(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】液体を吸引および分注するためのプローブ装置、アセンブリ、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N35/10 K
(21)【出願番号】P 2020533821
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 US2018064125
(87)【国際公開番号】W WO2019125770
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エドワーズ
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0024888(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323220(US,A1)
【文献】特開平10-114394(JP,A)
【文献】特開昭62-168056(JP,A)
【文献】特開2008-203009(JP,A)
【文献】特開2004-347513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00- 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸引および送達するように構成されたプローブアセンブリであって:
液体ライン端部を有する液体ラインと;
該液体ラインと流体連通するように構成され、プローブアセンブリに、吸引または分注される液体以外の外部の液体源との接続がないときに、液体を吸引および分注するように構成されたピペットと;
を含み、
液体ライン端部は、ダイナミックカプラの第2の部分に動的に連結されるように構成されたダイナミックカプラの第1の部分を有し、ダイナミックカプラの第2の部分は、プローブアセンブリの外部の液体源と流体連通するように構成さ
れ、
ダイナミックカプラの第1の部分は第1のテーパ部を有し、ダイナミックカプラの第2の部分は第2のテーパ部を有し、第1のテーパ部は第2のテーパ部に適合する、前記プローブアセンブリ。
【請求項2】
ピペットと流体連通するように構成され、ピペットによって液体を吸引および分注するように構成されたポンプをさらに含む、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項3】
ポンプ、ピペット、および液体ラインと流体連結された弁アセンブリをさらに含み、該弁アセンブリは、ポンプまたは液体ラインをピペットに流体連結する、請求項
2に記載のプローブアセンブリ。
【請求項4】
液体ライン内の液体を加熱するように構成されたヒータ要素をさらに含む、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項5】
ヒータ要素は受動式である、請求項
4に記載のプローブアセンブリ。
【請求項6】
ヒータ要素は能動式である、請求項
4に記載のプローブアセンブリ。
【請求項7】
液体ラインは、ヒータ要素を少なくとも部分的に取り囲む、請求項
4に記載のプローブ
アセンブリ。
【請求項8】
液体ラインの外部の少なくとも一部に連結された、支持部材をさらに含む、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項9】
支持部材は、ピペットの少なくとも一部にさらに連結される、請求項
8に記載のプローブアセンブリ。
【請求項10】
ダイナミックカプラの第1の部分に隣接した液体ラインの、少なくとも一部は剛体である、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項11】
処理液をプローブアセンブリに提供するように構成されたステーションであって:
洗浄槽と;
該洗浄槽に連結され、プローブアセンブリのダイナミックカプラの第2の部分に流体連結するように構成されたダイナミックカプラの第1の部分と;
該ダイナミックカプラの第1の部分と流体連通し、液体源から処理液を受けるように構成された液体送達ラインと
を含む、前記ステーション。
【請求項12】
液体源から受けた液体を加熱するように構成されたヒータをさらに含む、請求項
11に記載のステーション。
【請求項13】
洗浄槽から延び、かつダイナミックカプラの第1の部分と流体連通した、液体ラインをさらに含む、請求項
11に記載のステーション。
【請求項14】
ダイナミックカプラの第1の部分がダイナミックカプラの第2の部分に連結されたとき、プローブアセンブリのピペットを受けるように構成された洗浄槽をさらに含む、請求項
11に記載のステーション。
【請求項15】
試験装置であって:
ダイナミックカプラの第2の部分に連結するように構成されたダイナミックカプラの第1の部分を含む液体ライン端部を有する液体ライン;
該液体ラインと流体連結されたピペット;および
該ピペットに流体連結されたポンプ;
を含
み、
ダイナミックカプラの第1の部分は第1のテーパ部を含み、ダイナミックカプラの第2の部分は第2のテーパ部を含み、第1のテーパ部は第2のテーパ部に適合する、プローブアセンブリと:
該プローブアセンブリの外部の液体源と;
プローブアセンブリの外部にあり、液体源と流体接続された第1の端部およびダイナミックカプラの第2の部分と流体接続された第2の端部を有する、液体送達ラインと
を含む、前記試験装置。
【請求項16】
ダイナミックカプラの第2の部分は、洗浄ステーションに接続される、請求項
15に記載の試験装置。
【請求項17】
洗浄ステーションは、ダイナミックカプラの第1の部分がダイナミックカプラの第2の部分に連結されたときに、ピペットを受けるための洗浄槽を含む、請求項
16に記載の試験装置。
【請求項18】
洗浄槽とダイナミックカプラの第2の部分との間に、剛体の流体ラインをさらに含む、
請求項
17に記載の試験装置。
【請求項19】
液体送達ラインと繋がり、液体源から受けた液体を加熱するように構成されたヒータをさらに含む、請求項
15に記載の試験装置。
【請求項20】
プローブアセンブリは、ピペットと流体連通したポンプを含み、ダイナミックカプラの第1の部分が、ダイナミックカプラの第2の部分からデカップリングされたとき、ピペットによって液体を吸引および分注するように構成される、請求項
15に記載の試験装置。
【請求項21】
プローブアセンブリは、ピペットに流体連通した液体を加熱するように構成されたヒータ要素を含む、請求項
15に記載の試験装置。
【請求項22】
ヒータ要素は受動式である、請求項
21に記載の試験装置。
【請求項23】
ヒータ要素は能動式である、請求項
21に記載の試験装置。
【請求項24】
