(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】二次元/三次元画像コレジストレーションのためにコンピュータによって実現される情報処理方法、プログラム、医用画像分析システム、および、放射線療法治療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A61B6/03 360J
A61B6/03 371
A61B6/03 370F
(21)【出願番号】P 2020529486
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2019059450
(87)【国際公開番号】W WO2020207597
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】514130426
【氏名又は名称】ブレインラボ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ルフト,ロベルト
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0005668(US,A1)
【文献】特開2011-254861(JP,A)
【文献】Femke Steenbeke, et al.,Analysis of the targeting uncertainty of a stereotactic frameless radiosurgery technique for arteriovenous malformation,Radiotherapy and Oncology,ELSEVIER,2014年12月,Vol. 113, Issure 3,第371-373頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元/三次元画像コレジストレーションの
ためにコンピュータによって実現される
情報処理方法であって、
コンピューターのプロセッサが、造影剤を含む血管構造の二次元
のDSA画像
のシーケンスを提供するステップ(ステップS1)を備え、前記血管構造は、血管奇形を含み、前記方法はさらに、
前記造影剤が動脈流入チャネルを介して血管奇形に既に移動し、かつ静脈流出チャネルを介して前記血管奇形から未だ移動していない分布段階にある画像化された血管構造および造影剤を示す二次元のDSA画像のシーケンスのうちから、少なくとも一つの画像を選択するステップ(ステップS1a)を備え、
前記プロセッサが、前記血管構造の三次元画像データを提供するステップ(ステップS2)と、
前記プロセッサが、前記三次元画像データを変換二次元画像データに変換するステップ(ステップS3)と、
前記プロセッサが、前記二次元
のDSA画
像と前記変換二次元画像データとを重ね合わせて、前記二次元
のDSA画
像と前記変換二次元画像データとの間の対応関係を計算することによって、前記二次元
のDSA画
像と前記三次元画像データとの間のコレジストレーションを決定するステップ(ステップS4)と、
前記プロセッサが、前記コレジストレーションがなされた二次元
のDSA画
像において前記血管奇形を判断するステップ(ステップS5)と、
前記プロセッサが、前記コレジストレーションがなされた二次元
のDSA画
像の前記判断された血管奇形に基づいて、前記血管奇形の三次元表示を計算するステップ(ステップS6)とを備える、方法。
【請求項2】
前記血管構造の前記三次元画像データは、MR画像データ
、T1、T2もしくはMRA画像データ、CTA画像データ、三次元DSA画像データ、またはこれらの任意の組み合わせである
、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記三次元画像データを変換二次元画像データに変換するステップ(ステップS3)は、前記三次元画像データの投影像を計算すること
(最大値投影法(MIP))によって、および/または、前記三次元画像データの再構成を計算すること
(デジタル再構成ラジオグラフィ(DRR))によって行われる
、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記三次元画像データの前記変換二次元画像データへの前記変換のために、変換パラメータセットが使用され、
前記二次元
の画
像と前記変換二次元画像データとを重ね合わせるステップ(ステップS4)は、
前記変換パラメータを自動的に最適化することによって、複数の変換パラメータセットについて前記二次元
のDSA画
像と前記それぞれの変換二次元画像データとの間の画像対応関係の程度を最適化するステップを備える
、請求項
1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
最適化される前記変換パラメータセットは、投影パラメータ
(MIPパラメータ)および/または再構成パラメータ
(DRRパラメータ)である、請求
項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記最適化のための前記変換パラメータの初期値についてのユーザ入力を
、グラフィカルユーザインターフェイスを介して受信するステップをさらに備える、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記二次元
のDSA画
像の画像取得パラメータに基づいて、前記最適化のための前記変換パラメータの初期値を提案するステップをさらに備える、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記二次元
のDSA画
像の画像取得パラメータは、
2つ以上の翻訳パラメータ、
3つの回転パラメータ、
スケーリングパラメータ、および
焦点距離
のうちの1つ以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記血管構造は、人間の脳のものであり、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記三次元画像データおよび/または前記変換二次元画像データから前記人間の脳の少なくとも1つの部分をセグメント化するさらなるステップを備え、
前記人間の脳の前記少なくとも1つのセグメント化された部分のみが前記二次元
のDSA画
像と重ね合わせられる
、請求項
1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記奇形は、動静脈奇形(AVM)であり、
前記二次元
のDSA画
像は、前記血管構造および分布状態における前記造影剤の分布を画像化することにより、前記AVMへの動脈流入と前記AVMからの静脈流出との区別を可能にする
、請求項
1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記二次元
のDSA画
像は、前記血管構造における前記造影剤の前記分布の時系列を示す複数の画像であり、前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記AVMへの前記動脈流入と前記AVMからの前記静脈流出との前記区別に関して最適な画像を前記複数の画像から識別するステップを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記識別された最適な画像が生成された時点までの前記複数の画像のうちの全ての画像を合計するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記方法においてさらに使用するために前記血管構造の前記提供された三次元画像データの一部を選択するステップをさらに備え、
前記選択は、自動的に
、ユーザ入力なしの自動セグメント化によって、またはユーザ入力と組み合わせた自動アトラスセグメント化によって、または純粋に受信されたユーザ入力に基づいて、行われる
、請求項
1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記コレジストレーションがなされた二次元
のDSA画
像において前記血管奇形を判断するステップ(ステップS5)は、
前記二次元
のDSA画
像において前記血管奇形を輪郭取りするステップを備え、
前記血管奇形の前記三次元表示は、前記二次元
のDSA画
像における前記血管奇形の輪郭に基づいて計算される
、請求項
1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記二次元
のDSA画
像における前記血管奇形の輪郭に関連付けられたユーザ入力を受信するステップをさらに備える
、請求項
1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記提供された二次元
のDSA画
像は、少なくとも、前記血管構造の第1および第2の二次元X線画像であり、
前記第1の二次元X線画像は、前記第2の二次元X線画像と比較して異なる取得パラメータ、
または、別の角度で取得されたものであり、
前記方法は、前記第1および前記第2の二次元X線画像について行われる
、請求項
1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のDSA画像は、前記第2のDSA画像と比較して異なる取得パラメータ
、または、別の角度で取得されたものであり、
前記第1および第2のDSA画像は、前記同一の三次元画像データからの変換二次元画像データと重ね合わせられて、第1および第2のオーバーレイを生じさせ、前記方法はさらに、
前記第1および第2の二次元
のDSA画
像をユーザインターフェイス上に表示するステップと、
前記ユーザインターフェイスを介して第1および第2の輪郭取り入力を受信するステップとを備え、
前記第1の輪郭取り入力は、前記第1の二次元
のDSA画
像における前記血管奇形の第1の外形を表し、
前記第2の輪郭取り入力は、前記第2の二次元
のDSA画
像における前記血管奇形の第2の外形を表し、前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記第1の外形に基づいて第1の三次元オブジェクトを計算するステップと、
前記プロセッサが、前記第2の外形に基づいて第2の三次元オブジェクトを計算するステップと、
前記プロセッサが、前記第1および第2の三次元オブジェクトを計算上の方法で交差させることによって、前記血管奇形の前記三次元表示を計算するステップとを備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記血管奇形の前記計算された三次元表示の、テクスチャに基づく画像分析を行うステップと、
前記プロセッサが、前記テクスチャに基づく画像分析の結果を使用して前記血管奇形の前記計算された三次元表示をさらに正確にするステップとをさらに備える
、請求項
1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コンピュー
タに請求項
1~18のいずれか1項に記載の方
法を実行させるプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の
プログラムを備える医用画像分析システム(91)。
【請求項21】
血管奇形、特に動静脈奇形(AVM)に治療ビームを照射するための放射線療法治療システム(90)であって、
請求項20に記載の医用画像分析システム(91)と、
治療ビーム源(96)および患者支持ユニット(97)を備える放射線治療装置(95)とを備え、
