011-0095929号公報
【文献】韓国特許第0996577号公報
【文献】韓国特許出願公開第2011-0010015号公報
【文献】韓国特許出願公開2019-0034796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の限界を克服することを意図しており、また本発明の目的の一つは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IL-8、IL-6およびIL-1βのような一種または一種以上の炎症因子の分泌を低減または抑制することにより、炎症反応を抑制し、さらに炎症性疾患、肥満、肥満合併症または代謝疾患の予防または治療に有効な次世代なプロバイオティック菌株を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、炎症性疾患または代謝疾患の予防または治療に有効なアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株を含む次世代な医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の目的は、食欲抑制用アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株を含む医薬組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、炎症性疾患または代謝疾患の改善に有用なアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株を含む食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の一つの態様は、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)を対象とする。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の別の態様は、炎症性疾患または代謝疾患を予防または治療するための、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)、その培養物またはその乾燥物を含む医薬組成物を対象とする。
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明の別の態様は、食欲抑制用アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)、その培養物またはその乾燥物を含む医薬組成物を対象とする。
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明のさらに別の態様は、炎症性疾患または代謝疾患を予防または改善するための、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)、その培養物またはその乾燥物を含む食品を対象とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規なアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、炎症性因子の放出を低減または阻害することにより、炎症性反応を抑制し、さらに腸内微生物叢の安定性を維持することにより、炎症性疾患、特に腸炎症の治療に有効である。
【0019】
有効成分として、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を含む医薬組成物は、炎症性疾患または代謝疾患の治療および/または予防するための医薬組成物または機能性食品組成物として使用することができる。
【0020】
本発明の新規なアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株および上記菌株を含む医薬組成物は、体重増加および体脂肪蓄積を抑制すること、インスリン抵抗、全血コレステロール値を下げること、肝毒性指標である血液GPT値、IL-8、TNF-α、IL-6およびIL-1βを含む炎症性サイトカイン値を低下させることができる。したがって、上記因子に関連する糖尿病、肥満、インスリン抵抗、脂肪肝、高脂血症、または代謝疾患の予防若しくは治療に有効であり得る。
【0021】
特に、本発明の医薬組成物は、細胞内脂質蓄積を低減させ、脂肪細胞分化の関連因子PPARγの発現を低減させ、さらにCEBPα、aP2、CD36、ACC1、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、LDLRまたはFASのmRNA発現を低減させるアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を、有効成分として含むことにとり、脂質蓄積を実質的に抑制する効果を示す。
【0022】
本発明の食欲抑制用アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(KCTC 13761BP)を含む組成物は、食欲抑制ホルモンの分泌を刺激することにより食欲を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(KCTC 13761BP)およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835型菌株の顕微鏡写真である。
図2】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株のPCR分析の結果を示す図である。
図3】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株の試験結果を示す図である。
図4】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株のRAPD(ランダム増幅多型DNA)分析の結果を示す図である。
図5】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株および他のアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の系統関係である。
図6】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の抗炎症性効果を示すサイトカインIL-6、IL-8、IL-1βおよびTNF-αの相対的mRNA発現レベルの状態を描くグラフである。
図7】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株による治療後の3T3-L1細胞内の脂質蓄積の程度を描く写真およびグラフである。
図8】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株による治療後の前駆脂肪細胞内のPPARγ、CEBPα、aP2、CD36、ACC1、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、LDLRおよびFASの相対的mRNA発現レベルの状態を描くグラフである。
図9】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株を投与したコントロール群(DM)の体重変化を分析した結果を示す図である。
図10】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株を投与したコントロール群(DM)の皮下脂肪、表皮脂肪、腸間膜脂肪の変化を分析した結果を示す図である。
図11】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株を投与したコントロール群(DM)の耐糖性の変化を分析した結果を示す図である。
図12】ELISA法により行う本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835を投与したコントロール群(DM)の血中インスリン、コレステロールおよびグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)濃度の変化を分析した結果を示す図である。
図13】普通食群、高脂肪食群(HFD)、ガルシニア・カンボジアを投入した群、アッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株を投与した群、および本発明アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(EB-AMDK19)を投与した群のアルシアンブルー染色を示す図、および画像を定量化した各群の陽性領域を描くグラフである。
図14】各試験群のマウスの腸細胞におけるTLR4、TLR2、GLP-1、PYY、IL-6、TNF-α、MCP-1、IL-10、ZO-1およびオクルディンの発現の変化を示すグラフである。
図15】H&E染色で得られた肝細胞および脂質液滴の光学顕微鏡写真、および群の肝臓脂肪率スコアを示すグラフである。
図16】H&E染色で得られた肝細胞および脂質液滴の光学顕微鏡写真、および群の肝臓脂肪率スコアを示すグラフである。
