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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20220411BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220411BHJP
   H03G 3/02 20060101ALN20220411BHJP
【FI】
G10K15/04 302L
H04R3/00 310
H03G3/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057869
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157075
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡郎
(72)【発明者】
【氏名】三好 恵太郎
(72)【発明者】
【氏名】小島 泰代
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-194872(JP,A)
【文献】特開平08-339188(JP,A)
【文献】特開2006-120393(JP,A)
【文献】特開2001-291458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
H04R 3/00
H03G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の操作に応じて、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択可能な操作装置において、
複数段階のレベル毎に対応した複数個の個別出力部を含み、各個別出力部はそれぞれ非可視光を出射可能であり、各個別出力部を使用者の指で区別可能になぞれる所定配置に並べた操作部と、
前記出力対象のボリュームを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記各個別出力部から出射された非可視光の指による反射光の入射に基づき、かざした指の位置にある各個別出力部をそれぞれ検出可能であり、該検出された個別出力部が対応するレベルのボリュームにより前記出力対象を出力可能であり、
前記操作部は、
前記各個別出力部毎に対応した非可視光発光素子のほか、前記各個別出力部毎に対応した可視光発光素子を備え、該可視光発光素子から出射された可視光により、前記各個別出力部毎に視認可能に発光する表示部を兼用し、
前記各個別出力部毎に対応した前記非可視光発光素子から出射された非可視光と、前記各個別出力部毎に対応した前記可視光発光素子から出射された可視光とを、それぞれ前記各個別出力部毎に区画された前面より外部へ照射する複数個の出射用導光部材と
一つの入射用導光部材および一つの受光素子を有して、前記各個別出力部毎の指からの反射光をまとめて受ける統括入力部と、を備え、
前記入射用導光部材は、前記各個別出力部毎に対応して指からの反射光を入射させる複数個の受け部と、各受け部に連続して入射した反射光を集束させて前記受光素子に導く集束部と、を有してなることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記制御部により、前記各非可視光発光素子は、所定時間内で順次繰り返し発光され、
前記制御部は、前記各個別出力部毎の指からの反射光を前記受光素子が受けたタイミングに基づき、指をかざした位置にある各個別出力部を識別可能であることを特徴とする請求項に記載の操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定時間内における前記受光素子の受光レベルと、予め設定した閾値とに基づき、指をかざした位置にある各個別出力部を識別可能であることを特徴とする請求項に記載の操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記反射光の入射に基づき前記各個別出力部が検出された時、該検出された個別出力部が対応するレベル数分の個別出力部を、前記可視光により発光させる制御を実行可能であることを特徴とする請求項1、2または3項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の操作に応じて、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択可能な操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の操作装置は、様々な分野で活用されている。