前記コンピュータは、前記放射線治療装置に動作可能に結合され、前記治療ビーム源の動作または前記患者支持ユニットの位置のうちの少なくとも1つを制御するための制御信号を前記放射線治療装置に発行する、放射線療法治療システム(90)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、解剖学的構造の血管構造の血管奇形の三次元表示の計算、ならびに、上記計算のための二次元および三次元医用画像のレジストレーションに関する。特に、本発明は、二次元/三次元画像コレジストレーションまたは融合の、コンピュータによって実現される医用方法、対応するコンピュータプログラム、このようなプログラムを格納する非一時的なプログラム記憶媒体、プログラムを実行するためのコンピュータ、ならびに医用画像分析システムおよび放射線療法治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
動静脈奇形(AVM)は、典型的には毛細管系を迂回する動脈と静脈との間の異常な接続である。血管異常または奇形は、それが中枢神経系で起こる(通常、脳動静脈奇形)ことで広く知られているが、たとえば人間の脳の血管系のような人体のいかなる場所でも起こり得る。
【0003】
多くのAVMは、無症候性であるが、激痛または出血を生じさせたり、他の深刻な医学的問題につながる可能性がある。特に、AVMが人間の脳の領域で発生した場合、このようなAVMを手術、放射線療法または放射線手術治療で治療する医師(たとえば、外科医または放射線療法士)に対して、患者の脳における血管奇形が三次元でどのように見えるかおよびそれがどこに位置しているかについての正確かつ信頼できる情報を提供することが最も重要である。特に、血管奇形の形状、ならびに、奇形への動脈流入構造および奇形からの静脈流出構造の位置が、手術または放射線療法/放射線手術治療の成功率にとって決定的に重要である。
【0004】
したがって、本発明の発明者等は、人間の脳における血管奇形(たとえば、動静脈奇形(AVM))の三次元表示を患者の医用画像から正確に計算する必要性を感じている。
【0005】
最近では、臨床診療において、ローカライザに基づくレジストレーションを使用して二次元および三次元画像が融合されている。血管奇形の正確な描写のために、位置特定が使用される。別のアプローチでは、ブレインラボ社の製品であるSmartbrush Angio 1.0は、血管セグメント化に基づくフレームレス二次元/三次元レジストレーションをサポートする。さらに、科学文献は、DRRまたはMIP画像に基づくフレームレス二次元/三次元レジストレーションを開示しているが、これは、解剖学的構造または奇形に注目するものではなく、不都合なことに、血管中心線または血管セグメント化に基づくフレームレスレジストレーションを使用するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次元/三次元画像レジストレーションの既に公知の解決策は、以下の不利な点を伴う。第1に、治療計画のために追加画像を取得する必要があり、ローカライザフレームを患者の頭部に取り付けなければならないので、患者の負担、追加コストおよび治療までの時間が増加する。さらに、残念なことに、画像レジストレーションは、患者の頭蓋骨外で最も正確になる。また、血管セグメント化に基づく画像レジストレーションを使用する先行技術では、レジストレーション結果は、血管セグメント化の結果に依存する。さらに、上記の科学文献は研究文献に過ぎないため、臨床上の証拠が少ない。この科学文献は、奇形の部位に注目するものではなく、血管セグメント化または中心線抽出を必要とする。
【0007】
したがって、本発明の発明者等は、患者の頭蓋骨内で適正に正確であり、血管セグメント化結果に依存せず、奇形の部位に注目することを可能にする、解剖学的構造に基づくフレームレス二次元/三次元画像レジストレーションの必要性を認識した。
【0008】
以下の詳細な説明から明らかになるように、本発明の結果は、手術の計画に使用することができ、または放射線療法治療計画の計画にも使用することができる。
【0009】
本発明は、たとえばVERO(登録商標)およびExacTrac(登録商標)(全てブレインラボ社の製品)などの画像誘導放射線療法のためのシステムに関連付けられた、たとえば頭蓋/脊柱定位放射線手術治療計画システムなどの放射線療法または放射線手術手順に使用することができる。また、この方法およびプログラムは、ブレインラボ社の製品である既存のSmartbrush Angioの補完および/または更新に使用されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の局面、実施形態、実施例、および例示的なステップが以下に開示されている。本発明の異なる実施形態、実施例、および例示的な特徴は、技術的に好都合かつ実現可能である限りいかなる場合でも、本発明に従って組み合わせることができる。
【0011】
さらに、本発明の一局面に関連して以下に記載されているいかなる特徴、要素および/またはステップも、本明細書に開示されている本発明のその他の局面に等しく適用される、ということが強調される。
【0012】
発明の例示的な簡単な説明
本発明は、血管奇形の三次元表示を計算する新たな方法を提供することによって、血管奇形を含む血管構造の二次元X線画像データの利点とこの血管構造の三次元画像データの利点とを組み合わせる。特に、二次元X線画像データの利点は、解像度が高いことであり、特に血管構造内の造影剤の分布の進展に関して、動脈と静脈との間の差異が医師が見てはっきり分かるほどであるという事実である。このような二次元X線の実施形態の例は、二次元DSA画像である。X線画像データのこれらの利点は、本発明の方法を適用すると、同一の血管構造の三次元画像データに転写される。それによって、この方法は、二次元X線画像データの上記の利点と三次元データセットの利点とを組み合わせる。すなわち、有利なことに、血管奇形(たとえば、AVM)を空間的な三次元の態様でユーザに対して表示して示すことができる。
【0013】
本発明は、血管奇形がたとえば人間の脳におけるAVMである場合に特に有効である。人間の脳に関して言えば、手術および/または放射線手術および/または放射線療法は非常にリスクが高いので、本発明のメリットおよび利点、すなわち血管奇形の三次元表示の精密な計算は、このような医療の文脈では非常に有効である。しかし、本開示から明らかになるように、本発明の方法は、AVMに限定されるものではなく、脳の領域に限定されるものではない。
【0014】
以下に本発明の具体的特徴の簡単な説明が記載されているが、本発明をこのセクションに記載されている特徴または特徴の組み合わせのみに限定するように理解されるものではない。
【0015】
特に、二次元/三次元画像コレジストレーションの、コンピュータによって実現される医用方法が提示されている。二次元X線データは、血管構造内に血管奇形および造影剤を含む血管構造の医用画像である。たとえば、1つ以上の二次元デジタルサブトラクション血管造影(DSA)画像を二次元X線画像データとして使用することができる。さらに、この血管構造の三次元画像データが提供される。上記三次元画像データを生成するためにいくつかの異なる三次元画像化モダリティが使用されてもよい。たとえば、磁気共鳴(MR)画像データ、コンピュータトモグラフィ血管造影(CTA)画像データまたは三次元デジタルサブトラクション血管造影(三次元DSA)画像データが使用されてもよい。
【0016】
このコンピュータによって実現される医用方法では、三次元画像データは、変換二次元画像データに変換される。いくつかの異なる変換可能性が当業者によって使用されてもよく、例として、三次元画像データを変換二次元画像データに変換するために最大値投影法(maximum intensity projection:MIP)および/またはデジタル再構成ラジオグラフィ(digitally reconstructed radiography:DRR)を使用する特定の具体的な実施形態について以下で詳細に説明する。
【0017】
さらに、二次元X線画像と、先に提供された三次元画像データから生じた変換二次元画像データとが重ね合わせられる。なお、本発明の文脈において、これらの二次元画像を「重ね合わせる」という表現は、ユーザのためにディスプレイ上でこれらのデータをグラフィカルに重ね合わせることを包含するだけでなく、計算上の方法でこれらのデータを重ね合わせることも包含する。二次元X線画像データと変換二次元画像データとを重ね合わせるステップがグラフィカルに実行されるのではなく純粋に計算上の方法で実行される実施形態では、これらの二次元画像データ間の類似性または対応関係の度合い/程度を計算することができる。二次元X線画像データと変換二次元画像データとを重ね合わせるプロセス中に、二次元X線画像データと変換二次元画像データとの間の対応関係(たとえば、類似性の画素単位の比較/判断)が計算される。それによって、二次元X線画像データと三次元画像データとの間のコレジストレーションがこの方法によって達成される。
【0018】
さらに、本発明のコンピュータによって実現される医用方法では、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて血管奇形が判断される。その例示的な実施形態では、この血管奇形の判断は、たとえばコレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて血管奇形を自動的に識別する画像分析アルゴリズムによって、純粋に自動的に行うことができる。しかし、これは、血管奇形の輪郭取りに関して以下でさらに詳細に説明するように、ユーザ入力に基づいて行うこともできる。判断された血管奇形に基づいて、血管奇形の三次元表示が計算される。この計算されたデータに基づく結果は、たとえば医師による手術の計画に使用することができ、または医師による放射線療法治療計画の計画にも使用することができる。
【0019】
言い換えれば、本発明の方法は、AVMのような血管奇形の描写のための画像処理および視覚化方法を利用することができる二次元および三次元画像データの画像融合を備える。血管奇形の描写は、上記および下記のように計算される血管奇形の三次元表示であってもよい。
【0020】
特に、AVMの場合、提示されている方法は、AVMへの動脈流入を容易にする血管構造の部分同士およびAVMからの静脈流出を容易にする血管構造の部分同士を明確に区別することを可能にする。特に、ある実施形態では、血管構造内の造影剤の分布の時系列を示す二次元DSA画像データを使用することができる。このDSA画像の時系列から画像を選択することによって、このような画像において奇形を判断する(たとえば、手動でまたは自動的に輪郭取りする)ための妥当な根拠が、AVMの動脈流入部と静脈流出部とを有利に区別するために選択され得る。このようなDSA画像に基づいて、およびこのような上記時系列からの画像の選択に基づいて、AVMの三次元表示をコンピュータによって実現される医用方法によって計算することができ、手術、放射線手術および/または放射線療法の対象の物体が精密かつ正確に三次元的に描かれる。
【0021】
上記のように、三次元画像データの変換二次元画像データへの変換は、たとえば三次元画像データの投影像を計算する(たとえば、最大値投影法(MIP))または三次元画像データの再構成を計算する(たとえば、デジタル再構成ラジオグラフィ(DRR))といったいくつかの異なる方法によって行うことができる。このような変換および再構成に使用されるそれぞれの変換および/または再構成パラメータを使用して、二次元X線画像データと変換二次元画像データとの重ね合わせを最適化することができる。このような最適化は、自動的に行われてもよく、それによって、複数の変換および/または再構成パラメータセットについて二次元X線画像とそれぞれの変換二次元画像データとの間の画像対応関係の計算される程度が最適化される。しかし、重ね合わせられた画像同士の間の画素単位の対応関係が高いという意味において最適な重ね合わせを達成するための変換パラメータのこのような最適化は、ユーザ入力と組み合わせて半自動的に行われてもよく、または純粋に手動で行われてもよい。これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
