(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】アスファルト合材サイロの運転方法
(51)【国際特許分類】
E01C 19/08 20060101AFI20220411BHJP
B65G 65/32 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
E01C19/08
B65G65/32 C
(21)【出願番号】P 2017237295
(22)【出願日】2017-12-12
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中浦 孝明
(72)【発明者】
【氏名】小西 翔太
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-247444(JP,A)
【文献】特開平05-338812(JP,A)
【文献】特開平05-139544(JP,A)
【文献】特開2003-306230(JP,A)
【文献】中国実用新案第205223796(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/08
B65G 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を水平トロリーとスキップエレベータの各搬送バケットを順次乗り継いで隣接する合材サイロ本体に搬送・投入して貯蔵するアスファルト合材サイロの運転方法であって、合材排出位置に移動した前記搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材の有無を検出する検出手段を備え、前記排出口開閉用の排出ゲートを開放してアスファルト合材の排出を開始後、前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判断し、前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判断し、前記排出ゲートを閉鎖して前記搬送バケットを合材積み込み位置に移動させて次バッチの積み込み行程へと進み、所定の制限時間内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには前記搬送バケットの運転を停止し、警報を発報してオペレータに前記搬送バケット内にアスファルト合材が残留していないか確認させるようにする一方、前記搬送バケットからのアスファルト合材の排出基準時間を予め設定しておき、該排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了したときには短めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖し、前記排出基準時間を過ぎてからアスファルト合材の排出を完了したときには長めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖するようにしたことを特徴とするアスファルト合材サイロの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を隣接する合材サイロ本体に搬送・投入して貯蔵するアスファルト合材サイロ及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を搬送手段である水平トロリーとスキップエレベータの各搬送バケットを順次乗り継いで隣接する合材サイロ本体に搬送・投入し、一時的に貯蔵して出荷に備えるようにしている。前記搬送手段である、例えば前記スキップエレベータは、前記水平トロリーの搬送端の下位にあたる地上面から合材サイロ本体上部の合材投入ゲートに渡り案内レールを架設すると共に、該案内レールに沿って搬送バケットを昇降自在に配設し、ウインチの正逆回転により前記搬送バケットに連結した昇降用索条を巻き上げたり繰り出したりして搬送バケットを昇降させる構成としている。
【0003】
そして、地上側の合材積み込み位置にてアスファルト合材を積み込んだ搬送バケットが合材サイロ本体上部の合材投入ゲート上位に到達すると、該合材投入ゲートと共に搬送バケット下部の排出ゲートを開放し、前記搬送バケット下部の排出口よりアスファルト合材を排出して下位の合材サイロ本体内に投入した後、前記排出ゲートを閉鎖して再び地上側の前記合材積み込み位置に戻し、次バッチのアスファルト合材の積み込みに備えるようにしている。
【0004】
なお、アスファルト合材は粘性が比較的高く排出にやや時間を要するため、搬送バケット内に積み込んだアスファルト合材を全て排出し終えるのに十分な時間、例えば10秒程度を時限タイマーに予め設定しておき、前記搬送バケットが合材サイロ本体の上位に到達して前記排出ゲートを開放すると、前記時限タイマーに設定した時間が経過するのを待ってから閉鎖して前記合材積み込み位置に戻すようにしている。
【0005】
