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特許7055568部品整列治具およびボンダーキャップ供給機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】部品整列治具およびボンダーキャップ供給機
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20220411BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B65G47/14 W
B65G47/82 C
B65G47/14 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018111782
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019214444
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】宮下 潤
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-038817(JP,U)
【文献】特開2006-143409(JP,A)
【文献】特開平09-132315(JP,A)
【文献】特表2015-511566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 47/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差部を介して軸方向に小径部および大径部を具備する段付き状の部品を受け入れて、前記小径部が下流側になるように揃えて払い出す部品整列治具であって、
前記部品を前記軸方向に受け入れる受け入れ部と、前記受け入れ部に受け入れられた前記部品を前記軸方向に対して略垂直方向に押し出す押し出し部と、前記押し出し部によって押し出された前記部品が侵入する転倒部とを有し、
前記転倒部は、前記受け入れ部に連通した断面略矩形状の転倒路と、前記転倒路の底面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な底面溝と、前記転倒路の天面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な天面溝とを具備し、
前記部品が前記小径部から前記受け入れ部に受け入れられて前記略垂直方向に押し出された場合、前記小径部が前記底面溝に侵入し、前記段差部が前記転倒路に侵入し、前記大径部の端部に近い所が前記天面溝の両側の天面溝端面に当接することによって、前記部品は前記小径部が下流側になるように転倒して前記転倒路に侵入し、
前記部品が前記大径部から前記受け入れ部に受け入れられて前記略垂直方向に押し出された場合、前記小径部が前記天面溝に侵入し、前記段差部が前記転倒路に侵入し、前記大径部の端部に近い所が前記底面溝の両側の底面溝端面に当接することによって、前記部品は前記小径部が下流側になるように転倒して前記転倒路に侵入することを特徴とする部品整列治具。
【請求項2】
前記転倒路の天面から前記転倒路の底面に向けて空気を噴射するための転倒部空気孔と、前記受け入れ部から前記転倒部に向けて空気を噴射するための押し出し部空気孔とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の部品整列治具。
【請求項3】
前記底面溝端面は前記天面溝端面よりも前記受け入れ部の中心軸から離れていることを特徴とする請求項1または2記載の部品整列治具。
【請求項4】
段差部を介して軸方向に小径部および大径部を具備する段付き状のボンダーキャップの前記小径部を、専用棒が具備する専用棒凹部に侵入した状態にするボンダーキャップ供給機であって、
前記ボンダーキャップをその軸方向に揃えて払い出すパーツフィーダと、前記パーツフィーダから払い出された前記ボンダーキャップを受け入れて、1個づつ払い出す1個払い出し装置と、前記1個払い出し装置から払い出された前記ボンダーキャップを受け入れて、前記小径部を下流側にして排出するキャップ姿勢揃え装置と、前記キャップ姿勢揃え装置から排出された前記ボンダーキャップを受け入れるキャップセット装置とを有し、
前記1個払い出し装置は、払い出し路と、前記払い出し路の上流側に対向して昇降可能に配置された上押さえ板と、前記払い出し路の下流側に対向して昇降可能に配置された下押さえ板とを具備し、
前記キャップ姿勢揃え装置は、前記ボンダーキャップをその軸方向に受け入れる受け入れ部と、前記受け入れ部に受け入れられた前記ボンダーキャップをその軸方向に対して略垂直方向に押し出す押し出し部と、前記押し出し部によって押し出された前記ボンダーキャップが侵入する転倒部とを具備し、前記転倒部は、前記受け入れ部に連通した断面略矩形状の転倒路と、前記転倒路の底面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な底面溝と、前記転倒路の天面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な天面溝とを具備し、
前記キャップセット装置は、前記キャップ姿勢揃え装置から排出された前記ボンダーキャップが侵入する供給部と、前記供給部に向かって進退可能で、前記専用棒を保持するための保持部とを具備することを特徴とするボンダーキャップ供給機。
【請求項5】
前記キャップセット装置はセットレールと、前記セットレールに対して平行で前記セットレールに向かって昇降可能なセット昇降部とを具備し、
