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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】車載用装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019024163
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020131773
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】石村 俊一
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-347895(JP,A)
【文献】特開2003-034162(JP,A)
【文献】特開2005-132290(JP,A)
【文献】特開2008-114808(JP,A)
【文献】特開2013-035424(JP,A)
【文献】特開2013-198330(JP,A)
【文献】特開2016-130101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体の一部である装置基台と、前記装置基台を車両側で支持する支持部材と、を有する車載用装置において、
前記装置基台に、前記支持部材が固定される支持固定部と、前記支持固定部以外の領域である基台本体部と、前記支持固定部と前記基台本体部との間の優先破断部とが形成され、
前記支持固定部とこれに取り付けられた前記支持部材とで破断固定部が構成されて、前記優先破断部で破断したときに、前記基台本体部が前記破断固定部から分離可能とされており、
前記破断固定部に掛止部材が設けられ、前記掛止部材には、前記基台本体部が前記破断固定部から分離される際に、前記基台本体部における前記装置本体の内側に向けられる内側部に掛止される掛止部が設けられていることを特徴とする車載用装置。
【請求項2】
装置本体と、前記装置本体の一部である装置基台と、前記装置基台を車両側で支持する支持部材と、を有する車載用装置において、
前記装置基台に、前記支持部材が固定される支持固定部と、前記支持固定部以外の領域である基台本体部と、前記支持固定部と前記基台本体部との間の優先破断部とが形成され、
前記支持固定部とこれに取り付けられた前記支持部材とで破断固定部が構成されて、前記優先破断部で破断したときに、前記基台本体部が前記破断固定部から分離可能とされており、
前記基台本体部に掛止部材が設けられ、前記掛止部材には、前記基台本体部が前記破断固定部から分離される際に、前記破断固定部における前記装置本体の外側に向けられる外側部に掛止される掛止部が設けられていることを特徴とする車載用装置。
【請求項3】
前記装置基台に、基台壁部が設けられ、前記支持固定部および前記基台本体部が、前記基台壁部の一部である請求項1または2に記載の車載用装置。
【請求項4】
前記掛止部材の前記掛止部は、前記支持固定部を挟む2か所に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の車載用装置。
【請求項5】
前記掛止部材は弾性を有する金属板で形成され、前記金属板の一部に折返し部が形成されて、折り返された先部が前記掛止部とされ、
前記装置基台には、前記支持固定部と前記基台本体部との間に穴部が形成されており、
前記掛止部材を弾性変形させて前記穴部を通過させることで、前記掛止部が前記基台本体部の前記内側部に掛止可能となる請求項1に記載の車載用装置。
【請求項6】
前記支持固定部に、前記支持部材と前記掛止部材とが、同じ固定ねじによって取り付けられている請求項5に記載の車載用装置。
【請求項7】
前記掛止部が弾性を有する金属板で形成されている請求項2に記載の車載用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置などの車載用装置に係るものであり、装置本体に外力が作用して支持部材による支持部周辺が破断したときに、その衝撃を緩和するとともに、支持部材での固定部から装置本体が脱落するのを防止する車載用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、表示パネルを搭載した車載用表示装置に関する発明が記載されている。
この車載用表示装置は、支持体を有している。支持体は、表示パネルを背部側から支持するパネル支持部と、下側から後方に延び出る台座部とを有している。台座部は、車室内のダッシュボードまたはインストルメントパネルに設置される。支持体は、破断しやすい金属材料であるマグネシウム合金を用いてダイキャスト成形されている。支持体には、パネル支持部と台座部との間に湾曲部が形成されており、この湾曲部に、厚さ寸法を部分的に小さくした優先破断部が設けられている。一端部がパネル支持部に固定され、他端部が台座部に固定された連結金属板が設けられており、連結金属板の中間片に曲げ部が形成されている。
