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  • 特許-人体の骨格を取得するイメージング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】人体の骨格を取得するイメージング方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A61B8/14 ZDM
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020501255
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2018094310
(87)【国際公開番号】W WO2019011159
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】201710563512.2
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518375867
【氏名又は名称】中慧医学成像有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鄭永平
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154918(JP,A)
【文献】特開2008-307087(JP,A)
【文献】特開2012-019812(JP,A)
【文献】特表2013-500089(JP,A)
【文献】特表2014-515685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を含む骨格を取得するイメージング方法であって、
ターゲット領域を特定し、走査対象を固定するステップS1と、
空間センサを用いてイメージング領域を特定するステップS2と、
イメージングプローブを用いて前記ターゲット領域を走査し、前記イメージングプローブの空間位置座標と走査角度が記録された一連の断面画像を取得するステップS3と、
前記断面画像における骨表面の反射の特徴と、前記イメージングプローブの前記空間位置座標及び前記走査角度から3次元空間における前記骨の位置を特定し、前記特徴は、特徴点、特徴線又は特徴面とし、前記骨の位置情報を取得する、又は、骨が超音波画像上に形成する影によって3次元空間における骨の位置を特定して前記骨の位置情報を取得する、ステップS4と、
全ターゲット領域内の骨格について骨の位置情報と断面画像を全て収集するまで、前記ターゲット領域の走査を続けるステップS6と、
3次元空間に前記骨格を表示するステップS7、を含み、
前記イメージング方法は、ステップS4とステップS6の間に、更に、
1枚の断面画像における前記骨の位置情報を抽出し、前記骨の位置情報を隣接する断面画像における骨の位置情報の検出に利用するステップS5、を含み、
ステップS5において、1枚の断面画像における骨表面の位置を特定したあと、焦点深度を骨表面の深さに調整し、隣接する次の断面画像を取得する際に、調整済みの焦点深度を使用し、
焦点深度の決定によって、焦点深度に関係する超音波信号の増幅倍数(TGC)を調整すると、骨表面の位置よりも上又は下の画像の輝度が低下して、骨表面の反射信号が明瞭となることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップS3は、更に、
前記イメージングプローブが異なる角度から同一の骨の位置を走査して取得した断面画像を画像処理することで、骨表面の反射を強化可能とするステップであって、前記画像処理が、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択を含むステップS3.1を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項3】
前記ステップS3は、更に、
同一の骨位置において、前記イメージングプローブが異なる超音波周波数を使用するか、複数のプローブを組み合わせることで複数の画像を取得し、画像処理することで骨格表面の反射を強化可能とするステップであって、前記画像処理が、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択を含むステップS3.2を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項4】
前記イメージング方法は、ステップS4のあとに、更に、
前記断面画像をリアルタイム表示するステップS4.2を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項5】
