(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】NOx吸着剤触媒、方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20220411BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20220411BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20220411BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220411BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220411BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220411BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20220411BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20220411BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20220411BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B01J23/63 A ZAB
B01J35/04 301E
B01J29/74 A
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/08 B
F01N3/08 A
F01N3/10 A
F01N3/28 Q
F01N3/28 301C
F01N3/00 F
F01N3/20 C
F01N11/00
(21)【出願番号】P 2017546631
(86)(22)【出願日】2016-03-03
(86)【国際出願番号】 US2016020605
(87)【国際公開番号】W WO2016141140
(87)【国際公開日】2016-09-09
【審査請求日】2019-02-28
(32)【優先日】2015-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】グルーベルト,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ノイバオアー,トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】プンケ,アルフレート ハー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲンドルフ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユエチン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501613(JP,A)
【文献】特表2013-514881(JP,A)
【文献】国際公開第2014/164876(WO,A1)
【文献】特表2010-510884(JP,A)
【文献】特表2007-527314(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150408(WO,A1)
【文献】特表2009-542431(JP,A)
【文献】特開2004-162694(JP,A)
【文献】特開2008-223611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 231/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
F01N 3/08
F01N 3/10
F01N 3/28
F01N 3/00
F01N 3/20
F01N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体基材上にウォッシュコート層を含む低温リーンNO
xトラップ(LT-LNT)組成物を含み、前記ウォッシュコート層は、少なくとも50質量%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含み、前記ウォッシュコート層は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NO
x貯蔵材料を更に含む、リーンバーンエンジンの排気処理物品であって、
前記第1の担体材料は、セリア及びアルミナからなり、
前記還元性金属酸化物は、セリアからなり、
白金族金属成分の白金族金属は、白金又はパラジウム又はこれらの組合せであり、
更にセリアを含む第2の担体材料上にRhを含み、
前記LT-LNT組成物は、Mg、Ca、SrおよびBaの群から選択される1~10質量%のアルカリ土類金属を更に含み、
前記第1の担体材料は、20~50質量%のセリア及び50~80質量%のアルミナを含む、リーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項2】
前記第1の担体材料の前記セリア及びアルミナは、30:70のセリア:アルミナの比で存在する、請求項1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項3】
前記第1の担体材料の前記セリア及びアルミナは、50:50のセリア:アルミナの比で存在する、請求項1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項4】
前記第1の担体材料は、La、Zr、Nb、Pr、Y、Nd、またはSmの酸化物から選択される1種以上のドーパントを更に含む、請求項1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項5】
還元性金属酸化物、アルミナ、ジルコニア、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの物質を含む第2の担体材料上にRhを更に含む、請求項4に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項6】
前記LT-LNT組成物は、前記第2の担体上に7.0627×10
-4g/cm
3(20g/ft
3)以下の範囲で存在するRhを含む、請求項5に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項7】
前記LT-LNT組成物は、前記第2の担体上に7.0627×10
-5~3.5313×10
-4g/cm
3(2~10g/ft
3)の範囲で存在するRhを含む、請求項6に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項8】
前記LT-LNT組成物は、前記第2の担体上に1.0594×10
-4~2.4719×10
-4g/cm
3(3~7g/ft
3)の範囲で存在するRhを含む、請求項7に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項9】
白金が7.0627×10
-4~7.0627×10
-3g/cm
3(20~200g/ft
3)の範囲で存在し、パラジウムが3.5313×10
-5~1.7657×10
-3g/cm
3(1~50g/ft
3)の範囲で存在する、請求項6に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項10】
請求項1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品を含むリーンバーンエンジン排気ガス処理システムであって、下流の選択的触媒還元(SCR)触媒を更に含む、システム。
【請求項11】
前記LT-LNT組成物は、基材上にウォッシュコートとして配置され、前記SCR触媒は、別の下流の基材上に別のウォッシュコート層として配置される、請求項10に記載のリーンバーンエンジン排気ガス処理システム。
【請求項12】
LT-LNT組成物はハニカム状フロースルー基材上にあり、前記SCR触媒はウォールフロー基材上にある、請求項11に記載のリーンバーンエンジン排気ガス処理システム。
【請求項13】
LT-LNT組成物はウォールフロー基材上にあり、前記SCR触媒はハニカム状フロースルー基材上にある、請求項11に記載のリーンバーンエンジン排気ガス処理システム。
【請求項14】
前記アルカリ土類金属はMg及びBaである、請求項
1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項15】
前記アルカリ土類金属はBaである、請求項
1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品。
【請求項16】
請求項1に記載のリーンバーンエンジン排気処理物品を含むリーンバーンエンジン排気ガス処理システムであって、前記LT-LNTの下流に位置するラムダセンサを更に含む、システム。
【請求項17】
前記LT-LNTの上流に位置する第2のラムダセンサを更に含み、前記ラムダセンサおよび第2のラムダセンサはオンボード診断システムと通信し、これにより前記LT-LNTの酸素貯蔵容量の劣化を前記LT-LNTでのHC転化の劣化と相関させる、請求項16に記載のリーンバーン
エンジン排気
ガス処理システム。
【請求項18】
リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン酸化触媒のエージングを監視する方法であって、
リーンバーンエンジン排気ガス流を請求項1に記載の排気処理物品に通過させることと、
前記排気ガス流の経路に位置するLT-LNT組成物の劣化を測定することと、
前記LT-LNT組成物の劣化を、前記リーンバーン酸化触媒の炭化水素転化効率の低下と相関させることと、
を含む方法。
【請求項19】
前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、LT-LNTの上流のラムダセンサ及びLT-LNTの下流の第2のラムダセンサを用いて250℃でのリッチdeNO
xパージ中にH
2含有量について排気ガス流を監視することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、LT-LNTの下流のNH
3センサを用いてリッチパージ中にNH
3含有量について排気ガス流を監視することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、リッチパージ後のリーン期間中にNO
xセンサを用いてNO
x貯蔵を監視することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、NO
x貯蔵段階後のリッチパージ中にNO
xセンサを用いてNO
