(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】オレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマー及びそれを含有する硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 15/00 20060101AFI20220411BHJP
C08L 25/16 20060101ALI20220411BHJP
C08K 3/06 20060101ALI20220411BHJP
C08K 5/40 20060101ALI20220411BHJP
C08K 5/43 20060101ALI20220411BHJP
C08K 5/435 20060101ALI20220411BHJP
C08C 19/22 20060101ALI20220411BHJP
C08C 19/20 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C08L15/00
C08L25/16
C08K3/06
C08K5/40
C08K5/43
C08K5/435
C08C19/22
C08C19/20
(21)【出願番号】P 2020554186
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019024930
(87)【国際公開番号】W WO2019195116
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】グエン ポール ティー クー
(72)【発明者】
【氏名】トリパシー ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】マン ジェイソン エイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユアン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ブロック エドワード ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ディアス アントニー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンダ アブドゥル エム
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514744(JP,A)
【文献】特開2000-26542(JP,A)
【文献】特開昭50-89449(JP,A)
【文献】米国特許第03645935(US,A)
【文献】特表2011-503322(JP,A)
【文献】特表2009-517524(JP,A)
【文献】特表2009-501841(JP,A)
【文献】特表2016-501308(JP,A)
【文献】特表2016-505676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L7/00~25/16
C08L51/00~51/10
C08K3/00~5/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イソブチレン系官能化ポリマー;並びに
(b)下記:
(i)
テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される硫黄供与体;
(ii)硫黄と硫黄供与体のブレンド;及び
(iii)促進剤硬化系
の1種又はいずれかの組み合わせ
を含むイソブチレン系ポリマー組成物
であって、
前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)アミンイオノマーであり、このアミンイオノマーは、1つ以上のペンダントビニル基を有する1°、2°、又は3°アミン求核試薬を含むか、又は
前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)ホスフィンイオノマーであり、このホスフィンイオノマーは、ジフェニルホスフィノスチレン、アリルジフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、トリアリルホスホスフィン、又はその組み合わせを含む、
組成物の総質量に基づいて0.01wt%未満の亜鉛を有する前記イソブチレン系ポリマー組成物。
【請求項2】
前記官能化ポリマー中に存在する前記アミンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、請求項
1に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
【請求項3】
前記官能化ポリマー中に存在する前記ホスフィンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、請求項
1に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
【請求項4】
前記促進剤硬化系が、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタートの1種以上を含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
【請求項5】
(a)イソブチレン系化官能化ポリマー;並びに
(b)下記:
(i)
テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される硫黄供与体;
(ii)硫黄と硫黄供与体のブレンド;及び
(iii)促進剤硬化系;
の1種又はいずれかの組み合わせ
を含む熱硬化性組成物であって、
前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)アミンイオノマーであり、このアミンイオノマーは、1つ以上のペンダントビニル基を有する1°、2°、又は3°アミン求核試薬を含むか、又は
前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)ホスフィンイオノマーであり、このホスフィンイオノマーは、ジフェニルホスフィノスチレン、アリルジフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、トリアリルホスホスフィン、又はその組み合わせを含む、
前記組成物には実質的に亜鉛が含まれない、
前記熱硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、参照によってそれらの内容全体をここに援用する2018年4月3日に提出されたUSSN 62/651,980及び2018年5月16日に提出されたEP出願第18172741.3号に対する優先権及びそれらの利益を主張する。
発明の分野
本開示は、一般的に、硬化性組成物に有用な官能化イソブチレン系ポリマーに関し、より詳細にはオレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマー及びそれを含有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
イソブチレン系エラストマーの硬化は、一般的に、汎用性ゴムの硬化より複雑である(Powers, K.W. et al., Functionalized Copolymers of Para-AlkylStyrene/Isoolefin Prepared by Nucleophilic Substitution, CA 2009681)。例えば、イソブチレン共パラ-メチルスチレンエラストマー組成物は、最終製品に改善された透過特性を与えるが、ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)(「BIMSM」)組成物の使用は、他のブチル系組成物に比べて欠点を有する。これらの欠点としては、限定された硬化多用途性がある。