例えば、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする擬音発生装置の分野においては、発生させる擬音の音量を調整するために、つまみ状の音量調節器によって調整するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、受信部と制御部と音声発生部とを備えた音響発生装置であって、温水洗浄便座装置のリモコンから、温水洗浄便座装置に送信される信号を受信部において傍受し、傍受した信号に基づき音声発生部からの音声を発生可能としたものも知られている(特許文献2参照)。この音響発生装置にあっては、音量を増加させるための「+」ボタンと、音量を減少させるための「-」ボタンと、を押すステップアップ方式を採用しており、両ボタンを押すことで音量を適切に調整するものであった。
【0004】
さらに、スイッチ操作部を操作することにより、音量を制御する音量制御装置も知られている(特許文献3参照。)。このスイッチ操作部は、それぞれ固有の減衰量が定義された複数のスイッチを備え、操作されたスイッチを特定するための複雑なソフトウェアやレジスタ等が必要となる大掛かりなものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭60-143497公報
【文献】特開2006-138112号公報
【文献】特開平1-221907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の操作装置を備えた擬音発生装置にあっては、使用者が発する音を聞こえにくくするために発生させる擬音の音量を調整するには、つまみ状の音量調節器をつまんで回転操作させたり、ステップアップ・ダウン用のボタンを押す操作を行ったりする必要があり、何れも接触による操作を前提とするものであるため、衛生面等に問題があった。
【0007】
また、他の電子機器にあっても、音量を調整するためには、構造が複雑になってコスト高になったり、音量操作用の操作子を設けることにより、電子機器全体の美観を損なうことになったりするものが多かった。
【0008】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、音など出力対象のボリュームを複数段階のレベルに容易に調整することが可能となり、簡易な構成でコスト低減も可能となり、衛生面や美観に優れた操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
使用者の操作に応じて、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択可能な操作装置において、
複数段階のレベル毎に対応した複数個の個別出力部を含み、各個別出力部はそれぞれ非可視光を出射可能であり、各個別出力部を使用者の指で区別可能になぞれる所定配置に並べた操作部と、
前記出力対象のボリュームを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記各個別出力部から出射された非可視光の指による反射光の入射に基づき、かざした指の位置にある各個別出力部をそれぞれ検出可能であり、該検出された個別出力部が対応するレベルのボリュームにより前記出力対象を出力可能であり、
前記操作部は、
前記各個別出力部毎に対応した非可視光発光素子のほか、前記各個別出力部毎に対応した可視光発光素子を備え、該可視光発光素子から出射された可視光により、前記各個別出力部毎に視認可能に発光する表示部を兼用し、
前記各個別出力部毎に対応した前記非可視光発光素子から出射された非可視光と、前記各個別出力部毎に対応した前記可視光発光素子から出射された可視光とを、それぞれ前記各個別出力部毎に区画された前面より外部へ照射する複数個の出射用導光部材と
一つの入射用導光部材および一つの受光素子を有して、前記各個別出力部毎の指からの反射光をまとめて受ける統括入力部と、を備え、
前記入射用導光部材は、前記各個別出力部毎に対応して指からの反射光を入射させる複数個の受け部と、各受け部に連続して入射した反射光を集束させて前記受光素子に導く集束部と、を有してなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る操作装置によれば、音など出力対象のボリュームを複数段階のレベルに容易に調整することが可能となり、簡易な構成でコスト低減も可能となり、衛生面や美観にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る音発生装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作装置の個別出力部と統括入力部の一部を拡大して示す正面図である。
