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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】ディスプレイ及びプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20220411BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220411BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220411BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20220411BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220411BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220411BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
G09G3/20 680C
G09G3/20 680E
G09G3/20 612U
G09G3/20 632G
G09G3/20 641A
G09G3/20 641G
G09G3/20 641J
G09G3/20 641K
G03B21/14 Z
G09G3/34 D
G09G3/36
G09G5/00 510B
G09G5/00 520A
G09G5/36 520C
H04N5/74 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018027761
(22)【出願日】2018-02-20
(62)【分割の表示】P 2016149508の分割
【原出願日】2009-01-27
(65)【公開番号】P2018092189
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2018-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】12/021,206
(32)【優先日】2008-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワード、グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ダンバーグ、ガーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ゼーツェン、ヘルゲ
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】居島 一仁
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-266289(JP,A)
【文献】特開2005-196215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G3/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタであって、
第一の空間光変調器と、
前記第一の空間光変調器を照明するように構成され、かつ発光状態と暗い状態との間で切り替えるように構成されたレーザー光源と、
ここで、前記第一の空間光変調器は、異なる状態の間で切り替えることのできる複数の第一の要素を含み、
第二の空間光変調器と、
画像データに基づいて前記第一及び第二の空間光変調器用の第一及び第二の制御信号をそれぞれ生成するように構成されたコントローラと、
画像データは、表示されるべき画像フレームを形成し、
前記コントローラは、表示されるべき画像フレームに関する画像データに基づいて状空間パターンを生成するように構成され、
前記コントローラは、画像フレームに関する画像データに基づく前記空間パターンに従って第一の空間光変調器の前記複数の第一の要素の状態を決めるために前記第一の制御信号を生成するように構成され、前記空間パターンは空間的に変化する密度を持ち、
前記第一の空間光変調器により変調された光を前記第二の空間光変調器に向けるように配置された伝達光学素子であって、前記第一の空間光変調器上から発する光を拡散して、光が前記第二の空間光変調器上に拡散するようにする伝達関数により特徴付けられた前記伝達光学素子と、
デジタル・ローパス空間フィルターとを備え、
前記第二の空間光変調器は、異なる状態の間で切り替えることのできる複数の第二の要素を含み、前記コントローラは前記画像フレームの間に複数回異なる状態の間で前記第二の空間光変調器の前記複数の第二の要素を切替るように構成され、
前記コントローラは、前記空間パターン及び前記伝達関数に対応して前記第二の空間光変調器の光照射野の予測を算出し、前記画像フレームに関する画像データおよび予測された光照射野に基づく訂正マスクにより前記第二の制御信号を生成するように構成され、
前記コントローラは、前記デジタル・ローパス空間フィルターを前記空間パターンに適用することにより前記光照射野を予測するように構成される、プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータディスプレイ、TVディスプレイ、デジタルシネマプロジェクタ、ホームシアターディスプレイ、航空機、船舶、トラック、乗用車等の様な車両のシミュレータ用のディスプレイ、ゲームシステム用ディスプレイ、シミュレーションタイプ娯楽用乗物のディスプレイ、デジタルフォトフレーム、HDTVモニター、ハイダイナミックレンジ(HDR)画像システム等の様な電子ディスプレイに関する。本発明は特に光が2段階で変調されるディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ディスプレイは広い範囲で応用されて使用される。ある電子ディスプレイは空間光変調器を持つ。空間光変調器の要素は視聴者に観察されうる画像を提供するために画像データに反応して制御される。ある空間光変調器の要素は2段階を持つ「バイナリー」要素である。ある状態では前記要素は光を視野領域へ送り、他の状態では前記要素は光を視野領域へ送らない。
【0003】
デジタルミラー装置(DMD)はバイナリー空間光変調器の一つの例である。DMDはミラーの配列を提供する。各ミラーは2つの状態の間でスイッチが切り替わる。あるミラーの状態は、ミラーの位置のDMD上の入射光線を視野領域まで運ぶ経路に沿って通過するか否かを決定することができる。ミラーが「ON」の状態の場合、光はミラーに対応する視野領域の位置に向けられる。ミラーが「OFF」の状態の場合、光は視野領域に運ばない経路に向けられる。OFFの状態の光は通常ヒートシンクに向けられる。
