(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】使い捨てソープディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A47K 5/12 20060101AFI20220411BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A47K5/12 A
B65D83/00 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020174244
(22)【出願日】2020-10-15
(62)【分割の表示】P 2018523381の分割
【原出願日】2016-07-22
【審査請求日】2020-11-11
(32)【優先日】2015-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518023692
【氏名又は名称】ウィリアム ジェイ. シャリツ
【氏名又は名称原語表記】William J. SCHALITZ
【住所又は居所原語表記】7711 Prov-Neap-Swanton Rd., Swanton, Ohio 43558 United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】518023706
【氏名又は名称】ヴィシャル ビー. ヴェルマ
【氏名又は名称原語表記】Vishaal B. VERMA
【住所又は居所原語表記】922 Main Street, Unit #3, Evanston, Illinois 60202 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイ. シャリツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシャル ビー. ヴェルマ
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0092708(US,A1)
【文献】米国特許第07004356(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0051579(US,A1)
【文献】米国特許第07066356(US,B2)
【文献】特開2012-197098(JP,A)
【文献】特表2014-531228(JP,A)
【文献】特表2008-537050(JP,A)
【文献】特開2009-002344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0121659(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008408(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0105519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/12
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソープディスペンサであって、
上端に設けられたリップ及び下端に設けられた第1のキャッチを有し、壁面に取り付けられる取付ブラケットと、
ネック状端部と、背面に形成された細長凹部と、前記細長凹部の
上端に形成された
第2のキャッチと、を有
し、前記取付ブラケットに取り付けられる剛性使い捨てカートリッジであって、前記第2のキャッチは、前記ソープディスペンサが組み立てられたときに、前記リップに係合して前記細長凹部内に前記取付ブラケットを収容するように構成されており、前記取付ブラケットに固定されたときに、正面視において、前記取付ブラケットが前記剛性使い捨てカートリッジによって完全に隠れるように構成されている、前記剛性使い捨てカートリッジと、
前記取付ブラケットの
前記第1のキャッチと係合し、前記使い捨てカートリッジの前記ネック状端部と係合するように構成されたカラーと、
前記使い捨てカートリッジの前記ネック状端部内に収容され、前記カラー内で係合するように構成された逆さ吐出ポンプと、
前記カラーに装着され、前記逆さ吐出ポンプを作動させて前記逆さ吐出ポンプに泡状石鹸を吐出させるように配置されたレバーと、
を備えるソープディスペンサ。
【請求項2】
前記リップと、前記細長凹部の一端に形成された前記
第2のキャッチと
が係合し、前記カラーと、前記取付ブラケットの前記
第1のキャッチと
が係合することにより、前記使い捨てカートリッジ
