(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】標本を冷凍するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/42 20060101AFI20220411BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20220411BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20220411BHJP
F25D 3/10 20060101ALI20220411BHJP
F25D 3/14 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
G01N1/42
G01N1/28 J
B65D81/38 N
F25D3/10 E
F25D3/14
F25D3/10 C
(21)【出願番号】P 2019510313
(86)(22)【出願日】2017-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017046861
(87)【国際公開番号】W WO2018035077
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519051713
【氏名又は名称】ヴァネッサ リサーチ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANESSA RESEARCH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クラフツォフ, ドミトリー, ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ, ノーマン
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0019865(US,A1)
【文献】国際公開第2007/074769(WO,A1)
【文献】特開2012-131539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0236703(US,A1)
【文献】特開2005-077043(JP,A)
【文献】中国実用新案第205449637(CN,U)
【文献】特開2012-042414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D67/00 -79/02 、81/18 -81/30 、
81/38 、85/88 、
F25D 1/00 - 9/00 、
G01N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織標本を形成し、冷凍する為の装置において、
2つ以上のモールドがユニットとして形成されるカセットであって、各モールドは、それぞれの組織標本を直接内部に収容するように構成され、前記モールドおよび/またはカセットはカバーを含む、カセットと、
低温貯蔵媒体を保持する為の空洞を含む断熱容器であって、前記カセットが所望の位置で前記断熱容器の内部に配向可能である、断熱容器と、
前記断熱容器の前記空洞の最上部の付近にレッジを含み、低温貯蔵媒体と直接的または間接的に接触させて前記2つ以上のモールドの下面で前記低温貯蔵媒体の上方に前記カセットを支持する、ハンズフリー手段と、
を備え、
前記2つ以上のモールドの上面は、前記低温貯蔵媒体から隔離される、装置。
【請求項2】
(a)前記カセットは、2つ以上のモールドを融合させることによって形成される、
あるいは、
(b)前記カセットは、モールド間の2つの寸法において、前記カセットの各縁部から、直線および横方向に配向された穿孔を有し、前記穿孔が、個別に覆われたモールドを備える複数の部分に前記モールドを分離させる手段である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カセットは、前記カセットの平面に対して実質的に垂直な隆起エッジを有し、前記断熱容器から前記モールドへの前記低温貯蔵媒体の飛散を防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カセットを前記断熱容器に密封する為のガスケットを更に備え、
(a)前記ガスケットは、前記カセットの周囲の下の付近に配向され、又は、前記ガスケットは、前記カセットの下に配向され、前記カセットと同一形状を有し、
さらに、
(b)前記ガスケットは、多孔質又は半多孔質であり、前記モールドとの熱的接触の為に、前記低温貯蔵媒体が前記ガスケットに流入することを可能にする、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カセットは、前記カセットを持ち上げ又は位置決めする為の手段を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記低温貯蔵媒体および前記モールドの間の気液界面における飛散を最小限に抑える為に多孔質包囲体を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記2つ以上のモールドは、円錐、直方体の形状、錐台形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記断熱容器は、所望のアクセスを前記断熱容器に与えるように調整可能である蓋を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各モールドに設けられた埋め込み媒体を更に備え、前記組織標本は、所望の配向および/または所望の形状に形成されて冷凍される、請求項
7に記載の装置。
【請求項10】
各モールドに設けられた埋め込み媒体を更に備え、前記組織標本は、所望の配向および/または所望の形状に形成されて冷凍される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
