(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】一体化された電子機器を備えた陰圧創傷治療装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2019516428
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2017074764
(87)【国際公開番号】W WO2018060417
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-14
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビクトリア・ビードル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ヘスケス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ケルビー
(72)【発明者】
【氏名】ダミン・マスグレーブ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ウィリアム・ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・スチュワード
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514451(JP,A)
【文献】特表2009-506878(JP,A)
【文献】国際公開第2015/116823(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆材装置であって、
近位の創傷に面する面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位の創傷に面する面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、
近位の創傷に面する面および遠位面を含むスペーサ層であって、前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられるスペーサ層と、
前記スペーサ層の前記遠位面上に位置付けられる吸収層と、
陰圧源および電子構成要素のうち少なくとも陰圧源を備える電子ユニットであって、
前記吸収層が前記電子ユニットを受けるように構成されるくぼみを含み、前記吸収層が前記電子ユニットと流体連通するように構成される、電子ユニットと、
前記創傷接触層、前記スペーサ層、前記吸収層、および前記電子ユニットを覆い、それらの上で封止を形成するように構成されるカバー層と、を備える創傷被覆材装置において、
前記創傷被覆材装置は、前記電子ユニットが配置される電子機器エリアと、創傷部位の上に配置される吸収エリアと、を含み、
前記吸収層は、第一の吸収層と、第二の吸収層と、を備え、
前記第一の吸収層は、前記電子機器エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ、
前記第二の吸収層は、前記電子機器エリアおよび前記吸収エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされる、創傷被覆材装置。
【請求項2】
前記電子構成要素が、電源、可撓性回路基板、センサ、スイッチ、および/または灯もしくはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を備える、請求項1に記載の創傷被覆材装置。
【請求項3】
陰圧源入口保護機構および陰圧源出口または排出口をさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載の創傷被覆材装置。
【請求項4】
前記陰圧源出口または排出口が、抗菌膜および/または逆止め弁を備える、請求項3に記載の創傷被覆材装置。
【請求項5】
前記カバー層が、前記
陰圧源出口または排出口の上に開口部を含む、請求項3に記載の創傷被覆材装置。
【請求項6】
前記陰圧源入口保護機構は、流体が前記陰圧源に入るのを防止するように構成された疎水性材料を含む、請求項3に記載の創傷被覆材装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の創傷被覆材装置を使用または操作する方法。
【請求項8】
それぞれの前記くぼみは、前記陰圧源および/または前記電子構成要素のそれぞれが嵌合するような寸法および形状とされる吸収層開口部である、請求項1に記載の創傷被覆材装置。
【請求項9】
前記カバー層は、前記電子ユニットの少なくとも一部の上に位置付けられるカバー層開口部と、前記カバー層開口部を覆う電子機器カバーと、を備え、前記電子機器カバーは、前記陰圧源および/または前記電子構成要素を起動または停止するスイッチへのアクセスを可能にするように構成されたスイッチカバーを備える、請求項1に記載の創傷被覆材装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせて被覆材を使用する、創傷を治療する装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療は、当該技術分野ではよく知られている。現在当該技術分野で知られている陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。このような陰圧は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/またはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【0003】
NPWTシステムに役立つ、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。様々な種類の創傷被覆材には、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、フォームパッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、Smith&Nephew社製のPICO被覆材であり、これは、裏当て層の下に超吸収層を含み、NPWTによって創傷を治療するためのキャニスターレスシステムをもたらしている。創傷被覆材は、一本のチューブに接続する吸引ポートに対して封止され得、その吸引ポートは、被覆材から流体を吸い出し、および/または、ポンプから創傷被覆材に陰圧を伝達するのに使用され得る。
【0004】
上述の被覆材のような、陰圧を使用した従来の被覆材は、創傷被覆材から離れた場所に位置する陰圧源を具備してきた。創傷被覆材から離れて配置された陰圧源は、ユーザ又はその他のポンプ支持機構によって保持されるか、又は、ユーザ又はその他のポンプ支持機構に取り付けられなければならない。さらに、管材又はコネクタで、離れた陰圧源を創傷被覆材に接続することが求められる。離れたポンプ及び管材は、患者の衣類の中に隠したり、取り付けたりするには取り扱いにくく、困難な場合がある。創傷被覆材の位置によっては、離れたポンプ及び管材を快適かつ便利に位置させるのが難しい場合がある。動作時、創傷滲出液が被覆材内に染み込む場合があり、創傷からの水分によって電子構成要素を被覆材内へ取り込むことが困難となっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、創傷治療のための装置及び方法に関する。本明細書に記載の創傷治療装置のうちのいくつかは、創傷に陰圧をかけるための陰圧源又はポンプシステムを含む。また、創傷治療装置は、本明細書に記載の陰圧源及びポンプアセンブリと組み合わせて使用され得る創傷被覆材を含み得る。一部の実施形態では、創傷被覆材及び陰圧源が、創傷被覆材及び陰圧源を同時に患者の創傷に適用する、不可欠な、又は一体化した創傷被覆材構造の一部であるよう、陰圧源が創傷被覆材装置内に組み込まれる。陰圧源及び/又は電子構成要素は、創傷被覆材の創傷接触層とカバー層との間に配置され得る。創傷滲出液の貯留を防止し、被覆材のなじみ性を維持するために、被覆材の吸収材に電子機器組立品を組み込み得る。これらの、及び、本明細書に記載のその他の実施形態は、陰圧源及び/又は電子構成要素を創傷被覆材内に組み込むことに関する特定の問題点を克服することに関する。
