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特許7055928工作機械、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】工作機械、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20220411BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20220411BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B23Q17/00 B
B23B31/00 D
B23Q3/155 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021152818
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 一也
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/139726(WO,A1)
【文献】特開2002-331442(JP,A)
【文献】特許第6868147(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23B 31/00
B23Q 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備え、
前記ツーリングは、
工具を保持するための工具保持部と、
前記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含み、
前記工作機械は、さらに、
前記ツーリングと前記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に装着されている間に、前記検出部から前記物理情報を取得するための取得部と、
前記取得された物理情報に基づいて、前記ツーリング保持部に対する前記ツーリングの挿入方向を中心として前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されているか否かを判断するための判断部と、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されていと判断された場合に、予め定められた処理を実行するための実行部とを含む、工作機械。
【請求項2】
前記検出部は、カメラを含み、
前記カメラは、前記隙間を表わす画像を前記物理情報として取得する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記ツーリング保持部は、前記HSKシャンクが前記挿入口に挿入された際に当該HSKシャンクと連動する連動部材を含み、
前記検出部は、前記連動部材の位置を前記物理情報として検出するための位置センサを含む、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記HSKシャンクは、円筒部分を有し、
前記円筒部分は、
当該円筒部分の中心軸の方向において第1の深さを有する第1溝部と、
前記方向において第2の深さを有する第2溝部とを含み、
前記第2の深さは、前記第1の深さとは異なり、
前記ツーリング保持部は、
前記HSKシャンクが前記挿入口に挿入された際に前記第1溝部に係合する第1係合部と、
前記HSKシャンクが前記挿入口に挿入された際に前記第2溝部に係合する第2係合部とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記判断部は、前記隙間の幅が所定値以上であることを前記物理情報が示す場合に、前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されていと判断する、請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記ツーリング保持部は、マガジンと、主軸と、刃物台との少なくとも1つを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記工作機械は、さらに、ディスプレイを備え、
前記予め定められた処理は、前記ツーリングの装着異常を示す警告を前記ディスプレイ
に表示する処理を含み、
前記警告は、前記ツーリング保持部に対して前記ツーリングを反転して装着し直すこと
を促すメッセージを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備え、
前記ツーリングは、
工具を保持するための工具保持部と、
前記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含み、
前記工作機械は、さらに、前記ツーリングと前記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部を備え、
前記制御方法は、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に装着されている間に、前記検出部から前記物理情報を取得するステップと、
前記取得された物理情報に基づいて、前記ツーリング保持部に対する前記ツーリングの挿入方向を中心として前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されているか否かを判断するステップと、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されていと判断された場合に、予め定められた処理を実行するステップとを備える、制御方法。
【請求項9】
工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備え、
前記ツーリングは、
工具を保持するための工具保持部と、
前記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含み、
前記工作機械は、さらに、前記ツーリングと前記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部を備え、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に装着されている間に、前記検出部から前記物理情報を取得するステップと、
前記取得された物理情報に基づいて、前記ツーリング保持部に対する前記ツーリングの挿入方向を中心として前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されているか否かを判断するステップと、
前記ツーリングが前記ツーリング保持部に反転して装着されていると判断された場合に、予め定められた処理を実行するステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-315158号公報(特許文献1)は、ツールホルダの装着異常を検出することを目的とする工作機械を開示している。当該工作機械は、「ツールホルダのフランジ外周面の変位量の経時変化に基づいてツールホルダの主軸への装着状態の異常を判定する」。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-315158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工具は、ツーリングを介して工作機械に装着される。すなわち、ツーリングは、工具と工作機械との接続インターフェイスとして機能する。
【0005】
ツーリングは、工具の保持部分であるツールホルダと、工作機械との接続部分であるシャンクとで構成されている。シャンクの規格としては、たとえば、BTシャンク、BBTシャンク、およびHSKシャンクなどがある。特許文献1に開示される工作機械は、BTシャンクまたはBBTシャンクのツールホルダに関して装着異常を検出している。
【0006】
HSKシャンクには、深さの異なる2つの溝部が設けられている。HSKシャンクが主軸やマガジンなどのツーリング保持部に挿入された際に、HSKシャンクの2つの溝部は、ツーリング保持部に設けられている1つまたは2つの係合部に係合する。これにより、ツーリングがツーリング保持部に対して固定される。
【0007】
