IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アスファルトプラント 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018150881
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026647
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 秀人
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-281115(JP,A)
【文献】特開2010-281116(JP,A)
【文献】特開2007-308343(JP,A)
【文献】実開昭59-142023(JP,U)
【文献】特開2013-083126(JP,A)
【文献】特開昭57-130605(JP,A)
【文献】特開昭59-192106(JP,A)
【文献】特開平10-131114(JP,A)
【文献】特開2009-001996(JP,A)
【文献】特開2004-169377(JP,A)
【文献】特開2013-096103(JP,A)
【文献】特開2011-149142(JP,A)
【文献】特開2011-127270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサ、骨材計量槽、骨材貯蔵ビン及び振動篩を階層状に積み上げて成るプラント本体と、該プラント本体に加熱した骨材を供給する新材ドライヤと、該新材ドライヤの排気ダクトの途中には粗粒ダスト捕集用の一次集塵機、微粒ダスト捕集用の二次集塵機及び排風機とを備えたアスファルトプラントにおいて、前記新材ドライヤのドラム内にて発生するガス量に見合った排気風量となるように排風機の回転数を制御する構成とし、前記新材ドライヤのバーナ側にはドラム内の通過風速を調整する送風量調整手段を具備した送風機を備え、前記排気ダクトには排ガス流速を検出する風速計を備えると共に、前記ドラム内の加熱処理中の骨材から粗粒ダストを飛散分離可能な設定流速を予め設定しておき、前記風速計にて検出する排ガス流速が前記設定流速を下回ったときには、前記設定流速との差値量に基づいて前記送風機の送風量を調整制御するドラム内通過風速制御器を備えたことを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記排気ダクトを途中で分岐した分岐ダクトを前記送風機に接続し、排ガスの一部をドラム内通過風速調整用ガスとして供給可能とする構成としたことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。
【請求項3】
前記一次集塵機にて捕集した粗粒ダストをプラント本体の骨材計量槽または該骨材計量槽の上位に設置する粗粒ダスト貯蔵ビンへ供給する粗粒ダスト供給手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントは、新規骨材(以下「骨材」という)を加熱乾燥処理する骨材加熱用のドライヤ(以下「新材ドライヤ」という)と、振動篩、骨材貯蔵ビン、計量槽及びミキサ等を階層状に組み上げたプラント本体並びに前記新材ドライヤとプラント本体とを連結する垂直搬送装置等にて構成している。そして、前記新材ドライヤにて骨材を160℃前後に加熱乾燥し、この加熱乾燥した骨材を垂直搬送装置を介してプラント本体最上部の振動篩に送り込み、該振動篩によって篩い分けて下位の骨材貯蔵ビンに粒径別に一旦貯蔵し、この貯蔵した骨材を所定量ずつ骨材計量槽に払い出しながら累積計量してミキサに投入するとともに、所定量の溶融アスファルトや石粉等を添加混合して所望のアスファルト混合物を製造している。
【0003】