図3図2におけるA-A線矢視図である。
図4図2におけるB-B線矢視図である。
図5図2におけるC-C線矢視図である。
図6】本発明の実施形態に係る操作装置を含む音発生装置全体の機能ブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る音発生装置の動作の概要を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る操作装置の動作の概要を示すタイミングチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る操作装置の操作例を模式的に示す説明図である。
図10】本発明の実施形態の変形例に係る操作装置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1図9は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係る操作装置100は、使用者の操作に応じて、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択可能なものである。以下、操作装置100を、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音発生装置10に適用した例について説明する。よって、本実施形態における出力対象は「音」となる。
【0013】
<音発生装置10の概要>
先ず、音発生装置10の概要について説明する。
図1に示すように、音発生装置10は、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音を出力可能な装置である。ここで使用者が発する音とは、例えば排便・排尿時の排泄音や衣服が擦れる作業音等が該当する。また、音発生装置10が出力する音は、主に合成された擬音であり、以下、擬音を例に説明する。
【0014】
図1に示すように、音発生装置10は、平たい矩形箱状のケース11を備え、ケース11の内部に関連部品が納められている。ケース11は、例えば、トイレ個室の壁等に設置するベース板(図示せず)に、ケース本体12を被せるように取り付けてなる。ケース11の内部には、擬音の音量(ボリューム)を調整する操作装置100のほか、使用者を検知するセンサ20、使用者が操作する停止スイッチ31、擬音を出力するスピーカ40、装置全体の動作を制御する制御基板50、それに電源である電池等が収納されている。
【0015】
ケース本体12の正面壁は、操作パネルをなしている。この操作パネル上に、後述する操作装置100のほか、センサ20と、停止スイッチ31とが、例えば、図1に示したレイアウトで配置されている。また、操作パネルにおいて、スピーカ40が内側に位置する箇所には、通音用のスリット41が開設されている。
【0016】
センサ20は、トイレ個室に使用者が入ったことを検知できるものであれば足り、例えば、人体の接近による赤外線の変化を感知する赤外線センサ等が適している。
停止スイッチ31は、使用者の操作により、擬音の出力を意図的に停止させるものである。ここで停止スイッチ31に対する使用者の「操作」は、例えば、機械的な押しボタン操作、接触によるタッチ操作のほか、非接触による操作を含めても良い。
【0017】
スピーカ40は、一般的な小型のものを用いれば良い。スピーカ40は、その前面側のコーン紙がケース本体12の正面壁の内側に沿うように配置され、当該箇所に、前述したスリット41が開設されている。
【0018】
スピーカ40から出力される「擬音」は、使用者が発する音(例えば排泄音や作業音等)をカムフラージュして聞き取りにくくするものであれば何でも良く、具体的には例えば流水音等が該当する。もちろん、スピーカ40からは、擬音以外の他の音声も出力するように構成しても良い。本実施形態では、操作装置100によって、擬音の音量を調整することができるように構成されている。
【0019】
<操作装置100の概要>
次に、操作装置100の概要について説明する。
操作装置100は、使用者の操作に応じて、出力対象である擬音の音量(ボリューム)を複数段階のレベルから任意に選択可能なものである。操作装置100は、使用者が指により非接触操作を行う操作部110と、装置動作を制御する制御基板50と、を備えている。
【0020】
図1に示すように、ケース本体12の正面壁において、操作部110は、停止スイッチ31とスリット41との間に配置されている。操作装置100の傍らには、必要に応じて説明用のピクトグラムや文字等を付記すると良い。制御基板50は、ケース本体12の内部に収納されており、後述するが操作装置100自体だけでなく、音発生装置10全体の動作の制御を行うものである。ここで制御基板50は、本発明の「制御部」の一例に相当する。