HSKシャンクに設けられている2つの溝部は、互いに対向して設けられている。各溝部の深さの差異は非常に小さいため、HSKシャンクは、本来とは180度反転してツーリング保持部に装着されてしまうことがある。HSKシャンクがツーリング保持部に異常に装着された状態で加工が行われると、ワークの加工精度が低下する可能性がある。また、HSKシャンクがワークの加工中に落下する可能性もある。HSKシャンクが落下すると、ワーク、工具、または工作機械の本体が破損するおそれがある。したがって、工作機械に対するHSKシャンクの装着異常を検出するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一例では、工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備える。上記ツーリングは、工具を保持するための工具保持部と、上記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含む。上記工作機械は、さらに、上記ツーリングと上記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に装着されている間に、上記検出部から上記物理情報を取得するための取得部と、上記取得された物理情報に基づいて、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されているか否かを判断するための判断部と、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されていないと判断された場合に、予め定められた処理を実行するための実行部とを含む。
【0009】
本開示の一例では、上記検出部は、カメラを含む。上記カメラは、上記隙間を表わす画像を上記物理情報として取得する。
【0010】
本開示の一例では、上記ツーリング保持部は、上記HSKシャンクが上記挿入口に挿入された際に当該HSKシャンクと連動する連動部材を含む。上記検出部は、上記連動部材の位置を上記物理情報として検出するための位置センサを含む。
【0011】
本開示の一例では、上記HSKシャンクは、円筒部分を有する。上記円筒部分は、当該円筒部分の中心軸の方向において第1の深さを有する第1溝部と、上記方向において第2の深さを有する第2溝部とを含む。上記第2の深さは、上記第1の深さとは異なる。上記ツーリング保持部は、上記HSKシャンクが上記挿入口に挿入された際に上記第1溝部に係合する第1係合部と、上記HSKシャンクが上記挿入口に挿入された際に上記第2溝部に係合する第2係合部とを含む。
【0012】
本開示の一例では、上記判断部は、上記隙間の幅が所定値以上であることを上記物理情報が示す場合に、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されていないと判断する。
【0013】
本開示の一例では、上記ツーリング保持部は、マガジンと、主軸と、刃物台との少なくとも1つを含む。
【0014】
本開示の他の例では、工作機械の制御方法が提供される。上記工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備える。上記ツーリングは、工具を保持するための工具保持部と、上記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含む。上記工作機械は、さらに、上記ツーリングと上記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部を備える。上記制御方法は、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に装着されている間に、上記検出部から上記物理情報を取得するステップと、上記取得された物理情報に基づいて、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されているか否かを判断するステップと、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されていないと判断された場合に、予め定められた処理を実行するステップとを実行する。
【0015】
本開示の他の例では、工作機械の制御プログラムが提供される。上記工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備える。上記ツーリングは、工具を保持するための工具保持部と、上記挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含む。上記工作機械は、さらに、上記ツーリングと上記ツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部を備える。上記制御プログラムは、上記工作機械に、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に装着されている間に、上記検出部から上記物理情報を取得するステップと、上記取得された物理情報に基づいて、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されているか否かを判断するステップと、上記ツーリングが上記ツーリング保持部に正常に装着されていないと判断された場合に、予め定められた処理を実行するステップとを実行させる。
【0016】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】工作機械の駆動機構の一例を示す図である。
図3】HSKツーリングを示す斜視図である。
図4】HSKツーリングの側面を図3に示されるX軸方向から表わした図である。
図5】HSKツーリングの断面を図3に示されるX軸方向から表わした図である。
図6】ツーリング保持部に対するHSKツーリングの装着態様を概略的に示す図である。
図7】ツーリング保持部に対するHSKツーリングの装着態様を概略的に示す図である。
図8】工作機械の機能構成の一例を示す図である。
図9】マガジンを正面から示す図である。
図10】HSKツーリングの装着異常を検出する処理を概略的に示す概念図である。
図11】CPU(Central Processing Unit)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】CNC(Computer Numerical Control)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
図13】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図14】操作盤のハードウェア構成の一例を示す図である。
図15】工作機械の制御部が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図16】ツーリング保持部に対するHSKツーリングの装着態様を概略的に示す図である。
図17】ツーリング保持部に対するHSKツーリングの装着態様を概略的に示す図である。
図18】変形例に従う工作機械の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0019】
<A.工作機械100>
まず、図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0020】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械100は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0021】
工作機械100は、工具収納部40Aと、加工機本体40Bとを有する。工具収納部40Aおよび加工機本体40Bのそれぞれは、カバーによって区画化されている。
【0022】
工具収納部40Aには、マガジン150と、ATC(Automatic Tool Changer)160とが設けられている。加工機本体40Bには、主軸170が設けられている。
【0023】
作業者は、ドアD1を介してマガジン150に工具を装着することができる。加工機本体40Bは、マガジン150に保持されている複数の工具の内の少なくとも1つを用いてワークを加工する。
【0024】
より具体的には、工作機械100は、マガジン150を駆動し、加工工程に応じた一の工具(以下、「次使用工具」ともいう。)を第1の工具交換位置に移動する。また、工作機械100は、主軸170を駆動し、主軸170に装着されている工具(以下、「使用済工具」ともいう。)を第2の工具交換位置に移動する。その後、ATC160は、第1の工具交換位置で待機している次使用工具と、第2の工具交換位置で待機している使用済工具とを交換する。工具の交換は、加工機本体40Bと工具収納部40Aとの間の仕切に設けられているドアD2を介して行なわれる。ドアD2は、たとえば、スライド式のドアであり、モータなどの駆動源により開閉される。その後、主軸170は、装着された次使用工具を用いてワークを加工する。