なお、この最適化のための変換パラメータの初期値は、自動的に提案されてもよく、またはたとえばユーザ入力を介して受信されてもよい。この詳細についても例示的な実施形態の文脈において以下で説明する。
【0023】
要約すると、本発明の方法は、有利なことに、患者の頭蓋骨内で正確であり、血管セグメント化結果に依存せず、血管奇形の部位(たとえば、人間の脳の領域におけるAVM)に注目することを可能にする、解剖学的構造に基づくフレームレス二次元/三次元画像レジストレーションを容易にする。同様のことが、プログラム、医用画像分析システム、および本明細書に開示されている本発明の他の局面にも当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係る二次元/三次元画像コレジストレーションの、コンピュータによって実現される医用方法のステップを示すフローチャートを概略的に示す。
【
図2】本発明の例示的な実施形態において使用することができる、正面および側面の異なる角度から画像化された、造影剤を含む人間の脳の血管構造および血管奇形の2つの異なる二次元DSA画像を概略的に示す。
【
図3】本発明の例示的な実施形態において使用される、血管奇形を含む同一の人間の脳の三次元飛行時間(TOF)MR画像の最大値投影像(MIP)と重ね合わせられた2つの異なるDSA画像を概略的に示す。
【
図4】本発明の例示的な実施形態において使用される、右頚動脈のみが表示されているという理由による、セグメント化による注目領域の適用を概略的に示す。
【
図5】本発明の例示的な実施形態に従って、たとえば
図4に示される二次元X線画像データと変換二次元画像データとのオーバーレイがグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を介してユーザによって調節可能である本発明の実施形態を概略的に示す。
【
図6】正面二次元X線画像における血管奇形の判断/輪郭取りに関する本発明の実施形態を左側に概略的に示し、右側には、投影光線が側面画像に示されており、この光線は、左側の正面から取り込まれたDSA画像において受信された輪郭に基づく。
【
図7】本発明の例示的な実施形態に従って、異なる画像化角度から取られた2つの異なるDSA画像についてグラフィカルユーザインターフェイスを介して輪郭取り入力を受信することができることを概略的に示す。
【
図8】本発明の例示的な実施形態に係る、たとえば
図7に示されるコレジストレーションがなされた二次元X線画像データの判断された血管奇形に基づいて計算される血管奇形の結果として生じる三次元表示を概略的に示す。
【
図9】血管奇形、特に動静脈奇形(AVM)に治療ビームを照射するための放射線療法治療システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の概要
このセクションでは、たとえば本発明の考えられる実施形態を参照することによって本発明の一般的特徴について説明する。
【0026】
本発明の第1の局面に従って、二次元/三次元画像コレジストレーションの、コンピュータによって実現される医用方法が提示される。上記方法は、造影剤を含む血管構造の二次元X線画像データを提供するステップ(ステップS1)を備え、上記血管構造は、血管奇形を含む。さらに、上記血管構造の三次元画像データを提供するステップ(ステップS2)および上記三次元画像データを変換二次元画像データに変換するステップ(ステップS3)も含まれる。さらに、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとが重ね合わせられて、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとの間の対応関係が計算されることによって、上記二次元X線画像データと上記三次元画像データとの間のコレジストレーションを決定/実現する(ステップS4)。さらに、上記コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて上記血管奇形を判断するステップ(ステップS5)と、上記コレジストレーションがなされた二次元X線画像データの上記判断された血管奇形に基づいて、上記血管奇形の三次元表示を計算するステップ(ステップS6)とが上記方法によって含まれる。
【0027】
このコンピュータによって実現される医用方法は、たとえばソフトウェアとして実現されてもよく、このソフトウェアに基づいて、医用画像分析システムは、たとえばAVMのような血管奇形の三次元表示を計算してもよい。
【0028】
二次元X線画像データは、外部エンティティ(たとえば、コンピュータ、ネットワークまたは医用画像記憶システム)から検索されてもよく、または本発明の実施形態の一部としてのX線画像化装置によって取得されてもよい。X線画像は、患者の血管構造を示し、これらの画像は、患者の血管構造内に造影剤を塗布している間に生成される。さらに、提供された二次元X線画像は、患者の血管構造の血管奇形も示す。さらに、三次元画像データも、外部エンティティ(たとえば、コンピュータ、ネットワークまたは医用画像記憶システム)から検索されてもよく、または本発明の実施形態の一部としてのX線画像化装置によって取得されてもよい。当業者に明らかであるように、提供された二次元および三次元画像データは、同一の患者の同一の血管構造を示す。
【0029】
両方のソースの画像を適正に重ね合わせることができるように、提供された三次元画像データが最初に二次元画像データに変換される。後続のステップにおいて、二次元X線画像データと変換二次元画像データとが重ね合わせられ、重ね合わせは、グラフィカルな態様で行われてもよく、または上記2つの異なる二次元画像データ間の対応関係または類似性の程度または値を計算することによって行われてもよい。したがって、本発明の方法では、二次元X線画像データと変換二次元画像データとの間の対応関係が計算される。この対応関係は、画像データのそれぞれの表示間のグラフィカル比較に基づいて計算されてもよいが、たとえば二次元画像データセットの濃淡値同士の間の画素単位または画素に基づく類似性を計算することによって行われてもよい。これらの画像データを重ね合わせて対応関係を計算することによって、二次元X線画像データと三次元画像データとの間のコレジストレーションが効果的に計算/実現される。本開示から当業者に明らかであるように、二次元X線画像データおよび三次元画像データは、このようにして1つの座標系に変換される。
【0030】
さらに、本発明によって、二次元および三次元画像のコレジストレーションは、フレームレスの態様で行われる。したがって、二次元X線画像データと三次元画像データとの間のコレジストレーションを決定するステップは、フレームレス画像レジストレーションとして実行可能であり、および/または、実行される。したがって、本発明では、頭蓋骨の外側にあるローカライザとは対照的に、フレームを取り付ける必要がなく、追加フレームを取得する必要がなく、痛みが生じることがなく、臨床上の負荷、コストおよび時間の削減が実現され、脳内の画像情報に基づいたより正確なレジストレーションが提供される。
【0031】
上記のように、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて血管奇形を判断するステップは、自動的に実行されてもよく、ユーザ入力を部分的に伴って半自動的に実行されてもよく、または純粋に手動で実行されてもよい。
【0032】
たとえば、血管奇形の完全に自動化された判断に関して、機械学習アルゴリズムを使用して、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて血管奇形を自動的に識別してもよい。このようなアルゴリズムは、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データ内の特定の領域を血管奇形に属しているとして分類する人工知能(AI)モジュールによって実行されてもよい。したがって、結果として、血管構造の残りの領域は、血管奇形に属していないであろう。二次元X線画像データにおいて画像化される血管構造のさまざまな部分のこのような自動分類の結果は、たとえば画像における輪郭および/または外形および/または境界であってもよい。したがって、輪郭および/または外形および/または境界は、方法のさらなるステップで血管奇形として使用することができる定められた領域である。
【0033】
しかし、別の実施形態では、コレジストレーションがなされた二次元X線画像における血管奇形の純粋にユーザに基づく判断が使用されてもよい。たとえば、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データは、コンピュータディスプレイ上でユーザに対して表示されてもよく、それにより、ユーザは、血管奇形のたとえば輪郭および/または外形および/または境界を規定してもよい。たとえば、ユーザは、タッチセンシティブディスプレイ上で輪郭および/または外形および/または境界を描いてもよく、この輪郭および/または外形および/または境界は、その後、コンピュータおよび対応するコンピュータによって実現される方法によってユーザ入力データとして受信される。このような輪郭取りの実施形態のさらなる詳細については、
図6に示される例示的な実施形態の文脈において以下で説明する。
【0034】
そして、上記判断された血管奇形に基づく血管奇形の三次元表示の計算は、医師および/またはコンピュータによってさらなる処理に有益に使用できるという結果につながる。コレジストレーションがなされた二次元X線画像データおよび三次元画像データにより、血管奇形の表示は、三次元座標系において計算することができる。このような計算の非常に詳細な具体的な実施形態は、
図7および
図8に記載されている実施形態の文脈において示される。さらに、結果として生じる三次元オブジェクト、すなわち血管奇形の三次元表示は、ユーザに対して表示されてもよい。また、それは、たとえば手術ロボットのような装置に、または血管奇形を自動的に切除もしくは照射するための放射線療法/放射線手術装置に、データの形式で送られてもよい。
【0035】
しかし、血管奇形の三次元表示を求めるために他の計算方法も使用されてもよい。たとえば、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて血管奇形がコンピュータアルゴリズムによって自動的に判断される場合、コンピュータは、判断された血管奇形に基づいて、および血管構造の提供された三次元画像データに基づいて、三次元形状を推定してもよい。このような推定は、三次元データセットに含まれるデータに基づいて、血管奇形の三次元表示がどのように見え得るかを計算してもよい。たとえば、
図6に示される実施形態におけるユーザ入力によって受信される血管奇形の輪郭は、自動的にまたはユーザによって規定される回転軸を中心として輪郭を回転させることによって、計算上の方法で三次元オブジェクトに拡張または補完されてもよい。しかし、血管奇形の三次元表示を計算する他のより正確な方法については以下で詳述する。
【0036】