さらに、硬化系に関係なく、イソブチレン系ポリマー組成物において隣接成分間の加硫速度が類似していなければならない。その他の点では優れた機械的特性があるのに、架橋及び硬化中に良好な界面接着がもたらされないので、該組成物中の種々のポリマーの相容れない硬化速度が複合材料の分離を引き起こす恐れがある。
【0003】
特有の硬化系の選択は、熱硬化性製品のポリマータイプ及び特有の社内(in-service)要件のファンクションであるが、イソブチレン系エラストマー用の硬化系は、硫黄をベースとし、酸化亜鉛系等の金属酸化物を使用することが多い。さらに、イソブチレン系エラストマーの主鎖は高度に飽和しているので、効率的な加硫のためには超高速促進剤が必要である。多くの超高速促進剤はニトロソアミン発生物質であり、このような促進剤の使用は推奨されない。
さらに、イソブチレン系ポリマーの多数のタイプに適した加硫化学は多様になり得る。例えば、主鎖に炭素-炭素二重結合が存在せず、反応性ベンジリックブロミドが存在するので、BIMSMの加硫化学は、他のイソブチレン系エラストマーのものとは異なる。S. Solis, et al., How to Pick Proper Model Vulcanization Systems: Part 2 of 2, Rubber World, July 9, 2007を参照されたい。臭素化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)は硫黄供与体又は硫黄/硫黄供与体系のみでは十分に架橋しないであろう。
それ故に、BIMSMの架橋は、一般的にハロゲン化亜鉛によって触媒されるフリーデル・クラフツアルキル化反応経由の炭素-炭素結合の形成を伴う。その次に、ステアリン酸がBIMSM加硫の促進剤として機能する。酸化亜鉛とステアリン酸との間の反応生成物として形成されたステアリン酸亜鉛は、BIMSMと反応してベンジリック臭素を置き換えることができる。報告されているように、ステアリン酸の非存在下では、硬化速度は非常に低い。
従って、普通の促進剤及び硫黄供与体を用いて、亜鉛又は酸化亜鉛活性剤を使用せずに熱硬化性樹脂を形成できる官能化イソブチレン系ポリマーに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本明細書では、オレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマーと、硫黄供与体及び/又は促進剤硬化系とを含むイソブチレン系ポリマー組成物を提供する。ある態様では、官能化ポリマーは、オレフィン側鎖置換基を含有するポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)である。イソブチレン系ポリマー組成物は、さらに少なくとも1種のフィラーを含むことができる。ある態様では、フィラーは、カーボンブラック、ホワイトフィラー及び/又はその混合物の群から選択される。ある態様では、硫黄供与体は、テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される。ある態様では、促進剤硬化系は、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタート(zanthate)の1種以上を含む。ある態様では、促進剤硬化系はN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」)又はジフェニルグアニジンである。
【0005】
また、本明細書では、オレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマーと、硫黄供与体及び/又は促進剤硬化系とを含む無亜鉛熱硬化性組成物を提供する。ある態様では、イソブチレン系ポリマーは、オレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン共パラ-メチルスチレンである。無亜鉛熱硬化性組成物は、さらに少なくとも1種のフィラーを含むことができる。ある態様では、フィラーは、カーボンブラック、ホワイトフィラー及び/又はその混合物の群から選択される。ある態様では、硫黄供与体は、テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される。ある態様では、促進剤硬化系は、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタートの1種以上を含む。ある態様では、促進剤硬化系はN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」)又はジフェニルグアニジンである。
【0006】
本明細書で使用する用語「無亜鉛組成物」は、「実質的に亜鉛を含まない」か、又は他の表現では組成物の総質量に基づいて0.01wt%未満の亜鉛を有する組成物を指す。
さらに本明細書ではオレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマーと、硫黄供与体及び/又は促進剤硬化系とを含むゴム組成物を提供する。ある態様では、オレフィン側鎖置換基を有するイソブチレン系ポリマーは、ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)である。ゴム組成物は、さらに少なくとも1種のフィラーを含むことができる。ある態様では、フィラーは、カーボンブラック、ホワイトフィラー及び/又はその混合物の群から選択される。ある態様では、硫黄供与体は、テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される。ある態様では、促進剤硬化系は、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタートの1種以上を含む。ある態様では、促進剤硬化系はN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」)又はジフェニルグアニジンである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ジメチル大豆アルキルアミン(soyalkylamine)(Armeen DMSVD、AkzoNobel)から誘導されたBIMSM-アミンイオノマーのプロトンNMR分光測定を利用した特徴づけであり、オレフィンシグナルに対して5.38ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)をも示している。
【
図1B】ポリオキシエチレン大豆アルキルアミン(Ethomeen S/15、AkzoNobel)から誘導されたBIMSM-アミンイオノマーのプロトンNMR分光測定を利用した特徴づけであり、~CH
2Oに対して3.67ppm及びオレフィンシグナルに対して5.38ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)をも示している。
【
図2】ジフェニルホスフィノスチレン(Sigma Aldrich)から誘導されたBIMSM-ホスフィンイオノマーのプロトンNMR分光測定を利用した特徴づけであり、オレフィンシグナルに対して5.31、5.51、5.96ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)をも示している。
【
図3】乾燥ポリマーのプロトンNMR分光測定を利用した特徴づけであり、メチレンプロトン(~CH
2Br)の完全な消失と、~CH
2Oに対して4.5ppm及びオレフィンシグナルに対して5.1ppmに現れる新しい共鳴を示しており、24時間の最後の完全な変換を示唆している。
【
図4】乾燥ポリマーのプロトンNMR分光測定を利用した特徴づけであり、EXXPRO(商標)3745のベンジルブロミドの、生成物のベンジルエーテルへの約50%の変換を示している。
【
図5】DPTT硬化剤による変性BIMSM-イオノマー対BIMSMのMDR硬化プロファイルを示す。