が前記取付ブラケットに着脱可能に固定
される、請求項1に記載のソープディスペンサ。
【請求項3】
前記使い捨てカートリッジの背面の前記細長凹部内に形成され、前記取付ブラケットの前面に形成された相補的形状の傾斜凹部内で係合する傾斜突起部をさらに備える、請求項1又は2に記載のソープディスペンサ。
【請求項4】
前記カラーが、前記取付ブラケットの長手方向軸に対して垂直に前記取付ブラケットの前記
第1のキャッチと係合するように構成された少なくとも1つの横方向に延びるフックを備え、
前記レバーが、枢動可能に前記カラー上に装着され、前記逆さ吐出ポンプのノズルの端部に係合し、枢動して前記ノズルを軸方向上向きに推進する、請求項1~3のいずれか一項に記載のソープディスペンサ。
【請求項5】
前記逆さ吐出ポンプが、
ポンプ本体と、ベントガスケットとを備え、
前記ポンプ本体の一方の端部に、空気チャンバが設けられており、
前記ベントガスケットが、前記ポンプ本体の前記一方の端部の周囲に配置されており、
前記ベントガスケットが、前記ポンプ本体の側壁を貫通する
ベントを覆っており、
前記剛性使い捨てカートリッジ内の真空圧が前記ベントガスケットを
前記ベントから離れる方向に撓ませ、前記ベントを通して空気を前記剛性使い捨てカートリッジ内に引き込んで前記剛性使い捨てカートリッジ内の空気圧を一様にするように、前記ベントガスケットがエラストマーである、請求項1に記載のソープディスペンサ。
【請求項6】
前記ポンプ本体の他方の端部に、液体チャンバが設けられており、
前記ポンプ本体
の前記他方の端部に、前記液体チャンバ内に液状石鹸を引き込むためのバルブ
が設けられており、
前記バルブがアンブレラバルブ又はダックビルバルブである、請求項5に記載のソープディスペンサ。
【請求項7】
前記空気チャンバ及び前記液体チャンバが、前記ポンプ本体内に形成され、摺動シールを有するピストンにより分離され、
流体流入口は、液状石鹸を前記バルブを通って前記液体チャンバ内へと流入させ、
空気流入バルブは、空気を前記空気チャンバ内に流入させ、
空気流出バルブは、空気を前記空気チャンバから流出させる、請求項6に記載のソープディスペンサ。
【請求項8】
前記摺動シールが、低密度ポリエチレンから形成される、請求項7に記載のソープディスペンサ。
【請求項9】
前記使い捨てカートリッジが、リサイクル可能な材料及び/又は生分解性の材料から形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のソープディスペンサ。
【請求項10】
前記逆さ吐出ポンプが、
前記ポンプ本体の
他方の端部に設けられた液体チャンバ内に液状石鹸を引き込むため
のバルブ
であって、前記ポンプ本体
の前記他方の端部に設けられる、前記バルブと、
前記ポンプ本体のバルブ端部を受け入れるスリーブと、
前記ポンプ本体内に配置され、摺動シールを有するピストンであって、前記ピストン及び前記摺動シールが前記空気チャンバを前記液体チャンバから分離する、前記ピストンと、
前記ピストンを付勢するように配置されたバネと、
プランジャースリーブと、
メッシュアセンブリと、
ノズルと、
をさらに備える、請求項
5~8のいずれか一
項に記載のソープディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にソープディスペンサの分野、特に使い捨てカートリッジ及び逆さ吐出ポンプを有する壁面取付型ソープディスペンサに関する。
【0002】
壁面取付型ソープディスペンサは、公衆トイレや良好な衛生習慣を奨励している他の場所でありふれている。従来のソープディスペンサは典型的には、石鹸が充填され保護ハウジング内に格納されるバッグ状の嚢の形態の貯蔵部、あるいはタンクとしても機能する剛性ハウジングを有する。従来のソープディスペンサでは定期的に石鹸を補充する必要があり、必然的にハウジングを開け、バッグ状の嚢を交換するか、石鹸を直接貯蔵ハウジングに注ぐことを伴う。石鹸の補充は労力と時間がかかる工程となる場合があり、補充可能な容器の内側にも外側にも石鹸残留物が蓄積、集積されていき、これはディスペンサの性能にも影響する可能性があり、また見た目が悪くなる。
【0003】