本発明の例示的な実施形態に従って、上記二次元X線画像データは、二次元デジタルサブトラクション血管造影(DSA)画像データであり、上記血管構造の上記三次元画像データは、磁気共鳴画像データ、たとえばT1、T2もしくはMRA画像データ、CTA画像データ、三次元DSA画像データ、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0037】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記三次元画像データを変換二次元画像データに変換するステップ(ステップS3)は、投影像を計算することによって、および/または、再構成を計算することによって行われる。投影像の例示的な実施形態は、三次元画像データの最大値投影像(MIP)を計算することである。再構成を計算することの例示的な実施形態は、三次元画像データのデジタル再構成ラジオグラフィ(DRR)を計算することである。
【0038】
最大値投影法(MIP)は、視点から投影面までたどられる光線(たとえば、平行光線または透視光線)の行く手を塞ぐように位置する、最大強度を有するボクセルを視覚化面において投影する三次元データのための方法である。たとえば、MIPは、通常、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを使用する肺がんスクリーニングプログラムでの肺小結節の検出に使用される。MIPは、三次元画像化データにおいて画像化される構造の三次元性を強調する。MIPは、当業者に周知である。
【0039】
さらに、デジタル再構成ラジオグラフ(DRR)は、コンピュータ断層撮影(CT)データから作成される従来の二次元X線画像のシミュレーションである。ラジオグラフまたは従来のX線画像は、所与の軸に沿った身体を貫通する全X線吸収の単一の二次元表示である。DRRも当業者に周知である。
【0040】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとを重ね合わせるステップ中に自動最適化が行われる。言い換えれば、自動最適化は、重ね合わせるステップのために行われる。
【0041】
特に、上記三次元画像データの上記変換二次元画像データへの上記変換は、変換パラメータセットを使用する。さらに、上記二次元X線画像と上記変換二次元画像データとを重ね合わせるステップは、上記変換パラメータを自動的に最適化することによって、複数の変換パラメータセットについて上記二次元X線画像と上記それぞれの変換二次元画像データとの間の画像対応関係の程度を最適化するステップを備える。
【0042】
言い換えれば、反復最適化プロセスを使用することができ、この反復最適化プロセスについては以下でさらに詳細に説明する。変換パラメータの初期値に基づいて、第1の変換が行われて、第1の変換二次元画像データを生じさせる。第1の変換二次元画像データと提供された二次元X線画像データとの間の画像対応関係の程度を最適化するために、たとえば画素単位で、または画素に基づいて、または領域単位で、たとえば濃淡値に基づいて、二次元画像データを比較する画像比較がたとえば行われてもよい。このようにして、2つの二次元画像データ間の対応関係の第1の値が計算されてもよい。さらに、最適化の2回目の繰り返しにおいて、変換パラメータの適合値を使用して、第2の変換二次元画像データを作成してもよく、この第2の変換二次元画像データは、次いで、提供された二次元X線画像データと画素単位または領域単位で再び比較され得る。また、この画像比較のために、画像対応関係の第2の値が計算されてもよい。そして、第1の値および第2の値のうちのいずれが高いかが、コンピュータによって実現される医用方法によって判断されてもよく、それによって、2つの二次元画像データ間のより高い対応関係が示される。したがって、より高い度合いの画像対応関係を生じさせる対応する変換パラメータをさらなる手順のために選択することができる。たとえば3回目の繰り返し、4回目の繰り返し、5回目の繰り返しおよび6回目の繰り返しなどのような、最適化のさらなる後続の繰り返しにおいて、変換パラメータのさらなる適合を行って、それぞれに生成された二次元変換画像データと提供された二次元X線画像データとの間の高い度合いの画像対応関係を生じさせる最適な変換パラメータに達することができる。
【0043】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、最適化される上記変換パラメータセットは、投影パラメータ(たとえば、MIPパラメータ)および/または再構成パラメータ(たとえば、DRRパラメータ)である。
【0044】
これらのMIPパラメータおよび/またはDRRパラメータの初期値は、二次元X線画像データの画像取得パラメータに基づいて決定または選択されてもよい。このような画像取得パラメータ、すなわち上記MIPパラメータおよび/またはDRRパラメータは、2つ以上の翻訳パラメータ、3つの回転パラメータ、スケーリングパラメータ、および/または焦点距離であってもよい。ある実施形態では、上記パラメータは、4×4行列、すなわち射影行列で符号化される。
【0045】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、最適化プロセスの初期化は、ユーザ入力によって、または変換パラメータの初期値を自動的に提案することによって、行われる。
【0046】
詳細には、例示的な実施形態では、上記方法は、上記最適化のための上記変換パラメータの初期値についてのユーザ入力を、たとえばグラフィカルユーザインターフェイスを介して受信するステップを備える。その例示的な非常に具体的な実施形態については、
図5に示される実施形態の文脈において説明する。ユーザは、たとえばコンピュータのディスプレイ上で、ディスプレイ上に表示された二次元X線画像データに対して、表示された変換二次元画像データを移動させるかまたは位置決めしてもよく、これは、初期変換パラメータを規定し得て、この初期変換パラメータから最適化プロセスが開始する。次いで、最適化が自動的に行われてもよい。
【0047】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、グラフィカルユーザインターフェイスを介したユーザ入力は、表示された二次元X線画像データの画像面内で表示された変換二次元画像データをシフトまたは変位させることによって受信される。上記のように、その非常に具体的な詳細な実施形態については、
図5の文脈において以下で説明する。
【0048】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記方法は、上記二次元X線画像データの画像取得パラメータに基づいて、上記最適化のための上記変換パラメータの初期値を提案するステップをさらに備える。
【0049】
このような提案は、コンピュータによって実現される医用方法によって自動的に計算されてもよい。二次元X線画像データ(たとえば、二次元DSA画像データ)の画像取得パラメータは、コンピュータによって実現される医用方法を実行するコンピュータに提供されてもよい。この自動的な提案は、変換パラメータの初期値に関するユーザ入力についての上記の実施形態と組み合わせられてもよい。
【0050】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、二次元X線画像データの画像取得パラメータは、2つ以上の翻訳パラメータ、3つの回転パラメータ、スケーリングパラメータ、および焦点距離のうちの少なくとも1つである。
【0051】
画像取得パラメータは、特にそれぞれの座標系における2つの画像化モダリティ、すなわち二次元X線画像および三次元画像内の患者の相対的位置を表してもよい。これらの座標系は、X線管にもしくはX線管に対して、および/または、(上記方法のために三次元画像を生成する装置の一例としての)MRスキャナ内で、たとえば患者台にもしくは患者台に対して、向けられるかまたは整列されてもよい。
【0052】
なお、特に好ましい実施形態では、スケーリングパラメータは、焦点距離に基づいて計算され、この焦点距離は、既知であり、本発明の医用方法を計算または実行するコンピュータに提供される。
【0053】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、画像に示される上記血管構造は、人間の脳の一部であり、上記方法は、上記三次元画像データおよび/または上記変換二次元画像データから上記人間の脳の少なくとも1つの部分をセグメント化するさらなるステップをさらに備える。さらに、上記人間の脳の上記少なくとも1つのセグメント化された部分のみが、ステップS4において上記二次元X線画像データと重ね合わせられる。
【0054】
言い換えれば、いわゆる脳マスク、すなわち注目領域(ROI)が適用され、これは、計算および/または表示の目的で、注目の臓器または組織(たとえば、血管)への縮小が適用されることを事実上意味する。したがって、たとえば頭蓋骨はさらなる手順では使用されない。この手順は、段階的に行われてもよい。第1のステップにおいて、脳全体のみがROIとして選択され、第2のステップにおいて、脳の血管構造のみが第2のROIとして選択され、第3のステップにおいて、脳の血管構造全体のうちの一部のみが第3のROIとして選択されてもよい。
図4に示される実施形態では、このようなROI選択は、ノブ44を有するソフトウェアで行うことができる。明らかに、これは、ここで説明する概念の一実施形態に過ぎない。したがって、元のデータセットからセグメント化された、提供された三次元画像データからの画像データのサブセット、すなわち一部のみが、提示されている方法におけるさらなる手順で使用される。なお、セグメント化ステップは、好ましくは三次元画像データ上で行われ、変換二次元画像データはそれほど好ましくない。本発明のこのセグメント化局面についても、
図4の実施形態についての説明とともに図示して説明する。
【0055】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記人間の脳の上記少なくとも1つのセグメント化された部分のみが上記二次元X線画像とともに上記ユーザに表示される。
【0056】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記奇形は、動静脈奇形(AVM)であり、上記二次元X線画像データは、上記血管構造および分布状態における上記造影剤の分布を画像化することにより、上記AVMへの動脈流入と上記AVMからの静脈流出との区別を可能にする。
【0057】
コンピュータによって実現される医用方法を動静脈奇形、特に人間の脳の血管構造に適用することは、本発明の好ましい適用例のうちの1つとして見ることができる。さらに、二次元X線画像データは、血管構造内の造影剤の分布の進展の時系列が特定の期間にわたって画像化される二次元DSA画像として具体化されてもよい。ユーザまたはソフトウェア/コンピュータは、これらのDSAシーケンスから1つ以上の画像を選択してもよく、これらのDSAシーケンスは、画像化された血管構造と、造影剤が既に動脈流入チャネルを通ってAVMの中に入っているがまだ静脈流出チャネルを通ってAVMから出ていない分布状態における造影剤とを示す。時系列からこのような二次元X線画像を選択することによって、提示されている方法の結果として計算された血管奇形の三次元表示が、少なくとも大方の場合、AVMの動脈流入部のみを含むが、有利なことに、AVMの静脈流出部を含まない、ということが保証される。
【0058】