前記イメージング方法は、ステップS4のあとに、更に、
前記断面画像及び前記骨の位置情報に基づいて、3次元空間に前記骨をリアルタイム表示するステップS4.3を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項6】
前記ターゲット領域が、人体の異なる部位に位置する複数のターゲットサブ領域又は人体の同一部位ではあるが異なるターゲットサブ領域を含む場合、前記イメージング方法は、更に、
一時停止命令によってターゲットサブ領域のデータ収集を一時停止するステップS8と、
一時停止取消命令によってステップS1~ステップS7を継続し、別のターゲットサブ領域でデータを収集するステップS9、を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項7】
前記イメージングプローブは、異なる方向及び角度でターゲット領域を走査することを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項8】
前記イメージング方法は、前記ターゲット領域が人体の異なる部位における複数のターゲットサブ領域を含む場合、ステップS1のあとに、更に、
検出を要するターゲットサブ領域が位置する人体部位ごとに小型の空間位置決め装置を取り付けるステップ1.1を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項9】
前記ステップS7は、更に、
前記ターゲット領域に対応する基準骨格モデルをリアルタイム表示するステップSa、又は
前記イメージングプローブの空間位置座標及び走査角度に基づいて、走査過程における基準骨格モデルに対するイメージングプローブの位置をリアルタイム表示するステップSb、又は
取得した骨格の骨の位置情報に基づいて基準骨格モデルを調整し、3次元骨格モデルを表示するステップSc、を含み、
前記基準骨格モデルは正常な人体の基準となる骨格モデルであり、前記3次元骨格モデルは、前記骨格の位置情報を基準骨格モデルとフィッティングすることで生成される骨格モデルであることを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項10】
前記イメージング方法は、超音波イメージング、光音響イメージング、テラヘルツイメージング、赤外線イメージング、光干渉断層イメージングのいずれかであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項11】
前記骨格は、椎骨、胸郭、肋骨、骨盤及び四肢の骨を含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【請求項12】
前記イメージングプローブによる走査は、手動、半自動又は機械装置により行われることを特徴とする請求項1に記載の骨格を取得するイメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理の技術分野に関し、特に、人体の骨格を取得するイメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、通常、3次元の人体骨格は、対象の人体が横たわった状態でX線又はCTイメージングにより取得する。しかし、イメージング過程において、人体はX線等の有害な放射線を一定量吸収することから、潜在的なリスクが存在する。また、人体が横たわった状態で走査せねばならないため、走査される3次元の人体骨格は、起立状態における人体の骨格形状とある程度異なっている。このほか、CT装置は、放射線漏れを回避するために必ず専用の部屋に取り付けて使用せねばならない。そこで、多面X線イメージングEOSシステムでは、比較的少ないX線照射量で人体の起立時に直交する2枚の2次元画像を取得可能としている。即ち、人体の前-後及び左-右方向の2枚の直交画像を取得可能である。そして、ソフトウエアで画像を処理し、正常な脊柱骨格モデルと組み合わせることで脊柱の3次元画像効果を取得可能としている。しかし、この方法で得られる3次元骨格にはソフトウエアによる推定部分が含まれており、測定結果が完全に正確であるとはいえない。且つ、この方法の場合には、放射線量が相対的に小さくなるとはいえ、依然として放射線による人体への危害は存在し、且つ、放射線を防止可能な特別な部屋に取り付ける必要もある。
【0003】