【0025】
また、工作機械100には、操作盤500が設けられている。操作盤500は、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ505と、工作機械100に対する各種操作を受け付ける操作キー506とを含む。
【0026】
<B.工作機械100の駆動機構>
次に、図2を参照して、工作機械100の各種構成について説明する。図2は、工作機械100の駆動機構の一例を示す図である。
【0027】
図2に示されるように、工作機械100は、制御部50と、駆動部110,120,130と、マガジン150と、ATC160と、主軸170とを含む。
【0028】
説明の便宜のために、以下では、重力方向を「X軸方向」とも称する。X軸に直交する水平面上の一方向を「Y軸方向」とも称する。X軸方向およびY軸方向の両方に直交する方向を「Z軸方向」と称する。
【0029】
本明細書でいう「制御部50」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。図2の例では、制御部50は、CPUユニット200と、CNCユニット300と、情報処理装置400とで構成されている。なお、制御部50は、上述の操作盤500(図1参照)を含んでもよい。
【0030】
CPUユニット200およびCNCユニット300は、たとえば、バスBを介して互いに通信を行なう。CNCユニット300および情報処理装置400は、たとえば、ネットワークNWを介して互いに通信を行う。
【0031】
CPUユニット200は、たとえば、PLC(Programmable Logic Controller)である。CPUユニット200は、予め設計されているPLCプログラムに従って、駆動部110を制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0032】
駆動部110は、マガジン150を回転駆動するための駆動機構である。駆動部110の装置構成は、任意である。駆動部110は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図2の例では、駆動部110は、モータドライバ111Mと、モータ112Mとで構成されている。
【0033】
モータドライバ111Mは、CPUユニット200からの制御指令に従って、マガジン150を駆動する。マガジン150には、モータ112Mが設けられている。モータ112Mは、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0034】
より具体的な処理として、モータドライバ111Mは、目標回転速度の入力をCPUユニット200から受け、モータ112Mを制御する。モータ112Mは、モータドライバ111Mからの出力電流に従ってマガジン150を回転駆動し、マガジン150内の指定された次使用工具T1を指定された位置に駆動する。
【0035】
また、CPUユニット200は、予め設計されているPLCプログラムに従って、駆動部120を制御する。駆動部120は、ATC160を駆動するための駆動機構である。駆動部120の装置構成は、任意である。駆動部120は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図2の例では、駆動部120は、ATCドライバ121Aと、モータ122A,122Bとで構成されている。
【0036】
ATCドライバ121Aは、たとえば、2軸一体型のドライバであり、ATC160に接続されるモータ122A,122Bの駆動を制御する。ATC160は、中心軸165と、アーム166とを含む。アーム166は、たとえば、同時に2つの工具を保持できるダブルアームである。すなわち、アーム166は、中心軸165の軸方向に直交する一方向(たとえば、X軸方向)に中心軸165から延出している工具把持部166Aと、当該一方向の反対方向に中心軸165から延出している工具把持部166Bとを有する。
【0037】
モータ122A,122Bの各々は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。ATCドライバ121Aは、たとえば、モータ122Aの目標回転速度の入力と、モータ122Bの目標回転速度の入力とのそれぞれをCPUユニット200から受け、モータ122A,122Bのそれぞれを制御する。モータ122Aは、ATCドライバ121Aからの出力電流に従ってATC160のアーム166を送り駆動し、中心軸165の軸方向の任意の位置にアーム166を駆動する。モータ122Bは、ATCドライバ121Aからの出力電流に従ってATC160のアーム166を回転駆動し、中心軸165を回転中心として任意の回転角度にアーム166を駆動する。
【0038】
一例として、ATC160は、工具の交換命令を受けたことに基づいて、マガジン150から次使用工具T1を取得する。その後、ATC160は、使用済工具T2を主軸170から抜き取るとともに、次使用工具T1を主軸170に装着する。その後、ATC160は、主軸170から抜き取った使用済工具T2をマガジン150に収納する。
【0039】
CNCユニット300は、CPUユニット200からの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット300は、当該加工プログラムに従って、駆動部130を駆動する。
【0040】
駆動部130は、主軸170を移動するための駆動機構である。駆動部130の装置構成は、任意である。駆動部130は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図2の例では、駆動部130は、モータドライバ131B,131C,131X,131Y,131Zと、モータ132B,132C,132X,132Y,132Zとで構成されている。
【0041】
モータドライバ131Bは、CNCユニット300から目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ132Bを制御する。モータ132Bは、Y軸方向を中心として主軸170を回転駆動する。モータ132Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0042】
モータ132Bがサーボモータである場合、モータドライバ131Bは、モータ132Bの回転角度を検出するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からモータ132Bの実回転速度を算出する。そして、モータドライバ131Bは、算出した実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはモータ132Bの回転速度を上げ、算出した実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはモータ132Bの回転速度を下げる。このように、モータドライバ131Bは、モータ132Bの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらモータ132Bの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0043】
モータドライバ131Cは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Cを制御する。モータ132Cは、主軸170の軸方向を回転中心として主軸170を回転駆動する。モータ132Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Cによるモータ132Cの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0044】
モータドライバ131Xは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Xを制御する。モータ132Xは、主軸170を送り駆動し、X軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Xによるモータ132Xの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0045】