【0021】
図2に示すように、操作部110は、擬音音量の複数段階のレベル毎に対応した複数個の個別出力部111と、一つの統括入力部121と、を備えている。各個別出力部111は、本実施形態では例えば8個あり、8個の個別出力部111は、使用者の指で区別可能になぞれるように、一定間隔おきに左右方向に一列に並ぶ所定配置に配されている。各個別出力部111は、図2中で左から順に、個別出力部111a,111b,111c~111hと互いに区別されるものであるが、総称するときは個別出力部111と表記する。
【0022】
図3は、図2におけるA-A線矢視図、図4は、図2におけるB-B線矢視図、図5は、図2におけるC-C線矢視図である。図3図5において、符号「F」は使用者の指を示す。図3に示すように、各個別出力部111は、それぞれ基板101上に設けられた赤外線LED112、可視光LED113から出射される赤外線および可視光を導く導光板114を有している。
【0023】
ここで赤外線LED112は、本発明の「非可視光発光素子」の一例に相当する。また、可視光LED113は、本発明の「可視光発光素子」の一例に相当する。可視光LED113の発光色(波長)は、任意に定め得る設計事項である。可視光LED113によって操作部110は、各個別出力部111毎に視認可能に発光する「表示部」も兼用するように構成されている。
【0024】
かくして、可視光LED113から出射される可視光と、赤外線LED112から出射される赤外線とが、それぞれ導光板114を通って外部(装置前方)に出射される。ここで導光板114は、図3中で矢印で示したように、可視光および赤外線を混合した状態で、左右方向には拡散させず、上下方向には所定角度で広がるように拡散させる光学経路をなす形状に成形されている。
【0025】
導光板114は、本発明の「出射用導光部材」の一例に相当する。なお、個別出力部111は、主として導光板114の前面からなる。また、ケース本体の正面壁と導光板114の前面とは、同一平面上に連なっており、正面壁の該当箇所には、導光板114の前面を外部に露出させるスリットが設けられている。なお、導光板114の正面側を、ケース本体の前面壁から若干突出させて、赤外線および可視光線をより外部(装置前方)に出射しやすく構成することも可能である。
【0026】
また、図2に示すように、ケース本体12の正面壁において、各個別出力部111の下側には統括入力部121が配置されている。図4に示すように、統括入力部121は、一つの受光素子122と、一つの導光板123と、を備えるものであるが、導光板123は、各個別出力部111毎に対応して指からの反射光を入射させる8個の受け部124を有してなる。なお、受光素子122は、前記各LED112,113と同じ基板101上に設けられている。
【0027】
図4に示すように、8個の受け部124は、それぞれに入射した反射光を集束させて受光素子122に導く集束部125に一体に連なっている。各受け部124は、それぞれ前記各個別出力部111に対応させて、その下側に同じく一定間隔おきに左右方向に一列に並ぶように配置されている。各受け部124は、図2中で左から順に、受け部124a,124b,124c~124hと互いに区別されるものであるが、総称するときは受け部124と表記する。
【0028】
導光板123において、指Fからの赤外線の反射光を受ける受け部124に入射した反射光は、集束部125に導かれて集束され、基板101上の受光素子122にまとめて入力されるように構成されている。ここで導光板123は、本発明の「入射用導光部材」の一例に相当する。受光素子122は、反射光の受光レベルに応じた電圧信号を出力する。また、導光板114と導光板123との間には、光遮断用板126が設けられ、赤外線LED112から出射される赤外線が、受光素子122により受光されるのを阻止している。
【0029】
図1に示すように、音発生装置10のケース本体12の正面壁の表面と、各受け部124の先端面とは、同一平面上に連なっており、正面壁の該当箇所には、各受け部124の先端面を外部に露出させる小孔が設けられている。なお、各受け部124の先端面側を、ケース本体12の正面壁から若干突出させて、反射光をより受けやすく構成することも可能である。
【0030】
以上の操作部110によれば、個別出力部111において、赤外線LED112からの赤外線が外部に出射される。そして、個別出力部111の前にかざした指で反射された反射光は、統括入力部121において、各受け部124に入射し、集束部125によって集束されて受光素子122に導かれる。かくして、受光素子122が出力する電圧信号が、予め定められた所定の閾値より大きな場合には、当該個別出力部111に指Fがかざされたことを識別することができる。
【0031】