【
図6】DPTT及び硫黄硬化系による変性BIMSM-イオノマー(ポリエチレンアルキルアミン)対BIMSMのMDR硬化プロファイルを示す。
【
図7】DPTT硬化剤によるシトロネロール官能化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)対BIMSMのMDR硬化プロファイルを示す。
【
図8】DPTT及び硫黄硬化系によるシトロネロール官能化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)対BIMSMのMDR硬化プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施形態の説明
本明細書では、請求項に係る発明を理解するために採用される典型的な実施形態及び定義を含め、種々の特定の実施形態、型及び例を記載する。下記詳細な説明は、特定の好ましい実施形態を与えるが、これらの実施形態は単に例示であり、本発明は他の方法で実施できることを当業者なら理解するであろう。侵害を判定するために、本発明の範囲は、添付の請求項のいずれか1つ以上に、列挙されるものと同等であるそれらの等価物、及び要素又は制限を含めて関係することになる。「発明」へのいずれの言及も、請求項によって規定される本発明の1つ以上を指すこともあるが、必ずしも全てではない。
本願の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、実験の誤差及び変動を考慮して、表示値に「約(about)」又は「約(approximately)」を付して修飾してある。
【0009】
本開示の目的では、下記定義を適用する。
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、例えば、メチル基(CH3)、又はエチル基(CH3CH2)のような式から1個以上の水素を落とすことによってアルカンから導くことができるパラフィン系炭化水素基を指す。
用語「エラストマー」は、用語「ゴム」と互換的に使用することもあり、少なくとも1種のエラストマーを含むいずれの組成物をも指す。
用語「ゴム」は、ASTM D1566の定義:「大きい変形から回復することができ、かつ沸騰溶媒中で本質的に不溶性である(が、膨張できる)状態に変性され得るか、又は既に変性されている材料」と一致するいずれのポリマー又はポリマー組成物をも指す。
本明細書で使用する場合、用語「ゴム」には、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状分岐ポリイソブチレンゴム、星状分岐臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム;ハロゲン化ポリ(イソブチレン共p-メチルスチレン)、例えば、イソブチレン由来単位と、p-メチルスチレン由来単位と、p-ブロモメチルスチレン由来単位とのターポリマー(BrIBMS)等、並びに米国特許第5,162,445号、第4,074,035号、及び第4,395,506号にあるような同様のハロメチル化芳香族インターポリマー;ハロゲン化イソプレン及びハロゲン化イソブチレンコポリマー、ポリクロロプレン等、及び上記のいずれかの混合物の少なくとも1種又は数種が含まれるが、これらに限定されない。ハロゲン化ゴムは、米国特許第4,703,091号及び第4,632,963号にも記載されている。
【0010】
用語「phr」は、ゴム100部当たりの部を意味し、総エラストマーに対して測定してエラストマー(ゴム成分)の100質量部に対する組成物の成分の尺度である。総phr(又は1、2、3種、若しくはそれより多くの異なるゴム成分であれ、全てのゴム成分についての部)は、常に100phrと定義される。全ての他の非ゴム成分は、100部のゴムの比率であり、phrで表される。
用語「イソオレフィン」は、C4-C7化合物を指し、限定するものではないが、イソブチレン、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられる。マルチオレフィンは、C4-C14共役ジエン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、シクロペンタジエン、ヘキサジエン及びピペリレンである。典型的ポリマーは、92~99.5wt%のイソブチレンを0.5~8wt%のイソプレンと反応させるか、又は95~99.5wt%のイソブチレンを0.5~5.0wt%のイソプレンと反応させることによって得ることができる。
【0011】
用語「置換された」は、少なくとも1個の水素基が、例えば、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素)、アミノ、ニトロ、スルホキシ(スルホナート又はアルキルスルホナート)、チオール、アルキルチオール、及びヒドロキシ;1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、二級ブチル、三級ブチル等;1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、二級ブトキシ、三級ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、及びデシルオキシ等;1~20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のハロゲンで置換されている直鎖又は分岐鎖アルキルを意味するハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2-フルオロエチル、3-クロロプロピル、3-ブロモプロピル、3-フルオロプロピル、4-クロロブチル、4-フルオロブチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、ジフルオロメチル、ジヨードメチル、2,2-ジクロロエチル、2,2-ジブロモエチル、2,2-ジフルオロエチル、3,3-ジクロロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、4,4-ジクロロブチル、4,4-ジブロモブチル、4,4-ジフルオロブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,3,3-トリフルオロプロピル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、及び2,2,3,3-テトラフルオロプロピル等から選択される少なくとも1つの置換基に置き換えられていることを意味する。従って、例えば、「置換されたスチレン単位」としては、p-メチルスチレン、及びp-エチルスチレン等が挙げられる。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語イソブチレン系ポリマー組成物を「ブチル系組成物」、「ブチル系エラストマー組成物」、「ブチル系ポリマー組成物」、及び/又は「イソブチレン系エラストマー組成物」と呼ぶことがある。用語「イソブチレン系エラストマー」及び「イソブチレン系ポリマー」は互換的に使用可能であり、それぞれイソブチレンからの複数の反復単位を含むポリマーを指す。「イソブチレン系エラストマー」又は「イソブチレン系ポリマー」は、イソブチレンからの反復単位を少なくとも70モルパーセント含むエラストマー又はポリマーを指す。
本明細書に記載する場合、ゴムはハロゲン化ゴム又はハロゲン化ブチルゴム、例えば臭素化ブチルゴム又は塩素化ブチルゴムであり得る。ハロゲン化ブチルゴムの一般特性及び処理はTHE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK 105-122 (R. F. Ohm ed., R.T. Vanderbilt Co., Inc. 1990)、及びRUBBER TECHNOLOGY 311-321 (1995)に記載されている。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及び星状分岐ブチルゴムは、E. Kresge及びH. C. Wangによって8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY 934-955 (John Wiley & Sons, Inc. 4th ed. 1993)に記載されている。