また、前記搬送バケットが合材積み込み位置に戻る度にバケット内壁面に対して油を噴霧することにより、搬送バケット内のアスファルト合材をスムーズに排出できるようにし、前記設定時間内に排出が完了するように図ったものも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、朝一番や寒冷期等に製造したアスファルト合材を合材サイロ本体に搬送・投入する場合には、搬送バケット自体が冷えており、かつアスファルト合材温度も若干低くて平常時よりも流動性に劣るため、例えバケット内壁面に油を噴霧しても前記設定時間内に搬送バケットからアスファルト合材を残らず排出し終えることが困難となることもあり、結果的に搬送バケット内に残留したアスファルト合材が付着・成長し、場合によっては排出口が閉塞してしまうといったことも起こり得る。そして、その状態のまま更にアスファルト合材を積み込むようなことがあればオーバーフローを来したり、過積載となってウインチや索条への負荷を高めるだけでなく、万が一、前記索条が重量に耐えきれずに切れて搬送バケットが落下するようなことが発生すれば大事故にもつながりかねず、安全面において改善の余地がある。
【0008】
また、前記搬送バケットのサイクルタイム(搬送バケットが合材積み込み位置にてアスファルト合材を積み込んだ後、排出位置に移動してアスファルト合材の排出を完了した後、再び合材積み込み位置に戻ってくるまでに要する時間)の短縮を図るために、前記時限タイマーの設定時間、即ち搬送バケット下部の排出ゲート開放時間を調整しようとしても、無闇に開放時間を短縮すればアスファルト合材の排出が間に合わずに搬送バケット内への残留を招くおそれもあるため、ある程度余裕を持たせた時間設定をせざるを得ない。
【0009】
本発明は上記の点に鑑み、搬送バケット内のアスファルト合材が排出されたか否かを判定可能とし、安全面や運用面において好適なアスファルト合材サイロ及びその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルト合材サイロの運転方法では、アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を水平トロリーとスキップエレベータの各搬送バケットを順次乗り継いで隣接する合材サイロ本体に搬送・投入して貯蔵するアスファルト合材サイロの運転方法であって、合材排出位置に移動した前記搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材の有無を検出する検出手段を備え、前記排出口開閉用の排出ゲートを開放してアスファルト合材の排出を開始後、前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判断し、前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判断し、前記排出ゲートを閉鎖して前記搬送バケットを合材積み込み位置に移動させて次バッチの積み込み行程へと進み、所定の制限時間内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには前記搬送バケットの運転を停止し、警報を発報してオペレータに前記搬送バケット内にアスファルト合材が残留していないか確認させるようにする一方、前記搬送バケットからのアスファルト合材の排出基準時間を予め設定しておき、該排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了したときには短めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖し、前記排出基準時間を過ぎてからアスファルト合材の排出を完了したときには長めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト合材サイロの運転方法によれば、合材排出位置に移動した搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材の有無を検出する検出手段を備え、前記排出口開閉用の排出ゲートを開放してアスファルト合材の排出を開始後、前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判断し、前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判断し、前記排出ゲートを閉鎖して前記搬送バケットを合材積み込み位置に移動させて次バッチの積み込み行程へと進み、所定の制限時間内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには前記搬送バケットの運転を停止し、警報を発報してオペレータに前記搬送バケット内にアスファルト合材が残留していないか確認させるようにする一方、前記搬送バケットからのアスファルト合材の排出基準時間を予め設定