プローブアセンブリを、試験装置の少なくとも一部の全体にわたって動かすように構成されたロボットをさらに含む、請求項
15に記載の試験装置。
【請求項25】
請求項1~10のいずれか1項に記載のプローブアセンブリに液体を提供する方法であって:
プローブアセンブリに連結された液体ラインに、ダイナミックカプラの第1の部分を設けることと;
プローブアセンブリの外部で液体源と流体連通した、ダイナミックカプラの第2の部分を設けることと;
プローブアセンブリを、ダイナミックカプラの第1の部分がダイナミックカプラの第2の部分と連結する箇所に動かすことと;
液体源からダイナミックカプラおよび液体ラインを介して液体を提供することと
を含む、前記方法。
【請求項26】
プローブアセンブリに連結された液体ラインに、ダイナミックカプラの第1の部分を設けることは、プローブアセンブリのピペットに連結された液体ラインに、ダイナミックカプラの第1の部分を設けることを含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
ダイナミックカプラの第1の部分を、ダイナミックカプラの第2の部分からデカップリングすることと;
プローブアセンブリに、試料液体以外の外部の液体源への接続がないとき、ピペットによって試料液体を吸引することと
をさらに含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
ダイナミックカプラの第1の部分を、ダイナミックカプラの第2の部分からデカップリングすることと;
プローブアセンブリに、試料液体以外の外部の液体源への接続がないとき、ピペットからの試料液体を分注することと
をさらに含む、請求項
26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容の全体が参照によって本明細書に組み入れられる、2017年12月19日に出願された米国仮出願第62/607,788号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、液体を吸引および分注するように適用された方法、アセンブリ、ならびに装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動分析試験において、様々な目的のために精製水が分注される。生物学的流体試料(または「標本」と呼ばれる)における分析物の存在を試験するために使用される、特定の臨床分析器において、試験に使用する精製水を正確に計量することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの自動分析試験システム(例えば臨床分析器または免疫学的検定器具)において、試料容器(試験管、試料カップ、ガラス瓶など)に含まれた標本を吸引し、試験して、その中の特定の分析物もしくは物質の存在、またはその特性を判定する。この分析試験プロセスの一部として、処理液(精製水など)の正確な計量、および/または処理液の温度の制御は、向上した試験精度をもたらすために望ましい場合がある。
【0004】
液体を吸引および分注するために使用されるピペットは、使用後に汚染される場合があり、それらを再び使用できるよう洗浄する必要がある。ピペットは洗浄ステーションに移動され、そこで液体を用いて清浄される。
【0005】
ピペットに所定の温度の液体を提供することは、試験ステーション内の液体温度に影響を与える多くの変動要素のため、困難となり得る。例えば、液体を運ぶ可撓管は非常に長い(例えば6フィート(1.8m)より長い)場合があり、液体の吸引および/または分注を容易にするために使用されるピペットに追随するために、可撓管は試験ステーション全体に経路設定される場合がある。この露出された長さによって、管内の液体は、試験ステーション内の様々な構成要素によって発生する様々な温度に管が露出するなど、周囲の温度の影響を受けやすくなる。したがって、管内の液体の温度は変化し、所望の温度に維持するのは困難となり得る。加えて、管内の液体は、流れるか、または一定時間の間とどまるかのいずれかとなる場合があり、それは管内における液体温度の均一性をさらに複雑にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、液体を吸引および送達するように構成されたプローブアセンブリが提供される。プローブアセンブリは、液体ライン端部を有する液体ラインと;この液体ラインと流体連通するように構成されたピペットとを含む。ピペットは、プローブアセンブリに、吸引または分注される液体以外の外部の液体源との接続がないときに、液体を吸引および分注するように構成され;ダイナミックカプラの第1の部分を有する液体ライン端部は、ダイナミックカプラの第2の部分に動的に連結されるように構成され、ダイナミックカプラの第2の部分は、プローブアセンブリの外部の液体源と流体連通するように構成される。
【0007】
別の態様によれば、処理液をプローブアセンブリに提供するためのステーションが設けられる。このステーションは、洗浄槽と;この洗浄槽に連結され、プローブアセンブリのダイナミックカプラの第2の部分に流体連結するように構成されたダイナミックカプラの第1の部分と;ダイナミックカプラの第1の部分と流体連通し、液体源から処理液を受けるように構成された液体送達ラインと、を含む。
【0008】
別の態様によれば、試験装置が提供される。試験装置はプローブアセンブリを含む。このプローブアセンブリは:ダイナミックカプラの第2の部分に連結するように構成されたダイナミックカプラの第1の部分を有する管端部を伴う管と、この管と流体連通するように構成されたピペットと、を含む。試験装置は、液体源と、この液体源と流体連通する第1の端部、およびダイナミックカプラの第2の部分と流体連通する第2の端部を有する液体送達ラインと、をさらに含む。
【0009】
方法の態様において、プローブアセンブリに連結されたピペットを洗浄する方法が提供される。この方法は、ピペットと流体連通する管に、ダイナミックカプラの第1の部分を設けることと;液体源と流体連通するダイナミックカプラの第2の部分を設けることと;プローブアセンブリを、ダイナミックカプラの第1の部分がダイナミックカプラの第2の部分と連結する箇所に動かすことと;液体源からダイナミックカプラを介してピペットに液体を提供することと、を含む。
【0010】
本開示の、さらに他の態様、機能、および利点は、いくつかの例示的な実施形態および実装形態を示す以下の説明から、容易に明確となり得る。本開示は、他の異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な点で変更することができる。したがって、図および説明は、本質的に例示として捉えるべきであり、限定として捉えるべきではない。本開示は、本開示の範囲内で、全ての変更、同等物、および代替を網羅する。