【0003】
この車載用表示装置は、支持体のパネル支持部またはこれに保持されている表示部に対して過大な衝撃力が与えられると、支持体は優先破断部において破断させられ、パネル支持部が台座部から分離される。このとき、パネル支持部を連結している連結金属板の曲げ部が伸びるとともに、連結板が曲げられる。そのため、優先破断部が破断しても、パネル支持部が台座部から分離して脱落するのを防止できる。また優先破断部が破断した後に、連結金属板の弾性復元力でパネル支持部が立ち上がるように復元されるため、優先破断部での破断面が車室内に向けて露出するのを防止できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-130037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された車載用表示装置は、支持体のパネル支持部の下端部と台座部との間に優先破断部が形成され、連結金属板も支持体の下部に設けられている。そのため、支持体が優先破断部で破断した後は、パネル支持部とこれに支持されている表示パネルが、下方から連結金属板のみで支えられることになる。パネル支持部と表示パネルは質量がかなり大きいため、これらを下側から支えるためには、連結金属板の強度が高くなくてはならず、大型の連結金属板を使用しなくてはならない。また、大型の連結金属板を配置するために支持部材の湾曲部を大きくしなくてはならず、装置の大型化につながる。
【0006】
また、特許文献1に記載の構造は、支持体の下端部の湾曲部と台座部を後方に向けて大きく張り出させることが必要であるため、装置の奥行寸法も大きくなる。したがって、支持体の奥行寸法を小さくしたい構造には適用することが難しく、設計の自由度に乏しい。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、装置本体に外部から衝撃が与えられたときに、装置本体の装置基台の一部を破断させることで、装置本体に当たる人体などへの衝撃を緩和でき、しかも装置本体が支持部材から脱落するのを防止できるための構造を比較的小型に構成できる車載用装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置本体と、前記装置本体の一部である装置基台と、前記装置基台を車両側で支持する支持部材と、を有する車載用装置において、
前記装置基台に、前記支持部材が固定される支持固定部と、前記支持固定部以外の領域である基台本体部と、前記支持固定部と前記基台本体部との間の優先破断部とが形成され、
前記支持固定部とこれに取り付けられた前記支持部材とで破断固定部が構成されて、前記優先破断部で破断したときに、前記基台本体部が前記破断固定部から分離可能とされており、
前記破断固定部に掛止部材が設けられ、前記掛止部材には、前記基台本体部が前記破断固定部から分離される際に、前記基台本体部における前記装置本体の内側に向けられる内側部に掛止される掛止部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の車載用装置の好ましい形態は、前記装置基台に、基台壁部が設けられ、前記支持固定部および前記基台本体部が、前記基台壁部の一部である。
【0010】
本発明の車載用装置は、前記掛止部材の前記掛止部は、前記支持固定部を挟む2か所に設けられているものとして構成できる。
【0012】
本発明の車載用装置は、前記掛止部材が弾性を有する金属板で形成され、前記金属板の一部に折返し部が形成されて、折り返された先部が前記掛止部とされ、
前記装置基台には、前記支持固定部と前記基台本体部との間に穴部が形成されており、
前記掛止部材を弾性変形させて前記穴部を通過させることで、前記掛止部が前記基台本体部の前記内側部に掛止可能となることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の車載用装置は、前記支持固定部に、前記支持部材と前記掛止部材とが、同じ固定ねじによって取り付けられているものが好ましい。
【0014】
また本発明の車載用装置は、前記掛止部材が前記基台本体部に取り付けられ、前記掛止部が、前記破断固定部における前記装置本体の外部に向く外側部に掛止可能であるものとして構成することもできる。
【0015】