各サンプルを個々に順次調製して冷凍することなく、複数の組織標本を形成して冷凍する為の方法であって、
請求項1に記載の装置の2つ以上のモールドの各々に、埋め込み媒体および組織標本を追加するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2016年8月15日に出願された米国特許仮出願第62/375,133号に対して優先権を主張し、その開示内容は、その全体が参照のために本書に組み込まれる。
【0002】
【発明の分野】
【0003】
本発明は、特に、サンプル毎に個々に順次調製して冷凍する必要が無く、複数の標本を急速冷凍する為の、組織標本のようなサンプルを冷凍する為の装置に関する。この装置は、一つ又は複数の組織サンプルを収容できるモールドと、このモールドを支持する為のハンズフリー手段と、低温貯蔵材料または冷媒を保持する為の断熱容器と、この断熱容器の為のオプショナルカバーとを備える。また、本発明は、組織標本を冷凍する為の方法に関する。
【0004】
【発明の背景】
【0005】
並進医療分野は、過去10年間で急速な成長を遂げ、新しい要件をもたらし、患者の組織サンプルの取扱いに携わる研究所のワークフローを変えた。増え続ける患者は、組織生検材料を処理する人員および機器に対する作業負荷を絶えず増大させる。患者および動物から得られる生検および組織サンプルは、しばしば調査および並進医療研究所において更なる用途を見いだしており、サンプル処理要件の著しい変動が生じている。
【0006】
留意されるべきことは、"the good old times when specimens arrived in fixative are goneforever."である。手術病理学におけるグローシングテクノロジーのウェブサイト(http://grossing-technology.com/)を参照。細心の病理学の要求は、しばしば、組織固定を容認しない補助的研究を想定している。速い回転時間の圧力の下、標本は、しばしば新鮮な状態で処理される。さらに、多くの外科的処置の間にしばしば必要とされる現場での腫瘍マージン決定のように、医学的処置の為の組織的診断に対する需要は大きくなり得る。明らかに、複数の組織標本を迅速に調製して評価することが必要である。
【0007】
現在使用されている組織サンプルを冷凍する為に、主に2つの技術的方法がある。第1の方法は、器具に設けられた金属ブロック内の低温槽(
図1のC1aを参照)内で組織サンプルを冷凍することを含む。しかしながら、この方法は、機器の比較的に高い操作温度(液体窒素の沸点-196℃に対して-20から-50℃)、機器の制御アームを備えた1対1サンプル冷凍法、処理に必要な高度の人的関与と注意のために、比較的遅い冷凍速度のような制限を有する。さらに、低温槽は、しばしば、大きな、重いユニットの機器であり、手術室のような設定において必要とされる可搬性および限定スペース要件を欠いている。
【0008】
現在の第2の方法は、サンプルが冷凍されるまで、デュワーフラスコ内に液体窒素と共に組織を手動で配置することによってサンプルを冷凍することである。デュワーフラスコが小さく可搬性があっても、制限がある。デュワーフラスコ内で液体窒素を使用するには、処理に対して高度の人的注意が必要であり、1つずつ、サンプルを冷凍するため、操作時間が遅い。そのため、操作者および機器の違いによって、調製されたサンプルに高度のバラツキがあり、結果として生じる組織標本の品質に等質性が欠如する。さらに、冷凍処理中にしばしば起こる液体窒素の飛散および沸騰のため、組織サンプルを冷凍する為に液体窒素を封じ込めるデュワーフラスコを使用する人員に対する障害がある。
【0009】
最後に、低温冷蔵庫、低温貯蔵容器、デュワーフラスコは、調製されたサンプルの長期冷蔵貯蔵に利用可能であるが、これらの貯蔵手段は、サンプル自体の調製は意図されておらず、使用できない。
【0010】
組織サンプル、特に組織学的目的および研究目的のため複数の組織サンプルを急速に冷凍する為の装置および方法に対する、満たされていない必要性があることは明らかである。本発明の装置および方法は、現在の技術状態の欠点に対処するもので、医学的診断または科学的研究を容易にするため、複数の組織サンプルを急速に、安全に、信頼性良く冷凍するように特に設計されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、各サンプルを個々に順次調製して冷凍する必要がなく、組織標本のようなサンプルを冷凍、特に、複数の標本を急速冷凍する為の装置に関する。この装置は、一つ又は複数の組織サンプルを収容することができるモールドと、このモールドを支持する為のハンズフリー手段と、低温貯蔵材料または冷媒を保持する為の断熱容器と、断熱容器の為のオプショナルカバーとを備える。また、本発明は、組織標本を冷凍する為の方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、モールドのXY,XZ,YZ投影図を示す。C1aは、モールドである。C23は、モールド内の円錐凹部であり、これは、円錐凹部を介して配向されたサンプルを保持する手段でもあり、また、サンプル及び埋め込み媒体を円錐形状に成形する手段でもある。
【
図3】
図3は、カバーを備えた複数モールドカセットの三次元分解斜視図を示す。C6は、4つのモールドを備えたカセットの実施形態を示す。C33は、サンプル及び埋め込み媒体を矩形形状に成形する手段の為の実施形態を示す。C39(a)(i)は、カセット内部の個々のモールドである。C39(a)(ii)は、カセット内部の個々のモールドを分離する穿孔ラインを示す。C39(a)(iii)は、ハンドルである。C39(a)(iv)は、カバーである。
【
図4】
図4は、この装置の為のプラットフォームのXY,XZ,YZ投影図を示す。C1(b)はプラットフォームであり、これは、容器内部での配向を可能にする矩形プラットフォーム、あるいは、調整可能なプラットフォームでもよい。C8は、開口部である。C9は、隆起エッジである。C11は、ハンドルである。C12は、モールドの取外しを容易にする刻み目であり、YZおよびXZ投影で見られるように一連の穿孔部でもよい。