【0011】
以下に記載した図は、単に例示目的であり、必ずしも縮尺に則っていない。図は、本開示の範囲のいかなる限定も意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態による、プローブと液体源との間のダイナミックカプラを含む試験装置のブロック図である。
【
図2A】実施形態による、液体源に動的に連結されたプローブの側面図である。
【
図2B】実施形態による、液体源からデカップリングされた
図2Aのプローブを示す図である。
【
図2C】実施形態による、デカップリングされた状態のダイナミックカプラの側断面図である。
【
図2D】実施形態による、連結された状態の
図2Cのダイナミックカプラの側断面図である。
【
図3A】実施形態による、洗浄ステーションに連結されたプローブアセンブリの側面図であり、この洗浄ステーションは、洗浄ステーションから延びる剛体の液体送達ラインを含む。
【
図3B】実施形態による、洗浄ステーションからデカップリングされた
図3Aのプローブアセンブリの、側面図である。
【
図4A】実施形態による、洗浄ステーションに連結されたプローブアセンブリの側面図であり、このプローブアセンブリは、ピペットと液体送達ラインとの間に連結された支持部材を含む。
【
図4B】実施形態による、洗浄ステーションからデカップリングされた
図4Aのプローブアセンブリの側面図である。
【
図5】実施形態による、プローブアセンブリに液体を提供する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
試験ステーションにおいて、処理液をプローブアセンブリに提供するための装置および方法を、本明細書で説明する。本明細書で説明する装置および方法は、自動試験装置全体に分配される液体の温度制御を改善する。1つまたはそれ以上の分析試験において、温度ドリフトは、(例えばポンプを含む)計量装置と(ピペットなどの)流出部との間に延びる液体送達管内に含まれた処理液の、温度変化に起因し得る。いくつかの実施形態において、これは、(検査などの)試験に関わる(標本または試薬などの)液体要素のうちの、1つまたはそれ以上の温度ドリフトをもたらし、おそらくは試験結果に影響を及ぼす場合がある。他の実施形態において、液体送達管に含まれた処理液(例えば精製水または脱イオン水)の経時的な温度変動は、分注される処理液の体積に影響を与える場合がある。
【0014】
処理液が分注されない場合でも、分注される液体要素(例えば血清、尿、脊髄液、脳脊髄液、間質液などの標本、または試薬)は、管内における支持液(backing liquid)としての二次液に流体連結される。液体送達管内の処理液のいかなる膨張または収縮も、二次液の体積を計量するときに達成できる精度レベルに、同様に影響を及ぼし得る。さらに、支持液の温度変化は、吸引された任意の二次液(例えば試薬、標本など)の分注温度に影響を及ぼし得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、ピペットは、標本または試薬が吸引または分注される前および/または後に、洗浄ステーションで洗浄される。ピペットが洗浄ステーションに挿入されている間、大容量(例えば21mL)の処理液が、液体送達管およびピペットの内部を通して押し流される。ピペットの洗浄動作中、ピペットおよび液体送達管の温度は、処理液の温度に影響を受ける場合がある。したがって、洗浄中に分注される処理液の温度を良好に制御することによって、向上した、より効率的な洗浄が実現され、その後のピペットの、使用と使用との間における流体同士の相互作用を軽減する。
【0016】
多くの原因による温度変動は、液体送達アセンブリとプローブアセンブリとの間の液体送達管内で生じ得る。温度変動は、ピペットに提供される液体の温度を変化させる場合がある。例えばいくつかの例において、絶え間のない使用は温度変動の原因となる場合があり(例えばシステムの温度は経時的に増加する)、それは、真空ポンプ、システムヒータ、モータ、または他の熱を発生する試験装置の構成要素など他のシステム構成要素からの、還流、伝導、および/または放射によって移される熱からもたらされる。さらなる温度変動は、間欠的にタンクを充填し、処理液に比較的冷たい液体を与えることからもたらされる。いくつかの実施形態において、タンク内の液体よりも低温である処理液(例えば脱イオン水および精製水)は、手動でタンクに加えられる。どの場合においても、処理液を加えること、またはタンクを再充填することは、処理液の温度に、かなり大きい乱れを起こし得る。
【0017】
従来の試験装置は試験プローブを含み、この試験プローブは、試験装置全体に動く際に、液体送達管に流体連結される。したがって、液体送達管は動いて、上述の温度変動を受ける。本明細書で説明する試験装置および試験方法は、プローブアセンブリに継続的に連結される液体送達管を使用しない、処理液源と局所化された処理液の加熱と、を提供することによって、温度変動の悪影響の多くを克服する。
【0018】
前述の課題の観点から、本開示の実施形態は、流出部(例えばプローブアセンブリのピペット)に提供される液体の、向上した温度制御をもたらすように構成された方法、アセンブリ、および装置を提供する。本開示の1つまたはそれ以上の実施形態によれば、ダイナミックカプラが、試験装置の全体にわたり、洗浄ステーションなどの近接したステーションに設けられる。ダイナミックカプラは、タンク、または処理液もしくは他の液体源に流体連通し得る。ピペットが取り付けられたプローブアセンブリは、取り付けられるダイナミックカプラの一部を有し得る。プローブアセンブリは、ダイナミックカプラの近くに動かされ、それによってダイナミックカプラおよびプローブアセンブリのダイナミックカプラの一部は、流体接続する。次に処理液または他の液体は、プローブアセンブリ、およびピペットに、管または試験装置の全体にわたり経路設定された他の液体ラインなしで、提供される。いくつかの実施形態において、局所化された液体の加熱が、ダイナミックカプラの近くにもたらされ、プローブアセンブリに提供される液体の温度を正確に制御する。本開示の実施形態における、これらならびに他の態様および機能は、本明細書の
図1~
図5を参照して説明する。
【0019】
ここで
図1を参照する。