しておき、該排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了したときには短めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖し、前記排出基準時間を過ぎてからアスファルト合材の排出を完了したときには長めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖するようにしたので、搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材が残留して閉塞しかけると運転を停止し、警報を発報してプラントオペレータに確認させることで、オーバーフローや過積載等の不具合を未然に防止できる。また、前記排出口にアスファルト合材が無いことの検出によって排出ゲートを閉鎖するので、従来の時限タイマーよりも排出ゲートの開放時間を短縮でき、搬送バケットのサイクルタイムの短縮も可能となる等、安全面や運用面において好適なものとなる。
【0019】
また、アスファルト合材の粘性等の違いから搬送バケットから全て排出し終えるのに要する時間に差が生じても、それぞれに応じた待ち時間経過後に排出ゲートを閉鎖でき、アスファルト合材の排出残しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るアスファルト合材サイロの一実施例を示す概略説明図である。
【
図3】本発明に係るアスファルト合材サイロの運転手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るアスファルト合材サイロにあっては、アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を水平トロリーとスキップエレベータの各搬送バケットを順次乗り継ぎ、隣接する合材サイロ本体に搬送・投入して貯蔵する構成とする。
【0022】
また、合材排出位置、例えば水平トロリーであればその搬送端のスキップエレベータとの乗り継ぎ部、スキップエレベータであれば合材サイロ本体上部の投入ゲート上位に移動した前記各搬送バケットに対し、該搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材の有無を検出する検出手段と、前記排出口開閉用の排出ゲートの開放後に前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判定し、前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判定する判定手段と、所定の制限時間内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには警報を発報する警報発報手段とを備える。
【0023】
前記検出手段としては、例えば、前記合材排出位置に移動した前記搬送バケット下部の排出口を光軸が通るように前記搬送バケットの上下位置に配置した一対の投光部及び受光部とからなる光電センサを採用し、前記受光部が前記投光部からの投光を受光するか否かによって前記排出口におけるアスファルト合材の有無を検出するようにする。
【0024】
なお、光電センサとしては、前記のように、投光部と受光部とを対向配置した透過型光電センサに限らず、投光部と受光部とを並列に一体に配置してなる反射型光電センサを採用してもよい。また指向性の高いレーザ光を使用するレーザセンサ型の光電センサを採用してもよく、その場合には、例えば搬送バケットの内壁面付近に沿って光軸が通るように設置すると、アスファルト合材の残留・付着を早期に検出することも可能となって好ましい。
【0025】
また、前記検出手段として、前記合材排出位置に移動した前記搬送バケット下部の排出口を撮影するカメラ部を具備した画像判別センサを採用し、前記カメラ部にて予め前記排出口にアスファルト合材が無い状態で撮影して記憶した画像とリアルタイムの画像とを比較し、両画像が一致するか否かによって前記排出口におけるアスファルト合材の有無を検出するようにしてもよい。
【0026】
なお、前記記憶画像とリアルタイムの画像とが一致するか否かを判断する判断基準としては、例えば、前記排出口を挟んで対向位置に配置した投光器等の光源をカメラ部で撮影した際の光源の検出面積を基準とするとよい。例えば、テスト等を通じ、前記排出口にアスファルト合材が無い状態で撮影した画像中の前記光源の検出面積を記憶させ、この記憶した光源の検出面積に対してリアルタイムの画像中の光源の検出面積が所定割合以上、例えば7~9割程度以上あれば一致したと判断するとよい。
【0027】
また、前記検出手段に画像判別センサを採用した場合には、排出口におけるアスファルト合材の有無の検出と併せて排出口の画像データを取得でき、例えば、プラントオペレータは前記画像データ等を参照することで実際のアスファルト合材の残留・付着状況等を把握でき、より適切なメンテナンス対応を行うことができる。