前記保持部は前記セット昇降部の複数個所にそれぞれ固定され、前記供給部は前記セットレールに移動可能に設置されて前記保持部の直上位置に移動されることを特徴とする請求項4記載のボンダーキャップ供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品整列治具およびボンダーキャップ供給機、特に、小径部および大径部を具備する部品を小径部が下流側になった姿勢に揃えて払い出す部品整列治具、および該部品整列治具を有するボンダーキャップ供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小径部および大径部を具備する防水シールを、小径部が下方になった姿勢に揃えて払い出す発明(電線用防水シールの供給装置)が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、小径部および大径部を具備するパーツを、小径部が下流側になった姿勢に揃えて払い出す発明(パーツフィーダ用整列供給装置)が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-153525号公報(第5-6頁、図3
【文献】特開2000-142957号公報(第3-4頁、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明は、回転円筒を有し、その外周面に小径部は侵入可能で大径部は侵入不可能な受取穴を形成したものである。したがって、ランダムな姿勢で回転円筒に到達した防水シールのうち、小径部が受取穴に侵入したものだけが、回転円筒の回転に伴って搬送路に払い出される。
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、受取穴に一旦侵入した小径部が、回転円筒が回転する間に受取穴から脱落するという問題があり、かかる問題は、小径部が短い場合や小径部に比べて大径部が長い場合に顕著になっていた。また、かかる問題の発生を抑えるために、受取穴の内径を小径部の外径に近づけると、受取穴への小径部の侵入が困難になり、作業性が悪化(供給能力が低下)するという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2に開示された発明は、パーツの姿勢を識別する姿勢識別手段を有している。そして、小径部が下流側になっていると識別されたパーツは、そのままの姿勢で払い出され、小径部が上流側になっていると識別されたパーツは、U字状の管路に送られて反転されてから払い出されるものである。
このため、姿勢識別手段や管路を切り替えるための駆動手段が必要なため、装置構成が複雑になり、装置費用が高価になるという問題があった。また、識別や管路の切り替えに時間を要するため、作業性が悪い(供給能力が低い)という問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題を解消するものであり、簡素な構造で作業性の良好な部品整列治具、および該部品整列治具を有するボンダーキャップ供給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品整列治具は、段差部を介して軸方向に小径部および大径部を具備する段付き状の部品を受け入れて、前記小径部が下流側になるように揃えて払い出す部品整列治具であって、前記部品を前記軸方向に受け入れる受け入れ部と、前記受け入れ部に受け入れられた前記部品を前記軸方向に対して略垂直方向に押し出す押し出し部と、前記押し出し部によって押し出された前記部品が侵入する転倒部とを有し、
前記転倒部は、前記受け入れ部に連通した断面略矩形状の転倒路と、前記転倒路の底面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な底面溝と、前記転倒路の天面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な天面溝とを具備し、
前記部品が前記小径部から前記受け入れ部に受け入れられて前記略垂直方向に押し出された場合、前記小径部が前記底面溝に侵入し、前記段差部が前記転倒路に侵入し、前記大径部の端部に近い所が前記天面溝の両側の天面溝端面に当接することによって、前記部品は前記小径部が下流側になるように転倒して前記転倒路に侵入し、
前記部品が前記大径部から前記受け入れ部に受け入れられて前記略垂直方向に押し出された場合、前記小径部が前記天面溝に侵入し、前記段差部が前記転倒路に侵入し、前記大径部の端部に近い所が前記底面溝の両側の底面溝端面に当接することによって、前記部品は前記小径部が下流側になるように転倒して前記転倒路に侵入することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るボンダーキャップ供給機は、段差部を介して軸方向に小径部および大径部を具備する段付き状のボンダーキャップの前記小径部を、専用棒が具備する専用棒凹部に侵入した状態にするボンダーキャップ供給機であって、前記ボンダーキャップをその軸方向に揃えて払い出すパーツフィーダと、前記パーツフィーダから払い出された前記ボンダーキャップを受け入れて、1個づつ払い出す1個払い出し装置と、前記1個払い出し装置から払い出された前記ボンダーキャップを受け入れて、前記小径部を下流側にして排出するキャップ姿勢揃え装置と、前記キャップ姿勢揃え装置から排出された前記ボンダーキャップを受け入れるキャップセット装置とを有し、
前記1個払い出し装置は、払い出し路と、前記払い出し路の上流側に対向して昇降可能に配置された上押さえ板と、前記払い出し路の下流側に対向して昇降可能に配置された下押さえ板とを具備し、