【0013】
ブチルゴムは、ヘキサン希釈剤中、40~60℃で、ハロゲン化剤として臭素(Br2)又は塩素(Cl2)を用いてハロゲン化することができる。ハロゲン化ブチルゴムは、20~70、又は25~55のムーニー粘度(ML 1+8、125℃)を有する。ハロゲン含量は、ハロゲン化ブチルゴムの質量に基づいて0.1~10wt%又は0.5~5wt%である。ハロゲン化ブチルゴムのハロゲンwt%は1~2.2wt%である。
本明細書で使用する場合、「ハロゲン化ブチルゴム」は、ブチルゴムと「星状分岐」ブチルゴムの両方を指す。ハロゲン化ゴムは、C4(「C4」と記載することもある)-C7(「C7」と記載することもある)イソオレフィン及びマルチオレフィンのハロゲン化コポリマーであり得る。ハロゲン化ゴム成分は、ポリジエン又はブロックコポリマーと、C4-C7イソオレフィン及び共役、又は「星状分岐」ブチルポリマーのコポリマーとのブレンドであり得る。ハロゲン化ブチルポリマーは、C4-C7イソオレフィン由来単位、マルチオレフィン由来単位、及びハロゲン化マルチオレフィン由来単位を含むハロゲン化エラストマーと記載することができ、これには、「ハロゲン化ブチルゴム」と、いわゆる「ハロゲン化星状分岐」ブチルゴムが両方含まれる。
【0014】
ハロゲン化ブチルゴムは、ブチルゴムのハロゲン化から生成され得る。ハロゲン化は、いずれの手段で行なってもよく、本明細書では本発明はハロゲン化プロセスによって限定されない。ブチルポリマー等のポリマーのハロゲン化方法は、米国特許第2,631,984号、第3,099,644号、第4,554,326号、第4,681,921号、第4,650,831号、第4,384,072号、第4,513,116号及び第5,681,901号に開示されている。好ましくは、ハロゲン化ブチルゴム生成に用いるオレフィン重合供給原料には、ブチル型ゴムポリマーの調製に従来使用されているオレフィン化合物が含まれる。ブチルポリマーは、少なくとも1種の(1)C4-C7イソオレフィンモノマー成分、例えばイソブチレンを有するコモノマー混合物を、(2)マルチオレフィン、又は共役ジエンモノマー成分と反応させることによって調製される。イソオレフィンは、全コモノマー混合物の質量に基づいて70~99.5wt%、又は85~99.5wt%の範囲内であり得る。共役ジエン成分は、コモノマー混合物中に30~0.5wt%又は15~0.5wt%存在する。コモノマー混合物の8~0.5wt%が共役ジエンである。
【0015】
本明細書で使用する場合、EXXPRO(登録商標)は、イソブチレン及びイソプレンの触媒重合により生成され、かつタイヤ及び医療用管栓を含めた種々の民生用途に有用なExxonMobil製の臭素化イソブチレン共パラメチルスチレン(BIMSM)ゴム又はイソブチレン共パラ-メチルスチレン系エラストマーを指す。
本明細書で使用する場合、用語「ブロモブチル」又は「ブロモブチルポリマー」は、ExxonMobil Chemicalによって製造され、タイヤ及び種々の医療用途を含めた様々な民生用途で使用されるブチルゴムのファミリーである臭素化イソブチレン-イソプレン又は臭素化イソブチレン-イソプレンゴム(「BIIR」)を指す。
ある態様では、典型的ハロゲン化ブチルゴムはブロモブチル2222(ExxonMobil Chemical Company)である。BIIR 2222としても知られるブロモブチル2222は、比重0.93;ムーニー粘度目標値32、最小値28、及び最大値36;臭素組成目標値1.03%、最小値0.93%、及び最大値1.13%;並びにカルシウム組成目標値0.15%、最小値0.12%、及び最大値0.18%を有する、イソブチレン及びイソプレンの臭素化コポリマーを指す。さらに、ブロモブチル2222の硬化特性は以下のとおりである:MHは28~40dNmであり、MLは7~18dNmである(修正ASTM D2084)。
別の商業的に入手可能なハロゲン化ブチルゴムは、ブロモブチル2255(ExxonMobil Chemical Company)である。そのムーニー粘度は41~51であり(ML 1+8、125℃、修正ASTM 1646)、臭素含量は1.8~2.2wt%である。さらに、ブロモブチル2255の硬化特性は以下のとおりである:MHは34~48dNmであり、MLは11~21dNmである(修正ASTM D2084)。
【0016】
星状分岐ハロゲン化ブチルゴム(「SBHR」)は、ハロゲン化されているか又はされていないブチルゴムと、ハロゲン化されているか又はされていないポリジエン又はブロックコポリマーとの組成物である。このハロゲン化プロセスは、米国特許第4,074,035号、第5,071,913号、第5,286,804号、第5,182,333号及び第6,228,978号に詳述されている。第2のポリマーは、SBHRの形成方法によって限定されない。ポリジエン/ブロックコポリマー、若しくは分岐剤(以降、「ポリジエン」)は、典型的にカチオン反応性であり、ブチル若しくはハロゲン化ブチルゴムの重合中に存在するか又はブチル若しくはハロゲン化ブチルゴムとブレンドされてSBHRを形成することができる。分岐剤又はポリジエンは、いずれの適切な分岐剤であってもよく、本発明は、SBHRを作るために用いるポリジエンのタイプによって限定されない。
【0017】
SBHRは、典型的にブチル又はハロゲン化ブチルゴムと、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンジエンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレン及びスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーを含む群から選択されるポリジエン及び部分的ハロゲン化ポリジエンのコポリマーとの組成物である。これらのポリジエンは、モノマーのwt%に基づいて、0.3wt%超、又は0.3~3wt%又は0.4~2.7wt%存在する。
市販のSBHRは、27~37のムーニー粘度(ML 1+8、125℃、修正ASTM 1646)及びSBHRに対して2.2~2.6wt%の臭素含量を有するブロモブチル6222(ExxonMobil Chemical Company)である。さらに、ブロモブチル6222の硬化特性は以下のとおりである:MHは24~38dNmであり、MLは6~16dNmである(修正ASTM D2084)。
【0018】
用語「オレフィン」は、炭素と水素を含み、その構造中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する炭化水素鎖を有し、この炭素-炭素二重結合は芳香環の一部を構成しない、直鎖、分岐、又は環状化合物を指す。用語「オレフィン」は、それが単一の異性体を意味するように特定されているか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、オレフィンの全ての構造異性体型を包含するよう意図される。
本明細書で使用する場合、「ポリマー」は、2種以上の同一又は異なる「mer」単位を有する。「ホモポリマー」は、同一であるmer単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上のmer単位を有するポリマーである。コポリマーは、複数タイプのモノマーを有するポリマーを意味し、これにはインターポリマー、ターポリマー、又は高次ポリマーが含まれる。「ターポリマー」は、互いに異なる3種のmer単位を有するポリマーである。mer単位に関して「異なる」とは、mer単位が、少なくとも1個の原子によって互いに異なるか又は異性体的に異なることを意味する。本明細書では用語ポリオレフィンとポリマーを互換的に使用することがある。