これは、たとえば手術、放射線療法または放射線手術によって血管構造に適用される医療手順のための対象オブジェクトとして望ましいので、医師は、患者から血管組織を切除するためにこの計算された三次元表示に依拠してもよい。言い換えれば、この実施形態は、ユーザが二次元X線画像、たとえば二次元DSA画像内で動脈流入と静脈流出との明確な区別を可能にすることから恩恵を受けるという利点を伴う。そして、結果として生じるAVMの三次元オブジェクトは、動脈構造のみを有し得て、これは、本発明の血管奇形の計算された三次元表示が使用される動脈構造のみの適切な手術/放射線療法/放射線手術治療を容易にする。
【0059】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記二次元X線画像データは、上記血管構造における上記造影剤の上記分布の時系列を示す複数の画像であり、上記方法はさらに、上記AVMへの上記動脈流入と上記AVMからの上記静脈流出との上記区別に関して最適な画像を上記複数の画像から識別するステップを備える。
【0060】
上記のように、このような最適な画像の識別は、表示された時系列をブラウズするユーザによって行われてもよく、ユーザは、所望の目的で最適な画像を選択してもよい。しかし、これは、自動的に、たとえばAVMへの動脈流入とAVMからの静脈流出との区別をどのようにして適正に可能にするかに関して時系列の画像を分類する機械学習アルゴリズムまたは人工知能(AI)モジュールによって行われてもよい。
【0061】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記方法は、上記識別された最適な画像が生成された時点までの、上記造影剤の上記分布の上記時系列を示す上記複数の画像のうちの全ての画像を合計するステップをさらに備える。
【0062】
選択された「最適な画像」までの複数の画像のうちの一部または全ての画像を合計するステップは、血管奇形の動脈流入部と静脈流出部との間の光学的差異をさらに強調する。これは、コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおける血管構造の信頼できる正確な判断をさらに容易にするため、結果として生じる三次元オブジェクト、すなわち血管奇形/構造の三次元表示をさらに向上させる。1つのさらなる実施形態では、合計は、加重総和として行うこともできる。
【0063】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、データを重ね合わせるステップを実行するための「最適な画像」も、上記複数の画像から識別される。したがって、上記2つの画像化モダリティの画像同士を融合するための最適な画像を提供することができる。
【0064】
特に、重ね合わせるステップ、したがってコレジストレーションを行うステップが有望であると思われる画像が選択されてもよい。これは、自動的に行われてもよく、半自動的に行われてもよく、または純粋にユーザによって手動で行われてもよい。
【0065】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記方法は、上記方法においてさらに使用するために上記血管構造の上記提供された三次元画像データの一部を選択するステップをさらに備える。上記選択は、自動的に、たとえばユーザ入力なしの自動セグメント化によって、またはユーザ入力と組み合わせた自動アトラス(ATLAS)セグメント化によって、または純粋に受信されたユーザ入力に基づいて、行われる。
【0066】
言い換えれば、この実施形態では、提供された三次元画像データ全体が、変換するステップS3および/または重ね合わせるステップS4で使用されるわけではない。元の三次元データセットの選択された部分のみが使用され、使用される部分を選択する3つの異なる方法が提示される。
図4に示される例示的な実施形態では、注目領域(ROI)が適用されることが分かる。その後、右頚動脈のみがユーザに表示される。このような選択は、たとえばソフトウェアのアトラスセグメント化メニューを介してユーザによって行われてもよく、このアトラスセグメント化メニューでは、ユーザは、画像に示されている身体のセグメント化された部分のうちの、限定的に表示したかった部分を選択し得る。したがって、この例では、右頚動脈および関連の血管構造のみが、後に、
図4の例示的な実施形態に示される二次元DSA画像と重ね合わせられる。
【0067】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて上記血管奇形を判断するステップは、上記二次元X線画像データにおいて上記血管奇形を輪郭取りするステップを備える。さらに、上記血管奇形の上記三次元表示は、上記輪郭取りするステップ中に受信される上記二次元X線画像データにおける上記血管奇形の輪郭に基づいて計算される。
【0068】
したがって、コレジストレーションがなされた二次元X線画像において血管奇形を判断するステップは、二次元X線画像において血管奇形のたとえばグラフィカルな輪郭または境界を規定することによって画像の領域を選択する際に見られてもよい。輪郭取りするステップは、さまざまな異なる方法で実行されてもよい。たとえば、輪郭取りは、ユーザがコレジストレーションがなされた二次元X線画像の所望の外形をグラフィカルユーザインターフェイス上に描くことによって行われてもよい。しかし、輪郭取りは、グラフィカルでない態様で、単にたとえば血管奇形の境界を表示していると考えられる二次元X線画像における画素を計算上の方法で識別する機械学習アルゴリズムによって、血管奇形の外形を計算することによって行われてもよい。
【0069】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記方法は、上記二次元X線画像データにおける上記血管奇形の輪郭に関連付けられたユーザ入力を受信するステップをさらに備える。
【0070】
たとえば
図6に示される実施形態に図示されているように、外形は、表示された二次元X線画像上に描かれてもよい。この点において、上記方法は、高解像度の二次元X線画像の恩恵を受け、1つの血管を明確に区別するというメリットの恩恵を受けるため、奇形の輪郭を選択するための血管構造についての高度な詳細を提供する。上記のように、この解像度が高いというメリットおよび血管奇形の動脈流入と静脈流出とを光学的に区別できるというメリットは、次いで、血管奇形の三次元表示を計算することによって三次元データセットに転写される。コレジストレーションがなされた二次元X線画像データおよび三次元画像データにより、血管奇形の表示を三次元座標系において計算することができる。したがって、二次元X線画像データに示される基本となる血管構造を非常に精密に考慮に入れる血管奇形の三次元オブジェクトを生成することができる。
【0071】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記提供された二次元X線画像データは、少なくとも、上記血管構造の第1および第2の二次元X線画像であり、上記第1の画像は、上記第2の画像と比較して異なる取得パラメータ、たとえば別の取得角度で取得されたものである。さらに、本明細書に提示されている方法は、上記第1および上記第2の二次元X線画像について行われる。
【0072】
血管構造の少なくとも2つ以上の二次元X線画像を使用するこの実施形態は、血管奇形の三次元表示の特定の計算を可能にする。
図7に示されるより具体的な詳細な実施形態の例から明らかになるように、たとえば異なる角度の好ましい実施形態のような異なる画像取得パラメータの2つのX線画像におけるこのような輪郭取りは、受信された上記2つの異なる輪郭に基づいて血管奇形の三次元表示を推定することによって計算することを可能にする。特に、
図7に示される患者の脳の2つの異なるDSA画像を使用することができる。
【0073】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記二次元X線画像データは、二次元デジタルサブトラクション血管造影画像データであり、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとを重ね合わせるステップは、第1および第2のDSA画像を用いて行われる。このような実施形態は、たとえば
図7および
図8の実施形態に見ることができる。上記第1のDSA画像は、上記第2のDSA画像と比較して異なる取得パラメータ、たとえば別の画像化角度で取得されたものである。さらに、たとえば
図7に示される左図および
図7に示される右図から推測できるように、上記第1および第2のDSA画像は、上記同一の三次元画像データからの変換二次元画像データと重ね合わせられて、第1および第2のオーバーレイを生じさせる。この実施形態に係る方法はさらに、上記第1および第2の二次元X線画像データをユーザインターフェイス上に表示するステップを備える。これらの画像を表示するためにコンピュータの画面が使用されてもよい。上記ユーザインターフェイスを介して第1および第2の輪郭取り入力を受信するステップが、上記方法のさらなるステップとして含まれる。上記第1の輪郭取り入力は、上記第1の二次元X線画像データにおける上記血管奇形の第1の外形/境界を表す。さらに、上記第2の輪郭取り入力は、上記第2の二次元X線画像データにおける上記血管奇形の第2の外形/境界を表す。上記方法はさらに、上記第1の輪郭取り入力を介して受信された上記第1の外形に基づいて第1の三次元オブジェクトを計算するステップと、第2の輪郭取り入力として受信された上記第2の外形に基づいて第2の三次元オブジェクトを計算するステップを備える。さらに、上記方法は、上記第1および第2の三次元オブジェクトを計算上の方法で交差させることによって、上記血管奇形の上記三次元表示を計算するステップを備える。たとえば
図7の実施形態の左側のDSA画像および右側のDSA画像における受信された輪郭に基づいて、
図8に示される血管奇形の三次元表示をこの実施形態の方法によって計算することができる。
【0074】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、上記方法は、上記血管奇形の上記計算された三次元表示の、テクスチャに基づく画像分析を行うステップと、上記テクスチャに基づく画像分析の結果を使用して上記血管奇形の上記計算された三次元表示をさらに正確にするステップとをさらに備える。
【0075】
なお、本発明の文脈において、三次元データセットにおける「テクスチャ」という表現は、ボクセルに基づく、すなわち強度に基づく分析として理解される。この分析は、三次元画像データ内の開始点の隣接する画像領域において行われてもよい。当業者によって理解されるように、本発明の文脈において使用される「テクスチャ」は、計算された三次元表示の表面パラメータとは関係がない。したがって、テクスチャに基づく画像分析は、画像コントラストの値の差異または三次元データセット内の濃淡値の差異を識別する。言い換えれば、計算された三次元表示のテクスチャに基づく画像分析は、ボクセル、またはグループ、またはボクセルもしくはボクセルおよびその近傍、すなわち周囲の領域の粒度または粒状性を識別する。
【0076】
代替的に、濃淡値の予め定められた閾値を上回るボクセルおよび下回るボクセルを全て分類するという意味において、濃淡値の閾値化が画像分析として行われてもよい。
【0077】
本発明の別の局面に従って、コンピュータ上で実行されると、またはコンピュータにロードされると、上記コンピュータに先行する実施形態または局面のいずれか1つに記載の方法の方法ステップを実行させるプログラム、
ならびに/または、上記プログラムが格納されるプログラム記憶媒体、
ならびに/または、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリおよび/もしくは上記プログラム記憶媒体を備えるコンピュータであって、上記プログラムは、上記コンピュータ上で実行されるか、もしくは上記コンピュータの上記メモリにロードされる、コンピュータ、