xスリップを監視することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を含むリーンバーンエンジン排気処理物品、およびそれらの使用方法に関する。本発明はまた、開示されるリーンバーンエンジン排気処理物品を含むリーンバーンエンジン排気ガス処理システムに関する。より詳細には、本発明は、少なくとも50%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含むウォッシュコート層を担体基材上に含む低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物に関する。ウォッシュコート層は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料を更に含み得る。本発明はまた、リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン酸化触媒のエージング状態を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンを含むエンジンは、燃費対策としてリーン条件下で動作するように設計されている。そのような将来のエンジンは、「リーンバーンエンジン」と呼ばれる。すなわち、そのようなエンジンに供給される燃焼混合物中の燃料に対する空気の比は化学量論比よりもはるかに高く維持され(例えば、空気対燃料重量比が18:1)、これにより生じる排気ガスが「リーン」である、すなわち、排気ガスが酸素含有量が比較的高くなる。リーンバーンエンジンは、高度な燃料経済性を提供するものの、従来の三元触媒コンバータ(TWC)が、排気中の過剰な酸素のために、そのようなエンジンからのNOx放出を減少させるには有効でないという欠点を有する。この問題を克服しようとする試みには、NOxトラップの使用が含まれてきた。そのようなエンジンの排気は、リーン(酸素リッチ)動作の期間中にNOxを貯蔵し、リッチ(燃料リッチ)動作の期間中に貯蔵されたNOxを放出する触媒/NOx吸着剤で処理される。リッチ(または化学量論的)動作の期間の間は、触媒/NOx吸着剤の触媒成分は、NOx(NOx吸着剤から放出されるNOxを含む)と排気中に存在する炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、および/または水素との反応によってNOxの窒素への還元を促進する。
【0003】
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも優れた燃料経済性を提供し、過剰酸素の存在によりNOxの減少が困難なリーン条件下で通常は常に動作する。この場合、触媒/NOx吸着剤はNOxを貯蔵するのに有効である。NOx貯蔵モードの後、一時的なリッチ状態を利用して、貯蔵されたNOxを放出及び/または窒素に還元しなければならない。
【0004】
還元性環境では、リーンNOxトラップ(LNT)は、炭化水素の水蒸気改質反応及び水性ガスシフト(WGS)反応を促進して還元剤としてのH2を提供することによって反応を活性化させ、NOxを減少させる。水性ガスシフト反応は、一酸化炭素が水蒸気と反応して二酸化炭素および水素を形成する化学反応である。LNT中のセリアの存在は、WGS反応を触媒し、LNTのSO2不活性化に対する抵抗性を改善し、PGMを安定化させる。
【0005】
リーン動作サイクルは通常1分~20分であり、リッチ動作サイクルは典型的には短い(1~10秒)であることで、可能な限り多くの燃料を保護する。NOx転化効率を向上させるため、短くて頻繁な再生は、長くてより少ない頻度での再生よりも好まれる。
LNT触媒は、サイクルのリーン(トラップモード)およびリッチ(再生モード)排気条件下で動作し、その間、エンジンを出るNOは、式1~6に示すようにN2に転化される。
【0006】
リーン条件 2NO+O2→2NO2 (1)
(トラップモード 4NO2+2MCO3+O2→2M(NO3)2+2CO (2)
リッチ条件 M(NO3)2+2CO→MCO3+NO2+NO+CO2 (3)
(再生モード) NO2+CO→NO+CO2 (4)
NO2+CO→NO+CO2 (5)
2NO+2H2→N2+2H2O (6)
【0007】
ますます厳しくなるNOx放出物に適合させるために新たに出現したEuro6排気放出触媒市場のための準備において、ディーゼル乗用車用のディーゼル酸化触媒(DOC)は、1.2~2.5Lの範囲のエンジン排気量のためのディーゼル酸化機能を備えた近接結合型リーンNOxトラップで置き換えることができる。その車からのNOx放出物を管理することに加えて、この変化は、エンジンを出る炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)放出物を効果的に酸化するためにLNTDOCを必要とするであろう。具体的には、この変化は、LNTが、エンジンを出る炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を酸化する(式7および8)こと及び触媒されたすすフィルタ(CSF)の再生のための発熱を発生させることのDOCの二重の役割をも担いつつ、NOxをN2に転化する脱NOx機能を果たすことを必要とする。
【0008】
HC及びCO酸化:CxHy+O2→CO2+H2O (7)
2CO+O2→2CO2 (8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
Diesel Euro 6bおよびDiesel Euro6c法などの新しい法律
では、二酸化炭素(CO2)放出量の削減が求められている。そのような法律に適合させるため、二酸化炭素(CO2)放出量の削減を達成するために軽量ディーゼル用途用のエンジン較正を実行しなければならないであろう。実際には、CO2放出量の低減は、そのような触媒を使用する車両の運転サイクル中の一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)酸化触媒の前の温度を低下させる。より低いNOx放出をもたらすSCRライトオフの前にNOxを貯蔵するリーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を有するシステムの場合、低温での貯蔵されたNOxの除去およびN2への転化が課題である。
【0010】
また、一部の国では、新しいオンボード診断(OBD)規制では、運転中に監視されるべきDOC-SCRシステムにおいてディーゼル酸化触媒(DOC)が機能する(主にHC転化)ことが要求されている。現在、既存のHCセンサがないため、DOCのエージング状態を監視できる実用的なDOC監視方法はない。そのため、OBD機能を提供することができるDOC組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の実施形態は、担体基材上にウォッシュコート層を含む低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を含むリーンバーンエンジン排気処理物品であって、前記ウォッシュコート層は、少なくとも50%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含み、前記ウォッシュコート層は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料を更に含む、リーンバーンエンジン排気処理物品に関する。
【0012】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態は、第1の担体材料が100%アルミナを含むように変更される。
【0013】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態は、前記還元性金属酸化物材料が100%アルミナを含むように変更される。
【0014】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態は、第1の担体材料が本質的にセリア及びアルミナからなるように変更される。
【0015】
第5の実施形態によれば、第4の実施形態は、第1の担体材料が20~50質量%のセリア及び50~80質量%のアルミナを含むように変更される。
【0016】
第6の実施形態によれば、第4及び第5の実施形態のいずれかは、セリア及びアルミナが30:70のアルミナに対するセリアの比で存在するように変更される。
【0017】
第7の実施形態によれば、第3~第6の実施形態のいずれかは、セリア及びアルミナが50:50のアルミナに対するセリアの比で存在するように変更される。
【0018】
第8の実施形態によれば、第1~第7の実施形態のいずれかは、前記還元性金属酸化物がCeO2、MnO2、Mn2O3、Fe2O3、CuO、またはCoO、及びこれらの混合物のうちの1つ以上であるように変更される。
【0019】
第9の実施形態によれば、第1~第8の実施形態のいずれかは、前記第1の担体材料が、La、Zr、Nb、Pr、Y、Nd、またはSmの酸化物から選択される1種以上のドーパントを更に含むように変更される。
【0020】
第10の実施形態によれば、第1~第9の実施形態のいずれかは、前記白金族金属が白金及びパラジウムを含むように変更される。
【0021】
第11の実施形態によれば、第1~第10の実施形態のいずれかは、ウォッシュコート層が還元性金属酸化物、アルミナ、ジルコニア、およびそれらの混合物を含む第2の担体材料上にRhを更に含むように変更され得る。
【0022】
第12の実施形態によれば、第1~第11の実施形態のいずれかは、前記第2の担体材料が5~50質量%の範囲のジルコニア及び50質量%を超える還元性金属酸化物を含むように変更される。
【0023】
第13の実施形態によれば、第1~第12の実施形態のいずれかは、前記還元性金属酸化物がセリアであり、前記アルミナおよびセリアは、4:1~1:3の範囲、より具体的には1:1~1:3の範囲、更により具体的には1:1~1:2の範囲のアルミナ:セリアの比で前記LT-LNT組成物中に存在するように変更される。
【0024】
第14の実施形態によれば、第1~第13の実施形態のいずれかは、前記LT-LNT組成物が基材上にウォッシュコートとして配置され、前記アルミナが1~4g/in3の範囲、より具体的には1~3g/in3の範囲で存在するように配置される。
【0025】
第15の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが20~200g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが1~50g/ft3の範囲で存在し、Rhが0~20g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0026】
第16の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、白金が20~200g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが4~30g/ft3の範囲で存在し、Rhが2~10g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0027】