さらに、従来の壁面取付型ソープディスペンサを長く使用していると、望ましくない損耗に繋がり、例えばソープディスペンサの外観が損なわれたり、ポンプが正しく機能せず所望通りに石鹸を吐出できなくなったりする。このため、従来の壁面取付型ソープディスペンサでは、最適な操作性及び外観を確保するために定期的に決まったメンテナンスをしなくてはならない。よって、従来の壁面取付型ソープディスペンサの改良が求められている。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、従来の壁面取付型ソープディスペンサの欠点を克服した壁面取付型ソープディスペンサを提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、カートリッジを交換するたびに全く新しいソープディスペンサが見えるように、使い捨てカートリッジの背後に概ね見えないように配された再使用可能な取付ブラケットを有する壁面取付型ソープディスペンサを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、少なくとも使い捨てカートリッジがリサイクル可能な材料及び/又は生分解性の材料から形成されている、環境に配慮したソープディスペンサを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、より容易に泡立たせ、1回の手洗いで必要な石鹸の量が液状のハンドソープより少なくて済む、泡状ハンドソープを吐出するように構成された逆さ吐出ポンプを有する壁面取付型ソープディスペンサを提供することである。
【0008】
前述の及び他の目的及び利点を達成するために、本発明の第1実施形態においては、対向する端部にリップ及びキャッチを有する取付ブラケットと、ネック状端部、背面に形成された細長凹部及び細長凹部の一端に形成されたキャッチを有する剛性使い捨てカートリッジと、取付ブラケットのキャッチと係合し、使い捨てカートリッジのネック状端部と係合するように構成されたカラーと、使い捨てカートリッジのネック状端部内に収容され、カラー内で係合するように構成された逆さ吐出ポンプと、カラーに装着され、逆さ吐出ポンプを作動させて逆さ吐出ポンプに泡状石鹸を吐出させるように配置されたレバーと、を備えるソープディスペンサを提供する。
【0009】
さらなる実施形態において、リップと、細長凹部の一端に形成されたキャッチと、カラーと、取付ブラケットのキャッチと、は一緒になって使い捨てカートリッジを取付ブラケットに着脱可能に固定してもよい。
【0010】
さらなる実施形態において、取付ブラケットは、使い捨てカートリッジを壁面から離間させるためのプレートに取り付けられた細長部材であってもよい。
【0011】
さらなる実施形態において、傾斜突起部を使い捨てカートリッジの背面の細長凹部内に形成してもよく、傾斜突起部は、取付ブラケットの前面に形成された相補的形状の傾斜凹部内で係合してもよい。
【0012】
さらなる実施形態において、カラーは、取付ブラケットのキャッチとスナップ嵌め係合するように構成された少なくとも1つの横方向に延びるフックを含んでもよく、レバーは枢動可能にカラー上に装着され、逆さ吐出ポンプのノズルの端部に係合し、枢動してノズルを軸方向上向きに推進する。
【0013】
さらなる実施形態において、逆さ吐出ポンプは、内部空気チャンバを有するポンプ本体の端部周囲に配置されるベントガスケットを含んでもよく、ベントガスケットはポンプ本体の側壁を貫通するベント開口部を覆い、剛性使い捨てカートリッジ内の真空圧がベントガスケットをベントから離れる方向に撓ませ、ベントを通して空気を剛性使い捨てカートリッジ内に引き込んで剛性使い捨てカートリッジ内の空気圧を一様にするように、ベントガスケットがエラストマーである。
【0014】
さらなる実施形態において、ポンプ本体は、その一端に液体チャンバ内に液状石鹸を引き込むためのバルブを含んでもよく、バルブはアンブレラバルブ又はダックビルバルブである。
【0015】
さらなる実施形態において、空気チャンバ及び液体チャンバは、ポンプ本体内に形成されてもよく、また摺動シールを有するピストンにより分離されてもよく、流体流入口は、液状石鹸をバルブを通って液体チャンバ内へと流入させ、空気流入バルブは空気を空気チャンバ内に流入させ、空気流出バルブは空気を空気チャンバから流出させる。
【0016】
さらなる実施形態において、摺動シールは、低密度ポリエチレンから形成されてもよい。
【0017】
さらなる実施形態において、使い捨てカートリッジは、リサイクル可能な材料及び/又は生分解性の材料から形成されてもよい。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、ある体積の液状石鹸を収容するように構成された内部貯蔵部を有する剛性カートリッジと、剛性カートリッジのネック状端部に着脱可能に取り付けるように構成されたカラーと、カラー内に保持され、剛性カートリッジのネック状端部内に収容される逆さ吐出ポンプと、カラーに装着され、逆さ吐出ポンプを作動させて逆さ吐出ポンプに泡状石鹸を吐出させるように配置されたレバーと、を備え、逆さ吐出ポンプは、内部空気チャンバを有するポンプ本体の端部周囲に配置されるベントガスケットを含み、ベントガスケットはポンプ本体の側壁を貫通するベント開口部を覆っており、液状石鹸を取り出した結果、剛性使い捨てカートリッジ内の真空圧がベントガスケットをベントから離れる方向に撓ませ、ベントを通して空気を剛性カートリッジ内に引き込んで剛性カートリッジ内の空気圧を一様にするように、ベントガスケットがエラストマーであるソープディスペンサを提供する。
