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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】変速機アセンブリ及び自動車両システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/50 20060101AFI20220411BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20220411BHJP
   F16H 61/66 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
F16H3/50
F16H61/00
F16H61/66
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019517205
(86)(22)【出願日】2017-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2017037310
(87)【国際公開番号】W WO2017218575
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】62/349,295
(32)【優先日】2016-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518440545
【氏名又は名称】ヴィラリアル,ジョー,ジー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラリアル,ジョー,ジー.
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07824290(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/50
F16H 61/00
F16H 61/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機アセンブリであって、
動力源から入力シャフトを介して入力トルクを受け取るように構成されたリングギヤと、
前記リングギヤに結合されたキャリアアセンブリであって、前記キャリアアセンブリは、第1の軸の周りに回転するように構成され、且つ、前記キャリアアセンブリは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に結合されたスパイダーギヤと、を備える、キャリアアセンブリと、
前記スパイダーギヤと噛み合い係合しているキャリア出口ギヤを備えるキャリア出口シャフトであって、前記キャリア出口シャフトは、駆動シャフトに出力トルクを伝達するように構成される、キャリア出口シャフトと、
前記スパイダーギヤと噛み合い係合している制御ギヤを備える制御シャフトと、
前記制御シャフトに結合された負荷付与装置であって、前記負荷付与装置は、前記制御シャフトの回転に抵抗するべく、前記制御シャフトに抵抗トルクを提供すると共に、前記駆動シャフトと前記入力シャフトとの間のギヤ比を変えるように構成される、負荷付与装置と、
負荷制御装置であって、前記負荷制御装置は、前記負荷付与装置に結合され、且つ、前記負荷付与装置から前記制御シャフトに付与される抵抗トルクの量を制御するように構成される、負荷制御装置と、
トルク付与装置であって、前記トルク付与装置は、前記キャリア出口シャフトにトルクを制御可能に付与するように構成される、トルク付与装置と、
前記負荷制御装置及び前記負荷付与装置に結合された油圧回路と、
前記油圧回路に流体的に結合されたバイパス回路と、
前記バイパス回路に流体的に結合されたバイパスバルブであって、前記バイパスバルブは、前記バイパスバルブが開状態にある場合、前記油圧回路の中の流体の流れが前記トルク付与装置を迂回することを可能にするように構成される、バイパスバルブと、
を備え
前記負荷付与装置は、前記油圧回路に流体的に結合されたポンプを備え、
前記トルク付与装置は、前記油圧回路に流体的に結合されたモータを更に備え、且つ、前記油圧回路の中の流体の圧力を回転トルクに変換するように構成される、変速機アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
前記スパイダーギヤは、前記第1の軸に直交する第2の軸の周りに回転するように構成される、変速機アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
前記負荷付与装置は油圧ポンプを備える、変速機アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
前記負荷付与装置は、前記リングギヤに入力トルクが付与されることに呼応して、前記制御シャフトに前記抵抗トルクを提供するように構成される、変速機アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
前記制御シャフトに前記抵抗トルクが付与されることに呼応して、前記制御シャフトは、前記キャリア出口シャフトの回転速度とは異なる回転速度で回転する、変速機アセンブリ。
【請求項6】
請求項に記載の変速機アセンブリであって、
前記負荷制御装置及び前記負荷付与装置に結合された油圧回路、
を更に備え、
前記負荷付与装置はポンプを備え、
前記負荷制御装置は、前記油圧回路を通る流体の流れを制御可能に制限するように構成されたバルブを備える、変速機アセンブリ。
【請求項7】
請求項に記載の変速機アセンブリであって、
制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記負荷制御装置と信号連通し、且つ、開位置と閉位置との間で前記負荷制御装置を作動させるように構成される、変速機アセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
転がり軸受けを更に備え、前記転がり軸受けは、前記スパイダーギヤと前記キャリアアセンブリの前記ハウジングとの間に結合される、変速機アセンブリ。
【請求項9】
変速機アセンブリであって、
動力源から入力トルクを受け取るように構成されたリングギヤと、
前記リングギヤに結合されたキャリアアセンブリと、
前記キャリアアセンブリに結合され、且つ、駆動シャフトに出力トルクを伝達するように構成されたキャリア出口シャフトと、
