(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】バッテリ電源装置のバッテリ固定具
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20220411BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220411BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220411BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20220411BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20220411BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204
H01M50/209
H01M50/289 101
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2019130380
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 愛
(72)【発明者】
【氏名】李 聖規
【審査官】菊地 リチャード平八郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054353(JP,A)
【文献】特開2019-083145(JP,A)
【文献】特開2012-178271(JP,A)
【文献】特開2016-001602(JP,A)
【文献】特開平07-142039(JP,A)
【文献】特開2014-216189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が直方体で、その一面の長手方向
一方の端部に正負二つの端子を有するバッテリを複数個、前記端子がある側の端部を同じ側にして並列させて4組のバッテリ群を形成し、
第1のバッテリ群を、前記端子のある面を上にして配置し、第2のバッテリ群を、前記第1のバッテリ群の前記端子がある側の端部とは反対側の上面端部に、前記端子がある側の端部を下にし、該端子がある面を前記第1のバッテリ群の端子側に向けて載置し、第3のバッテリ群を、前記端子がある面を、該端子がある側の端部を上にして、第1のバッテリ群の前記端子がある側の端面に当接し、第4のバッテリ群を、前記端子がある面を下にし、該端子がある側が前記第2のバッテリ群側になるようにして、前記第2のバッテリ群の前記端子がある面と、前記第3のバッテリ群の前記端子がある側の端面との間に配置して形成したバッッテリアッセンブリーにおける、前記各バッテリ群のバッテリ固定具であって、
前記各バッテリ群の前記端子がある側とは反対側の端部を収納して、前記バッテリ群を構成する前記各バッテリを一体的に固定できるように、1面を開放面として箱型にしたことを特徴とするバッテリ電源装置のバッテリ固定具。
【請求項2】
前記開放面に対向する面から、当該バッテリ固定具に当接する他のバッテリ群の方向に張り出すように、前記他のバッテリ群の一部と係合する係止片を設けたことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ電源装置のバッテリ固定具。
【請求項3】
前記開放面に対向する面
にある背面板の下端部に、前記各バッテリの一部が外部に露出するように開口部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のバッテリ電源装置のバッテリ固定具。
【請求項4】
前記バッテリ群の前記端子が位置する面側の内面に、前記開放面から対向面に向かって、前記バッテリが通過可能な間隔で平行に仕切凸条を設け、前記内面の両端に、前記仕切凸条との間に前記バッテリが通過可能な間隔で前記仕切凸条と平行に段差部を設けたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のバッテリ電源装置のバッテリ固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源のない作業場、特に、換気が不十分でエンジン発電機が使用できない屋内作業場等で使用されるバッテリ電源装置のバッテリ固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
換気が不十分な屋内作業場等でエンジン発電機を使用すると、エンジンの排気ガスが周囲に充満し、作業員が健康を害してしまう。そのような作業場で電源が必要になったときは、エンジン発電機の代わりに、複数個のバッテリとインバータを筐体内に収納したバッテリ電源装置が用いられる。そして、そのようなバッテリ電源装置は、作業現場で、一人で持ち運びができる等、利便性を向上させるため、小型・軽量化が求められている。