モータドライバ131Yは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Yを制御する。モータ132Yは、主軸170を送り駆動し、Y軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Yによるモータ132Yの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0046】
モータドライバ131Zは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ132Zを制御する。モータ132Zは、主軸170を送り駆動し、Z軸方向の任意の位置に主軸170を移動する。モータ132Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。モータドライバ131Zによるモータ132Zの制御方法は、モータドライバ131Bと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0047】
情報処理装置400は、コンピュータである。一例として、情報処理装置400は、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ノート型のコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよい。
【0048】
情報処理装置400には、カメラ180が接続されている。情報処理装置400には、所定の画像処理プログラムがインストールされており、情報処理装置400は、カメラ180からの入力画像に基づいて、工具の装着異常を検出する。当該検出処理の詳細については後述する。
【0049】
<C.HSKツーリング>
次に、図3図5を参照して、HSKツーリングの構造について説明する。図3は、HSKツーリング60を示す斜視図である。図4は、HSKツーリング60の側面を図3に示されるX軸方向から表わした図である。図5は、HSKツーリング60の断面を図3に示されるX軸方向から表わした図である。
【0050】
HSKツーリング60は、ISO(International Organization for Standardization)に規定されている工具規格の一種である。HSKツーリング60は、工具と工作機械100との接続インターフェイスとして機能する。
【0051】
HSKツーリング60は、ツールホルダ62(工具保持部)と、フランジ63と、HSKシャンク64とで構成されている。
【0052】
ツールホルダ62は、工具を保持可能に構成される。ツールホルダ62は、フランジ63の一端に繋がっている。
【0053】
HSKシャンク64は、フランジ63の他端に繋がっている。HSKシャンク64は、中空の円筒部分を有する。当該円筒部分の内面および外面は、中心軸AXの軸方向に延在している。中心軸AXの軸方向は、ツールホルダ62に対する工具の脱着方向に相当する。また、HSKシャンク64は、中心軸AXの軸方向において深さ「DA」を有する溝部65A(第1溝部)と、中心軸AXの軸方向において深さ「DB」を有する溝部65B(第2溝部)とを有する。
【0054】
説明の便宜のために、以下では、中心軸AXと平行な方向であり、HSKツーリング60に対する工具の脱着方向を「Z軸方向」とも称する。また、Z軸方向に直交する方向であり、溝部65Aから溝部65Bに向かう方向を「X軸方向」とも称する。また、Z軸方向およびX軸方向に共に直交する方向を「Y軸方向」とも称する。
【0055】
溝部65Aは、Z軸方向に窪んでいる凹形状を有する。同様に、溝部65Bは、Z軸方向に窪んでいる凹形状を有する。溝部65Aおよび溝部65Bは、中心軸AXを中心として互いに対向した位置に設けられている。
【0056】
Z軸方向における溝部65Aの深さ「DA」は、Z軸方向における溝部65Bの深さ「DB」とは異なる。図4および図5の例では、溝部65Aの深さ「DA」は、溝部65Bの深さ「DB」よりも浅い。
【0057】
<D.HSKツーリングの装着態様>
次に、図6および図7を参照して、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着態様について説明する。図6および図7は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着態様を概略的に示す図である。
【0058】
図6および図7に示されるように、HSKツーリング60は、工具Tとツーリング保持部70との接続インターフェイスとして機能する。本明細書で言う「ツーリング保持部70」は、HSKツーリング60を保持することが可能な任意のユニットを意味する。ツーリング保持部70の例としては、上述のマガジン150(図1参照)、上述のATC160(図1参照)、上述の主軸170(図1参照)、または刃物台(図示しない)などが挙げられる。
【0059】
ツーリング保持部70は、HSKツーリング60の挿入口75を有する。挿入口75は、上述のHSKシャンク64の形状に合わせて形成される。
【0060】
上述のように、HSKツーリング60は、Z軸方向に凹んだ溝部65Aを有する。これに対して、ツーリング保持部70は、HSKツーリング60のHSKシャンク64が挿入口75に挿入された際に溝部65Aに係合する係合部75A(第1係合部)を有する。
【0061】
また、HSKツーリング60は、Z軸方向に凹んだ溝部65Bを有する。これに対して、ツーリング保持部70は、HSKツーリング60のHSKシャンク64が挿入口75に挿入された際に溝部65Bに係合する係合部75B(第2係合部)を有する。
【0062】
中心軸AX方向における係合部75Aの幅は、中心軸AX方向における溝部65Aの深さ「DA」(図4参照)と等しい。中心軸AXの軸方向における係合部75Bの幅は、中心軸AXの軸方向における溝部65Bの深さ「DB」(図5参照)と等しい。また、中心軸AX方向における係合部75Bの幅は、中心軸AX方向における係合部75Aの幅よりも長い。
【0063】
上述のように、HSKツーリング60に設けられている2つの溝部65A,65Bは、中心軸AXを中心として互いに対向して設けられている。また、溝部65Aの深さ「DA
」と溝部65Bの深さ「DB」との差は非常に小さいため、HSKツーリング60は、本来とは180度反転してツーリング保持部70に装着されてしまうことがある。
【0064】
図6には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されている様子が示されている。図6に示されるように、HSKツーリング60がツーリング保持部70に対して正常に装着された場合には、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅が「D1」となっている。
【0065】
図7には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されている様子が示されている。図7に示されるように、HSKツーリング60がツーリング保持部70に対して反転して装着されている場合には、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅が「D2」となっている。異常装着時における隙間の幅「D2」は、正常装着時における隙間の幅「D1」よりも長くなる。
【0066】
そこで、工作機械100は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す物理情報に基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されているか否かを判断する。本明細書でいう「物理情報」とは、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅に相関する任意の指標を含む概念である。一例として、当該物理情報は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す画像情報を含む。他の例として、当該物理情報は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅を示す距離情報を含む。
【0067】
工作機械100は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されていないと判断された場合には、予め定められた警告処理を実行する。これにより、作業者は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたことに気付くことができる。