前記キャリアアセンブリに結合された制御ギヤを備える制御シャフトと、
前記制御シャフトに結合された負荷付与装置であって、前記負荷付与装置は、前記制御シャフトの回転に抵抗するべく、前記制御シャフトに抵抗トルクを提供するように構成される、負荷付与装置と、
前記負荷付与装置に結合され、且つ、前記負荷付与装置から前記制御シャフトに付与される抵抗トルクの量を制御するように構成された負荷制御装置と、
トルク付与装置であって、前記トルク付与装置は、前記キャリア出口シャフトにトルクを制御可能に付与するように構成される、トルク付与装置と、
前記負荷制御装置及び前記負荷付与装置に結合された油圧回路と、
前記油圧回路に流体的に結合されたバイパス回路と、
前記バイパス回路に流体的に結合されたバイパスバルブであって、前記バイパスバルブは、前記バイパスバルブが開状態にある場合、前記油圧回路の中の流体の流れが前記トルク付与装置を迂回することを可能にするように構成される、バイパスバルブと、
を備え、
前記負荷付与装置は、前記油圧回路に流体的に結合されたポンプを備え、前記油圧回路を通る流体の流れを制御可能に制限するように構成されており、
前記トルク付与装置は、前記油圧回路に流体的に結合されたモータを更に備え、且つ、前記油圧回路の中の流体の圧力を回転トルクに変換するように構成される、変速機アセンブリ。
【請求項10】
請求項に記載の変速機アセンブリであって、
前記キャリアアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に結合されたスパイダーギヤと、
を備え、
前記キャリア出口シャフトは、前記スパイダーギヤと噛み合い係合しているキャリア出口ギヤを備え、且つ前記制御シャフトは、前記スパイダーギヤと噛み合い係合している制御ギヤを備える、変速機アセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の変速機アセンブリであって、
前記スパイダーギヤと前記キャリアアセンブリの前記ハウジングとの間に結合された転がり軸受けを更に備える、変速機アセンブリ。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載された変速機アセンブリを備える自動車両システムであって、
動力源としての原動機と、
前記変速機アセンブリ及び前記原動機回転可能に結合する入力シャフトと、
前記変速機アセンブリに回転可能に結合された駆動シャフトと、
を備え、自動車両システム。
【請求項13】
請求項1に記載の自動車両システムであって、
前記変速機アセンブリは、前記変速機アセンブリが備えるキャリア出口シャフトに結合された逆転ギヤを更に備える、自動車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、2016年6月13日出願され、且つ、「変速機アセンブリ及び方法」と題する米国仮特許出願第62/349,295号の利益を主張し、米国仮特許出願第62/349,295号は、これによって、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
変速機は、動力源に結合された入力装置(例えば、入力シャフト)から、入力回転トルク及び入力回転速度を受け取り、入力装置から受け取った回転トルク及び回転速度を変換し、且つ、変換された回転トルク及び回転速度を出力装置(例えば、出力シャフト)へ伝達する。例えば、幾つかの応用において、変速機は、出力装置の回転速度が入力装置の回転速度から変わるように、入力装置から受け取った回転速度を変換する又は調節するが、そこでは、入力装置及び出力装置の回転速度の比は、変速機の速度比又はギヤ比を定義する。変速機は、自動車両、建設機械、発電システム、及び他の産業機械を含む様々な応用において使用される。
【0003】
幾つかの応用において、変速機は、入力装置と出力装置との間で、複数の離散的で選択可能なギヤ比を備える。これらの応用において、変速機の望ましいギヤ比は、手動変速機では手動的に、そして自動変速機では自動的に選択してもよい。他の応用において、変速機は、無段変速機(CVT)のような、連続的な範囲のギヤ比によって、途切れなく変化するように構成される。ある応用において、CVTは、出力装置の回転速度を連続的に変えながら、入力シャフトが一定の回転速度に留まることを可能とするように構成され、これによって、入力装置に結合された動力源が、最適なパワー又は最適な燃料効率を提供する回転速度のような、好ましい回転速度で動作することを可能にする。
【0004】
幾つかの応用において、CVTは、一対の回転可能な滑車と摩擦的に係合するベルト又はチェーンを備えてもよく、そこでは各滑車は、回転可能な滑車間のギヤ比を変えるべく、連続的に調節可能な外径を含む。これらのCVTが、伝統的な自動及び手動の変速機において連動するギヤ歯部間の係合の代わりに、ベルトと滑車との間の摩擦的な係合に頼っていることを考えれば、幾つかのCVTは、それらが入力装置と出力装置との間で伝達する可能性のあるトルクの量において、制限を受けるかもしれない。更に、他のCVT設計品は、比較的大きな数の可動部品を含むかもしれず、このことは、それらの設計品の耐久性を制限し、且つ、設計、製造、維持、及び修理に対する労力及びコストを増加させる。
【発明の概要】
【0005】
変速機アセンブリの実施形態は、動力源から入力トルクを受け取るように構成されたリングギヤと、リングギヤに結合されたキャリアアセンブリであって、前記キャリアアセンブリは、第1の軸の周りに回転するように構成されると共にハウジングを備える、キャリアアセンブリと、ハウジングに回転可能に結合されたスパイダーギヤと、スパイダーギヤと噛み合い係合しているキャリア出口ギヤを備えるキャリア出口シャフトであって、前記キャリア出口シャフトは、駆動シャフトに出力トルクを伝達するように構成される、キャリア出口シャフトと、スパイダーギヤと噛み合い係合している制御ギヤを備える制御シャフトと、制御シャフトに結合された負荷付与装置であって、前記負荷付与装置は、制御シャフトの回転に抵抗するべく、制御シャフトに抵抗トルクを提供すると共に、駆動シャフトと入力シャフトとの間のギヤ比を変えるように構成される、負荷付与装置と、を備える。幾つかの実施形態において、スパイダーギヤは、第1の軸と直交する第2の軸の周りに回転するように構成される。