【0003】
さらに、小型・軽量化を図りながら、製造上、筐体内に収納した複数個のバッテリ間を電気的に接続する配線作業が容易に行えるようにする必要もある。そこで、我々は先に、特願2019-79171として、「バッテリ電源装置のバッテリユニット」に関する技術を提案した。
【0004】
そのバッテリユニットは、
図14に示すようにして組み立てる。まず、
図14(A)に示すように、外形が直方体で、その一面の長手方向端部に正負二つの端子を有するバッテリ1を複数個(例えば3個)、端子1a,1bを有する上面をそろえて、端子1a,1bがある側の端部を同じ側にして並列配置してバッテリ群BG-1を形成する。そして、各バッテリ1の端子1a,1bを直列接続して、一方側に正負の接続線4a,4bを引き出す。
【0005】
その第1のバッテリ群BG-1を、
図14(B)に示すように、端子1a,1bのある面を上にして配置し、端子1a,1bがある側の端部とは反対側の上面に、上記と同様に、各バッテリ1の端子1a,1bを直列接続して、一方側に正負の接続線4a,4bを引き出した別のバッテリ群BG-2を、端子1a,1bがある側の端部を下にし、端子1a,1bがある面を第1のバッテリ群BG-1の端子1a,1b側に向けて載置する。なお、第1のバッテリ群BG-1の上に第2のバッテリ群BG-2を載置する際に、第2のバッテリ群BG-2が第1のバッテリ群BG-1の端子1a,1bの上を覆わずに、端子1a,1bが露出するように、バッテリ1の長さと高さの関係を決定する必要がある。
【0006】
次に、
図14(C)に示すように、最初に配置した第1のバッテリ群BG-1の端子1a,1bがある側の端面に、前記と同様に、各バッテリ1の端子1a,1bを直列接続して、一方側に正負の接続線4a,4bを引き出したさらに別のバッテリ群BG-3の、端子1a,1bがある面を、端子1a,1bがある側の端部を上にして当接する。なお、第3のバッテリ群BG-3の各バッテリ1,1,1の背面に凹部1cが設けられているが、この凹部1cは、バッテリ1の製造工程上の必要性からすべてのバッテリ1に設けられている。
【0007】
そして、
図14(D)に示すように、第2のバッテリ群BG-2の端子1a,1bがある面と、第3のバッテリ群BG-3の端子1a,1bがある側の端面との間に、前記と同様に、各バッテリ1の端子1a,1bを直列接続して、一方側に正負の接続線4a,4bを引き出したもう1組のバッテリ群BG-4を、端子1a,1bがある面を下にし、端子1a,1bがある側が第2のバッテリ群BG-2側になるようにして配置する。
【0008】
このようにして、第1~第4のバッテリ群が組み合わさって一つのバッテリアッセンブ
リーBAが形成され、各バッテリ群で囲まれた中央部には、それぞれのバッテリ群の端子が露出し、それらを接続する接続線4a,4bを内包した形で、空間部3が形成される。各接続線4a,4bは個別に絶縁され、さらに、正負の別に束ねられて、2本の配線束4が空間部3の一方の開口部から引き出される。なお、第1~第4のバッテリ群の組み合わせ順は、必ずしも上記のような順番でなくてもよく、最終的に
図14(D)に示すような状態になればよい。
【0009】
最後に、バッテリアッセンブリーBAの上側から矩形枠型の固定帯Fを嵌め込み、上段のバッテリ1,1,1・・・をまとめて固定する。その際、後述するバッテリ1の抜き勾配を利用して固定帯Fを嵌め込む。そのようにしてバッテリアッセンブリーBAの上段に位置する第2のバッテリ群BG-2と、第4のバッテリ群BG-4を固定すれば、第2のバッテリ群BG-2、第4のバッテリ群BG-4は一体化され、落下を防止できる。
【0010】
なお、固定帯Fは、矩形枠状に形成されており、細長い金属板を折り曲げて矩形枠状に形成し、端部同士を溶接により繋ぐ。その際、金属板としては、例えば、厚さ1mm、幅10mmの鉄板を用い、第2のバッテリ群BG-2と、第4のバッテリ群BG-4の中間部分で止まる内周寸法とする。
【0011】
さらに、空間部3から引き出した配線束4は、端部に端子を圧着し、その端子をコネクタ5の一方の接続子に挿入し、接続する。そして、コネクタ5の他方の接続子には出力ケーブル6を接続し、コネクタ5の両接続子を結合させることにより、バッテリアッセンブリーBAからの配線と、出力ケーブル6とが接続される。その出力ケーブル6を介して、バッテリユニットの外部に設けられているインバータユニットに接続される。
【0012】
このバッテリユニットでは、バッテリアッセンブリーBAの上側から矩形枠型の固定帯Fを嵌め込み、上段のバッテリ1,1,1・・・をまとめて固定するようにしたが、この固定帯Fでは、上段のバッテリ1,1,1・・・は固定できるが、下段のバッテリ1,1,1・・・とは固定されていない状態なので、上段のバッテリ1,1,1・・・は不安定で、各バッテリ1の端子1a,1bを直列接続して、接続線4a,4bを引き出した後の配線束4への処理や、コネクタ5への処理作業中に、上段のバッテリ1,1,1・・・に触れてしまい、落下させてしまう恐れがある。