【0028】
そして、プラント本体にて製造したアスファルト合材を水平トロリーとスキップエレベータを介して隣接する合材サイロ本体に搬送・投入して貯蔵するときには、アスファルト合材を積み込んだ前記搬送バケットが合材排出位置、例えば水平トロリーであればその搬送端のスキップエレベータとの乗り継ぎ部、スキップエレベータであれば合材サイロ本体上部の投入ゲート上位に到達すると、搬送バケット下部の排出ゲートを開放し、排出口よりアスファルト合材の排出を開始する。
【0029】
そして、前記合材排出位置に備えた前記検出手段にて前記搬送バケット下部の排出口におけるアスファルト合材の有無を検出し、アスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判断し、前記排出ゲートを開放状態のまま待機し、アスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判断し、前記排出ゲートを閉鎖して前記搬送バケットを合材積み込み位置へと戻し、次バッチのアスファルト合材の積み込みに備える。
【0030】
また、所定の制限時間が経過するまで前記排出口にアスファルト合材が有ることを検出したとき、即ち所定の制限時間内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには、異常と判断して前記搬送バケットの運転を停止し、警報を発報してプラントオペレータ等に対して搬送バケット内にアスファルト合材が残留していないかどうかを確認するよう促す。
【0031】
また、好ましくは、前記搬送バケットからのアスファルト合材の排出基準時間を予め設定しておき、該排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了したときには(前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときには)比較的短めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖し、前記排出基準時間を過ぎてからアスファルト合材の排出を完了したときには比較的長めの排出待ち時間経過後に前記排出ゲートを閉鎖するようにする。
【0032】
なお、前記排出基準時間としては、例えば、テストや実際のプラント運転等を通じ、標準的な粘性のアスファルト合材を排出し終えるのに必要とされる時間、例えば約5~7秒程度を設定すると良い。そして、前記排出基準時間内に前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときには、標準的或いは低粘性のアスファルト合材と判断して比較的短めの、例えば約1秒程度の排出待ち時間経過後に排出ゲートを閉鎖する。また、前記排出基準時間を過ぎてから前記検出手段にて前記排出口にアスファルト合材が無いことを検出したときには、高粘性のアスファルト合材と判断して比較的長めの、例えば約2秒程度の排出待ち時間経過後に排出ゲートを閉鎖する。
【0033】
これにより、アスファルト合材の粘性等の違いから搬送バケットからアスファルト合材を排出し終えるのに必要な時間に差が生じても、それぞれに応じた所定の待ち時間経過後に排出ゲートを閉鎖でき、アスファルト合材の排出残しを防止できる。
【0034】
このように、本発明のアスファルト合材サイロ及びその運転方法によれば、水平トロリーやスキップエレベータの各搬送バケット下部の排出口が付着残留したアスファルト合材によって閉塞しているか否かの判定ができ、排出口が閉塞しかけると警報を発報してオペレータに知らせることでオペレータによる迅速なメンテナンス対応を行え、オーバーフローや過積載等の不具合を未然に防止できる。
【0035】
また、搬送バケット内のアスファルト合材の排出を完了したタイミングが明確となり、それに基づいて搬送バケット下部の排出ゲートを閉鎖すればアスファルト合材の排出残しを防ぎながら排出ゲートの開放時間を短縮でき、これによって搬送バケットのサイクルタイムを適正に調整できる。そして、仮に前記サイクルタイムを短縮できればミキサ等でのアスファルト合材の排出待ち時間を減らせてアスファルト合材の製造・出荷能力を向上させることができ、運用面においても好適なものとなる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0037】
図中の1は、アスファルトプラントのプラント本体であって、複数のフロア2a~2cを有する高架台3を立設し、前記各フロア2a~2cにはドライヤ(図示せず)にて加熱した骨材を粒径別に篩い分ける振動篩4と、該振動篩4にて篩い分けた骨材を粒径別に貯蔵する骨材貯蔵ビン5と、該骨材貯蔵ビン5にて貯蔵した骨材を計量する骨材計量槽6と、該骨材計量槽6にて計量した各粒径の骨材、及び別途計量した石粉、溶融アスファルトを所定量ずつ混合調整して所望配合のアスファルト合材を製造するミキサ7とを階層状に搭載している。