【
図5】
図5は、装置の断熱容器のXY、XZ,YZ投影図を示す。C1cは、断熱容器である。C7は、レッジである。C14、C15は、スポンジインサートである。C29は、脚部である。
【
図6】
図6は、装置のC26,取外し可能なカバーのXY,XZ,YZ投影図であり、取外し可能なカバーは、ヒンジを更に有し、或いは、調整可能である。
【
図7】
図7は、B部を構成する、レッジ(C7)、スポンジ(C14,C15)、ガスケット(C10)を備えた断熱容器(C1c)の組立の為の分解斜視図を示す。同様に示されているのは、A部を構成する、開口部(2)を備えたプラットフォーム(C1b)である。更に示されているのは、カバー(C26)である。
【
図8】
図8は、一緒にB部を構成する、断熱容器(C1c)およびスポンジ(C14,C15)の組立の為の分解図を示す。同様に示されているのは、オプションカセット(C6)である。更に示されているのは、カバー(C26)である。
【
図9】
図9は、断熱容器(C1c)、フィン及びヒートシンク(C20,C21)付きラジエータ(C74)、埋め込み金属トレイ(C2)をモールド支持手段として備えたプラットフォーム(C1b)、カバー又はリッド(C26)の代替実施例の組立の為の分解図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、組織標本を形成して冷凍する為の装置であって、
【0014】
(a)一つ又は複数の組織標本を収容できる一つ又は複数のモールドと、
【0015】
(b)低温貯蔵媒体と直接的または間接的に接触させてモールドを支持する為のハンズフリー手段と、
【0016】
(c)低温貯蔵媒体を封じ込める断熱容器と、
【0017】
を備える装置に関する。
【0018】
他の態様において、本発明は、モールドを支持する為のハンズフリー手段が、モールドを支持または吊す為の一つ又は複数の開口部を有するプラットフォームを有する装置に関する。
【0019】
他の態様において、本発明は、プラットフォームが調整可能なプラットフォームである装置に関し、この調整可能なプラットフォームは、断熱容器内部で所望の位置に配向可能である。
【0020】
他の態様において、本発明は、断熱容器がプラットフォームを支持する為のレッジ又は棚部を有する装置に関する。
【0021】
他の態様において、本発明は、プラットフォームが隆起エッジを有する装置に関し、この隆起エッジは、開口部と外接し、プラットフォームの平面と実質的に垂直であり、断熱容器からモールドに低温貯蔵媒体の飛散を防止する。
【0022】
他の態様において、本発明は、断熱容器にプラットフォームを密封する為のガスケットを更に備える装置に関する。
【0023】
他の態様において、本発明は、ガスケットが、プラットフォーム周囲の下で、その付近に配向される装置に関する。
【0024】
他の態様において、本発明は、ガスケットが、プラットフォームの下に配向され、プラットフォームと同一形状を有し、プラットフォーム内の開口部に対応した開口部を有する装置に関する。
【0025】
他の態様において、本発明は、ガスケットが多孔質または半多孔質であり、低温貯蔵媒体がガスケットに流入し、プラットフォームおよびモールドと熱接触することを可能にする装置に関する。
【0026】
他の態様において、本発明は、プラットフォームが、プラットフォームを持ち上げる又は位置決めする手段を更に備える装置に関する。
【0027】
他の態様において、本発明は、プラットフォームを持ち上げる又は位置決めする手段が一つ又は複数のハンドルを備える装置に関する。
【0028】
他の態様において、本発明は、プラットフォームがモールドの配置、位置決め、取外しを容易にする為の一つ又は複数の刻み目を更に備える装置に関する。
【0029】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが低温貯蔵媒体と直接的に接触する装置に関する。
【0030】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体およびモールドの間の気液界面における飛散を最小限に抑える又は制限する手段を更に備える装置に関する。
【0031】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体およびモールドの間の気液界面における飛散を最小限に抑える又は制限する手段が多孔質包囲体である装置に関する。
【0032】
他の態様において、本発明は、多孔質包囲体がスポンジである装置に関する。
【0033】
他の態様において、本発明は、モールドが低温貯蔵媒体と間接的に接触する装置に関する。
【0034】
他の態様において、本発明は、対応するカバーをモールドが有する装置に関する。
【0035】
他の態様において、本発明は、モールドの為のカバーまたはプラットフォームが一つ又は複数の領域を有し、ここに、組織標本に関する情報が表示可能である装置に関する。
【0036】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが一つ又は複数のチューブである装置に関する。
【0037】
他の態様において、本発明は、これらのチューブがキャップを有する装置に関する。
【0038】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが円錐である装置に関する。
【0039】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが錐台の形状である装置に関する。
【0040】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが直方体の形状である装置に関する。
【0041】
他の態様において、本発明は、断熱容器が蓋を更に備える装置に関する。
【0042】