第17の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが20~200g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが5~20g/ft3の範囲で存在し、Rhが3~7g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0028】
第18の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが40~150g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが1~50g/ft3の範囲で存在し、Rhが0~20g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0029】
第19の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが40~150g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが4~30g/ft3の範囲で存在し、Rhが2~10g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0030】
第20の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが40~150g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが5~20g/ft3の範囲で存在し、Rhが4~7g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0031】
第21の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが60~130g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが1~50g/ft3の範囲で存在し、Rhが0~20g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0032】
第22の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが60~130g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが4~30g/ft3の範囲で存在し、Rhが2~10g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0033】
第23の実施形態によれば、第1~第14の実施形態のいずれかは、Ptが60~130g/ft3の範囲で存在し、パラジウムが5~20g/ft3の範囲で存在し、Rhが4~7g/ft3の範囲で第2の担体上に存在するように変更される。
【0034】
第24の実施形態によれば、第1~第23の実施形態のいずれかは、前記LT-LNT組成物がバリウム及び他のアルカリ土類金属を含まないように変更される。
【0035】
第25の実施形態によれば、リーンバーンエンジン排気ガス処理システムは、第1~第24の実施形態のいずれかのリーンバーンエンジン排気処理物品を含み、下流の選択的触媒還元(SCR)触媒を更に含む。
【0036】
第26の実施形態によれば、第25の実施形態は、前記LT-LNT組成物が基材上にウォッシュコートとして配置され、前記SCR触媒が別の下流の基材上に別のウォッシュコート層として配置されるように変更される。
【0037】
第27の実施形態によれば、第25~第26の実施形態のいずれかは、LT-LNT組成物がハニカム状フロースルー基材上にあり、前記SCR触媒がウォールフロー基材上にあるように変更される。SCR触媒は、フロースルーまたはウォールフローフィルターにコーティングされてもよい。
【0038】
第28の実施形態によれば、第25~第26の実施形態のいずれかは、LT-LNT組成物はウォールフロー基材上にあり、前記SCR触媒はハニカム状フロースルー基材上にあるように変更される。
【0039】
第29の実施形態によれば、第1~第28の実施形態のいずれかは、前記LT-LNT組成物がMg、Ca、SrおよびBaの群から選択される1~10質量%のアルカリ土類金属を更に含むように変更される。
【0040】
第30の実施形態によれば、第1~第24及び第29の実施形態の触媒物品のいずれかは、リーンバーン内燃エンジン用の排気ガスシステムにおいて使用することができる。
【0041】
第31の実施形態によれば、第1~第24及び第29の実施形態の触媒物品のいずれかは、リーンバーンエンジン排気ガス処理システムにおいて使用することができ、そのシステムは、前記LT-LNTの下流に位置するラムダセンサを更に含む。
【0042】
第32の実施形態によれば、第32の実施形態は、前記システムが前記LT-LNTの上流に位置する第2のラムダセンサを更に含み、前記ラムダセンサおよび第2のラムダセンサはオンボード診断システムと通信し、これにより前記LT-LNTの酸素貯蔵容量の劣化が前記LT-LNTでのHC転化の劣化と相関しているように変更される。
【0043】
第33の実施形態によれば、リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン酸化触媒のエージングを監視する方法が提供され、その方法は、リーンバーンエンジン排気ガス流を第1~第24及び第29~第31の実施形態のいずれかの排気処理物品に通過させることとを含み、その方法は、前記排気ガス流の経路に位置するLT-LNT組成物の劣化を測定することと、前記LT-LNT組成物の劣化を、前記リーンバーン酸化触媒の炭化水素転化効率の低下と相関させることと、を更に含む。
【0044】
第34の実施形態によれば、第33の実施形態は、前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、LT-LNTの上流のラムダセンサ及びLT-LNTの下流の第2のラムダセンサを用いて250℃でのリッチdeNOxパージ中にH2含有量について排気ガス流を監視することを含むように変更される。
【0045】
第35の実施形態によれば、第33の実施形態は、前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、LT-LNTの下流のNH3センサを用いてリッチパージ中にNH3含有量について排気ガス流を監視することを含むように変更される。
【0046】
第36の実施形態によれば、第33の実施形態は、前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程がリッチパージ後のリーン期間中にNOxセンサを用いてNOx貯蔵を監視することを含むように変更される。
【0047】
第37の実施形態によれば、第33の実施形態は、前記LT-LNT組成物の劣化を測定する工程が、NOx貯蔵段階後のリッチパージ中にNOxセンサを用いてNOxスリップを監視することを含むように変更される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、7サイクルリーンリッチ試験の最後の5サイクルにわたる本発明のLT-LNTおよび先行技術のLNTの平均NO
x転化率の比較を示している。
【
図2】
図2は、7サイクルリーンリッチ試験の最後の5サイクルにわたる本発明のLT-LNTおよび先行技術のLNTの平均NO
x放出量の比較を示している。
【
図3】
図3は、アルミナ担体に含浸させたPt/Pdを有する対応するLT-LNTと比較した、セリアに含浸させたPt/Pdを有するLT-LNTのCO性能を示している。
【
図4】
図4は、アルミナ担体に含浸させたPt/Pdを有する対応するLT-LNTと比較した、セリアに含浸させたPt/Pdを有するLT-LNTのHC性能を示している。
【
図5】
図5は、7サイクルリーンリッチ試験の最後の5サイクルにわたる本発明のLT-LNTおよび先行技術のLNTの平均NO
x転化率を示している。
【
図6】
図6は、7サイクルリーンリッチ試験の最後の5サイクルにわたる本発明のLT-LNTおよび先行技術のLNTの平均NO
x転化率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載された構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行されることが可能である。
本発明の1つ以上の実施形態によれば、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物が提供される。一態様では、1つ以上の実施形態によれば、LT-LNT組成物は、下流のSCR触媒にとって望ましい、NOのNO2への高い転化率を提供することに加えて、標準的なLNTのリッチdeNOx事象の後に比較的低いCOおよびHCライトオフ温度を有する。下流のSCR触媒は、フロースルー基材(flow through substrate)上またはウォールフローフィルター基材(wall flow filter substrate)上にあり得る。
【0050】
1つ以上の実施形態では、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、少なくとも50%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含むウォッシュコート層を担体基材上に含む。1つ以上の実施形態では、ウォッシュコート層は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料を更に含み得る。本発明の1つ以上の実施形態によれば、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を含むリーンバーンエンジン排気処理物品を含むリーンバーンエンジン排気ガス処理およびその使用方法も提供される。本発明の1つ以上の実施形態によれば、リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン酸化触媒のエージング状態を監視する方法も提供される。
【0051】
本明細書に開示されるような低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を含むリーンバーンエンジン排気処理物品は、標準的なLNTリッチdeNOx事象後に非常に低い一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)ライトオフを有し、また、高選択的触媒還元(SCR)性能に望まれる高いNOのNO2への酸化機能を有することが発見された。高COおよびHC性能はまた、本明細書に開示された低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物についてのリッチdeNOx後に観察された。