前記キャップ姿勢揃え装置は、前記ボンダーキャップをその軸方向に受け入れる受け入れ部と、前記受け入れ部に受け入れられた前記ボンダーキャップをその軸方向に対して略垂直方向に押し出す押し出し部と、前記押し出し部によって押し出された前記ボンダーキャップが侵入する転倒部とを具備し、前記転倒部は、前記受け入れ部に連通した断面略矩形状の転倒路と、前記転倒路の底面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な底面溝と、前記転倒路の天面に形成され、前記小径部が通過可能で前記大径部が通過不可能な天面溝とを具備し、
前記キャップセット装置は、前記キャップ姿勢揃え装置から排出された前記ボンダーキャップが侵入する供給部と、前記供給部に向かって進退可能で、前記専用棒を保持するための保持部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る部品整列治具は、底面溝および天面溝が形成された転倒路を具備する簡素な構造であって、部品を小径部が下流側なるように確実に揃えて払い出すことができるから、作業性、保全性および耐久性が良好で、装置費用を安価にすることができる。
また、本発明に係るボンダーキャップ供給機は、それぞれ簡素な構造であるパーツフィーダと1個払い出し装置とキャップ姿勢揃え装置とキャップセット装置とから構成されるから、作業性、保全性および耐久性が良好で、装置費用を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を説明するためのものであって図1の(a)はボンダーキャップを示す正面図、図1の(b)は専用棒を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を模式的に示すものであって、図2の(a)は正面図、図2の(b)は正面視(E-E断面)の断面図である。
図3】は本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を模式的に示すものであって、図3の(a)は平面図、図3の(b)は平面視(A-A断面)の断面図、図3の(c)は平面視(B-B断面)の断面図、図3の(d)は平面視(C-C断面)の断面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を模式的に示すものであって、図4の(a)は左側面図、図4の(b)は右側面図、図4の(c)は側面視(D-D断面)の断面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を模式的に示すものであって、図5の(a)は転倒動作その1を説明する正面視(E-E断面)の断面図、図5の(b)は転倒動作その2を説明する正面視(E-E断面)の断面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るボンダーキャップ供給機の構成を説明する正面図である。
図7】本発明の実施の形態2に係るボンダーキャップ供給機の動きを説明するフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態2に係るボンダーキャップ供給機の動きを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る部品整列治具および実施の形態2に係るボンダーキャップ供給機について説明する。なお、各図面は模式的に描かれているため、各部材の形状や大きさ、あるいは部材間の位置関係は図示された形態に限定されるものではない。
【0012】
[実施の形態1]
(ボンダーキャップ)
図1は本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を説明するためのものであって図1の(a)はボンダーキャップを示す正面図、図1の(b)は専用棒を示す斜視図である。
図1の(a)において、ボンダーキャップ1は、円柱状の小径部3と円筒状の大径部5とを具備する部品であって、大径部5には小径部3とは反対の面(以下「大径端面6」と称す)に開口した挿入穴(図示しない)が形成されている。
以下の説明の便宜上、小径部3の大径部5とは反対の面を小径端面2と称し、小径部3と大径部5との境界を段差部4と称す。また、小径部3の外径および長さをそれぞれ小径部外径D3および小径部長さL3と、大径部5の外径および長さをそれぞれ大径部外径D5および大径部長さL5と、大径部長さL5と小径部長さL3とを合計した値をキャップ長さL1と称す。さらに、小径部3と大径部5の中心軸は一致しているから、かかる中心軸を「キャップ中心軸9」と称す。
なお、以下、ボンダーキャップ1について部品整列治具100を説明するが、本発明はボンダーキャップ1に限定するものではなく、同様の段差部を具備する部品一般に適用することができるものである。
【0013】
(専用棒)
図1の(b)において、専用棒50は、専用棒軸部51と円筒状の専用棒頭部52とを具備し、専用棒頭部52には、ボンダーキャップ1の小径部3が侵入可能な専用棒凹部53が形成されている。なお、専用棒50の扱いについて実施の形態2において説明する。
【0014】
(部品整列治具)
図2図4は本発明の実施の形態1に係る部品整列治具を模式的に示すものであって、図2の(a)は正面図、図2の(b)は正面視(E-E断面)の断面図、図3の(a)は平面図、図3の(b)は平面視(A-A断面)の断面図、図3の(c)は平面視(B-B断面)の断面図、図3の(d)は平面視(C-C断面)の断面図、図4の(a)は左側面図、図4の(b)は右側面図、図4の(c)は側面視(D-D断面)の断面図、図5の(a)は転倒動作その1を説明する正面視(E-E断面)の断面図、図5の(b)は転倒動作その2を説明する正面視(E-E断面)の断面図である。
【0015】