他の態様において、本発明は、蓋が取外し可能である装置に関する。
【0043】
他の態様において、本発明は、蓋がヒンジを介して断熱容器に付けられる装置に関する。
【0044】
他の態様において、本発明は、断熱容器に所望のアクセスを与えるように蓋が調整可能である装置に関する。
【0045】
他の態様において、本発明は、断熱容器が一つ又は複数の脚部を備え、その上に立つことができる装置に関する。
【0046】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数の脚部がすべり防止処理をした脚部である装置に関する。
【0047】
他の態様において、本発明は、可搬式である装置に関する。
【0048】
他の態様において、本発明は、装置を運ぶ為のハンドルを更に備える装置に関する。
【0049】
他の態様において、本発明は、組織標本が所望の配向で形成されて冷凍される装置に関する。
【0050】
他の態様において、本発明は、組織標本は所望の形状に形成されて冷凍される装置に関する。
【0051】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体を更に備える装置に関する。
【0052】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体が液体窒素、ドライアイス、ドライアイス/溶媒混合物から選択される装置に関する。
【0053】
他の態様において、本発明は、ドライアイス/溶媒混合物の溶媒がアセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、およびそれらの組合せから選択される装置に関する。
【0054】
他の態様において、本発明は、各モールドに設けられた埋め込み媒体を更に備える装置に関する。
【0055】
他の態様において、本発明は、埋め込み媒体が0℃より下の凝固点を有する材料から選択される装置に関する。
【0056】
他の態様において、本発明は、本書で説明されたような装置を使用するステップを含む、組織標本を形成して冷凍する為の方法において、上記装置の一つ又は複数のモールドに組織標本を追加するステップを含む方法に関する。
【0057】
他の態様において、本発明は、上記装置の一つ又は複数のモールドに埋め込み媒体を追加するステップを更に含む方法に関する。
【0058】
他の態様において、本発明は、組織標本を形成し、冷凍し、貯蔵する為の装置に関し、
【0059】
(a)(i)プラットフォーム、
【0060】
(ii)プラットフォームへと形成され、一つ又は複数の組織サンプルを収容可能な一つ又は複数のモールド、
【0061】
(iii)モールドを覆う為の、分離可能なカバー、
【0062】
を更に備える、カセットと、
【0063】
(b)低温貯蔵媒体と直接的または間接的に接触させてカセットを支持する為のハンズフリー手段と、
【0064】
(c)低温貯蔵媒体を封じ込める為の断熱容器と、
【0065】
を備える。
【0066】
他の態様において、本発明は、ケースを支持する為のハンズフリー手段が、断熱容器に形成されたレッジ又は棚部である装置に関する。
【0067】
他の態様において、本発明は、カセットが所望の位置で容器内部に配向可能な装置に関する。
【0068】
他の態様において、本発明は、カセットが、プラットフォームおよびカバーの両方に穿孔を有し、これらの穿孔が、モールド間の2つの寸法において、カセットの各縁部から、直線および横方向に配向され、前記穿孔が、プラットフォームを複数の部分に分離させる手段であり、各々の部分は、分離後、個別に覆われたモールドを備える装置に関する。
【0069】
他の態様において、本発明は、プラットフォーム又はカバーが一つ又は複数の領域を有し、ここに、組織標本に関する情報が配置可能である装置に関する。
【0070】
他の態様において、本発明は、カセットを断熱容器に密封する為のガスケットを更に備える装置に関する。
【0071】
他の態様において、本発明は、ガスケットが、カセットの周囲の下の付近に配向される装置に関する。
【0072】
他の態様において、本発明は、ガスケットが、プラットフォームの下に配向され、プラットフォームと同一形状を有し、プラットフォーム内の開口部と対応する開口部を有する装置に関する。
【0073】
他の態様において、本発明は、ガスケットが多孔質又は半多孔質であり、低温貯蔵媒体が、カセットとの熱的接触の為にガスケットに流入する装置に関する。
【0074】
他の態様において、本発明は、カセットが、カセットを持ち上げる又は位置決めする為の手段を更に備える装置に関する。
【0075】
他の態様において、本発明は、カセットを持ち上げる又は位置決めする為の手段が一つ又は複数のハンドルを備える装置に関する。
【0076】
他の態様において、本発明は、カセットが低温貯蔵媒体と直接的に接触する装置に関する。
【0077】
他の態様において、本発明は、カセットが温貯蔵媒体と間接的に接触する装置に関する。
【0078】
他の態様において、本発明は、断熱容器が蓋を更に備える装置に関する。
【0079】
他の態様において、本発明は、蓋が取外し可能である装置に関する。
【0080】
他の態様において、本発明は、蓋がヒンジを介して断熱容器に付けられる装置に関する。
【0081】
他の態様において、本発明は、蓋が断熱容器に所望のアクセスを与えるように調整可能である装置に関する。
【0082】
他の態様において、本発明は、断熱容器が、一つ又は複数の脚部を備え、そこに立てる装置に関する。
【0083】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数の脚部が、すべり防止処理をした脚部である装置に関する。
【0084】
他の態様において、本発明は、可搬式である装置に関する。
【0085】
他の態様において、本発明は、装置を運ぶ為のハンドルを更に備える装置に関する。
【0086】
他の態様において、本発明は、組織標本が、所望の配向で形成されて冷凍される装置に関する。
【0087】