図5は、複数個の個別出力部111(111a~111dのみ図示)が音量をレベル表示する「表示部」の動作例の模式的な説明図である。例えば、音量レベルが「3」をレベル表示することを想定すると、左端から3個目までの個別出力部111a~111cを可視光で光らせるため、これらの各々に対応する3個の可視光LED113を発光させる。
【0032】
これにより、可視光LED113で発光された可視光は、この3個の可視光LED113の各々に対応する導光板114に導かれて外部(装置前方)に出射されるので、ケース本体12の前面側から見ると、3個の個別出力部111が光った点灯状態になり、音量レベル「3」を示す音量レベル表示となる。
【0033】
<制御系の概要>
図6は、制御基板50を主とする制御系の機能ブロック図である。制御基板50は、操作装置100のみならず、音発生装置10全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成されたマイクロコンピュータ(マイコン)からなる。CPUは、各種演算および制御を行うものであり、ROMには、各種演算および制御の処理に関するプログラムやデータが記憶されている。また、RAMは、擬音の出力データ等の記憶領域を含むCPUの作業領域を備えている。ここで制御基板50は、本発明の「制御部」の一例に相当する。
【0034】
図6に示すように、制御基板50には、操作装置100の構成部品のほか、前述したセンサ20、停止スイッチ31が接続され、また、前述したスピーカ40がアンプ42を介して接続され、さらに、ROMとは別に外付けの音データ格納メモリ51が接続されている。
【0035】
音データ格納メモリ51には、例えば、単一音源での出力あるいは複数音源を組み合せて出力可能な擬音に関する複数のレベルの音量の音データが記憶されている。ここで音源は、その音量が異なるだけでなく、音質ないし周波数等が異なる複数種類の音源を用意しても良い。
【0036】
アンプ42は、D/A変換回路(digital to analog converter)を備えており、CPUの指示により音データ格納メモリ51から読み出された擬音に関する擬音信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換して、スピーカ40から擬音を出力させるものであり、擬音の増幅ないし再生が可能である。
【0037】
制御基板50は、代表的な機能として、前記操作装置100によって選択されたレベルの音量の擬音をスピーカ40から出力させる。ここでスピーカ40から出力される擬音は、例えば所定時間の経過後に停止するように設定されているが、所定時間の経過前に、停止スイッチ31が操作されると、強制的にスピーカ40からの擬音の出力が停止されるように設定されている。
【0038】
また、制御基板50は、8個の個別出力部111に対応してある各赤外線LED112a~112hをそれぞれ制御して、個別に赤外線を出射させる。さらに、制御基板50は、8個の個別出力部111に対応してある各可視光LED113(図6では1個のみ図示)をそれぞれ制御して、個別に可視光を出射させる。なお、受光素子122は、受光レベルに応じた電圧信号を制御基板50に送信する。
【0039】
<操作装置100および音発生装置10の動作>
次に、本実施形態に係る音発生装置10の動作を説明する。
図7は、音発生装置10の動作の概要を示すフローチャートである。図8は、操作装置100の動作の概要を示すタイミングチャートである。なお、制御基板50がプログラムを実行することによって、音発生装置10および操作装置100における所要の動作が実現される。
【0040】
図7において、初めにステップS100で、制御基板50は、センサ20からの検知信号を受信したか否かを繰り返し判定する。制御基板50が、センサ20からの検知信号を受信しなければ(ステップS100でN)、そのままステップS100で待機状態が維持される。一方、検知信号を受信すれば(ステップS100でY)、トイレ個室に使用者が入ったと判定してステップS110の処理に移行する。
【0041】
ステップS110において、制御基板50は、各個別出力部111毎に赤外線LED112a~112hを順次繰り返し所定時間ずつ発光させる発光制御を行う。ここでの発光制御において、制御基板50は、図8に示すように、各赤外線LED112a~112hを、それぞれ所定時間(例えば5msec)ずつ順次繰り返し発光させる。
【0042】
詳しく言えば、制御基板50は、先ず最初に、赤外線LED112aを5msecの間だけ発光させた後に発光を停止させる。次に、制御基板50は、赤外線LED112bを5msecの間だけ発光させた後に発光を停止させる。次いで、制御基板50は、赤外線LED112cを5msecの間だけ発光させた後に発光を停止させる。このような処理を、制御基板50は、赤外線LED112aから赤外線LED112hまで行い、最後の赤外線LED112hの発光が停止した後、また最初の赤外線LED112aから同様に一連の発光制御を繰り返し実行する。