前記プラント本体の骨材貯蔵ビンは、その内部を仕切り板によって複数室に区画しており、所定サイズの篩網目を通過させることによって粒度の細かい砂から順に各区画室へと落下させ、各区画室には砂(粒径2.5mm以下の砂)、7号砕石(2.5~5mm粒径相当の骨材)、6号砕石(5~13mm粒径相当の骨材)、5号砕石(13~20mm粒径相当の骨材)の種類別(粒径別)にて貯蔵される。
【0004】
また、前記新材ドライヤにて骨材を加熱する際、バーナによってドラム内に送り込まれる燃焼ガス量に、骨材保有水分の蒸発による水蒸気量を加えたガス量がドラム内に発生するが、このドラム内に発生するガス量は供給する骨材量と骨材保有水分量によって絶えず変動しており、この発生するガス量に見合ったガス量を吸引排気するために排風機の駆動モータの回転数を制御して排気風量を調整している。
【0005】
この排気風量の調整は、例えば、前記ドラムのバーナ側の隅部のガス流の影響を受けにくい箇所に静圧センサを備え、該静圧センサにて検出する静圧値が大気圧よりも僅かに低く維持されるように、排風機の回転数を制御する静圧制御方式が一般に採用されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、前記新材ドライヤにて骨材を加熱する際には、骨材中の約0.1~1mm粒径の粗粒ダストや約0.1mm粒径以下の微粒ダストは、排ガスに随伴して飛散分離し、そのうち粒径の粗い粗粒ダストは排気ダクトの途中に備えた慣性集塵機等の一次集塵機にて捕集され、また前記一次集塵機を通過した粒径の細かい微粒ダストはバグフィルタ等の二次集塵機にて捕集される。
【0007】
そして、二次集塵機にて捕集された微粒ダストは0.1mm以下の粒径であり、アスファルト混合物の素材となる石粉に相当する粒径であるために石粉貯蔵ビンに圧送されて石粉の一部として使用される。また、一次集塵機にて捕集される粗粒ダストは砂よりも細かいものを含むものの比較的粒径が近いのでドライヤの排出シュートへと還元し、垂直搬送装置を介してプラント本体の振動篩へと供給されて骨材貯蔵ビンの砂貯蔵用の区画室に投入され、砂として使用される。
【0008】
ところで、アスファルトプラントでは、道路工事などによって掘り起こされるアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)の加熱用のドライヤ(以下「廃材ドライヤ」という)を併設し、該廃材ドライヤにて加熱した廃材を前記新材ドライヤにて加熱した骨材に所定割合にて混入するアスファルト混合物も製造されている。その場合、混合するミキサの容量が一定のために廃材の混入率に応じて新材ドライヤの製造能力を低下させて運転する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2009-1996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、最近では廃材の混入率を増やす傾向にあり、場合によっては廃材の混入率が50%を超えるものもある。このとき、新材ドライヤへの骨材の供給量は約半分以下程度にまで低下させることとなるが、これによってドラム内に送り込まれる燃焼ガス量及び骨材から蒸発する水蒸気量も低下する。その結果、前記静圧制御の作用によりドラム内にて発生するガス量に見合った吸引排気風量となるように排風機の回転数が低下し、ドラム内の通過風速は単独運転時よりも相当低下することとなる。
【0011】
ドラム内の通過風速が低下すると、本来であれば骨材の加熱処理中に排ガスに随伴して飛散するはずの粗粒ダストは勿論、微粒ダストまでもが飛散せずにドラム内に残留し、骨材と共にドラムから排出されて垂直搬送装置を介してプラント本体最上部の振動篩へと送り込まれることとなる。前記ダスト分中、特に粒径の細かい微粒ダストが振動篩に送り込まれると、最下段に配置される砂の篩網の網目を即座に通過して骨材貯蔵ビンの砂貯蔵用の区画室の側壁近くに偏って貯蔵されることが予想される。そして、この状態でアスファルト混合物を製造するために砂貯蔵用の区画室から所定量の砂を排出したとき、偏って貯蔵されたダスト分の下層部が崩れると側壁近くに貯蔵されたダスト分が一気に崩れて側壁に沿って落下排出され、計量した砂には多量のダスト分が含まれることとなり、そのバッチのアスファルト混合物は品質上好ましくないものとなることが危惧される。