【0004】
バイナリー空間光変調器の要素はそれに急速にスイッチを入れまた切ることにより中間の輝度値の表示を制御しても良い。人間の観測者により感知される明るさは、その要素がON及びOFF状態にある間の相対的時間量を調整することにより変えることができる。
【0005】
あるディスプレイは一連の光変調器を提供する。その様なディスプレイでは、光は第一及び第二の光変調器により連続的に変調される。ディスプレイの例はPCT国際公報WO2003/077013及び米国特許第6891672号に記載がある。PCT国際公報番号WO2003/077013は制御可能な発光素子の配列を持つ光ソース及びその光ソースからの光を変調するための制御可能な透過率の要素の配列を持つ空間光変調器について記述する。米国特許第6891672号は光ソースからの光を変調するために連続して配置された第一及び第二の空間光変調器について記述する。各空間光変調器は制御可能なピクセルの配列を持ち、一つの空間の各ピクセルは他の一つの空間光変調器の複数のピクセルに対応する。
【0006】
高品質画像を提供することのできる経済的なディスプレイへの要求がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は種々の特徴を持つ。本発明の一つの特徴ではディスプレイの提供である。ディスプレイは、例えば、コンピュータディスプレイ、テレビ、デジタルプロジェクタ等を含んでも良い。ディスプレイは光を第一の空間光変調器に向けることのできる光ソースを含む。第一の空間光変調器はON及びOFFの状態の間で切り替えることのできる複数の第一の要素を含む。ディスプレイは第一の空間光変調器により変調された光を第二の空間光変調器に向けるように配置された伝達光学素子及び、画像データに基づき第一及び第二の空間光変調器のためにそれぞれ第一及び第二の制御信号を生成する様に構成されたドライバーを含む。ドライバーは画像データに基づきあるパターンを生成するように構成される。前記パターンは空間的に変化する密度を持つ。パターンは例えば、画像データに由来する空間ディザー(dither)を含むこともある。ドライバーは前記パターンにしたがい第一の空間光変調器の要素を決めるために第一の制御信号を生成する様に構成される。伝達光学素子は、第一の空間光変調器から発する光を第二の空間光変調器において不鮮明にする伝達関数により特徴付けられる。
第二の空間光変調器はまたON及びOFFの状態の間で切り替えることのできる複数の要素を含む。その様な場合、ドライバーはある画像フレームの間に複数回ON及びOFFの状態の間で第二の空間光変調器の要素を切替る様に構成しても良い。第二の空間光変調器の要素の切替えは、例えば、バイナリーパルス幅変調方式により実施しても良い。
【0008】
ある実施の態様においては、ドライバーはパターンに対応する第二の空間光変調器の光照射野を予測し、そして第二の制御信号を予測された光照射野に基づくように構成する。
本発明の他の特徴では以下を含むディスプレイを提供する:光を生成する手段;光のバイナリー変調のための第一の手段であって、第一の手段はON及びOFFの状態の間で切り替えることのできる複数の第一の要素を含む手段;第一の手段により変調された光を不鮮明にする手段であり、不鮮明化された光をバイナリー空間光変調器に向ける手段;画像データに基づき第一の手段のために第一の制御信号を生成する手段であり、第一の制御信号を生成する手段は画像データに基づきパターンを生成する手段を含み、前記パターンは空間的に変化する密度を持つ、前記手段;及び画像データに基づきバイナリー空間光変調器のために第二の制御信号を生成する手段である。
本発明の他の特徴は画像を表示するための方法を提供する。前記方法は、画像に基づきバイナリーパターンにしたがい第一のバイナリー空間光変調器の要素を設定することを含む。このパターンは空間的に変化する密度を持つ。前記方法は、第一のバイナリー光変調器の画像を不鮮明にして第二の空間光変調器に伝達して第二の空間光変調器において光照射野を作り出し、そして光照射野を第二の空間光変調器により変調して画像を再構築する。
【0009】
ある実施の態様においては、光照射野を第二の空間光変調器により変調することには第二の空間光変調器の要素をON及びOFFの状態の間で切り替えることにより光照射野の時間ディザー(dithering)を実施することを含む。
ある実施の態様は、パターンに対応する光照射野の予測を算出すること、及び画像データ及び光照射野の予測に従って第二の空間光変調器を制御することを含む。
本発明の他の特徴では第一及び第二の空間光変調器を含むディスプレイのコントローラを提供する。コントローラは、画像に基づき空間的に変化する密度を持つバイナリーパターンに従い、第一の空間光変調器の複数の要素の各々をON又はOFFの状態に置くために第一の空間光変調器に第一の制御信号を生成し、そして第二の空間光変調器の複数の要素の各々をON及びOFFの状態の間で切替て第二の空間光変調器に第二の制御信号を生成して、要素への入射光線の時間ディザーを実施するように構成される。第二の制御信号は、第一の空間光変調器により変調された光の予測光照射野及び画像データに反応する。
【0010】
本発明の特別な実施の態様の特徴と並び、本発明の更なる特徴を以下に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は本発明の実施の態様を表すが、本発明の実施の態様を限定するものでない。
図1図1は本発明の簡単な実施の態様による単色ディスプレイを表す概略図である。
図2図2は本発明の実施の態様による画像の表示の方法を示すフローチャートである。
図3図3Aは異なるレベルの明るさの部分を持つ画像を示す。図3B図3Aに示す画像を表すディザパターンの例を示す。
図4図4は画像の各位置に亘る種々の特徴の変化を示すグラフである。
図5図5は2つの空間光変調器を制御するために連結された本発明の実施の態様の例によるディスプレイのコントローラのブロック略図である。
図6図6は本発明の他の実施の態様のカラーディスプレイを示す略図である。
図7図7は本発明の他の実施の態様のカラーディスプレイを示す略図である。
図8図8は本発明の他の実施の態様のコントローラのブロック略図である。
図9図9は本発明の他の実施の態様のカラーディスプレイを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記述を通じて、本発明をより完全に理解するために特定の詳細な記載がなされている。しかし、本発明はこれらの詳細に記述された部分がなくとも実施されうる。他の例では、発明を不必要に不明確にしないために周知の要素はその詳細を示しておらず、又は記載していない。したがって、明細書及び図面は、発明を限定すると言うより説明のためのものと見做すべきである。