【0068】
<E.工作機械100の機能構成>
図8図10を参照して、HSKツーリング60の装着異常を検出するための機能構成について説明する。図8は、工作機械100の機能構成の一例を示す図である。
【0069】
工作機械100の制御部50は、機能構成として、取得部54と、判断部56と、実行部58とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
【0070】
なお、図8に示される各機能構成は、制御部50を構成する任意のユニットに実装され得る。一例として、図8に示される機能構成の一部または全部は、上述のCPUユニット200(図2参照)に実装される。他の例として、図8に示される機能構成の一部または全部は、上述のCNCユニット300(図2参照)に実装される。他の例として、図8に示される機能構成の一部または全部は、上述の情報処理装置400(図2参照)に実装される。他の例として、図8に示される機能構成の一部または全部は、上述の操作盤500(図1参照)に実装される。
【0071】
なお、図8に示される機能構成の一部は、サーバーなどの外部装置に実装されてもよいし、専用のハードウェアに実装されてもよい。
【0072】
(E1.取得部54)
まず、図9を参照して、図8に示される取得部54の機能について説明する。図9は、マガジン150を正面から示す図である。一例として、取得部54は、情報処理装置400(図2参照)に実装される。
【0073】
取得部54は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されている間に、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す物理情報を検出部45から取得する。図8には、検出部45の一例として、カメラ180が示されている。
【0074】
取得部54は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されている間の少なくとも一タイミングにおいてカメラ180に撮影指示を出力する。これにより、取得部54は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との装着部分を表わす後述の入力画像125(図10参照)を上記物理情報としてカメラ180から取得する。
【0075】
カメラ180は、たとえば、工具収納部40A(図1参照)内のマガジン150を撮影するために設けられている。マガジン150は、モータ112Mと、駆動スプロケット113と、従動スプロケット114と、無端チェーン115とを含む。
【0076】
駆動スプロケット113には、上述のモータ112M(図2参照)の出力軸が連結されている。駆動スプロケット113は、モータ112Mから動力が伝達されることにより回転する。
【0077】
無端チェーン115は、駆動スプロケット113と、従動スプロケット114とによって張架されている。モータ112Mが駆動スプロケット113を回転駆動することにより、モータ112Mの動力が無端チェーン115を介して従動スプロケット114に伝達される。その結果、従動スプロケット114および無端チェーン115は、駆動スプロケット113に連動して回転する。
【0078】
また、無端チェーン115には、複数のポット70Pが設けられる。ポット70Pは、上述のツーリング保持部70(図6参照)の一例である。ポット70Pの各々には、1つのHSKツーリング60が装着され得る。工作機械100は、モータ112Mを制御することで、指定された工具を任意の位置に駆動することができる。
【0079】
作業者は、HSKツーリング60をマガジン150に装着することができる。具体的な装着手順として、作業者がポット70Pを呼び出したことに基づいて、工作機械100は、空のポット70Pを上述のドアD1の前に駆動する。その後、作業者は、ドアD1を開けて、HSKツーリング60を当該空のポット70Pに装着する。その後、作業者は、ドアD1を閉じる。
【0080】
作業者がHSKツーリング60をポット70Pに装着したことに基づいて、取得部54は、カメラ180に撮影指示を出力し、HSKツーリング60とポット70Pとの装着部分を表わした後述の入力画像125を取得する。
【0081】
カメラ180は、HSKツーリング60とポット70Pとの隙間がカメラ180の撮影視野CRに含まれるように上述の工具収納部40A(図1参照)内に設けられている。これにより、カメラ180は、HSKツーリング60とポット70Pとの隙間の状態を示す画像情報を取得する。
【0082】
カメラ180への撮影指示は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されている間の任意のタイミングに出力される。典型的には、当該撮影指示は、作業者がHSKツーリング60をポット70Pに装着したタイミングに出力される。
【0083】
より具体的には、工作機械100のドアD1(図1参照)には、開閉センサ(図示しない)が設けられている。作業者は、HSKツーリング60をポット70Pに装着したことに基づいて、ドアD1を閉める。そこで、取得部54は、当該開閉センサの出力値がドアD1の開状態を示す値からドアD1の閉状態を示す値に変化したことに基づいて、カメラ180に撮影指示を出力する。
【0084】
他の例として、工作機械100には、工具の装着完了ボタン(図示しない)が設けられている。作業者は、HSKツーリング60をポット70Pに装着したことに基づいて、当該装着完了ボタンを押下する。そこで、取得部54は、当該装着完了ボタンが押下されたことに基づいて、カメラ180に撮影指示を出力する。
【0085】
なお、上述の例では、カメラ180が工具収納部40Aの内部に設けられている前提で説明を行ったが、カメラ180は、必ずしも工具収納部40Aの内部に設けられる必要はない。一例として、カメラ180は、加工機本体40Bの内部に設けられてもよい。この場合、制御部50は、上述の駆動部130を駆動し、HSKツーリング60が装着された主軸170をカメラ180の前に移動する。主軸170は、上述のツーリング保持部70(図6参照)の一例である。その後、取得部54は、カメラ180に撮影指示を出力し、HSKツーリング60とツーリング保持部70との装着部分を表わした入力画像125を取得する。
【0086】
他の例として、カメラ180は、工作機械100内の刃物台(図示しない)を撮影するように設けられても良い。刃物台は、上述のツーリング保持部70(図6参照)の一例である。刃物台は、タレットを有する。当該タレットは、複数のHSKツーリング60を装着可能に構成される。タレットは、旋回可能に構成され、ワークの加工時には所定の位置にHSKツーリング60を旋回する。制御部50は、HSKツーリング60が刃物台に装着されたことに基づいて、当該HSKツーリング60をカメラ180の前に移動する。その後、取得部54は、カメラ180に撮影指示を出力し、HSKツーリング60とツーリング保持部70との装着部分を表わした入力画像125を取得する。
【0087】
(E2.判断部56)
次に、図10を参照して、図8に示される判断部56の機能について説明する。一例として、判断部56は、情報処理装置400(図2参照)に実装される。
【0088】
図10は、HSKツーリング60の装着異常を検出する処理を概略的に示す概念図である。図10には、基準画像124と入力画像125とが示されている。判断部56は、取得部54によって取得された入力画像125を基準画像124と比較することで、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されたか否かを判断する。
【0089】
基準画像124は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されている際にHSKツーリング60を予め撮影して得られた画像である。基準画像124は、たとえば、工作機械100の記憶装置に予め格納されている。
【0090】
一例として、判断部56は、入力画像125から基準画像124を差分し、差分画像126を生成する。そして、判断部56は、差分画像126に基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されたか否かを判断する。
【0091】