【0006】
一実施形態によれば、創傷被覆材装置は創傷接触層であって、近位の創傷に面する面および遠位面を備え得、近位の創傷に面する面は創傷と接触して配置されるように構成される創傷接触層と、近位の創傷に面する面および遠位面を備えるスペーサ層であって、創傷接触層の遠位面上に配置される、スペーサ層と、スペーサ層の遠位面上に配置される吸収層と、陰圧源および/または電子構成要素を備える電子ユニットと、備え得、吸収層が電子ユニットを受けるように構成されるくぼみを備え、吸収層は電子ユニットと流体連通するように構成され、カバー層は創傷接触層、スペーサ層、吸収層、および電子ユニットを覆い、それらの上に封止を形成するように構成され得る。
【0007】
上記の段落または他の実施形態に記載の創傷被覆材装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。電子構成要素は、電源、可撓性回路基板、センサ、スイッチ、および/または灯もしくはLEDインジケータのうちの一つまたは複数を含み得る。創傷被覆材は、陰圧源入口保護機構および陰圧源出口または排出口をさらに備え得る。陰圧源出口または排出口は、抗菌膜および/または逆止め弁を備え得る。カバー層は、出口または排出口の上に開口部を含み得る。陰圧源入口保護機構は、流体が陰圧源に入るのを防止するように構成された疎水性材料を含み得る。
【0008】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。
【
図1B】
図1Bは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。
【
図1C】
図1Cは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。
【
図2B】
図2Bは、ポンプおよび電子ユニットの実施形態を図示する。
【
図2C】
図2Cは、ポンプおよび電子ユニットの実施形態を図示する。
【
図3】
図3は、被覆材内に電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図4A】
図4Aは、吸収層内に電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図4B】
図4Bは、吸収層内に電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図4C】
図4Cは、吸収層内に電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図5A】
図5Aは、電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図5B】
図5Bは、電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
【
図7A】
図7Aは、創傷被覆材の個々の層の実施形態を図示する。
【
図7B】
図7Bは、創傷被覆材の個々の層の実施形態を図示する。
【
図7C】
図7Cは、創傷被覆材の個々の層の実施形態を図示する。
【
図8A】
図8Aは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図8B】
図8Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図8C】
図8Cは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図8D】
図8Dは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図8E】
図8Eは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図8F】
図8Fは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層の実施形態を図示する。
【
図9】
図9は、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示された実施形態は、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧によって創傷を治療する装置および方法に関する。創傷に重ね、パッキングする材料を含む装置および構成要素があれば、本明細書では集合的に被覆材として称される場合がある。
【0011】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、又は手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模又は切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷及び裂開創傷、外傷性創傷、フラップ及び皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍及び静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0012】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)療法システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減してもよい。加えて、療法によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片及びフラップにおいて見出すことができる。
【0013】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。一部の実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0014】
本開示の一部の実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。一部の実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給され得る。
【0015】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスの一部の実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。一部の実施形態では、陰圧は、例えば正弦波、方形波を使用して、及び/又は、一つ又は複数の患者の生理的指標(例えば、心拍)と同期して、経時的に変化させられ得る。前述に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0016】
2012年7月12日に出願されると共に2013年1月17日に国際公開第2013/007973A2として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する国際出願番号PCT/GB2012/000587は、参照によってその全体が本書に組み込まれる出願であり、これは、本明細書に記載された実施形態と組み合わせたり、それに加えたりして使用され得る、実施形態、製造方法、及び、創傷被覆材構成要素と創傷治療装置に関する。さらに、また、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2013年5月22日に出願されると共に2013年11月28日に国際公開2013/175306として公開された「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」と題する国際出願番号PCT/IB2013/001469と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0216733号として公開され、2015年8月6日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418,874号と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0190286号として公開され、2015年7月9日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418,908号と、2015年3月13日に出願された米国特許出願第14/658,068号と、2015年7月2日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国出願第2015/0182677号とに開示された実施形態と組み合わせたり加えたりして使用されてもよく、それらは、それらの全体が参照によってここに組み込まれる。本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2011年4月21日に出願されると共に米国特許公開第2011/0282309号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」と題する米国出願第13/092,042号に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によってここに組み込まれ、それは、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、及び創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含んでいる。