図17】本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株による治療後の各試験動物の腸間膜脂肪組織の脂質蓄積の程度を示す写真およびグラフである。
図18】試験群間の線形判別分析結果の比較を示す図である;および
図19】本発明の一例である本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(EB-AMDK19)およびアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株を投与した後腸内微生物叢の相対存在量を描くグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を、以下添付した図面を参照して、より詳細に説明する。
【0025】
特許請求の範囲に使用される“構成する/構成”または“含有する/含有”という用語は、一つまたはそれより多い他の種または工程の存在を排除することを意図しない。
【0026】
ここで“炎症性疾患”という用語は、哺乳動物体における炎症反応によって引き起こされる疾患をいう。炎症性疾患の代表例として:喘息、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎のような呼吸性疾患;アトピー性皮膚炎のような皮膚疾患;胃炎および炎症性腸炎のような消化性疾患;動脈硬化、敗血症、炎症性関節疾患、炎症性脳疾患のような疾患を含む。
【0027】
ここで“治療する”または“治療”という用語は、炎症性疾患、代謝疾患、または上記疾患の一つまたはそれより多い症状を逆転または軽減すること、またはその進行を阻害することを意味する。ここで“予防する”または“予防”という用語は、炎症性疾患または代謝疾患を発症する可能性の低減を含むことを意図する。
【0028】
ここで、“サイトカイン”という用語は、他の細胞の機能に影響を及ぼす分泌されたタンパク質をいう。特に、免疫系の細胞または炎症反応に関与する細胞との間の相互作用の調整に関する。サイトカインの例としては、インターロイキン-1(IL-1)、好ましくはインターロイキンIL-1β、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、および腫瘍壊死因子-α(TNF-α)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
ここで、“食欲抑制”という用語は、ダイエット関連ホルモン(例えば食欲抑制ホルモン)の分泌を刺激するために起菌株または組成物を投与することにより食欲を抑制させまたは遅延させる任意の作用を意味する。
【0030】
本発明の一つの形態は、次世代プロバイオティック菌株アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号KCTC 13761BP)に関する。
【0031】
この菌株は配列番号:1の16s rRNA遺伝子を有する。
【0032】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、健康韓国人の糞便から単離されたサイズが0.5~1μmの楕円細胞である単球菌または双球菌である。また、上記の菌は嫌気性の、非運動性の、グラム陰性の粘液分解菌である。上記の菌は内生胞子を形成しない。上記アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株はいろいろの粘液分解酵素を産生することができ、したがって、粘液を炭素および窒素源として使用することができる。上記アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株はガラクトース、N-アセチルグルコサミン、および乳糖などいろいろな炭素源を代謝することができ、プロピオン酸や酢酸等の短鎖脂肪酸を主代謝物として産生する。
【0033】
本発明の実施態様の一つによれば、抗炎症性サイトカイン、具体的にIL-8、IL-6、IL-1β、およびTNF-αの発現を抑制することにより、抗炎症効果を発揮することができる。
【0034】
上皮細胞間に形成される密着結合は、上皮細胞のバリア機能にとって特に重要である。上記密着結合は細胞間接合の一種であり、電子顕微鏡で二つの隣接細胞の細胞膜の融合を表すほど強い接合である。バリア機能は、上皮細胞間に異物が通過することを阻止する機能であり、血管および消化管において重要である。緊密接合の形成に関与する構成分子は、典型的に、オクルジンおよび細胞質ZOタンパク質と呼ばれる膜タンパク質、ならびに、シングリンのようなタンパク質を含む。上記タンパク質間の相互作用により、緊密接合の構造と機能が完成する。本発明の一つの実施の形態によると、上記アッカーマオクルジンシニフィラEB-AMDK19菌株は緊密接合タンパク質ZO-1(閉鎖帯-1、p<0.01)およびオクルーディンの発現を増加させ、炎症性タンパク質が組織内に移行することを遮断し、それにより粘液再生を促進し、大腸粘膜の炎症を緩和する。
【0035】
肥満が誘発されると、内臓脂肪組織の異常、腫瘍壊死因子の過剰分泌、貪食細胞のような免疫細胞を脂肪組織への浸潤、および炎症性サイトカインの発現の増加を起こす。そのため、脂肪組織の慢性炎症、慢性炎症の応答は、インスリン感受性を低下させ、グルコース耐性を誘発し、糖尿病に至る。したがって、脂肪組織肥大および炎症応答の抑制が抗肥満効果を発揮することができ、その結果、抗代謝疾患に対しても有用である。
【0036】
本発明の新規なアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、体重増加および体脂肪蓄積を抑制すること、インスリン抵抗、全血コレステロール値肝毒性指標である血液GPT値を下げること、および炎症性サイトカインのレベルを低下させることができる。したがって、糖尿病、肥満、インスリン抵抗性、脂肪肝、高脂血症、またはこれらの因子に関連する代謝疾患を予防または治療することを有効であり得る。特に、糖尿病や肥満のような種々の代謝疾患が一人で同時に現れる疾患であってもよい。炎症性疾患および代謝疾患に対して治療効果を有し、炎症または肥満に相関性が高い種々の疾患に対して総合的の治療を顕著な効果を発揮する本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を提供することができる。
【0037】
特に、本発明の新規なアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、細胞内脂質の蓄積、脂肪細胞分化関連因子PPARγの発現およびCEBPα、aP2、CD36、ACC1、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、LDLR、またはFASのmRNA発現を低減させるにより、脂質蓄積を実質的に阻害する効果を示す。
【0038】
本発明の別の態様は、炎症性疾患または代謝疾患を予防または治療するための、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号KCTC 13761BP)、その培養物、またはそれらの乾燥物を含む医薬組成物に関する。
【0039】
本発明の医薬組成物は、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株のプロバイオティック、または殺菌されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を含むことができる。アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の殺菌法とは、50℃以上100℃未満の温度で10分間以上加熱することをいう。例えば、70℃の温度で30分間低温殺菌することができる。殺菌されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株はその菌株のプロバイオティックと比べ、より大きい程度に体脂肪蓄積を減少させることができる。
【0040】
殺菌されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株がその菌株のプロバイオティックより効果的の原因は特定されていないが、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を殺菌する時、細胞壁成分(Amuc_1100のよな)または上記菌株の膜タンパク質が宿主の代謝に促進効果を高めることを推測できる。
【0041】
本発明の菌株の有益な効果は、Amuc_1100を含む遺伝子クラスター(Amuc_1098-Amuc_1102)に関連し、腸管粘膜のバリア近傍に位置する免疫細胞の表面に存在し、腸の恒常性および宿主代謝を調節し、トール様受容体(“TLR2”)のシグナル経路と相互作用するポリペプチドに起因すると推定される。例えば、Amuc-1100ポリペプチドは、腸粘膜のバリアの完全な状態を維持し、さらに免疫細胞の表面に存在するTLR2と相互に作用し、また、TLR2シグナル経路の調節を促進し、それにより、免疫細胞からのサイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、およびIL-10)の分泌を促進することが期待される。プロリポタンパク質ジアシルグリセリルトランスフェラーゼ遺伝子(Amuc_1104)は、遺伝子クラスター(Amuc_1098-Amuc_1102)に近接して配置される。さらに、殺菌に使用される温度条件で、Amuc_1100を安定的に維持することができ、殺菌された菌株の効果に寄与することができる。