【0038】
図中の8は、前記プラント本体1の側部に設置したアスファルト合材貯蔵設備であるアスファルト合材サイロであって、前記プラント本体1にて製造したアスファルト合材をその配合別(種類別)に貯蔵可能なように、架台9上に複数基、本実施例では三基の合材サイロ本体10a~10cを所定間隔にて直列に並設しており、該合材サイロ本体10a~10cの上部には投入口11と、該投入口11を開閉する投入ゲート12を、下部には排出口13と、該排出口13を開閉する排出ゲート14をそれぞれ備えている。
【0039】
前記投入ゲート12は、
図2に示すように、シリンダ15のピストンロッド16先端部とリンク材17を介して連結しており、前記シリンダ15のピストンロッド16の伸縮動作に応じて前記投入ゲート12をスライドさせて開閉するようにしている。
【0040】
図中の18、19は、前記プラント本体1にて製造したアスファルト合材を前記合材サイロ本体10a~10cに搬送・投入する搬送手段である水平トロリー、及びスキップエレベータである。前記水平トロリー18は、前記プラント本体1下部のミキサ7の下位に水平に渡した走行レール20と、該走行レール20に沿って走行自在に備えた搬送バケット21とからなり、前記ミキサ7から排出するアスファルト合材を前記搬送バケット21の上部投入口22より一旦積み込み、該搬送バケット21を前記走行レール20に沿ってその搬送端まで移動させた後、搬送バケット21下部の排出ゲート23を開放して排出口24より排出することで、下位の合材積み込み位置に待機する前記スキップエレベータ19の搬送バケット25に移し替えられる構成としている。
【0041】
前記スキップエレベータ19は、前記合材積み込み位置である地上面から前記各合材サイロ本体10a~10c上部に渡って案内レール26、及び該案内レール26を支持する支持フレーム27を架設していると共に、前記案内レール26に沿って前記搬送バケット25を昇降自在に備えている。また、前記搬送バケット25には昇降用索条28の一端部を連結し、該昇降用索条28は前記支持フレーム27に回動自在に軸支した複数の滑車29を介して前記架台9上に設置したウインチ30に巻き付けており、該ウインチ30の駆動用モータ31を正逆回転させることにより前記昇降用索条28を巻き上げたり繰り出したりして前記搬送バケット25を前記案内レール26に沿って昇降させる構成としている。また、前記案内レール26の外周部をカバー体32で覆っている。
【0042】
また、前記スキップエレベータ19の搬送バケット25の上部には、アスファルト合材の投入口33を、下部には排出口34をそれぞれ備えていると共に、該排出口34には両開き構造の排出ゲート35a、35bを開閉自在に備えている。また、前記各排出ゲート35a、35bの上端部はリンク部材36にて連結しており、該リンク部材36にて前記各排出ゲート35a、35bを互いに相反方向に連動して開閉できる構成としている。
【0043】
図中の37は前記排出ゲート35aを閉鎖方向に押圧する油圧ダンパーであって、該油圧ダンパー37のピストンロッド38先端部を前記排出ゲート35aの突起片39に軸着している。また、前記排出ゲート35aの下端部両側にはゲートローラ40を回動自在に軸着しており、前記搬送バケット25が合材サイロ本体10a~10c上部の投入口11上位に移動してきたときには、
図2に示すように、前記投入口11の上位に備えた平板41に固着した略山型の誘導レール42によって前記ゲートローラ40を誘導し、上方へ持ち上げることで一方の排出ゲート35aを前記油圧ダンパー37に抗して開放方向へと回動させ、同時にリンク部材36を介して他方の排出ゲート35bも反対向きの開放方向へと回動させて前記排出口34を開放するようにしている。
【0044】
また、前記搬送バケット25上部の投入口33の一部は板体43で塞いでおり、前記搬送バケット25が案内レール26の垂直部分を昇降中に一時的に転倒姿勢をとった際にバケット内のアスファルト合材がこぼれ落ちないようにしている。
【0045】
また、前記搬送バケット25の合材排出位置である前記各合材サイロ本体10a~10cの上位には、
図2に示すように、前記搬送バケット25下部の排出口34におけるアスファルト合材の有無を検出する検出手段として光電センサ44を備えている。前記光電センサ44は、一対の投光部45と受光部46とからなる透過型光電センサであって、合材排出位置に移動した前記搬送バケット25上部の投入口33上位のカバー体32に固定片47を介して前記投光部45を固着している一方、前記排出口34下位の合材サイロ本体10a~10c上部に前記受光部46を固着しており、前記投光部45から受光部46に向けて照射される投光の光軸Aが前記搬送バケット25下部の排出口34の略中心部を通るように調整している。そして、前記排出ゲート35a、35b開放時に、前記投光部45からの投光が受光部46にて受光されるか否かにより前記排出口34におけるアスファルト合材の有無を検出するようにしている。