幾つかの実施形態において、負荷付与装置は、油圧ポンプを備える。ある実施形態において、負荷付与装置は、リングギヤに入力トルクを付与することに呼応して、制御シャフトに抵抗トルクを提供するように構成される。ある実施形態において、制御シャフトは、制御シャフトに抵抗トルクを付与することに呼応して、キャリア出口シャフトの回転速度とは異なる回転速度で回転する。幾つかの実施形態において、変速機アセンブリは、負荷制御装置を更に備え、前記負荷制御装置は、負荷付与装置に結合され、且つ、負荷付与装置から制御シャフトに付与される抵抗トルクの量を制御するように構成される。幾つかの実施形態において、変速機アセンブリは、負荷制御装置及び負荷付与装置に結合された油圧回路を更に備え、そこでは、負荷付与装置はポンプを備え、負荷制御装置は、油圧回路を通る流体の流れを制御可能に制限するように構成されたバルブを備える。ある実施形態において、変速機アセンブリは制御装置を更に備え、前記制御装置は、負荷制御装置と信号連通しており、且つ、開位置と閉位置との間で負荷制御装置を作動させるように構成される。ある実施形態において、変速機アセンブリは、トルク付与装置を更に備え、前記トルク付与装置は、キャリア出口シャフトにトルクを制御可能に付与するように構成される。幾つかの実施形態において、変速機アセンブリは、負荷制御装置及び負荷付与装置に結合された油圧回路を更に備え、そこでは負荷付与装置は、油圧回路に流体的に結合されたポンプを備え、トルク付与装置は、油圧回路に流体的に結合されたモータを備え、且つ、油圧回路の中の油圧流体の圧力を回転トルクに変換するように構成される。幾つかの実施形態において、変速機アセンブリは、油圧回路に流体的に結合されたバイパス回路と、バイパス回路に流体的に結合されたバイパスバルブと、を更に備え、ここで前記バイパスバルブは、自身が開位置にある場合、油圧回路の中の流体の流れが、トルク付与装置を迂回することを可能とするように構成される。ある実施形態において、変速機アセンブリは、スパイダーギヤとキャリアアセンブリのハウジングとの間に結合された転がり軸受けを更に備える。
【0006】
変速機アセンブリの実施形態は、動力源から入力トルクを受け取るように構成されたリングギヤと、リングギヤに結合されたキャリアアセンブリと、キャリアアセンブリに結合され、且つ、駆動シャフトに出力トルクを伝達するように構成されたキャリア出口シャフトと、キャリアアセンブリに結合された制御ギヤを備える制御シャフトと、制御シャフトに結合された負荷付与装置と、を備え、負荷付与装置は、制御シャフトの回転に抵抗するべく、制御シャフトに抵抗トルクを提供するように構成され、負荷制御装置は、負荷付与装置に結合され、且つ、負荷付与装置から制御シャフトに付与される抵抗トルクの量を制御するように構成され、油圧回路は、負荷制御装置及び負荷付与装置に結合され、負荷付与装置は、油圧回路に流体的に結合されたポンプを備え、且つ負荷制御装置は、油圧回路を通る流体の流れを制御可能に制限するように構成されたバルブを備える。幾つかの実施形態において、キャリアアセンブリは、ハウジングと、ハウジングに回転可能に結合されたスパイダーギヤと、を備え、キャリア出口シャフトは、スパイダーギヤと噛み合い係合しているキャリア出口ギヤを備え、且つ制御シャフトは、スパイダーギヤと噛み合い係合している制御ギヤを備える。幾つかの実施形態において、変速機アセンブリは、スパイダーギヤとキャリアアセンブリのハウジングとの間に結合された転がり軸受けを更に備える。
【0007】
自動車両システムの実施形態は、原動機と、入力シャフトを有する原動機に回転可能に結合された変速機と、変速機に回転可能に結合された駆動シャフトと、を備え、変速機は、入力シャフトと駆動シャフトとの間にギヤによる結合を提供し、変速機は、入力シャフトと駆動シャフトとの間に連続可変のギヤ比を提供する。幾つかの実施形態において、変速機は、原動機から入力トルクを受け取るように構成されたリングギヤと、リングギヤに結合されたキャリアアセンブリと、第1の軸の周りに回転するように構成され、且つ、ハウジングを備えるキャリアアセンブリと、ハウジングに回転可能に結合されたスパイダーギヤと、スパイダーギヤと噛み合い係合しているキャリア出口ギヤを備えるキャリア出口シャフトと、スパイダーギヤと噛み合い係合している制御ギヤを備える制御シャフトと、制御シャフトに結合された負荷付与装置と、を備え、負荷付与装置は、制御シャフトの回転に抵抗するべく、制御シャフトに抵抗トルクを提供すると共に、駆動シャフトと入力シャフトとの間のギヤ比を変えるように構成される。幾つかの実施形態において、変速機は、キャリアアセンブリのキャリア出口シャフトに結合された逆転ギヤを更に備える。ある実施形態において、自動車両システムは、負荷付与装置に流体的に結合された油圧回路と、油圧回路に流体的に結合され、且つ、負荷付与装置から制御シャフトに付与される抵抗トルクの量を制御するように構成された負荷制御装置と、を更に備え、負荷制御装置は、油圧回路を通る流体の流れを制御可能に制限するように構成されたバルブと、負荷制御装置と信号連通しており、且つ、開位置と閉位置との間で負荷制御装置を作動させるように構成された制御装置と、を備える。ある実施形態において、自動車両システムは、キャリア出口シャフトにトルクを制御可能に付与するように構成されたトルク付与装置を更に備え、そこではトルク付与装置は、油圧回路に流体的に結合されたモータを備え、且つ、油圧回路の中の油圧流体の圧力を回転トルクに変換するように構成される。
【0008】
典型的な実施形態の詳細な説明のために、今から添付図面が参照されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本明細書で開示される原理に従う変速機アセンブリの実施形態を含む自動車両システムの模式図である。
図2図2は、図1の変速機アセンブリの正面図である。
図3図3は、本明細書で開示される原理に従う、図1の変速機アセンブリのキャリアアセンブリのハウジングの実施形態の斜視図である。
図4図4は、本明細書で開示される原理に従う、図1の変速機アセンブリのキャリアアセンブリの実施形態の分解立体図である。
図5図5は、本明細書で開示される原理に従う、第1の位置に示される変速機アセンブリの別の実施形態の斜視図である。
図6図6は、第2の位置に示される、図5の変速機アセンブリの斜視図である。