【0042】
本発明の医薬組成物は、炎症性疾患、特に炎症性腸疾患の治療または予防に有効である。このような炎症性腸疾患の例としては、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸のベーチェット病、単純性潰瘍、放射線腸炎、および虚血性腸炎が挙げられる。特に、医薬組成物はクローン病または潰瘍性大腸炎に対して有効である。
【0043】
本発明における代謝疾患は、肥満、インスリン抵抗、脂肪肝、高脂血症、またはそれらの合併症であることが好まし、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の医薬組成物は、炎症性腸疾患(IBD)、インスリン抵抗、または異脂質血症の予防もしくは治療に、またはコレステロールレベル若しくは体重を低減することに有効である。
【0044】
本発明の医薬組成物は、濃度が108-1012CFU/gであるアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を活性成分として含む、または同一濃度で、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の生菌を含む培養物を含む。
【0045】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、遠心分離のような単離工程により回収でき、さらに乾燥、例えば凍結乾燥によりプロバイオティックとして調製して使用することができる。
【0046】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、酸素感受性であるため、嫌気条件(90%窒素、5%水素、および5%二酸化炭素)下で培養することが好ましい。
【0047】
培養中の液体培地の成分は、株の増殖および活性成分の産生に影響を及ぼす可能性がある。従って、本発明の新規なアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の培養に最適な、液体培地の成分およびその条件を確立することが必要である。
【0048】
液体培地は、炭素源として、ブドウ糖、乳糖、ガラクトース、マンノース、1-フコース、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、1,2-プロパンジオール、酪酸、およびN-アセチルグルコサミンからなる群から選択される一種または一種以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。ブドウ糖およびN-アセチルグルコサミンを含むことが好ましい。液体培地は、窒素源として、トリプトン、ペプトン、大豆ペプトン、L-グルタミン酸、およびアンモニウムからなる群から選択される一種または一種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
液体培地は、微量元素として、KH2PH4、Na2HPO4、NaCl、MgCl2、CaCl2、FeCl2、ZnCl2、CuCl2、MnCl2、CoCl2、NiCl2、Na2SeO3、Na2WO4およびNa2MoO4,からなる群から選択される一種または一種以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
液体培地は6.8-7.2のpHを有し得る、7.0のpHが好ましい。pHは、細胞代謝に重要な酵素タンパク質の単位であるアミノ酸のアミノまたはカルボキシル基の電荷を変化させることにより、タンパク質の活性に影響を及ぼすことができる。さらに、外部環境のpHの変化は、微生物の栄養摂取に影響を及ぼすことができる微生物の栄養物のイオン化に影響を及ぼす可能性がある。
【0051】
液体培地は、ブドウ糖、N-アセチルグルコサミン、トレオニン、大豆ペプトンまたはそれらの任意の組合せを含むことが好ましい。
【0052】
本発明の組成物は、有効成分に加えて、薬学的に許容される担体および/または賦形剤をさらに含むことができる。また、本発明の組成物は、医薬産業において一般に使用される、バインダー、崩壊剤、コーティング剤、および滑剤のような種々の添加剤を配合してもよい。
【0053】
本発明の組成物は、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を適切な担体、賦形剤、補助活性成分などに混合して、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、または液体の形態の形態として製剤化されることができる。本発明の組成物は、経口投与のための製剤化されることができる。また、本発明の組成物は、胃を通過して小腸に到達するため、公知の方法を用いて腸溶コーティングにより製造することができ、活性成分の微生物を速やかに腸内に放出させることができる。
【0054】
本発明において使用することができる賦形剤としては、蔗糖、乳糖、マンニトール、またはブドウ糖のような糖;並びにコーン澱粉、ジャガイモ澱粉、米澱粉、またはアルファー化澱粉のような澱粉類が挙げられる。本発明において使用することができるバインダーとしては、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、および寒天のような多糖類;トラガカント、ゼラチン、およびグルテンのような天然存在の高分子物質;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;並びにポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、および酢酸ビニル樹脂のようなポリマーが挙げられる。
【0055】
本発明において使用することができる崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、およびセルロース誘導体のようなセルロース誘導体;並びにグリコール酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、コーン澱粉、ジャガイモ澱粉、米澱粉、および部分アルファー化澱粉のような澱粉が挙げられる。
【0056】
本発明において使用することができる潤滑剤としては、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、含水二酸化ケイ素、各種ワックス、並びに水素添加油等が挙げられる。
【0057】
本発明において使用することができるコーティング剤としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート-メタクリル酸共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、エチルアクリレート-メタクリル酸共重合体、エチルアクリレートーメタクリル酸共重合体、エチルアクリレート-メチルメタクリレート-クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート共重合体、およびエチルセルロースのような水不溶性共重合体;メタクリル酸-エチルアクリレート共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートのような腸溶性ポリマー;並びにメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレングリコールのような水溶性ポリマーが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0058】
本発明により炎症性疾患または代謝疾患を予防または治療するため、組成物における活性成分としての菌株の投与量は、疾患の種類、患者の年齢、体重、性別、並びに症状、重篤度、並びに投与経路を含む種々の要因を考慮して決定することができる。それゆえに、投与体制は多岐にわたることができるが、標準的な方法を用いて日常的に決定することができる。成人患者に対して、一般に1×106個以上の生菌または殺菌された菌、1×108-1×1012の生菌または殺菌された菌が好ましく、必要に応じて一回または数回に投与することができる。ここに開示される正確な製剤、投与経路、および医薬組成物の投与量は、患者の状態を考慮して医師によって決定することができる。
【0059】
本発明の他の態様は、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)、その培養物、またはその乾燥物を含む食欲抑制用医薬組成物に関する。
【0060】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびペプチドYY(PYY)は、食物摂取量の減少を伴う食欲抑制ホルモンであり(レンおよびブルーム(Wren and Bloom)、消化器病学132:2116-2130(2007))。本発明の実施態様の一つによれば、食欲抑制ホルモンGLP-1 (グルカゴン様ペプチド-1)およびPYY(ペプチドYY)の発現および分泌を増加させることにより、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は食欲を抑制することができる。