【0013】
一方、複数個のバッテリを並列配置して形成したバッテリ群の固定具として、特許文献1に示されるような技術が提案されている。その固定具のホルダーは、バッテリ群の上端部と勘合する第1ケースと、バッテリ群の下端部と勘合する第2ケースとよりなり、第1ケースと第2ケースは、係合部材により互いに結合させて一体化できるようになっている。また、第1ケースと第2ケースが、隣接するバッテリ間に介在して、バッテリ間に放熱性を良くするための空間を保持させるようにしている。
【0014】
このような固定具を、上記バッテリ電源装置のバッテリユニットの第1~第4のバッテリ群BG-1~BG-4における各バッテリ1,1、・・・の固定に用いれば、上段のバッテリ1,1,1・・・だけでなく、下段のバッテリ1,1,1・・・も強固に固定できて、接続線4a,4bを引き出す際の作業性も向上する。また、各バッテリ1,1,1・・・の放熱性も維持できて、温度上昇も防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記公報に示される固定具は、ホルダーが第1ケース,第2ケースと、二つの部品で構成され、構造が複雑で、重量が大きくなり、また、バッテリ群の組み立てに手間がかかるという問題点があった。
【0017】
本発明は、そのような問題点に鑑み、バッテリ固定具を単一の部品で構成し、構造も簡単で軽量化でき、バッテリ群の組み立てに手間がかからないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、外形が直方体で、その一面の長手方向一方の端部に正負二つの端子を有するバッテリを複数個、前記端子がある側の端部を同じ側にして並列させて4組のバッテリ群を形成し、第1のバッテリ群を、前記端子のある面を上にして配置し、第2のバッテリ群を、前記第1のバッテリ群の前記端子がある側の端部とは反対側の上面端部に、前記端子がある側の端部を下にし、該端子がある面を前記第1のバッテリ群の端子側に向けて載置し、第3のバッテリ群を、前記端子がある面を、該端子がある側の端部を上にして、第1のバッテリ群の前記端子がある側の端面に当接し、第4のバッテリ群を、前記端子がある面を下にし、該端子がある側が前記第2のバッテリ群側になるようにして、前記第2のバッテリ群の前記端子がある面と、前記第3のバッテリ群の前記端子がある側の端面との間に配置して形成したバッッテリアッセンブリーにおける、前記各バッテリ群のバッテリ固定具であって、前記各バッテリ群の前記端子がある側とは反対側の端部を収納して、前記バッテリ群を構成する前記各バッテリを一体的に固定できるように、1面を開放面として箱型にしたことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記開放面に対向する面から、当該バッテリ固定具に当接する他のバッテリ群の方向に張り出すように、前記他のバッテリ群の一部と係合する係止片を設けたことを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記開放面に対向する面にある背面板の下端部に、前記各バッテリの一部が外部に露出するように開口部を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1,2又は3に係る発明において、前記バッテリ群の前記端子が位置する面側の内面に、前記開放面から対向面に向かって、前記バッテリが通過可能な間隔で平行に仕切凸条を設け、前記内面の両端に、前記仕切凸条との間に前記バッテリが通過可能な間隔で前記仕切凸条と平行に段差部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る発明においては、各バッテリ群の端子がある側とは反対側の端部を収納して、バッテリ群を構成する前記各バッテリを一体的に固定できるように、1面を開放面として箱型にしたので、単一の部品よりなり、構造も簡単で軽量化でき、バッテリ群の組み立てに手間がかからない。
【0023】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係るバッテリ電源装置のバッテリ固定具において、前記開放面に対向する面から、当該バッテリ固定具に当接する他のバッテリ群の方向に張り出すように、前記他のバッテリ群の一部と係合する係止片を設けたので、係止片を係合させることにより、隣接するバッテリ群同士が結合して一体化され、安定する。
【0024】