図7図7は、第3の位置に示される、図5の変速機アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に続く図面及び説明において、類似の部品は、通常、明細書及び図面を通して、同じ参照符号によって示される。図面の図は、必ずしも寸法通りではない。開示される実施形態のある特徴は、寸法において、又はいくぶん模式的な形において、誇張して示されるかもしれず、且つ従来の要素の幾つかの詳細は、明快さ及び簡潔さのために、示されないかもしれない。本開示は、異なる形の実施形態の影響を受けやすい。特定の実施形態が、詳細に説明されると共に、図面において示されるが、これは、次の理解を伴っている。その理解とは、本開示は、開示の原理を例証するものと考えられるべきであり、且つ、本開示を、本明細書で例示されると共に説明されるものに限定することを意図しない、というものである。十分に認識されるべきことであるが、以下で議論される実施形態の異なる教示は、望ましい結果を産み出すべく、別々に使用してもよい、又は任意の適切な組み合わせにおいて使用してもよい。
【0011】
次の議論及び請求項において、特に指定しない限り、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、拡張可能な方法において使用され、且つ、従って、「~を含むが、しかし~に限定されない」ということを意味するものと解釈されるべきである。「接続する」、「係合する」、「結合する」、「取り付ける」という用語の、又は要素間の相互作用を説明する他の用語の任意の形態を使用することは、相互作用を要素間の直接の相互作用に限定することを意味せず、且つ、また、説明される要素間の間接の相互作用を含んでもよい。実施形態の以下の詳細な説明を読むことで、及び添付図面を参照することによって、上述の様々な特性は、以下でより詳細に説明される他の特徴及び特性と同様、当業者にとっては容易に明白となるであろう。
【0012】
さて図1を参照すると、自動車システム又は自動車両システム10が示されている。図1は自動車両システム10の動力伝達系又は駆動伝達系だけを例示しているとは言え、システム10は、外部ボディ、シャーシ、サスペンションなどのような他の構成要素(図示されず)を含む、ということが理解される。この実施形態では、自動車両システム10は、一般に、動力源又は原動機12、入力装置14、変速機100、出力装置16、差動装置18、一対の車軸20、及び一対の車輪22を含む。この実施形態では、原動機12は内部燃焼エンジンであり、この内部燃焼エンジンは、燃料源(図示せず)によって提供される化学的エネルギーを、ある与えられた回転速度で回転トルクを備える機械的エネルギーに変換するように構成される。他の実施形態において、原動機(例えば、原動機12)は、電気モータのような別のタイプの動力源を備える。更に他の実施形態において、変速機100は、差動装置18及び/又は車輪22を備えない駆動伝達系において使用してもよい。この実施形態では、入力装置14は、原動機12及び変速機100に結合された入力シャフト14を備える。この配列では、機械的エネルギーは、原動機12から入力シャフト14に提供され、これによって、第1の回転速度又は入力回転速度14Sでの、入力シャフト14の回転が結果としてもたらされる。
【0013】
車両システム10の出力装置16は、変速機100と結合された出力シャフト又は駆動シャフト16を備える。この実施形態では、変速機100は、一般に、入力シャフト14から受け取った入力回転速度14Sを、駆動シャフト16の第2の回転速度又は出力回転速度16Sに変換するように構成され、そこでは、出力回転速度16Sは、入力回転速度14Sと異なっていてもよい。特に、出力回転速度16Sは、変速機100が無段変速機を備えるように、入力回転速度14Sに関して連続的に変化してもよい。言い換えると、変速機100は、入力シャフト14と出力シャフト16との間に連続可変のギヤ比(即ち、出力回転速度16Sによって割り算された入力回転速度14S)を提供するように構成される。このようにして、入力回転速度14Sが実質的に一定に留まりながら、出力回転速度16Sは、連続的に調整されるであろう、又は変えられるであろう。加えて、この実施形態では、変速機アセンブリは、ギヤによる無段変速機を備え、前記ギヤによる無段変速機は、入力シャフト14と駆動シャフト16との間で動力を伝達するために、ベルト又は類似の機構(チェーンなど)に頼ることなく、連続可変のギヤ比を提供する。
【0014】
この実施形態では、駆動シャフト16は差動装置18と結合され、そこでは、差動装置18は、出力回転速度16Sで出力シャフト16から回転トルクを受け取ると共に、一対の車軸20の間で出力シャフト16からの回転トルクを分割するように構成される。ここで一対の車軸20は、それらに結合された車輪22を通して、地表と摩擦的に係合する。ある実施形態において、差動装置18は、各車軸20が異なる回転速度で回転するのを可能にしながら、車軸20間で回転トルクを分割するように構成される。そのうえ、ある実施形態において、差動装置18は、駆動シャフト16から受け取ったトルクを、車軸20間で不均等に分配するように構成されるが、この分配は、各車輪22と地表との間の引き付け力の度合いに依存する。変速機100は、本明細書では自動車両システム10の一部として説明されているが、一般には、変速機100は、様々な他の応用において使用することが可能である。ここで様々な他の応用は、制限無しに、産業設備(例えば、掘削リグ、クレーン、トラクタ、製粉機など)、発電システム(例えば、風力発電機、水力発電機など)、海洋システム、及び他の機械システムを含む。
【0015】
この実施形態では、自動車両システム10は、原動機12及び変速機100の両方と信号連通している制御システム又は動力伝達系制御装置50を付加的に含む。動力伝達系制御装置50は、原動機12及び変速機100の動作を制御する、又は管理することにおいて、援助するように構成される。動力伝達系制御装置50は、自動車両システム10の様々なパラメータを測定する1つ以上のセンサを備えるが、ここで前記パラメータは、制御装置50が、動力システム12及び変速機100の動作を管理する際に、動力伝達系制御装置50への制御システム入力を備える。この実施形態では、動力伝達系制御装置50は、原動機12の速度又は一分当たりの回転数(RPM)、自動車両システム10の速度、原動機12への空気及び/又は燃料の流れを制御するスロットルの位置、原動機12からトルクを付与することに呼応した、車輪22の回転に対する負荷又は抵抗、最大回転比に対する現在の回転比の百分率はもちろんのこと、システム10の回転比(出力RPMに対する入力RPMの比)、及びシステム10の燃料経済性(マイル/ガロンで測定される)を測定する。他の実施形態において、動力伝達系制御装置50は、上に挙げられない付加的なパラメータと同様に、上で説明された制御パラメータの1つ以上を測定してもよい。