【0013】
図1は本発明の実施の態様の例による単色ディスプレイを示す。ディスプレイ10は光ソース12を含む。光ソース12からの光13は第一の空間光変調器14に光を照射する。光ソース12は、例えば、以下を含む:
・ レーザ
・ キセノンランプ
・ レーザーダイオード又は他の半導体発光体の配列
・ アークランプ等。
【0014】
第一の空間光変調器14は複数の制御可能な要素16を含む。要素16は適当な制御回路18によりON及びOFFの状態を切り替えることができる。それがONの状態の場合、要素16は、要素に当った入射光13を第二の空間光変調器20の対応する領域に送ることを可能にする。それがOFFの状態の場合、要素16から第二の空間光変調器20の対応する領域に通過する光の量は減少する。理想的には、要素16がOFFの状態の場合、実質的に要素16からの光は第二の空間光変調器20の対応する領域に到達しない。
【0015】
第一の空間光変調器14は種々の広範な方法により実施しても良い。第一の空間光変調器14はある実施の態様においてはDMDを含む。他の実施の態様においては、第一の空間光変調器14は他の機構によりON及びOFFの状態を切り替えることのできる光を反射し又は透過させる要素の配列を含む。例えば、その様な実施の態様では、第一の空間光変調器14はLCDパネル、LCOSチップ等を含む。他の実施の態様においては、光ソース12及び第一の空間光変調器14の機能は組み合わされる。その様な実施の態様では、第一の空間光変調器14はスイッチをON又はOFFにする(又はそうでなければ、発光と暗い状態の間で切り替える)ことの出来るレーザーのような光ソースの配列を含んでも良い。
【0016】
第二の空間光変調器20は複数の制御可能な要素22を含む。各制御可能な要素22は、視野領域に伝達される第一の空間光変調器14からの要素22ヘの入射光25の割合を選択する様に制御することができる。
第二の空間光変調器22は、例えば、以下の様な任意の好適な技術により提供されうる:
・ 液晶ディスプレイ(LCD)パネル
・ シリコンLCOSチップ上の液晶
・ マイクロミラーアレイ
・ 磁気光学装置
・ 光弁
等。
【0017】
ある実施の態様においては、第二の空間光変調器20はON及びOFFの状態を切り替えることのできる光を反射し又は透過させる要素を含む。その様な実施の態様では、第二の空間光変調器20はその要素をON又はOFFにするコントローラにより制御しても良い。
【0018】
ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14及び第二の空間光変調器20はそれぞれDMD又は他の制御可能なマイクロミラーの2次元の配列を含む。その様な実施の態様ではDMDのソースは比較的経済的に確保することができる優位性があり、そして現在DMDを組み入れている装置の設計及び生産に対して幅広い支持を与えている。
【0019】
伝達光学素子26は第一の空間光変調器14から第二の空間光変調器20に光25を運ぶ。第一の空間光変調器14の全ての要素16がONの場合、光25は第二の空間光変調器20の全活動領域を照明することができる。光25は第二の空間光変調器20のエッジを通り過ぎて拡がることもある。
【0020】
伝達光学素子26は光25を不鮮明にする。伝達光学素子26は、第一の空間光変調器14上のある点からの光25がどの様に第二の空間光変調器20に広がるかを少なくとも近似させる伝達関数により特徴付けられても良い。
【0021】
第二の空間光変調器20への入射光のパターンは第一の変調器14の構成(すなわち、要素16のいずれがONとなり、そして要素16のいずれがOFFとなるか)及び伝達関数から予測され又は決定することができる。
【0022】
伝達光学素子26により導入される不鮮明のため、第二の空間光変調器20の任意の要素への入射光25は第一の空間光変調器14の複数の要素14から生ずると考えられる。第二の空間光変調器20の要素22の照明のために極めて多量の光を供することのできる第一の空間光変調器14の要素16の数は主に第一の空間光変調器14の伝達関数の幅及び要素16のサイズによる。
【0023】
ある実施の態様においては、第一及び第二の空間光変調器14及び20は同じ又は同様の数の制御可能な要素を持つ。ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14は第二の空間光変調器20が持つ制御可能な要素22よりもはるかに少ない制御可能な要素16を持つ。ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14は約140から約1600の要素16の配列を持つ。第一及び第二の空間光変調器が異なる空間解像度を持つ場合、ある実施の態様においては、第二の空間光変調器はより高い解像度を持ち、ある実施の態様においては、第一の空間光変調器はより高い解像度を持つ。
【0024】
ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14の制御可能な要素16は規則正しい配列で配置されている。その配列は長方形であっても良く、横がM行で縦がN行の制御可能な要素16を含んでも良い。ある実施の態様においては、第二の空間光変調器20の制御可能な要素22は規則正しい配列で配置されている。例えば、その配置は長方形であっても良く、横がP行、縦がQ列を含んでも良い。ある実施の態様においては、第二の空間光変調器20は幅と高さの比が16:9である。
【0025】
ある実施の態様においては、同じ領域内により少ない要素を持つDMD又は他の空間光変調器は、同じ領域内により多くの要素を持つDMD又は他の空間光変調器よりもより高いフィルファクター(fill factor)を持つこともあるという事実を利用している。この様に、全ての他のファクターが同じ場合には、低い解像度の第一の空間光変調器が第二の空間光変調器に送ることのできる光の最大量は、より大きい解像度の空間光変調器により送ることのできる光の最大量よりも大きいことがある。
【0026】
ある実施の態様においては、第一及び第二の空間光変調器の内の、より低い解像度を持つものの光学フィルファクターは少なくとも85%である。ある実施の態様においては、第一及び第二の空間光変調器の両方の光学フィルファクターは少なくとも85%である。
【0027】
ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14は、第二の空間光変調器20中の要素22の全数量よりも少なくとも2から4の係数で少ない全要素の数は16である。伝達光学素子26により導入される不鮮明さは第一の空間光変調器14の低い解像度により引起されうる何れの「ブロッキング」をも減少させ又は除去する。