より具体的には、まず、判断部56は、差分画像126において画素値が閾値th以下である画素に「0」(黒色)を割り当て、差分画像126において画素値が閾値thよりも大きい画素に「255」(白色)に割り当てる。これにより、判断部56は、差分画像126から2値化画像を生成する。その後、判断部56は、「0」の画素値を有する画素の数をカウントし、当該カウント値が所定値以上である場合には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されていると判断する。一方で、判断部56は、当該カウント値が所定値よりも小さい場合には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されていると判断する。
【0092】
なお、判断部56は、HSKツーリング60の装着異常を検出する際に基準画像124を必ずしも用いる必要はない。当該検出処理には、種々の画像処理アルゴリズムが用いられ得る。一例として、判断部56は、学習済モデルを用いてHSKツーリング60の装着異常を検出する。
【0093】
当該学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、HSKツーリング60とツーリング保持部70との装着状態を示す複数の学習用画像を含む。各学習用画像には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されているか否かを示すラベルが関連付けられている。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。
【0094】
学習済みモデルを生成するための学習手法には、種々の機械学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該機械学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0095】
判断部56は、カメラ180から入力画像125を取得したことに基づいて、当該入力画像125を学習済モデルに入力する。その結果、当該学習済モデルは、HSKツーリング60の装着異常を示す確率を出力する。判断部56は、当該確率が所定値を超えた場合、HSKツーリング60がツーリング保持部70に対して異常に装着されたと判断する。
【0096】
(E3.実行部58)
次に、図8に示される実行部58の機能について説明する。実行部58は、たとえば、上述の情報処理装置400または上述の操作盤500に実装される。
【0097】
実行部58は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたと判断部56によって判断された場合に、予め定められた警告処理を実行する。当該警告処理は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたことを作業者に報知するための処理である。
【0098】
一例として、実行部58は、HSKツーリング60の装着異常を示す警告を操作盤500のディスプレイ505に表示する。当該警告は、たとえば、ツーリング保持部70に対してHSKツーリング60を180度反転して装着し直すことを促すメッセージを含む。これにより、作業者は、HSKツーリング60をツーリング保持部70に対してどのように装着し直せばよいのかを容易に把握することができる。
【0099】
なお、上述では、装着異常を示す警告が操作盤500のディスプレイ505に表示される例について説明を行なったが、当該警告は、その他の表示部に表示されてもよい。また、当該警告の出力態様は、表示に限定されない。一例として、当該警告は、ブザー音や音声などの音で出力されてもよい。あるいは、当該警告は、メールなどにより他の装置に送信されてもよい。
【0100】
<F.CPUユニット200のハードウェア構成>
図11を参照して、上述の図2に示されるCPUユニット200のハードウェア構成について説明する。図11は、CPUユニット200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0101】
CPUユニット200は、制御回路201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、フィールドバスコントローラ204と、補助記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス209に接続される。
【0102】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0103】
制御回路201は、制御プログラム222などの各種プログラムを実行することでCPUユニット200の動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0104】
フィールドバスコントローラ204は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するための通信ユニットである。フィールドネットワークの通信規格としては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、上述のモータドライバ111M、ATCドライバ121A、上述のCNCユニット300などが挙げられる。
【0105】
補助記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置220は、制御プログラム222などを格納する。なお、制御プログラム222の格納場所は、補助記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0106】
また、制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット200が構成されてもよい。
【0107】
<G.CNCユニット300のハードウェア構成>
次に、図12を参照して、上述の図2に示されるCNCユニット300のハードウェア構成について説明する。図12は、CNCユニット300のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0108】
CNCユニット300は、制御回路301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304と、通信インターフェイス305と、フィールドバスコントローラ306と、補助記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス309に接続される。
【0109】
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0110】
制御回路301は、加工プログラム322などの各種プログラムを実行することでCNCユニット300の動作を制御する。加工プログラム322は、ワーク加工を実現するためのプログラムである。制御回路301は、加工プログラム322の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM302からRAM303に加工プログラム322を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム322の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0111】
通信インターフェイス304には、LAN、WLAN、またはBluetooth(登録商標)などが接続される。CNCユニット300は、通信インターフェイス304を介して外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器としては、たとえば、上述の情報処理装置400、上述の操作盤500、サーバー(図示しない)などが挙げられる。
【0112】
通信インターフェイス305は、外部機器との通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CNCユニット300は、通信インターフェイス305を介して外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、ワーク加工のための各種駆動ユニット(たとえば、上述のモータドライバ131B,131C,131X~131Zなど)などを含む。
【0113】
フィールドバスコントローラ306は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するための通信ユニットである。フィールドネットワークの通信規格としては、たとえば、EtherCAT、EtherNet/IP、CC-Link、またはCompoNetなどが採用される。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CPUユニット200などが挙げられる。