【0012】
また、ドラム内の通過風速が低下すると、排気ダクト下流に備えた慣性集塵機等の一次集塵機内の通過風速も同様に低下するので、本来、一次集塵機を通過して二次集塵機にて捕集される微粒ダストの一部が一次集塵機にて捕集されることも予想される。その結果、前記一次集塵機にて捕集されるダスト分の粒径は通常よりも細かいものとなり、これをドライヤの排出シュートへと還元してプラント本体上部の振動篩へと送り込むと上記の問題を増幅させることが危惧される。
【0013】
本発明は上記の点に鑑み、新材ドライヤにて少量の骨材を加熱処理する場合でも品質を低下させることなくアスファルト混合物を製造可能なアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントでは、ミキサ、骨材計量槽、骨材貯蔵ビン及び振動篩を階層状に積み上げて成るプラント本体と、該プラント本体に加熱した骨材を供給する新材ドライヤと、該新材ドライヤの排気ダクトの途中には粗粒ダスト捕集用の一次集塵機、微粒ダスト捕集用の二次集塵機及び排風機とを備えたアスファルトプラントにおいて、前記新材ドライヤのドラム内にて発生するガス量に見合った排気風量となるように排風機の回転数を制御する構成とし、前記新材ドライヤのバーナ側にはドラム内の通過風速を調整する送風量調整手段を具備した送風機を備え、前記排気ダクトには排ガス流速を検出する風速計を備えると共に、前記ドラム内の加熱処理中の骨材から粗粒ダストを飛散分離可能な設定流速を予め設定しておき、前記風速計にて検出する排ガス流速が前記設定流速を下回ったときには、前記設定流速との差値量に基づいて前記送風機の送風量を調整制御するドラム内通過風速制御器を備えたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記排気ダクトを途中で分岐した分岐ダクトを前記送風機に接続し、排ガスの一部をドラム内通過風速調整用ガスとして供給可能とする構成としたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項3記載のアスファルトプラントでは、前記一次集塵機にて捕集した粗粒ダストをプラント本体の骨材計量槽または該骨材計量槽の上位に設置する粗粒ダスト貯蔵ビンへ供給する粗粒ダスト供給手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、新材ドライヤのドラム内にて発生するガス量に見合った排気風量となるように排風機の回転数を制御する構成とし、前記新材ドライヤのバーナ側にはドラム内の通過風速を調整する送風量調整手段を具備した送風機を備え、前記新材ドライヤの排気ダクトには排ガス流速を検出する風速計を備えると共に、前記ドラム内の加熱処理中の骨材から粗粒ダストを飛散分離可能な設定流速を予め設定しておき、前記風速計にて検出する排ガス流速が前記設定流速を下回ったときには、前記設定流速との差値量に基づいて前記送風機の送風量を調整制御するドラム内通過風速制御器を備えたので、新材ドライヤにて少量の骨材を加熱処理する場合でも加熱処理中の骨材から粗粒ダスト及び微粒ダストを排ガスに随伴させて飛散分離してプラント本体の骨材貯蔵ビン内の砂にダスト分を極力混入しないようにでき、アスファルト混合物の品質を低下させることはない。
【0018】
また、請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記排気ダクトを途中で分岐した分岐ダクトを前記送風機に接続し、排ガスの一部をドラム内通過風速調整用ガスとして供給可能とする構成としたので、比較的高温の排ガスを有効利用しながらドラム内の通過風速を調整でき、省エネ面においても好適なものとなる。
【0019】