そこで、如何にして3次元の人体骨格を正確に取得可能としつつ、検出方法の放射線による人体への危害を回避するかが、業界内において早急に解決を要する課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の骨格検出方法は十分に正確とはいえず、且つ、人体に対し一定の被ばく被害がもたらされるとの課題に対し、人体の骨格を取得するイメージング方法を提供することを目的とする。当該方法では、3次元超音波システムを利用して検査対象の骨格を取得するため、放射線の影響を受けず、使用も容易である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、技術的課題に対する技術方案として、骨格を取得するイメージング方法を提供する。当該方法は、ターゲット領域を特定し、走査対象を固定するステップS1と、 空間センサを用いてイメージング領域を特定するステップS2と、 イメージングプローブを用いてターゲット領域を走査し、イメージングプローブの空間位置座標と走査角度が記録された一連の断面画像を取得するステップS3と、断面画像における骨表面の反射の特徴と、イメージングプローブの前記空間位置座標及び前記走査角度から3次元空間における骨の位置を特定し、骨の位置情報を取得するステップS4と、全ターゲット領域内の骨格について骨の位置情報と断面画像を全て収集するまで、ターゲット領域の走査を続けるステップS6と、3次元空間に前記骨格を表示するステップS7、を含むことを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記イメージング方法は、ステップS4とステップS6の間に、更に、1枚の断面画像における前記骨の位置情報を抽出し、前記骨の位置情報を隣接する断面画像における骨の位置情報の検出に利用するステップS5、を含む。
【0007】
好ましくは、前記ステップS3は、更に、イメージングプローブが異なる角度から同一の骨の位置を走査して取得した断面画像を画像処理することで、骨表面の反射を強化可能とするステップであって、前記画像処理が、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択を含むステップS3.1を含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップS3は、更に、同一の骨位置において、イメージングプローブが異なる超音波周波数を使用するか、複数のプローブを組み合わせることで複数の画像を取得し、画像処理することで骨格表面の反射を強化可能とするステップであって、前記画像処理が、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択を含むステップS3.2を含む。
【0009】
好ましくは、前記イメージング方法は、ステップS4のあとに、更に、前記断面画像をリアルタイム表示するステップS4.2を含む。
【0010】
好ましくは、前記イメージング方法は、ステップS4のあとに、更に、前記断面画像及び前記骨の位置情報に基づいて、3次元空間に前記骨をリアルタイム表示するステップS4.3を含む。
【0011】
好ましくは、ターゲット領域が、人体の異なる部位に位置する複数のターゲットサブ領域又は人体の同一部位ではあるが異なるターゲットサブ領域を含む場合、前記イメージング方法は、更に、一時停止命令によってターゲットサブ領域のデータ収集を一時停止するステップS8と、一時停止取消命令によってステップS1~ステップS7を継続し、別のターゲットサブ領域でデータを収集するステップS9、を含む。
【0012】
好ましくは、イメージングプローブは、異なる方向及び角度でターゲット領域を走査する。
【0013】
好ましくは、ターゲット領域が人体の異なる部位における複数のターゲットサブ領域を含む場合、当該イメージング方法は、ステップS1のあとに、更に、検出を要するターゲットサブ領域が位置する人体部位ごとに小型の空間位置決め装置を取り付けるステップ1.1を含む。
【0014】
好ましくは、前記ステップS7は、更に、ターゲット領域に対応する基準骨格モデルをリアルタイム表示するステップSa、又は、前記イメージングプローブの空間位置座標及び走査角度に基づいて、走査過程における基準骨格モデルに対するイメージングプローブの位置をリアルタイム表示するステップSb、又は、取得した骨格の骨の位置情報に基づいて基準骨格モデルを調整し、3次元骨格モデルを表示するステップSc、を含む。
【0015】
前記基準骨格モデルは正常な人体の基準となる骨格モデルであり、前記3次元骨格モデルは、前記骨格の位置情報を基準骨格モデルとフィッティングすることで生成される骨格モデルである。
【0016】
好ましくは、前記イメージング方法は、超音波イメージング、光音響イメージング、テラヘルツ(THz)イメージング、赤外線イメージング、光干渉断層イメージング(OCT)のいずれかである。