【0046】
なお、前記投光部45と受光部46の配置は、上下逆であってもよい。また、本実施例では、光軸Aを前記排出口34の略中心部を通すようにしているが、例えば、敢えて前記排出口34の中心部から外し、前記搬送バケット25の内壁面付近(好ましくは、アスファルト合材の残留・付着が比較的生じやすい内壁面付近)を通すようにしてもよく、そうすることにより排出口34の閉塞の初期段階であるアスファルト合材の搬送バケット25内壁面への残留・付着を早期に検出可能となる。なお、その場合には、投光の一部が前記内壁面に反射して誤検出を来すおそれもあるため、例えば指向性の高いレーザセンサ型の光電センサを採用するとよい。また、光電センサを複数備え、各光電センサの光軸をそれぞれ排出口34の周囲の各内壁面付近を通すようにすれば、何れの内壁面からアスファルト合材の残留・付着が生じ始めても早期に検出可能となる。
【0047】
また、前記検出手段として、前記光電センサ44に代えて、前記合材排出位置に移動した前記搬送バケット25下部の排出口34を撮影するカメラ部を具備した画像判別センサ(例えば、株式会社キーエンス製の画像判別センサ「IVシリーズ」)を採用してもよい。その場合、例えば、前記カメラ部を前記投入口33上位(本実施例の投光部45設置位置)に設置する一方、投光器等の光源を前記排出口34下位(本実施例の受光部46設置位置)に設置する。そして、テスト等を通じ、前記排出口34にアスファルト合材が無い状態で前記カメラ部で撮影した画像中の前記光源の検出面積を記憶しておき、この記憶した光源の検出面積に対してリアルタイムの画像中の光源の検出面積が所定割合以上、例えば7~9割程度以上あれば一致したと判断し、即ち前記排出口34にアスファルト合材が無いと判断するとよい。
【0048】
また、前記プラント本体1の操作盤(図示せず)には、前記排出ゲート35a、35bの開放後に前記光電センサ44にて前記排出口34にアスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判定し、前記排出口34にアスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判定する判定手段を具備している。また、所定の制限時間内、例えば約20秒以内にアスファルト合材の排出を完了しなかったときには前記排出口34に閉塞等の異常が発生したと判断し、警告音やエラーメッセージ等の警報を発報する警報発報手段を具備している。
【0049】
また、前記操作盤には、前記搬送バケット25からのアスファルト合材の排出基準時間、例えば標準的な粘性のアスファルト合材を排出し終えるのに必要な時間として約5~7秒程度を予め設定記憶しておく記憶手段を具備している。また、前記排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了したときには(前記光電センサ44にて前記排出口34にアスファルト合材が無いことを検出したときには)、排出していたアスファルト合材が標準的或いは低粘性のアスファルト合材と判断して比較的短めの、例えば約1秒程度の排出待ち時間経過後に排出ゲート35a、35bを閉鎖し、前記排出基準時間を過ぎてから(かつ前記制限時間内に)アスファルト合材の排出を完了したときには、高粘性のアスファルト合材と判断して比較的長めの、例えば約2秒程度の排出待ち時間経過後に排出ゲート35a、35bを閉鎖する制御手段を具備している。
【0050】
これにより、アスファルト合材の粘性等の違いから搬送バケット25からアスファルト合材を排出し終えるのに必要な時間に差が生じても、それぞれに応じた所定の待ち時間経過後に排出ゲート35a、35bを閉鎖でき、アスファルト合材の排出残しを防ぎながら搬送バケット25のサイクルタイムを適正に調整できる。
【0051】
なお、前記排出基準時間や排出待ち時間は何れも前記秒数に限定されるものではなく、テストや実際の運転等を通じて適宜設定すると良いが、例えば、アスファルト合材の排出残しが発生しない範囲で前記搬送バケット25のサイクルタイムができるだけ短縮されるように設定すると好ましい。また、前記排出基準時間を二つ以上設定し、排出待ち時間をより多段階的に設定するようにしても良い。また、アスファルト合材の粘性は気温等の影響を受けて変動するため、例えば前記排出基準時間や排出待ち時間を操作盤等で適宜変更可能なようにしても良い。
【0052】
次に、
図3のフローチャートに基づき、前記プラント本体1にて製造したアスファルト合材を隣接するアスファルト合材サイロ8に搬送して貯蔵する際の運転手順について説明する。なお、図中のS1、S2、…は各ステップを表している。
【0053】
先ず、合材積み込み位置に待機したスキップエレベータ19の搬送バケット25に、水平トロリー18の搬送バケット21から排出したアスファルト合材を積み込んだ後(S1)、該搬送バケット25を前記案内レール26に沿って上昇させ、積み込んだアスファルト合材の配合(種類)に応じた何れかの前記合材サイロ本体10a~10c上部に移動させる(S2)。そして、前記投入ゲート12を開放後(S3)、前記搬送バケット25下部の排出ゲート35a、35bを開放して排出口34よりアスファルト合材の排出を開始する(S4)。