他の態様において、本発明は、組織標本が、所望の形状に形成されて冷凍される装置に関する。
【0088】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体を更に備える装置に関する。
【0089】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体が、液体窒素、ドライアイス、ドライアイス/溶媒混合物から選択される装置に関する。
【0090】
他の態様において、本発明は、ドライアイス/溶媒混合物の溶媒が、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、およびそれらの組合せから選択される装置に関する。
【0091】
他の態様において、本発明は、各モールドに設けられる埋め込み媒体を更に備える装置に関する。
【0092】
他の態様において、本発明は、埋め込み媒体が0℃より下の凝固点を有する材料から選択される装置に関する。
【0093】
他の態様において、本発明は、本発明に従う装置を使用するステップを含む、組織標本を形成して冷凍する為の方法において、上記装置の一つ又は複数のモールドに組織標本を追加するステップを含む方法に関する。
【0094】
他の態様において、本発明は、装置の一つ又は複数のモールドに埋め込み媒体を追加するステップを含む方法に関する。
【0095】
他の態様において、本発明は、組織標本を形成し、冷凍し、貯蔵する為の装置に関し、当該装置は、
【0096】
(a)一つ又は複数の組織標本を収容可能な一つ又は複数のモールドと、
【0097】
(b)一つ又は複数のモールドを封じ込める為の一つ又は複数の熱伝導性刻み目を備えるプラットフォームと、
【0098】
(c)断熱容器と、
【0099】
を備え、使用前に所望の目標温度まで予め冷却される。
【0100】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体を更に備える装置に関する。
【0101】
他の態様において、本発明は、所望の目標温度を維持する為のラジエータを更に備える装置に関する。
【0102】
他の態様において、本発明は、熱伝導性刻み目およびラジエータの各々が、W/(mK)の単位で200kより大きい値の熱伝導率を有する熱伝達材料から作られる装置に関する。
【0103】
他の態様において、本発明は、熱伝達材料が、アルミニウム、銅、金、銀、これらの組合せから選択される装置に関する。
【0104】
他の態様において、本発明は、ラジエータが放熱フィンを備える装置に関する。
【0105】
他の態様において、本発明は、断熱容器が、プラットフォームを支持する為のレッジ又は棚部を有する装置に関する。
【0106】
他の態様において、本発明は、プラットフォームが、モールドの配置、位置決め、取外しを容易にする為の一つ又は複数の刻み目を更に備える装置に関する。
【0107】
他の態様において、本発明は、モールドが、対応するカバーを有する装置に関する。
【0108】
他の態様において、本発明は、モールド又はカバーが、一つ又は複数の領域を有し、これらに組織標本に関する情報が表示可能である装置に関する。
【0109】
他の態様において、本発明は、断熱容器が蓋を更に備える装置に関する。
【0110】
他の態様において、本発明は、蓋が取外し可能である装置に関する。
【0111】
他の態様において、本発明は、蓋がヒンジを介して容器に付けられる装置に関する。
【0112】
他の態様において、本発明は、蓋が、容器に所望のアクセスを与えるように調整可能である装置に関する。
【0113】
他の態様において、本発明は、断熱容器が、一つ又は複数の脚部を備え、そこに立てる装置に関する。
【0114】
他の態様において、本発明は、一つ又は複数の脚部が、すべり防止処理をした脚部である装置に関する。
【0115】
他の態様において、本発明は、可搬式である装置に関する。
【0116】
他の態様において、本発明は、装置を運ぶ為のハンドルを更に備える装置に関する。
【0117】
他の態様において、本発明は、組織標本が、所望の配向で形成されて冷凍される装置に関する。
【0118】
他の態様において、本発明は、組織標本が、所望の形状に形成されて冷凍される装置に関する。
【0119】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体を更に備える装置に関する。
【0120】
他の態様において、本発明は、低温貯蔵媒体が、液体窒素、ドライアイス、ドライアイス/溶媒混合物から選択される装置に関する。
【0121】
他の態様において、本発明は、ドライアイス/溶媒混合物の溶媒が、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、およびそれらの組合せから選択される装置に関する。
【0122】
他の態様において、本発明は、各モールドに埋め込み媒体を更に備える装置に関する。
【0123】
他の態様において、本発明は、埋め込み媒体が0℃より下の凝固点を有する材料から選択される装置に関する。
【0124】
他の態様において、本発明は、本発明に従う装置を使用するステップを含む、組織標本を形成して冷凍する為の方法において、上記装置の一つ又は複数のモールドに組織標本を追加するステップを含む方法に関する。
【0125】
他の態様において、本発明は、装置の一つ又は複数のモールドに埋め込み媒体を追加するステップを更に含む方法に関する。
【0126】
本発明の、これら及び他の態様は、本願の開示から明らかになろう。
【0127】
定義
【0128】
本書で使用される用語「低温貯蔵媒体」は、通常の大気圧において、たとえば、-196℃の沸点を有する液体窒素、または、-78.5℃の昇華点を有するドライアイスの温度のように、非常に低い温度にある材料、或いは、そのような温度を提供し得る材料を意味する。
【0129】
本書で使用される用語「ハンズフリー」は、本発明の装置が提供する手段を意味するが、この手段により、サンプルの調製、冷凍中に、これらに関連するモールド、プラットフォーム、カセットが支持されるので、操作者が、モールド、プラットフォーム、カセットを保持する必要がない。