【0114】
補助記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置320は、加工プログラム322などを格納する。なお、加工プログラム322の格納場所は、補助記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0115】
<H.情報処理装置400のハードウェア構成>
次に、図13を参照して、上述の図2に示される情報処理装置400のハードウェア構成について説明する。図13は、情報処理装置400のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0116】
情報処理装置400は、制御回路401と、ROM402と、RAM403と、通信インターフェイス404と、カメラインターフェイス405と、補助記憶装置420とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス409に接続される。
【0117】
制御回路401は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0118】
制御回路401は、HSKツーリング60の装着異常を検出するための制御プログラム422などの各種プログラムを実行することで情報処理装置400の動作を制御する。制御回路401は、各種プログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置420またはROM402からRAM403に実行対象のプログラムを読み出す。RAM403は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0119】
通信インターフェイス404には、LAN、WLAN、またはBluetoothなどを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。情報処理装置400は、通信インターフェイス404を介して外部機器(たとえば、CNCユニット300やサーバー)とデータをやり取りする。情報処理装置400は、通信インターフェイス404を介して制御プログラム422をダウンロードできるように構成されてもよい。
【0120】
カメラインターフェイス405は、有線または無線でカメラ180に接続するためのインターフェイスである。カメラ180は、CCD(Charge Coupled Device)カメラであってもよいし、赤外線カメラ(サーモグラフィ)であってもよいし、その他の種類のカメラであってもよい。
【0121】
補助記憶装置420は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置420は、たとえば、上述の基準画像124と、制御プログラム422とを格納する。基準画像124および制御プログラム422の格納場所は、補助記憶装置420に限定されず、制御回路401の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM402、RAM403、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0122】
なお、制御プログラム422は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う工作機械100の趣旨を逸脱するものではない。さらに、本実施の形態に従う制御プログラム422によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、工作機械100とサーバーとが協働して、本実施の形態に従う処理を実現するようにしてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが本実施の形態に従う処理を実現する、所謂クラウドサービスの形態で情報処理装置400が構成されてもよい。
【0123】
<I.操作盤500のハードウェア構成>
次に、図14を参照して、上述の図2に示される操作盤500のハードウェア構成について説明する。図14は、操作盤500のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0124】
操作盤500は、制御回路501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、通信インターフェイス504と、ディスプレイ505と、操作キー506と、補助記憶装置520とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス509に接続される。
【0125】
制御回路501は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0126】
制御回路501は、制御プログラム522などの各種プログラムを実行することで操作盤500の動作を制御する。制御プログラム522は、操作盤500を制御するための命令を規定している。制御回路501は、制御プログラム522の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置520またはROM502からRAM503に制御プログラム522を読み出す。RAM503は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム522の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0127】
通信インターフェイス504は、LAN(Local Area Network)ケーブル、WLAN、またはBluetoothなどを用いた通信を実現するための通信ユニットである。一例として、操作盤500は、通信インターフェイス504を介して、上述のCNCユニット300などの外部機器との通信を実現する。
【0128】
ディスプレイ505は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。ディスプレイ505は、制御回路501などからの指令に従って、ディスプレイ505に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ505は、たとえば、タッチパネルで構成されており、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0129】
操作キー506は、複数のハードウェアキーで構成され、操作盤500に対する各種のユーザ操作を受け付ける。押下されたキーに応じた信号が制御回路501に出力される。
【0130】
補助記憶装置520は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置520は、制御プログラム522などを格納する。制御プログラム522の格納場所は、補助記憶装置520に限定されず、制御回路501の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM502、RAM503、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0131】
<J.フローチャート>
次に、図15を参照して、工作機械100の制御構造について説明する。図15は、工作機械100の制御部50が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0132】
図15に示される処理は、制御部50が制御プログラム(たとえば、上述の制御プログラム422または上述の制御プログラム522など)を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0133】
ステップS110において、制御部50は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されたか否かを判断する。HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されたか否かは、種々の方法で判断される。
【0134】