【0061】
本発明のさらに他の態様は、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株(受託番号 KCTC 13761BP)、その培養物、またはその乾燥物を含む、炎症性疾患または代謝疾患を予防または改善するための食品に関する。本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を含む食品は、乳または乳製品のような食品または栄養製品、または食品サプリメントまたは健康機能食品として摂取することができる。本発明の実施態様の一つでは、食品の例としては、乳製品、飲料、ジュース、スープ、または子供用の食品のような食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明は、下記実施例を参考にしてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0063】
[実施例1]アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の単離および同定
1.1.菌株の単離および同定
健康な韓国人(女性、35歳、BMI:23.3)の糞便からアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株を単離するために、デリアン方法(method of Derrien)に従った、ムチン培地(0.4 g/Lリン酸1カリウム、0.53 g/Lジクロロリン酸トナトリウム、0.3 g/L塩化ナトリウム、0.3 g/L塩化アルミニウム、0.1 g/L塩化マグネシウム、0.11 g/L塩化カルシウム、4.0 g/L炭酸水素ナトリウム、1 mL酸性の微量元素溶液、1 mL アルカリ性の微量元素溶液、1 mLビタミン溶液、2.5 g/L ブタ胃の液体(III型))、および0.25 g/L硫化ナトリウム九水和物)を用いて択的に培養を行った、次いで菌株が単離された(デリアン等、2004)。
【0064】
単離された菌株がアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株であることを確認するために、単離された菌株を顕微鏡で観察し、その結果を図1に示す。さらに、下記表1に示すam特異的プライマーを用いてPCR分析を行って、その結果を図2に示す。
【0065】
図1において、Aはアッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株の、Bはアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の1000倍の倍率の顕微鏡写真を示す。図2において、MはDNAサイズマーカーを表わす、レーン1は陽性コントロール(ATCC BAA-835)を表わす、レーン2はアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を表わす、レーン3は陰性コントロール(蒸留水)を表わす。
【0066】
【表1】
【0067】
1.2.単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株による炭水化物の使用の分析
本発明の単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株による炭水化物の使用を検査するために、API50CHキット(ビオメリュー社製、フランス)を用いて菌株を培養し、次いで、各炭水化物を使用して、タイプ菌株(ATCC BAA-835)と比較し、菌株が増殖するか否かを調べた。比較の結果を下記表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
上記表2に見られるように、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、リボース、D-フ果糖、D-マンノース、D-乳糖、並びにL-フコースの使用に関して、基準菌株(ATCC BAA-835)と異なることが確認された。
【0070】
1.3.全ゲノム配列
前述のように単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株と、前記アッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株との間の相違点をゲノムレベルで分析するために、パックバイオ(PacBio)技術を用いて株の全ゲノム配列の決定を行い、基準菌株とを比較した。(下記表3および4)
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
上記表2に見られるように、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の全遺伝統計量は、アッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株と異なっていた。
【0074】
具体的に、Amuc_1100ポリペプチドは、抗炎症性または代謝疾患に対する治療活性と関連し、Toll様受容体(TLR)2に作用する熱安定なタンパク質であることが知られている。上記表4に示すように、Amuc_1100関連遺伝子に関して、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、アッカーマンシア・ムシニフィラATCC BAA-835菌株と異なっていた。
【0075】
1.4.単離された菌株の抗菌剤感受性の分析
前述のように単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の抗菌剤感受性を考察するために、嫌気性菌用抗生剤(ピペラシリン・タゾバクタム合剤(PTZ)、セフチゾキシム(CTZ)、クロラムフェニコール(CHL)、クリンダマイシン(CLI)、メロペネム(MEM)、モキシフロキサシン(MXF)、メトロニダゾール(MTZ)、並びにシプロフロキサシン(CIP))を、臨床・検査標準協会のガイドライン(CLSI、2017)に従って、微量希釈により、単離された菌株の最小発育阻止濃度(MICs)を測定した、その結果を下記表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
上記表5に見られるように、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株はクリンダマイシンに対して中等度の耐性を示し、フルオロキノロン系抗生物質であるモキシフロキサシンおよびシプロフロキサシンに対して耐性を示し、モキシフロキサシンおよびシプロフロキサシンを除くすべての抗生物質に対して感受性を示した。基準菌株と比較して、抗菌薬耐性パターンにはいくらかの差があった。したがって、ほとんどの抗生物質に対して耐性でない安全な菌株であること確認することができる。
【0078】
1.5.単離された菌株の溶血活性の分析
前述のように単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の安全性を検証するために、その株が溶血活性を有するか否かが評価された。このため、トリプシン大豆寒天((17.0 g/L膵消化カゼイン、3.0 g/L膵消化大豆、2.5 g/L右旋糖、5.0 g/L塩化ナトリウム、2.5 g/Lりん酸カリウム、並びに15 g/L寒天)に5% w/v脱線維羊血を添加した血液寒天培地を用いて菌株を培養した。培養の結果を図3に示す。
【0079】
図3に見られるように、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株において、病原性に関連するβ-溶血(コロニー周辺の完全に透明な部分)が認められない。
【0080】
1.6.ランダム増幅多型DNA(RAPD)分析
前述で分離されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株が既報の基準株と同種か否かを検証するため、分子型別法の一種であるランダム増幅多型DNA(RAPD)分析フィンガプリントを行った。このため、表6に示す汎用プライマーを用いて、菌株から抽出したゲノムDNAを増幅し、1%アガロースゲル上で1時間30分間電気泳動をさせ、UV穿孔器(UV perforator)でDNA断片化パターンを比較した。分析結果を図4に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
図4に見られるように、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株のRAPDバンドパターンと、アッカーマンシア・ムシニフィラ基準菌株(ATCC BAA -835)と比べて分析し、結果として、異なるバンドパターンを示した。異なるアッカーマンシア・ムシニフィラ種類のRAPDバンドパターンが互いに異なっていることが知られている。したがって、本発明において単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株は、基準菌株(ATCC BAA-835)とは異なることが確認された。
【0083】