また、請求項3記載のアスファルトプラントによれば、前記一次集塵機にて捕集した粗粒ダストをプラント本体の骨材計量槽または該骨材計量槽の上位に設置する粗粒ダスト貯蔵ビンへ供給する粗粒ダスト供給手段を備えたので、ドラム内の通過風速の調整制御に伴って一次集塵機にて捕集される粗粒ダストも適正に管理でき、これを骨材計量槽にて計量しながら所定量ずつミキサへ供給することでアスファルト混合物の品質を低下させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るアスファルトプラントの一実施例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のアスファルトプラントにあっては、ミキサ、骨材計量槽、骨材貯蔵ビン及び振動篩を階層状に積み上げて成るプラント本体と、該プラント本体に加熱した骨材を供給する新材ドライヤと、該新材ドライヤの排気ダクトの途中には上流側より粗粒ダスト捕集用の慣性集塵機等の一次集塵機、微粒ダスト捕集用のバグフィルタ等の二次集塵機、及び排風機を順に備える。
【0022】
また、前記新材ドライヤのドラム内にて発生するガス量に見合った排気風量となるように前記排風機の回転数を制御する構成とし、前記新材ドライヤのバーナ設置側にはドラム内の通過風速を調整する、例えばインバータ等の送風量調整手段を具備した送風機を備えるとともに、前記排気ダクトには排気ダクト内の排ガス流速を検出する風速計を備える。
【0023】
また、前記ドラム内の加熱処理中の骨材から、砂よりも粒径の細かい、例えば約1mm粒径未満の粗粒ダスト及び微粒ダストを飛散分離可能な流速を予めテスト等で求めて設定流速として設定しておき、前記風速計にて検出する排ガス流速が前記設定流速を下回ったときには、前記送風機を駆動し、かつ前記設定流速との差値量に基づいて前記送風機の送風量を前記送風量調整手段を介して調整し、前記風速計にて検出する排ガス流速(ドラム内の通過風速)が前記設定流速と略同じ、またはそれよりも僅かに速い状態に維持されるように調整制御するドラム内通過風速制御器を備える。
【0024】
また、好ましくは、前記排気ダクトを途中で分岐した分岐ダクトを前記送風機に接続し、排ガスの一部をドラム内通過風速調整用ガスとして供給可能とする構成とする。これにより、外気よりも比較的高温の排ガスを有効利用しながらドラム内の通過風速を調整制御しつつ、煙突から排ガスとして大気中へ放出される無効熱量を削減する。
【0025】
更に、好ましくは、前記一次集塵機にて捕集した粗粒ダストをプラント本体の骨材計量槽または該骨材計量槽の上位に設置する粗粒ダスト貯蔵ビンへ供給する粗粒ダスト供給手段を備える。そして、前記ドラム内の通過風速を設定流速以上に維持するように調整制御することで、排気ダクト下流の一次集塵機にて捕集される粗粒ダストを例えば約1~0.1mm粒径のダスト分として管理し、これを骨材計量槽にて計量しながらミキサに投入すると、粗粒ダストの混入量が明確になって製造するアスファルト混合物の品質を低下させることはない。
【0026】
このように、上記アスファルトプラントによれば、新材ドライヤの生産能力を低下させて運転する必要が生じた場合でも、風速計にて検出される排ガス流速に基づいて送風機からドラム内に送風してドラム内のガス量を増加させ、それに応じて静圧制御等にて排風機の排気風量を増加させてドラム内の通過風速を粗粒ダストが飛散分離可能な風速に維持されるように調整制御することにより、粗粒ダスト及び微粒ダストが排ガスに随伴して飛散分離し、粗粒ダスト及び微粒ダストが骨材と一緒にプラント本体へと送り込まれることは少なくなり、骨材貯蔵ビンの砂貯蔵用の区画室の側壁近くに偏って貯蔵されて一気に排出されるといった不具合を抑制でき、アスファルト混合物の品質を低下させることはない。
【実施例
【0027】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0028】