図1は、第1のダイナミックカプラ102Aおよび第2のダイナミックカプラ102Bを含む試験装置100の、ブロック図を示す。第1のダイナミックカプラ102Aおよび/または第2のダイナミックカプラ102Bの一部分は、動かないように試験装置100内に固定される。本明細書で、より詳細に説明するように、ダイナミックカプラは、第1の部分と第2の部分とを含む2つの部分から成るカプラを含み、共に接続または連結されたときに、第1の部分と第2の部分との間に流体連通をもたらす。第1の部分および第2の部分の連結は、第1の部分および第2の部分を共に押し込むことによって実現される。いくつかの実施形態において、第1の部分および第2の部分の連結およびデカップリングは、一方の部分を他方の部分に対してねじ込むか、または螺着する必要はない。例えば、第1の部分と第2の部分との間の直線の並進運動は、共に押し込んだときに連結を、および引き離したときにデカップリングをもたらす。ダイナミックカプラ102Aの一部は、液体ライン106によってプローブアセンブリ104に流体連結される。
【0020】
ダイナミックカプラ102Aは、ダイナミックカプラ102Bと同型であってよい。試験装置100は、試験装置100内の固定位置など、全体に位置された任意の数のダイナミックカプラを有し得る。ダイナミックカプラ102Aは、試験装置100内の様々な位置において、液体をプローブアセンブリ104に送達するのを可能にする。例えば、ダイナミックカプラ102Aと共にプローブアセンブリ104を使用することで、プローブアセンブリ104に恒久的および/または継続的に取り付けられた流体送達ラインを排除する。ダイナミックカプラ102Aは、プローブアセンブリ104が洗浄ステーション139など液体を必要とするステーションに近接する場合、プローブアセンブリ104を液体送達ライン110Aに接続するのを可能にする。インラインヒータ112Aは、プローブアセンブリ104に提供された液体を加熱し得る。ヒータ112Aはダイナミックカプラ102Aに近接してよく、そのため、ヒータ112Aによって加熱された液体は、プローブアセンブリ104に受けられる前に大きい温度変化を受けない。
【0021】
ダイナミックカプラ102Aは、プローブアセンブリ104が試験装置100内で動いているときに、プローブアセンブリ104が液体送達ライン110Aから接続解除するのを可能にする。プローブアセンブリ104に提供される液体は、プローブアセンブリ104が液体送達ライン110Aからデカップリングされた後に、プローブアセンブリ104内に収納される。例えば液体は、プローブアセンブリ104と流体連通したアキュムレータ(
図1に示さず)に収納される。したがって、液体送達ライン110Aは、試験装置100全体にわたってプローブアセンブリ104に追随するのではない。ダイナミックカプラ102Bは、第2のプローブアセンブリ(図示せず)および液体送達ライン110Bに接続可能となり得る。ヒータ112Bは液体送達ライン110Bと繋がることができ、ダイナミックカプラ102Bに近接して位置される。培養プレートまたはリング、他のピペット、ロボット、試料ラック、試薬ラック、洗浄ステーション、リーダなど、試験装置100の他の一般的な構成要素は、明瞭にするために示さない。
【0022】
試験装置100は、液体精製器126からの処理液122で充填されたタンク120を含み得る。例えばタンク120は、処理液の前駆体(精製されていない水など)を、前駆体液供給装置128から、流入導管130および弁132を介して受け入れてよい(場合により、全て点線で示される)。前駆体液供給装置128は、公共水道または私的給水装置、水タンク、井戸などであってよい。液体精製器126は、任意の好適なデバイス、またはデバイスの集合体であってよく、それは、流入導管130から供給され、前駆体液供給装置128から入る前駆体液を受け、前駆体液を濾過および/または精製して、処理液122(例えば比較的高いレベルまで精製した、好適な精製水)を生成してタンク120に供給する。タンク120は、他の液体で満たされる場合がある。
【0023】
より詳細には、液体送達アセンブリ114の処理液122(例えば精製水および脱イオン水)の流れは、タンク120から提供かつ送達される。タンク120内の処理液122が試験装置100で使用されると、処理液122は補給される。補給は、タンク120内の適切な高さに据えられたレベルセンサ133(例えばフロートタイプまたは他の深さセンサ)によって要求される。他のタイプのレベルセンサを使用してもよい。
【0024】
液体精製器126は、有機物、化学元素、ミネラル、粒子もしくは沈殿物、溶存酸素、または前駆体液からの他の汚染物質を除去し得る。その後処理液122は、試験装置100(例えば器具または分析器)において、例えば標本を稀釈するため、試薬を準備するため(例えば処理液122が試薬材料に加えられる)、液体試薬(濃縮試薬など)の分注および/または吸引を可能にするための液体送達ライン110A内の支持液として、標本(例えば血清、尿、脊髄液、間質液、脳脊髄液など)を吸引または分注するための支持液として、キュベットを洗浄するため、および/またはピペットを清浄するために、使用される。液体精製器126は、様々な導管、弁、アキュムレータ、センサ、および他の流体含有要素または流体搬送要素(図示せず)も含み得る。
【0025】
処理液122の精製レベルは、ASTM/NCCLS標準としてよい(例えば、NCCLS-National Committee on Clinical Laboratory Standards)。例えば、純度は、ASTM/NCCLSのType 1-IVおよび/またはType A-Cの標準を十分満たすものであってよい。ASTM/NCCLSのType 1およびType Aの純度標準が、提供される場合がある。しかし、他の純度レベルを使用する場合がある。
【0026】
処理液122は、逆浸透、精密濾過、ナノ濾過、限外濾過、および/または脱イオンなど、任意の好適な精製方法を使用して、液体精製器126によって提供される。他の精製方法を、代替として使用してもよく、または組み合わせてもよい。示されるように、液体精製器126は、試験装置100の一部とし得る。しかし、いくつかの実施形態において、液体精製器126は別個のデバイス、または別室にあってもよい。
【0027】
上述の温度変動は、液体送達アセンブリ114の使用頻度が高いときに、特に認められる。温度変動の他の誘因は、前駆体液供給装置128の温度変化(日々または季節的な給水温度変化など)、液体送達アセンブリ114の開始および停止、ならびに液体送達アセンブリ114が露出される周囲温度の変化、による場合がある。
【0028】
液体精製器126に提供される、前駆体液供給装置128からの前駆体液の温度変動は、タンク120内および液体送達ライン110Aにおいて経時的に温度変動を生じさせる場合があることを、理解すべきである。このような経時的な温度変動は、液体送達ライン110Aに含まれた処理液122(例えば精製水)の収縮および/または膨張をもたらす場合がある。液体送達ライン110A内の液体体積における、この相対的変化は、例えば、非常に頻繁かつ時間を浪費する再較正なしでは、おそらくは経時的に計量精度に影響を与える。