この場合も、前記掛止部が弾性を有する金属板で形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、装置本体に外部から衝撃が作用したときに、装置本体の一部である装置基台の優先破断部が破断することで、装置本体に当たる人体などに作用する衝撃力を緩和することができる。また、装置基台の優先破断部が破断したときに、装置基台の基台本体部と、支持固定部に支持部材が取付けられている破断固定部のいずれか一方に設けられた掛止部材の掛止部が他方に掛止されるため、装置本体が支持部材から落下するのを防止することができる。
【0017】
本発明は、基台本体部と破断固定部のいずれかに設けられた掛止部材の掛止部によって、装置本体の脱落が防止されるため、掛止部材およびその取付けのための構造の奥行寸法を短くできる。また掛止部材の掛止部を掛止させることで装置本体の脱落が防止されるため、従来のように装置本体の全体の質量を金属部材で支持する必要がなく、比較的小型の掛止部材で装置本体を支えて、装置本体の脱落を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の車載用装置の側面図、
図2図1に示す車載用装置を、車両の前方から見た斜視図、
図3図2に示す車載用装置を、前方カバーを外した状態で示す斜視図、
図4図3に示す車載用装置の装置基台と支持部材とを示す部分分解斜視図、
図5図4に示す支持部材が装置基台に取り付けられた状態をV-V線で切断した部分断面図、
図6図4に示す装置基台をVI-VI線で切断した部分断面図、
図7】装置基台の優先破断部が破断した状態を示す図5に対応する部分断面図、
図8】本発明の第2実施形態の車載用装置を示すものであり、図5に対応する部分断面図、
図9】本発明の第3実施形態の車載用装置を示すものであり、図5に対応する部分断面図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図7に、本発明の第1実施形態の車載用装置1が示されている。車載用装置1は、車載用表示装置であり、Z1方向が、車両の進行方向と逆向きの後方、Z2方向が車両の進行方向に向く前方である。Y1方向は上方でY2方向が下方、前方から見たときにX1方向が左方向でX2方向が右方向である。図2図3に示すように、車載用装置1は、装置本体2と、装置本体2を車両に固定するための支持部材20とを有している。
【0020】
図2図3に示すように、装置本体2は、その一部を構成する装置基台10を有している。装置基台10は、亜鉛または亜鉛合金などの軽金属材料を用いてダイキャスト法で成形されている。装置基台10は後方(Z1方向)に向く側が凹状であり、その内部に電子回路基板と表示セルとが収納されている。表示セルはカラー液晶表示セルやエレクトロルミネッセンス表示セルなどである。表示セルの表示画面は後方(Z1方向)に向けられており、表示セルの後方(Z1方向)の表面が透光性の表示カバーパネル8で覆われている。装置基台10の前方(Z2方向)は前方カバー4で覆われている。前方カバー4は合成樹脂材料で形成され、または軽金属材料で形成されている。
【0021】
装置基台10の一部は、基台壁部11である。基台壁部11は、装置基台10の取付け側である前方(Z2方向)に向く壁部であり、平坦な壁表面と曲面の壁表面の少なくとも一方を有している。図2図3に示すように、前方カバー4には、基台壁部11の一部を前方(Z2方向)へ露出させる開口部5が形成されている。
【0022】
図2図3に示すように、基台壁部11の前方(Z2方向)に向く表面に、一対の支持部材20が取付けられている。一対の支持部材20は左右方向(X1-X2方向)に離れて位置している。支持部材20は、第1支持部材21と第2支持部材22とで構成されている。図4図5に示すように、第1支持部材21は、装置基台10の基台壁部11にねじ止めされている。図5に示すように、第2支持部材22に、左右方向(X1-X2方向)に延びる支持軸23が固定されている。支持軸23はスプライン構造部24によって、第2支持部材22に一体に回動できるように固定されている。第1支持部材21には回動軸受け部21aが形成されており、この回動軸受け部21aが、支持軸23に回動抵抗を有して回動できるように挿通されている。
【0023】
図1図2に示すように、第2支持部材22は、前方カバー4の開口部5に位置し、前方カバー4よりも前方(Z2方向)へ突出している。図1に示すように、第2支持部材22は固定ブラケット29にねじ止めにより固定される。固定ブラケット29は車室内に固定される。例えば、固定ブラケット29は車室内の前方座席の背もたれ部の後面に固定される。または、固定ブラケット29は車室内の天井部に固定される。あるいは、固定ブラケット29は、車室内のダッシュボードやインストルメントパネルの内部構造部に固定される。さらには、車室内のいずれかにケース内に出入りする可動部材が設けられ、前記固定ブラケット29が可動部材の一部であってもよい。