【0130】
本書で使用される用語「冷媒」は、低温貯蔵媒体をも含むことを意味する。
【0131】
標本を冷凍する為の装置
【0132】
本発明の装置は、2つの部分を備えるものとして見ることができる。A部は、プラットフォーム、モールド、カセット、モールド等の為のカバーのような、サンプルを保持して封じ込める為のコンポーネントを備える。B部は、サンプルを冷却して冷凍する為に、装置の冷却機能および冷凍機能を提供するコンポーネントを備える。
【0133】
A部(
図7を参照)は、主に3つの機能に役立つプラットフォームである。(1)プラットフォームは、モールドの為のハンズフリー支持を提供する(即ち、低温貯蔵モールドまたは「クライオモールド」(2)選択された設計に依存するが、必要であれば、複数のサンプル(例えば4以上のサンプル)を同時に冷凍することを可能にする。(3)操作者の手を低温貯蔵媒体又は冷却手段から隔離するので、事故時被曝からの障害を予防する。A部は、寸法的に安定したプラスチックの単体から成形可能であり、交換可能かつ使い捨て可能に設計される。様々な大きさ(小型、中型、大型)のクライオモールドを収容する穿孔スロット付きA部の変形例が設けられる。スロット周辺の付近にスポンジ状プラスチック材料から形成された小型隆起部を付けることによって、化学物質の飛散を最小限に抑えることができ、或いは、防止することができる。A部のコンポーネントは、取換え可能であり、互換性がある。
【0134】
B部(
図7および
図8)は、主として2つの機能に役立つ冷却装置である。(1)冷却装置は、低温貯蔵媒体又は冷却手段を封じ込め、熱交換を減少させ、飛散を更に減少させる保温材として作用する。(2)冷却装置は、取換え可能または互換性のあるA部のコンポーネントの為に機械的支持および安定性を提供する。B部は、低温貯蔵媒体又は冷却手段で満たされた内部チャンバと、一部の実施形態においては、A部の下にあり、低温貯蔵媒体およびモールド(例えば、スポンジ材料のような多孔質包囲体)の間の気液界面での飛散を最小限に抑え、又は、制限する手段と、滅菌可能なプラスチックから作られた剛性外部チャンバと、外壁および内部チャンバの間の断熱充填物と、プラットフォームの下にある周囲を囲む、又は、プラットフォームの下にあるガスケットと、を有する。
【0135】
モールド
【0136】
モールド(
図1)は、予め形成された構造体であり、好ましくは、プラスチックから作られ、調製されて冷凍される組織サンプルを収容して封じ込めるように設計されている。モールドの主な機能は、(1)サンプルを封じ込めること(2)埋め込み媒体を封じ込めること(3)所望の位置にサンプルを配向し、冷凍される埋め込み媒体にサンプルがおおわれるまで配向を保つこと(4)中にサンプルを備えた埋め込み媒体の為に限定的な形状を与えること(5)埋め込み媒体及び中のサンプルを低温貯蔵媒体から隔離すること(6)ラベルを付ける手段を提供すること(7)冷凍されたサンプルの長期貯蔵を提供することである。モールドは、様々な形状および大きさで作ることができ、通常、薄いプラスチック(
図1)で作ることができるが、一部の実施形態において、幾つかの凹部は、モールド内に設計され、埋め込み媒体と、内部のサンプルと(
図1のC23,C32,C33)、モールドにラベルを付ける為の追加の空間を封じ込め、成形し、配向させる。全体的にモールドの一般的な形状、大きさ、配向は、装置の寸法に適合するように設計されるが、形状、大きさ、凹部の数は変えてもよい。モールドの幾つかの変形例は、円錐形状で、錐台の形状で、或いは直方体の形状(
図2)で設計され、様々な大きさ(1mm以上)及び数(2以上)の凹部が、それより大小のサンプルを収容するように意図されている。他の態様において、本発明は、一つ又は複数のモールドが一つ又は複数のチューブである装置に関する。他の態様において、本発明は、これらのチューブがキャップを有する装置に関する。
【0137】
モールドを支持する為の手段(プラットフォーム)
【0138】
プラットフォームは、予め形成された正方形、長方形、円形、断熱容器(
図5を参照)内部に配向される他の形状の構造体(
図4)でもよい。凹部は低温貯蔵媒体と直接的に接触しつつ、モールドの上面は低温貯蔵媒体から隔離されるように、それがモールドの為に支持を与える。一部の実施形態において、モールドの凹部は、プラットフォームに切り抜かれた開口部を通って低温貯蔵媒体と接触する。プラットフォーム当たり一つ又は複数の開口部があってもよい。一部の実施形態において、各開口部は、隆起部によって囲まれるが、隆起部は、多孔質材料から作られてもよく、プラットフォームおよびモールドの間から低温貯蔵媒体が漏れる危険性を減少させるように設計されている(
図4のC9)。プラットフォームは、容器に適合し、一つ又は複数のモールドを収容するような大きさになっている。一部の実施形態において、プラットフォームの配置、位置決め、断熱容器からの取外しを容易にする為にプラットフォームに付けられる小さなハンドルがある。一部の実施形態において、モールドの取外しを容易にする為にプラットフォームの材料に小さな刻み目がある(
図4)。
【0139】
複数のモールド付きカセット
【0140】
更なる実施形態において、装置は、一つ又は複数のモールドを組み込むカセットを備え、複数の関連しないサンプルの同時調製および冷凍を許容する(
図3を参照)。カセットは、プラットフォーム及びその開口部に合致する大きな長方形の形状(又は他の形状)を有し、2つ以上のモールドを融合させることによって設計可能なので、2つ以上のモールドのユニットを構成する(
図3のC39(a)(i))一部の実施形態において、カセットは、全体としてカセット全体を保存する又はカセットを分離保存の為に個々のモールドに分ける選択肢を使用者に与える為に、一つ又は複数ラインの穿孔部(例えば、カセットの各縁部からモールド間に二次元で直線かつ横方向に配向されたもの)を備えることができる。一部の実施形態において、オプション穿孔部を備え、カセットを備えた保護カバーが設けられる(