【0029】
冷却ユニット、真空ポンプ、システムヒータ、および/または他の構成要素など、試験装置100の1つまたはそれ以上のシステム構成要素116からの熱(ジグザグかつ点線の矢印で示される)は、試験装置100のハウジング134(点線で示されたハウジング134)内で発生し得る。したがって、ハウジング134の内側は、使用中に温度の変動を受ける場合がある。試験装置100が露出される周囲温度の変化は、温度変動をさらに悪化させる。同様に、上述のように、タンク120内の処理液122の温度は、経時的に大幅に変化し得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、液体送達アセンブリ114は、試験装置100の正確な計量システムに連結されるか、またはその一部となり得る。液体送達アセンブリ114は、1つまたはそれ以上の液体の、正確に計量され、かつ温度制御された体積を、ピペット103に送達し得る。例えば、洗浄段階中に、プローブアセンブリ104は、ダイナミックカプラ102Aによって液体送達ライン110Aに連結される。次に液体送達アセンブリ114は、処理液122をピペット103に提供し、ピペット103を洗浄し得る。
【0031】
液体送達アセンブリ114は、タンク120に流体連結された、導管137などの送達装置136を含み得る。送達装置136は、プローブアセンブリ104がダイナミックカプラ102Aによって液体送達ライン110Aと連結されたとき、正確な量の処理液122を、ピペット103から分注するように構成され、かつ適用される。処理液122は、標本容器142からの標本140、試薬容器146からの試薬144、または酸、塩基、もしくは試験装置100で使用される他の液体(図示せず)、などの液体要素を吸引または分注する前または後などに、ピペット103を洗浄するためのものであってよい。処理液122は、吸引および分注を実施するためのビヒクル(支持液)として使用される場合がある。いくつかの実施形態において、処理液122は、検査プロセスまたは試験装置100によって行われる他の試験プロセスにおいて、稀釈剤として使用される。検査プロセスまたは他の試験プロセスは、例えば標本140(例えば生物学的液体標本)の分析物もしくは構成要素の量、または特性を判定するために使用される。
【0032】
送達装置136は、液体送達ライン110Aにおける処理液122の流れを起こすように適用されたデバイスの、任意の組み合わせを含み得る。例えば、送達装置136は、フラッシュポンプ152を含み得る。フラッシュポンプ152は、構成要素のうちの1つまたはそれ以上(ピペット103など)を洗い流すために洗浄動作を実施するためなど、処理液122の比較的多い体積を正確に分注するように構成かつ適用される。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の弁154、およびフラッシュポンプ152を起動することによって、約200μlから約5mlまでの間の処理液122の正確な体積を、洗い流すために送達することができる。しかし、他の体積も送達される。
【0033】
1つまたはそれ以上の弁154が、フラッシュポンプ152に連結された液体送達ラインを切り替えるために使用され、マニフォルド156が、処理液122の流れの分配を遂行するために好適な位置に設けられる。例えば、弁は、液体送達ライン110Aおよび/または液体送達ライン110Bを、フラッシュポンプ152に連結させる。マニフォルド156は、フラッシュポンプ152、1つまたはそれ以上の弁154、液体送達ライン110A、および液体送達ライン110Bに接続する複数の内部通路を含む、分配マニフォルドであってよい。他の構造の送達装置136も使用される。例えば、送達装置136は、導管の集まりに置き換えられる。任意の好適な構造の送達装置136が使用される。
【0034】
ロボット160が、プローブアセンブリ104を、試験装置100内の異なる位置に動かし得る。例えば、ロボット160は、プローブアセンブリ104を、洗浄ステーション139、標本容器142、および試薬容器146の間で動かし得る。ロボット160は、プローブアセンブリ104をz方向に動かし、プローブアセンブリ104をダイナミックカプラ102Aに連結し、ダイナミックカプラ102Aからデカップリングし得る。ロボット制御器162は、ロボット160の動きを制御するための命令を生成し得る。
【0035】
流れ制御器164は、処理液122または試験装置100内の他の液体の流れを制御し得る。例えば流れ制御器164は、プローブアセンブリが、対応するダイナミックカプラに連結されない限り、処理液122が流体送達ラインに分配されるのを防止する。流れ制御器164は、吸引および分注を実施するプローブアセンブリ104内に位置されたポンプ(
図1に示さず)にも、命令を送り得る。
【0036】
温度制御器166は、試験装置100内の異なる位置における液体温度を監視し、この監視に対応して、試験装置100内のヒータに命令を送り得る。例えば、温度制御器166は、ヒータ112Aおよびヒータ112Bに命令を送り、洗浄段階中に、ヒータ112Aおよびヒータ112Bに処理液122を加熱するよう命令する。
【0037】
次に
図2Aを参照する。
図2Aは、ダイナミックカプラ102Aによって、液体送達アセンブリ114に流体連結された、プローブアセンブリ104の実施形態の側面図を示す。
図2Bは、液体送達アセンブリ114からデカップリングされたプローブアセンブリ104を示す。具体的には、プローブアセンブリ104は、ダイナミックカプラ102Aにおいて、液体送達ライン110Aからデカップリングされて示される。
図2Aに示される構成において、ロボット160または他の機構は、プローブアセンブリ104を、ダイナミックカプラ102Aが液体ライン106を液体送達ライン110Aに流体連結する位置まで、z方向に下降させている。具体的には、ダイナミックカプラ102Aは、液体ライン106と液体送達ライン110Aとの間に、流体連結をもたらす。
図2Bに示される構成において、ロボット160は、プローブアセンブリ104を、ダイナミックカプラ102Aによって液体ライン106が液体送達ライン110Aからデカップリングされる位置まで、z方向に動かしている。次にロボット160は、プローブアセンブリ104を、試験装置100内の他の位置に動かして、他の作業をさせる。ロボット160は、ポンプ208に物理的に連結されて示される。ロボット160は、シャーシ(図示せず)またはハウジング(図示せず)などの、プローブアセンブリ104の他の構造体に連結される場合がある。
【0038】