【0017】
被覆材に組み込まれる電子機器を備えた創傷被覆材に関連する、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題する国際特許公開第EP2017/055225号に記載された実施形態と組み合わせたりまたそれに加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、及び創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含む。
【0018】
一部の実施形態では、陰圧源(ポンプ等)及び、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、TNPシステムのいくつか又はすべてのその他の構成要素は、創傷被覆材と一体になり得る。創傷被覆材は、本明細書に記載される様々な材料層を含み得、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された、国際特許出願EP2017/055225号にさらに詳細に記載される。材料層は、創傷接触層、一つまたは複数の吸収層、一つまたは複数のスペーサ層または透過層、および一つまたは複数の吸収層およびスペーサ層または透過層を覆う裏当て層またはカバー層を含み得る。創傷被覆材は、創傷の上に配置され、ポンプおよび/または創傷被覆材内のカバー層の下に含まれるその他の電子構成要素で創傷に封止される。一部の実施形態では、被覆材はすべての創傷被覆材要素(ポンプを含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された、単一の物品として提供され得る。一部の実施形態では、創傷接触層の周辺は、
図1A~1Cに図示するように、すべての創傷被覆材要素を囲むカバー層の周辺に取り付けられ得る。
【0019】
一部の実施形態では、ポンプ及び/又はその他の電子構成要素が依然として、患者に適用される単一の物品であるように、ポンプ及び/又はその他の電子構成要素は、吸収層及び/又は透過層に隣接して、又はそれらの隣に配置されるよう構成され得る。一部の実施形態では、ポンプおよび/またはその他の電子機器が創傷部位から離れて配置される。
図1A~
図1Cは、陰圧源及び/又はその他の電子構成要素が創傷被覆材内に組み込まれた創傷被覆材を図示する。
図1A~
図1Cは、ポンプ及び/又はその他の電子機器が創傷部位から離れて配置された創傷被覆材100を図示する。創傷被覆材は、電子機器エリア161と、吸収エリア160とを含み得る。被覆材は、創傷接触層110(
図1A~
図1Bには図示なし)、および接触層とその他の被覆材の層の上に配置された透湿性フィルムまたはカバー層113を含み得る。創傷被覆材層及び、電子機器エリアと吸収エリアの構成要素は、
図1Aから
図1Cに示すように、一つの連続したカバー層113によって覆われ得る。
【0020】
被覆材は、創傷接触層110と、透過層111と、吸収層112と、創傷接触層、透過層、吸収層、又はその他の被覆材の層の上に配置された透湿性フィルム113またはカバー層113とを含み得る。創傷接触層は、創傷に接触するように構成され得る。創傷接触層は接着剤を、被覆材を周りの皮膚に固定するため、患者に対向する側に具備するか、又は、創傷接触層をカバー層又は被覆材のその他の層に固定するため、上側に具備し得る。動作時、創傷接触層は、滲出液が創傷に戻るのを阻止又は実質的に防止しつつ、創傷から滲出液を取り除きやすくするよう、一方向流をもたらすように構成され得る。
【0021】
創傷接触層110は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、又は、例えばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、又は超音波プロセスを介すか、又はその他のいくつかの方法でパーフォレートされた、あるいは別の方法で液体及び気体が透過するようにしたその他の柔軟性のある層であってもよい。創傷接触層110は、下面と上面とを有する。パーフォレーションは、創傷接触層110において貫通穴を含み、それによって流体が層110を通って流れることが可能となるのが好ましい。創傷接触層110は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。パーフォレーションは、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは穴として形成されたパーフォレーションは、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。一部の構成では、創傷接触層110は、陰圧を創傷に維持するために、吸収パッドの周りに気密シールをも作り出しながら、被覆材100全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0022】
創傷接触層110の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、感低圧性接着剤が創傷被覆材100の下面に設けられ得、感高圧性接着剤が創傷接触層の上面に設けられ得る。シリコン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であってもよい感圧接着剤は、創傷接触層の両側面上、もしくは任意で選択された片側面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの側面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、それが創傷被覆材100を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けとなり得る。一部の実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを備えてもよい。フィルムの下面はシリコン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。一部の実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に穴加工されていてもよい。
【0023】
多孔質または透過性材料の層111は、創傷接触層110の上方に置かれ得る。本明細書で使用されるように、用語多孔質材、スペーサ、及び/又は、透過層は、被覆材内で、創傷エリア全体において陰圧を分配するよう構成された材料の層を言及するのに交換可能に使用され得る。この多孔質層または透過層111により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層111によって、吸収層が相当量の滲出液を吸収しても創傷エリアの上に陰圧を伝えるよう、外気チャネル(open air channel)が確実に維持され得ることが好ましい。層111は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層111は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ布(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0024】