【0019】
さらなる実施形態において、ソープディスペンサは、剛性カートリッジの背面の凹部内に受け入れられるように構成された取付ブラケットを含んでもよく、取付ブラケットは、その対向する端部に、剛性カートリッジの背面上のそれぞれのキャッチ及びカラー上の機構と係合するリップ及びキャッチを備え、リップ及びキャッチは、剛性カートリッジと逆さ吐出ポンプとカラーとの組み立て体を取付ブラケットに協働して固定する。
【0020】
さらなる実施形態において、取付ブラケットは、プレートを取り付けた壁面から剛性カートリッジを離間させるためのプレートに取り付けられる細長部材であってもよい。
【0021】
さらなる実施形態において、逆さ吐出ポンプは、ポンプ本体内の内部液体チャンバ内に液状石鹸を引き込むためのポンプ本体の一端にあるバルブと、ポンプ本体のバルブ端部を受け入れるスリーブと、ポンプ本体内に配置され、摺動シールを有するピストンであって、ピストン及び摺動シールが空気チャンバを液体チャンバから分離する、ピストンと、ピストンを付勢するように配置されたバネと、プランジャースリーブと、メッシュアセンブリと、ノズルと、を備えてもよい。
【0022】
さらなる実施形態において、摺動シールは、低密度ポリエチレンから形成されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態は、上記の特徴及び構成の任意の組み合わせの1つ以上を含んでもよい。
【0024】
本発明の追加の特徴、態様及び利点は後出の詳細な説明に記載されており、また一部は当業者にとってはその説明から明白であり、あるいは本明細書に記載される通りに本発明を実践することでわかる。上記の概要及び以下の詳細な説明では共に本発明の様々な実施形態を提示しているが、これらは請求の本発明の性質及び特性を理解するための全体像又は枠組みを示すためのものであると理解される。添付の図面は本発明をより深く理解するためのものであり、本明細書に援用され、またその一部を構成する。
【0025】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら本発明についての以下の詳細な説明を読むことでより深く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態によるソープディスペンサの正面斜視図である。
【
図6】取付プレート及びブラケットに固定されたソープディスペンサを示す正面斜視図である。
【
図8】取付プレートに取り付けた取付ブラケットの正面斜視図である。
【
図9】取付ブラケットに固定したソープディスペンサを示す背面斜視図である。
【
図10】吐出ポンプから取り外したカートリッジを示す斜視図である。
【
図11】カラーから取り外した吐出ポンプを示す斜視図である。
【
図12】カラーに取り付けた吐出ポンプを示す斜視図である。
【
図13】第1実施形態による吐出ポンプの正面図である。
【
図14】
図13のA-A線に沿った吐出ポンプの断面図である。
【
図18】第2実施形態による吐出ポンプの断面図である。
【
図20】第3実施形態による吐出ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の例示的な実施形態を図示した添付の図面を参照しながら、本発明についてより詳しく説明する。なお、本発明は数多くの異なる形態で具現化してもよく、また本明細書に記載の代表的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。例示的な実施形態は、本開示が細かい点まで行き届いた完全なものとなり、また本発明の範囲を余すことなく伝え、当業者が本発明の製造、使用及び実践を可能とするように提供される。様々な図面全てを通して、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0028】
図1及び