ダイナミックカプラ102Aは、第1の部分204Aおよび第2の部分204Bを含み得る。第1の部分204Aおよび第2の部分204Bは互いに連結して、第1の部分204Aに接続されたデバイスを、第2の部分204Bに接続されたデバイスに流体連結し得る。
図2Bに表わされた実施形態において、第1の部分204Aは、液体ライン106の一部として示され、第2の部分204Bは、第1の部分204A(例えば液体ライン106)を受ける、より大きいデバイスとして示される。いくつかの実施形態において、第1の部分は、より大きいデバイスを指し、第2の部分は、液体送達ライン110Aの端部などの、より小さいデバイスを指し得る。したがって、第1の部分および第2の部分に対する言及は、交換可能である。したがって、いくつかの実施形態において、より大きい部分すなわち第2の部分204Bは、液体ライン106に接続され、第1の部分204Aは、液体送達ライン110Aの端部であってもよい。
【0039】
プローブアセンブリ104は、カプラ212に連結されたポート210を伴う、ポンプ208を含み得る。カプラ212は、液体封止をもたらす任意のタイプのカプラであってよい。いくつかの実施形態において、カプラ212はダイナミックカプラであってよい。カプラ212は、カプラ212の下方のプローブアセンブリ104において、アイテムの取り外しおよび/または交換を可能にする。ポンプ208は、液体を吸引および分注して、本明細書で説明するピペット103に液体を出し入れさせることができる。いくつかの実施形態において、ポンプ208はシリンジポンプであってもよく、処理液などの液体を収納するためのアキュムレータを含み得る。
【0040】
カプラ212、液体ライン214の第1の端部213、および液体ライン106は、弁アセンブリ216に流体連結される。弁アセンブリ216は、ポンプ、または液体ライン106のいずれのデバイスが、液体ライン214に連結され、最終的にピペット103に連結するかを決定し得る。例えば、洗浄サイクルの間、弁アセンブリ216は、液体ライン106を液体ライン214に連結し、ポンプ208を液体ライン214から接続解除し得る。いくつかの実施形態において、弁アセンブリ216は、プローブアセンブリ104が別の位置にあるときに、処理液を分注するように、処理液がポンプ208に連結されたリザーバまたはアキュムレータに進むのを可能にする。ピペット103が吸引または分注している間、弁アセンブリ216は、ポンプ208を液体ライン214に連結し、液体ライン106を液体ライン214から接続解除し得る。
【0041】
図2Aおよび
図2Bに表わされた実施形態において、液体ライン214内の流体を加熱するように、液体ライン214はヒータ要素218と接触し得る。例えば、ヒータ要素218は円筒形であってよく、液体ライン214は、ヒータ要素218の周りに巻き付き、すなわち螺旋状に進み得る。いくつかの実施形態において、ヒータ要素218は受動デバイスである。例えば、試薬の吸引中または他の後続プロセス中に、高温液体がヒータ要素218を流れて通過して、液体ライン214内の液体に熱を移すとき、受動デバイスは、洗浄段階中に熱くなり得る。いくつかの実施形態において、ヒータ要素218は能動的であり、温度制御器166(
図1)によって制御される。液体ライン214の第2の端部220は、ピペット103の第1の端部222と流体連結される。
【0042】
液体ライン214は、ピペット103の中に吸引される液体(標本など)を含むために十分大きい容積を有し得る。
図2Aおよび
図2Bの実施形態において、液体ライン214の容積は、ヒータ要素218の周りに巻き付いた液体ライン214の部分など、液体ライン214の長さによって作り出される。液体ライン214の大きい容積は、吸引した液体が、清浄が困難な場合がある弁アセンブリ216に接触するのを防止する。
【0043】
ピペット103および関連の構成要素を洗浄するプロセス中、処理液122は、ダイナミックカプラ102Aによってプローブアセンブリ104に流体連結される。例えば、ロボット160は、ロボット制御器162(
図1)から受ける信号によって、プローブアセンブリ104を、ピペット103が洗浄ステーション139に位置される箇所に動かし得る。弁154は、フラッシュポンプ152が、タンク120と液体送達ライン110Aとの間に連結されるように、構成される。次に、フラッシュポンプ152が起動され、処理液122を液体送達ライン110Aの中に強制的に入れる。処理液122は、液体送達ライン110Aを通過してヒータ112Aに至り、そこで処理液122は、所定の温度まで加熱される。
【0044】
処理液122は、ダイナミックカプラ102Aを流れ抜け、液体ライン106に入る。弁アセンブリ216は、液体ライン106を液体ライン214に連結するよう設定される。したがって、処理液122は、液体ライン214を通過してピペット103の内部に入り、そこでピペット103を洗浄する。プローブアセンブリ104が受動式のヒータ要素218を含む実施形態において、ヒータ112Aによって加熱された処理液122は、ヒータ要素218を暖める。プローブアセンブリ104が能動式のヒータ要素218を含む実施形態において、ヒータ要素218は、液体ライン214内の処理液122、または液体ライン214内の他の流体に、さらなる加熱をもたらし得る。液体ライン106、液体ライン214、ヒータ112A、および/または処理液122の経路の他の位置における温度センサ(図示せず)は、処理液122の温度を計測し、温度制御器166に温度情報を提供し得る。次に温度制御器166は、命令をヒータ112Aおよび/またはヒータ要素218に送り、処理液122の温度が所定の温度を下回る場合、処理液122を加熱し得る。
【0045】
ピペット103が洗浄された後、ロボット160は、プローブアセンブリ104を別の位置に動かし得る。例えば、ロボット制御器162は、ロボット160をz方向に動かし、ダイナミックカプラ102Aが液体ライン106から液体送達ライン110Aをデカップリングする命令を送り得る。ダイナミックカプラ102Aは、液体ライン106がダイナミックカプラ102Aからデカップリングされたときに、液体が流れるのを防止し得る。例えば、ダイナミックカプラ102Aにおける液体ライン106の存在は、液体がダイナミックカプラ102Aを流れ抜けるのを可能にする弁(図示せず)を起動し得る。液体ライン106が液体送達ライン110Aから外されたとき、弁は液体がダイナミックカプラ102Aを流れ抜けるのを防止し得る。したがって、処理液122が、ダイナミックカプラ102Aから漏れてハウジング134に入るのを防止する。処理液は、プローブアセンブリ104がダイナミックカプラ102Aからデカップリングされた後、液体ライン214または他のリザーバに留まり得る。
【0046】