【0028】
伝達光学素子26は、第一の空間光変調器14(主にON状態の要素16)から発する光25を第二の空間光変調器20に伝達する任意の好適な配置のレンズ、ミラー、ディフューザ等を含んでも良い。好適な伝達光学素子26の例には:
・ 第一の変調器14の焦点の定まらない画像を第二の変調器20に映写するレンズ又はレンズシステム
・ ディフューザと組み合わせたレンズ又はレンズシステムがある。
【0029】
伝達関数が実質的に第一の変調器14の全ての要素について同じである光学システム26を提供することは便宜である。しかし、歪みに特徴を持たせることが出来れば、不鮮明さ及び歪みの両方を導入する光学システム26を使用することができる。また、伝達関数が円対称性を持つ光学システム26を提供することも便宜である。しかし、より複雑な伝達関数を持つ光学システム26は、伝達関数が好適な特徴を持つ限り使用しても良い。
【0030】
上で検討した様に、ある実施の態様においては、第一の変調器14の異なる組み合わせに対して第二の変調器20での光の分配を予測する。その様な実施の態様においては、比較的狭い領域にわたり不鮮明化する伝達関数により特徴付けられる伝達光学素子26を提供するのが望ましいこともありうる。その理由はこれにより第二の空間光変調器20に生成する光照射野を予測する計算の必要性を減少させるからである。ある実施の態様においては、伝達光学素子26の伝達関数は、第一の空間光変調器14の隣接する要素16の間の間隔よりも広い標準偏差により特徴付けられる空間ローパスフィルター又は平滑化演算子により許容可能な程度の正確さまで近似させることも出来る。
【0031】
ディスプレイ10が映写型ディスプレイである場合、好適な映写レンズ28は第二の空間光変調器20からの光を視聴のためスクリーン29に焦点を結ばせる。スクリーン29は前面映写又は背面映写を含んでも良い。
【0032】
ある実施の態様においては、第一及び第二の変調器14及び20はそれぞれDMDを含み、光ソース12はレーザー光ソースを含む。
図2は画像を表示するディスプレイ10の様なディスプレイを用いる方法40を示す。ブロック42では画像データ43が提供される。画像データ43はディスプレイ10を用いて表示される画像を示す。例えば、画像データは、所望の明るさを第二の空間光変調器20の各要素の位置の関数として示しても良い。画像データ43はビデオシーケンスのフレーム、静止画像などを含んでも良い。
【0033】
画像データは任意の好適なフォーマットで表すことができる。画像データが表示されるフォーマットの例は以下のものがある:
JPEG
JPEG-HDR
TIFF
GIF
OpenEXR
Artizen(登録商標)ファイルフォーマット
Radiance(登録商標)ファイルフォーマット
PNG (ポータブルネットワーク グラフィックス:Portable Network Graphics),
ビットマップ(bit-map)(例えば、BMP)
JPEG2000
MPEG
MPEG-HDR
DPX フォーマット(ANSI/SMPTE 268M- 1994, SMPTE デジタル動画交換のためのファイルフォーマット標準(Standard for File Format for Digital Moving-Picture Exchange) (DPX), v 1.0, 1994年2月18日)
DCIデジタルシネマフォーマット(digital cinema format)
Cineon(登録商標)フォーマット
等である。
【0034】
ある実施の態様においては、フォーマットはピクセル当たり24ビットより高ビットを提供する高ダイナミックレンジ(HDR)フォ-マットである。
ブロック44からブロック50では、方法40は第一の空間光変調器14の要素16のための駆動信号を生成する。駆動信号は各要素16を画像データ43の画像の再生のための好適なパターンでON又はOFFに設定する様に適用することができる。ブロック44はスクリーン29に映写される出力画像の各異なる領域に提供されるべきグレイスケールの明るさのレベルを決定する。これらの各領域は第一の空間光変調器14のある領域に対応する。第一の空間光変調器14の領域の各々は複数の要素16を含む。ブロック44は、例えば、出力画像の各領域に対応する画像データ43により規定される画像の部分のピクセル値全体を平均化することを含んでも良い。
【0035】
ブロック46は第一の空間光変調器14の要素に適用することの出来るON及びOFFの状態のパターンを決定し、第一の空間光変調器14の各領域において、ON要素の比率はブロック44において決定されるグレイスケールの明るさのレベルに対応して変化する。例えば、画像の明るい部分に対応する領域については、パターンが、第一の空間光変調器14の対応する領域中の全ての要素はONであるべきであることを示しても良い。画像の暗い部分に対応する領域については、パターンが、第一の空間光変調器14の対応する領域中のほとんど又は全ての要素はOFFであるべきであることを示しても良い。
【0036】
パターンの領域が中間の明るさに対応する場合には、その領域中の適当な比率の要素16はONであり、残りはOFFである。この場合、ONの要素16は全領域にわたり合理的に均一に分布していることが望ましい。例えば、領域中の要素16は、要素16の望ましいONとOFF比率を持つ好適なディザ パターンに従い分布しても良い。
ディザパターンは、例えば、次の様に生成しても良い:
・ 画像の各ピクセルについて、どの程度の輝度が視聴者に到達すべきかを示す輝度マップを生成すること
・ 輝度マップを増強して、増強された輝度マップを作ること
・ 増強された輝度マップを、第一の空間光変調器14の解像度に対応する解像度にダウンサンプルし、ダウンサンプルされたグレイスケール画像を得ること、及び
・ ダウンサンプルされたグレイスケール画像をディザしてバイナリー画像を得ること。
【0037】
輝度マップを増強することは、第二の空間光変調器20の各要素において十分な光があり、画像データ43により示される光の量が視聴者に到達することを確かにするために望ましい。
【0038】
ディザは任意の好適な方法で実行することができる。ディザソフトウエア及びハードウェアは市場で調達が可能である。ある実施の態様においては、ディザは第一の空間光変調器14上の要素16のブロックで実施される。例えば、要素の16x16ブロックで実行されるディザは、ブロック中の全ての256要素がOFFである出力のない(光が漏れていることを除いては)場合から、ブロック中の全ての256要素がONである最大出力レベルまで、256ステップで変化する光の出力を作り出すことができる。ディザは、表中の事前に決定されたディザパターンをルックアップすること、または他の好適なデータ構造、又は好適なディザ アルゴリズムを適用してON要素16の適当な密度を提供するディザパターンを計算することを含んでも良い。ディザ アルゴリズムはソフトウエア、ハードウェア又はそれらを好適に組み合わせて実施しても良い。