透過層は、創傷部位の上に陰圧を分配し、創傷被覆材内へ創傷滲出液及び流体を輸送しやすくするよう支援する。一部の実施形態では、透過層は、三次元(3D)繊維から少なくとも部分的に形成され得る。
【0025】
一部の実施形態では、透過層111は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編まれたポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ布層を備える。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0026】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ布は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ布層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0027】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層112が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層113に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0028】
好ましくは、透過層111を横切る(すなわち、最上スペーサ層と底面スペーサ層との間に形成されたチャネル領域に垂直な)液体流を改善するために、3D繊維が、透過層の親水機能に干渉することがある、従来使用されている鉱物油、脂肪、又はろうのようなあらゆる工業製品を除去する一助となるように乾燥洗浄剤(ペルクロロエチレン等であるがそれに限定されない)によって、処理され得る。一部の実施形態では、続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。この工程ステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0029】
さらに、創傷から吸引された滲出液を吸収及び保持するための吸収層(層112等)が利用され得る。一部の実施形態では、超吸収材が、吸収層112に使用され得る。一部の実施形態では、吸収体は、形状設定された超吸収層形態を具備する。
【0030】
吸収材の層112は、透過層111の上に提供される。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層111もまた、流体をカバー層113の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0031】
吸収層112の材料はまた、創傷被覆材内に収集された液体が被覆材内で自由に流れるのを防止し得、好ましくは、収集されたいかなる液体も被覆材内に含むよう作用する。吸収層112はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層のエリアにおける凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層112は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。一部の実施形態では、吸収層112は、超吸収粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。好適な実施形態では、合成物は、風成(airlaid)の、熱結合合成物である。
【0032】
一部の実施形態では、吸収層112は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収材を有する、不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0033】
電子機器エリアの創傷被覆材層及び吸収層は、一つの連続したカバー層または裏当て層113によって覆われ得る。本明細書に使用されるように、用語カバー層及び/又は裏当て層は、下にある被覆材層を覆い、創傷接触層及び/又は創傷周りの皮膚に封止するよう構成された、被覆材内の材料の層を言及するのに互換可能に使用され得る。一部の実施形態では、カバー層は、ガスの通過を可能にしつつも、創傷から取り除かれた液体の滲出液及びその他の液体が通過するのを防止する透湿性材を具備し得る。
【0034】
カバー層113は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させるのが好ましく、創傷被覆材100の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、カバー層113は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、カバー層113と創傷部位との間に作られる。カバー層113は、例えば接着技術又は溶接技術を介して、被覆材の周囲の境界領域内において、創傷接触層110に対して封止され、境界領域に空気が吸い込まれないようにするのが好ましい。カバー層113によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。カバー層113は、二つの層、すなわちポリウレタンフィルムとこのフィルム上に広げられた接着パターンとを含むのが好ましい。ポリウレタンフィルムは透湿性であるのが好ましく、かつ、濡れると透水率が高くなる材料から製造されてもよい。一部の実施形態では、カバー層の透湿性は、カバー層が濡れると高くなる。濡れたカバー層の透湿性は、乾いたカバー層の透湿性の最大約十倍であってもよい。
【0035】
電子機器エリア161は、陰圧源(ポンプ等)及び、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、創傷被覆材と一体になり得るTNPシステムのいくつか又はすべてのその他の構成要素を具備し得る。例えば、電子機器エリア161は、
図1A及び
図1Bに示すように、ボタン又はスイッチ114を含み得る。ボタン又はスイッチ114は、ポンプを動作させる(例えば、ポンプをオン/オフする)ために使用され得る。
【0036】
吸収エリア160は、吸収材112を具備し得、創傷部位の上に配置され得る。電子機器エリア161は、吸収エリア160から横にずらして配置することなどによって、創傷部位から離れて配置され得る。
図1A~
図1Cに示すように、電子機器エリア161は、吸収エリア160に隣接し、且つ、その吸収エリア160と流体連通して配置され得る。一部の実施形態では、電子機器エリア161及び吸収エリア160はそれぞれ、長方形状であってよく、互いに隣接して配置され得る。一部の実施形態では、電子ユニットは、本明細書に記載の通り、被覆材の電子機器エリア160内の吸収材内に埋め込まれ得る。
図1Cに図示するように、電子ユニット150は、吸収材112内に位置付けられ得るが、吸収エリアの側部から離れて配置され得る。
【0037】
一部の実施形態では、被覆材材料の追加層は、電子機器エリア161、吸収エリア160、又はその両エリア内に具備され得る。一部の実施形態では、被覆材は、接触層110の上方、及び被覆材の創傷カバー層113の下方に配置された一つ又は複数の透過層及び/又は一つ又は複数の吸収層を含み得る。
【0038】
一部の実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、電子構成要素150を備え得る。一部の実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、透過材料および/または吸収材の複数の層を含み得、および電子構成要素150は、透過材料および/または吸収材の複数の層内に埋め込まれ得る。透過材料または吸収材の層は、崩壊を防止するための構造をもたらしつつ、電子構成要素150を内部に埋め込むためのくぼみまたは切り欠き部を有し得る。電子構成要素150は、ポンプ、電源、コントローラ、および/または電子機器パッケージを含み得る。
【0039】
ポンプ排出口は、ポンプから被覆材の外側へ空気を排出するよう設けられ得る。ポンプ排出口は、電子機器エリア161および被覆材の外部と連通し得る。