【0016】
図1から図4を参照すると、自動車両10の変速機100の実施形態が示されている。この実施形態では、変速機100は、一般に、入力ギヤ102、キャリアアセンブリ110、負荷付与装置140、キャリア出口シャフト150、トルク付与装置160、及び変速機出力ギヤ170を含む。入力ギヤ102は、その外側表面上に配置された、円周方向に一定の間隔で配置された複数のギヤ歯部を備え、且つ、入力シャフト14の終端部に結合される。図2から図4の実施形態では、入力シャフト14は、入力シャフト14の中心軸又は長手軸に沿った角度ずれ又は曲がりを可能とするための、枢動自在な継ぎ手(例えば、U字型継ぎ手)14Jを含む。駆動シャフト16は、同様に、駆動シャフト16の中心軸又は長手軸に沿った角度ずれ又は曲がりを可能とするための、枢動自在な継ぎ手(例えば、U字型継ぎ手)16Jを含む。しかしながら、他の実施形態において、シャフト14及びシャフト16は、それぞれ、継ぎ手14J及び継ぎ手16Jを含まなくてもよい。
【0017】
この実施形態では、キャリアアセンブリ110は、リングギヤ112と、リングギヤ112に付けられたハウジング114と、複数のスパイダーギヤ116と、スパイダーギヤ116間に延在するスパイダーギヤシャフト又はスパイダーギヤピン118と、を含む。キャリアアセンブリ110のリングギヤ112は、リングギヤ112と入力ギヤ102との間に直接機械接続又はギヤによる接続を提供するために、入力ギヤ102の歯部と噛み合う、円周方向に一定の間隔で配置された複数の歯部を備える。リングギヤ112に付けられたハウジング114は、したがって、リングギヤ112に回転できるように取り付けられる。この実施形態では、リングギヤ112は、中心開口部112Aを含み、且つハウジング114は、第1の軸又はキャリア軸115の周りで円周方向に一定の間隔で配置された、対をなすスパイダー開口部114A(図2に示される)と、キャリア軸115が横切る制御シャフト開口部114Bと、を含む。
【0018】
キャリアアセンブリ110の各スパイダーギヤ116は、スパイダーギヤシャフト118に結合され、その一方で、シャフト118は、ハウジング114に付けられる、又は結合される。特に、各スパイダーギヤ116は、ハウジング114のスパイダーギヤ開口部114Aの1つに受け入れられるスパイダーギヤ軸受け120に結合される。この配列では、スパイダーギヤ軸受け120は、スパイダーギヤシャフト118に対して、スパイダーギヤ軸117の周りにスパイダーギヤ116が回転するのを可能にするが、そこでは、シャフト118は、ハウジング114に回転できるようにロックされる。この実施形態では、自動車両10が低速度(定常速度を含む)及び高速度のいずれかで動作している場合、スパイダーギヤ116は、スパイダーギヤ軸117の周りに連続的に回転する。したがって、差動装置18(これもまた、スパイダーギヤを含む)とは違って、スパイダーギヤ軸受け120は、自動車両10の動作寿命に関する故障又は破損無しに、スパイダーギヤ116の連続回転を可能にする。この実施形態では、スパイダーギヤ軸受け120は、スパイダーギヤ116の信頼できる連続回転を可能とするべく、転がり軸受け120(例えば、ニードル軸受けなど)を備える。この実施形態では、スパイダーギヤ軸117は、キャリア軸115に直交して配置され、且つ、キャリア軸15を横切る。しかしながら、他の実施形態において、スパイダーギヤ軸117は、キャリア軸115を横切る必要はない。
【0019】
この実施形態では、変速機100の入力ギヤ102は、入力シャフト14に回転できるように固定されるか又はロックされ、且つ、したがって、トルクが原動機12から入力シャフト14に付与される場合、入力回転速度14Sで回転する。リングギヤ112の回転速度、及び同様に、ハウジング114の回転速度は、入力ギヤ102とリングギヤ112との間のギヤ比又はギヤ歯部の比によって決定される。キャリアアセンブリ110は、キャリア軸115の周りに回転する。加えて、図2から図4に示されるキャリアアセンブリ110のハウジング114の実施形態は、スパイダーギヤ116及びスパイダーギヤシャフト118を円周方向に囲んではいないが、他の実施形態において、ハウジング114は、ハウジングギヤ116及びシャフト118のための、一般に円筒形の囲まれたケースを備える。更に、図2から図4に示されたキャリアアセンブリ110の実施形態は、一対のスパイダーギヤ116を備えるのに対して、他の実施形態において、アセンブリ110は、単一ギヤ116を含めて、様々な数のスパイダーギヤ116を含んでもよい。この実施形態では、スパイダーギヤ116は、スパイダーギヤ軸117の周りに(スパイダーギヤ軸受け120を通して)自由に回転することが可能であり、そこでは軸117は、スパイダーギヤシャフト118の長手軸と同軸的に配置される。
【0020】
この実施形態では、変速機100は、負荷付与装置140に結合された制御シャフト142と、その終端部における制御ギヤ144を含む制御シャフト142と、を付加的に含み、ここで制御ギヤ144は、制御シャフト142に回転できるように固定される。負荷付与装置140は、自動車両システム10の制御装置50と信号連通しており、且つ、負荷付与装置140に結合された制御シャフト142に、抵抗トルク又は反作用トルクを選択的に提供するが、そこでは制御ギヤ144は、制御シャフト142の終端部に結合される、又は付けられる。この実施形態では、負荷付与装置140は、制御シャフト142の回転によって動力供給される油圧ポンプを備える。加えて、この実施形態では、トルク付与装置160は油圧モータを備える。
【0021】