ディザ アルゴリズムのある例は以下を含む:
・ 画像をタイルに分割し、タイルの中の各ピクセル位置に丸めるバイアス(rounding bias)を割り当て、ピクセル値に丸めるバイアスを加え、そして結果の値を切り下げる。タイル中の各ピクセルは、その後高い値(例えば、「1」又はON)又は低い値(例えば、0又はOFF)を持つ。
・ フロイドースタインバーグ(Floyd Steinberg)ディザアルゴリズム
・ 平均ディザ(例えば、これは閾値ピクセル値を選択し、閾値ピクセル値は画像ピクセルの平均値であり、ピクセル値が閾値より高いか又は低いかによりピクセルを低い又は高い値(例えば、0又は1)に量子化することを含んでも良い)及びピクセルを0又は1に量子化すべきかを決定するために全体的閾値としてそれを使用する。ピクセル値が閾値に等しい場合は任意の好適な方法で取り扱っても良い。ある実施の態様においては、全てのピクセル値が閾値を越える場合、そのピクセルは1に量子化され、他の全てのピクセルは0の値に量子化される。
・ ランダム ディザ
・ 誤差拡散ディザ
・ ベリオブカーブキャナン(Veryovka-Buchanan)ディザアルゴリズム
・ リーメルスマ(Riemersma)ディザ
等。
【0039】
マトラブ(Matlab)(登録商標)及び他の計算及び/又は画像処理ソフトウエアパッケージは、本発明の実施の態様で使用することができるディザ アルゴリズムを実施するソフトウエアを含む。
【0040】
図3は部分57 A, 58A, 59A及び60Aに分けられた画像55を表す(各部分は種々のグレイスケールの明るさレベルを表すために異なる影を付けている)。部分57Aは最大(すなわち、100%)の明るさレベルであり、部分58Aは50%の明るさレベル、部分59Aは67%の明るさレベル、そして部分60Aは最小(すなわち、0%)の明るさレベルである。
【0041】
図3Bは第一の空間光変調器14に適用しても良いディザパターン56の一つの例を示し、図3Aに示す明るさレベルの部分を持つ光照射野を作り出す。ディザパターン56は領域57B, 58B, 59B及び60Bを持ち、各領域は8x8配列のピクセルを持つ。各ピクセルは、ON(影の無いピクセルとして示す)又はOFF(影のあるピクセルとして示す)に設定されても良い第一の空間光変調器14の要素16の一つに対応する。
【0042】
画像55(図3A)のある部分の明るさレベルはディザパターン56(図3B)の対応する領域のON及びOFF状態にあるピクセルの割合を決定する。57Bの領域では、全てのピクセルがONに設定され、部分57Aに対応する最大明るさレベルを作り出す。領域60Bでは、全てのピクセルはOFFに設定され、部分60Aに対応する最小の明るさレベルを作り出す。領域58Bでは50%のピクセルがONに設定され部分58Aに対応する明るさレベルを作り出す。領域59Bでは、67%のピクセルがONに設定され部分59Aに対応する明るさレベルを作り出す。
【0043】
図3Bに示すディザパターンに加えて、他の種々のディザパターンが図3Aに示す画像を表すために使用しても良い。例えば、領域58B中の異なるピクセルの組み合わせはONに設定され(領域58Bの全ピクセルの50%を含む組み合わせ)その領域を平均の明るさのレベルを50%に保つ様にする。
【0044】
もし第一の変調器14の要素がブロック46で決定されるパターンにしたがって設定される場合は、ブロック48は第二の光変調器20の各要素22に入射する光25の量を予測する。この予測は、例えば、ブロック46で決定されるパターンに従い要素16を設定することにより、第一の空間光変調器14で生成されるであろう光のパターンに伝達光学素子26の伝達関数に近似する数学的関数を適用することにより行っても良い。
【0045】
ブロック48の光照射野予測は種々の詳細レベルで実施しても良い。ある実施の態様においては、ブロック48の光照射野予測は、もし必要なら、ブロック46で生成される空間ディザ画像を、第二の空間光変調器20の画像にマッチする(又はそれを超える)解像度にアップサンプルし、そして不鮮明化フィルター又はローパスフィルターの様な平滑化関数をその結果に適用することを含んでも良い。ある実施の態様においては、不鮮明化フィルターは3x3又は5x5の様な小さいカーネルを持つ。ある実施の態様においては、不鮮明化フィルターは5x5を超えないカーネルを持つ。平滑化関数は伝達光学素子26の伝達関数に略近い。
【0046】
ブロック50は、第二の光変調器20の各要素22を透過させて所望の画像を生成することのできる入射光25の割合を決定する。ブロック50は、例えば、ある要素22の画像データ43により特定される輝度値を、ブロック48で予測されるその要素22での光25の輝度で除して、要素22がどれだけ入射光25を低減させるべきかを示す値を得ることを含む。結果の一組の値は、第二の空間光変調器25での不鮮明な光照射野入射光を訂正して所望の画像を得るという理由で「訂正マスク」と呼んでも良い。任意選択的に、ブロック50は訂正マスクを先鋭化する操作に適用することを含んでも良い。
【0047】
ブロック52ではブロック46で生じるパターンが第一の変調器14の要素16を駆動するために適用され、ブロック54ではブロック50で生じる値が第二の変調器20の要素22を駆動させるように適用される。
【0048】
ブロック52及び54は同時に起こる。第二の変調器20がDMD又はバイナリー要素22を持つ他の変調器を含む場合、ブロック54は、要素22がONの状態である時間の割合を変化させることを含んでも良い。例えば、
・ 要素22は好適なパネル幅変調(PWM)計画に従い駆動しても良い。
・ 要素22は、対応する値に依るパルス数で各時間周期でONになる計画にしたがって駆動しても良い。
・ 要素22は各周期の最初にONになり、そして対応する値に依りある周期時間の一部が経過した後にOFFとなる様にしても良い。
・ 等
第一の変調器14の要素16は、画像を表示したい間ON又はOFF状態のままであって良い。
【0049】
ある実施の態様においては、第一の空間光変調器14は、あるフレームの間に実質的に連続して空間ディザパターンを表示し、伝達光学素子26は第一の空間光変調器14からの光を不鮮明化しそして第二の空間光変調器20に映写し第二の空間光変調器20の上に不鮮明化されたグレイスケール画像を生成する。そして第二の空間光変調器の要素は、そのフレームの間ON及びOFFの間を切替られて所望の光の量を視聴者に届けることができる。
【0050】