【0043】
そして、各赤外線LED112a~112hを発光させている時間内(5msec)でのみ、制御基板50は、各赤外線LED112a~112hから出射された赤外線の指による反射光が入射した受光素子122から出力される受光電圧を検出する。これにより、誤検出を防止して検出精度を向上させることができる。図7に戻って、ステップS120において、制御基板50は、受光素子122から出力される電圧信号が、予め設定した閾値を越えたか否かを判定する(ステップS120)。
【0044】
ここで受光素子122から出力された電圧信号が、予め設定した閾値を超えない場合(ステップS120でN)、ステップS110に戻る。一方、受光素子122から出力された電圧信号が、予め設定した閾値を超えた場合(ステップS120でY)、かざした指により赤外線が反射されたと認識して、ステップS130の処理に移行して、かざした指の位置を決定する。
【0045】
すなわち、制御基板50は、受光素子122の電圧信号が閾値を超えた場合、その時に赤外線を出射させていた赤外線LED112が何れであったかを特定することで、指がかざされた個別出力部111を識別することができる。例えば、赤外線LED112aを発光させていた時点で、受光素子122からの電圧信号が閾値を超えた場合には、個別出力部111aに指をかざしたと識別することになる。
【0046】
また、例えば、赤外線LED112dを発光させていた時点で、受光素子122からの電圧信号が閾値を超えた場合には、個別出力部111dに指をかざしたと識別する。このように、制御基板50は、順次繰り返し赤外線LED112a~112hを発光させていき、受光素子122の電圧信号が閾値を超えた場合、この電圧信号を生起させた赤外線反射光に対応する赤外線LED112を把握することにより、対応する個別出力部111が指をかざした位置であると決定する。
【0047】
次に、ステップS140で、制御基板50は、指の位置に対応する個数の個別出力部111の可視光LED113を発光させる。つまり、制御基板50は、左端からN番目(N=1~8)の赤外線LED112を発光させた場合、受光素子122の電圧信号が閾値を超えたかを把握しているため、左端の可視光LED113aから、N個の可視光LED113x(x=a~h)の可視光LED113を発光させる。これにより、個別出力部111は、使用者が選択したレベルを発光表示する表示部としても機能する。
【0048】
次いで、ステップS150で、制御基板50は、擬音の音量を決定する。制御基板50は、決定した指のかざし位置に対応付けたレベルに音量を制御する。例えば、個別出力部111a~hに対して「レベル1」から「レベル8」を対応付けておけば良い。この際、制御基板50は、音量を制御するために、アンプ42に音量のレベルに対応した制御信号を送信する。かくして、アンプ42の増幅率が調整されて、擬音の音量が制御される。
【0049】
そして、ステップS160で、制御基板50は、音データ格納メモリ51から擬音信号をRAMに一時記憶する。さらに、ステップS170で、制御基板50は発音処理を実行する。具体的には、制御基板50は、RAMに一時記憶している擬音信号をアンプ42に送信する。アンプ42によって、擬音信号はアナログ信号に変換され、スピーカ40から擬音が出力される。
【0050】
その後、ステップS180で、制御基板50は、停止スイッチ31が操作されたか否かを判定する。制御基板50が、停止スイッチ31が操作されたと判断した場合(ステップS180でY)、擬音の出力を停止させて、ステップS100にリターンする。一方、制御基板50が、停止スイッチ31が操作されていないと判断した場合(ステップS180でN)、擬音の出力を継続するため、ステップS170に戻る。
【0051】
以上のように、操作装置100による使用者の操作に応じて、制御基板50の制御により、出力対象である擬音の音量(ボリューム)を複数段階のレベルから任意に選択して、スピーカ40から出力させることができる。
【0052】
図9は、操作装置100による操作例を模式的に示した説明図である。図9(a)は、まだ操作装置100に指Fをかざしていない状態(指非検知)である。次に、図9(b)に示すように、左端の個別出力部111aに指をかざすと、その位置が検出される(指検知)。すると、図9(c)に示すように、左端の可視光LED113a(図9では不図示)が発光し、個別出力部111aが光る点灯状態となる(レベル表示)。
【0053】