また、請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に係るバッテリ電源装置のバッテリ固定具において、前記開放面に対向する面にある背面板の下端部に、前記各バッテリの一部が外部に露出するように開口部を設けたので、各バッテリの一部が外部に露出され
て冷却効果が得られ、バッテリの発熱が抑制されるとともに、固定具の軽量化が図れる。
【0025】
また、請求項4に係る発明においては、請求項1,2又は3に係るバッテリ電源装置のバッテリ固定具において、前記バッテリ群の前記端子が位置する面側の内面に、前記開放面から対向面に向かって、前記バッテリが通過可能な間隔で平行に仕切凸条を設け、前記内面の両端に、前記仕切凸条との間に前記バッテリが通過可能な間隔で前記仕切凸条と平行に段差部を設けたので、各バッテリがバッテリ固定具の中でガタツクことなく、安定的に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係るバッッテリユニットの内部を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るバッッテリユニットの外観図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るバッテリ固定具の斜視図である。
【
図6】
図4のバッテリ固定具にバッテリを装着する途中の状態を示す図である。
【
図7】
図4のバッテリ固定具にバッテリを装着した状態を示す図である。
【
図8】2組のバッテリ群を結合させた状態を示す図である。
【
図9】係止部がバッテリの凹部に係合した状態を示す図である。
【
図10】4組のバッテリ群を結合させたバッテリアッセンブリーを示す図である。
【
図12】第2実施例における係止部を示す図である。
【
図13】第3実施例のバッテリ固定具を示す図である。
【
図14】先願発明におけるバッテリアッセンブリーの組み立て方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の一実施例に係るバッテリユニットの内部を示す図であり、
図2は、そのバッテリユニットの外観図である。
図1,
図2において、符号1はバッテリ、2はバッテリ固定具、3は空間部、4は配線束、5はコネクタ、6は出力ケーブル、7はベース、8はルーフパネル、9はルーバ、10は表示板、11は充電用コネクタ、12は取手である。
【0029】
複数個のバッテリ1で構成されるバッテリアッセンブリーBAは、ベース7とルーフパネル8よりなる筐体の内部に収納されており、ルーフパネル8には、内部に熱がこもらないように換気するためのルーバ9が設けられ、また、バッテリユニットを持ち運ぶための開閉式の取手12が設けられている。さらに、操作面部には、電源スイッチ10a,出力表示灯10b,充電表示灯10c,異常表示灯10d,バッテリ残量表示LED10eを備えた表示板10と、バッテリアッセンブリーBAに充電する際に、当該バッッテリユニットの外部にある充電器ユニットからの充電用ケーブルを接続するための充電用コネクタ11が設けられている。なお、充電用コネクタ11には、開閉式の透明カバーが設けられている。
【0030】
このバッッテリユニットにおけるバッテリアッセンブリーBAは、複数個のバッテリ1の組み合わせ方を工夫して、コンパクトなバッテリアッセンブリーBAを形成し、製造時の配線作業も容易にした。
【0031】
バッテリ1は、外形が直方体のリチウムイオンバッテリで、その外箱は樹脂製であり、
図3(A)に示すように、上面の封口板1dの長手方向端部に正負二つの端子1a,1bを有している。そして、製造時の型抜きの必要性から、バッテリ1の側面は、図中、実線で示すように、点線で示す垂直面に比べて若干内側に傾斜していて、端子1a,1bのある上面から底面に向かって、幅が狭まるような抜き勾配を有している。また、
図3(B)に示すように、バッテリ1の背面には、バッテリ1の製造工程上の必要性から、端子1a,1bと対向する位置に凹部1cが設けられている。
【0032】
このバッテリ1は、複数個、この実施例では3個、端子1a,1bを有する面が同一方向に向くようにし、かつ、端子1a,1bがある側の端部を同じ側にして並列させバッテリ群を構成するが、その際、
図4に示すようなバッテリ固定具2により、各バッテリ1,1,1を一体的に固定する。
【0033】
バッテリ固定具2は、
図4に斜視図、
図5に投影図で示すように、バッテリ群を構成する各バッテリ1,1,1を一体化できるように、1面を開放面2aとした箱型をしている。その材料としては、例えば、耐熱性で、機械的強度が大きいFR-PET C9030(ガラス繊維強化PET樹脂)を用いることができる。また、そのように、バッテリ固定具2の材料として樹脂を用いれば、金属板で成形する場合に比べて軽量化ができ、成型も用意である。そして、端子が位置する面側の内面に、開放面2aから背面板2eがある対向面に向かって、バッテリ1がその長手方向にガタツキなく通過可能な間隔で平行に仕切凸条2b,2bを設け、その内面の両端部には、仕切凸条2bとの間にバッテリ1が長手方向にガタツキなく通過可能な間隔で、仕切凸条2bと平行に段差部2c,2cを設けている。