【0054】
そして、アスファルト合材の排出開始時点から前記制限時間をオーバーしたか否かを判定し(S5)、制限時間をオーバーしていなければ、前記操作盤に具備した判定手段では、前記光電センサ44の受光部46が投光部45からの投光を受光したか否かに応じ、前記搬送バケット25下部の排出口34におけるアスファルト合材の有無を検出し、アスファルト合材が有ることを検出したときにはアスファルト合材の排出中と判断し、ステップS5に戻って前記排出ゲート35a、35bを開放状態のまま待機し、アスファルト合材が無いことを検出したときにはアスファルト合材の排出を完了したと判断する(S6)。
【0055】
そして、前記排出基準時間を設定している場合には、予め設定した前記排出基準時間をオーバーしたか否かを判定し(S7)、前記排出基準時間内にアスファルト合材の排出を完了しておれば、予め設定した短めの排出待ち時間を選択して待機し(S8)、前記排出基準時間をオーバーしておれば、長めの排出待ち時間を選択して待機する(S9)。
【0056】
そして、前記各排出待ち時間経過後に、前記搬送バケット25下部の排出ゲート35a、35bを閉鎖すると共に(S10)、前記合材サイロ本体10a~10c上部の投入ゲート12を閉鎖する(S11)。そして、前記搬送バケット25を再び地上側の合材積み込み位置に移動した後(S12)、次バッチのアスファルト合材の積み込みが有るか否か判断し(S13)、有ればステップS1に戻って運転を継続する一方、無ければ運転を停止して終了する(S14)。
【0057】
また、前記ステップS6にてアスファルト合材の排出完了を確認するまでに、ステップS4にて制限時間をオーバーしたときには、異常と判定して搬送バケット25の運転を停止した上で(S15)、警告音やエラーメッセージ等の警報を発報する(S16)。前記警報を受けたプラントオペレータは、前記搬送バケット25内にアスファルト合材が残留・付着していないかどうかを確認し(S17)、必要に応じて手動操作にて前記搬送バケット25を地上側に移動させ(S18)、搬送バケット25内に残留・付着するアスファルト合材をはつり除去し(S19)、はつり作業を終えればステップS1に戻って運転を継続する。
【0058】
なお、前記ステップS7~S9のように、アスファルト合材の排出に要した時間が予め設定した排出基準時間をオーバーするか否かに応じて排出待ち時間の長さを切り替えるようにしても良いが、前記排出基準時間を設けずに排出待ち時間を一律としても良いし、またアスファルト合材が無いことを検出して排出完了を確認すると前記搬送バケット25下部の排出ゲート35a、35bを閉鎖しても良い(この場合、二点鎖線で囲んだステップS7~S9は省略することになる)。
【0059】
また、本発明は合材サイロ本体が一基の場合にも採用できるが、本実施例のように、合材サイロ本体を複数並設した場合に採用すると特に好適である。合材サイロ本体を複数(特に本実施例のように直列に)並設すると、プラント本体1の近くに設置する合材サイロ本体10aと、遠くに設置する合材サイロ本体10b、10cとでは、スキップエレベータ19の搬送バケット25のサイクルタイムに差が生じる。したがって、遠くに設置する合材サイロ本体10b、10cへアスファルト合材を搬送・貯蔵する場合には、ミキサ7にてアスファルト合材の排出待ちを余儀なくされるが、本実施例のようにサイクルタイムを短縮できれば、ミキサ7での排出待ち時間を減らせ、アスファルト合材の製造・出荷能力を向上させることができる。
【0060】
また、本実施例においては、スキップエレベータ19の搬送バケット25下部の排出口34に対してアスファルト合材の有無を検出するようにしたが、水平トロリー18の搬送バケット21下部の排出口24に対して、或いはその両方に対して検出を行うようにしてもよく、水平トロリー18とスキップエレベータ19の両方にて検出を行うようにした場合にはサイクルタイムの時間短縮をより効果的に図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、アスファルトプラントのプラント本体にて製造したアスファルト合材を貯蔵する貯蔵設備であるアスファルト合材サイロに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…プラント本体 8…アスファルト合材サイロ
10a、10b、10c…合材サイロ本体
18…水平トロリー 19…スキップエレベータ
21、25…搬送バケット
22、33…投入口(搬送バケット)
23、35a、35b…排出ゲート(搬送バケット)
24、34…排出口(搬送バケット)
44…光電センサ(検出手段) 45…投光部(光電センサ)
46…受光部(光電センサ) A…光軸