図3のC39(a)(iv))。
【0141】
断熱容器
【0142】
断熱容器(
図5)は、低温貯蔵媒体(例えば、液体窒素、ドライアイス、ドライアイス/溶媒混合物)を封じ込め、特定の組織サンプルを冷凍する。さらに、容器は、レッジ(
図5のC7)を介して、プラットフォームの為の支持体を与える。容器の形状は、長方形、正方形、円形、他の形状でもよい。長方形容器は、
図5のC1cに示されている。容器の形状および外部寸法は、プラットフォームの設計および形状と、容器の内部状況に依存する。
【0143】
容器の外面は異なる材料で作られてもよく、(アルミニウム、鋼、チタン、銀、金、プラチナ、合金の金属混合物のような)金属、ガラス(例えば、ホウ珪酸ガラス)、プラスチック、有機または無機材料であって、好ましくは外部環境曝露に対して耐性があるものを含むが、これらに限定されるものではない。容器の外殻は、融着、接着、スタンピング、固着によって一緒に保持可能である。外殻の厚さは、それが作り上げられる特性に依存する。内側チャンバは、低温貯蔵媒体を封じ込めることができ、正方形、長方形、円形、他の所望の形状をとり得る。内側(内部)殻又はチャンバは、金属、プラスチック、発泡体、ガラスで作ることができ、変形、劣化、破砕(fragmentation)を有することなく、液体窒素(-196℃の沸点)の温度以下に耐え、溶媒の存在に耐えられるべきである。内側殻又はチャンバ用材料は、低い熱伝導率を有し、低温貯蔵媒体に対する熱損失を防止すべきである。内側チャンバは、融着、接着、スタンピング、固着の手段によって一緒に保持できる。レッジは、内部チャンバの最上部に設計可能であり(
図7のC7)、モールドの凹部がプラットフォーム上に載り、低温貯蔵媒体と直接接触するように、プラットフォームを支持する為の手段を与える。レッジの大きさ、形状は、プラットフォームの大きさに依存する。多孔質ガスケット(
図7のC10)は、低温貯蔵媒体の漏れを防止するため、レッジ上に配置可能である。
【0144】
内部チャンバの内側には、スポンジのような多孔質構造体が、プラットフォームの下に直接配置可能である(
図5のC14,C15)。この構造体の目的は、低温貯蔵媒体およびモールドの間の界面から遊離液体を除去または減少させることであり、そのようにすることによって、低温貯蔵媒体の飛散の危険性を更に最小限に抑える。
【0145】
内外容器の間の空間は、発泡体又は他の材料から作られた断熱材で満たすことができる。この中間部分の空間の材料は、内外部分からの圧縮および接着材によって封じ込められる。容器の厚さは、使用される材料のR値、即ち、断熱係数に依存する。
【0146】
一部の実施形態において、装置は、取り外すことができる蓋を更に備える断熱容器を備える。他の実施形態において、この蓋は、ヒンジを介して断熱容器に付けられ、断熱容器に所望のアクセスを与えるように調製可能である。
【0147】
一部の実施形態において、この装置は、可搬式であり、持ち運び用ハンドルを含むことができる。また、この装置は、一つ又は複数の脚部又は足部、特に、すべり防止処理をした脚部又は足部を備え得る(
図5のC29)。
【0148】
低温貯蔵媒体
【0149】
本書で使用される用語「低温貯蔵媒体」は、通常の大気圧において、-196℃の沸点を有する液体窒素、または、-78.5℃の昇華点を有するドライアイスの温度のように、非常に低い温度を提供し得る材料を意味する。本書で開示されるように、低温貯蔵媒体は、液体窒素、ドライアイス、ドライアイス/溶媒混紡物から選択される。ドライアイス/溶媒混合物は、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、およびそれらの組合せから選択されるまた、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ビニル被覆シリカゲルと水との混合物は、所望の温度まで冷蔵されるが、使用可能である。
【0150】
代替え実施形態
【0151】
他の実施形態において、カセットは、プラットフォームを有することなく使用可能であるが、B部の多孔質構造体に直接載せられる(
図8)。
【0152】
他の実施形態において、装置の変形例は、完全独立の、断熱された、冷凍ユニットであるが、このユニットは、使用前に冷凍庫内で全体の装置が冷蔵されることを必要とする(
図9)。このユニットは、液体窒素および/またはドライアイス/溶媒浴の必要性を取り除く。その代わり、全体の装置は、密封されたユニットであり、そのユニットは、冷媒として役立つ高い熱容量媒体をともに予め冷蔵され、たとえば、-80℃の冷凍庫で冷蔵が維持される。使用中、埋め込まれた金属トレイによって、サンプルから間接的接触を通じて熱が除去される(
図9のC2)。全体のユニットの形状は、正方形、長方形、円形でもよく、他の形状及び設計も可能である。ユニット内の高い熱容量媒体は、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ビニル被覆シリカゲルと水との混合物でもよく、使用の為に-80℃まで予め冷蔵される。ユニットは、使用されないとき、冷凍状態に保たれ、ヒートシンクの外面は、装置内の断熱された冷媒の冷却を助けることが明らかである。装置が使用されるとき、この装置の取外し可能なカバー(
図9のC26)は、ユニットの下に配置され、そこで、ヒートシンクから冷媒への、周囲からの熱伝達の影響を減少させるため、露出されたヒートシング面に向かう一時的断熱器として役立つ。あるいは、ユニットが浸漬されている冷却媒体(例えば、ドライアイス)がある場合、ヒートシンクを使用中に露出させることができ、ユニットを冷凍庫内で再冷蔵することを要求する前に使用持続時間を延ばす。ヒートシンクコアは、ユニット底部に置かれた、円形、正方形、他の形状のシリンダでもよく、外側周囲は、外周囲に露出し、冷媒へと内部に突出する熱伝達フィン又はヒートパイプ付きラジエータを介して開口部に接続され、これが、熱交換に利用可能な表面積を増加させる(