図2図4において、部品整列治具100は、ボンダーキャップ1を受け入れて、小径部3が下流側になるように揃えて払い出すものである。部品整列治具100は、ボンダーキャップ1を受け入れる受け入れ部10と、受け入れ部10に受け入れられたボンダーキャップ1を押し出す押し出し部30と、受け入れ部10に連通し、押し出し部30によって押し出されたボンダーキャップ1を転倒させる転倒部20と、転倒部20に連通した排出部40とを有している。
このとき、受け入れ部10と押し出し部30と転倒部20とはそれぞれ、治具基板101上に一体的に形成されている(但し、それぞれの境界は明瞭でない)。そして、治具基板101には部品整列治具100を、図示しないボンダーキャップ供給機(これについては実施の形態2において詳細に説明する)の架台(図示しない)に取り付けるための取付孔102、103が形成されている。なお、取付孔102、103には座(座ぐり)が形成され、取付のための六角穴付きボルト(図示しない)の頭部が突出しないようになっている。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0016】
(受け入れ部)
受け入れ部10は、受け入れ路中心軸19を具備する筒状の底付き穴(以下「受け入れ路11と称す」と、受け入れ路11の一方側の壁面(下流側の壁面に同じ)に形成された転倒部側開口部12と、受け入れ路11の他方側の壁面に形成され、転倒部側開口部12に対向した押し出し部側開口部13とを具備している。そして、転倒部側開口部12に連通するように、転倒部20が一体的に配置され、押し出し部側開口部13に対向して押し出し部30が配置されている。
なお、以下の説明の便宜上、受け入れ路11の中心軸(以下「受け入れ路中心軸19」と称す)の方向を「Z方向」、下流方向を「X方向」、Z方向およびX方向に垂直な方向を「Y方向」と称す。
【0017】
また、受け入れ路11は、その天面(以下「受け入れ路天面11b」と称す)に近い範囲が円筒状に形成され(図3の(b)参照)、ボンダーキャップ1を受け入れるためのホース(図示しない)の装着を容易にし、転倒部側開口部12が形成された範囲は、断面(X-Y断面)矩形状になっている(図3の(d)参照)。
そして、ボンダーキャップ1は、キャップ中心軸9が受け入れ路中心軸19と略平行な姿勢で、「-Z方向」向かって受け入れ路11に受け入れられ、押し出し部30によって、「+X方向」に押し出されて、転倒部20に侵入する(これについては、別途詳細に説明する)。
【0018】
(転倒部)
転倒部20は、受け入れ路11の転倒部側開口部12に連通し、ボンダーキャップ1を受け入れる断面(Y-Z断面)矩形状の転倒路21を具備している。そして、転倒路21の底面(以下「転倒路底面21a」と称す)に、ボンダーキャップ1の小径部3が侵入可能で大径部5が侵入不可能な底面溝22が形成され、転倒路21の天面(以下「転倒路天面21b」と称す)に、小径部3が侵入可能で大径部5が侵入不可能な天面溝23が形成されている。このとき、底面溝22の底面(以下「底面溝底面22a」と称す)と受け入れ路底面11aとは同一平面を形成している。
【0019】
そして、底面溝22の両側を形成する受け入れ路11側の端面(転倒部側開口部12に対向した端面に同じ)を「底面溝端面24」と称し、同様に、天面溝23の両側を形成する受け入れ路11側の端面(転倒部側開口部12に対向した端面に同じ)を「天面溝端面25」と称すると、底面溝端面24および天面溝端面25は何れも平面視において、転倒部側開口部12になる程、溝幅が拡大する略ハ字状に形成されている(図3の(c)および(d)参照)。
このため、ボンダーキャップ1の小径部3は、上流側が拡大している底面溝端面24または天面溝端面25に案内されて、底面溝22または天面溝23に侵入容易になっている。
【0020】
さらに、底面溝端面24は、天面溝端面25よりも受け入れ路中心軸19から遠くに位置している。このため、ボンダーキャップ1が受け入れ路11に受け入れられて、受け入れ路底面11aに衝突して跳ね上がったとしても、ボンダーキャップ1の大径端面6が、底面溝端面24を乗り越えて転倒路底面21aに乗り上がることが防止されている。
また、転倒部20には、天面溝23の天面溝底面23bに開口した転倒部空気孔26が形成され、転倒部空気孔26から転倒路底面21aに向けて空気を吹き出し可能にしている。これによって、転倒路21におけるボンダーキャップ1の跳ね上がりが防止される。
【0021】
(転倒部の寸法)
次に、図4の(c)を参照して転倒部20の寸法について説明する。かかる寸法は後記する転倒動作を保証するための規定である。
底面溝22の幅B2(Y方向の距離に同じ)は小径部外径D3よりも大きく大径部外径D5よりも小さい(D3<B2<D5)。同様に、天面溝23の幅B3(Y方向の距離に同じ)は小径部外径D3よりも大きく大径部外径D5よりも小さい(D3<B3<D5)。
また、転倒路21の一対の側面(以下「転倒路側面21c」と称す)の間隔である幅B1(Y方向の距離に同じ)は大径部外径D5よりも大きい(B1>D5)。
さらに、底面溝22の深さH2(Z方向の距離に同じ)は小径部長さL3より僅かに小さく(H2<L3)、転倒路21の高さH1(転倒路底面21aと転倒路天面21bとの距離に同じ)と底面溝22の深さH2とを合計した値は、大径部長さL5よりも大きく、かつキャップ長さL1よりも小さい(L5<(H1+H2)<L1)。そして、転倒路21の高さH1と底面溝22の深さH2と天面溝23の深さH3を合計した値は、キャップ長さL1よりも大きい((H1+H2+H3)>L1)。
【0022】
(押し出し部)