【0017】
好ましくは、前記骨格は、椎骨、胸郭、肋骨、骨盤及び四肢の骨を含む。
【0018】
好ましくは、前記イメージングプローブによる走査は、手動、半自動又は機械装置により行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、人体の骨格を取得するイメージング方法を提供する。当該方法では、3次元超音波システムを利用して検査対象の骨格を取得するため、放射線の影響を受けず、使用も容易である。
【0020】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明における人体の骨格を取得するイメージング方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の好ましい実施例における断面画像である。
図3図3は、本発明の好ましい実施例におけるターゲット領域の骨格の冠状面の断面画像である。
図4図4は、本発明の好ましい実施例におけるターゲット領域の骨格の3次元画像である。
図5図5は、本発明で取得される人体の3次元骨格モデルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者がより明確に本発明を理解可能となるよう、以下に、図面と具体的実施例を組み合わせて本発明につき更に詳細に記載する。
【0023】
本発明は、人体の骨格を取得するイメージング方法について開示する。当該イメージング方法は、超音波イメージング、光音響イメージング、テラヘルツ(THz)イメージング、赤外線イメージング、光干渉断層イメージング(OCT)のいずれかである。なお、本発明の図面には人体の椎骨を例示しているが、本発明の人体の骨格が人体の椎骨のみを含むとの意味ではない。実際には、本発明の人体の骨格は、椎骨、胸郭、肋骨、骨盤及び四肢の骨といった人体の骨格部分を含んでおり、ここでは特に限定しない。また、本発明で提示するイメージングプローブによる走査は、手動で行ってもよいし、半自動又は機械装置で行ってもよく、ここでは特に限定しない。
【0024】
主なステップS1~S7を図1に示す。まず、ターゲット領域を特定し、走査対象を固定する(ステップS1)。前記ターゲット領域とは、検出を要するイメージング部位又は領域であり、1つの領域であってもよいし、複数の連続した領域でも、複数の分離した領域でもよい。前記走査対象は人体の各部位とすればよく、ここでは特に限定しない。
【0025】
空間センサを用いてイメージング領域を特定する(ステップS2)。イメージング領域には、1又は複数のターゲット領域が含まれる。空間センサは、プローブの空間位置座標と走査方向をリアルタイムで検知する。本実施例において、空間センサは移動可能なイメージングプローブに直接搭載可能である。また、本発明のその他の実施例において、空間センサは、イメージングプローブとともに移動するその他の部材に搭載してもよく、ここでは特に限定しない。
【0026】
イメージングプローブを用いてターゲット領域を走査し、イメージングプローブの空間位置座標と走査角度が記録された一連の断面画像を取得する(ステップS3)。本発明の好ましい実施例における断面画像の一つを図2に示す。ステップS3で収集するデータには、超音波走査による断面画像自体と、空間センサにより取得されるイメージングプローブの空間位置決めデータ、即ち、イメージングプローブの空間位置座標及び走査角度が含まれる。当該データ収集過程は、イメージングプローブ、空間センサ及び中央制御モジュールによりリアルタイムで遂行される。具体的に、空間センサはイメージングプローブに接続されて、イメージングプローブの空間位置決めデータを取得する。また、中央制御モジュールは空間センサとイメージングプローブに接続されて、データ及び画像の処理と表示を行う。走査過程において、イメージングプローブは、鮮明な断面画像が得られるまで異なる方向及び角度から柔軟に同一のターゲット領域を走査可能である。或いは、異なる各角度から同一の骨の位置を走査して取得した断面画像を画像処理することで、骨表面の反射を強化することが可能である。鮮明な骨表面の特徴が得られるよう、画像処理には、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択が含まれる(ステップS3.1)。なお、理解可能なように、同一の骨位置において、イメージングプローブは異なる超音波周波数を使用するか、複数のプローブを組み合わせることで複数の画像を取得し、画像処理することで骨格表面の反射を強化可能である。後のステップでの断面画像の処理が容易となるよう、画像処理の方式には、平均化、メディアンフィルタ又は最も強い信号の選択が含まれる(ステップS3.2)。上記の同一部位に対する走査は手動走査としてもよいし、例えばマニピュレータによる走査のような機械走査としてもよい。マニピュレータは、ターゲット部位周りに360度走査することで、各方向及び角度の断面画像を取得可能である。なお、ここでは具体的な走査方式を限定しない。