ならびに/または、上記プログラムを表す情報を搬送する信号波またはデジタル信号波、
ならびに/または、上記プログラムを表すデータストリーム、が提示される。
【0078】
たとえばディスクのような装置に格納されるコンピュータプログラムは、データファイルであり、ファイルは、読み出されて送信されると、たとえば(物理的な、たとえば電気的な、たとえば技術的に生成された)信号の形式のデータストリームになる。この信号は、本明細書に記載されている信号波として実現され得る。たとえば、信号および/または信号波は、コンピュータネットワーク、たとえばLAN、WLAN、WAN、たとえばインターネットを介して送信されるように構成される。したがって、この局面に係る発明は、代替的にまたは追加的に、上記のプログラムを表すデータストリームに関連していてもよい。
【0079】
本発明の別の局面に従って、医用画像分析システムは、上記の局面に記載のコンピュータを備える。
【0080】
本発明の別の局面に従って、血管奇形、特に動静脈奇形(AVM)に治療ビームを照射するための放射線療法治療システムが提示され、上記放射線療法治療システムは、
上記の局面に記載の医用画像分析システムと、
治療ビーム源および患者支持ユニットを備える放射線治療装置とを備え、
上記コンピュータは、上記放射線治療装置に動作可能に結合され、上記治療ビーム源の動作または上記患者支持ユニットの位置のうちの少なくとも1つを制御するための制御信号を上記放射線治療装置に発行する。
【0081】
定義
このセクションでは、本開示で使用される特定の専門用語の定義が提供され、これらの定義も本開示の一部を構成する。
【0082】
コンピュータによって実現される方法
本発明に係る方法は、たとえばコンピュータによって実現される方法である。たとえば、本発明に係る方法の全てのステップまたはステップのうちのほんの一部(すなわち、ステップの総数未満)は、コンピュータ(たとえば、少なくとも1つのコンピュータ)によって実行することができる。コンピュータによって実現される方法の実施形態は、データ処理方法を実行するためのコンピュータの使用である。コンピュータによって実現される方法の実施形態は、コンピュータが方法の1つのステップ、それ以上のステップ、または全てのステップを実行するように動作されるようなコンピュータの動作に関する方法である。
【0083】
コンピュータは、たとえば電子的におよび/または光学的にデータを(技術的に)処理するために、たとえば少なくとも1つのプロセッサと、たとえば少なくとも1つのメモリとを備える。プロセッサは、たとえば、半導体(たとえば少なくとも部分的にnおよび/またはpドープされた半導体、たとえばII-半導体材料、III-半導体材料、IV-半導体材料、V-半導体材料、VI-半導体材料のうちの少なくとも1つ、たとえば(ドープされた)シリコンおよび/またはヒ化ガリウム)である物質または組成物でできている。記載されている計算するステップまたは求めるステップは、たとえばコンピュータによって実行される。求めるステップまたは計算するステップは、たとえば、技術的な方法の枠内で(たとえば、プログラムの枠内で)データを求めるステップである。コンピュータは、たとえば、任意の種類のデータ処理装置(たとえば、電子データ処理装置)である。コンピュータは、そのようなものとして一般に思い付く装置(たとえば、デスクトップPC、ノートブック、ネットブックなど)であってもよいが、たとえば携帯電話または組込みプロセッサなどの任意のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータは、たとえば、「サブコンピュータ」のシステム(ネットワーク)を備えてもよく、各サブコンピュータは、それ自体がコンピュータである。「コンピュータ」という表現は、クラウドコンピュータ(たとえば、クラウドサーバ)を含む。「クラウドコンピュータ」という表現は、たとえば少なくとも1つのクラウドコンピュータのシステムと、たとえばサーバファームなどの複数の動作可能に相互接続されたクラウドコンピュータとを備えるクラウドコンピュータシステムを含む。このようなクラウドコンピュータは、好ましくは、ワールドワイドウェブ(WWW)などのワイドエリアネットワークに接続され、全てがワールドワイドウェブに接続されたいわゆるコンピュータのクラウド内に位置している。このようなインフラストラクチャは、特定のサービスを提供するコンピュータの物理的位置および/または構成をエンドユーザが知らなくてもよい、計算、ソフトウェア、データアクセスおよびストレージサービスを表す「クラウドコンピューティング」で使用される。たとえば、この点において、「クラウド」という表現は、インターネット(ワールドワイドウェブ)の隠喩として使用される。たとえば、クラウドは、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS)を計算することを提供する。クラウドコンピュータは、本発明の方法を実行するために使用されるオペレーティングシステムおよび/またはデータ処理アプリケーションのための仮想ホストとして機能することができる。クラウドコンピュータは、たとえば、アマゾンウェブサービス(登録商標)によって提供されるエラスティック・コンピュート・クラウド(EC2)である。コンピュータは、たとえば、データを受信もしくは出力するため、および/または、アナログデジタル変換を行うために、インターフェイスを備える。データは、たとえば、物理的特性を表す、および/または、技術的な信号から生成されるデータである。技術的な信号は、たとえば(技術的な)検出装置(たとえば、マーカー装置を検出するための装置など)および/または(技術的な)分析装置(たとえば、(医用)画像化方法を実行するための装置など)によって生成され、技術的な信号は、たとえば電気信号または光信号である。技術的な信号は、たとえば、コンピュータによって受信または出力されるデータを表す。コンピュータは、好ましくは、コンピュータによって出力された情報をたとえばユーザに対して表示することを可能にする表示装置に動作可能に結合される。表示装置の一例は、ナビゲーション用の「ゴーグル」として使用できる仮想現実装置または拡張現実装置(仮想現実眼鏡または拡張現実眼鏡とも称される)である。このような拡張現実眼鏡の具体例は、グーグルグラス(グーグル社の商標)である。拡張現実装置または仮想現実装置は、ユーザ対話によって情報をコンピュータに入力することにも、コンピュータによって出力された情報を表示することにも使用できる。表示装置の別の例は、たとえば液晶ディスプレイを備える標準的なコンピュータモニタであり、このコンピュータモニタは、コンピュータに動作可能に結合されて、画像情報内容を表示装置上に表示するために使用される信号を生成するための表示制御データをコンピュータから受信する。このようなコンピュータモニタの具体的な実施形態は、デジタルライトボックスである。このようなデジタルライトボックスの一例は、ブレインラボ社の製品であるBuzz(登録商標)である。また、モニタは、スマートフォンまたはパーソナルデジタルアシスタントまたはデジタルメディアプレーヤなどの携帯型の(たとえば、手持ち式の)装置のモニタであってもよい。
【0084】
また、本発明は、コンピュータ上で実行されると、本明細書に記載されている方法ステップのうちの1つ以上または全てをコンピュータに実行させるプログラム、および/または、(特に、非一時的な形式で)プログラムが格納されるプログラム記憶媒体、および/または、上記プログラム記憶媒体を備えるコンピュータ、および/または、たとえば本明細書に記載されている方法ステップのうちのいずれかまたは全てを実行するように適合されたコード手段を備えるプログラム(たとえば、上記のプログラム)を表す情報を搬送する、(物理的な、例えば電気的な、たとえば技術的に生成された)信号波、たとえばデジタル信号波に関する。
【0085】
本発明の枠内で、コンピュータプログラム要素は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(これは、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって具体化することができる。本発明の枠内で、コンピュータプログラム要素は、コンピュータ使用可能な(たとえば、コンピュータ読取可能な)データ記憶媒体によって具体化することができるコンピュータプログラム製品の形式を取ってもよく、このデータ記憶媒体は、命令実行システムでの使用のためにまたは命令実行システムと関連付けて上記データ記憶媒体において具体化されるコンピュータ使用可能な(たとえば、コンピュータ読取可能な)プログラム命令、「コード」または「コンピュータプログラム」を備える。このようなシステムは、コンピュータであってもよく、コンピュータは、本発明に係るコンピュータプログラム要素および/またはプログラムを実行するための手段を備えるデータ処理装置(たとえば、コンピュータプログラム要素を実行するデジタルプロセッサ(中央処理装置またはCPU)と、任意にコンピュータプログラム要素を実行するために使用されるデータおよび/またはコンピュータプログラム要素を実行することによって生成されるデータを格納するための揮発性メモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリまたはRAM)とを備えるデータ処理装置)であってもよい。本発明の枠内で、コンピュータ使用可能な(たとえば、コンピュータ読取可能な)データ記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスでの使用のためにまたは命令実行システム、装置またはデバイスと関連付けてプログラムを含有、格納、通信、伝搬または伝送することができる任意のデータ記憶媒体であってもよい。コンピュータ使用可能な(たとえば、コンピュータ読取可能な)データ記憶媒体は、たとえば、電子、磁気、光学式、電磁気、赤外線または半導体システム、装置またはデバイス、またはたとえばインターネットなどの伝搬媒体であり得るが、これらに限定されるものではない。さらに、コンピュータ使用可能なまたはコンピュータ読取可能なデータ記憶媒体は、たとえば、プログラムが印刷された紙または他の好適な媒体であってもよい。なぜなら、プログラムは、たとえば紙または他の好適な媒体を光学的にスキャンすることによって電子的に取り込むことができ、次いで、好適な態様で編集、解釈または他の処理を行うことができるからである。データ記憶媒体は、好ましくは、不揮発性データ記憶媒体である。コンピュータプログラム製品ならびに本明細書に記載されているいかなるソフトウェアおよび/またはハードウェアも、例示的な実施形態において本発明の機能を実行するためのさまざまな手段を構成する。コンピュータおよび/またはデータ処理装置は、たとえば、ガイダンス情報を出力するための手段を含むガイダンス情報装置を含み得る。ガイダンス情報は、視覚的表示手段(たとえば、モニタおよび/またはランプ)によって視覚的に、および/または、聴覚的表示手段(たとえば、スピーカおよび/またはデジタル音声出力装置)によって聴覚的に、および/または、触知的表示手段(たとえば、振動要素または機器に組み込まれた振動要素)によって触知的に、たとえばユーザに対して出力されてもよい。本文献の目的のために、コンピュータは、たとえば、技術的な、たとえば有形の構成要素(たとえば、機械的および/または電子的な構成要素)を備える技術的なコンピュータである。本文献においてこのようなものとして記載されているいかなる装置も、技術的な、たとえば有形の装置である。