この実施形態では、変速機100は、負荷付与装置140とトルク付与装置160との間に延在する油圧回路又は油圧ループ146を含み、それによって、負荷付与装置140とトルク付与装置160との間に流体連通を提供する。加えて、この実施形態では、変速機100の油圧回路146は、流体貯蔵器又は油圧貯蔵器147と、負荷制御装置148と、バイパスバルブ149Vを含むバイパス導管又はバイパス回路149と、を含む。この配列では、油圧回路146は、負荷制御装置148、負荷付与装置140、バイパス回路149、及びトルク付与装置160に流体的に結合される。油圧貯蔵器147は、油圧回路146のための油圧流体の供給源を提供する。負荷制御装置148は、油圧回路146を通して流体の流れを選択的に又は制御可能に制限し、それによって、制御シャフト142に負荷トルク又は抵抗トルクを及ぼす。例えば、もし負荷制御装置148が完全に閉位置に配置される場合、油圧流体は、油圧回路146及び負荷付与装置140を通って流れることを制限され、それによって、制御シャフト142に回転できるように固定される、付与装置140の回転子が回転することを妨げる。逆に、負荷制御装置148が完全に開位置にある場合、流体は、油圧回路146を通って自由に流れることが可能であり、且つ負荷付与装置140は、制御シャフト142が回転することを制限しない、又は妨げない。加えて、負荷制御装置148は、完全に閉位置と完全に開位置との間に複数の位置を含み、これらの位置は、制御された度合いの抵抗を、又は予め決められた度合いの抵抗を、制御シャフト142の回転に付与する。この実施形態では、負荷付与装置148はバルブを備える。しかしながら、他の実施形態において、負荷付与装置148は、チョーク、スロットル、又は、自身を通る流体の流れを選択的に可能とするための装置を備えてもよい。更に、この実施形態では、負荷付与装置148は、動力伝達系制御装置50と信号連通している。この配列では、負荷付与装置140によって制御シャフト142に付与される抵抗トルク又は抵抗負荷の度合いは、動力伝達系制御装置50を使用して、負荷付与装置148を通して制御してもよい。
【0022】
変速機100のトルク付与装置160は、油圧回路146を通って流れる油圧流体の圧力を回転トルクに変換し、且つ、キャリア出口シャフト150に回転トルクを付与し、それによって、駆動シャフト16に伝達されるトルク及び動力の量を増加させる。このようにして、トルク付与装置160は、変速機100の効率(入力シャフト14と駆動シャフト16との間のエネルギーの伝達)を増加させるように構成される。特に、自動車両10が静止位置から加速する場合、トルク付与装置160は、車輪22に付与されるトルクの量を増加させるように構成される。加えて、自動車両10が比較的に高い速度で(例えば、高速道路の速度で)動作している場合、回路146の油圧流体がトルク付与装置160を迂回できるようにすることは有利であろう。これによって、抗力を導入してもよく、又は、別の方法で、回路146の油圧流体の流れを妨げてもよい。したがって、この実施形態では、バイパス回路149は、回路146の油圧流体が、トルク付与装置160を選択的に迂回できるように構成される。
【0023】
具体的には、バイパスバルブ149Vは、バイパス回路149を通る流体の流れを制限する閉位置と、バイパス回路149を通る流体の流れを可能にする開位置との間で作動可能である。バイパスバルブ149Vが開位置にある場合、回路146の中の油圧流体は、バイパス回路149を通って流れ、且つ、それによって、トルク付与装置160を迂回してもよい。そこではバイパス回路149は、トルク付与装置160よりも、自身を通る油圧流体に小さな抵抗を提供する。この実施形態では、バイパスバルブ149Vは、動力伝達系制御装置50と信号連通しており、そこでは動力伝達系制御装置50は、バルブ149Vの作動を制御するように構成される。例えば、自動車両10が、予め決められた速度で動作している場合、又は原動機12に付与される負荷が、予め決められた閾値未満である場合、動力伝達系制御装置50は、バイパスバルブ149Vを開くように構成してもよい。
【0024】
この実施形態では、負荷付与装置140、トルク付与装置160、及び負荷制御装置148は、流体構成要素又は油圧構成要素を備えてはいるが、他の実施形態において、負荷付与装置140、トルク付与装置160、及び負荷制御装置148は、機械的構成要素、空気構成要素、又は電気機械的構成要素を備えてもよい。例えば、他の実施形態において、負荷付与装置140は、機械的クラッチ、電気的アクチュエータ若しくはソレノイド、又は、制御シャフト142に抵抗トルクを選択的に付与するように構成された他の機構を備えてもよい。同様に、他の実施形態において、トルク付与装置160は、キャリア出口シャフト150にトルクを付与するように構成された機械的システム又は電気機械的システムを備えてもよい。更に他の実施形態において、変速機100は、トルク付与装置160を含まなくてもよい。
【0025】
この実施形態では、制御シャフト142及び制御ギヤ144は、キャリア軸115に沿って延在し、且つ、キャリア軸115の周りに回転する。制御ギヤ144の、円周方向に一定の間隔で配置された複数の歯部は、各スパイダーギヤ116の、円周方向に一定の間隔で配置された、対応する複数の歯部と噛み合い、これによって、それらの間のギヤによる結合又は噛み合い結合を提供する。変速機100のキャリア出口シャフト150は、キャリア軸115に沿って延在すると共に、キャリア軸115の周りに回転し、且つ、トルク付与装置160に結合された端部の反対側にある、出口シャフト150の周端部に配置された第1のギヤ又は側面ギヤ152と、側面ギヤ152から長手方向に一定の間隔で配置された第2の出力ギヤ又は可変出力ギヤ154と、を含む。側面ギヤ152の、円周方向に一定の間隔で配置された複数の歯部は、制御ギヤ144とスパイダーギヤ116との間の結合と同様な配列において、スパイダーギヤ116の歯部と噛み合う。したがって、キャリア軸115の周りの、キャリア出口シャフト150の回転は、スパイダーギヤ軸117の周りの、スパイダーギヤ116の対応する回転という結果をもたらす。上で説明したように、キャリア出口シャフト150は、リングギヤ112の中心開口部112Aを通って延在し、且つ、したがって、リングギヤ112と直接には結合されない。
【0026】
この実施形態では、変速機100の可変出力ギヤ154は、変速機出力ギヤ170の、円周方向に一定の間隔で配置された複数の歯部と噛み合う、円周方向に一定の間隔で配置された複数の歯部を備えるが、これは、それらの歯部の間の直接の機械的接続又はギヤによる接続を提供するためのものである。変速機出力ギヤ170は、駆動シャフト16に結合されるか、又は付けられ、且つ、したがって、可変出力ギヤ154によって駆動される場合、駆動シャフト16及び変速機出力ギヤ170は、それぞれが出力回転速度16Sで回転する。この実施形態では、変速機100は、可変出力ギヤ154及び変速機出力ギヤ170を含むが、他の実施形態において、駆動シャフト16は、キャリア出口シャフト150と直接結合させてもよく、その結果として、シャフト16とシャフト150との間には、何のギヤ連鎖又はギヤ結合も配置されない。