【0027】
断面画像における骨表面の反射の特徴と、イメージングプローブの空間位置座標及び走査角度から3次元空間における骨の位置を特定し、骨の位置情報を取得する(ステップS4)。前記特徴は、特徴点、特徴線又は特徴面とすればよい。また、当該特徴の選択については、手動で選択してもよいし、例えば輝度が最も高い点を自動で検出するといったアルゴリズムによる自動検出としてもよい。上記の特徴点、特徴線又は特徴面は、骨表面の反射信号だけでなく、骨が超音波画像上に形成する影であってもよい。即ち、3次元空間における骨の位置は、骨表面の反射信号だけでなく、骨が超音波画像上に形成する影によって判断してもよい。プローブの空間位置座標及び走査角度情報はステップS3において測定済みのため、これに超音波反射の特徴を組み合わせることで、3次元空間における骨の位置情報、即ち骨の3次元位置座標を特定できる。
【0028】
全領域内の骨格について骨の位置情報と断面画像を全て収集するまで、ターゲット領域の走査を続ける(ステップS6)。本発明の好ましい実施例において、イメージングプローブで収集したターゲット領域の骨格の断面画像を図3に示す。更に、取得した骨表面の反射信号を3次元空間において各方向から投影することで、X線投影と類似の効果を得ることが可能である。次に、3次元空間に前記骨格を表示する(ステップS7)。図4は、ターゲット領域の骨格の3次元画像を示している。なお、理解可能なように、ステップS7では、更に、基準骨格モデルや3次元骨格モデル等の情報を表示してもよい。詳細については後述の部分で具体的に説明する。
【0029】
断面画像の質をより効率的に向上させるために、イメージングプローブが異なる方向及び異なる角度で走査する過程では、更に、1枚の断面画像における前記骨の位置情報を抽出し、前記骨の位置情報を隣接する断面画像における骨の位置情報の検出に利用する(ステップS5)。1枚の断面画像における骨表面の位置を特定したあと、超音波イメージング装置は、焦点深度を自動的に骨表面の深さに調整する。よって、隣接する次の断面画像を取得する際には、調整済みの焦点深度がそのまま使用され、ピント合わせが迅速に進むことから、収集データの検出過程がより効率的となる。また、焦点深度が決定されると、深度に関係する超音波信号の増幅倍数(TGC)も相応に調整されるため、これに応じて骨表面の位置よりも上又は下の画像の輝度が低下する。よって、骨表面の反射信号がより明瞭となり、データ収集の効率が向上して、いっそう鮮明な断面画像を取得可能となる。
【0030】
ステップS3で収集した断面画像の質が、分析により骨の位置情報を取得するには不十分な場合、即ち、ステップS4において、断面画像中の骨表面の反射の特徴から3次元空間における骨の位置を特定できない場合、本発明のイメージング方法は、ステップS4のあとに更に以下を含む。
【0031】
S4.1:前記断面画像について画像処理を行う。前記画像処理には、例えば、輝度、コントラスト、ノイズ及び滑らかさ等に関する画像処理が含まれる。
【0032】
理解可能なように、走査過程において、中央制御モジュールは取得した断面画像をリアルタイム表示するか、3次元空間に骨を表示することが可能である。例えば、そのとき走査中のターゲット領域の骨格の3次元画像を表示してもよいし(図4参照)、全てのターゲット領域を走査し終えてから3次元空間に骨を表示してもよく、ここでは特に限定しない。中央制御モジュールが、走査過程で取得した断面画像を表示するか、3次元空間に骨を表示しようとする場合、当該方法は、ステップS4のあとに更に以下のステップを含む。
【0033】
断面画像をリアルタイム表示する(ステップS4.2)。イメージングプローブが異なる部位及び方向を走査しているときに、スクリーン上に表示される画像は走査に対応して移動及び回動する。これにより、操作者は取得した断面画像及び断面画像に含まれる骨表面の情報をリアルタイムで確認できる。また、前記断面画像及び前記骨の位置情報に基づき、図4に示すように、3次元空間に骨をリアルタイム表示する(S4.3)。なお、理解可能なように、3次元空間への骨の表示には、骨の3次元画像の表示と、3次元骨格モデルや基準骨格モデルといった骨の3次元モデルの表示が含まれ得る。詳細については、後述の部分で述べる。
【0034】