【0086】
データを提供する
本開示によれば、データを提供するという表現とデータを検索するという表現とは同義で使用される。「データを提供する」または「データを検索する」という表現は、たとえば、コンピュータによって実現される方法またはプログラムによってデータが求められるシナリオを(コンピュータによって実現される方法の枠内に)包含する。しかし、それは、たとえばユーザ入力を介してデータを受信すること、および/または、データ記憶装置からデータを検索することも含む。
【0087】
データを求めることは、たとえば物理量を測定して、測定された値をデータ(たとえば、デジタルデータ)に変換すること、および/または、コンピュータによってデータを計算(および、たとえば出力)することを、たとえば本発明に係る方法の枠内に包含する。「データを提供する」ことの意味は、たとえば、たとえばコンピュータによって実現される方法またはプログラムによるさらなる処理のために、たとえば別のプログラム、上記の方法ステップまたはデータ記憶媒体から、コンピュータによって実現される方法またはプログラムによってデータが受信または検索される(たとえば、コンピュータによって実現される方法またはプログラムに入力される)シナリオも包含する。しかし、取得すべきデータの生成は、本発明に係る方法の一部でなくてもよい。したがって、「データを提供する」という表現は、たとえばデータの受信を待つこと、および/または、データを受信することも意味し得る。受信したデータは、たとえばインターフェイスを介して入力され得る。「データを提供する」という表現は、コンピュータによって実現される方法またはプログラムが、データソース、たとえばデータ記憶媒体(たとえば、ROM、RAM、データベース、ハードドライブなど)から、またはインターフェイスを介して(たとえば、別のコンピュータまたはネットワークから)データを(積極的に)受信または検索するためにステップを実行することも意味し得る。開示されている方法または装置によって提供されるデータは、それぞれ、データ記憶媒体に位置するデータベースから取得されてもよく、データ記憶装置は、コンピュータに動作可能にされて、データベースとコンピュータとの間で(たとえば、データベースからコンピュータへの)データ転送を行う。コンピュータは、データを求めるステップのための入力として使用されるデータを取得する。求められたデータは、同一のまたは別のデータベースに再び出力されて、その後の使用に備えて格納され得る。上記のデータベースまたは開示されている方法を実現するために使用されるデータベースは、ネットワークデータ記憶装置もしくはネットワークサーバ(たとえば、クラウドデータ記憶装置もしくはクラウドサーバ)に位置してもよく、またはローカルデータ記憶装置(開示されている方法を実行する少なくとも1つのコンピュータに動作可能に接続された大容量記憶装置など)に位置してもよい。データは、提供するステップの前に追加のステップを実行することによって、「使用できる状態」にすることができる。この追加のステップに従って、データは、取得されることを目的として生成される。たとえば、データは、(たとえば、分析装置によって)検出または取り込まれる。代替的にまたは追加的に、データは、追加のステップに従って、たとえばインターフェイスを介して入力される。たとえば、生成されたデータは、(たとえば、コンピュータに)入力されてもよい。(提供するステップに先立つ)追加のステップに従って、データは、データ記憶媒体(たとえば、ROM、RAM、CDおよび/またはハードドライブなど)にデータを格納する追加のステップを実行することによっても提供可能であり、それによって、本発明に係る方法またはプログラムの枠内でデータは使用できる状態になる。したがって、「データを提供する」ステップは、取得すべきデータを得るおよび/または提供するように装置に命令することも含み得る。特に、提供するステップは、身体との実質的な物理的干渉になるであろう侵襲性のステップを含まない。この侵襲性のステップは、実行するのに医学の専門知識を必要とし、必要な専門的治療および知識をもって実行したとしても実質的な健康上のリスクを伴う。特に、データを提供する(たとえば、データを求める)ステップは、手術ステップを含まず、特に手術または療法を使用して人間または動物の体を治療するステップを含まない。この方法によって使用されるさまざまなデータを区別するために、データは、「XYデータ」などと表記され(すなわち、称され)、それらが表す情報の観点から定義され、それらが表す情報は、好ましくは「XY情報」などと称される。
【0088】
レジスタリング/コレジスタリング
ナビゲーションシステムに格納された画像(CT、MRなど)の画像データポイントが手術室における空間内の実際の物体(たとえば、身体部分)の各ポイントの空間的位置に割り当てられるときに、身体のn次元画像に対してレジストレーション、すなわちコレジストレーションが行われる。
【0089】
画像レジストレーション/画像コレジストレーション
画像レジストレーション、すなわちコレジストレーションは、さまざまなデータセットを1つの座標系に変換するプロセスである。これらのデータは、さまざまなセンサ、さまざまな時間またはさまざまな観点からの複数の写真および/またはデータであってもよい。画像レジストレーションは、コンピュータビジョン医用画像化で使用され、衛星からの画像およびデータの編集および分析で使用される。レジストレーションは、これらのさまざまな測定から得られるデータを比較または統合できるようにするために必要である。
【0090】
なお、本開示では、レジスタリング/コレジスタリングと画像レジストレーションおよび画像コレジストレーションとは同義で使用される。
【0091】
アトラス/アトラスセグメント化
好ましくは、解剖学的身体部分の全体三次元形状を表す(たとえば、規定する、より特定的には示すおよび/またはである)アトラスデータが取得される。したがって、アトラスデータは、解剖学的身体部分のアトラスを表す。アトラスは、一般に、複数のオブジェクトの一般モデルで構成され、オブジェクトの一般モデルは、複雑な構造を構成する。たとえば、アトラスは、複数の人体、たとえばこのような人体の画像を含む医用画像から収集された解剖学的情報から生成された患者の身体(たとえば、身体の一部)の統計モデルを構成する。したがって、原則的に、アトラスデータは、複数の人体についてのこのような医用画像データの統計的分析の結果を表す。この結果は、画像として出力可能であるため、アトラスデータは、医用画像データを含む、または医用画像データに相当する。このような比較は、たとえばアトラスデータと医用画像データとの間で画像融合を行う画像融合アルゴリズムを適用することによって行うことができる。比較の結果は、アトラスデータと医用画像データとの間の類似性の程度であり得る。アトラスデータは、たとえばアトラスデータと医用画像データとを比較して、アトラスデータによって規定される解剖学的構造に対応する医用画像データにおける解剖学的構造の位置を判断するために、(たとえば、柔軟なまたは融通の利かない画像融合アルゴリズムを適用することによって)たとえば医用画像データに含まれる画像情報(たとえば、位置画像情報)とマッチングさせることができる画像情報(たとえば、位置画像情報)を備える。
【0092】
人体は、その解剖学的構造がアトラスデータを生成するための入力の役割を果たすのだが、有利なことに、性別、年齢、人種、体測値(たとえば、サイズおよび/または質量)および病理学的状態のうちの少なくとも1つなどの共通の特徴を共有している。解剖学的情報は、たとえば人体の解剖学的構造を表し、たとえば人体についての医用画像情報から抽出される。たとえば、大腿骨のアトラスは、構造全体を構成するオブジェクトとして、頭、首、身体、大転子、小転子および下肢を備えていてもよい。たとえば、脳のアトラスは、構造全体を構成するオブジェクトとして、終脳、小脳、間脳、脳橋、中脳および髄質を備えていてもよい。このようなアトラスの一用途は、医用画像のセグメント化におけるものであり、そこでは、アトラスと医用画像データとをマッチングし、マッチングされたアトラスのオブジェクトに画像データポイント(画素またはボクセル)を割り当てるために画像データとマッチングされたアトラスとを比較することによって、画像データをオブジェクトにセグメント化する。
【0093】
治療ビーム
本発明は、治療計画の生成の分野に関し、この治療計画に基づいて治療ビームが制御される。治療ビームは、治療対象の身体部分(以下では、「治療身体部分」と称される)を治療する。これらの身体部分は、たとえば患者の身体の部分、すなわち解剖学的身体部分である。
【0094】
本発明は、医学の分野、たとえば患者の身体の部分を治療するための放射線ビームなどのビームの使用に関し、そのため、ビームは治療ビームとも称される。治療ビームは、治療対象の身体部分(以下では、「治療身体部分」と称される)を治療する。これらの身体部分は、たとえば患者の身体の部分、すなわち解剖学的身体部分である。治療の目的でたとえば電離放射線が使用される。たとえば、治療ビームは、電離放射線を備えるか、または電離放射線で構成される。電離放射線は、電子を原子または分子から分離してそれらを電離させるのに十分に活発な粒子(たとえば、亜原子粒子もしくはイオン)または電磁波を備えるか、またはそれらの粒子で構成される。このような電離放射線の例としては、X線、高エネルギ粒子(高エネルギ粒子ビーム)および/または放射性元素から放出された電離放射線が挙げられる。治療放射線(たとえば、治療ビーム)は、たとえば腫瘍学の分野などにおける放射線治療または放射線療法で使用される。特に癌を治療するために、腫瘍などの病理学的構造または組織を備える身体の部分は、電離放射線を使用して治療される。そして、腫瘍は、治療身体部分の一例である。
【0095】
治療ビームは、好ましくは、治療身体部分を貫通するように制御される。しかし、治療ビームは、治療身体部分の外側の身体部分に対しては悪影響を及ぼす可能性がある。これらの身体部分は、ここでは「外側身体部分」と称される。一般に、治療ビームは、治療身体部分に到達して治療身体部分を貫通するために、外側身体部分を貫通しなければならない。
【0096】
この点において、以下のウェブページも参照されたい:
http://www.elekta.com/healthcare_us_elekta_vmat.phpおよびhttp://www.varian.com/us/oncology/treatments/treatment_techniques/rapidarc。
【0097】
さらに、本発明の一局面を参照しながら上記および下記される特徴、機能、要素および/またはステップは、上記および下記される本発明のその他の局面にも等しく適用される、ということが強調される。特に、第1の局面に係る方法を参照しながら上記および下記される特徴および/またはステップは、第2の局面に係るコンピュータプログラム、第3の局面に係るコンピュータ読取可能媒体、第4の局面に係るコンピュータおよび/または第5の局面に係る医療システムにも等しく適用され、逆もまた同様である。
【0098】
本発明のこれらのおよび他の局面は、下記の実施形態から明らかであり、下記の実施形態を参照しながら説明される。
【0099】
以下では、本発明の背景説明を提供しかつ本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明について説明する。しかし、本発明の範囲は、図面の文脈に開示されている具体的特徴に限定されるものではない。
【0100】
図面は、概略的であるに過ぎず、縮尺に合致しているわけではない。原則的に、図中、同一または同様の部分、要素および/またはステップは、同一または同様の参照記号で記載される。
【0101】