【0024】
図4図5に、図3の左側(X1側)に設けられた支持部材20と、基台壁部11の一部が示されている。基台壁部11には、支持固定部12が形成されている。支持固定部12には、第1支持部材21を取付けるための雌ねじ穴12aが形成されている。基台壁部11は、左右の支持固定部12以外の領域、すなわち支持固定部12を囲む領域が基台本体部13である。
【0025】
図4図5に示すように、基台壁部11では、支持固定部12の上端部と基台本体部13との境界部に上方穴部14が前後に貫通して形成され、支持固定部12の下端部と基台本体部13との境界部に下方穴部15が前後に貫通して形成されている。基台壁部11には、上方穴部14の左右両端から下向きに連続する小凹部14a,14aが形成されており、左右の小凹部14a,14aから下方穴部15にかけて、優先破断部16,16が形成されている。図6に示すように、優先破断部16,16は上下(Y1-Y2方向)に連続する薄肉部であり、この薄肉部は、基台壁部11の後方(Z1方向)の内面に形成された上下に連続する溝である。基台壁部11における前方カバー4の開口部5に対向する部分では、上方穴部14と下方穴部15および左右の優先破断部16,16で囲まれている部分が支持固定部12であり、支持固定部12を囲むそれ以外の領域が基台本体部13である。なお、優先破断部16は、上下に間欠的に形成された薄肉部または溝であってもよいし、肉厚が他の領域と同じであって、前後に貫通する複数の長穴や丸穴が、上下に間隔を空けて並んで形成されているものであってもよい。
【0026】
図4図5に示すように、第1支持部材21に一対の固定穴21bが貫通して形成されており、固定ねじ25が固定穴21bに挿通され、支持固定部12の雌ねじ穴12aに螺着されて、装置基台10が支持部材20に固定されている。支持固定部12とこれに固定された支持部材20とで破断固定部30が構成されている。基台壁部11が優先破断部16で破断すると、装置基台10の基台本体部13が破断固定部30から分離されることになる。
【0027】
図4図5に示すように、破断固定部30に掛止部材35が取付けられている。掛止部材35は弾性(ばね性)を有する金属板を曲げて形成されている。例えば、金属板としてばね性ステンレス鋼板が使用される。掛止部材35は、固定板部36と、その上下両側部から後方(Z1方向)に曲げられた一対の弾性片37とを有している。それぞれの弾性片37の先部には、折返し部38を介して掛止部(掛止片)39が前方(Z2方向)へ向けられて形成されている。図5に示すように、側方(X1-X2方向)から見たときに、折返し部38はU字形状(またはV字形状)に曲げられており、弾性片37と掛止部39は、前方(Z2方向)に向けて鋭角の内角を有して対向している。また、固定板部36には一対の貫通穴36aが形成されている。
【0028】
装置本体2の装置基台10に、掛止部材35と支持部材20を取付ける作業を説明する。
図4図5に示すように、支持部材20では、第2支持部材22に固定された支持軸23が、第1支持部材21の回動軸受け部21aに所定の回動抵抗力を有して回動自在に連結されている。
【0029】
図3に示すように、装置本体2から前方カバー4を取り外した状態で、または前方カバー4を取付けたままの状態で、掛止部材35の折返し部38を、支持固定部12の上に形成された上方穴部14と支持固定部12の下に形成された下方穴部15に押し込むようにして後方(Z1方向)に向けて挿入する。掛止部材35は弾性を有する金属板で形成されているため、上方穴部14と下方穴部15の内部で、掛止部39が弾性片37に接近するように変形しながら後方(Z1方向)へ押し込まれる。図5に示すように、弾性片37が上方穴部14と下方穴部15内を通過すると、掛止部材35の弾性復元力によって、弾性片37と折返し部38および掛止部39が初期の形状に復帰する。その結果、掛止部39の先端部39aが、装置基台10の基台本体部13における装置内方に向く内側部13aに隙間δを空けて対向し、あるいは内側部13aに接触する。
【0030】
装置基台10に掛止部材35が取付けられた後に、掛止部材35の固定板部36の前方に第1支持部材21を重ね、固定ねじ25を第1支持部材21の固定穴21bおよび固定板部36に形成された貫通穴36aに挿通し、支持固定部12に形成された雌ねじ穴12aに螺着する。固定ねじ25を締め付けると、支持固定部12と第1支持部材21との間に掛止部材35が挟まれ、掛止部材35と第1支持部材21とが、支持固定部12に固定される。
【0031】