図2は、概して使い捨てカートリッジ22、カラー24、吐出ポンプ26及びレバー28を含むソープディスペンサ20の好ましい実施形態を示す。ソープディスペンサ20は、後に詳述するように、壁面取付ブラケットに、使い捨てカートリッジ22を好ましくは垂直方向に向け、吐出ポンプ26を逆さにして取り付ける/固定するように構成される。使用時、壁面取付ブラケットは壁面に取り付けられ、概ね使い捨てカートリッジ22の後ろに隠れることができ、使い捨てカートリッジ22、カラー24、吐出ポンプ26及びレバー28の少なくとも1つを必要に応じて交換する。カラー24、吐出ポンプ26及びレバー28は新しいカートリッジを装填するたびに再使用してもよく、あるいは新しいカートリッジを装填するたびに交換してもよい。吐出ポンプ26は石鹸を吐出するように操作可能であり、好ましくは、後に詳述するように、液状石鹸を空気と合わせることで泡状石鹸を吐出するように構成される。
【0029】
使い捨てカートリッジ22は好ましくは、ある量の液状石鹸を収容するための内部貯蔵部を有する剛性容器(すなわち、折り畳みできない)である。使い捨てカートリッジ22は、中空成型、射出成型又はその任意の組み合わせにより、適切な生分解性材料、リサイクル可能な材料又はこれらの組み合わせから形成される単一構成要素であってよい。適切な生分解性材料及び/又はリサイクル可能な材料の例には、以下に限定するものではないが、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又はこれらの組み合わせ)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びこれらの組み合わせを含めたポリマー又はコポリマーが含まれる。これらのポリマー及びコポリマーはそれぞれ、好ましくは0.8~1.0g/cm3、0.85~0.95g/cm3又は0.9~0.95g/cm3の範囲の密度、及び、1000~1500MPa、1050~1450MPa、1100~1400MPa、1100~1200MPa又は1300~1400MPaの範囲の曲げ弾性率を有してもよい。特定の態様において、これらの生分解性材料及び/又はリサイクル可能な材料は、使用後の処分を最適なものにできる。使い捨てカートリッジ22は事前に充填し、封止してもよい。
【0030】
図示の使い捨てカートリッジ22は実質的に平坦な前面30、実質的に平坦な側面32、ネック状端部34、上部36及び背面38を有するが、他の形状も想定される。細長凹部40が背面38に形成され、ネック状端部34付近から上部36まで延びている。上部36近くの細長凹部40の端部付近に形成されたキャッチ42は、後述するように取付ブラケットの上部に沿って形成されたリップに係合する。突起部44は細長凹部40のネック状端部34近くに形成してもよく、上部36に向かって傾斜してもよい/傾いてもよい。突起部44は、取付ブラケットの前面に形成された相補的形状の凹部で係合して、目的は他にもあるが、使い捨てカートリッジ22と取付ブラケットとを揃えるのに役立ち得る。細長凹部40は概して使い捨てカートリッジ22の長手方向軸に沿った中央に置かれ、使い捨てカートリッジの幅より狭い幅と取付ブラケットの深さに実質的に等しい深さを有する。したがって、細長凹部40及び取付ブラケットは、締り嵌め係合する相補的な形状をしている。
【0031】
図3~
図5は、使い捨てカートリッジ22の前面30、右側側面32及び背面38をそれぞれ示す。
図3に最もわかりやすく示されているように、使い捨てカートリッジは上部36に向かって幅が狭くなってもよい。
図4に最もわかりやすく示されているように、使い捨てカートリッジ22は上部36に向かって厚みが減少してもよい。
図5に最もわかりやすく示されているように、細長凹部40は背面38の半分近くを構成してもよく、キャッチ42及び突起部44は細長凹部の長さに沿って離間されている。
【0032】
図6は、取付ブラケットに固定された使い捨てカートリッジ22を示し、カートリッジを固定すると取付ブラケットが上部36、側面32及びネック状端部34により見えなくなる。取付ブラケットは、壁面に取り付けるように構成されたプレート46に取り付けることで、ソープディスペンサ20を壁面から離間させてもよい。レバー28及びポンプ端部はプレート46の下端の下側へ延び、泡状石鹸を受け取る位置にユーザーの手を置くために、ポンプ背後の空間を遮らないようにしている。所望の外観及び壁面からの間隔を得るために、プレート46は任意の所定の形状及び/又は厚みを有してもよい。使い捨てカートリッジ22及びプレート46の角部は、見た目の美しさ及び鋭利な角部を回避するために湾曲してもよい。
【0033】