実施形態の説明
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る二次元/三次元画像コレジストレーションの、コンピュータによって実現される医用方法のステップを示すフローチャートを概略的に示す。
図1は、血管奇形の三次元表示を計算する新たな方法を提供することによって、血管奇形を含む血管構造の二次元X線画像データの利点と、同一の血管構造の三次元画像データの利点とを組み合わせる。特に、二次元X線画像データの利点は、解像度が高いことであり、特に血管構造内の造影剤の分布の進展に関して、動脈と静脈との間の差異が医師またはこのような画像を分析するコンピュータアルゴリズムが見てはっきり分かるほどであるという事実である。したがって、この方法は、二次元X線画像データの上記の利点と、三次元データセットの利点、すなわち血管奇形(たとえば、AVM)を空間的な三次元の態様でユーザに対して有利に表示して示すことができるという利点とを組み合わせる。これは、血管奇形のいかなる治療も計画する際に医師にとって大きな助けになる。
【0102】
図1の方法は、造影剤を含む血管構造の二次元X線画像データを提供するステップ(ステップS1)を備え、上記血管構造は、血管奇形を含む。さらに、上記血管構造の三次元画像データを提供するステップ(ステップS2)および上記三次元画像データを変換二次元画像データに変換するステップ(ステップS3)も含まれる。さらに、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとが重ね合わせられて、上記二次元X線画像データと上記変換二次元画像データとの間の対応関係が計算されることによって、上記二次元X線画像データと上記三次元画像データとの間のコレジストレーションを決定/実現する(すなわち、ステップS4)。さらに、上記コレジストレーションがなされた二次元X線画像データにおいて上記血管奇形を判断するステップ(ステップS5)と、上記コレジストレーションがなされた二次元X線画像データの上記判断された血管奇形に基づいて、上記血管奇形の三次元表示を計算するステップ(ステップS6)とが上記方法によって含まれる。
【0103】
図1に記載されている方法によって、二次元および三次元画像のコレジストレーションは、フレームレスの態様で行われる。コレジストレーションがなされた二次元X線画像データおよび三次元画像データにより、血管奇形の表示を三次元座標系において計算することができる。この方法は、血管奇形がたとえば人間の脳におけるAVMである場合に特に有効である。人間の脳に関して言えば手術および/または放射線手術および/または放射線療法は非常にリスクが高いので、本発明の利点、すなわち血管奇形の三次元表示の精密な計算は、この医療の文脈では非常に有効である。しかし、
図1の方法は、AVMに限定されるものではなく、脳の領域に限定されるものではない。
【0104】
さらに、
図1の方法によって、二次元および三次元画像のレジストレーション/コレジストレーションは、フレームレスの態様で行われる。したがって、二次元X線画像データと三次元画像データとの間のコレジストレーションを決定するステップは、フレームレス画像レジストレーションとして実行可能であり、および/または、実行される。したがって、本発明では、頭蓋骨の外側にあるローカライザとは対照的に、フレームを取り付ける必要がなく、追加フレームを取得する必要がなく、痛みが生じることがなく、臨床上の負荷、コストおよび時間の削減が実現され、脳内の画像情報に基づいたより正確なレジストレーションが提供される。
【0105】
図1の方法は、高解像度の二次元X線画像の恩恵を受け、その中の1つの血管を明確に区別できるいうメリットの恩恵を受けるため、奇形の輪郭を選択するための血管構造についての高度な詳細を提供する。この解像度が高いというメリットおよび血管奇形の動脈流入と静脈流出とを光学的に区別できるというメリットは、次いで、血管奇形の三次元表示を計算することによって三次元データセットに転写される。コレジストレーションがなされた二次元X線画像データおよび三次元画像データにより、血管奇形の表示を三次元座標系において計算することができる。
【0106】
図2は、暗い色で示される造影剤を含む人間の脳の血管構造23および血管奇形24の2つの異なる二次元DSA画像20,21を概略的に示す。両方のDSA画像は、異なる角度から画像化されており、左側の画像20は、正面から取り込まれたDSAであり、右側の画像21は、側面から取り込まれたDSAである。このように、たとえば
図1の実施形態におけるステップS1について記載されているように二次元X線画像データが提供される。
【0107】
図3にも2つの異なるDSA画像30,31が示されており、これらの各々は、同一の人間の脳の三次元飛行時間(TOF)MR画像の最大値投影像(MIP)32,33と重ね合わせられる。したがって、
図3で使用されるソフトウェアは、三次元画像データの投影像、特にMIPを計算することによって、三次元画像データ、すなわち三次元飛行時間(TOF)MR画像を変換二次元画像データに既に変換している。MIP32,33は、ユーザに対してカラー表示されてもよく、色の強度は、基本となる三次元データセットにおける対応するボクセルの濃淡値に対応または相互に関係があってもよい。
【0108】
図3に示されるオーバーレイは、MIPが生成された投影パラメータの自動最適化を開始することによってさらに向上され得る。ノブ36を押すと、ソフトウェアは、MIPパラメータを自動的に最適化し、それによって、複数のMIPパラメータセットについて二次元X線画像30とそれぞれの変換二次元画像32との間の画像対応関係の程度を最適化する。ノブ36が押された場合に、同様のことが画像31および33にも当てはまる。このように、反復最適化プロセスを先に詳細に説明したように使用することができる。なお、変換二次元画像と提供された二次元X線画像との間の画像対応関係の程度を最適化するために、たとえば画素単位または領域単位に二次元画像データを比較するたとえば画像比較を行うことができる。このようにして、2つの二次元画像データ間の対応関係の値が計算されてもよく、他のMIPパラメータのために計算された他の値と比較されてもよく、その結果、最適な結果を生じさせる。ノブ34および35によって、血管構造における造影剤の分布の時系列を示す複数の画像である二次元X線画像データ30,31は再生可能である。したがって、これにより、奇形への動脈流入と奇形からの静脈流出との区別に関して、複数の画像から最適な画像を識別することが可能になる。
【0109】
図4は、セグメント化による注目領域(ROI)の適用を概略的に示す。
図4は、それぞれのMIP投影像42,43と重ね合わせられた、正面および側面から取り込まれたDSA画像40,41を示す。ユーザは、さらなる手順のために、血管構造の提供された三次元画像データの一部を選択することができる。それによって、選択は、ROIボタン44を介して提供され得るユーザ入力と組み合わせた自動アトラスセグメント化によって行われる。
図4から推測できるように、右頚動脈のみが表示されているが、その理由は、これが、基本となる三次元データセットからセグメント化されたものとしてROIボタン44を介して以前に選択されたからである。
【0110】
図5は、本発明の例示的な実施形態に従って、たとえば
図4に示される二次元X線画像データと変換二次元画像データとのオーバーレイ50,51がグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)52,53を介してユーザによって調節可能である本発明の実施形態を概略的に示す。上記のように、これにより、最適化のための変換パラメータの初期値についてのユーザ入力を受信することが可能になる。すなわち、変換パラメータの最適化は、このGUI52,53によって開始することができ、それによって、複数の変換パラメータセットについて二次元X線画像データとそれぞれの変換二次元画像データとの間の画像対応関係の程度の最適化をもたらす、またはさらなる最適化を必要とすることなくコレジストレーションを実現する。
【0111】
図6は、2つのDSA画像60,61を概略的に示す。左側には、正面から取り込まれた二次元X線画像における血管奇形の判断/輪郭取り62に関する本発明の実施形態が示されている。右側には、投影光線63が側面から取り込まれた画像に示されており、この光線は、正面から取り込まれたDSA画像においてユーザ入力を介して受信された輪郭62に基づく。血管奇形の三次元表示は、二次元X線画像データにおける血管奇形の輪郭に基づいて計算される。
【0112】
図7は、本発明の例示的な実施形態に従って、たとえば異なる画像化角度から取られた2つの異なるDSA画像についてグラフィカルユーザインターフェイスを介して輪郭取り70,71入力を受信することができることを概略的に示す。特に、
図7に示される本発明の実施形態は、以下のように行うことができる。まず、第1および第2の二次元DSA画像がユーザインターフェイス上に表示され、第1および第2の輪郭取り入力、すなわち外形70,71がユーザインターフェイスを介して受信される。
図7から推測できるように、第1の輪郭取り入力は、第1の二次元X線画像データにおける血管奇形の第1の外形70を表し、第2の輪郭取り入力は、第2の二次元X線画像データにおける血管奇形の第2の外形71を表す。さらに、この実施形態では、第1の外形に基づいて第1の三次元オブジェクト(図示せず)が計算され、第2の外形に基づいて第2の三次元オブジェクト(図示せず)が計算される。さらに、第1および第2の三次元オブジェクトは、計算上の方法で交差されることによって、血管奇形の三次元表示を計算する。
【0113】
図8は、本発明の例示的な実施形態に係る、たとえば
図7に示されるコレジストレーションがなされた二次元X線画像データの判断された血管奇形に基づいて計算される血管奇形の結果として生じる三次元表示80を概略的に示す。
図7および
図8の実施形態について説明される方法は、有利なことに、患者の頭蓋骨内で正確であり、血管セグメント化結果に依存せず、人間の脳の領域における血管奇形(たとえば、AVM)の側に注目することを可能にする、解剖学的構造に基づくフレームレス二次元/三次元画像レジストレーションを容易にする。上記のように、解像度が高いというメリットおよび二次元X線画像において血管奇形の動脈流入と静脈流出とを光学的に区別できるというメリットは、次いで、血管奇形の三次元表示を計算することによって三次元データセットに転写される。コレジストレーションがなされた二次元X線画像データおよび三次元画像データにより、血管奇形の表示を三次元座標系において計算することができる。したがって、二次元X線画像データに示される基本となる血管構造を非常に精密に考慮に入れる血管奇形の三次元オブジェクトを生成することができる。
【0114】
図9は、血管奇形、特に動静脈奇形(AVM)に治療ビームを照射するための放射線療法治療システム90を概略的に示す。システム90は、医用画像分析システム91と、放射線治療装置95とを備える。放射線治療装置95は、治療ビーム源96と、患者支持ユニット97とを備える。医用画像分析システム91は、プログラム93が格納されるプログラム記憶媒体94を有するコンピュータ92を備える。さらに、プログラム93は、コンピュータ92上で実行されるか、またはコンピュータにロードされると、コンピュータ92に、本発明の第1の局面に係る方法の方法ステップ、たとえば
図1の文脈において上記した方法ステップを実行させる。コンピュータは、放射線治療装置95に動作可能に結合され、治療ビーム源96の動作または患者支持ユニット97の位置のうちの少なくとも1つを制御するための制御信号を放射線治療装置に発行する。