方法40は、もし望むならば、任意選択的に表示される画像の最も明るい部分に反応して光ソース12の明るさを制御することによりその範囲を拡大しても良い。全体の画像が暗い場合で、何処にも非常に明るい部分がない場合は、光ソース12の強度を低減させても良い。明かるい領域を持つ画像では、光ソース12は最大強度で操作しても良い。
【0051】
上の図4は、ある一つの例の画像の領域に亘り伸びる線について、以下の曲線を表したものである:
・ 曲線60は元の画像データを表す;
・ 曲線61は空間ディザ画像を表す(この画像は、もし伝達光学素子26が第一の空間光変調器14の画像を第二の空間光変調器20に焦点を結ぶ場合には第二の空間光変調器20に存在する);
・ 曲線62は、伝達光学素子26による空間ディザ画像中の光の拡大から生じる第二の空間光変調器20での輝度画像を表す;
・ 曲線63は第二の空間光変調器20の要素の伝達レベルを表す:
・ 曲線64は先鋭化された第二の空間光変調器20の要素の伝達レベルを表す:及び
・ 曲線65(表示された画像を表す曲線60と一致する)
本明細書に記載の幾つかの又は全ての考え方を取り入れたディスプレイは広く種々の方法で実施が可能である。都合の良いことに、第一の空間光変調器14は欠陥を含んでも良い。もし個々の要素16がON又はOFFの構成に留まった場合でも、伝達光学素子26により導入される不鮮明化は、その様な幾つかの個々の要素の欠陥が結果の画像に対して大きな不利な影響を与えることはない。もし欠陥を持つ要素をはっきりと許容することを望む場合は、以下を含む多くの選択が可能である:
・ 全ての欠陥のある要素16の状態を示す欠陥マップを保持し、光照射野予測を実施する場合(例えば、ブロック48において)にこれらの状態を考慮する;及び
・ 全ての欠陥のある要素16の状態を示す欠陥マップを保持し、ONの要素16のパターンがこれらの欠陥状態を考慮するよう手配する。例えば、もし第一の空間光変調器14の特別の領域において要素16の半分がONであり、他の要素16の半分がOFFであるべきことをブロック46が決定する場合、ブロック46は、ONに留まっている領域中のこれらの欠陥要素をパターン中にONとして含ませ、OFFに留まっている領域中にこれらの欠陥ピクセルをパターン中に、OFFとして含めることを試みることを含んでも良い。
【0052】
図5は本発明の実施の態様によるディスプレイ コントローラ70を示す。ディスプレイ コントローラ70は、例えば、ディスプレイ10の第一及び第二の空間光変調器の駆動に使用しても良い。ディスプレイ コントローラ70は表示される画像を規定する画像データ43を受信する入力部分72を持つ。コーデック74は画像データ43から画像のフレーム75を抽出する。フレーム75は、フレーム中の各位置(x、y)の輝度値又はそれと同等の値を特定するデータからなる。フレームを作っているデータはディザ エンジン76及び訂正マスク生成器78に用いることができる。
【0053】
ディザ エンジン76はフレーム75に対応する第一の空間光変調器14の解像度で空間的にディザされたパターン77を作る。パターン77は光照射野シミュレータ80及び第一の空間光変調器駆動回路82に利用することができる。
【0054】
光照射野シミュレータ80はパターン77に対応する第二の空間光変調器20の光照射野を予測する。予測79は訂正マスク生成器78に使用することができる。訂正マスク生成器78は、第二の空間光変調器20の要素の所望の伝達値を計算して第二の空間光変調器駆動回路84に利用可能な訂正マスク81を生成する。訂正マスク生成器78は、少なくとも部分的にフレームデータ75及び光照射野予測79に基づく訂正マスク81を生成する。
【0055】
第一の空間光変調器駆動回路82は第一の空間光変調器14の要素16をパターン77により特定されるようにON又はOFFに設定し、ある一つのフレームの持続の間これらの要素を選択された状態に保持する様に構成される。第二の空間光変調器駆動回路84は第二の空間光変調器20の要素を、訂正マスク81により特定される伝達値を持つ様設定するよう構成される。第二の空間光変調器20がDMDを含む場合、第二の空間光変調器駆動回路84はONとOFFの状態の間で急速に要素21を切り替えて、各要素のONの時間とOFFの時間の間の比率が訂正マスク81に特定される要素の伝達値に対応する様にする。第二の空間光変調器駆動回路84は、例えば、PWM DMD駆動回路を含んでも良い。DMDを駆動する回路は市場で購入が可能である。この一つの例として、Texas InstrumentsのDMD Discovery(登録商標)チップセットがある。
【0056】
時間調整システム86は装置70の操作を調和させ、フレームの駆動信号が、そのフレームの持続の間、第一及び第二の空間光変調器14,20に、それぞれ駆動回路82及び84により適用される様にする。
【0057】
第一の空間光変調器14はあるフレームの間を通して駆動することは便宜であるが絶対的に必要というものではない。例えば、もし第一の空間光変調器14が、第二の空間光変調器20の全ての要素がOFFである任意の時間の間駆動されていないとしても結果の画像に差はない。
【0058】
本発明は単色のみならずカラーディスプレイにも適用することができる。これは種々の方法で実現されうる。一つのアプローチは時間マルチプレックス法により異なる色彩を表示することである。これは光学通路に異なるカラーフィルターを置くことで実施しても良い。例えば、図1のディスプレイ10はカラー車輪を含む様に変えることができる。
【0059】
あるカラーディスプレイでは、複数のカラーチャネル(例えば、赤、緑及び青色のチャンネル)が別々に処理され、異なる色彩チャネルからの光がディスプレイスクリーンにおいて又はその上流で組み合わされカラー画像を表示する。本発明はこの様な方法で実施しても良い。例えば、図6は、赤、緑及び青色部分90R,90G及び90B(総称して部分90)を持つカラーディスプレイ88を示す。各部分90は対応するカラーの光を生成する光ソースを含む。光ソースは別々であっても良く、又は単一の白色光ソースから必要とされるカラーの光を得るように配置された好適なフィルターを含んでも良い。記載された実施の態様においては、別々の赤、緑、及び青色の光ソース12R、12G及び12Bが提供される。
【0060】
各部分90は上で説明したディスプレイ10と実質的に同様の方法で作動するが、部分90が対応するカラーの画像データに反応して駆動されることが異なる。各部分90の構成部分はディスプレイ10の構成部分と同じ参照番号を付し、記号R,G,及びBを追加した。
【0061】
図7は他のデザインのカラーディスプレイ95を示す。ディスプレイ95は第一の空間光変調器99を照射する光ソース97を持つ。第一の空間光変調器99はON及びOFFの状態の間で切替可能な要素100の配列を含む。第一の空間光変調器99により変調された光は3つの第二の空間光変調器102A,102B及び102C(総称して第二の空間光変調器102)に、プリズム104、105A,105B及びフィルター106及び107を含む伝達光学素子103によって送られる。