押し出し部30は、受け入れ部10の押し出し部側開口部13を貫通し、転倒部側開口部12に向かって略X方向に進退可能に挿入された押し出し板31と、治具基板101に設置された押し出し部壁面33とを具備している。このとき、押し出し板31は、断面L字状の板材であって、押し出しシリンダ(図示しない)を接続するための接続用孔32が形成されている。また、押し出し部壁面33には空気ホース(図示しない)を設置するための押し出し部空気孔34が形成され、押し出し部空気孔34から転倒路21に向けて空気を吹き出し可能にしている。
【0023】
(排出部)
排出部40は、治具基板101に設置された一対の排出部壁41を具備し、排出部壁41の内面同士の間隔(Y方向の距離)は、ボンダーキャップ1の大径部外径D5よりも大きく、たとえば、転倒路21の幅B1の略等しくなっている。そして、排出部壁41(特に、下流側の端面)は、転倒して姿勢が揃えられたボンダーキャップ1を、次の装置(図示しない)に搬送するためのホース(図示しない)を設置するために用いられる。
【0024】
(転倒動作その1)
図5の(a)において、ボンダーキャップ1は小径部3から受け入れ部10に受け入れられた場合である。このとき、小径端面2が受け入れ路底面11aに当接し、押し出し板31によってX方向に押し出されている。そうすると、小径部3は底面溝22に侵入すると共に、段差部4(大径部5の小径部3に近い位置に同じ)は転倒路21に侵入するものの、大径部5の大径端面6に近い所(小径部3から離れた位置に同じ)は天面溝端面25に当接している。そのため、ボンダーキャップ1は、反時計回りに転倒することになり、転倒しながら転倒路21に侵入し、やがて、転倒路底面21a上で小径部3を下流側にしてキャップ中心軸9はX方向と平行になる。
【0025】
(転倒動作その2)
図5の(b)において、ボンダーキャップ1は大径部5から受け入れ部10に受け入れられた場合である。このとき、大径端面6が受け入れ路底面11aに当接し、押し出し板31によって水平方向に押し出されている。そうすると、小径部3は天面溝23に侵入すると共に、段差部4(大径部5の小径部3に近い位置に同じ)は転倒路21に侵入するものの、大径部5の大径端面6に近い所(小径部3から離れた位置に同じ)が底面溝端面24に当接している。そのため、ボンダーキャップ1は、時計回りに転倒することになり、転倒しながら転倒路21に侵入し、やがて、転倒路底面21a上で小径部3を下流側にしてキャップ中心軸9はX方向と平行になる。
なお、転倒部空気孔26から吹き出される空気が、ボンダーキャップ1を転倒路底面21aに押し付けるから、ボンダーキャップ1の跳ね上がりが防止される。
さらに、押し出し部空気孔34から吹き出される空気が、転倒したボンダーキャップ1を排出部40に押し出すが、転倒路21が水平でなく排出部40側が低くなっている場合には、押し出し部空気孔34を撤去して自重によって移動するようにしてもよい。
【0026】
(作用効果)
以上のように、部品整列治具100は転倒部20を有しているから、ボンダーキャップ1を小径部3が下流側なるように確実に揃えて払い出すことができるため、作業性が良好である。また、転倒部20は簡素な構造であるから、保全性および耐久性が良好で、装置費用を安価にすることができる。
【0027】
[実施の形態2]
図6図8は本発明の実施の形態2に係るボンダーキャップ供給機を説明するものであって、図6は構成を模式的に示す正面図、図7および図8は動きを説明するフローチャートである。なお、実施の形態1で説明した部品整列治具と同じ部位または相当する部位には同じ名称および符号を付して、一部説明を省略する。
【0028】
(ボンダーキャップ供給機)
図6において、ボンダーキャップ供給機200は、ボンダーキャップ1を、専用棒50に取り付けるものである。
すなわち、ボンダーキャップ供給機200は、ボンダーキャップ1のキャップ中心軸9を払い出し方向に揃えて払い出すパーツフィーダ210と、パーツフィーダ210から払い出されたボンダーキャップ1を受け入れて、1個づつ払い出す1個払い出し装置220と、1個払い出し装置220から払い出されたボンダーキャップ1を受け入れて、小径部3を下流側に揃えて排出するキャップ姿勢揃え装置230と、キャップ姿勢揃え装置230から排出されたボンダーキャップ1を受け入れて、ボンダーキャップ1の小径部3を専用棒50の専用棒凹部53に挿入させるキャップセット装置250とを有している。そして、キャップ姿勢揃え装置230とキャップセット装置250とが離れているため、両者の間に気送装置240が設けられている。
なお、キャップ姿勢揃え装置230は、実施の形態1において説明した部品整列治具100を具備している。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0029】
(パーツフィーダ)
パーツフィーダ210は、公知のパーツフィーダに準じた構成であって、図示しない架台に固定されている。すなわち、複数のボンダーキャップ1がランダムな姿勢で投入されるパーツドラム211と、パーツドラム211を回転または振動させるパーツモータ212と、一方の端部がパーツドラム211の内周に沿って配置された断面半円弧状の溝(図示しない)が形成されたパーツ選別樋213とを具備している。そして、パーツ選別樋213の他方の端部は、1個払い出し装置220を構成する払い出し路221に連結されている。
【0030】
したがって、パーツドラム211内に投入されたボンダーキャップ1はパーツモータ212に駆動され、ランダムな姿勢のままでパーツ選別樋213の一方の端部(入口に同じ)に向かって移動され、キャップ中心軸9がパーツ選別樋213の方向と略一致した姿勢で到達したボンダーキャップ1のみがパーツ選別樋213に侵入する。一方、キャップ中心軸9がパーツ選別樋213の方向と略一致しなかったボンダーキャップ1は、パーツ選別樋213から脱落して、パーツドラム211内に戻されて、パーツドラム211を移動する。