【0052】
また、1つ以上の実施形態による本明細書に開示された触媒組成物は、ラムダ、H2、NH3、NOxなどのセンサなどの下流のセンサを有するシステムに実装して搭載診断機能を提供することができる。
【0053】
本開示において使用される用語に関して、以下の定義が提供される。
【0054】
ウォッシュコート層における「担体」への言及は、貴金属、安定剤、ドーパント、促進剤、バインダーなどを会合、分散、含浸、または他の好適な方法によって受け取る材料を指す。有用な触媒担体は、高い表面積の耐火性酸化物担体から作製され得る。有用な高い表面積の担体は、アルミナ、チタニア、シリカ、およびジルコニアから選択される1つ以上の耐火性酸化物を含む。これらの酸化物には、例えば、シリカ及び金属酸化物、例えば、シリカ-アルミナ、非晶性または結晶性であり得るアルミノシリケート、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-クロミア、アルミナ-セリアなどの混合酸化物形態を含むアルミナが含まれる。担体は実質的に、ガンマ及びイータアルミナなどのガンマ又は活性アルミナファミリーの構成成分を好ましくは含むアルミナ、及び存在するならば少量の(例えば、最大で約20質量%の)他の耐火性酸化物から構成される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アルカリ土類金属」という用語は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)を含む元素の周期表で定義される1種以上の化学元素を指す。1つ以上の実施形態では、アルカリ土類金属成分はバリウム成分を含む。特定の実施形態では、バリウムは酸化バリウムとして適用される。アルカリ土類金属成分は、酸化物基準で約0.5質量%~10質量%の範囲の量でウォッシュコート中に存在し得る。特定の実施形態では、アルカリ土類金属成分はマグネシウムおよびバリウム成分を含む。特定の実施形態では、アルカリ土類金属成分はバリウム成分を含む。非常に特定の実施形態では、アルカリ土類金属成分は、酸化物基準で約0.5質量%~約2質量%の範囲の量で存在するバリウム成分を含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「白金族金属」または「PGM」という用語は、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、およびルテニウムならびにこれらの混合物を含む元素の周期表に定義される1種以上の化学元素を指す。1つ以上の実施形態では、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、およびこれらの混合物から選択される。当業者に明らかなように、触媒作用剤として作用する白金族金属成分は、使用中に複数の酸化状態で触媒中に存在し得る。例として、パラジウム成分は、パラジウム金属、Pd(II)、およびPd(IV)として触媒中に存在し得る。触媒を調製する1つの方法によれば、白金族金属の好適な化合物および/または錯体などの白金族金属成分を利用して、担体、例えば、活性化アルミナ担体粒子への触媒成分の分散を達成することができる。本明細書で使用される場合、「白金族金属成分」という用語は、触媒の焼成または使用の際に触媒的に活性な形態、通常は、金属または金属酸化物に分解あるいは転化する任意の白金族金属化合物、錯体などを意味する。触媒金属化合物を担体粒子に含浸または沈着させるために使用される液体が、触媒金属またはその化合物もしくは錯体または触媒組成物の他の成分と不利に反応せず、かつ加熱および/または真空の適用時に揮発または分解によって触媒から除去され得る限り、水溶性化合物または水分散性化合物または白金族金属の錯体を利用することができる。いくつかの場合では、触媒が使用に付され、動作中に遭遇する高温に曝されるまで、液体の除去の完了は行われない場合がある。一般に、経済的および環境的の両方の観点から、白金族金属の可溶性化合物の水溶液が好ましい。例えば、好適な化合物は、塩化白金酸、アミン可溶化白金水酸化物、硝酸パラジウムまたは塩化パラジウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ヘキサミンロジウムなどである。焼成工程中、または少なくとも触媒の使用の初期段階中に、そのような化合物は、白金族金属またはその化合物の触媒的に活性な形態へと転化される。
【0057】
本発明の第1の態様の実施形態は、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を含むリーンバーンエンジン排気処理物品に関する。1つ以上の実施形態では、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、少なくとも50%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含むウォッシュコート層を担体基材上に含む。1つ以上の実施形態では、第1の担体材料は100%のアルミナを含む。1つ以上の実施形態では、第1の担体材料は本質的にセリア及びアルミナからなる。1つ以上の実施形態では、第1の担体材料は20~50質量%のセリア及び50~80質量%のアルミナを含む。1つ以上の実施形態では、セリア及びアルミナは、30:70のアルミナに対するセリアの比で存在する。1つ以上の実施形態では、セリア及びアルミナは、50:50のアルミナに対するセリアの比で存在する。
【0058】
ウォッシュコート層は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料を更に含む。1つ以上の実施形態では、還元性金属酸化物は、CeO2、MnO2、Mn2O3、Fe2O3、CuO、またはCoOである。1つ以上の実施形態では、還元性金属酸化物は100%のセリアである。1つ以上の実施形態によれば、白金族金属は、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料に直接的に含浸されない。1つ以上の実施形態では、白金族金属は白金およびパラジウムを含む。1つ以上の実施形態では、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物の少なくとも1つの層に、バルク粒子の還元性金属酸化物と共にアルミナ上にPtまたはPt/Pdを含有する。1つ以上の特定の実施形態では、バルク粒子の還元性金属酸化物はセリアである。バルク粒子の還元性金属酸化物がセリアである1つ以上の特定の実施形態では、セリアの粒子は活性アルミナの粒子と混合され、これにより、例えば、焼成の際にアルミナ粒子内に配置されるセリアに転化されるセリア化合物の溶液をアルミナ粒子に含浸させるのとは対照的に、セリアは固体またはバルク形態で存在してよい。1つ以上の非常に特定の実施形態では、第1の担体は、Y、Nd、Sm、Zr、Nb、La、およびPrの酸化物のうちの1つ以上でドープされている。1つ以上の実施形態では、第1の担体材料は、アルミナと、Y、Nd、Sm、Zr、La、NbおよびPrの酸化物を含むがこれに限定されないドーパントとを含み得る。
【0059】
1つ以上の実施形態では、第1の担体材料及び、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料は、異なる組成を有する。他の実施形態では、第1の担体材料及び、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料は、同じ組成を有する。
【0060】
上述のように、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。特定の実施形態では、白金族金属は、白金、パラジウム、およびそれらの混合物から選択される。特定の実施形態では、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの混合物から選択される。1つ以上の実施形態では、白金族金属成分は、PtおよびPdのうちの1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、白金族金属成分は、PtおよびPdのうちの1つ以上を含む。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ウォッシュコート層は、第2の担体材料上にRhを更に含む。1つ以上の実施形態では、Rhは、第2の担体上に0~20g/ft3の範囲で存在する。1つ以上の実施形態では、Rhは、第2の担体上に2~10g/ft3の範囲で存在する。1つ以上の実施形態では、Rhは、第2の担体上に3~7g/ft3の範囲で存在する。1つ以上の実施形態では、ウォッシュコート層は、還元性金属酸化物、アルミナ、およびジルコニウム、好ましくは酸化ジルコニウムに由来する化合物を含む第2の担体材料上にRhを更に含む。ジルコニウム化合物は、酢酸ジルコニウムなどの水溶性化合物として、または水酸化ジルコニウムなどの比較的不溶性の化合物として提供することができ、いずれも焼成の際に酸化物に転化される。触媒ウォッシュコート組成物の安定化および促進を向上させるのに十分な量が存在すべきである。特定の実施形態では、第2の担体材料は、50~95質量%の還元性金属酸化物および5~50質量%のジルコニアを含む。
【0062】
1つ以上の実施形態では、第2の担体材料は本質的にセリア及びアルミナからなる。1つ以上の実施形態では、第2の担体材料は20~50質量%のセリア及び50~80質量%のアルミナを含む。1つ以上の実施形態では、第2の担体材料は、30:70のアルミナに対するセリアの比で存在するセリア及びアルミナを含む。1つ以上の実施形態では、第2の担体材料は、50:50のアルミナに対するセリアの比で存在するセリア及びアルミナを含む。1つ以上の特定の実施形態では、第2の担体上の耐火性金属酸化物は、Mg、MnおよびZrの酸化物のうちの1つ以上でドープされる。1つ以上の非常に特定の実施形態では、耐火性金属酸化物は、MgおよびZrの酸化物のうちの1つ以上でドープされている。
【0063】
1つ以上の実施形態では、還元性金属酸化物はセリアであり、アルミナ及びセリアは、4:1~1:4の範囲のアルミナ:セリアの比でLT-LNT組成物中に存在する。1つ以上の実施形態では、アルミナ及びセリアは、1:1~1:4の範囲のアルミナ:セリアの比でLT-LNT組成物中に存在する。1つ以上の実施形態では、アルミナ及びセリアは、1:1~1:3の範囲のアルミナ:セリアの比でLT-LNT組成物中に存在する。1つ以上の実施形態では、LT-LNT組成物は、基材上にウォッシュコートとして配置され、アルミナは、1~4g/in3の範囲で存在する。
【0064】
1つ以上の実施形態では、LT-LNT組成物は、バリウムおよび他のアルカリ土類金属を含まない。1つ以上の実施形態では、LT-LNT組成物は1~10質量%のバリウム化合物を更に含んでよい。