【0040】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。さらに、層は、皮膚または創傷に最も近い層の側面または表面と称される近位の創傷に面する面と、皮膚または創傷から最も遠い層の側面または面と称される遠位面を有し得る。
【0041】
図1A~1Cは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。一部の実施形態では、
図1Cに示すように、吸収エリア160は、創傷接触層110の上方に配置された透過層111を含む。吸収層112は、透過層111の上方に提供され得る。一部の実施形態では、電子機器エリア161は、電子ユニット(
図2A~2Cに示す)を含み得る。一部の実施形態では、電子ユニットは創傷接触層の上に直接提供される。他の実施形態では、電子ユニットは、被覆材の創傷接触層110の上方に位置するウィッキング材料、吸収材、または透過材料の層の上方に配置され得る。例えば、
図1Cに示すように、電子ユニット150は、透過層111の上に配置され得る。一部の実施形態では、透過層111は、電子ユニット150および吸収材112の下に延在する材料の単一の層であり得る。従って、一部の実施形態では、透過層111は、吸収エリア160および電子機器エリア161を通して連続的に延在する。代替的実施形態では、電子ユニットの下方の透過層は、吸収材112の下方の透過層とは異なる透過層とすることができる。
図1A~1Cに示すように、透過層111、吸収材112、および電子ユニット150は、創傷接触層110の周囲に封止するカバー層113で被覆し得る。
【0042】
電子機器エリア161は、被覆材のカバー層113の下方に位置する電子ユニット150を含み得る。一部の実施形態では、電子ユニットは、電子機器を囲むことによって陰圧源および電子構成要素を取り囲むまたは封入するために、材料によって囲まれ得る。一部の実施形態では、この材料はケーシングとすることができる。一部の実施形態では、電子ユニットは、例えば、本明細書に記載の疎水性コーティングなどの保護コーティングによって封入または囲まれ得る。電子ユニットは吸収エリア160の被覆材層と接触し得、カバー層113によって被覆され得る。本明細書で使用される場合、電子ユニットは、創傷に最も近い下方または創傷に面する面、および創傷被覆材が創傷の上に置かれた時に創傷から最も遠い反対側の上面を含む。
【0043】
図2Aは、電子ユニット267の実施形態を図示する。
図2Aは、創傷被覆材に組み込まれ得るポンプおよび電子ユニット267の実施形態を図示する。
図2Aの電子ユニット267は、電子ケーシングまたはその他の被覆材料がない状態で示される。
図2B~
図2Cは、ポンプおよび電子ユニット267の実施形態を図示する。
図2Bは、電子ユニットの上面図を図示する。
図2Cは、電子ユニットの底面又は創傷に面する面を図示する。
【0044】
図2A~
図2Bに示すように、電子ユニット267は、ユニットの上面上に単一のボタン265を含み得る。単一のボタン265は、オン/オフボタンまたはスイッチとして使用され、ポンプおよび/または電子構成要素の動作を停止および開始し得る。スイッチ265は、ポンプの上に位置するように構成されたドーム型スイッチとし得る。スイッチは被覆材内に置かれているため、カバー層はスイッチの周りまたはその上に簡単に封止され得る。一部の実施形態では、カバー層は、スイッチの上方に配置された開口部または穴を有し得る。カバー層は、スイッチ265の外周に封止されて創傷カバー下の陰圧を維持し得る。スイッチは、電子ユニットの任意の表面上に配置し得、ポンプと電気的に接続し得る。
【0045】
電子ユニット267はまた、ポンプ出口のための一つまたは複数の排出口264も含みうる。しかしながら、ベントまたは排出口264は、ポンプの出口に位置し、電子ユニットの上面に延在する。
図2Aに示すように、ポンプ出口排出口264は、ポンプの出口に取り付けられ、被覆材の頂面との連通を提供する。一部の実施形態では、排出口264は、ポンプの出口端部に取り付けられ得、ポンプの向きから90度の角度でポンプから延長して、被覆材の頂面と連通し得る。排出口264は、抗菌膜および逆止め弁を含み得る。ポンプから排出された空気は、ポンプ出口および排気機構274を通過し得る。一部の実施形態では、カバー層113は、排気ベント264および/または膜の上方に位置する開口部または穴を含み得る。カバー層113は、排気ベント264の外周に封止され、創傷カバー113下の陰圧を維持し得る。一部の実施形態では、排気された空気は、カバー層のガス透過性材料または透湿性材料を通して排気され得る。一部の実施形態では、カバー層は、排出口の上に開口部または穴を含む必要はなく、排気された空気はカバー層を通して排出される。一部の実施形態では、ポンプ出口機構274は、
図2A~
図2Cに示すようにポンプの周りに嵌合するように形成されたカスタム部品とし得る。電子ユニット267は、吸収エリアに最も近い電子ユニットの部分上に位置し、ポンプ272の入口と整列されたポンプ入口保護機構280(
図2Cに示す)を含み得る。ポンプ入口保護機構は、ポンプ入口と被覆材の吸収エリアまたは吸収層との間に位置付けられる。ポンプ入口保護機構は、疎水性材料で形成され、流体がポンプに入るのを防止し得る。
【0046】
一部の実施形態では、電子ユニットの上面は、ポンプの状態および/または被覆材内の圧力レベルを示すための一つまたは複数のインジケータ266を含み得る。インジケータは、小さなLED灯またはインジケータ上の被覆材料か被覆材料の貫通孔を通して見えるその他の光源とし得る。インジケータは、緑、黄、赤、橙、またはその他任意の色であり得る。例えば、一つの緑の灯および一つの橙の灯の二つの灯があり得る。緑の灯は、装置が適切に作動しており、橙の灯は、ポンプ(例えば、被覆材の漏れ、被覆材の飽和レベル、および/または低バッテリー状態)に何らかの問題があることを示し得る。
【0047】
図2A~
図2Cは、ポンプおよび電子ユニット267の実施形態を図示する。電子ユニット267は、ポンプ272およびポンプ272およびその他の電子機器に電力供給するための一つまたは複数のバッテリー268またはその他の電源を含み得る。ポンプは、約27ボルト、または約30ボルトで動作し得る。二つのバッテリーは、単一のバッテリーで可能なよりもより効率的な電圧増加(6V~30V)を許容し得る。
【0048】
バッテリー268は、可撓性回路基板276と電気的に通信し得る。一部の実施形態では、一つまたは複数のバッテリー接続は、可撓性回路基板276の表面に接続される。一部の実施形態では、可撓性回路基板はその中にその他の電子機器を有し得る。可撓性回路基板は、例えば、限定するものでないが、一つまたは複数の圧力センサ、温度センサ、光学センサおよび/またはカメラ、および/または飽和インジケータを含む様々なセンサを有し得る。
【0049】
こうした実施形態では、電子ユニット267の構成要素は、被覆材の流体から電子機器を保護するための保護コーティングを含み得る。コーティングは、電子ユニット267と被覆材の吸収材との間の流体分離の手段を提供し得る。コーティングは、シリコンコーティングまたはポリウレタンコーティングを含むがこれに限定されない疎水性コーティングとし得る。ポンプ入口構成要素は、入口上の流体からポンプを保護するために使用し得、ポンプ出口機構は、流体が出口に流入するのから保護する逆止め弁を含み得、これは2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された国際特許出願第EP2017/055225号、および2017年4月26日に出願された「WOUND DRESSINGS AND METHODS OF USE WITH INTEGRATED NEGATIVE PRESSURE SOURCE HAVING A FLUID INGRESS INHIBITION COMPONENT」と題された国際特許出願第EP2017/059883号に関連してより詳細に説明され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