次に、図9(d)に示す状態(指非検知)から、図9(e)に示すように、例えば左端から「7番目」の個別出力部111gに指をかざすと、その位置が検出される(指検知)。今度は、左端から「7番目」の可視光LED113g(図9では不図示)が発光し、左端の個別出力部111aから「7番目」の個別出力部111gまでの個別出力部111a~111gがまとめて光る点灯状態となる(レベル表示)。
【0054】
<操作装置100の効果>
以上に説明してきたように、本発明の実施形態に係る操作装置100によれば、非接触での音量操作が可能となり、衛生面にも優れたものとなると共に、音量調整用つまみ等を設けることが不要となり装置の美観にも優れる利点も有する。
【0055】
しかも、可視光LED113と赤外線LED112との導光板114を共用した構成として、導光板114は音量のレベルを表示する表示部にもなるので、構成の簡素化を図ることができる。また、赤外線を入出力する黒色の赤外線透過樹脂の面積も大幅に縮小できるので、この点からも美観に優れた装置を実現できる。
【0056】
<操作装置100の変形例>
図10は、本実施形態の変形例に係る操作装置100Aを示している。
操作装置100Aでは、受け部124Aを、横長で一続きの一個として構成している。かかる構成においても、かざした指での赤外線の反射光は導光板123によって、受光素子122まで導かれるように構成されている。このように、受け部124を個別に設ける代わりに、受け部124を連結させて一個のものとして構成しても良い。
【0057】
また、各個別出力部111a~111h毎に導光板114を設ける代わりに、図示省略したが、各個別出力部111a~111hに対して1個の導光板を設けた構成を採用することも可能である。さらに、必要に応じて、ソフトウエアで実現した構成を電子回路等のハードウエアで実現しても良い。なお、操作装置100Aにおいて、前述した操作装置100と同種の構成については、重複した説明は省略する。
【0058】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0059】
[1]先ず、本発明は、
使用者の操作に応じて、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択可能な操作装置100において、
複数段階のレベル毎に対応した複数個の個別出力部111を含み、各個別出力部111はそれぞれ非可視光を出射可能であり、各個別出力部111を使用者の指で区別可能になぞれる所定配置に並べた操作部110と、
前記出力対象のボリュームを制御する制御部50と、を備え、
前記制御部50は、前記各個別出力部111から出射された非可視光の指による反射光の入射に基づき、かざした指の位置にある各個別出力部111をそれぞれ検出可能であり、該検出された個別出力部111が対応するレベルのボリュームにより前記出力対象を出力可能である。
【0060】
本操作装置100によれば、使用者は操作部110に並ぶ複数個の個別出力部111に指をかざしてなぞるだけで、出力対象のボリュームを複数段階のレベルから任意に選択することができる。制御部50は、各個別出力部111から出射された非可視光の指による反射光の入射に基づき、かざした指の位置にある各個別出力部111を検出する。
【0061】
そして、制御部50は、使用者の指の位置から検出した個別出力部111が対応するレベルのボリュームによって、音や光等の出力対象を出力させる。このように、本操作装置100によれば、非接触操作が可能となり、衛生面で優れたものとなる。また、音量調整用つまみ等の接触型の操作子を設けることが不要となり、コスト低減が可能なだけでなく、装置の美観でも優れたものとなる。
【0062】
[2]また、本発明では、
前記操作部110は、前記各個別出力部111毎に対応した非可視光発光素子112のほか、前記各個別出力部111毎に対応した可視光発光素子113を備え、該可視光発光素子113から出射された可視光により、前記各個別出力部111毎に視認可能に発光する表示部を兼用する。
【0063】
このように、操作部110が表示部を兼用することにより、使用者は選択したレベルを視覚的に容易に把握することができる。また、操作部110と表示部を別々に設ける必要がなく、部品点数や配置スペースを削減することができる。
【0064】
[3]また、本発明では、
前記制御部50は、前記反射光の入射に基づき前記各個別出力部111が検出された時、該検出された個別出力部111が対応するレベル数分の個別出力部111を、前記可視光により発光させる制御を実行可能である。
【0065】
このように、選択されたレベルに対応する個別出力部111だけでなく、選択されたレベル数分の個別出力部111をまとめて発光させることにより、使用者はレベルをよりいっそう容易に把握することができる。
【0066】
[4]また、本発明では、