ステップS4.3で3次元空間に骨をリアルタイム表示する過程において、ステップS3で収集した断面画像の質が分析により骨の位置情報を取得するには不十分な場合、本発明のイメージング方法は、ステップS4.2とS4.3の間に更に以下を含む。
【0035】
S4.2.1:前記断面画像について画像処理を行う。前記画像処理には、例えば、輝度、コントラスト、ノイズ及び滑らかさ等に関する画像処理が含まれる。
【0036】
ターゲット領域が、人体の異なる部位に位置する複数のターゲットサブ領域又は人体の同一部位ではあるが異なるターゲットサブ領域を含む場合には、前記超音波走査の過程を迅速且つ効果的とするために、及び、ターゲット領域外のデータが収集されて余計な演算量が発生する等の弊害が回避されるよう、収集データをいずれもターゲット領域内のデータとするために、上記の走査過程は分割式の走査過程としてもよい。この場合、当該方法は、更に以下のステップを含んでもよい。
【0037】
S8:一時停止命令によってターゲットサブ領域のデータ収集を一時停止する。
【0038】
S9:一時停止取消命令によってステップS1~ステップS7を継続し、別のターゲットサブ領域でデータを収集する。
【0039】
即ち、ステップS1~S7によって各ターゲットサブ領域の走査を完了し、ターゲットサブ領域の骨の位置情報を取得したあと、一時停止命令によってデータ収集を一時停止する。そして、イメージングプローブが別のターゲットサブ領域に移動したあと、一時停止取消命令を発して画像の収集を再開し、このターゲットサブ領域内のデータを引き続き収集する。これによれば、ターゲット領域外の領域、即ち興味のない領域を走査する必要がないため、データ収集及び処理の効率が向上する。当該一時停止命令又は一時停止取消命令は、スイッチ、キー又は音声命令等とすればよい。
【0040】
上述した複数の異なるターゲットサブ領域に対する走査は手動走査としてもよいし、例えばマニピュレータによる走査のような機械走査としてもよい。マニピュレータは、ターゲット部位周りに360度走査することで、各方向及び角度の断面画像を取得可能である。なお、ここでは具体的な走査方式を限定しない。
【0041】
イメージングプローブは、人体の異なる位置で異なる方向に走査を行ってもよいし、同じ場所で異なる方向に繰り返し走査してもよい。例えば、大腿骨を走査する場合、画像のイメージング方向は骨の径方向と垂直とすればよく、肋骨を走査する場合には、イメージングプローブを肋骨の方向に沿わせて走査すればよい。また、脊柱を走査する場合には、複数方向に繰り返し走査することで画像の鮮明度を向上可能となる。
【0042】
ターゲット領域が人体の異なる部位における複数のターゲットサブ領域を含む場合、当該イメージング方法は、更に、検出を要するターゲットサブ領域が位置する人体部位ごとに小型の空間位置決め装置を取り付ける(ステップ1.1)。これにより、走査過程における人体の移動状況を把握できるため、骨の位置情報を相応に修正可能となる。
【0043】
更に、中央制御モジュールには基準骨格モデルが記憶されており、骨格の断面画像又は骨格の3次元画像とともにリアルタイム表示することが可能である。また、ステップS3で収集した骨の位置情報等のデータを記憶及び処理し、基準骨格モデルとフィッティングすることで3次元骨格モデルを生成してもよい。本願の明細書において、基準骨格モデルとは、人体の健康且つ正常状態における基準となる骨格モデルである。また、3次元骨格モデルとは、収集した骨格の位置情報を基準骨格モデルとフィッティングすることで生成される骨格モデルのことである。ステップS4.3及びS7のあとに、更に、ターゲット領域に対応する基準骨格モデルをリアルタイム表示してもよい(ステップSa)。これにより、操作者は走査過程で良好な基準を得ることができる。更に、空間センサから提供されるイメージングプローブの位置及び角度情報に基づいて、走査過程における基準骨格モデルに対するイメージングプローブの位置をリアルタイム表示してもよい(ステップSb)。また、更に、中央制御モジュールは、取得した骨格の骨の位置情報に基づいて、記憶されている基準骨格モデルを調整し、図5に示すような3次元骨格モデルを表示する(ステップSc)。
【0044】
以上述べたように、本発明が開示する人体の骨格を取得するイメージング方法によれば、被ばくが一切ない状況で人体の骨格構造を迅速且つ視覚的に取得可能である。よって、X線やCTのような人体に対する被ばく被害が回避される。
【0045】
当業者であれば上記の説明に基づく改良又は変形が可能であり、これら全ての改良及び変形は、いずれも本発明の特許請求の範囲による保護の範囲に属すると解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5