電子ユニット267は、ポンプと二つのバッテリーとの間の一つまたは複数のスリット、溝またはくぼみ271を含む。スリット、溝またはくぼみ271は、電子ユニット267が柔軟に創傷の形状に適合することを可能にし得る。ユニット267は、電子ユニット267の三つのセグメントを形成する二つの平行なスリット、溝またはくぼみ271を有し得る。ユニット267のスリット、溝またはくぼみ271は、ヒンジ箇所またはそのヒンジ箇所での電子ユニットの柔軟性を可能にする間隙を作る。ポンプ排気ベント264、スイッチ265、およびインジケータ266は、電子ユニット267によって囲まれた頂面上に示される。図示したように、電子ユニット267の一つの実施形態は、ユニットを、例えば一つはバッテリーを含み、一つはポンプを収容し、一つは別のバッテリーを収容する、三つの領域またはパネルに分離するための二つのヒンジ箇所を有する。一部の実施形態では、スリット、溝またはくぼみは、被覆材の吸収エリアを通る被覆材の電子機器エリアを通る被覆材の長さに沿って延在する被覆材の長手方向軸と平行に延在する。
【0051】
図3は、被覆材内に電子ユニット367を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。一部の実施形態では、創傷被覆材は、創傷接触層304を含み得る。被覆材はまた、創傷接触層の上方の3D材料で作られ得る透過層305を含み得る。一部の実施形態では、電子サブ組立品または電子ユニット367は、
図3に示す通り、被覆材の一方の端部に向かって、吸収パッド302の開口部または穴に埋め込まれ得る。
図3における創傷被覆材層の断面図に示すように、吸収材302は、電子構成要素367の両側に位置付けられ得る。
【0052】
一部の実施形態では、吸収体構成要素及び電子機器構成要素は、重なり合っているが、ずらされていてもよい。例えば、電子機器エリアの一部分が吸収エリア、例えば超吸収層に重なり合っていてもよいが、電子機器エリアが完全に吸収エリアの上にあるわけではない。そのため、電子機器エリアの一部分が吸収エリアからずらされてもよい。被覆材層および電子構成要素は、最下層の下に位置付けられた創傷接触層304において、吸収層および電子機器の上方に位置付けられたカバー層(図示せず)で取り囲まれ得る。創傷接触層およびカバー層は、被覆材構成要素を取り囲む周辺部で封止され得る。一部の実施形態では、カバー層は、吸収材、および/または電子ユニットと直接、物理的に接触し得る。一部の実施形態では、カバー層は、例えば、電子構成要素(例えば、スイッチおよび/または排出口)を収容するために穴または開口部が使用される領域で、電子ユニットおよび/またはケーシングの一部に封止され得る。
【0053】
図4A~
図4Cは、吸収層内に置かれる電子ユニットを組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
図4Aは、透過層401を図示する。
図4Bは、透過層401の全長にわたって提供される吸収層402を図示する。吸収層は、電子機器エリア内に位置する吸収層402の一部にある一つのくぼみ、切り欠き、またはスロット407を有する。
図4Bでは、透過層401は、吸収層402のくぼみ407内に見える。くぼみ407は、一つのくぼみにおけるバッテリーおよび電子ユニット404のポンプ組立品の外周に嵌合するように間隙を介し寸法調整される。一部の実施形態では、吸収層のくぼみは、例えば、
図6、
図7A~
図7C、および
図8A~
図8Fを参照して説明した実施形態に示すバッテリーおよびポンプ組立品など、電子ユニット404の個々の構成要素に嵌合する寸法の複数のくぼみを含み得る。
図4Cは、吸収層402のくぼみ407内に位置する電子ユニット404を図示する。
図4Cに示される被覆材層および構成要素は、透過層の下に位置付けられた創傷接触層(図示せず)において、吸収層および電子機器の上方に位置付けられたカバー層(図示せず)で取り囲まれ得る。創傷接触層およびカバー層は、被覆材構成要素を取り囲む周辺部で封止され得る。
【0054】
図5A~
図5Bの創傷被覆材は、被覆材層の上方に位置付けられた材料の追加的な層を含むオーバーレイ層517を含む。一部の実施形態では、追加的な層は、被覆材層の上方に位置付けられたマスキング層または隠蔽層を含み得る。オーバーレイ層517は、吸収層および電子機器の上方、およびカバー層513の下方に位置付けられ得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層517は、電子構成要素の一部の上に開口部540を含み、オーバーレイ層の上から電子構成要素にアクセス可能とし得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層517は、創傷滲出液またはその他の流体が創傷被覆材の上から見えないようにする不透明材料であり得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層は、本明細書に記載の吸収層または透過層とし得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層は、下記により詳細に説明する通り、被覆材層の上に封止された時、カバー層が下層によって穿孔されることから保護するように、透過性および吸収材の下層の周辺を覆いおよび境界を超える適合材料を含み得る。
【0055】
創傷被覆材は、オーバーレイ層517の開口部540の上に位置付けられた電子機器ラベルまたはカバー541を含み得る。一部の実施形態では、ラベルまたはカバー541は、カバー層513の下に位置付けられ得る。その他の実施形態では、カバー層513はラベルの下に位置付けられ得、またラベルまたはカバー541が下にある電子構成要素と通信することを可能とする開口部も有し得る。
【0056】
図5Bは、陰圧が被覆材に適用される間、流体を吸収して保持する
図5Aの創傷被覆材を図示する。
【0057】
図5A~
図5Bは、オーバーレイ層517の電子機器および開口部540の上に位置付けられそれらを被覆するラベルまたはカバー541を図示する。
【0058】
図6は、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
図6は、創傷に接触するように構成された創傷接触層610を有する創傷被覆材を図示する。透過層またはスペーサ層611が、創傷接触層610の上に提供される。透過層611は、創傷部位上に陰圧を送り、分配することを支援し得る。
【0059】
開口部を備えた吸収材651の第一の層は、透過層611の上に提供され得る。第一の開口部を備えた吸収層651は、開口部629を含み得る。一部の実施形態では、開口部629は、その中に電子ユニット650が嵌合するような寸法および形状とされ得る。第一の開口部を備えた吸収層651は、電子機器エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得、吸収エリア内には延在しない。一部の実施形態では、開口部629は、電子ユニット650の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。
【0060】
第二の開口部を有する吸収層622は、第一の吸収層651の上に提供され得る。一部の実施形態では、第二の吸収層622は開口部628を含む。第二の吸収層622は、電子機器エリアおよび吸収エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得る。一部の実施形態では、開口部628は、電子ユニット650の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。
【0061】
電子ユニット650は、第一および第二の開口部を有する吸収材651および622の開口部628および629に位置付けられ得る。電子ユニット650は、ポンプ627、電源626、およびプリント基板681を含み得る。一部の実施形態では、ポンプ627は、ポンプ入口機構1710および出口機構682を含み得る。一部の実施形態では、プリント基板681は、本明細書に記載されるスイッチ、センサ、およびLEDを含むがこれに限定されない電子機器を含み得る。一部の実施形態では、回路基板681は、本明細書でより詳細に説明する通り、出口機構682における一つまたは複数の排気ベント(図示せず)上に位置付けられる一つまたは複数の穴を含み得る。
【0062】