なお、パーツ選別樋213の下流で1個払い出し装置220に近い位置に、材有りセンサ214が配置され、1個払い出し装置220の上流に、所定数量のボンダーキャップ1が滞留しているか否か検知している。
【0031】
(1個払い出し装置)
1個払い出し装置220は、図示しない架台に固定され、キャップ中心軸9の方向に揃えられたボンダーキャップ1が通過可能な溝(図示しない)が形成された払い出し路221を具備している。払い出し路221は上流側がパーツ選別樋213に繋がり、下流側が払い出しホース226に繋がっている。
そして、払い出し路221に対向して上流側には、ボンダーキャップ1を移動不可能に押さえ付ける上押さえ板222aと、上押さえ板222aを昇降する上押さえシリンダ223aとが配置され、払い出し路221に対向して下流側には、ボンダーキャップ1を移動不可能に規制する下押さえ板222bと、下押さえ板222bを昇降する下押さえシリンダ223bとが配置されている。
さらに、上押さえシリンダ223aと下押さえシリンダ223bとの間に、払い出し路221に対向したホース保持部224が配置され、ホース保持部224に形成された貫通孔(図示しない)に空気ホース225が設置されている。すなわち、払い出し路221に向けて払い出し空気A1が吹き出し可能になっている。
【0032】
したがって、1個払い出し装置220は、上押さえ板222aが上昇して下押さえ板222bが下降した状態で、ボンダーキャップ1を受け入れる。このとき、下押さえ板222bはL字状に形成されているから、ボンダーキャップ1の小径端面2または大径端面6が下押さえ板222bの一部に確実に当接する(このとき、大径部5の側面は押し付けられない)。
そして、上押さえ板222aを下降させて、上流側のボンダーキャップ1を移動不可能に押し付けた状態で、下押さえ板222bを上昇させて、下押さえ板222bに拘束されていた下流側のボンダーキャップ1を払い出しホース226に払い出す。
さらに、下流側のボンダーキャップ1を払い出したところで、下押さえ板222bを下降させてから、上押さえ板222aを上昇して、上流側で押し付けてられていたボンダーキャップ1を下流側に移動させ、下押さえ板222bに受け止めさせる。このとき、上流側には新たなボンダーキャップ1が侵入する。すなわち、1個払い出し装置220の上流側に滞留していた複数のボンダーキャップ1は、互いに当接した状態で、キャップ長さL1分だけ下流側に移動する。
なお、上押さえ板222aを下降して下押さえ板222bを上昇させるタイミングで、払い出し空気A1が吹き出されるから、下流側のボンダーキャップ1は勢いよく払い出しホース226に払い出される。
【0033】
(キャップ姿勢揃え装置)
キャップ姿勢揃え装置230は、部品整列治具100を具備し、図示しない架台に固定されている。そして、押し出し板31に押し出しシリンダ231が接続されている(接続用孔32に進退軸の先端が固定されている)。また、部品整列治具100の受け入れ部10に払い出しホース226の下流側が接続され、排出部壁41に排出ホース234の上流側が接続されている。また、押し出し部空気孔34に空気ホース232が接続され、転倒路21に向けて押し出し空気A2が吹き出し可能になっている。さらに、転倒部空気孔26に空気ホース233が接続され、転倒路底面21aに向けて押さえ空気A3が吹き出し可能になっている。
【0034】
(気送装置)
気送装置240は、上流側に排出ホース234が接続され、下流側に気送ホース242が接続された気送箱241を具備し、気送箱241には空気ホース243が設置されている。そして、空気ホース243を経由して気送空気A4が気送ホース242内に吹き出し可能になっている。
なお、気送ホース242は略U字状の曲がり部を具備している。したがって、キャップ姿勢揃え装置230から排出されたボンダーキャップ1は、気送箱241を通過して、気送ホース242の曲がり部の最も低い位置に一旦停止し、吹き出された気送空気A4によってキャップセット装置250に気送されることになる。
【0035】
(キャップセット装置)
キャップセット装置250は、図示しない架台に固定されたセット基台251aと、セット基台251aに平行で、一対のセット柱251bに支持されたセットレール251cとを具備している。
そして、セットレール251cには供給部252が移動可能に設置され、供給部252はセットレール251cの一方側に固定されたセット横行シリンダ253によって移動される。供給部252にはボンダーキャップ1が通過可能な貫通孔(図示しない)が形成され、かかる貫通孔の中にボンダーキャップ1が侵入しているか否かを検知する到着センサ254が設置されている。
また、一対のセット柱251bの間に、セット昇降部255がセットレール251cと平行な姿勢で昇降可能に配置され、セット昇降部255はセットレール251cに固定されたセット昇降シリンダ256によって昇降される。
さらに、セット昇降部255の一方側(以下「第1位置」と称す)に第1保持部257aが固定され、セット昇降部255の他方側(以下「第2位置」と称す)に第2保持部257bが固定されている。
【0036】
第1保持部257aと第2保持部257bとは同一形状であって、略V字状の溝が形成され、かかる溝は弾性変形可能な材料よって形成されている。したがって、作業員は専用棒軸部51を掴んで、専用棒軸部51を僅かの力で溝の最奥部に押し込むことができる。そして、押し込んだところで作業員が専用棒軸部51を離すと、専用棒頭部52が第1保持部257aまたは第2保持部257bの上面に係止して、僅かの力で引き出さない限り専用棒軸部51は脱落不可能になる。