図中の1は本発明に係るアスファルト混合物製造用のアスファルトプラントであって、骨材を加熱処理する新材ドライヤ2と、該新材ドライヤ2にて加熱処理した骨材を持ち上げる垂直搬送装置3と、該垂直搬送装置3にて送り出した骨材を篩い分けて貯蔵・計量し、溶融アスファルト及び石粉を添加して混合するプラント本体4とを主体に構成している。
【0029】
前記新材ドライヤ2は、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム5を回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにしている。また、前記ドラム5一端部のホットホッパ6には熱風供給用のバーナ7、加熱処理した骨材を排出する骨材排出口8を備える一方、ドラム5他端部のコールドホッパ9には骨材をドラム5内に供給する骨材投入コンベヤ10を備えると共に、ドラム5内から排ガスを導出する排気ダクト11を連結している。
【0030】
そして、粒径別に骨材を貯蔵する骨材ホッパ(図示せず)から骨材を所定量ずつ払い出し、払い出した骨材は骨材投入コンベヤ10を介してドラム5内に投入し、掻き上げ羽根にて掻き上げながらドラム5内を転動流下させる間にバーナ7からの熱風に接触させ、所望温度まで昇温させてホットホッパ6下端部の骨材排出口8より排出すると共に、該骨材排出口8より排出した加熱骨材は垂直搬送装置3にてプラント本体4上部まで持ち上げ、該プラント本体4の最上部に備えた振動篩12に投入する構成としている。
【0031】
前記振動篩12の内部には網目サイズの異なる篩網13a~13cを複数段配設しており、垂直搬送装置3より投入した骨材を各篩網13a~13cにて粒径別に篩い分け、下位の骨材貯蔵ビン14の各区画室14a~14dに、例えば約13~20mm、約5~13mm、約2.5~5mm、及び砂に相当する約2.5mm以下の粒径の骨材をそれぞれ貯蔵する構成としている。
【0032】
前記骨材貯蔵ビン14の各区画室14a~14dの下端部にはそれぞれ骨材排出用の排出ゲート(図示せず)を開閉自在に備え、その下位には計量器であるロードセル15にて支持する骨材計量槽16を備えている。また、前記骨材計量槽16と並べて石粉計量用の石粉計量槽17、溶融アスファルト計量用のアスファルト計量槽18を備えていると共に、前記骨材計量槽16を含めた各計量槽の下位にはミキサ19を備えており、各計量槽にて所定量ずつ計量した骨材、石粉、溶融アスファルト等の材料を前記ミキサ19内に投入して混合調整して所望のアスファルト混合物を製造するようにしている。
【0033】
また、前記排気ダクト11の下流には、排ガス中の粗粒ダスト(例えば、約0.1mm~1mm粒径程度)を捕集する慣性集塵機等の一次集塵機20、微粒ダスト(例えば、約0.1mm粒径未満程度)を捕集するバグフィルタ等の二次集塵機21を配置し、その下流には排ガス吸引用の排風機22、及び煙突23を配置しており、前記一次集塵機20及び二次集塵機21にて清浄化した排ガスを煙突23から大気中に放出するようにしている。なお、前記一次集塵機20及び二次集塵機21の下端部には、それぞれ捕集した粗粒ダスト及び微粒ダストを排出する排出スクリュ24、25を具備している。
【0034】
前記新材ドライヤ2のホットホッパ6の骨材排出口8には排出中の骨材温度を検出する骨材温度センサ26を備えていると共に、該骨材温度センサ26にて検出した骨材温度に基づいて前記バーナ7の燃焼量を調整制御するバーナ燃焼制御器27を備え、被加熱物である新規骨材の加熱処理量や含水率が変動しても所定温度、例えば約160℃程度に加熱処理できる構成としている。
【0035】
前記ホットホッパ6の隅部にはドラム5内の静圧を検出する静圧センサ28を備えていると共に、該静圧センサ28にて検出される静圧値を大気圧より僅かに低く、例えば-10~-30Pa程度に維持するように、前記排風機22に具備したインバータ29を介してその回転数を調整して排風量を調整制御する静圧/排風量制御器30を備え、前記ドラム5内に供給される骨材量や含水率の変動に応じて運転状況が変化しても、前記ドラム5端部の隙間から熱風が噴き出したり、或いはドラム5端部の隙間からの侵入空気量が増え過ぎたりしないように図っている。