【0019】
用語「コポリマー」は、C4-C7イソオレフィン由来単位とアルキルスチレンとのランダムポリマーを指す。例えば、コポリマーは、少なくとも85質量%のイソオレフィン、約8~約12質量%のアルキルスチレン、及び約1.1~約1.5wt%のハロゲンを含有し得る。例えば、コポリマーは、C4-C7α-オレフィンと、約8~約12質量%でメチルスチレン、及び1.1~1.5wt%の臭素又は塩素を含有するメチルスチレンとのランダムエラストマーコポリマーであり得る。或いは、イソブチレンとパラ-メチルスチレン(「PMS」)とのランダムコポリマーは、約4~約10モル%のパラ-メチルスチレン(このベンジル環に存在する25モル%までのメチル置換基は、臭素又は塩素原子、例えば臭素原子(パラ-(ブロモメチルスチレン)の場合)を含有する)、並びにその酸又はエステル官能化型を含有し得る。
本明細書で使用する場合、コモノマーは、直鎖又は分岐鎖状であり得る。直鎖コモノマーとしては、限定するものではないが、エチレン又はC4-C8α-オレフィン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンが挙げられる。分岐コモノマーとしては、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、及び3,5,5-トリメチル-1-ヘキセンが挙げられる。コモノマーにはスチレンが含まれる。
【0020】
本明細書で提供するイソブチレン系ポリマーの例としては、イソブチレン-イソプレンエラストマー、例えばブチルゴム(「IIR」)、ハロゲン化エラストマー、例えばブロモブチルゴム(「BIIR」)、クロロブチルゴム(「CIIR」)、星状分岐ブロモブチルゴム(「SBB」)」、及び星状分岐クロロブチル(「SBC」)及び臭素化イソブチレンパラ-メチルスチレン(「BIMSM」)が挙げられる。ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)エラストマー及び臭素化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)(「BIMSM」)は、現在、商品名EXXPRO(登録商標)で販売されている。
官能化ポリオレフィンは、1種以上の極性及び非極性官能性、すなわち、分子の特徴的化学反応の原因となる、分子内の原子又は結合の特有の基又は部分を有する官能化ポリマー(官能化オレフィンと呼ぶこともある)である。官能基は、ポリマー主鎖のサイズに関係なく同一又は類似の化学反応を受けることができ、化学反応及びポリマーの挙動の体系的予測並びに化学合成のデザインを可能にする。官能化されると、官能基の原子は、典型的に共有結合によって互いにポリマーに連結される。官能基の反応性は、近くの他の官能基によって変化することがある。
ランダム官能化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖に異なるタイプ、配置及び量の官能性を有する。官能化ポリオレフィンの分類には、ランダム官能化ポリオレフィン及びグラフトポリオレフィンがある。後官能化技術を利用して、既存ポリマー主鎖上に官能性(部分又は化学基)が付着される。
ポリオレフィン主鎖の後官能化のために、求核置換を経て主鎖上に官能性を付着させることができる。以下に例示するように、溶媒を使用しないか又はTHF、トルエン若しくはキシレン等の溶媒の存在下の溶液中でのリアクティブ混合を経て求核置換を行なうことができる。
【0021】
【0022】
【0023】
ポリオレフィンに官能基をグラフトすると、イソブチレン系ポリマーの特性の改善を実現させることができる。後重合反応として、グラフト化方法論は、官能性を受けやすい活性サイトを導入するためにポリオレフィンの高分子主鎖を化学的に変性させることができる。溶液中において、求核置換処理によって官能化ポリマーを生成することができる。例えば、欧州特許第497758B1号(この特許では反応が溶媒の存在下で行なわれた)を参照されたい。官能化イソブチレン系ポリマーを次に種々の系の下で架橋及び硬化させることができる。例えば、米国特許公開第2016/0108141号を参照されたい。
【0024】
このプロセス下で、変性され得るポリマーとしては、限定するものではないが、ハロゲン化イソオレフィンポリマー、ハロブチルゴム、星状分岐ブロモブチル、臭素化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)(「BIMSM」)、及び臭素化イソブチレン-イソプレン-パラ-メチルスチレンターポリマーが挙げられる。
しかしながら、上述したように、臭素化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)エラストマーは、天然ゴム及び他のイソブチレン系ポリマーより優れた多くの特性を示すが、BIMSMは、亜鉛又はZnOの使用によってのみ十分に硬化する(S. Solis, et al., How to Pick Proper Model Vulcanization Systems: Part 2 of 2, Rubber World, July 9, 2007)。例えば、多くの場合、カーボンブラック充填BIMSM化合物における1phrのZnO及び2phrのステアリン酸の使用は妥当な硬化状態を得るのに十分である(同文献)。さらに、ステアリン酸亜鉛はBIMSMを硬化できると同時に、ZnOの添加による逆戻りは最小限である。従って、十分なスコーチ及び耐加硫戻り性(reversion resistance)を有する加硫物を生成するBIMSM硬化系は、MBTS等のチアゾール、硫黄、ZnO及びステアリン酸を含有する。報告によれば、亜鉛が存在しない硬化系は、BIMSMにとって有効でないことになる(同文献)。
【0025】
さらに、イソブチレン系エラストマーは高度に飽和している。従って、イソブチレン系エラストマーは、効率的な硬化のため一般的に超高速促進剤、例えばチウラム(「TMTD」)及びジチオカルバマート(「ZDMC」)を必要とする。
一般的に、ハロゲン化ブチルゴムの開発は、より速い硬化速度を与え、かつ天然ゴム等の汎用性ゴムとスチレン-ブタジエンゴムの同時加硫を可能にすることによって、ブチル系ポリマーの有用性を拡張した。ブチルゴム及びハロブチルゴムは、例えば、優れた不透過性、良好な屈曲、良好な耐候性、ハロブチルの場合は高不飽和ゴムとの同時加硫といった特性の組み合わせを有するので高価値ポリマーである。この特性の組み合わせは、タイヤ本体に化学結合した空気保持インナーライナーを有する耐久性が高いチューブレスタイヤの開発を助けた(米国特許公開第2016/0108141号、段落[0005]~[0011])。
タイヤ用途に加えて、ハロブチルゴムの良好な不透過性、耐候性、耐オゾン性、振動減衰、及び安定性は、それらを医薬用栓、建築用シーラント、ホース、及び機械的物品用材料の良い候補にする。
他のゴムと同様に、ほとんどの用途では、有用な耐久性最終使用製品を得るためにハロブチルゴムをコンパウンド及び加硫(化学的に架橋)しなければならない。フィラー、加工助剤、安定剤、及び硬化剤の選択と割合は、化合物がどにように作用するかにも熱硬化性製品がどのように振る舞うかにも重要な役割を果たす。
【0026】
元素硫黄及び有機促進剤は、ブチルゴムを架橋するために広く使用されている。低レベルの不飽和は、チウラム又はチオカルバマート等の攻撃的促進剤を必要とする。加硫は、イソプレンサイトにて、アリル位に付着されるポリスルフィド架橋結合を進めて、アリル水素を置き換える。架橋結合1つ当たりの硫黄原子数は1~4又はそれより多い。ジオレフィン含量が増加し、結果として不飽和度が高くなれば硬化速度も硬化状態も増える。硫黄架橋結合は、持続性高温では安定性に限界がある。
ハロブチルゴムでは、アリルハロゲンの存在は、ハロゲンが求核置換反応においてより良い脱離基であるという事実のため、アリル水素より容易な架橋を可能にする。さらに、ブロモブチルは、クロロブチルより速く硬化し、高不飽和ゴムにより良好に接着する。