さらに、第1保持部257aには、第1保持部257aに専用棒50が保持されているか否かを検知する第1保持センサ258aが設置され、同様に、第2保持部257bには、第2保持部257bに専用棒50が保持されているか否かを検知する第2保持センサ258bが設置されている。
【0037】
(ボンダーキャップ供給機の動作)
以下、ボンダーキャップ供給機200の動作を図7および図8を参照して説明する。
かかる動作は、パーツフィーダ210を起動する工程と、ボンダーキャップ1の供給を準備する工程と、1個払い出し装置220を動かす工程と、キャップ姿勢揃え装置230を動かす工程と、ボンダーキャップ1を気送する工程と、ボンダーキャップ1を専用棒50にセットする工程とを有している。以下、各工程について説明する。
【0038】
(パーツフィーダの起動)
図示しない主スイッチ(主SWと記載)が投入されると。まず、材有りセンサ214が、1個払い出し装置220の上流に所定の数量のボンダーキャップ1が滞留しているか否かを検知する(S1の1)。滞留していない場合(OFF)、1個払い出し装置220の上押さえ板222aを上昇し、下押さえ板222bを下降して(S1の2)から、パーツモータ212を起動する。そして、所定の数量が滞留したところで、供給を準備する工程に進む。
【0039】
(供給を準備する工程)
供給を準備する工程では、第1保持部257aおよび第2保持部257bの一方または両方に専用棒50が保持されているか否かを検知する。
たとえば、第1保持センサ258aが専用棒50を検知した場合(ON、S2の1)、セット横行シリンダ253は供給部252を第1位置(正確には第1位置の直上)に移動し(S2の2)、セット昇降シリンダ256がセット昇降部255を上昇する(S2の3)。そうすると、専用棒凹部53の中心軸(図示しない)が供給部252に形成された貫通孔の中心軸(図示しない)に略一致した状態で、第1保持部257aは上昇し、専用棒50の専用棒頭部52は供給部252に近接する(または、専用棒頭部52の一部が前記貫通孔に侵入する)。
同様に、第2保持センサ258bが専用棒50を検知した場合(S2の4)、セット横行シリンダ253は供給部252を第2位置(正確には第2位置の直上)に移動し(S2の5)、セット昇降シリンダ256がセット昇降部255を上昇する(S2の6)。
【0040】
(1個払い出し装置を動かす工程)
前記準備ができたところで、1個払い出し装置220からボンダーキャップ1をキャップ姿勢揃え装置230に「1個づつ」払い出す。
すなわち、上押さえ板222aを下降して、上流側に滞留しているボンダーキャップ1が下流側に移動しないようにする(S3の1)。そこで、下押さえ板222bを上昇して、下流側に止められていたボンダーキャップ1を「1個だけ」が下流側に払い出す(S3の2)。このとき、払い出し空気A1を吹き出して、ボンダーキャップ1の移動を促進する(S3の3)。
さらに、下押さえ板222bを下降し(S3の4)、その後、上押さえ板222aを上昇して(S3の5)、上押さえ板222aによって止められていたボンダーキャップ1を下押さえ板222bの位置にまで移動させる。
【0041】
(キャップ姿勢揃え装置を動かす工程)
1個払い出し装置220から払い出されたボンダーキャップ1が部品整列治具100の受け入れ部10に侵入したところで、押し出しシリンダ231が押し出し板31を転倒部20方向に移動する(S4の1)。そうすると、ボンダーキャップ1は転倒して、小径部3を下流側にした姿勢に揃えられる(図5の(a)および(b)参照)。
このとき、押し出し空気A2が転倒路21の方向に吹き出し(S4の2)、押さえ空気A3が転倒路底面21aの方向に吹き出す(S4の3)から、ボンダーキャップ1は跳ね上がりが押さえられながら、排出ホース234内に勢いよく排出される。
【0042】
(気送)
排出ホース234内に排出されたボンダーキャップ1は、気送箱241を通過して、気送ホース242の最も低い位置に停止する。そこで、空気ホース243を経由して気送空気A4が気送ホース242内に吹き出される(S5)。そうすると、ボンダーキャップ1はキャップセット装置250に向けて勢いよく気送される。
【0043】
(ボンダーキャップを専用棒にセットする工程)
到着センサ254が、供給部252にボンダーキャップ1が到達したことを検知する(S6の1)。ボンダーキャップ1が到達すると(ON)、供給部252の直下には専用棒50が待機しているから、小径部3は専用棒凹部53に勢いよく侵入する。すなわち、ボンダーキャップ1は専用棒50にセットされる。
そして、上昇していたセット昇降部255は下降する(S6の2)。
一方、ボンダーキャップ1が到達していな場合(OFF)、前記各工程が機能していないと考えられるから、パーツフィーダ210を起動する工程(S1の1)に戻る。
【0044】
また、第2保持部257bに専用棒50が保持されていない場合、すなわち、第1保持部257aに専用棒50が保持されている場合(S6の3)、第1保持部257aから専用棒50が取り出されたところで(S6の4)、一連の工程が終了し、主スイッチが投入されている限り、パーツフィーダ210を起動する工程に戻る。
一方、第2保持部257bに専用棒50が保持されている場合(S6の3)、供給部252が第2位置に停止しているか判断する(S6の5)。すなわち、供給部252が第2位置ではなく、第1位置に停止している場合は、第2保持部257bに保持された専用棒50にはボンダーキャップ1がセットされていないから、供給準備工程に進む。
また、第2保持部257bに専用棒50が保持され、供給部252が第2位置に停止している場合(S6の5)、第2保持部257bに保持された専用棒50にボンダーキャップ1がセットされていることになる。このとき、第1保持部257aに保持された専用棒50にもボンダーキャップ1がセットされていることがある。したがって、第1保持部257aから専用棒50が取り出され(S6の6)、かつ第2保持部257bから専用棒50が取り出されたところで(S6の7)、一連の工程が終了し、主スイッチが投入されている限り、パーツフィーダ210を起動する工程に戻る。