【0065】
典型的には、本発明の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、基材上に配置される。基材は、触媒を調製するために典型的に使用される材料のいずれかであってよく、典型的にはセラミックまたは金属のハニカム構造を含む。例えば、細かい平行なガス流通路を有するタイプのモノリス基材であって、その通路は基材の入り口または出口面からそれを通って伸び、これによって通路はそれを通って流体流に解放である、基材などの任意の好適な基材を採用することができる。それらの流体入口からそれらの流体出口への本質的に真っ直ぐな経路である通路は、通路を通って流れるガスが触媒材料と接触するように触媒材料がウォッシュコートとして被覆された壁によって画定される。モノリス基材の流通路は、台形、長方形、正方形、正弦波状、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状およびサイズとすることができる薄壁チャネルである。
【0066】
本発明の実施形態によるリーンNOxトラップウォッシュコート組成物は、その技術における任意の既知の手段によって基材表面に適用され得る。例えば、触媒ウォッシュコートは、噴霧コーティング、粉末コーティング、もしくははけ塗り、または表面を触媒組成物に浸漬することによって適用され得る。
【0067】
本明細書に開示される低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物の1つ以上の実施形態のリッチ活性化の持続時間は、標準的なLNTと比較して著しく短く、より低い温度で適用され得る。低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物の1つ以上の実施形態は、標準LNTと比較して低い温度での貯蔵された硫黄の除去を行うことができる。低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物の1つ以上の実施形態では、NOxは、エンジンが停止したときに空の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)を確保する200~300℃で熱的に脱着され、次の始動のために高いNOx吸着が得られる。
【0068】
本発明の実施形態による低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、高いCOおよびHC性能を提供し、また、現在利用可能なPt/PdDOCおよびLT-LNT技術と比較して、顕著なPGMコスト減少潜在性も有する。
【0069】
少なくとも50%のアルミナを含む第1の担体材料に含浸された白金族金属成分を含むウォッシュコート層を含む本明細書に記載の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物であって、ウォッシュコート層が、バルク粒子の還元性金属酸化物を含む低温NOx貯蔵材料を更に含む、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、DOCウォッシュコート層を有する追加的なウォッシュコート層としてのDOCに組み込むことができ、これは本明細書ではLT-LNT/DOC触媒と称される。あるいは、本明細書に記載の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、活性DOCウォッシュコート層の一部として組み込むことができ、LT-LNT/DOC触媒を提供する。
【0070】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を利用するシステムに関する。システムの一実施形態では、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物が第1の基材上に提供され、選択的触媒還元(SCR)触媒がLT-LNT組成物の下流に提供される。SCR触媒は、フロースルーハニカム基材上またはウォールフロー基材上に提供され得る。LT-LNT組成物は、フロースルーハニカム基材上またはウォールフロー基材上に提供され得る。
【0071】
このシステムで使用するのに好適なSCR触媒組成物は、NOx成分の還元を効果的に触媒することができ、それ故、典型的にはより低い排気温度に関連する低負荷条件下であっても適切なNOxレベルを処理することができる。1つ以上の実施形態では、触媒物品は、システムに添加される還元剤の量に依存して、NOx成分の少なくとも50%をN2に転化することができる。また、そのシステムで使用するためのSCR触媒組成物は、粒子物質のすす画分が燃焼する温度を低下させることにより、理想的にはフィルタの再生を助けることができる。組成物の別の望ましい特質は、NH3が大気中に放出されないようにO2と過剰のNH3が反応してN2及びH2Oとなる反応を触媒する能力を有することである。
【0072】
SCR触媒組成物は、ディーゼル排気ガス組成物中にしばしば存在する硫黄成分への暴露時の劣化に耐えるべきであり、要求される再生温度に一致した許容可能な水熱安定性を有するべきである。
【0073】
好適なSCR触媒組成物は、例えば、5,300,472(’472特許)、4,961,917(’917特許)及び5,516,497(’497特許)に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。’472特許に開示された組成物は、二酸化チタンに加えて、タングステン、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、リン、ジルコニウム、バリウム、イットリウム、ランタン、またはセリウムのうちの少なくとも1種の酸化物、およびバナジウム、ニオビウム、モリブデン、鉄または銅のうちの少なくとも1種の酸化物を含む。’917特許に開示された組成物は、ゼオライト中に存在する鉄及び銅促進剤のうちの一方または両方を、促進剤とゼオライトの全質量の約0.1~30質量%、具体的な例では約1~5質量%の量で含む。開示された組成物は、特により高い促進剤濃度を有するそれらの組成物の場合、O2による過剰のNH3の酸化を促進することもできる。特定の実施形態では、SCR触媒はモレキュラーシーブを含む。様々な実施形態では、モレキュラーシーブはゼオライト骨格を有してよく、ゼオライト骨格は12以下のリングサイズを有してよい。1つ以上の実施形態では、ゼオライト骨格材料は、二重六員環(d6r)単位を含む。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ゼオライト骨格材料は、AEI、 AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、WENおよびそれらの組み合わせから選択されてよい。様々な実施形態では、ゼオライト骨格材料は、AEI、CHA、AFX、ERI、KFI、LEV、およびそれらの組み合わせから選択され得る。様々な実施形態では、ゼオライト骨格材料は、AEI、CHA、及びAFXから選択され得る。様々な実施形態では、ゼオライト骨格材料はCHAである。
【0075】
1つ以上の実施形態では、SCR触媒は、卑金属であり得る金属を更に含む。様々な実施形態では、卑金属、貴金属、またはそれらの組み合わせは、ゼオライト骨格材料の触媒活性を促進し得る。
【0076】
様々な実施形態では、選択的触媒還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、およびMn、ならびにそれらの組み合わせから選択される金属で促進される。様々な実施形態では、選択的触媒還元触媒は、Cu、Feおよびそれらの組み合わせから選択される金属で促進される。1つ以上の実施形態では、ゼオライト骨格材料は、銅および/または鉄で促進されるCHAである。
【0077】
下流SCR触媒を有する実施形態では、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、300℃未満の温度でNOxを貯蔵し、300℃を超える温度でNOxを熱的に脱着する。1つ以上の実施形態によれば、貯蔵されたNOxはリッチ条件下で300℃未満でN2に転化される。
【0078】
1つ以上の実施形態によれば、SCR触媒の上流に低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を組み合わせて利用するシステムは、SCR触媒の温度がSCR触媒によるNOx転化にとって低すぎる場合に有用である。また、低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、SCR触媒がより高い温度(例えば、300℃超)で活性である場合に低レベルのNOxを吸着する。それ故、SCR触媒の上流で低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)トラップを組み合わせて追加することにより、SCRシステムのより低い温度活性が著しく改善される。
【0079】
そのようなシステムはまた、フィルタおよび圧力調整器を含むポンプを介して尿素注入器にポンプ輸送される車両に搭載されて尿素/水溶液を貯蔵する水性尿素容器などの好適な還元剤導入システムも含んでよい。尿素注入器は、霧化された尿素/水/空気溶液をSCR触媒の上流に注入するノズルを含み得る。他の好適な還元剤導入システムは、尿素またはシアヌル酸プリル噴射器を含み得、それは、排気ガスによって加熱されて固体還元剤をガス化するチャンバーに尿素の固体ペレットを計量して入れることができる(約300~400℃の昇華温度範囲)。本発明の制御システムでの使用に特に好適な他の窒素系還元試薬または還元剤には、アンメライド、アンメリン、シアン酸アンモニウム、ビウレット、シアヌル酸、カルバミン酸アンモニウム、メラミン、トリシアノ尿素およびこれらの任意の数の混合物が含まれる。しかしながら、より広い意味での本発明は、窒素系の還元剤に限定されず、アルコール、エーテル、有機ニトロ化合物など(例えば、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルなど)を含む蒸留物燃料などの炭化水素、および様々なアミンおよびそれらの塩(特にそれらの炭酸塩)(グアニジン、メチルアミンカーボネート、ヘキサメチルアミンなどを含む)を含有する任意の還元剤を含み得る。
【0080】