【0034】
また、開放面2aに対向する面にある背面板2eの下端隅部に、バッテリ固定具2にバッテリ1を収納したとき、バッテリ1の一部が外部に露出するように開口部2dを設けている。この開口部2dは、バッテリ1の発熱を抑えることと、バッテリ固定具2の軽量化に寄与する。さらに、開口部2dが設けられている側とは反対側の背面板2eの縁部を伸ばして、そこに、当該バッテリ群と組み合わせる別のバッテリ群のバッテリ1の凹部1cと係合する係止片2fを設けている。
【0035】
図6に示すように、このバッテリ固定具2に、端子1a,1bがある側とは反対側の端部を押し込むようにして、バッテリ1を挿入する。その際、バッテリ1は、二つの仕切凸条2b,2b又は一つの仕切凸条2bと段差部2cとにより、バッテリ1の上面に突出している封口板1dの両側面が保持され、バッテリ固定具2の中でガタツクことなく、安定的に保持される。なお、
図6に示すものは、バッテリ1の外箱と封口板1dの側面との間に段差があり、その段差部に仕切凸条2bが収まるようにしたが、バッテリ1の外箱と封口板1dの側面との間に段差がない場合には、間に仕切凸条2bが介在することにより、隣接するバッテリ1,1の外箱間に隙間ができるが、その分、空気の流動が良くなってバッテリ1の冷却効果が向上する。
【0036】
また、バッテリ1の、端子1a,1bがある側とは反対側の底部は、バッテリ固定具2の開口部2dから露出する。その際、バッテリ1は、抜き勾配が底面に向かって狭くなっているので、隣接するバッテリ1,1間、及び、バッテリ1と開口部2dの縁部との間に隙間ができ、そこから空気が出入りできてより効率的に冷却効果が得られるため、バッテリ1の発熱を抑えることができる。
【0037】
バッテリ固定具2に3個のバッテリ1を装着した状態を
図7に示す。このようにすれば、バッテリ群を構成する各バッテリ1,1,1がバッテリ固定具2で固定されて安定する
ので、それぞれの端子1a,1bを接続線4a,4bで直列接続する作業がしやすくなる。
【0038】
各バッテリ群BG-1~BG-4は、バッテリ固定具2で固定した状態で、例えば
図8に示すようにして順次連結していく。なお、各バッテリ群BG-1~BG-4の連結手順は、
図14に示したような一定の順番でなくてもよい。そして、連結する際には、
図9に示すように、一方のバッテリ群の各バッテリ1背面の凹部1cに、他方のバッテリ群のバッテリ固定具2の係止片2fを係合させることにより、各バッテリ群を連結していく。
【0039】
そのようにして、四つのバッテリ群BG-1~BG-4を組み合わせると、
図10に示すようなバッテリアッセンブリーが一体的に形成される。
【実施例2】
【0040】
図11は、第2実施例を示す図である。この実施例では、隣接するバッテリ群の一部と係合する係止片2gとして、その長さを隣接するバッテリ群のバッテリ固定具2に達するまで伸ばして、
図12に示すように、先端に係合突起2hを設けている。そして、隣接するバッテリ群のバッテリ固定具2の対向位置には、係合突起2hが係合可能な係合孔2iを設けている。
【0041】
このようにすれば、
図12に示すように、一方のバッテリ群に他方のバッテリ群を押し付けるように近付けていくと、係合突起2hが係合孔2iの中に入って係合し、バッテリ群同士が結合して一体化される。そして、4組のバッテリ群を結合させて組み合わせると
図11に示すようなバッテリアッセンブリーが形成される。なお、この実施例では、隣接するバッテリ群のバッテリ固定具2の対向位置に、係合突起2hが係合可能な係合孔2iを設けたが、係合孔2iの代わりに、係合突起2hが係合可能な突起を設けてもよい。
【実施例3】
【0042】
上記実施例では、バッテリ固定具2として
図4,
図5に示すような、端子が位置する面側の内面に、仕切凸条2b,2bと段差部2c,2cを設け、背面板2eの下端隅部に、開口部2dを設け、さらに、背面板2eの縁部に係止片2fを設けたものを用いたが、必ずしもそれに限定されず、例えば、
図13に示すような、1面を開放面20aとした単なる箱型のバッテリ固定具20のものでも適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 バッテリ
1a,1b 端子
1c 凹部
1d 封口板
2,20 バッテリ固定具
2a,20a 開放面
2b 仕切凸条
2c 段差部
2d 開口部
2e 背面板
2f,2g 係止片
2h 係合突起
2i 係合孔
3 空間部
4 配線束
5 コネクタ
6 出力ケーブル
7 ベース
8 ルーフパネル
9 ルーバ
10 表示板
11 充電用コネクタ
12 取手