【0036】
前記ホットホッパ6のバーナ7近傍には送風機31を備え、該送風機31には送風量調整手段であるインバータ32を具備していると共に、前記排気ダクト11を途中で分岐した分岐ダクト33を前記送風機31に接続し、排ガスの一部をドラム内通過風速調整用ガスとして循環供給可能な構成としている。
【0037】
また、前記分岐ダクト33の途中には、手動または自動で開閉制御する外気導入ダンパー34を備えている。高温の排ガスは、熱膨張の影響で単位空気量あたりの酸素量(酸素濃度)は低く、それをホットホッパ6側からドラム5内に供給すると、場合によっては近傍のバーナ7の燃焼状態が悪化して不完全燃焼等を来す可能性もあるが、必要に応じて(例えば、分岐ダクト33内の酸素濃度に応じて)前記外気導入ダンパー34を開放し、分岐ダクト33内に適宜量の外気を導入させることで上記不具合が生じないように図っている。
【0038】
なお、前記分岐ダクト33を廃し、前記送風機31から外気をドラム5内に供給するようにしても良いが、ドラム5内での加熱効率面を考慮すると、本実施例のように比較的高温の排ガスを有効利用して循環供給させる構成とした方が好ましい。
【0039】
前記排気ダクト11の二次集塵機21よりも下流側で、かつ排風機22よりも上流側位置には排気ダクト11内の排ガス流速を検出する風速計35を備えている。
【0040】
また、前記ドラム5内の加熱処理中の骨材から、砂よりも粒径の細かい、例えば約1mm粒径未満の粗粒ダスト及び微粒ダストを飛散分離可能な設定流速を予め設定しておき、前記風速計35にて検出する排ガス流速が前記設定流速を下回ったときには、前記送風機31を駆動し、かつ前記設定流速との差値量に基づいて前記送風機31の送風量をインバータ32にて調整し、前記風速計35にて検出する排ガス流速(ドラム5内の通過風速)が前記設定流速と略同じ、または僅かに速い状態に維持されるように調整制御するドラム内通過風速制御器36を備えている。
【0041】
これにより、ドラム5内に通過風速調整用ガスとして供給する排ガス量を必要最小限に抑えられ、バーナ7からの熱風温度より低温の排ガスをドラム5内に供給することによる新材ドライヤ2の加熱効率の低下度合をできるだけ軽減できて好ましいものとなる。
【0042】
なお、前記ドラム内通過風速制御器36に設定する設定流速、即ちドラム5内の加熱処理中の骨材から粗粒ダストを飛散分離可能な流速は、砂が約1~2.5mm粒径程度とされていることより、砂貯蔵用の区画室14d内に貯蔵される骨材の粒径が約1mm粒径以上となるように、即ち約1mm粒径未満のダストが排ガスに随伴して飛散分離する下限の流速をテスト運転で見出し、そのテスト結果に基づいて適宜決定すると良い。
【0043】
また、図中の37は、前記一次集塵機20にて捕集した粗粒ダストをプラント本体4の骨材計量槽16の上位に設置した粗粒ダスト貯蔵ビン38へ供給する、例えばスクリュコンベヤや投入シュート等の粗粒ダスト供給手段である。前記ドラム5内の通過風速を設定流速以上に維持するように調整制御することで、排気ダクト11下流の一次集塵機20にて捕集される粗粒ダストの粒径も適正に管理でき、これを前記粗粒ダスト貯蔵ビン38下位の骨材計量槽16にて他の骨材と共に累積計量しながらミキサ19に投入することにより、約0.1~1mm粒径程度の粗粒ダストの混入量を管理でき、アスファルト混合物の品質を低下させることはない。
【0044】
そして、上記構成のアスファルトプラント1にて新規骨材を加熱処理するときには、新規骨材を骨材投入コンベヤ10にて所定量ずつ新材ドライヤ2のドラム5内に投入しつつ、バーナ燃焼制御器27では骨材温度センサ26にて検出する骨材温度に基づき、例えば約160℃程度に維持するようにバーナ7の燃焼量を調整制御する。
【0045】