別のシステムの実施形態では、本明細書に記載の低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物は、白金族金属成分を有する触媒化煤煙フィルタ(catalyzed soot filter:CSF)触媒の上流のシステムにおいて利用することができる。CSF触媒は、フィルタ、例えば、ウォールフローフィルターに組み込むかまたはコーティングすることができる。低温リーンNOxトラップ(LT-LNT)組成物を上記のDOC組成物と組み合わせた。DOCと組み合わせたLT-LNTは、上述の上流の還元剤注入器を有するSCR触媒の上流に配置され得るCSFの上流に配置され得る。それ故、システムの実施形態は、上述したように、還元剤注入器の上流及びSCR触媒の上流にあるPGM触媒化CSFの上流にLT-LNT/DOC組成物を含むであろう。LT-LNTがセリア成分と共にアルミナを含む担体上にPt/Pdを含む実施形態では、アルミナ及びセリア上のPt/Pdの相互作用によりDOCのライトオフが改善される。フィルタの再生後、0.95の空気燃料比で300℃において約5秒の短いリッチパージが使用され得る。代替的な実施形態では、高いCOおよびHC性能を有するLT-LNTは、OBD機能性を導入するため、及び更にCOおよびHCライトオフを改善するため、DOC配合物中に別の層として配置してよい。しかしながら、そのような実施形態では、エンジンは、LT-LNTの活性化のためにリッチ(DeNOx)状態下で動作しなければならない。
【0081】
更に別のシステムの実施形態では、リーンバーンエンジン排気ガス処理システムは、DOC組成物と組み合わされたLT-LNTの下流に位置するラムダセンサを含む。1つ以上の実施形態では、ラムダセンサはオンボード診断システムと通信する。一実施形態では、2つのラムダセンサ間のラムダ信号の遅延時間が測定される。1つ以上の実施形態では、1つのラムダセンサは、DOC組成物と組み合わされたLT-LNTの上流にあり、1つのラムダセンサは、DOC組成物と組み合わされたLT-LNTの下流にある。DOCの酸素貯蔵容量の劣化は、リーンからリッチまたはリッチからリーンに切り替える場合にLT-LNT/DOC触媒の炭化水素および一酸化炭素転化劣化と相関し得る。使用されるラムダセンサは、任意の好適なラムダセンサ、例えば、加熱された排気ガス酸素(HEGO)または汎用排気ガス酸素(UEGO)センサであり得る。
【0082】
遅延時間または入口と出口の信号との間の領域のいずれかが測定され得る。遅延時間の場合、酸素量は以下の式で与えられる。
【0083】
OSC[mg]=Δλ*Flow[kg/h]*Dt[s]*0.64 (1),
【0084】
(式中、OSC[mg]は、リーンからリッチへのエンジン動作条件への移行時に酸素貯蔵成分によって放出される酸素の質量であり、Δλは、DOCの前後で測定されたラムダ値の差であり、Flowは、吸入空気の質量流量であり、Δtは、リーンからリッチへの移行時に測定された触媒の前後のラムダジャンプ間の時間遅延である。)
【0085】
あるいは、ラムダ信号は、以下の式を使用して、触媒単位体積当たりの貯蔵される酸素の質量を計算するために積分することができる。
【0086】
【数1】
(式中、ρ
airは空気の密度であり、flowは取り込み空気質量流量を意味し、λ
in及びλ
outはDOCの前後で測定されたラムダ値を意味する。)
【0087】
本発明の別の実施形態によれば、LT-LNT/DOC触媒をパージするために使用される、リッチサイクルの間にH2形成を測定する、第1の水素センサの上流に、1つ以上の実施形態に従って記載されたLT-LNT/DOC触媒が配置される。OBDシステムは、第1の水素センサによって測定されたH2値を監視する。水ガスシフト(WGS)反応から決定される目標値は、OBDが警告または警報を提供すべきかどうかを決定するために使用される。
【0088】
本発明の別の実施形態によれば、LT-LNT/DOC触媒をパージするために使用される、リッチサイクルの間のNH3形成を測定する、第1のNH3センサの上流に、1つ以上の実施形態に従って記載されたLT-LNT/DOC触媒が配置される。OBDシステムは、第1のNH3センサによって測定されたNH3値を監視する。NOxとH2の反応によって形成されるNH3の量に基づいて事前に決定した目標NH3値から決定される目標値は、OBDが警告または警報を提供すべきかどうかを決定するために使用される。
【0089】
本発明の別の実施形態によれば、触媒をパージするためにリッチ期間の後のリーン期間中の低温でのNOx貯蔵を測定する第1のNOxセンサの上流に、1つ以上の実施形態に従って記載されたLT-LNT/DOC触媒が配置される。具体的には、LT-LNT/DOC触媒の上流のNOxセンサ及び下流のNOxセンサは、LT-LNT/DOC触媒上のNOx貯蔵を測定する。吸着したNOxの量は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)およびNOからNO2への転化に関してDOCの性能と相関がある。
【0090】
また、1つ以上の実施形態では、LT-LNT/DOC触媒の下流に配置された第1のNOxセンサは、NOx貯蔵期間の後に低温で触媒をパージするために、リッチ期間の間にNOxセンサを用いてNOxスリップを測定する。貯蔵されたNOxは放出され、N2への転化はLT-LNT/DOC触媒の劣化の関数である。具体的には、NOx吸蔵後、リッチなdeNOxパージが適用される。放出されたNOxの量は、N2へ転化されなかった結果として、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)およびNOからNO2への転化に関してDOCの性能と相関がある。OBDシステムは、第1のNOxセンサによって測定されたNOx値を監視する。LT-LNT/DOC触媒を出るNOxの量に基づいて事前に決定された目標NOx値から決定される目標値。
【0091】
1つ以上の実施形態では、リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン触媒のエージングを監視する方法は、ディーゼルエンジンのリーンバーンエンジン排気ガス流を本明細書に記載のLT-LNT触媒組成物に通すことと、排気ガス流の経路に位置するLT-LNT組成物の劣化を測定することと、LT-LNT組成物の劣化をリーンバーン酸化触媒の炭化水素転化効率の低下と相関させることと、を含む。1つ以上の実施形態では、リーンバーンエンジン触媒システムは、酸素貯蔵成分(OSC)を更に含む。1つ以上の実施形態では、酸素貯蔵成分(OSC)の量は、その酸素貯蔵容量における触媒の劣化が、ディーゼル酸化触媒の炭化水素および/または一酸化炭素を転化する能力の低下と相関し得るような充分な量で存在する。OSCの酸素貯蔵容量は、リッチ排気ガスのパルスを適用し、ディーゼル酸化触媒(DOC)の前(上流)および後(下流)で測定されたラムダ応答のタイムラグを決定することによって測定することができる。例えば、排気流中の炭化水素または一酸化炭素を減少させるDOCの能力が、所定の事前に決定されたまたは事前に選択されたレベルを下回った場合、酸素貯蔵容量の劣化に起因してOBDシステムによって検出される触媒の上流および下流で測定されたラムダ信号の間の遅延時間の減少も生じる。酸素貯蔵成分は、貴金属成分の炭化水素転化が予め選択された値未満に低下する貴金属成分の失活温度範囲と一致する事前に選択された失活温度範囲を有し得る。そのため、この相関はOSCの劣化をディーゼル触媒性能の劣化で較正することによって達成することができる。次いで、OBDシステムは、排気システムのメンテナンスの必要性を示す車両オペレータに対する信号または警報を提供し得る。1つ以上の実施形態では、スラリー中で還元性金属酸化物と共にPGM含浸アルミナを添加することによって、PGMと還元性金属酸化物、例えば、セリア化合物との相互作用が生成される。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。それ故、PGMとOSCとの間の相互作用は、還元性金属酸化物にPGMを含浸させることによる直接的な相互作用ではなく、スラリー中でOSCと共にPGMを粉砕することによって生成される間接的な相互作用である。
【0092】
還元性環境では、リーンNOxトラップ(LNT)は、炭化水素の水蒸気改質反応及び水性ガスシフト(WGS)反応を促進して、還元剤としてのH2を提供することによって反応を活性化させ、NOxを減少させる。水性ガスシフト反応は、一酸化炭素が水蒸気と反応して二酸化炭素および水素を形成する化学反応である。1つ以上の実施形態では、LT-LNT組成物の劣化を測定する工程は、ラムダセンサを用いて250℃でリッチパージ中にH2含有量について排気ガス流を監視することを含む。1つ以上の実施形態では、第1のラムダセンサをディーゼル酸化触媒(DOC)の上流に位置させてよく、第2のラムダセンサをDOCの下流に位置させてよい。1つ以上の実施形態では、第1のラムダセンサ及び第2のラムダセンサは、オンボード診断システム(OBC)と通信する。1つ以上の実施形態では、DOCはOBD機能を提供してよく、その場合、DOCの上流に位置する第1のラムダセンサとDOCの下流に位置する第2のラムダセンサとの間のラムダ信号の遅延時間を使用して、排気ガス流の経路に位置する酸素貯蔵成分の劣化を測定することができ、酸素貯蔵触媒(OSC)の劣化を炭化水素転化効率の低下と相関させる。リーンからリッチまたはリッチからリーンに切り替える場合、OSCの劣化はCO/HC劣化と相関し得る。
【0093】
1つ以上の実施形態では、LT-LNT組成物の劣化を測定する工程は、NH3センサを用いてリッチパージ中にNH3含有量について排気ガス流を監視することを含む。リッチ処理中のDOCからのNH3形成は、NOxとH2の反応の結果、NH3センサによって測定される。リッチパージ中にH2形成が生じる場合、DOCの下流のラムダ信号は目標値(WGS反応から)よりも低い。
【0094】
1つ以上の実施形態では、リーンバーンエンジン触媒システムにおけるリーンバーン酸化触媒のエージング状態を監視する方法は、炭化水素転化効率が予め選択された値未満に低下したときに警報を作動させることを更に含む。
【0095】
これより本発明を以下の実施例を参照して説明する。本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載された構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【実施例】
【0096】
1.Rh及びPGM担体の影響
1.1 例1.1~1.3-LT-LNT対DOCおよびRhの影響
以下の表1に示されるように、DOCはサンプル1.1と称され、先行技術のDOCのサンプルを表している。LT-LNT Aは、サンプル1.2と称され、本発明のLNTのサンプルを表している。LT-LNT Bは、サンプル1.3と称され、本発明のLNTのサンプルを表している。
【0097】
【0098】
サンプル1.1先行技術のDOC