1.7.全長16sのrRNA遺伝子配列を用いた系統樹分析
前述で単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の全長16sのrRNA遺伝子配列を分析するため、27Fおよび1541Rプライマーを用いて増幅した前記16sのrRNA遺伝子を下記表7に示す、DNA分析装置3730xlを用いて配列をした。DNAスタープログラムおよびクラスターVプログラムを用いてDNA配列を解析し、基準株との相同性を決めた。本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の16sのrRNA遺伝子配列と、既に公開されている同じ種の他の菌株とを用いて系統樹を作成した。作成した系統樹を図5に示す。
【0084】
【表7】
【0085】
図5に示すように、16sのrRNA遺伝子配列の間の進化的関係は系統樹を介して解析され、結果として、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株がアッカーマンシア・ムシニフィラ種に遺伝的に属することを確認した。
【0086】
アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株(ATCC BAA-835)は基準株として、生化学法(API)および分子生物学的方法(16sのrRNA配列、RAPD、全長スクリーニング)を介して、ヒト糞便から単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を分析した結果から、ムシニフィラ種に属する菌株であることが確認された。さらに、抗生物質耐性試験を介して、単離されたアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株は、プロバイオティックとして機能する安全な菌株であることが示されたこれらの結果に基づいて、単離された菌株はアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株と命名され、受託番号 KCTC 13761BPで、韓国基準菌株寄託(KCTC)、韓国生命工学研究院に寄託された。
さらに、最終的に16sのrRNA遺伝子配列決定によりアッカーマンシア種に属する菌株であることを確認し、"アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19"と命名した。
【0087】
[実施例2]アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の抗炎症効果の評価(ムシニフィラ)
2.1.抗炎症効果の評価のための殺菌された細胞の生産
アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の培養物を12,000xg、4℃で5分間遠心分離し、細胞を収集され、PBSに懸濁させ、0.25±0.03(8log CFU/mL)のOD値に調整した。次に、前記細胞を70℃で30分間殺菌し、使用するまで低温冷凍装置に保存した。
【0088】
2.2.HT-29腸上皮細胞における抗炎症効果の評価
炎症性腸疾患における、サイトカインおよび他の免疫調節剤が、炎症応答の調節に関しているため、本発明者らは、本発明の株の投与による、これらの遺伝子の発現の影響を受けるか否かを調査した。抗炎症効果の評価の生体外の試験のために、ヒト結腸上皮HT-29細胞(ATCC(R) HTB-38TM、アメリカ)を培養した。10%FBS(ウシ胎仔血清、ハイクローン(Hyclone)研究所製、アメリカ)および10μg/mlゲンタマイシンを補充したマッコイ5A(McCoy's 5A)改変培地(ジブコ(Gibco)型、アメリカ)を基本培地として用いて、細胞を5%CO2、37℃の細菌培養器(ニューエアー(NUAIRE)社製、アメリカ)の中で培養した。アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株が、HT-29細胞における炎症誘発のサイトカインIL-8、TNF-α、IL-6 およびIL-1β遺伝子のLPS誘導発現を阻害するか否かを調べるために、下記表8に示すプライマーを用いてリアルタイムPCRを実施した。
【0089】
cDNA合成のためにTRI試薬(シグマ(Sigma)社製、アメリカ)を用いて全RNAを抽出し、M-MLV cDNA合成キット(エイジノミクス(Enzynomics)社製、韓国)を用いて、1μgのRNAをcDNAに合成した。クワント・スタジオ3(Quant Studio 3)リアルタイムPCRシステム(バイオシステム(Biosystems)社提供、アメリカ)を用いてリアルタイムPCRを実施した。
【0090】
GAPDHを内部標準として、SYBRグレン・トップリアルTM-qPCR-2Xプレミクス(SYBR Green TOPreal TM qPCR 2X PreMIX)(エイジノミクス(Enzynomics)社製、韓国)を用いて、炎症性サイトカインの発現を分析した。下記の条件下でPCRを実施した:50℃で4分間、95℃で10分間の条件でプレインキュベーション(UDG用し、およびそれぞれ95℃で15秒間、および60℃で1分間)の条件で、40サイクルを行った。データはクワント・スタジオ・デザイン&アナリシス・ソフトウェア(QuantStudio Design & Analysis Software)v1.4.3に組み込まれたプログラムを用いて、デルタ(delta)CT法によって分析し、その結果を図6に示す。
【0091】
この実施例における全ての実験によって得られた結果は、統計プログラムのグラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)7(グラフパッド・ソフトウェア(GraphPad software Inc)社提供、アメリカ)を用いて、各群の平均および標準偏差として計算した。群間偏差は一方向テューキー・クレーマー試験(ANOVA and Tukey's test)を用いて解析し、p値が0.05以下は統計学的に有意とした。いくつかの結果からAUC(曲線下面積)を計算した。いくつかのデータから、AUC(曲線下面積)を計算した。
【0092】
【表8】
【0093】
図6を参照すると、HT-29細胞をLPS(100μg/ml)単独で、6時間処理した場合、IL-8、TNF-α、IL-6およびIL-1βの発現は、普通食群と比べ、増加した(p <0.001)。一方、LPSで処理した群と比べ、LPSとアッカーマンシア・ムシニフィラBAA-835菌株またはアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19の(10%、v/v)で処理した群のIL-8(P<0.001),TNF-α(P<0.01),IL-6(P<0.01),IL-1β(P <0.001)の発現が著しく減少された。
【0094】
本発明の新規菌株は、生体外で炎症誘発性サイトカイン(IL-8、TNF-α、IL-6およびIL-1βなど)のmRNA発現を減少させることが示された。従って、本発明の菌株が炎症性疾患の治療に有効であり得ることを証明している。
【0095】
[実施例3]アッカーマンシア・ムシニフィラ菌株の脂質蓄積抑制効果の評価
本発明の株の投与によって、脂質蓄積および肥満に関連するバイオマーカーの発現が影響されるか否かを検証した。
【0096】
3.1.細胞のオイルレッド-O染色
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株が3T3-L1細胞における脂肪分化および脂肪産生の時に及ぼす影響を評価するため、オイルレッド-O(Oil Red-O)染色を実施した(ジョンT(Jeon T)等、紅麹抽出物は3T3-L1の脂肪生成転写因子および遺伝子発現を減少させることにより脂肪生成を抑制する、Life Sci、12;75(26)、pp.3195-3203、2004)。
【0097】
オイルレッド-O染色は、細胞をオイルレッド-O試薬で染色することによって、分化した3T3-L1細胞における脂質蓄積を測定する方法である。10%FBS(ウシ胎仔血清、ハイクローン(Hyclone)研究所製、アメリカ)および10μg/mlゲンタマイシンを補充した、ダルベッコ改変イーグル(Modified Eagle's Medium)培地(Dulbecco's Modified)を基礎培地として、マウスの前脂肪細胞3T3-L1細胞(韓国細胞銀行(Korean Cell Line Bank)、韓国)を、5%CO2、37℃の細菌培養器(ニューエアー(NUAIRE)社製、アメリカ)中で培養した。インスリン(1 μg/mL)、IBMX(0.5 mM)およびデキサメタゾン(1μM)で10日間処理することによって、前脂肪細胞3T3-L1細胞の脂肪分化を誘導し、細胞をアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株で処理した。次に、培養物をPBSで3回洗浄し、培地を除去した。10%ホルマリン(シグマ(Sigma)社製、アメリカ)を添加し、オイルレッドO(シグマ(Sigma)社製、アメリカ)溶液と細胞を1時間反応させ、続いて蒸留水で洗浄し、それによって脂質液滴を染色した。
【0098】