図9:フィン(C10)及びヒートシンク(C21)付きラジエータ(C74))。この設計は、開口部の表面の最適温度の持続時間を延ばすのに役立つ。ヒートシンクコア及びヒートパイプ/熱伝達フィンは、W/(mK)単位の200kより大きな熱伝導率の値を有する熱伝達材料(たとえば、アルミニウム、銅、金、銀、それらの任意の他の合金/変形)から作られてもよい。
【0153】
このユニットは、ユニットの上面に埋め込まれる一つ又は複数の(好ましくは、2つ以上の)トレイを備えてもよく、W/(mK)単位の200kより大きな熱伝導率の値を有する熱伝達材料(たとえば、アルミニウム、銅、金、銀、それらの任意の他の合金/変形)から作られてもよい。4つのトレイ付き変形例は、
図4に示されている。個々のトレイの各々は、ポリイソシアヌレート発泡体または他の形式の高密度断熱媒体のような比較的に高いR値(即ち、断熱係数)の材料で囲まれ、断熱されてもよい。断熱材料の為の所望のR値は、2以上である。断熱材で開口部を囲む目的は、開口部の間の空間において、周囲に対する低温貯蔵媒体の熱伝達を減少させること、開口部の表面における熱伝達の熱交換率を集中させることである。同様に、カバーおよびユニット自体の断熱も、比較的に高いR値の断熱材から作ることができる。断熱材に対する要求の目的は、低温貯蔵媒体がその動作温度を保持する持続時間を最大にすることである。低温貯蔵媒体を封じ込める内部チャンバは、低温貯蔵媒体の極低温に耐えることができる低い熱伝導率の材料で作られるべきであり、金属/合金、ホウ珪酸ガラス、プラスチックポリマから作られるべきである。あるいは、内部チャンバは、断熱層の一部であってもよい。また、ユニットの外面の為に、表面は、厚いプラスチックから作ることができる比較的に低い熱伝導率の値を有する高摩耗材料から作ることができ、また、輸送を容易にする為のハンドルを特徴とする。ユニットの構造の為に、選択される材料に依存するが、外面およびカバーは、一緒に成形、溶着、接着、固着されてもよい。内部チャンバは、漏れ防止であるべきであり、そのため、使用される断熱材の材料および方法に応じて、チャンバの溶着、接着、又は、予め作られた容器として形成することが必要である。開口部を封じ込めるプラットフォームも同様に、使用される断熱材の材料および方法に応じて、スタンピング、溶着、成形が可能である。
【0154】
標本を冷凍する為の方法
【0155】
組織サンプルを冷凍する為に、本発明の装置の使用者は、以下のステップを行うことができる。
【0156】
1. 断熱容器のチャンバに低温貯蔵媒体(例えば、液体窒素)を満たす。
【0157】
2. 低温貯蔵媒体の飛散を最小限に抑える為の手段を配置する。
【0158】
3. 装置のB部に装置のA部を装着する。
【0159】
4. モールドにラベルを付け、それに埋め込み媒体を満たす。
【0160】
5. 埋め込み媒体を封じ込めるモールドに生検サンプルを配置する。
【0161】
6. 生検サンプルを封じ込めるモールドを開口部内に配置する。
【0162】
7. 冷凍されるべきサンプル毎にステップ4-6を繰り返す。
【0163】
8. 冷凍されたモールドを開口部から取り外す。
【0164】
9. 使用後、容器を空にし、カバーを付けて貯蔵する。
【0165】
前述した連続動作は、冷凍の為に各資料を手動で個別に保持する必要がなく、次のサンプルの処理のような他の作業の為に操作者の時間を自由にする。より高い低温槽の動作温度(-20から-50℃)と比べると、液体窒素を媒体として使用することによって、一貫した冷凍温度(-196℃)および急速冷凍が確保される。多孔質ガスケットを用いた気液界面の排除により、飛散を減少させ、媒体に使用者が晒される危険性が最小限に抑えられる。予めモールドにラベル付けすることによって、サンプルの識別に役立ち、関連性のない組織サンプルの同時処理を可能にする。
【0166】
サンプル毎に手動で操作されなければならない商業的に存在するモールド(例えば、クライオモールド(TissueTek))と比較すると、本発明の装置は、モールド当たり平均約2-3分だけ冷凍時間が減少し、累積時間は、4モールド当たり約10分、8モールド当たり約20分、12モールド当たり約30分の節約効果を与える。これは、特に大量の組織サンプル調製のために、かなりの時間と費用を節約する。
【0167】
文献の援用
【0168】
訂正証明書、特許出願文書、化学論文、政府報告書、ウェブサイト、本書で参照した他の文献を含む各特許文書の全開示は、あらゆる目的の為に、それらの全体が参照により本書に組み入れられる。用語に矛盾がある場合には本明細書が優先する。
【0169】
同等物
【0170】
本発明は、本発明の精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定形式で具現化することが可能である。前述した実施形態は、本書に説明された発明を限定するものではなく、むしろ、あらゆる点で例示的とみなされるべきである。本発明の方法およびシステムの様々な実施形態において、用語「備える」は、ステップまたは構成要素の列挙に関して使用され、これらの方法およびシステムが、列挙されたステップまたは構成要素から実質的に成る、或いは、それらから成ることも考えられる。さらに、ステップの順序または一定の動作を行う為の順序は、本発明が動作可能である限り、重要ではないことを理解されたい。さらに、2以上のステップまたは動作は、同時に行うことが可能である。
【0171】
明細書において、文脈上、明らかに別段の指示が無い限り、単数形は、複数形も含む。他に定義されない限り、本書で使用される技術用語、科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾が生じる場合、本明細書が優先する。
【0172】
さらに、一定の成分を混合すると、更に反応する或いは追加の材料に変化することができることから、ある場合において、組成物は、混合前の成分からなるものとして説明することができることを認識すべきである。
【0173】
本書で使用される全ての百分率および比率は、他に示さない限り、重量による。