オーバーレイ層617は、電子構成要素650および吸収層622の上に提供され得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層617は、本明細書に記載の吸収材および/または透過材料の一つまたは複数の層とし得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層617は、透過材料および吸収材の下層の周辺に重なり、境界を越える適合材料を含み得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層617は、被覆材層の端部の周りの輪郭を減少させることによって、創傷被覆材層の端部を軟化させ得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層617は、以下により詳細に記載する通り、被覆材層の上に位置付けられた時、カバー層を下層によって穿孔されることから保護するように提供され得る。オーバーレイ層617は、下方に位置する電子ユニット650の少なくとも一部分へのアクセスを可能にする開口部671を含み得る。
【0063】
カバー層又は裏当て層613は、オーバーレイ層617の上に配置され得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層617が使用されないときは、カバー層または裏当て層613が、吸収層622および/または電子構成要素650の上方に提供され得る。カバー層613は、オーバーレイ層617、吸収層622および651、電子構成要素650、および透過層611を取り囲む周縁領域において、創傷接触層610に対して封止を形成し得る。一部の実施形態では、カバー層613は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成及び成型する、柔軟性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、
図6に示す通り、カバー層613は、被覆材構成要素周りに嵌合するようあらかじめ形成され、又は、あらかじめ成型された材料であり得る。本明細書に使用されるように、用語カバー層及び裏当て層は、被覆材層を覆ように構成された、被覆材内の材料の層に言及するのに互換可能に使用され得る。
【0064】
一部の実施形態では、カバー層または裏当て層613は、開口部672を含み得る。開口部672は、オーバーレイ層617の開口部671の少なくとも一部分の上に位置付けられて、下方に位置する電子ユニット650の少なくとも一部分へのアクセスを可能とし得る。一部の実施形態では、開口部671および672は、ポンプ排出口のスイッチおよび/または通気孔へのアクセスを可能とし得る。
【0065】
ラベル641は、開口部671および672の上に提供され、電子構成要素650の露出した部分の上に位置付けられ得る。ラベルは、通気孔642、インジケータ部分644、および/またはスイッチカバー643を含み得る。インジケータ部分644は、ラベル641の下の、プリント基板681上の一つまたは複数のインジケータまたはLEDの上に配置するための穴または透明領域644を含み得る。穴または透明領域644は、インジケータまたはLEDがラベル641を通して見えるようにし得る。一部の実施形態では、スイッチカバー642は、プリント基板681上のスイッチの上に位置付けられたドーム型カバーを含み得る。一部の実施形態では、ラベル641は、スイッチカバー642のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。一部の実施形態では、スイッチカバー642のエンボス加工が施された特徴は、装置の偶発的な起動または停止を防止し得る。一部の実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー642は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。ラベルの通気孔642は、ポンプ出口機構からの排気がラベルを通過し、創傷被覆材を出て大気中に排出することを可能とし得る。
【0066】
一部の実施形態では、ラベルは、カバー層または裏当て層613の上に位置付けられ得る。ラベルは、カバー層の頂面に封止し得る。他の実施形態では、ラベル641は、オーバーレイ層671の上およびカバー層または裏当て層613の下に位置付けられ得る。こうした実施形態では、カバー層613は、ラベル641の一つまたは複数の構成要素の上に一つまたは複数の開口部を有し得る。例えば、カバー層613は、通気孔642、インジケータ部分644、および/またはスイッチカバー643の上に開口部を有し得る。
【0067】
図7A~
図7Cは、創傷被覆材の個々の層を図示する。
図7Aは、電子機器エリアの寸法および形状に合うように切断された第一の開口部を有する吸収材751を図示する。
【0068】
図7Bは、第二の開口部を有する吸収層722および透過層711を図示する。第二の吸収層722および透過層711の両方は、
図7Bに示すとおり、類似した寸法および形状であり得る。第一の開口部を有する吸収材751は、第二の開口部を有する吸収層722の寸法よりも小さい開口部を有する吸収材であり得る。
【0069】
図7Cは、透過層711、第一の開口部を有する吸収層751、第二の開口部を有する吸収層722、およびオーバーレイ層717を図示する。
図7Cに示すように、オーバーレイ層717は、創傷被覆材の他の層の端部から張り出すように、被覆材の他の層よりも大きな外周寸法を有し得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層717は、吸収層722および透過層711よりも小さい厚さを有し得る。他の実施形態では、オーバーレイ層717は、吸収層722および透過層711よりと同じかまたはより大きい厚さを有し得る。
【0070】
図8A~8Fは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材層を図示する。
図8Aに示すように、透過層711は、創傷接触層710の上に配置され得る。
図8Bは、創傷被覆材の構成要素の底面図を示す。
図8Bは、第一の開口部を有する吸収層751の開口部内に埋め込まれた電子ユニット750および第二の開口部を有する吸収層722の底面図を図示する。
図8Cは、第一の開口部を有する吸収層751(図示せず)の開口部内に埋め込まれた電子ユニット750、および透過層(図示せず)および創傷接触層710の上に配置された第二の開口部を有する吸収層722の上面図を図示する。
【0071】
図8Dは、第一の開口部を有する吸収層751および第二の開口部を有する吸収層722内に埋め込まれた電子ユニット750を備える創傷被覆材装置の層を図示する。第一の開口部を有する吸収層751および第二の開口部を有する吸収層722は、透過層711および創傷接触層710の上に配置され得る。
【0072】
図8Eは、被覆材層の上に位置付けられたオーバーレイ層717を図示する。オーバーレイ層717は、電子ユニット750の一部分の上に位置する穴または開口部740を含む。開口部740は、電子ユニット750の頂面上のスイッチ、ポンプ出口構成要素、および視覚インジケータへのアクセスを許容し得る。
【0073】
ラベルまたはカバー741は、
図8Fに示す通り、オーバーレイ層717の電子機器および開口部740の上に位置付けられそれらを被覆し得る。
図8Fは、オーバーレイ層717および電子機器カバー741および下にある被覆材および電子構成要素を覆うカバー層713を示す。カバー層713は、創傷接触層710の周辺領域において、創傷接触層710(
図8C~
図8Eに示す)に封止し得る。一部の実施形態では、ラベルまたは電子機器カバー741は、カバー層713の上に位置付けられ得る。一部の実施形態では、カバー層713は、電子機器カバー741の上に封止し得る。一部の実施形態では、電子機器カバー741は、
図8Fに示す通り、スイッチカバー743、一つまたは複数の視覚インジケータ744、および/またはポンプ出口ベント742を含み得る。一部の実施形態では、カバー層713は、スイッチおよび/またはポンプ出口ベントの上に位置付けられたカバー層713の一つまたは複数の穴を含み得る。一部の実施形態では、カバー層713は、