図7は、好ましい実施形態による取付ブラケット48を示す。取付ブラケット48は、概ね矩形の形状を有する細長部材であってよい。使い捨てカートリッジを取付ブラケットから取り外し得る下方向及び外方向への引っ張り力に抵抗しながら、取付ブラケット48上に使い捨てカートリッジを「引っ掛ける」ために、上端に沿って形成されたリップ50は細長凹部40の上部近くのキャッチ42と係合する。離間された開口部52は、取付ブラケットの前面54の上端及び下端近くを貫通して設けられており、壁面に取付ブラケットを固定するための留め具をその中に嵌めるためのものである。適切な留め具には、以下に限定するものではないが、ネジ、釘及び同様の留め具が含まれる。また、取付ブラケットの背面に設けた粘着テープを使用して取付ブラケットを壁面に固定してもよい。前面54上の傾斜凹部56は、使い捨てカートリッジの背面上の相補的な形状の突起部を受け入れる。取付ブラケット48の底部近くに設けられたキャッチ58は、後に詳述するように、フックがキャッチを越えて摺動したらカラー上の1つ以上の撓み性のフックと係合し、カラーを取付ブラケットに保持するように設けられる。
【0034】
図8は、プレート46に取り付けた取付ブラケット48を示す。取付ブラケット48は、
図7に示すように単独で使用してソープディスペンサを壁面に直接取り付けることもできるが、
図8に示すようなプレート46を使用してソープディスペンサを壁面から離間させることもできる。取付プレート46上に据え付ける場合、留め具用開口部52は隠れて見えなくなるため、壁面に取り付けたソープディスペンサへのいたずらや取り外しが防止される。取付ブラケットの前面は垂直方向に向けられてもよく、あるいは垂直からある角度をつけることで使い捨てカートリッジの前面を既定の角度に向けてもよい。取付ブラケット48の傾斜凹部56はその上部に沿って下方向に延びるリップを有してもよく、対応する突起部44は上方向に延びる突起部を有してもよいため、突起部のリップを凹部のリップを越えて押し込んで突起部を凹部内で完全に係合させる必要があり、これによって使い捨てカートリッジにかかる外方向への引っ張り力に抵抗できる。
【0035】
図9は、取付ブラケット48に取り付けたソープディスペンサを示す。取付ブラケット48はプレートがない状態で示されており、壁面に直接取り付けるように構成されている。
【0036】
図10~
図12は、使い捨てカートリッジ22、カラー24及び吐出ポンプ26の取り付け時及び取り外し時の様々な構成を示す。使い捨てカートリッジ22のネック状端部34は、カラー24と環状スナップ嵌め係合するように構成してもよい。円筒状の外形をしたネック状端部34及びカラー24を組み立てるには環状スナップ接合が好ましい。傾斜干渉リング60をネック状端部の外周に設けてもよく、カラー24の内周には別の傾斜干渉リング62又はビードを設けてもよい。ネック状端部34及びカラー24の干渉リング60、62は連続的でも非連続的でもよく、カラー24の非連続的なリングは独立した撓み性のタブとして設けられる。このカラーのタブを外方向に撓ませてネック状端部をカラー内へと完全に挿入するために、ネック状端部34はカラー24より剛性の材料で形成してもよい。
【0037】
図11に最もわかりやすく示されているように、吐出ポンプ26はまた、内部ビード又は撓み性のタブを越えて押し込まれてカラー内で吐出ポンプを保持する環状リング64を含んでもよい。レバー28とは直径方向反対側で横方向に延びる少なくとも1つのフック66がカラー24から離れる方向に延びており、取付ブラケットのキャッチ58内で係合するように提示される(
図7を参照のこと)。この少なくとも1つのフック66は、キャッチを越えて押し込み、その後、応力を受けていない状態へ戻るような、高い復元力を有する変形可能なものであってよい。
【0038】
図12に最もわかりやすく示されている通り、吐出ポンプ26はカラー24に収容され、ノズル68がカラーの底部を越えて延びるように軸方向でカラーと整列する。レバー28は実質的に平坦な前面70と、前面の背後から離れる方向に延びるノズル係合部72と、を含む。参照番号74で示すように、レバー28はその上端近くでカラー24に枢動可能に取り付けられる。動作時、レバー28は壁面方向へと推進され、レバーに回転力を加え、これによりノズル係合部72は概ね上方向へと駆動され、ポンプを作動させる。ノズル係合部72は、その間に細長いスロット78を画定する離間された部材76を含む。動作時、レバー28を壁面方向に推進させるとノズル68の先端はスロットに沿って摺動できるため、ポンプ性能を落としてしまう可能性がある軸外上方向へのノズルの動きを回避できる。レバー28はさらに、壁面から離れる方向に付勢されてもよく、離間された部材76が繋がる地点がノズル先端と係合して、レバーを戻し過ぎる動きを停止させる。
【0039】