液体ライン106の端部226は、液体ライン106がダイナミックカプラ102Aに受けられない限り液体の流れを防止するダイナミックカプラ102Aにおいて、上述の弁と同様の弁(図示せず)を有し得る。端部226における、このような弁は、液体ライン106がダイナミックカプラ102Aからデカップリングされたときに、液体ライン106および/または液体ライン214内の液体が、ピペット103または液体ライン106から漏れるのを防止する。このような漏れは、処理液の経路に空気を侵入させる場合があり、これはプローブアセンブリ104の動作および/または性能を妨害し得る。
【0047】
端部226は、ダイナミックカプラ102Aの第2の部分204Bにおける同様のテーパ部に受けられるように、テーパが付けられる場合がある。このテーパ部は、ロボット160が、プローブアセンブリ104をダイナミックカプラ102Aの第2の部分204Bの上に下降させる際に、洗浄ステーション139に関連する特定の位置への、プローブアセンブリ104の位置合わせをもたらし得る。
【0048】
さらに
図2Cおよび
図2Dを参照する。
図2Cおよび
図2Dは、ダイナミックカプラ102Aの実施形態の拡大側断面図を示す。
図2Cは、デカップリングされた状態のダイナミックカプラ102Aを示し、
図2Dは、連結された状態のダイナミックカプラ102Aを示す。ダイナミックカプラ102Aの第1の部分204Aは、任意の好適なロボット160によって可動となり得る。ダイナミックカプラ102Aの部分204Bは任意の好適な方法で固定され、実質的に静止している。好適に連結されたとき、密閉封止をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、密閉封止は、任意の2つの封止部材の相互作用および係合によって、もたらされる場合がある。例えば、ダイナミックカプラ102Aの第2の部分204Bは、テーパ付き部分260を含むことができる。テーパ付き部分260は、第1の部分204Aのテーパ付き端部226を受け、かつ連結するようサイズが決められ、構成される。第2の部分204Bは、開口部またはポート261も含み得る。開口部またはポート261は、接続デバイス262によって液体送達ライン110Aなどの液体ライン、またはダイナミックカプラ102Bへの接続によって液体送達ライン110Bなどの液体ライン、に連結されるように構成される。
【0049】
端部226は、凹部264を含み、凹部264は、その中に受けられる封止部材266を有する。いくつかの実施形態において、封止部材266は、ゴムまたは他の好適な弾性材料で形成されたOリングとすることができる。ダイナミックカプラ102Aが、
図2Dに表わされるように連結された状態のとき、封止部材266は、テーパ付き部分260に接触かつ封止して、液体が、第1の部分204Aと第2の部分204Bとの間から漏洩するのを防止し得る。他の実施形態において、テーパ付き部分260は、ゴム、熱可撓性エラストマー(TPE)、シリコーンなどのエラストマーなど、封止材料から作られるか、または含み得る。端部226がテーパ付き部分260に接触するとき、端部226およびテーパ付き部分260は、密閉封止を形成する。
【0050】
第1の部分204Aは、液体が第1の部分204Aの端部226から漏出するのを防止する、逆止弁270を含み得る。例えば、逆止弁270は、ダイナミックカプラ102Aが連結された状態のときに、液体が第1の部分204Aから進んで液体送達ライン110Aに入るのを防止し得る。逆止弁270は、ダイナミックカプラ102Aがデカップリングされた状態のとき、液体が、第1の部分204Aから漏出するのも防止し得る。
【0051】
第1の部分204Aおよび第2の部分204Bは、プローブアセンブリ104を、端部226が第2の部分204Bに受けられるマイナス(-)z方向に並進運動させるロボット160によって、共に連結し得る。ロボット160は、力をマイナスz方向に加え、封止部材266がテーパ付き部分260に対して封止するのを可能にする。このような構成において、液体が、ダイナミックカプラ102Aから漏洩するのを防止する。デカップリングは、第1の部分204Aを第2の部分204Bから外すように、プローブアセンブリ104をプラス(+)z方向に並進運動させるロボット160によって実現される。任意の他の好適で迅速な封止方法および連結/デカップリング方法が利用され、第1の部分204Aと第2の部分204Bとの間を封止し得る。
【0052】
他の機構が、ダイナミックカプラ102Aに使用される場合がある。例えば、機械式掛止が、第1の部分204Aおよび第2の部分204Bが共に力を加えられたとき、第1の部分204Aを第2の部分204Bに固定し得る。アクチュエータまたはソレノイドなどのデバイス(図示せず)が、第1の部分204Aを第2の部分204Bから解放するように、機械式掛止を解放するために起動される場合がある。
【0053】
図1をさらに参照すると、ピペット103が使用されて、標本140、試薬144、および/または処理液122を吸引および分注し得る。例えば、「追跡方法」において、ロボット制御器162によって生成された制御信号に基づき、ロボット160は、ある体積の標本140を含む標本容器142の中にピペット103を位置付け得る。次にポンプ208は、ある体積の標本140を、例えば流れ制御器164からの適切な信号を介して、ピペット103内部に引き込み得る(吸引し得る)。次にロボット160は、プローブアセンブリ104を反応容器170に動かし、標本140をピペット103によって反応容器170の中に移し得る(分注し得る)。
【0054】
分注作業中、処理液122は、プローブアセンブリ104、具体的にはピペット103および液体ライン214に含まれた標本140と流体連結し、かつ温度接触し得る。ポンプ208の動作は、液体ライン214内の処理液122の流れ、したがって、そこに流体連結された標本140の流れを起こし、おそらくはそれらと接触する(またはおそらくは小さい空気泡によって分離される)。標本140のこの分注は、ある体積の処理液122を液体ライン214およびピペット103から、反応容器170の中に分注することによって追跡される(
図1)。同様に、ピペット103(または異なるピペットおよび処理液122を液状ビヒクルとして利用する計量装置)は、必要に応じて試験作業のため、試薬容器146から試薬144も吸引して、試薬144を反応容器170の中に分注し得る。他の、または異なる要素の液体を、プローブアセンブリ104によって吸引し、反応容器170に分注し得る。
【0055】
図3Aおよび
図3Bを参照する。
図3Aおよび
図3Bは、洗浄ステーション300などのステーション、ならびにプローブアセンブリ302を示す。洗浄ステーション300は、洗浄ステーション300に連結された剛体の液体送達ライン310を含み得る。剛体の液体送達ラインは、垂直に延び得る液体ラインを含み、ダイナミックカプラ312の少なくとも一部を支持し得る。ダイナミックカプラ312は、