【0027】
変速機100及び自動車両システム10が動作している間、トルクは、入力ギヤ102とリングギヤ112との間に形成された噛み合わせを通して、原動機12からキャリアアセンブリ110へ伝達され、これによって、キャリア軸115の周りの、キャリアアセンブリ110の回転が結果としてもたらされる。キャリア軸115の周りの、スパイダーギヤシャフト118の回転は、スパイダーギヤ116と、制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150の両方との間で、キャリア軸115の周りに、トルクを付与するという結果をもたらすが、これは、スパイダーギヤ116と制御ギヤ144及び側面ギヤ152の両方のとの間に、それぞれ形成された噛み合いに呼応するものである。このようにして、制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150の回転の比率は、負荷付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルク又は反作用トルク、及び変速機出力ギヤ170からキャリア出口シャフト150に付与される抵抗トルク又は反作用トルク(即ち、回転する車輪22に対する抵抗)に依存するが、前記抵抗トルク又は反作用トルクは、制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150の回転に、それぞれ抵抗するように作用する。したがって、もし等しい抵抗トルクが制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150の両方に付与される場合、その時は、制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150は、キャリア軸115の周りに同じ回転速度で回転し、その一方で、スパイダーギヤ116は、それぞれのスパイダーギヤ軸117に静止したままである。逆に、もし抵抗トルクが、制御シャフト142とキャリア出口シャフト150との間で異なる場合、その時は、スパイダーギヤ116は、制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150が異なる回転速度で回転することを可能とするべく、スパイダーギヤ軸117の周りに回転する。上で説明したように、この実施形態では、負荷付与装置140によって制御シャフト150に付与される抵抗トルクの度合いは、負荷制御装置148を通して制御される。
【0028】
この実施形態では、もし等しい抵抗トルクが制御シャフト142及びキャリア出口シャフト150に付与される場合(等しい負荷条件)、その時は、スパイダーギヤシャフト118及びスパイダーギヤ116が軸115の周りに回転するので、キャリア出口シャフト150は、同じ回転速度で、キャリア軸115の周りに回転するであろう。これによって、キャリアアセンブリ110とキャリア出口シャフト150の側面ギヤ152との間で、1.0のギヤ比を提供する。しかしながら、もし、抵抗トルクが変速機出力ギヤ170からキャリア出口シャフト150に付与される一方で、付与装置140から制御シャフト142に何も抵抗トルクが付与されない場合(又は最小量の抵抗トルクだけが付与される場合)、その時は、制御シャフト142は、キャリアアセンブリ110の回転速度の二倍の速度で、キャリア軸115の周りに回転し、その一方で、キャリア出口シャフト150は、それぞれのキャリア軸115に静止したままである。これによって、キャリアアセンブリ110と、キャリア出口シャフト150の側面ギヤ152との間で、0.0のギヤ比を提供する。付与装置140から制御シャフト142に抵抗トルクが付与されることに呼応して、スパイダーギヤ116からのトルクは、キャリア出口シャフト150へ伝達され始め、これによって、キャリア軸115の周りの、シャフト150の回転が結果的にもたらされる。
【0029】
付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクの量は連続的に増加されるので、キャリア出口シャフト150のトルクの量及び回転速度は、それに対応して増加される。付与装置140から制御シャフト142に閾値抵抗トルク又は最大トルクが付与されることに呼応して、制御シャフト142は、キャリア軸115の周りに回転することを中止し、その一方で、キャリア軸115の周りの、キャリア出口シャフト150の回転速度は、軸115の周りのキャリアアセンブリ110の回転速度の二倍に増加され、これによって、キャリアアセンブリ110とキャリア出口シャフト150の側面ギヤ152との間に、2.0のギヤ比を提供する。したがって、この実施形態では、付与装置140から制御装置142に付与される抵抗トルクの度合いを変えることによって、キャリアアセンブリ110とキャリア出口シャフト150の側面ギヤ152との間のギヤ比は、それに対応して、0.0と2.0との間で変えられ、これによって、いかなるギヤ又はクラッチを係合させることなく/いかなるギヤ又はクラッチの係合を解くことなく、及び、ベルト及び滑車アセンブリによる、トルクに制限された摩擦的係合に頼ることなく、入力シャフト14と駆動シャフト16との間に、連続的に可変な又は無限に可変な変速機を提供する。
【0030】