細胞染色の完了の後、細胞を40%イソプロパノール(ドゥクサン(Duksan)社製、韓国)で3回洗浄し、次いで乾燥した。細胞内の脂質滴の大きさを光学顕微鏡で観察した、その結果を図7Aに示す。オイルレッドO溶液で染色した脂質液滴試料をイソプロパノールでリゾ化し、分光光度計(エポッチ(Epoch)、バイオテック(BioTek)社製、アメリカ)を用いて500 nmの吸光度を測定した。測定結果を図7Bに示す。
【0099】
その結果、図7Bに示すように、細胞分化の時に、コントロール群と比較し、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株で3T3-L1細胞を処理すると、処理された細胞における脂肪蓄積が著しく抑制されることが確認された。
【0100】
3.2.バイオマーカー遺伝子発現に対する効果の評価
本発明の菌株が脂肪細胞分化の阻害に及ぼす影響を評価するために、下記の表9に示す遺伝子特異的プライマーを用いてリアルタイムPCRを実施し、以下の遺伝子のmRNA発現を分析した:PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)、CEBPα(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ)、脂肪細胞タンパク質2(aP2)、CD36(クラスター分化36)、FAS(脂肪酸シンターゼ)、ACC1(アセチル・コエンザイムA・カルボキシラーゼ)、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、およびLDLR(低密度リポタンパク質受容体)。
【0101】
具体的に、製造者の指示に従ってTRI試薬(シグマ(Sigma)社製、アメリカ)を用いて細胞単層から全RNAを抽出し、M-MLV cDNA合成キット(エイジノミクス(Enzynomics)社製、韓国)を用いて、1μgの全RNAをcDNAに合成した。クワント・スタジオ3(Quant Studio 3)リアルタイムPCRシステム(バイオシステム(Biosystems)社提供、アメリカ)を用いて、以下の条件下でPCRを実施した:50℃で4分間、95℃で10分間の条件でプレインキュベーション(UDG用)し、およびそれぞれ95℃で15秒間、および60℃で1分間の条件で、40サイクルを行った。データはクワント・スタジオ・デザイン&アナリシス・ソフトウェア(QuantStudio Design & Analysis Software)v1.4.3に組み込まれたプログラムを用いて、デルタ(delta)CT法によって分析した。
【0102】
【表9】
【0103】
図8を参照すると、脂肪細胞分化培地(DM)の処理によって、3T3-L1細胞を脂肪細胞への分化に誘導した場合、コントロール群(p<0.001)と比べて、DM+アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株またはDM +低温殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の死細胞(10% v/v)で処理した群の顕微鏡写真における脂肪滴および脂細胞内の質蓄積の程度は著しく減少し、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の死細胞で処理した群、陽性コントロール群(ATCC BAA-835)と比べても著しく減少した(P<0.01)。
【0104】
一般に、脂肪細胞への分化段階において、PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)、CEBPα(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ)、aP2α(脂肪細胞タンパク質2アルファ)、CD36、ACC1、LPL、LDLR、FAS(脂肪酸シンターゼ)を増加される。
【0105】
さらに、図8に示すように、脂肪細胞100%誘導分化の後に対して、脂肪細胞分化に関する遺伝子であるPPARγ、CEBPα、aP2、CD36、ACC1、LPL、LDLRおよびFASの相対的発現の増加を計算すると、DM+前記アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株死細胞で処理した群における、PPARγ(p<0.001)、CEBPα (p<0.001)、aP2(p<0.001)、CD36(p<0.001)、ACC1(p<0.01)、LPL(p<0.001)、LDLR(p<0.05)、FAS(p<0.001)の発現は著しく減少した、また、DM+前記EB-AMDK19菌株の死細胞で処理した群における、PPARγ(p<0.001)、CEBPα (p<0.001)、aP2(p<0.001)、CD36(p<0.001)、ACC1(p<0.001)、LPL(p<0.001)、LDLR(p<0.01)、FAS(p<0.001)の発現は著しく減少した。ほかに、BAA‐835菌株で処理した群と比べて、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株で処理した群におけるPPARγ(p<0.001)、CEBPα(p<0.001)、CD36(p<0.01)およびLPL(p<0.01)の発現は著しく減少した。すなわち、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株は、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株よりも3T3-L1細胞の脂肪細胞分化の阻害に対してはるかに優れた効果を有することが確認できた。
【0106】
[実施例4]抗肥満効果の評価
4.1.動物モデルと試料採取
動物実験は、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC))の動物実験議定書に準拠して実施した。実験動物として、8週齢の雄C57BLマウス(各群に6匹)を購入し、1週間順応させた後、8週間繁殖させ、飼育した。繁殖の間、動物を22℃の温度および40~60%の相対湿度で1週間、12時間の明/12時間の暗のサイクルで順応させた。
【0107】
肥満を誘発するために、動物に高脂肪食(60 kcal%脂肪; リサーチダイエット社(Research Diets Inc)製、NJ、アメリカ)を与え、飲料水を自由に取られていた。
【0108】
実験動物を下記の5群に分けた:
-実験群I(普通):普通食を与えた群
-実験群II(HFD):高脂肪食を与えた肥満誘発群
-実験群III(GC):肥満誘発のために高脂肪食を与え、ガルシニア・カンボジアを投与した群
-実験群IV(BAA-835):肥満誘発のため高脂肪食を与え、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835型株を投与した群
-実験群V(EB-AMDK19):肥満誘発のために高脂肪食を与え、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株(生菌型)を投与した群。
【0109】
実験群Vの場合、高脂肪食による肥満誘発後、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19の死細胞を1×108細胞/150μlのPBS(25%グリセロールおよび0.05%システイン/PBS)の濃度で、毎日経口で投与した。
【0110】
正常マウスに10%脂肪食を与えた。陰性コントロールとして、体重を減少させる用な機能性食品として知られるガルシニア・カンボジア(GC、60% HCA 1000mg/kg)およびアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株をそれぞれ投与した。普通食群および高脂肪食群(HFD)には、投与により起こるストレス等の影響を排除するため、PBS(25%グリセロールおよび0.05%システイン/PBS)またはガルシニア・カンボジアと同量で高脂肪食群に、毎日経口で投与した。
【0111】
4.2.体重と飼料摂取量の変化
肥満誘発後12週目に、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の投与による各実験群の体重、体脂肪および組織の変化を測定し、測定結果を図9に示す。
【0112】
図9を参照すると、ガルシニア・カンボジアまたはアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群でも、体重の軽微な減少が観察されたが、体重の有意な減少は見られなかった。
【0113】
これと比較すると、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群は、高脂肪食(HFD)を与えたマウスと比べて、体重の有意な減少を示した(P<0.05)。さらに、図9を参照すると、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与された群の食物摂取は、高脂肪食群と比べて著しく減少した。これらの結果から、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株は、食物摂取および体重の継続的な減少を誘導することが分かった。
【0114】
4.3.組織および体脂肪重量の変化
実験の最後に、肝臓および脾臓をCO2麻酔下で抽出し、生理食塩水で洗浄し、脱水し、次いで秤量した。測定結果を図10に示す。