破断固定部30では、掛止部材35を上方穴部14と下方穴部15に挿入するだけで、掛止部材35が脱落することなく装置基台10に設置される。その後、同じ固定ねじ25で、掛止部材35と第1支持部材21とが支持固定部12に固定される。掛止部材35のみを取付ける作業が不要になるため、部品数と組立工数を削減することができる。
【0032】
装置基台10の前方に支持部材20が取付けられた車載用装置1は、図1に示すように、第2支持部材22を固定ブラケット29にねじ止めすることによって、車室内に設置される。支持部材20では、支持軸23を支点として第1支持部材21が第2支持部材22に回動自在に支持されているため、装置本体2を手で保持して回動させることで、表示画面の向きを変えることができる。
【0033】
車両に大きな衝撃が作用し、例えば人体の一部が車載用装置1の装置本体2に当たり、装置本体2に前方(Z2方向)への衝撃力が作用すると、装置基台10の基台壁部11において、図6に示す支持固定部12の両側の優先破断部16に応力が集中してこの部分で基台壁部11が優先的に破断する。装置基台10が優先破断部16で破断されることで、装置本体2に当たった人体などへの衝撃を緩和することができる。優先破断部16の破断後は、装置基台10の基台本体部13が、破断固定部30から分離し、装置本体2が破断固定部30から脱落しようとする。このとき、図7に示すように、掛止部材35に設けられた掛止部39,39の先端部39a,39aが、装置基台10の基台本体部13の内側部13aに掛止され、優先破断部16で破断して残った装置本体2が、破断固定部30から脱落するのが防止される。
【0034】
車載用装置1では、支持固定部12と基台本体部13が、装置本体2の前方に向く基台壁部11に設けられているので、装置基台10が優先破断部16で破断したときに、装置基台10の破断部が装置本体2よりも後方(Z1方向)、すなわち搭乗者が居る側に露出することがなく、搭乗者の安全を確保できる。
【0035】
この車載用装置1は、支持固定部12と優先破断部16が、装置基台10の基台壁部11に設けられ、支持固定部12に掛止部材35が面で当接して固定されている。そのため、図5に示すように、掛止部材35が取付けられたことによる前後方向の寸法の増加分は、掛止部材35の固定板部36の板厚寸法のみとなり、装置の奥行寸法を短くできる。また、図5に示すように、優先破断部16が破断していないときに、掛止部39の先端部39aを装置基台10の基台本体部13の内側部13aに短い距離δで対向させ、あるいは当接させておくことで、優先破断部16が破断したときに、装置本体2が破断固定部30から後方(Z1方向)へ大きく離れることがない。よって、装置本体2が下へ長く垂れ下がることがなく、優先破断部16で破断した破断面が、装置本体2よりも後方に露出する可能性がさらに低くなる。前記距離δは、例えば、掛止部39の先端部39aが当たる部分での基台本体部13の厚さ寸法T以下にしておくことが好ましい。
【0036】
図5図7に示すように、掛止部材35の一対の弾性片37,37は、支持固定部12を上下に挟む位置で装置基台10の内方に延び出ているので、優先破断部16が破断して支持固定部12と基台本体部13とが分離されたときに、基台本体部13が上下2か所の弾性片で支持されることになる。そのため、掛止部材35の剛性を過大にしなくても、上下2か所の掛止部39によって、装置本体2が破断固定部30から離脱しないように十分に支持することができる。また、掛止部材35が弾性を有する金属板で形成されているため、図7に示すように、優先破断部16が破断し、装置本体2が自重で落下しようとしたときに、掛止部材35の折返し部38と掛止部39が弾性変形することで、装置本体2の落下衝撃を緩衝することができる。
【0037】
また、装置基台10では、支持固定部12と基台本体部13とが、図4に示すように、上下方向(Y1-Y2方向)において上方穴部14と下方穴部15とで区画され、図6に示すように、左右方向(X1-X2方向)では、優先破断部16,16で区画されている。そのため、本体部3に外部から衝撃が作用したときに、支持固定部12がほぼ矩形状の形態を留めたまま、基台本体部13と支持固定部12とが分離できるようになる。また、上方穴部14の両端部に小凹部14a,14aが形成されており、優先破断部16,16が小凹部14a,14aから上下方向に連続して形成され、または優先破断部16,16が小凹部14a,14aから上下方向に並んで形成されているため、小凹部14a,14aをきっかけとして優先破断部16,16が破断しやすくなる。
【0038】
図8に本発明の第2実施形態の車載用装置101の一部が示され、図9に第3実施形態の車載用装置201の一部が示されている。これら実施形態では、図1ないし図7に示した第1実施形態の車載用装置1と同じ機能を有する部材に同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0039】