試料1.1の第1(底部)層を調製するために、硝酸パラジウム溶液を0.75g/in3の高多孔質アルミナに添加して、22g/ft3のPdとした。得られたフリットを水および酸(例えば、酢酸)に分散させ、粉砕し(milled)25マイクロメートルの粒子径d90とした。このスラリーに、0.75g/in3のOSC材料(ZrO2:43.5wt%、CeO2:45wt%、La2O3:8wt%、Pr6O11:2wt%、HfO2:1.5wt%)を分散及び粉砕して7マイクロメートルの粒子サイズとした。最終のスラリーをモノリス上にコーティングし、110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成した。サンプル1.1の第2の(中間の)層を調製するために、1.5g/in3の高多孔質アルミナに硝酸パラジウムの水溶液を含浸させ、30g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。得られた粉末を水に分散させた。アンミン安定化されたヒドロキソPtIV錯体としての白金を有する白金溶液を添加して、Pt60g/ft3の乾燥含有量を得た。スラリーのpHを4.5に調整した後、スラリーを粉砕して16μmの粒子径d90とした。次いで、スラリーを第1層上にコーティングし、110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成した。
【0099】
サンプル1.1の第3の(上の)層を調製するために、0.25g/in3の高多孔質アルミナおよび0.5g/in3のOSC材料(ZrO2:43.5wt%、CeO2:45wt%、La2O3:8wt%、Pr6O11:2wt%、HfO2:1.5%)を混合し、硝酸パラジウム水溶液を含浸して、8g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。次に、含浸された材料を水および酸(例えば、酢酸)に分散させ、粉砕して20マイクロメートルの粒子径d90とした。0.5g/in3のH-ベータゼオライトを水に浸漬して45%の固体含有量とした。貴金属含有スラリーをH-ベータスラリーと混合し、15μmの粒子径d90とし、次に、第2層上にコーティングし、110℃の空気で乾燥し、空気中で590℃で焼成した。
【0100】
サンプル1.2 LT-LNT(本発明)
本発明の実施形態であるサンプル1.2を調製するために、3g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt51g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して4.5g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。このスラリーに、100%セリア材料(1.1g/in3);酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)を添加した。得られたスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーをセラミックフロースルー基材上にコーティングする。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0101】
サンプル1.3 LT-LNT(本発明)
本発明の実施形態であるサンプル1.3を調製するために、3g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt51g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して4.5g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0102】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.3g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、4.5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0103】
得られたRh/セリアスラリー、100%セリア材料(0.8g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーをセラミックフロースルー基材上にコーティングする。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0104】
New European Driving Cycle(NEDC)のCO及びHCの性能評価
サンプル1.1-1.3を、3つの標準的なNew European Driving Cycles(NEDC)でEuro6 2Lエンジンを備えたエンジン試験セルで試験した。試験前に、サンプル1.1-1.3を10%水蒸気を有する空気流下で750℃で15時間エージングさせた。サンプル1.2および1.3のLT-LNTの場合、リッチエンジンモードをLambda0.95で7秒間、NEDCにおける1075sポイントで適用した。サンプルについてのCOおよびHC転化率を表2に示すように測定した。最初の4ECEサイクルにわたる平均温度は120℃であった。より高い転化率は、より良好なガス活性を特徴付ける。
【0105】
【0106】
表2に示されているように、サンプル1.2およびサンプル1.3の低PGM装填LT-LNTのCO性能は、およそ2倍のPGM量を有するDOC(サンプル1.1)と同等の性能を示している。DOCのHC性能は、配合物中のゼオライトのためにより高い。
【0107】
DeNO
x性能評価のためのリーン/リッチサイクル試験
DeNO
x性能評価のために、リーン/リッチサイクル試験を使用した。リーン/リッチサイクル試験は、190℃~500℃の7つの異なるプレ触媒温度で実施される7回のリーン/リッチサイクルからなるエンジン試験である。試験開始時の各温度について、全ての硝酸塩がLT-LNTから脱着されることを保証するために30秒のリッチ動作が実施される。リーン段階では、エンジンから出たNO
xはLT-LNT触媒上に貯蔵される。リーン段階の後、エンジンは10~15秒間のリッチモードに入る。リッチモードの間、触媒上に貯蔵されたNO
x大部分は窒素に転化される。最後の5サイクルにわたる平均NO
x転化率および最後の5サイクルにわたるリッチ段階中のNO
x放出量を監視し、評価する。
図1及び
図2は、16時間水熱オーブンでエージングされたサンプル1.2および1.3のNO
x転化及びNO
xブレークスルーを示している。サンプル1.3におけるRhは、300℃より低い温度でリッチ段階の間のNO
xスリップを減少させ、それ故、温度範囲内のNO
x転化率を増加させる。
【0108】
1.2 例1.4及び1.5-PGMの位置
以下に表3に示されているように、LT-LNT Cは、サンプル1.4と称され、本発明のLNTのサンプルを表している。LT-LNT Dは、サンプル1.5と称され、先行技術のLNTのサンプルを表している。
【0109】
【0110】
サンプル1.4 LT-LNT(本発明)
本発明の実施形態であるサンプル1.3を調製するために、3g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt51g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して4.5g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。このスラリーに、100%セリア材料(2.25g/in3);酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)を添加して混合した。得られたスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。粉砕したスラリーにH-ベータゼオライト材料(0.5g/in3)を添加した。次に、最終的なスラリーをセラミックフロースルー基材上にコーティングする。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0111】
サンプル1.5 先行技術のLNT(比較)
先行技術のLT-LNTのサンプルを表すサンプル1.5を調製するために、2.25g/in3の100%セリア材料にまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt51g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して4.5g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。このスラリーに、高い多孔質のアルミナ(2.0g/in3);酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)を添加して混合した。得られたスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。粉砕したスラリーにH-ベータゼオライト材料(0.5g/in3)を添加した。次に、最終的なスラリーをセラミックフロースルー基材上にコーティングする。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0112】
COおよびHC性能試験のためのライトオフ試験
サンプル1.2、1.4及び1.5のライトオフ性能をエンジン試験セルで試験した。試験前に、サンプルを10%水蒸気を有する空気流下で750℃で15時間エージングさせ、次いでエンジンで10秒間300℃でリッチラムダパージによって活性化した。ライトオフ試験のために、各サンプルを、3Lの排気量を有する6気筒の軽量ディーゼルエンジンからの排気ラインにおける下流に配置した。排気流中のCOおよびHC濃度は、それぞれ1250ppmおよび200ppm(C3基準)で一定であった。標準的な条件下でのガス流量はおよそ45m3/hであった。温度傾斜は2℃/分であった。
【0113】
ライトオフ温度が低いほど良好なガス活性を特徴とする。
【0114】
図3および4に示されているように、セリアに含浸されたPt/Pdを有するLT-LNT(サンプル1.5)は、アルミナ担体に含浸されたPt/Pdを有する対応するLT-LNT(サンプル1.4)と比較して、著しく低いCO及びHC性能を示している。ゼオライトの組み込みはLT-LNTのHC性能を改善する。
【0115】
1.3 実施例1.6および1.11-アルミナ:セリア比、Baおよび担体類型、およびLNT
【0116】
【0117】
サンプル1.6 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Bのサンプルを表すサンプル1.6を調製するために、3g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0118】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.3g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0119】
得られたRh/セリアスラリー、100%セリア材料(0.8g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0120】