【0027】
本発明明細書で提供する場合、イソブチレン系ポリマー組成物(熱硬化性組成物及び/又はゴム組成物とも呼ばれる)は、オレフィン基側鎖置換基を有する官能化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)から調製される。硫黄又は硫黄供与体系のどちらかによる硬化を受けない臭素化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)又はBIMSMとは異なり、対象の合成されたイソブチレン系ポリマーは、部分的にアミン及びホスフィン基で一部置換されたベンジリックブロミドを有する。本イソブチレン系ポリマーは、硫黄供与体系を用いて、かつ酸化亜鉛活性剤を使用せずに容易に熱硬化性樹脂を形成できるアルケン鎖でさらに置換されている。このクリーンな無硫黄かつ無亜鉛硬化系は、医薬用ゴム栓等の非常に要求の高い用途に使用可能である。さらに、本熱硬化性組成物は、この新しいイソブチレン系ポリマーのためにEV又は半EV加硫系を用いるタイヤ用途でさらに有用である。
以下の実施例に記載のように、我々は、ベンジリックブロミドが部分的にアミン及びホスフィン基で置換されているのみならず、硫黄供与体系を用いて、酸化亜鉛又はステアリン酸亜鉛等のルイス酸を使用せずに容易に熱硬化性樹脂を形成できる長いアルケン鎖に完全に置き換えられている変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)を調製した。
例えば、ジメチル大豆アルキルアミンから誘導される変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)、BIMSM-アミンイオノマーは下記式を有する。
【0028】
【0029】
ポリオキシエチレン大豆アルキルアミンから誘導される変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)、BIMSM-アミンイオノマーは下記式を有する。
【0030】
【0031】
ジフェニルホスフィノスチレンから誘導される変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)、BIMSM-ホスフィンイオノマーは下記式を有する。
【0032】
【0033】
下記実施例は、当業者に完全な開示及び説明を与えるために提示するものであり、発明者らが自らの発明とみなすものの範囲を限定する意図ではない。
【実施例】
【0034】
実施例1
リアクティブ混合プロセスによる変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)-アミンイオノマーの調製
この実施例では、我々は、リアクティブ混合プロセスを経て変性BIMSM-アミンイオノマーを調製した。ブラベンダーインテリトルク(Intelli-torque)内部ミキサーで6型ローラーブレードを用いて全ての実験を行なった。ミキサー温度を120℃に設定した。60グラムのBIMSM(EXXPRO(商標)NPX 1602、ExxonMobil Chemicalからの実験生成物)エラストマーを30秒間60rpmsで溶かし、アミン求核試薬(0.5g若しくは0.13モル当量のArmeen DMSVD又は0.81グラム若しくは0.13モル当量のEthomene S/15)をゆっくりミキサーに添加した。添加が完了したら、化合物を10~12時間60rpmsで混合した。変性EXXPRO(商標)生成物をミキサーから取り出し、カーバー(Carver)プレスで2枚のテフロン(登録商標)シート間で押圧することによって室温まで冷却した。
ジメチル大豆アルキルアミン(Armeen DMSVD、AkzoNobel)(上記構造式)から誘導されたBIMSM-アミンイオノマーをプロトンNMR分光測定を利用して特徴づけると、
図1Aに示すように、オレフィンシグナルに対して5.38ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)も示された。
ポリオキシエチレン大豆アルキルアミン(Ethomeen S/15(AkzoNobel)から誘導されたBIMSM-アミンイオノマーをプロトンNMR分光測定を利用して特徴づけると、
図1Bに示すように、~CH
2Oに対して3.67ppm及びオレフィンシグナルに対して5.38ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)も示された。
【0035】
実施例2
リアクティブ混合プロセス経由の変性BIMSM-ホスフィンイオノマーの調製
ブラベンダーインテリトルク内部ミキサーで6型ローラーブレードを用いて全ての混合実験を行なった。ミキサー温度を120℃に設定した。60グラムのBIMSM(EXXPRO(商標)NPX 1602、ExxonMobil Chemicalからの実験生成物)エラストマーを30秒間60rpmsで溶かし、アミン求核試薬(0.5g又は約0.13モル当量のジフェニルジホスフィノスチレン)をゆっくりミキサーに添加した。添加が完了したら、化合物を10~12分間60rpmsで混合した。変性EXXPRO生成物をミキサーから取り出し、カーバープレスで2枚のテフロン(登録商標)シート間で押圧することによって室温まで冷却した。
ジフェニルホスフィノスチレン(Sigma Aldrich)から誘導されたBIMSM-ホスフィンイオノマーをプロトンNMR分光測定を利用して特徴づけると、
図2に示すように、オレフィンシグナルに対して5.31、5.51、5.96ppmに現れる新しい共鳴と共に、メチレンプロトン(~CH
2Br)も示された。
【0036】
実施例3
溶液プロセスを用いるエーテル化経由のシトロネロール側鎖置換基含有変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)の調製
シトロネロールとBIMSM(EXXPRO(商標)NPX 1602、ExxonMobil Chemicalからの実験生成物)エラストマーとの求核置換反応は、撹拌機及び冷却器を備えた5リットルのガラス反応器で行なった。99%THF(Sigma Aldrich)を3A分子ふるいに通すことによって乾燥テトラヒドロフラン(THF)(水ppm≦10ppm)を調製した。窒素ブランケット下で5リットルの反応器に4000グラムのEXXPRO(Mn=221000g/モル;5002g/モルBr;0.799モル)を加えた。ポリマーを既成乾燥THF(38リットル)に25℃で絶えず撹拌しながら12時間又はポリマーが溶解するまで溶かした。絶えず撹拌しながら1リットルの乾燥THF&1.45リットル(1247グラム、8.0モル)のシトロネロールをゆっくり加えることによって7.99モル(320グラム)の水素化ナトリウム(60%油)の触媒スラリー/ナトリウムアルコキシドを調製した。水素ガスの放出が完了したら、溶解ポリマーを含有する反応器に調製された触媒スラリーをゆっくり加えた。反応混合物を25℃で24時間維持した。規定時間の最後に、100リットルのイソプロパノールを含有するクエンチポットに反応混合物を導入して官能化ポリマーを沈殿させた。20リットルのイソヘキサン及び2wt%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT;Sigma Aldrich)を含有する反応器内で沈殿ポリマーを再溶解させた。凝縮器と冷却器に接続された50Lの水蒸気蒸留ポットに再溶解ポリマーを導入した。窒素ブランケット下で1時間当たり20キログラムの水蒸気を用いて水蒸気蒸留を行なう。水蒸気蒸留された官能化ポリマーを最後に加熱ロールミルを用いて乾燥させて4200グラムの官能化EXXPROを得た。下記構造の官能化イソブチレン系ポリマーが生成された。
【0037】
【0038】
プロトンNMR分光測定及びFTIRを利用して乾燥ポリマーを特徴づけた。
1H NMR分光測定は、
図3に示すように~CH
2Oに対して4.5ppm及びオレフィンシグナルに対して5.1ppmに現れる新しい共鳴を示しながら、メチレンプロトン(~CH