使い捨てカートリッジと同様に、カラー及びレバーの1つ以上は完全に又は部分的に、適切な生分解性材料及び/又はリサイクル可能な材料から構成してもよく、以下に限定するものではないが、ポリエチレン(例えば、HDPE、LDPE又はこれらの組み合わせ)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びこれらの組み合わせを含めたポリマー又はコポリマーを含む。特定の実施形態において、レバーは少なくともHDPEから部分的に又は完全に構成してもよく、好ましい態様の殆どにおいて、レバーは完全にHDPEから構成してもよい。特定の態様においては、その構造的統合性からHDPEが好まれるが、それでいてリサイクルの目的で使用後の処分を最適なものにもできる。これらのポリマー及びコポリマーはそれぞれ、好ましくは0.8~1.0g/cm3、0.85~0.95g/cm3又は0.9~0.95g/cm3の範囲の密度、及び、1000~1500MPa、1050~1450MPa、1100~1400MPa、1100~1200MPa又は1300~1400MPaの範囲の曲げ弾性率を有してもよい。
【0040】
図13~
図17では、概ね参照番号80で示す吐出ポンプの第1実施形態を示す。吐出ポンプ80は、好ましくは上下逆さにした起泡ポンプであり、概してポンプ本体82、ポンプ本体の一端上に締り嵌め係合で装着されたスリーブ84、ポンプ本体内に配置された往復中空ピストン86、スリーブ端部とは反対側にあるポンプ本体の端部内で受けられるベントガスケット88、プランジャースリーブ89、ノズル68及びピストンを付勢するように配置されたバネ90を含む。液体チャンバ92は、ピストン86の一端とバルブ94との間のポンプ本体82の一端に設けられる。使い捨てカートリッジからの液状石鹸は、吐出ポンプ80にスリーブ84を通って流入し、ポンプ本体82とスリーブとの間の空間を移動し、バルブ94で封止可能なポンプ本体の端部にある開口部を通って液体チャンバ92内に流入する。
図14に示すようなバルブ94はボールバルブ等であってよい。
【0041】
ポンプ本体82内には空気チャンバ96が形成され、空気チャンバ96内外へと空気が移動できるように空気流入口及び空気流出口が設けられる。
図17に示すように、ポンプ本体82の側壁には、使い捨てカートリッジ内の真空圧を解放するために、ベントフラップを有するベント98を側壁を貫通して設けてもよい。ベント98は、吐出ポンプ内の空気圧を一様にし、それと同時に流体がポンプ内に流入するのを防止するチェックバルブとして機能してもよい。ベント98は剛性使い捨てカートリッジのガス抜きを行い、それと同時にチェックバルブとして機能することで、レバーが圧縮された位置で保持された又は動かなくなった場合に、石鹸がうっかり漏れてしまうことを低減する及び/又は排除することの両方を行ってもよい。
【0042】
ベントガスケット88は、ポンプ本体82と係合し、またカラーとスナップ嵌め係合させるための円周方向ビード100を含んでもよい。この円周方向ビード100は、半径方向内側に変形可能であり、カラー内のビード又は撓み性タブと係合してもよい。吐出ポンプの構成要素は、部分的又は完全に上述したポリマー及びコポリマーから構成してもよく、特定の好ましい態様において、ベントガスケット88は弾性的に変形可能な材料から形成してもよく、以下に限定するものではないが、天然ゴム、合成ゴム又はこれらの組み合わせを含む。そのようなゴムは、加硫可能であってよく、また例えばSantoprene(商標)271-64、Santoprene(商標)211-45又はこれらの組み合わせを含んでもよい。そのようなゴムは、好ましくは35~85、40~75、45~55、60~75及び65~70の範囲のショア硬さ(すなわち、ショアA、15秒、73°F、0.0787インチ)を有し、リサイクルを目的とした使用後の最適な処分だけでなく最適な剛性を確保する。
【0043】
ピストン86の端部には摺動シール102が設けられており、ピストンが軸方向に動くのに合わせて液体チャンバ92の内面を拭うように機能し、「上昇」運動で液状石鹸を液体チャンバから中空ピストンを通して押し出し、「下降」運動で液状石鹸を液体チャンバ内へと引き込み、この「上昇」及び「下降」という呼び方は吐出ポンプの逆さの方向に対応する。液状石鹸は、摺動シール102近傍の流出バルブにより、液体チャンバ92から中空ピストンへと移動することができる。摺動シールは、Santoprene(商標)又は同様の材料から形成してもよいが、好ましくはLDPEから形成される。出願人は、LDPEを利用したほうが、Santoprene(商標)の場合より摺動シールの抵抗力が低下してピストンをより迅速に戻すことができ、また約1800~2000回の動作サイクルを超える耐久性の改善を発見した。