サンプル1.7 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Eのサンプルを表すサンプル1.7を調製するために、1.8g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0121】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.4g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0122】
得られたRh/セリアスラリー、100%セリア材料(2.85g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0123】
サンプル1.8 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Fのサンプルを表すサンプル1.8を調製するために、1.8g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0124】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.4g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0125】
セリアへのBa含浸のため、2.85g/in3の100%セリア材料にBaOAcの水溶液(0.05g/in3)を含浸させた。得られた粉末を590℃で2時間焼成して、1.7%のBaO含有量を有するBa/セリア材料を得た。
【0126】
Rh/セリアスラリー、Ba/セリア材料(2.9g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0127】
サンプル1.9 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Gのサンプルを表すサンプル1.9を調製するために、1.8g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0128】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.4g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0129】
セリアへのBa含浸のため、2.85g/in3の100%セリア材料にBaOAcの水溶液(0.15g/in3)を含浸させた。得られた粉末を590℃で2時間焼成して、5%のBaO含有量を有するBa/セリア材料を得た。
【0130】
Rh/セリアスラリー、Ba/セリア材料(3g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0131】
サンプル1.10 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Hのサンプルを表すサンプル1.10を調製するために、1.3g/in3の多孔質アルミナにまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0132】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.4g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0133】
得られたRh/セリアスラリー、100%セリア材料(3.4g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0134】
サンプル1.11 LT-LNT(本発明)
本発明のLT-LNT Iのサンプルを表すサンプル1.11を調製するために、4.7g/in3のCe/Al(50%/50%)材料にまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt130g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0135】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.4g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0136】
得られたRh/セリアスラリー、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)、および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0137】
サンプル1.12 その技術のLNTの状態(比較)
サンプル1.12の第1(底部)層を調製するために、2.45g/in3のBa/Ce/アルミナ(20/13/67)にまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt90g/ft3の乾燥含有量を得、次に、硝酸パラジウムの水溶液を含浸して15g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。65~70%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0138】
100%セリア(2.45g/in3)、酢酸マグネシウム4水和物(0.3g/in3)および酢酸ジルコニウム(0.05g/in3)をPt/Pd/Ba/Ce/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して9μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0139】
サンプル1.12の第2の(頂部)層を調製するために、0.7g/in3の高多孔質アルミナ材料にまずアンミン安定化ヒドロキソPtIV錯体として白金を有する白金溶液を含浸してPt40g/ft3の乾燥含有量を得た。55~60%の固形分含有量を有する得られた粉末を水に分散させた。
【0140】
Rh含浸のために、100%セリア材料(0.5g/in3)を水に分散させて固形分含有量を43%とした。硝酸Rhの溶液をセリアスラリーに添加し、5g/ft3の最終乾燥Rh含有量を得た。
【0141】
得られたRh/セリアスラリーをPt/Pd/アルミナスラリーに添加した。その後のスラリーを粉砕して8μmの粒子径d90とした。次に、最終的なスラリーを金属フロースルー基材上にコーティングされる。コーティングされた基材を110℃の空気で乾燥させ、空気中で590℃で焼成する。
【0142】
DeNO
x性能評価のためのリーン/リッチサイクル試験
DeNO
x性能評価のために、リーン/リッチサイクル試験を使用した。リーン/リッチサイクル試験は、200℃~500℃の7つの異なるプレ触媒温度で実施される7回のリーン/リッチサイクルからなるエンジン試験である。試験開始時の各温度について、全ての硝酸塩がLT-LNTから脱着されることを保証するために30秒のリッチ動作が実施される。リーン段階では、エンジンから出たNO
xはLT-LNT触媒上に貯蔵される。リーン段階の後、エンジンは10~15秒間のリッチモードに入る。リッチモードの間、触媒上に貯蔵されたNO
x大部分は窒素に転化される。
図5及び6に示されているように、最後の5サイクルにわたるサンプル1.6~1.9及びサンプル1.11の平均NO
x転化率および最後の5サイクルにわたるリッチ段階中のNO
x放出量を監視し、評価する。LT-LNTをオーブン内で800℃で16時間水熱的にエージングする。
【0143】
図5に示されているように、LT-LNTにおけるBaの装填を増やすと、低温でのNO
x転化率が改善し、さらに、LT-LNTの温度窓がより高い温度に広がる。
図6に示されているように、LT-LNTにおけるアルミナに対するセリアの比が低いほど、低温範囲でのNO
x転化率が向上する。
【0144】
世界軽量調和試験サイクル(WLTC)-DeNOx、CO、およびHC性能評価
サンプルは、標準的なWLTC手順を用いてエンジン試験セルで下流のフィルタ上SCR(SCRoF)技術を用いて試験した。試験セルにユーロ5 1.6Lエンジンを装備し、SCRoFの上流に尿素を絶えず投与し、アンモニアとNOx比の公称化学量論比(NSR)は1.2であった。WLTCサイクルの最初の1000秒における平均温度は135℃であった。SCRoF技術は現在、Cu-SCR技術で利用可能であった。試験前に、サンプルを10%水蒸気または690℃のLT-LNT床温度での40の標準的DeSox事象を有する空気流下で800℃で16時間エージングさせた。LNTおよびLT-LNTの場合、ラムダ0.95でサイクルにおける5つの異なる位置でWLTC中にリッチエンジンモードを適用した。サンプルのNOx、COおよびHC転化率を測定した。より高い転化率は、より良好なガス活性を特徴付ける。表5は、第3のWLTCの下流のSCRoFを用いたDOCまたはLT-LNTを有する処理システムのオーブンでエージングされた後の転化率を示しており、触媒システムの放出流は次の通りである:NOx=0.335g/km;CO=1.7g/km;HC =0.220g/km)。
【0145】
表5に示されているように、最先端のCu-SCR技術を用いたLT-LNTシステム(サンプル1.7および1.10)にわたるNOx、COおよびHC転化率は、DOC系システム(サンプル1.1)と比較して有意に高い。
【0146】
【0147】
表6は、第3の試験のWLTCの下流のSCRoFを用いたLNTまたはLT-LNTを有するDesoxエージングシステムでの転化率を示しており、触媒システムの放出流は次の通りである:NOx=0.290g/km;CO=1.7g/km;HC=0.220g/km)。表6に示されているように、先行技術のLNT系システム(サンプル1.12)と比較した場合、LT-LNT系システム(サンプル1.7)は、同等のNOx転化率およびより高いCOおよびHC転化率を示す。
【0148】
【0149】
本明細書を通して、「一実施形態」、「所定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「ある実施形態」についての言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故、本明細書を通して様々な箇所における「1つ以上の実施形態では」、「所定の実施形態では」、「1つの実施形態では」または「ある実施形態では」という語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な手法で組み合わせてよい。上記の方法の記載の順序は限定的であるとみなされるべきではなく、方法は、記載された動作を順不同で、または省略または追加にを伴って使用してよい。
【0150】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されていることを理解されたい。多くの他の実施形態は、上記の説明を検討することにより当業者に明らかであろう。そのため、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。