2Br)の完全な消失を示した。これは24時間の最後での完全な変換を示唆している。
【0039】
実施例4
ファルネソールによるEXXPRO(商標)3745のウィリアムソンエーテル化
グローブボックス内で不活性雰囲気下にて全ての操作を行なった。磁気撹拌子を備えた2リットルの丸底フラスコに100グラムのEXXPRO(商標)3745を入れた後に1リットルの無水THFを入れた。混合物を室温で均質溶液が形成されるまで撹拌した。この時点で、撹拌しながら溶液に9グラムのファルネソールを加えた後に0.6グラムの水素化ナトリウム(鉱油中60%の分散系)を添加した。混合物を室温で16時間混合し、この時点で混合物を2リットルのアセトン中で沈殿させ、1回500ミリリットルのアセトンで3回洗浄し、窒素流下で室温にて乾燥させて100グラムの白色エラストマー材料を得た。この乾燥ポリマーをプロトンNMR分光測定を利用して特徴づけた。
1H NMR分光測定は、
図4に示すように、EXXPRO(商標)3745のベンジルブロミドの、生成物のベンジルエーテルへの約50%の変換を示した。
【0040】
実施例5
BIMSM、BIMSM-アミン及びBIMSM-ホスフィンイオノマーと、シトロネロール官能化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)とのゴムコンパウンディング
カム型混合ヘッドを備えた実験用ブラベンダーミキサーでの1ステップ混合によってゴム組成物を調製した。ゴム及び硬化剤を含めた全ての化合物成分を予熱混合チャンバーに添加し、6分間35rpm及び75℃の出発温度で混合した。全ての成分をポリマー単位のphr、つまり百部当たりの部で記述する。処方及び関連性のある化合物特性を下表1A&1B及び表2に要約する。ムービング・ダイ・レオメーター(Moving Die Rheometer)(MDR)を用いて200℃又は160℃及び1°アークで30、40又は90分間各サンプルの硬化挙動を調べた。MDR硬化プロファイルを
図5~8に示す。
【0041】
応力/歪み測定
ASTM D4482ダイで5つの試験片を突き出し、試験前の16時間実験室で適当な状態にした。
Instron 5565で長動程機械式伸縮計(long travel mechanical extensometer)を用いて試験片を調べた。
ロードセル及び伸縮計を各試験日前に較正した。ゲージ長として20mmで伸縮計を較正した。
サンプル情報、オペレーター名、日付、実験室温度、及び湿度を全て記録する。
試験片の厚さを試験エリア内の3つの場所で測定した。要求されたときに平均値を入力した。実験室温度及び湿度を測定する。
グリップに試験片を慎重にロードして、グリップを試験片上に対称に確実にクランプした。次に伸縮計グリップを試験エリア内でサンプルに取り付けた。
試験を開始するように促した。0.1Nの予荷重を加えた。20インチ(50.8cm)/分でクロスヘッドを動かして試験を開始し、破断が検出されるまで行なった。
各サンプルから得た5つの試験片を調べ、報告には中央値を使用した。
ゴム組成物を調製した。
【0042】
表1A
BIMSM対オレフィン側鎖を有するBIMSM-アミン及びホスフィンイオノマーに関するMDRデータ及び引張データ
【0043】
表1B
BIMSM対オレフィン側鎖を有するBIMSM-アミン及びホスフィンイオノマーに関するMDRデータ及び引張データ
【0044】
表2
BIMSM対シトロネロール官能化ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)に関するMDRデータ及び引張データ
【0045】
オレフィン側鎖置換基を有する本イソブチレン系ポリマーは、EV又は半EV加硫系を用いるゴム組成物として医薬用途、及びタイヤ用途に有用である。対象のゴム組成物は、上記チオアルキラート官能化イソブチレン系ポリマー及び硫黄供与体及び/又は促進剤硬化系を含む。これらの無亜鉛ゴム組成物はさらに1種以上の炭化水素樹脂及び上記フィラーを含む。
本明細書で使用する場合、炭化水素樹脂としては、脂肪族炭化水素樹脂、環状脂肪族炭化水素樹脂、変性脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、変性芳香族炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂(限定するものではないが、ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂等が含まれる)、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、トールオイルロジン、トールオイルロジンエステル、ポリテルペン、芳香族変性ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペン、変性テルペン、水素化ロジン酸、水素化ロジン酸、水素化ロジンエステル、これらの誘導体及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。該樹脂及びそれらの製造方法は、例えば、米国特許第4,629,766号;第5,874,512号;第6,232,418号;第6,455,652号;及び第6,992,131号に記載されている。
【0046】
炭化水素樹脂は、変性炭化水素樹脂であってもよく、ASTM D 6090-97により測定して、80℃超、85℃超、90℃超、92℃超、95℃超、100℃超、110℃超、120℃超、135℃超、140℃超、145℃超、150℃超、又は160℃超の軟化点を有し得る。これとは別に述べると、炭化水素樹脂及び変性炭化水素樹脂は、ASTM D 6090-97により測定して、80℃~160℃、82℃~140℃、85℃~130℃、90℃~125℃、95℃~120℃、又は95℃~140℃の軟化点を有してよい。
炭化水素樹脂及び変性炭化水素樹脂は、15%以下、12%以下、8%以下、6%以下、4%以下、又は2%以下の芳香族性(芳香族プロトンの%)を有することもある。これとは別に述べると、炭化水素樹脂及び変性炭化水素樹脂は、1~15%、1~12%、1~10%、1~8%、2~6%、又は2~4%の芳香族性(芳香族プロトンの%)を有してよい。
対象の無亜鉛ゴム組成物中の適切な炭化水素樹脂としては、限定するものではないが、ExxonMobil Chemical Company, Houston, TXから入手可能なEscorez(商標)樹脂、例えば、ESCOREZ(商標)樹脂1000、2000、及び5000シリーズが挙げられる。例として、ESCOREZ(商標)1102は、212F(100℃)の軟化点、1650cPの溶融粘度、1300g/モルの数量平均分子量(Mn)及び2900g/モルの質量平均分子量(Mw)を有し、ポリマーブレンドの粘着特性及び接着特性を高め、かつ機械特性及び光学特性を変えるのに有用であり、かつ熱重合された脂肪族炭化水素樹脂を指す。
ESCOREZ(商標)2520は、主成分としてC5-C6オレフィン及びジオレフィンを有し、かつ熱重合された石油炭化水素粘着付与樹脂を指す。
ESCOREZ(商標)E5000は、熱重合される主成分としてポリシクロジエン(C8-C10ビニル芳香族の有無にかかわらずジシクロペンタジエンに加えてC10-C12シクロジエンダイマー)を有する石油炭化水素粘着付与樹脂を指す。
【0047】
別段の定めがない限り、「本質的に~から成る」及び「本質的に~から成ること」という表現は、本明細書で具体的に言及されているかどうかに関わりなく、他のステップ、要素、又は材料が本発明の基本的かつ新規の特性に影響を及ぼさない限り、該ステップ、要素、又は材料の存在を排除せず、さらに、これらの表現は、使用要素及び材料と通常関連する不純物及び変動を排除しない。