【0045】
なお、以上は基本的な動作のフローを説明したものであって、それぞれの動作には時間遅れがあったり、待ち時間が必要だったりする場合があるため、一部の動作が並行して同時進行したり、一部の動作の前後が逆転する場合がある。
たとえば、準備工程の後半(S2の2、S2の3、S2の5、S2の6)を、1個払い出し工程(S3の1~S3の5)またはキャップ姿勢揃え工程(S4の1~S4の3)と並行して実行し、セット昇降部255が上昇したことを確認した後に、気送空気A4を吹き出してもよい。
また、気送空気A4は、キャップ姿勢揃え装置230の押し出しシリンダ231の起動から所定時間だけ遅れたタイミングで吹き出されるが、これに代えて、ボンダーキャップ1が気送箱241を通過したことを検知するセンサを設置して、かかるセンサの検知に基づいて気送空気A4を吹き出すようにしてもよい。
【0046】
(作用効果)
ボンダーキャップ供給機200は以上のように、簡素な構造の装置によって構成され、自動的にボンダーキャップ1は1個づつ払い出されて小径部3が下流側になるように揃えられて、小径部3が専用棒50の専用棒凹部53に侵入した状態でセットされる。
このとき、作業員は、専用棒50をキャップセット装置250の第1保持部257aまたは第2保持部257bに保持するだけで済むから、作業負荷が大幅に低減する。
また、たとえば、右手で掴んだ専用棒50を第1保持部257aに、左手で掴んだ専用棒50を第2保持部257bに1回の動作で保持させることができると共に、ボンダーキャップ1がセットされた専用棒50を、右手で第1保持部257aから、左手で第2保持部257bから1回の動作で取り出すことができるから、作業が迅速になると共に、かかる保持作業と取り出し作業との間で、その他の作業を実施することが可能になる。
さらに、ボンダーキャップ供給機200を構成するそれぞれの装置は小型軽量であるから、設置位置の制約が少ない。さらに、気送ホース242を長くして、気送装置240によってボンダーキャップ1を遠くに気送することができるから、キャップセット装置250をキャップ姿勢揃え装置230から遠く離れた位置に設置することが可能になる。
【0047】
(変形例)
本発明は保持部の数を限定するものではなく、セット昇降部255に第1保持部257aと同じ保持部を追加して固定してもよい。そうすると、たとえば保持部を4台にしておけば、作業員は合計4本のボンダーキャップ1を1回のタイミングで保持させたり、ボンダーキャップ1がセットされた合計4本の専用棒50を1回のタイミングで取り出したりすることができる。
また、気送ホース242を分岐して、枝分かれした気送ホース242の末端にそれぞれキャップセット装置250を接続してもよい。このとき、分岐部に気送方向を切り替える切り替え手段を設置する。
【0048】
以上、本発明を実施の形態1、2をもとに説明した。この実施の形態1、2は例示であり、それらの各構成要素およびその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は以上であるから、段差部を具備する各種部品の姿勢を揃えるための各種形態の部品整列治具として、およびボンダーキャップを専用棒にセットするための各種形態のボンダーキャップ供給機として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 :ボンダーキャップ
2 :小径端面
3 :小径部
4 :段差部
5 :大径部
6 :大径端面
9 :キャップ中心軸
10 :受け入れ部
11 :受け入れ路
11a:受け入れ路底面
11b:受け入れ路天面
12 :転倒部側開口部
13 :押し出し部側開口部
19 :受け入れ路中心軸
20 :転倒部
21 :転倒路
21a:転倒路底面
21b:転倒路天面
21c:転倒路側面
22 :底面溝
22a:底面溝底面
23 :天面溝
23b:天面溝底面
24 :底面溝端面
25 :天面溝端面
26 :転倒部空気孔
30 :押し出し部
31 :押し出し板
32 :接続用孔
33 :押し出し部壁面
34 :押し出し部空気孔
40 :排出部
41 :排出部壁
50 :専用棒
51 :専用棒軸部
52 :専用棒頭部
53 :専用棒凹部
100 :部品整列治具
101 :治具基板
102 :取付孔
103 :取付孔
200 :ボンダーキャップ供給機
210 :パーツフィーダ
211 :パーツドラム
212 :パーツモータ
213 :パーツ選別樋
214 :材有りセンサ
220 :1個払い出し装置
221 :払い出し路
222a:上押さえ板
222b:下押さえ板
223a:上押さえシリンダ
223b:下押さえシリンダ
224 :ホース保持部
225 :空気ホース
226 :払い出しホース
230 :キャップ姿勢揃え装置
231 :押し出しシリンダ
232 :空気ホース
233 :空気ホース
234 :排出ホース
240 :気送装置
241 :気送箱
242 :気送ホース
243 :空気ホース
250 :キャップセット装置
251a:セット基台
251b:セット柱
251c:セットレール
252 :供給部
253 :セット横行シリンダ
254 :到着センサ
255 :セット昇降部
256 :セット昇降シリンダ
257a:第1保持部
257b:第2保持部
258a:第1保持センサ
258b:第2保持センサ
A1:払い出し空気
A2:押し出し空気
A3:押さえ空気
A4:気送空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8