図8Fに示すように、カバーまたはラベル741のスイッチカバー743、視覚インジケータ744、および/またはポンプ出口ベント742の上に位置付けられた単一の穴を含み得る。一部の実施形態では、ラベルは、スイッチカバー743のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。一部の実施形態では、スイッチカバー743のエンボス加工が施された特徴は、装置の偶発的な起動または停止を防止し得る。一部の実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー743は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。
【0074】
視覚インジケータ744は、陰圧源の動作および/または創傷に適用される陰圧のレベルの表示を提供し得る。一部の実施形態では、視覚インジケータは、一つまたは複数の光源またはLEDを含み得る。一部の実施形態では、視覚インジケータ光源は点灯して状態または状態の変化を示す。一部の実施形態では、光源は、状態を示す特定の配列および/または色を点灯し得る。例えば、一部の実施形態では、光源は、点滅して装置が適切に動作していることをユーザに通知し得る。一部の実施形態では、光源は自動で定期的に点滅し得、および/または光源はスイッチまたは他のボタンによって作動し点灯して状態を示し得る。
【0075】
一部の実施形態では、スイッチは押されておよび/または押し下げられて、被覆材および電子機器の電源を入れおよび切る。一部の実施形態では、スイッチが起動されると、ポンプおよび関連付けられたカラーLED、例えば、緑色のLEDを使用して、被覆材および組み込まれた陰圧源が作動中であることを確認し得る。一部の実施形態では、ポンプおよび被覆材の動作中、ポンプおよび被覆材は、例えば、橙色のLEDなどのカラーLEDで示される故障状態に入り得る。
【0076】
電子機器は被覆材内に組み込まれ得る。例えば、被覆材構成要素は、創傷の上に位置付けられる一つの一体化された陰圧被覆材を形成するように組み立てられ得る。以下の組立品の記載は、一体化された創傷被覆材の組立品の実施形態を説明する。一部の実施形態では、組立工程の一部または全ては自動化され得、および/または工程または手順のいずれかまたは全てが任意の順序で行われ得る。
【0077】
図8Aに示すように、透過層は、創傷接触層の上に配置され得る。一部の実施形態では、透過層は、創傷から上向きのまたは創傷から外方を向いた大きめの細孔とともに位置付けられ得る。
図8Bは、大きな開口部を有するパッドまたは吸収層および小さな開口部を有するパッドまたは吸収層内に埋め込まれたまたは嵌合された電子構成要素を図示する、創傷被覆材の一部の構成要素の底面図を図示する。
図8Bでは、電子組立品はスイッチ側を下に位置する。
図8Cは、
図8Cおよび8Dに示す通り、透過層の上に直接置かれた開口部を有するパッドまたは吸収材内の電子組立品の上面図を示す。スイッチは、
図8Cおよび8Dに示す通り、プリント基板の頂面上に位置付けられ得る。
【0078】
オーバーレイ層717は、オーバーレイ層の開口部が電子組立品のスイッチの上に位置付けられた状態で、開口部を有するパッドまたは吸収材の上に位置付けられ得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層717の端部および/または外周は、創傷接触層710の上または上面に接着または固定され得る。
図8Fに示す通り、上部フィルムまたはカバー層は、オーバーレイ層717の上に配置され得る。一部の実施形態では、カバー層の周囲は創傷接触層710の上または上面に固定され得る。一部の実施形態では、カバー層がプリント基板の上に位置付けられる場合、穴は二つの排気ポートの位置で上部フィルムに穿孔され得る。他の実施形態では、カバー層は、二つの排気ポートおよび/または電子ユニットのその他の構成要素の上に配置される一つまたは複数の開口部を備え得る。
【0079】
ラベルカバーは、オーバーレイ層717およびカバー層の開口部を通して露出される電子組立品のスイッチおよび/またはその他の構成要素の上に適用され得る。インジケータ部分は、ラベルカバーが適用された時に、PCB上のLEDと整列された透明部分またはLEDウィンドウを含み得る。一部の実施形態では、LEDウィンドウは、ラベルカバーの開口部を含み得る。他の実施形態では、LEDウィンドウは、ラベルカバーの透明部分とし得る。排気孔はまた、ラベルカバーの開口部と整列され得る。
【0080】
図9は、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。被覆材900は、複数の材料層および電子組立品950を含む。創傷被覆材900は、
図1A~
図1Bを参照して説明した通り、創傷に適用されるように意図された電子機器および吸収エリアまたは被覆材エリア960を含む電子機器エリア961を含み得る。本明細書に記載される通り、材料層の一つまたは複数は、電子機器エリア961および被覆材エリア960の両方に延在し得る。被覆材900は、
図9に図示する通り、創傷接触層910、透過層911、吸収層922および951、オーバーレイ層、およびカバーまたは裏当て層913を含み得る。吸収層922および951は、本明細書で説明した電子組立品950の構成要素を受けるためのくぼみまたは切り欠き部を含み得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層917および/またはカバー層913は、電子組立品950のスイッチおよび/またはインジケータ上に切り抜き部を含み得る。ラベルまたはカバー941は、電子組立品950の少なくとも一部分およびオーバーレイ層917および/またはカバー層913の任意の切り欠き部を覆うように位置付けられ得る。ラベルまたはカバー941は、
図6および8Fを参照して前述した通り、ラベルまたはカバー741と類似していてもよい。
【0081】
使用前に、被覆材は、創傷接触層の底面に接着された送達層945を含み得る。送達層945は、創傷接触層910の底面上の接着剤または開口部を覆い得る。一部の実施形態では、送達層945は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層945は、被覆材900を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層945を創傷接触層910から分離するために使用し得るハンドル946を含み得る。
【0082】
電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、様々なタイプの創傷に対応する任意の形状または寸法とし得る。例えば、電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、長方形、丸みのある長方形、正方形、T字型、またはその他任意の形状または設計を有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、
図1A~
図2Bを参照して図示した長方形または丸みのある長方形の形状であり得る。他の実施形態では、本明細書に記載の電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、
図4A~
図8Fを参照して図示したT字形状であり得る。
【0083】
(あらゆる添付資料、特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示されるすべての特徴、及び/又はそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/又はステップのうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。開示対象は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせ、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせに及ぶ。
【0084】
本開示に記載する実装に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する全体的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用されてもよい。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。開示のある実施形態は、以下に列挙する、または後に提示する請求項の組に網羅される。