【0062】
フィルター106及び107は第一の空間光変調器99からの入射光を3つのスペクトル成分(例えば、赤、緑、及び青)に分散させる様に作用する。各スペクトル成分は第二の空間光変調器の102A,102B及び102C(総称して第二の空間光変調器102)の一つに送られ、変調される。各スペクトル成分は、第一の空間光変調器99でONに設定された要素100のパターンにより決定される空間的に変化する強度を持つ光照射野に特徴付けられる。光照射野は伝達光学素子103により伝達された、第一の空間光変調器99の不鮮明化された画像である。
【0063】
第二の空間光変調器102により変調された光はプリズム104、105A及び105Bを通過して映写レンズ110及びスクリーン111に送られる。スクリーン111は前面映写スクリーン又は背面映写スクリーンを含んでも良い。
【0064】
そのフレームの間における、ディスプレイ95の第一の空間光変調器99の要素は空間的に変化する密度を持つパターンを表示する様に設定される。密度は表示される画像の画像データに基づくこともある。ある実施の態様においては、第一の空間光変調器99の領域でONに設定されている要素100の密度は、画像データから決定される輝度値に基づき決定しても良い。所望の密度を達成するためにONに設定される要素100の特定のパターンは、好適な空間ディザアルゴリズム又は空間ディザ エンジンを、例えば、画像データに適用して決定しても良い。ディスプレイ10の第一の空間光変調器14を制御するための、上に記載した方法及び装置は、ディスプレイ95の第一の空間光変調器99の制御のために適当に変形して適用しても良い。
【0065】
第二の空間光変調器102A,102B及び102Cは、ディスプレイ10の第二の空間光変調器20と本質的に同じ方法で制御しても良いが、第二の空間光変調器102A,102B及び102Cの要素の伝達値が対応するスペクトル成分の画像データ中の情報に基づいて決定されることが異なる。
【0066】
図8はディスプレイ95に類似のディスプレイの制御システム112のブロック略図である。画像データ113は入力部分114で受信される。フレームの輝度情報115が抽出され、パターン生成器116に提供される。パターン生成器116は、輝度データに基づく空間的に変化する密度を持つパターン117を出力する。パターン117が第一の空間光変調器99の駆動回路118に適用される。
【0067】
パターン117はまた予測光照射野120を出力する光照射野予測装置119に提供される。もし第一の空間光変調器99と第二の空間光変調器102A,102B及び102Cの間の光学通路の光伝達特徴が異なる場合、光照射野予測装置119は各第二の空間光変調器102A,102B及び102Cのパターン117に対応する別々の予測された光照射野(120A, 120B及び120C)を生成しても良い。
【0068】
第一、第二及び第三のスペクトル成分カラー情報(各121A, 121B及び121C)を含むフレームのカラー情報及び対応する予測光照射野120(120A, 120B及び120C)が訂正マスク生成器122A、122B及び122Cに提供される。訂正マスク生成器122A、122B 及び122Cは、第二の空間光変調器102A,102B及び102Cを各々駆動することのできる駆動回路125A, 125B及び125C (総称して駆動回路125)に提供される訂正マスク122A, 122B及び122Cを生成する。
ディスプレイ95の様なディスプレイは図2の方法40に類似の方法により操作しても良い。
【0069】
ある実施の態様においては、第二の空間光変調器102はDMDである。ある実施の態様においては、駆動回路125はPWM駆動回路である。
図9は、多くの第一の空間光変調器132A, 132B及び132C(総称して第一の空間光変調器132)及び、光が組み合わされカラー画像を形成した後に第一の空間光変調器132からの光をさらに変調する第二の空間光変調器134を持つ他の代替的デザインのカラーディスプレイ130を示す。ディスプレイ130は光ソース135からの入射光を受ける光サブシステム137を持つ。光サブシステム137は、光ソース135からの光を3つのスペクトル成分(例えば、赤、緑、及び青)に分散し各スペクトル成分を対応する第一の空間光変調器132 A, 132B及び132Cの一つに仕向ける複数のプリズム138及びフィルター140を持つ。第一の空間光変調器132 A, 132B及び132Cの各々は、変調器に送られた光を変調するためにONとOFFの状態の間で切替可能な要素の配列を持つ。第一の空間光変調器132 A, 132B及び132Cにより変調された光は、その後カラー画像に組み合わされ、伝達光学素子により第二の空間光変調器134に伝達される。伝達光学素子は光を不鮮明にする。第二の空間光変調器134により変調された光は映写レンズ145及びスクリーン146に送られる。
【0070】
第一及び第二の光変調器は、スクリーン146に映写される画像が画像データにより特定される所望の画像を再生する様に駆動される。
上で記述した本発明の実施の態様の説明を簡単にするために、映写装置及び他のDMDベース装置に通常見られそして本発明のディスプレイにも見られる種々の要素については特に記述しない。その様な要素は映写タイプのディスプレイを設計する分野の当業者には知られている。その様な例としては:電源供給、光学通路からの赤外線放射を方向付けるコールドミラー、DMDを照射するために光を集める集積ロッド(integrator rod)、曲げ可能光素子(bending optics)、ハウジング、ユーザー制御装置などがある。
【0071】
以上の記載より明らかな様に、本明細書に記載のデザイン及び方法が有用に適用される多くの例があり、その幾つかを示すと:
・ 第一のバイナリー光変調器が光ソースからの光を変調し、そしてその光はさらに第二のバイナリー光変調器により変調される単色ディスプレイ
・ 第一のバイナリー光変調器が光ソースからの光を変調し、そしてその光はさらに第二のバイナリー光変調器により変調されるカラーディスプレイであり、光ソースからの光のカラーはサブフレームの間で切り替えられる。例えば、光ソースは、別々に赤、緑及び青色の光ソースを含み、その各々が、ある対応するサブフレームの間においてのみ第一の変調器を照明する、又は白色光からの光は、それが第一の光変調器等を照明する前にカラー車輪を透過するように仕向けられる。カラーについてのこの処理は単純であると言う利点がある。しかし視聴者に満足を与えるように十分大きい速度で赤、緑及び青のサブフレームが順次表示できるように、変調器が高速で更新処理することができることが必要である。