簡潔にするため、本明細書では特定範囲のみを明示的に開示している。しかしながら、明示的に詳述されていない範囲を詳述するためにいずれの下限からの範囲をいずれの上限と組み合わせてもよいのみならず、明示的に詳述されていない範囲を詳述するためにいずれの下限からの範囲をいずれの他の下限と組み合わせてもよく、同様に、明示的に詳述されていない範囲を詳述するためにいずれの上限からの範囲をいずれの他の上限と組み合わせてもよい。さらに、ある範囲内には、明示的に詳述されていなくてもその終点間のあらゆる点又は個々の値が含まれる。従って、あらゆる点又は個々の値は、明示的に詳述されていない範囲を詳述するために、いずれの他の点若しくは個々の値又はいずれの他の下限若しくは上限とも組み合わせられるそれ自体の下限又は上限となり得る。
【0048】
全ての優先権書類は、援用が許される全ての司法権のため及び該開示が本発明の説明と一致する程度まで、参照によって本明細書に完全に援用される。さらに、試験手順、公表文献、特許、雑誌論文等を含め、本明細書で引用した全ての書類及び参考文献は、援用が許される全ての司法権のため及び該開示が本発明の説明と一致する程度まで、参照によって本明細書に完全に援用される。
本教示はいくつかの態様及び実施例に関して述べたが、本開示の利益を有する当業者なら、本明細書に開示した発明の範囲及び精神から逸脱しない他の態様を考案できることを理解するであろう。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. (a)イソブチレン系官能化ポリマー;並びに
(b)下記:
(i)硫黄供与体;
(ii)硫黄と硫黄供与体のブレンド;及び
(iii)促進剤硬化系
のいずれか1種又はいずれかの組み合わせ
を含むイソブチレン系ポリマー組成物。
2. 前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)アミンイオノマーであり、このアミンイオノマーは、1つ以上のペンダントビニル基を有する1°、2°、及び3°アミン求核試薬から成る群より選択される、上記1に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
3. 前記官能化ポリマー中に存在する前記アミンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、上記2に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
4. 前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)ホスフィンイオノマーであり、このホスフィンイオノマーは、ジフェニルホスフィノスチレン、アリルジフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、トリアリホスホスフィン、及びその組み合わせから選択される、上記1に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
5. 前記官能化ポリマー中に存在する前記ホスフィンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、上記4に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
6. さらに少なくとも1種のフィラーを含む、上記1~5のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
7. 前記硫黄供与体が、テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される、上記1~6のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
8. 前記促進剤硬化系が、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタートの1種以上を含む、上記1~7のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
9. 前記促進剤硬化系がN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」)又はジフェニルグアニジン(「DPG」)である、上記8に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
10. 前記フィラーが、カーボンブラック、ホワイトフィラー、及びその組み合わせの群から選択される、上記6~9のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
11. 前記組成物が、医薬用途及びタイヤ用途で熱硬化性樹脂として有用である、上記1~10のいずれか1項に記載のイソブチレン系ポリマー組成物。
12. (a)イソブチレン系化官能化ポリマー;並びに
(b)下記:
(i)硫黄供与体;
(ii)硫黄と硫黄供与体のブレンド;及び
(iii)促進剤硬化系;
の1種又はいずれかの組み合わせ
を含む熱硬化性組成物であって、
前記組成物には実質的に亜鉛が含まれない、
前記熱硬化性組成物。
13. 前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)アミンイオノマーであり、このアミンイオノマーは、1つ以上のペンダントビニル基を有する1°、2°、及び3°アミン求核試薬から成る群より選択される、上記12に記載の熱硬化性組成物。
14. 前記官能化ポリマー中に存在する前記アミンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、上記13に記載の熱硬化性組成物。
15. 前記イソブチレン系官能化ポリマーが変性ポリ(イソブチレン共パラ-メチルスチレン)ホスフィンイオノマーであり、このホスフィンイオノマーは、ジフェニルホスフィノスチレン、アリルジフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、トリアリホスホスフィン、及びその組み合わせから選択される、上記12に記載の熱硬化性組成物。
16. 前記官能化ポリマー中に存在する前記ホスフィンイオノマーの量が、前記官能化ポリマーの総質量に基づいて約0.5wt%~約50wt%である、上記15に記載の熱硬化性組成物。
17. さらに少なくとも1種のフィラーを含む、上記12~16のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
18. 前記硫黄供与体が、テトラメチルチウラムジスルフィド(「TMTD」)、4,4'-ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「DPTT」)、及びチオカルバミルスルホンアミドから成る群より選択される、上記12~17のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
19. 前記促進剤硬化系が、チアゾール、アミン、グアニジン、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバマート、及び/又はザンタートの1種以上を含む、上記12~18のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
20. 前記促進剤硬化系がN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」)又はジフェニルグアニジン(「DPG」)である、上記19に記載の熱硬化性組成物。
21. 前記フィラーが、カーボンブラック、ホワイトフィラー、及びその組み合わせの群から選択される、上記17~20のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
22. 上記12~21のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を含むゴム組成物。
23. さらに炭化水素樹脂を含む、上記22に記載のゴム組成物。
24. 上記22~23のいずれか1項に記載のゴム組成物を含む物品。