図8に示す第2実施形態の車載用装置101は、装置基台10の基台壁部11の一部である支持固定部12に固定穴12bが形成され、第1支持部材21に雌ねじ穴21cが形成されている。掛止部材135は金属板で形成され、好ましくは弾性(ばね性)を有するステンレス鋼板などの金属板で形成されている。掛止部材135は固定板部136に貫通穴136aが形成されている。掛止部材135は、装置本体2の内部から支持固定部12の内面に設置され、固定ねじ25を固定板部136の貫通穴136aに挿通し、支持固定部12の固定穴12bに挿通して、第1支持部材21の雌ねじ穴21cに螺着することで、支持固定部12に第1支持部材21が固定され、さらに掛止部材135が取付けられた破断固定部30が構成される。
【0040】
車載用装置101は、支持固定部12に、第1支持部材21と掛止部材135とが同じ固定ねじ25で固定されるため、組立作業が容易である。掛止部材135の上下両端部には、前方(Z2方向)に向けて折り曲げられた掛止部(掛止片)139が形成され、掛止部139の先端部139aが、基台本体部13の内側部13aに対向し、または接触している。図8に示す車載用装置101も、装置本体2の衝撃力が作用すると、装置基台10が優先破断部16で破断し、その後、掛止部139の先端部139aが基台本体部13の内側部13aに当たることで、破断固定部30から装置本体2が落下するのを防止できる。
【0041】
図9に示す第3実施形態の車載用装置201は、第1実施形態の車載用装置1と同様に、固定ねじ25によって、第1支持部材21が、装置基台10の支持固定部12に固定されて、破断固定部30が構成されている。第1支持部材21には上下に間隔を空けて貫通穴21d,21dが形成されている。掛止部材235は金属板で形成され、好ましくは弾性(ばね性)を有する金属板で形成されている。掛止部材235は、支持固定部12を挟んで上下に位置しているが、上下の掛止部材235は別体に形成されていてもよいし、一体に連結されて形成されていてもよい。掛止部材235には、固定板部236と、固定板部236から前方(Z2方向)に向けて折り曲げられた弾性片237が一体に形成されており、弾性片237の先部に、折返し部238を介して掛止部(掛止片)239が形成されている。
【0042】
掛止部材235は、弾性片237と掛止部239とが接近するように弾性変形させ、折返し部238を装置基台10の上方穴部14と下方穴部15に前方(Z2方向)に向けて挿入し、さらに第1支持部材21の貫通穴21dに挿通する。掛止部239が貫通穴21dから抜け出ると、折返し部238が弾性復帰し、掛止部239の先端部239aが、破断固定部30の外側部である第1支持部材21の外側部21eに対向しまたは接触する。この装着状態で、固定板部236が固定ねじ240によって、基台本体部13の内側部13aに固定される。なお、掛止部239の先端部239aが、支持固定部12の前方に向く外面(外側部)に対向または接触してもよい。
【0043】
図9に示す車載用装置201は、装置基台10の優先破断部16が破断し、装置本体2が破断固定部30から分離したときに、基台本体部13に固定されている掛止部材235の掛止部239が、破断固定部30の外側部である第1支持部材21の外側部21eに掛止されることで、装置本体2の落下を防止することができ、装置基台10の破断部が装置本体2よりも後方(Z1方向)に露出するのを防止することができる。
【0044】
前記各実施形態では、掛止部材35,135,235の掛止部39,139,239が、支持固定部12を挟んで上下方向(Y1-Y2方向)に配置されているが、掛止部材は、支持固定部12を挟んで左右(X1-X2方向)に配置されていてもよい。あるいは掛止部材が1つの掛止部を有するものであってもよい。
【0045】
また、前記各実施形態では、車載用装置1,101,201が車載用表示装置であるが、本発明の車載用表示装置は、他の電子機器や通信装置など車室内に設置されるものでればどのような用途のものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 車載用装置
2 装置本体
10 装置基台
11 基台壁部
12 支持固定部
13 基台本体部
13a 内側部
14 上方穴部
15 下方穴部
16 優先破断部
20 支持部材
21 第1支持部材
22 第2支持部材
25 固定ねじ
30 破断固定部
35 掛止部材
37 弾性片
38 折返し部
39 掛止部
101,201 車載用装置
135 掛止部材
235 掛止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9