【0072】
・ 第一及び第二のバイナリー光変調器を複数のカラーチャネルのそれぞれに別々に準備しても良い。例えば、別々の赤、緑及び青のチャネルがそれぞれ、本明細書に記載の様に配置され、操作される第一及び第二のバイナリー光変調器を持っても良い。カラーチャネルからの画像は光学的に重ねあわされカラー画像を作り出しても良い。各カラーチャネルの光は別々の光ソースから提供しても良く又は白色光を必要な数のカラー帯に分離しても良い。その様な実施の態様においては、有利に高輝度を提供することができるがより費用が掛かる(その理由は、これらは3つのカラーチャネルを制御するために6つの変調器及び関連する制御回路及び光学素子を必要とするからである)。
【0073】
・ 第一のバイナリー光変調器は複数の光成分を持つ光を放射する光ソースからの光を変調しても良い。この光はその後別々のカラー成分に分離され、各光成分(例えば、赤、緑及び青の成分)は対応する第二のバイナリー光変調器に向けられる。第二のバイナリー光変調器により変調された光は統合されカラー画像を作り出す。第一のバイナリー光変調器は、ある実施の態様においては、第二のバイナリー光変調器の空間解像度よりも極めて低い空間解像度を持つ。
【0074】
・ 複数のカラーチャネルの各々に別々の第一のバイナリー光変調器を提供しても良い。例えば、別々の赤、緑及び青のカラーチャネルがそれぞれ第一のバイナリー光変調器を持っても良い。各カラーチャネルの光は別々の光ソースから提供しても良く又は白色光又の他の複数成分の光ソースを複数のカラー帯に分離しても良い。第一のバイナリー光変調器により変調された光は光学的に組み合わされ、組み合わされた光は、組み合わされた光を変調してカラー画像を作り出す第二のバイナリー光変調器を照明する。第一及び第二のバイナリー光変調器は本明細書に記載の様に配置され操作される。ある実施の態様においては、第二のバイナリー光変調器は、第一のバイナリー光変調器の空間解像度よりも極めて低い空間解像度を持つ。
【0075】
・ 上の直前の2つの実施の態様の何れにおいても、比較的低い空間解像度を持つことのある単一のバイナリー光変調器が組み合わされた画像(輝度の変調に限る)に作用し、他方別々の変調器は各カラーチャネルに対して変調を与える。別々の変調器により変調されたカラー変調は比較的高い空間解像度を持つこともある。
【0076】
・ この段落の上に述べた実施の態様においては、第一及び第二のバイナリー光変調器は異なる空間解像度を持ち、バイナリー変調器の内のより低解像度を持つものは、より高い解像度を持つ変調器の空間解像度よりも64以上又はある場合には1024以上の係数で低い解像度(すなわち、制御可能な要素の数)を持つこともある。
【0077】
・ さらにある実施の態様においては、別々の第一のバイナリー光変調器が複数のカラーチャネルの各々に提供されることもある。例えば、別々の赤、緑及び青のチャネルがそれぞれ第一のバイナリー光変調器を持っても良い。各カラーチャネルの光は別々の光ソースから提供しても良く又は白色光又は他の複数成分の光ソースを複数のカラー帯に分離することにより提供しても良い。第一のバイナリー光変調器により変調された光は光学的に組み合わされ、組み合わされた光は、組み合わされた光を変調してカラー画像を作り出す第二のバイナリー光変調器を照射する。第一及び第二のバイナリー光変調器は本明細書に記載の様に配置され、操作される。この実施の態様においては、一つのカラーチャネルの光を各々変調する第一のバイナリー光変調器は、第二の空間光変調器の空間解像度よりも小さい空間解像度を持つこともある。好ましくは第一のカラー光変調器の空間解像度は第二の空間光変調器の空間解像度よりも最大約2から6倍低いのが良い。人の視覚系統は局地的(高空間周波数)カラー変化よりも局地的輝度変化により敏感である。
【0078】
・ 第一のバイナリー光変調器は光ソースからの光を変調することもある。第一のバイナリー光変調器からの光は不鮮明化され、そしてLCDパネル含む第二の光変調器又は光の伝達を連続的に又は合理的に広い範囲で多段ステップで制御することのできる他の変調器に送っても良い。
【0079】
・ 本明細書に記載の光変調方法は3Dデジタル シネマ システムにおいて左右の画像を別々のチャネルで実施しても良い。左右の画像は別々に偏光させても良く又は異なるスペクトル特性を持ち、又は時間インターレース方式で表示しても良い。好適な偏光又はスペクトルフィルターを各チャネルに提供しても良い。
構成部分(例えば、ソフトウエアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、機器、回路等)が上に記載されている場合、特に断らない限り、それらの構成部分(手段を含む)への言及においては、その構成部分と同等物として、記載の構成部分の機能(すなわち、機能的に同等)を持つ任意の構成部分を含むと解すべきであり、これらの構成部分は、本発明の代表的な実施の態様において示す機能を実施することのできる開示された構造と構造的に同等でないものを含む。
【0080】
本明細書に記載のディスプレイのコントローラがソフトウエアで実施される場合、コントローラはデータプロセッサ及びデータプロセッサにアクセス可能な有体的表現媒体に記憶されるソフトウエアの指示を含んでも良い。データプロセッサは一以上の第一の空間光変調器の制御のための第一の信号を、及び一以上の第二の空間光変調器の制御のための第二の信号を、第一及び第二の信号を生成するために画像データを処理するためのソフトウエアの指示を実行することにより生成しても良い。他の実施の態様においては、論理回路又はプログラマブル ゲートアレイ(FPGA)の様な固定又は設定により変更可能なハードウェアが、第一及び第二の制御信号を与えるため、画像データを処理するあるステップ又は全てのステップで実施するために提供されても良い。
【0081】
本明細書で開示された光に関する技術分野の当業者にとり明らかであるように、本発明を実施する場合、本発明の思想又はその範囲から逸脱することなく、その改変又は変更が可能である。例えば、
・ 第一の空間光変調器においてON要素の任意の所望の空間密度に対して(全ての要素がON又はOFFの場合を除く)、第一の空間光変調器の領域に適用可能な種々のパターンがある。ある一つのフレームの間に、ディスプレイ画像に不利な影響を与えることなくON要素の空間密度を変えることなく、第一の空間光変調器の要素を切替えて、ON要素のパターンを変えることが可能である。
したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲に規定される実質的内容により判断されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9