駆動シャフト16の出力回転速度16S、及び変速機100によって提供される総体的なギヤ比は、原動機12から入力シャフト14に提供されるトルク、入力シャフト14の入力回転速度14S、及び負荷付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクの量によって決定される。この実施形態では、上で識別される、測定された制御パラメータに呼応して、制御装置50は、付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクの量を決定する。特に、この実施形態では、制御装置50は、負荷制御装置148の位置を調節又は制御して、それによって、油圧回路146を通る流体の流れに対する抵抗を調節し、それによって、負荷付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクを調節する。言い換えると、油圧回路146を通る流体の流れに対する抵抗は、負荷制御装置148を閉じることによって増加されるので、負荷付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクの量もまた増加される。更に、制御シャフト142に付与される抵抗トルクの量は連続的に増加するので、入力シャフト14と駆動シャフト16との間に、キャリアアセンブリ110及び変速機100によって提供されるギヤ比は、連続的に増加される。したがって、この実施形態では、キャリアアセンブリ110及び変速機100は、ギヤによる結合(例えば、トルクを伝達するのに、ベルト、チェーンなどに頼らない結合)を提供すると共に、入力シャフト14と駆動シャフト16との間に連続可変のギヤ比を提供する。
【0031】
上で説明したように、幾つかの実施形態において、制御装置50は、付与装置140によって制御シャフト142に付与される抵抗トルクを(負荷制御装置148を通して)増加させ、それによって、キャリア出口シャフト150に付与されるトルクの量、及び駆動シャフト16の回転速度16Sを増加させるが、これは、システム10の速度を上げたいという、自動車両システム10のユーザの欲求を示す、スロットル位置における測定された変化に呼応するものである。幾つかの実施形態において、制御装置50及び負荷制御装置148は、変速機100のギヤ比を減少させることなどによって(即ち、入力回転速度14Sと出力回転速度16Sとの間の差を減らすことによって)、原動機12の燃料経済性を最大化するべく、負荷付与装置140から制御シャフト142に付与される抵抗トルクを調節する。なお更なる実施形態において、負荷における、又は車輪22の回転に対する抵抗における、測定される増加に呼応して、制御装置50及び負荷制御装置148は、制御シャフト14に付与される抵抗トルクを増加させ、それによって、キャリア出口シャフト150及び駆動シャフト16に伝達されるトルクの量を増加させる。
【0032】
図5から図7を参照すると、図1の自動車両システム10と共に使用するための、変速機200の別の実施形態が示される。変速機200は、図2から図4の変速機100と共通の特徴を含み、且つ共有される特徴は、同様に標記される。図5から図7の実施形態では、変速機200のキャリア出口シャフト150’は、それに回転できるように固定された逆転ギヤ202を含み、そこでは逆転ギヤ202は、可変出力ギヤ154に隣接して配置されるが、しかし可変出力ギヤ154から長手方向に一定の間隔をおいて配置される。加えて、変速機200は、逆転ギヤ202と噛み合い係合している、又は逆転ギヤ202とギヤによる係合をしている中間ギヤ204を含む。中間ギヤ204は、中間シャフト(図5から図7には図示されず)上で支持され、且つ、したがって、逆転ギヤ202と共同して、自由に回転することが可能となっている。
【0033】
変速機200の逆転ギヤ202及び中間ギヤ204は、入力シャフト14に対する、駆動シャフト16の反回転又は逆回転に備えて選択的に準備する。加えて、この実施形態では、変速機出力ギヤ170は、可変出力ギヤ154及び逆転ギヤ202を選択的に係合させるべく、キャリア軸115と平行である、変速機出力ギヤ170の長手軸に沿って移動可能である。特に図5に示されるように、変速機出力ギヤ170は、可変出力ギヤ154と噛み合い係合する第1の位置を占めてもよい。第1の位置では、変速機出力ギヤ170及び駆動シャフト16は、可変出力ギヤ154の回転に呼応して、入力シャフト14と同じ回転方向(例えば、第1の回転方向)に回転し、それによって、自動車両10を第1の方向に移動させる。
【0034】
幾つかの実施形態において、自動車両10を、第1の方向とは反対である第2の方向又は逆方向に移動させることは好都合であろう。この実施形態では、車両10を逆方向に移動させるために、特に図6に示されるように、変速機出力ギヤ170を、中間ギヤ204及び逆転ギヤ202に向けて、(矢印206によって示される)長手方向に変位させる。特に図7に示されるように、変速機出力ギヤ170が、中間ギヤ204及び逆転ギヤ202に整列する第2の方向(それぞれのキャリア軸115)に配置されるまで、変速機出力ギヤ170を、矢印206の方向に移動させる。第2の位置では、変速機出力ギヤ170は、中間ギヤ204と噛み合い係合している、又はギヤによる係合をしている。したがって、第2の位置では、可変出力ギヤ154の回転に呼応して、変速機出力ギヤ170及び駆動シャフト16は、入力シャフト14とは反対である回転方向(例えば、第2の回転方向)に回転し、それによって、逆方向に自動車両10を移動させる。この実施形態では、機械連鎖システムを使用して、自動車両10の操作者が、変速機出力ギヤ170を第1の位置と第2の位置との間で作動させる。しかしながら、他の実施形態において、変速機出力ギヤ170は、油圧システム又は電気機械システムによって、第1の位置と第2の位置との間で作動させてもよい。
【0035】
好ましい実施形態が示され、且つ説明されてきたとは言え、本明細書の範囲又は教示から逸脱することなく、当業者によって、それら実施形態の変更を行うことは可能である。本明細書で説明された実施形態は、単に模範的ものであり、且つ、限定的なものではない。本明細書で説明されたシステム、装置、及びプロセスの多くの変形例及び変更例が可能であり、且つそれらは、本開示の範囲の中にある。例えば、様々な部品の相対的な寸法、様々な部品が作られる材料、及び他のパラメータは、変えることが可能である。したがって、保護の範囲は、本明細書で説明された実施形態に限定されず、次に続く請求項によってのみ制限される。ここで前記請求項の範囲は、前記請求項の主題の全ての等価物を含むものとする。特に明記しない限り、方法請求項におけるステップは、任意の順序で実施してもよい。方法請求項におけるステップの前の、(a)、(b)、(c)、又は(1)、(2)、(3)のような識別子の列挙は、ステップの特定の順序を指定することを意図しないし、特定の順序を指定するものでもない。前記識別子の列挙は、むしろ、そのようなステップを続けて参照することを簡単化するために使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7