【0044】
図18及び
図19は、概ね参照番号104で示す、本発明のソープディスペンサでの使用に適した吐出ポンプの第2実施形態を示す。吐出ポンプ80と同様に、吐出ポンプ104は概して、ポンプ本体82、ポンプ本体の一端部上に締り嵌め係合で装着されたスリーブ84、往復中空ピストン86、ベントガスケット88、プランジャースリーブ89、ノズル68及びバネ90を含む。液体チャンバ92は、摺動シール102とバルブ106との間のポンプ82の一端に設けられる。液状石鹸は、ポンプ本体82の端部にある流入開口部108を通って液体チャンバ92に流入してもよい。この第2実施形態において、バルブ106は、閉鎖位置に向かって確動的に推進されるダイアフラム形状のシールディスクを有する、弾性材料から形成されるアンブレラバルブである。したがって、バルブ106は、液状石鹸を液体チャンバ92の外側から液体チャンバ内へと流せるが、同時に、ノズル68が完全に戻らない場合でも液状石鹸が反対方向に流れることを防止する一方向弁である。バルブ106をバルブシートに「下」から取り付けることで、凸状のダイアフラムはシートの下面に平らに押し付けられて封止力を維持し、液体チャンバ92から流入開口部108を通って石鹸が流出するのを防止する。
【0045】
好ましくはLDPEから形成される摺動シール102は液体チャンバ92内で作動し、液状石鹸は液体チャンバから中空ピストン86内へと開口部110を通って流れることができ、ピストンは液状石鹸にとっては流出バルブである。空気チャンバ96の底部付近には、空気流入バルブ112及び空気流出バルブ114が設けられており、復元力を有する可撓性のフラップ部品を含んでもよい。空気流入バルブ112は、空気を入れるように機能する。ポンプ動作中、液体及び空気は同時にそれぞれのチャンバ92、96から汲みだされ、メッシュアセンブリ118上の混合領域116で合流する。ノズル68は任意で、所定の圧力下で開くスリットを有する滴下防止バルブを含んでもよく、ポンプ本体82は、吐出ポンプの第1実施形態において上述したような側方ベントを含んでもよい。
【0046】
剛性カートリッジ22内の空気圧を一様にして真空状態を回避するために、ガス抜きシステムが設けられる。好ましい実施形態において、ベントはポンプ本体82の側壁を貫通して設けられ(
図16の98を参照)、ベントガスケット88はベント98を覆うように位置決めされる。ベントガスケット88は、樹脂ブレンドから形成してもよく、また所定の閾値を超える使い捨てカートリッジ22内の真空圧により、空気がベント98を通って引き込まれるような弾性を有するエラストマーである。そのような真空圧に応じて、空気が使い捨てカートリッジ22内へと引き込まれるにつれてベントガスケット88はベント98から離れる方向に撓んで内部の空気圧を一様にする。空気圧が一旦均一になったら又は所定の閾値より低下したら、ベントガスケット88は元の形状に戻り、再びベント98を覆い、封止して液状石鹸が内部の空気チャンバ96内に流入するのを防止する。したがって、ベントガスケット88はチェックバルブとして機能し、空気は剛性カートリッジ22内への方向にしか流れることができない。
【0047】
図20及び
図21は、概ね参照番号120で示す、本発明のソープディスペンサでの使用に適した吐出ポンプの第3実施形態を示す。ポンプ構成要素は、バルブ122以外は概ね第2実施形態のものと同じであり、したがって同様の部品は同様に番号が付けられている。バルブ122は、エラストマー材料から形成されるダックビルバルブである。バルブ122は、「上」から挿入され、ポンプ本体82の端部に開いた開口部内に配置される。バルブ122は、中心流路124を有する。バルブ122のダックビル又は「底」端部は、平常で扁平であり閉じた形状を保持しているため、液体チャンバ92からの逆流を防止する。ピストンの「下降」運動により液状石鹸が液体チャンバ92に引き込まれると、扁平なダックビル端部が開放されて液状石鹸は「上」からバルブ122を通過することができる。
【0048】
図示したもの以外の様々な吐出ポンプ構成要素の寸法、係合方法及び封止係合も想定、予期される。例えば、空気チャンバ及び液体チャンバの容積は、所定の定量の泡状石鹸を吐出するように調整してもよい。したがって、これまでの説明は本発明の実施形態を単なる例として挙げるためのものにすぎない。他の実施形態が同様の機能を果たしてもよい及び/又は同様の結果を達成してもよいことが想定される。任意の及び全てのこのような均等の実施形態及び実施例が本発明の範囲内にあり、また添付の請求項により包含される。