前記操作部110は、前記各個別出力部111毎に対応した前記非可視光発光素子112から出射された非可視光と、前記各個別出力部111毎に対応した前記可視光発光素子113から出射された可視光とを、それぞれ前記各個別出力部111毎に区画された前面より外部へ照射する複数個の出射用導光部材114を備える。
【0067】
このような構成によれば、1個の出射用導光部材によって、非可視光だけでなく非可視も併せて導くことができるので、構造を簡易化することができる。
【0068】
[5]また、本発明では、
前記操作部110は、前記各個別出力部111毎の指からの反射光をまとめて受ける統括入力部121を備え、
前記統括入力部121は、一つの入射用導光部材123と、一つの受光素子122と、を備え、
前記入射用導光部材123は、前記各個別出力部111毎に対応して指からの反射光を入射させる複数個の受け部124と、各受け部124に連続して入射した反射光を集束させて前記受光素子122に導く集束部125と、を有してなる。
【0069】
このように、各個別出力部111毎の指からの反射光は、一つの統括入力部121でまとめて受けることができる。統括入力部121では、各個別出力部111毎に対応した複数個の受け部124により確実に反射光を受けることができ、各受け部124で受けた反射光を集束部125によって集束させることができる。そのため、受光素子122を1個だけとしてコスト低減が可能となり、しかも、複雑なソフトウエア等を用いなくとも、指の位置を検出することが可能となる。
【0070】
[6]また、本発明では、
前記制御部50により、前記各非可視光発光素子112は、所定時間内で順次繰り返し発光され、
前記制御部50は、前記各個別出力部111毎の指からの反射光を前記受光素子122が受けたタイミングに基づき、指をかざした位置にある各個別出力部111を識別可能である。
【0071】
この構成によれば、受光素子を一個とすることができると共に、複雑なソフトウエア等を用いなくとも指の位置(各個別出力部111)を検出することが可能になる。
【0072】
[7]また、本発明では、
前記制御部50は、前記所定時間内における前記受光素子122の受光レベルと、予め設定した閾値とに基づき、指をかざした位置にある各個別出力部111を識別可能である。
【0073】
このような構成によれば、安定した受光素子の電圧信号を安定した状態で検出でき、指の位置(各個別出力部111)を検出する精度を高めることが可能となる。
【0074】
<別発明の構成と作用効果>
さらにまた、前述した実施形態から以下の発明も導くことができる。
[8]また、前記出力対象は、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする擬音であり、前記出力対象のボリュームは、前記擬音の音量である。この構成にすれば、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする擬音を出力する擬音発生装置10に適用することが出来る。
【0075】
[9]トイレ個室内で使用者を検出する検出部(センサ20)を備え、
前記制御部50は、前記検出部による使用者の検出に応じて、使用者がかざした指の位置にある各個別出力部111の検出を開始させる。この構成によれば、非可視光発光素子112の通電時間を低減することができ、その結果、非可視光発光素子112の寿命を長くすることができる。
【0076】
[10]前記非可視光を、赤外線とする。これにより、非可視光発光素子112を市販されている赤外線発光素子で容易に実現することができるので、コスト低減を図ることができる。
【0077】
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、個別出力部111の数は、8個に限らず適宜定め得る設計事項である。さらに、各個別出力部111の所定配置は、一定間隔おきに左右方向に一列に並ぶ形態に限らず、他に例えば、マトリックス状に並べたり、円状に並べるように配置しても良い。
【0078】
また、前記実施形態では、操作装置100を擬音発生装置10に適用して、出力対象である擬音の音量(ボリューム)を選択できるものとしたが、他に例えば、照明装置等に適用して、出力対象である照明光の光量(ボリューム)を選択できるスイッチに応用することもできる。
【符号の説明】
【0079】
10…音発生装置
11…ケース
12…ケース本体
20…センサ
31…停止スイッチ
40…スピーカ
50…制御基板
51…音データ格納メモリ
100…操作装置
110…操作部
111…個別出力部
112…赤外線LED
113…可視光LED
114…導光板
121…統括入力部
122…受光素子
123…導光板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10