図2Cおよび
図2Dのダイナミックカプラ102Aと同じ、または同様であってよい。したがって、ダイナミックカプラ312は、第1の部分312Aおよび第2の部分312Bを含み得る。プローブアセンブリ302が、洗浄ステーション300の中に並進運動されるとき、第1の部分312Aおよび第2の部分312Bは、上述のように連結する。洗浄ステーション300は洗浄槽316を含み得る。洗浄槽316から剛体の液体送達ライン310は延びる。いくつかの実施形態において、洗浄槽316および剛体の液体送達ライン310は、一体で形成される。他の実施形態において、剛体の液体送達ライン310は、洗浄ステーション以外のステーションから延びてよい。
【0056】
洗浄槽316、または洗浄ステーション300の他の部分は、液体送達ライン110Aから受けた処理液を加熱するヒータ320を含み得る。ヒータ320は、加熱された処理液を剛体の液体送達ライン310に放出し得る。他の実施形態において、ヒータ320は、剛体の液体送達ライン310または洗浄槽316の外部など、他の箇所に位置される。
【0057】
図3Bは、洗浄ステーション300から外されたプローブアセンブリ302を示す。例えば、ロボット160は、プローブアセンブリ302をz方向に動かして、ダイナミックカプラ312の第1の部分312Aを第2の部分312Bからデカップリングする。プローブアセンブリ302は、プローブアセンブリ302に取り付けられた第1の部分312Aを伴う端部328を有する、液体ライン106を含み得る。ダイナミックカプラ312の第1の部分312Aはテーパが付けられ、ダイナミックカプラ312の第2の部分312Bは、第1の部分312Aのテーパ部と適合するテーパ部330を含み得る。第1の部分312Aおよびテーパ部330は、案内部または位置合わせデバイスであってよい。それらは、プローブアセンブリ302が洗浄ステーション300上に下降される際に、プローブアセンブリ302を洗浄ステーション300に位置合わせする。端部328はテーパ部330に受けられ、ピペット103は洗浄槽316内の特定の位置内に位置合わせされる。
【0058】
図4Aおよび
図4Bを参照する。
図4Aおよび
図4Bは、洗浄ステーション400およびプローブアセンブリ402を示す。
図4Aは、プローブアセンブリ402に連結された洗浄ステーション400の側面図を示し、
図4Bは洗浄ステーション400からデカップリングされたプローブアセンブリ402を示す。洗浄ステーション400は、洗浄ステーション400に連結された剛体の液体送達ライン410を含み得る。液体送達ライン410の端部は、ダイナミックカプラ412の第2の部分412Bに取り付けられる。他の実施形態において、ダイナミックカプラ412の第2の部分412Bは、液体送達ライン410を使用せずに洗浄ステーション400に直接連結される。ダイナミックカプラ412は、
図2Cおよび
図2Dのダイナミックカプラ204と同様または同型であってよい。洗浄ステーション400は洗浄槽416を含んでよく、そこに液体送達ライン410は連結される。いくつかの実施形態において、洗浄槽416および剛体の液体送達ライン410は、一体で形成される。
【0059】
洗浄槽416、または洗浄ステーション400の他の部分は、液体送達ライン110Aから受けた処理液を加熱するヒータ420を含み得る。ヒータ420は、加熱された処理液を液体送達ライン410に放出し得る。他の実施形態において、ヒータ420は、液体送達ライン410または洗浄槽416の外部など、他の箇所に位置される。
【0060】
プローブアセンブリ402は、ピペット103と、処理液をプローブアセンブリ402の中に受ける液体ライン430とを含み得る。液体ライン430は、ダイナミックカプラ412の第1の部分412Aを有する端部432を含み得る。液体ライン430は、可撓性または剛体であってよい。支持部材436は、ピペット103および液体ライン430に取り付けられ、液体ライン430に剛性をもたらし得る。支持部材436は、プローブアセンブリ402を洗浄ステーション400に連結する間に、ダイナミックカプラ412の第1の部分412Aと第2の部分412Bとの位置合わせもする。支持部材436は、液体ライン430を少なくとも部分的に囲んでよく、それによって可撓性の液体ライン430はダイナミックカプラ412の中に押し込まれる。いくつかの実施形態において、支持部材436は、プローブアセンブリ402が洗浄ステーション400に連結されたときに、ダイナミックカプラ412に近接または隣接して延びる。
【0061】
図4Bは、洗浄ステーション400から外された、またはデカップリングされたプローブアセンブリ402を示す。例えば、ロボット160は、プローブアセンブリ402をz方向に動かして、ダイナミックカプラ412の第1の部分412Aを第2の部分412Bからデカップリングする。第1の部分412Aを含む端部432には、テーパが付いている。ダイナミックカプラの第2の部分412Bは、端部432と同様のテーパ部434を含み得る。端部432およびテーパ部434は、案内部または位置合わせデバイスであってよい。それらは、プローブアセンブリ402が洗浄ステーション400上に下降される際に、プローブアセンブリ402を洗浄ステーション400に位置合わせする。端部432がテーパ部434に受けられるとき、ピペット103は洗浄槽416内の特定の位置内に位置合わせされる。
【0062】
方法の態様によれば、1つまたはそれ以上の実施形態によるプローブアセンブリに液体を提供する方法を、次に
図5を参照して説明する。方法500は、502において、プローブアセンブリに連結された液体ライン(例えば液体ライン106)に、ダイナミックカプラ(例えばダイナミックカプラ102A)の第1の部分(例えば第1の部分204A)を設けることと、504において、プローブアセンブリの外部で液体源(例えばタンク120)と流体連通した、ダイナミックカプラの第2の部分(例えば第2の部分204B)を設けることと、を含む。方法は、506において、プローブアセンブリを、ダイナミックカプラの第1の部分がダイナミックカプラの第2の部分と連結する箇所に動かすことを含み、508において、液体源からダイナミックカプラおよび液体ラインを介して液体(例えば処理液122)を提供することを含む。
【0063】
本開示は、様々な変更および代替の形態を受け入れることができる一方で、具体的なアセンブリおよび装置の実施形態およびその方法が、例として図に示され、詳細に説明された。しかし、開示した特定のアセンブリ、装置、または方法に、本開示を限定することは意図されず、反対に、特許請求の範囲内にある全ての変更、同等物、および代替を網羅することが意図されることを理解すべきである。