【0115】
図10を参照すると、すべての投与された群は、高脂肪食群と比べて、脂肪重量の有意な減少を示した。これらの結果は、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ菌株が脾臓および肝臓細胞における脂質蓄積および炎症を減少させることによって、体重の増加を抑制することに寄与したことを示唆している。
【0116】
図10に示すように、普通食群に比べて、高脂肪食(HFD)を与えた群の肝臓、脾臓、皮下脂肪、精巣上体の脂肪および腸間膜の脂肪の重量をすべて、著しく増加し、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群の肝臓、脾臓、皮下脂肪、精巣上体の脂肪、および腸間膜の脂肪の重量を、著しく減少した。特に、皮下脂肪の場合、ガルシニア・カンボジアまたはアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群と比べて、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群のより有意な皮下脂肪の重量の減少を示した(P<0.01)。精巣上体の脂肪の場合、高脂肪食群と比べて、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群のみ、精巣上体の脂肪重量の有意な減少を示した(P<0.05)。
【0117】
これらの結果は、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株の投与がガルシニア・カンボジアまたはアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA835菌株の投与より、高脂肪食により誘導された肥満の抑制に対して、より良い効果を有することを示唆する。
【0118】
特に、これらの結果は、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株は、体重減少に対する単純な効果だけではなく、心血管疾患などの合併症を引き起こすことと知られている体脂肪の減少に対する強い効果を持ち、抗肥満薬として重要な意味が示された。
【0119】
[実施例5]代謝疾患の治療または予防に対する効果の評価
5.1. 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の投与が耐糖能に及ぼす影響を評価するため、実験開始後12週目に、18時間絶食後のマウスに2g/kgブドウ糖を経口投与した。グルコース投与の直前および30、60、90並びに120分後に、各マウスの尾静脈から採血し、血糖値を血糖計で測定した。測定結果を図11に示す。
【0120】
図11を参照すると、ブドウ糖の投与の直前にアッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群は、ブドウ糖を投与した群の中で、血糖値の減少が最大であることを示したが、この減少は有意ではなかった。
【0121】
ブドウ糖を投与した30分後、高脂肪食群に比べて、投与したすべての群の血糖値は減少し(P<0.001)、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群の血糖値は、他の群に比べて著しく減少したが、普通食群に比べて、有意なレベルでなかった。これらの結果は、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を経口投与するにより、肥満誘発高脂血症を軽減し、耐糖能を増強することができることを示す。
【0122】
5.2. 血中脂質生化学的指標の解析
18時間の空腹の後、各実験動物から採血し、血液から分離した血漿を用いて、インスリン濃度およびインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)値を測定するとともに、脂質含量の指標である総コレステロール(TC)濃度および肝機能の指標であるGPT濃度を測定した。
【0123】
具体的には、インスリンELISAキット(森永製、日本)を用いてインスリン濃度を測定し、以下の式を用いてインスリン抵抗性指数(HOMA-IR指数)を計算した:
空腹時インスリン濃度(mU/L)×空腹時ブドウ糖濃度(mmol/L)/22.5
脂質組成の指示である総コレステロール(TC)およびグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)を、それぞれ、アサン医薬株式会社(Asan Pharmaceutical Co、Ltd)(韓国)から購入した測定キットを用いて測定した。結果を図12に示す。
【0124】
インスリン濃度を測定した結果が、高脂肪食群における増加したインスリン濃度とインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)を、投与したすべての群において、著しく減少した。また、高脂肪食群における増加したコレステロール値とインスリン抵抗性指数を、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群でのみ、著しく減少することが観察された(P<0.05)。肝障害の程度を示すGPT濃度を、投与したすべての群おいて、著しく減少した。アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の投与により減少した血中インシュリン、コレステロールおよびGPTの濃度の減少量が体重の減少効果と密接な関係を有している。
【0125】
5.3.大腸粘膜損傷の軽減
5.3.1大腸粘膜の組織学的評価
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株は結腸粘膜の損傷の治療に効果があるか否かを調査するために、普通食群、高脂肪食群(HFD)、ガルシニア・カンボジア(GC)を投与した群、アッカーマンシア・ムシニフィラ ATCC BAA-835菌株(BAA-835)を投与した群、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株(EB-AMDK19)を投与した群の結腸組織をアルシアンブルーで染色し、画像化した(図13)。また、これらの結果に基づいて、各群の正領域を定量した結果(%)をグラフで図13に示す。
【0126】
図13に示すように、高脂肪食群(HFD)の結腸組織中の杯細胞および表面の上皮組織が失われ、多数の免疫細胞を結腸組織に浸潤したことが確認された。
【0127】
一方、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与された群の結腸組織における粘膜構造は維持され、また、普通食群の結腸組織における粘膜構造と似たような状態であることが分かった。さらに、高脂肪食群(HFD)の結腸組織における減少した杯細胞は、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群において、著しく増加したことが分かった(p<0.05)。
【0128】
5.3.2 密着結合タンパク質の発現の評価
本発明菌株による結腸免疫に関するホルモンおよび密着結合ホルモンの発現への影響を評価するために、下記表10に示すプライマーを用いて実施例2.2と同様にPCRを行い、その結果を図14に示す。
【0129】
【表10】
【0130】
さらに、図14に示すように、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投入した群(TLR2(トール様受容体、p<0.05)、TLR4(p<0.05)、IL-6(p<0.05)、TNF-α(p<0.01)、およびMCP-1(p<0.05))において、高脂肪食群で増加した炎症性メディエーターTLR2(トール様受容体2、p<0.05)、TLR4(p<0.05)、IL-6(p<0.05)、TNF-α(p<0.01)およびMCP-1(単球走化性タンパク質-1、p<0.05)の発現は、著しく減少された。さらに、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835を投与した群においても、TLR2、TLR4およびTNF-αの発現を減少することが観察された。高脂肪食群と比べて、抗炎症性サイトカインIL-10(p<0.05)の発現は、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群においてのみ著しく増加された。
【0131】
一方、高脂肪食群において食欲抑制ホルモンGLP-1(グルカゴン様ペプチド‐1)の発現は、著しく減少されたが(p<0.01)、高脂肪食群に比べて、アッカーマンシア・ムシニフィラEB-AMDK19菌株を投与した群において、それは著しく増加された(p<0.01)。他の食欲抑制ホルモンPYY(ペプチドYY)の発現は、高脂肪食群において、著しく減少されたが(p<0.05)、コントロール群と比べて、ガルシニア・カンボジアを投与した群(p<0.05)、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群(p<0.01)、EB-AMDK19菌株を投与した群(p<0.01)のすべてにおいて、それは著しく増加された。タイトジャンクション蛋白質ZO‐1(閉鎖帯-1、p<0.01)とオクルディン(p<0.01)の発現は、高脂肪食群において、著しく減少された。これに対し、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群において、ZO-1の発現が著しく増加され(p<0.05)、結腸粘膜に発現する、腸透過性を適切なレベルに維持する密着結合タンパク質のオクルディンも増加された。すなわち、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株の投与は結腸粘膜の肥満誘発性炎症を軽減し、腸管透過性を改善する効果を提供することが分かった。