また、廃材の混入割合が増加したときには、それに応じて新材ドライヤ2への骨材供給量を減少させて生産能力を低下させることとなる。このとき、ドラム5内に発生するガス量は減少し、静圧センサ28にて検出する静圧値が低下するため、静圧/排風量制御器30では前記静圧値を大気圧よりも僅かに低い状態に維持するようにインバータ29を介して排風機22の回転数を低下させ、その結果、ドラム5内の通過風速は低下することとなる。
【0046】
そして、排気ダクト11に備えた風速計35にて検出する排ガス流速が予め設定した設定流速、例えば約1mm粒径未満の粗粒ダストを飛散分離可能な風速を下回れば、前記ドラム内通過風速制御器36では送風機31を駆動し、かつ前記設定流速との差値量に基づいて前記インバータ32を介して送風機31の送風量を調整制御する。
【0047】
前記送風機31からドラム5内に排ガスが供給されると、その供給量に応じてドラム5内の静圧が上昇する一方、静圧/排風量制御器30では前記静圧を大気圧よりも僅かに低い状態に維持するように排風機22の回転数を再び上昇させ、その結果、風速計35にて検出する排ガス流速(ドラム5内の通過風速)はドラム5内の粗粒ダスト及び微粒ダストを飛散分離可能な設定流速と略同じ、またはそれよりも僅かに速い状態に維持される。
【0048】
また、ドラム5内への新規骨材の供給量が再び増加したときには、それに応じて新材ドライヤ2の生産能力を上昇させる。このとき、ドラム5内にて発生するガス量は増加し、静圧センサ28にて検出する静圧値が上昇するため、静圧/排風量制御器30では前記静圧値を大気圧よりも僅かに低い状態に維持するように排風機22の回転数を上昇させ、それに伴ってドラム5内の通過風速は上昇することとなる。
【0049】
そして、排気ダクト11に備えた風速計35にて検出する排ガス流速が前記設定流速(粗粒ダストを飛散分離可能な風速)を上回れば、前記ドラム内通過風速制御器36では送風機31の稼働を止めてドラム5内への送風を停止させる。
【0050】
一方、一次集塵機20にて捕集した粗粒ダスト(例えば、約0.1~1mm粒径未満程度)は、排出スクリュ24及び粗粒ダスト供給手段37にて粗粒ダスト貯蔵ビン38へと順次供給し、該粗粒ダスト貯蔵ビン38にて一旦貯蔵する。そして、アスファルト混合物の配合に応じ、前記粗粒ダスト貯蔵ビン38から粗粒ダストを骨材計量槽16を介して所定量ずつミキサ19へと払い出し、所望のアスファルト混合物を製造する。なお、特に支障がなければ、前記粗粒ダスト供給手段37の供給先を直接骨材計量槽16としても良い。
【0051】
このように、ドラム5内の通過風速を設定流速以上に維持するようにしたことにより、粗粒ダスト及び微粒ダストがプラント本体4の砂貯蔵用の区画室14d内に供給されることを極力回避でき、製造するアスファルト混合物の品質の低下を阻止できる。また、排気ダクト11下流の一次集塵機20にて捕集される、例えば約0.1~1mm粒径の粗粒ダストを、砂貯蔵用の区画室14d内の1~2.5mm粒径の砂及び二次集塵機で捕集される0.1mm粒径未満の微粒ダストと区別して管理し、製造するアスファルト混合物に計量しながら所定量混入することによって製造するアスファルト混合物の品質を良好に維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに対して広く利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1…アスファルトプラント 2…新材ドライヤ
3…垂直搬送装置 4…プラント本体
5…ドラム 7…バーナ
11…排気ダクト 12…振動篩
14…骨材貯蔵ビン
14a~14d…区画室(骨材貯蔵ビン)
16…骨材計量槽 19…ミキサ
20…一次集塵機 21…二次集塵機
22…排風機 26…骨材温度センサ
27…バーナ燃焼制御器 28…静圧センサ
30…静圧/排風量制御器 31…送風機
32…インバータ(送風量調整手段) 33…分岐ダクト
35…風速計 36…ドラム内通過風速制御器
37…粗粒ダスト供給手段 38…粗粒ダスト貯蔵ビン
図1