【0132】
5.4.肝脂肪症の改善
各実験群のマウスから内臓脂肪組織を抽出し、秤量した。内臓脂肪組織の一部を採取し、10%緩衝ホルマリンで固定した。次に、前記組織をパラフィンに包埋し、ミクロトーム(ライヒェルト-ユング(Reichert-Jung)2050、ALT、アメリカ)を用いて4mmの厚さに切断した。切片をガラススライドの上に乗せ、次いで、H&E(ヘマトキシリン&エオシン)およびORO(オイルレッドO)で実施例3.1と類似の方法で染色した。次に、肝細胞および脂質滴の形状および状態を、光学顕微鏡下において、200×~400×倍率で観察した。結果を図15および図16に示す。
【0133】
図15および16を参照すると、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群において、高脂肪食群における脂肪症の悪化(p<0.05)および脂肪滴の増加(p<0.001)が著しく減少された(それぞれp<0.01およびp<0.001)。アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群の脂肪滴の減少率はガルシニア・カンボジアまたはアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA‐835菌株を投与した群と比べ、より有意であることが観察され、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株が最大の改善を示した。
【0134】
5.5. 脂肪細胞径の変化
各実験群のマウスから腸間膜の脂肪組織を単離し、H&E染色により分析し、分析結果を図17に示す。図17を参照すると、普通食群と比べ、高脂肪食群における脂肪細胞の直径は増加した(p<0.001)。一方、高脂肪食群と比べて、ガルシニア・カンボジアを投与した群、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群、およびアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群において、脂肪細胞の直径は減少されることが観察された(p<0.001)。特に、ガルシニア・カンボジアを投与された群およびアッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与された群と比べ、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与された群における脂肪細胞の直径は著しく減少された。
【0135】
[実施例6]糞便中の微生物の分析
6.1.微生物多様性の変化
腸内微生物を分析するために、各群のマウスの糞便を採取し、QIAamp DNA糞便ミニキット(キアゲン(Qiagen)社製、アメリカ)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。抽出された微生物ゲノムDNAを確認するために、電気泳動装置を用いて、1.5%アガロースゲル(QA-アガロース(QA-Agarose)、Q-バイオジェン(Q-biogene)社製、アメリカ)を含む1X TAE緩衝液中に、100 Vで25分間、電気泳動により、ゲノムDNAのバンドの位置を決定した。DNAの純度は、分光光度計を用いてA260/A280で測定した。
【0136】
糞便から単離した微生物のDNAからの16S rDNAの可変領域3の特定部分を増幅するために、特別に構築したバーコードプライマーを用いてPCRを行った。増幅したPCR産物を、次世代配列決定(NGS)法であるイオン・トレント(Ion Torrent)次世代配列決定プラットフォームを用いて配列決定し、微生物叢を分析した。低品質スコアまたは非常に少数の読取りを除いた後、得られた微生物配列をグリーンジーン(Greengenes)データベースにインポートし、OUTs(操作的分類単位)を配置された。
【0137】
次に、クラスター間の微生物叢を、微生物叢データ統合分析ツールである微生物生態学に関する定量的洞察(Quantitative insights into microbial ecology,QIIME)1.9.0を用いて分析した。微生物株を投与した群の間のα多様性を比較するため、普通食群、高脂肪食群、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群、アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群から得られた結果に基づいてPCA解析を行った。α多様性を解析し、OUTsおよびチャオ1(Chao1)で示され、さらに、β多様性をユニフラックベース(UniFracbase)主座標解析(PCoA)によって解析された。オンラインプログラム(http://huttenhower.sph.harvard.edu/galaxy)を用いて、線形判別解析有効サイズ(LEfSe)の解析を行った。
【0138】
分析の結果として、普通食群と高脂肪食群との間にα多様性の差があった(図8A)。アッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群の多様性は、普通食群、高脂肪食群、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群と比べ、若干の差を示した。
【0139】
6.2.線形判別分析(LDA)
実験群間のβ多様性を比較するために、群間のLDAスコアに多くの差を有する微生物をファミリーレベルで分析した(図18および19)。結果として、他の群に比べて、普通食群はムリバカラセエ(Muribaculaceae)、アエロプラズマタセエ(Anaeroplasmataceae)、クロストリジアセエ(Clostridiaceae)等の存在量が多いことが分かった。他の群に比べて、高脂肪食群は、ラクトバチルス(Lactobacillales)、プレボテッラセエ(Prevotellaceae)、ストレプトコッカセエ(Streptococcaceae)およびラチノスピラセエ(Lactobacillace)の存在量が多いことを示し、さらに、アッカーマンシア・ムシニフィラ BAA-835菌株を投与した群は、マリニフィラセエ(Marinifilaceae)等の存在量が多いことを示した。本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラ EB-AMDK19菌株を投与した群は、クロストリジアーレス(Clostridiacles)、バクテロイデス(Bacteroidaceae)およびペプトコッカセ(Peptococcaceae)の存在量が多いことを示したEB-AMDK19菌株を投与した群は、クロストリジアセエ(Clostridiaceae)、サッチャリマダレス(Saccharimonadales)、マイコプラズマタレス(Mycoplasmatales)、ルミノコッカスエ(Ruminococcaceae)、サッチャリモナセエ(Saccharimonaceae)、およびマイコプラズマタセエ(Mycoplasmataceae)等の存在量が多いことを示した。微生物の相対存在量解析の結果、普通食群と比べ、高脂肪食群の変化が観察され、EB-AMDK19菌株を投与した群では、目レベルであるラクトバチルス(Lactobacillace)、および科レベルであるリケネラセ(Rikenellaceae)、プレボテラコプリ(Prevotellaceae)並びにレンサ球菌(Streptococcaceae)科が普通食群の微生物のレベルに回復した。
【0140】
前記の結果をまとめて、本発明の菌株およびその医薬組成物は、炭水化物および脂質代謝を改善するにより肥満の治療の使用に有効であることが分かった。
【0141】
本明細書に開示される実施の形態は、好ましい実施の形態の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明はその精神および範囲から逸脱することなく、様々な形態で修正または変更することができることは当業者には明らかであろう。本発明の保護の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであり、上記の修正および変形は、本発明の保護の範囲内に入ることが意図される。
【0142】
[受託番号]
寄託機関:韓国基準菌株培養コレクション
受託番号: KCTC 13761BP
寄託期日:2018年12月5日
図1
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【配列表】
0007055521000001.app