一例として、工作機械100のドアD1(図1参照)には、開閉センサ(図示しない)が設けられている。作業者は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着が完了したことに基づいてドアD1を閉める。そこで、制御部50は、当該開閉センサの出力値がドアD1の開状態を示す値からドアD1の閉状態を示す値に変化したことに基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されたと判断する。
【0135】
他の例として、工作機械100には、装着完了ボタン(図示しない)が設けられている。作業者は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着が完了したことに基づいて、当該装着完了ボタンを押下する。そこで、制御部50は、当該装着完了ボタンが押下されたことに基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されたと判断する。
【0136】
制御部50は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0137】
ステップS112において、制御部50は、上述の取得部54(図8参照)として機能し、上述のカメラ180に撮影指示を出力する。これにより、制御部50は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との装着部分を表わす上述の入力画像125(図10参照)を取得する。
【0138】
ステップS114において、制御部50は、ステップS112で取得した入力画像125を基準画像124と比較する。基準画像124と入力画像125との比較方法については上述の図10などで説明した通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0139】
ステップS120において、制御部50は、上述の判断部56(図8参照)として機能し、ステップS114での比較結果に基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたか否かを判断する。制御部50は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、図15に示される処理を終了する。
【0140】
ステップS122において、制御部50は、上述の実行部58(図8参照)として機能し、予め定められた警告処理を実行する。一例として、制御部50は、HSKツーリング60の装着異常を示す警告を操作盤500のディスプレイ505に表示する。当該警告は、たとえば、ツーリング保持部70に対してHSKツーリング60を180度反転して装着し直すことを促すメッセージを含む。
【0141】
<K.変形例>
【0142】
(K1.概要)
次に、HSKツーリング60の装着異常を検出する方法の変形例について説明する。
【0143】
上述では、工作機械100は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態をカメラ180で撮影することで、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着異常を検出していた。これに対して、本変形例に従う工作機械100は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅に相関する物理情報を検出するための位置センサを用いて、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着異常を検出する。当該位置センサを用いる点以外については上述の通りであるので、以下ではそれ以外の説明については繰り返さない。
【0144】
(K2.HSKツーリングの装着態様)
まず、図16および図17を参照して、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着態様について説明する。図16および図17は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着態様を概略的に示す図である。
【0145】
本変形例に従うツーリング保持部70は、HSKシャンク64が挿入口75に挿入された際にHSKシャンク64と連動する連動部材90を有する。連動部材90は、中心軸AXとの軸方向に移動可能なようにツーリング保持部70に設けられている。連動部材90は、たとえば、中心軸AXの軸方向に延設されるピンである。
【0146】
ツーリング保持部70には、孔Hが設けられている。孔Hは、中心軸AXの軸方向に延びている。連動部材90は、孔Hの内部を通るようにツーリング保持部70に設けられている。
【0147】
図16には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されている様子が示されている。HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されている場合には、溝部65Aが連動部材90に接触し、かつ溝部65Bが係合部75Bに接触する。その結果、連動部材90は、溝部65Aによって、HSKツーリング60の挿入方向(すなわち、中心軸AXの軸方向)に押し込まれる。
【0148】
図17には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されている様子が示されている。HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されている場合には、溝部65Aが係合部75Bに接触し、かつ溝部65Bが連動部材90に接触する。その結果、連動部材90は、溝部65Bによって、HSKツーリング60の挿入方向(すなわち、中心軸AXの軸方向)に押し込まれる。
【0149】
HSKツーリング60がツーリング保持部70に挿入された際の連動部材90の移動量は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅に相関する。そのため、当該移動量は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されたか否かを判断するための指標になり得る。
【0150】
そこで、本変形例に従う工作機械100は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際における連動部材90の移動量を、位置センサ190を用いて検出する。位置センサ190は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す物理情報として連動部材90の位置を検出する。
【0151】
なお、位置センサ190の種類は特に限定されない。少なくとも2段階で連動部材90の位置を区別することが可能な任意のセンサが位置センサ190として採用され得る。一例として、位置センサ190は、その検出可能範囲内において物体の有無を検出することが可能な非接触式の近接センサである。他の例として、位置センサ190は、連動部材90が接触したことを検出することが可能な接触式のスイッチであってもよい。他の例として、位置センサ190は、自身から連動部材90までの距離を検出することが可能な距離センサであってもよい。
【0152】
図16および図17には、位置センサ190の一例として、非接触式の近接センサが示されている。位置センサ190は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際に、連動部材90が位置センサ190の検出可能範囲の内外間を移動するようにツーリング保持部70に設けられている。
【0153】
より具体的には、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に挿入された際には、連動部材90は、位置センサ190の検出可能範囲外から位置センサ190の検出可能範囲内に移動する。一方で、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着された際には、連動部材90は、位置センサ190の検出可能範囲内まで移動しない。これにより、工作機械10は、位置センサ190の出力値に応じて、HSKツーリング60の装着異常を検出することができる。
【0154】
(K3.機能構成)
次に、図18を参照して、変形例に従う工作機械100の機能構成について説明する。図18は、変形例に従う工作機械100の機能構成の一例を示す図である。
【0155】
図18に示されるように、工作機械100の制御部50は、機能構成として、取得部54Aと、判断部56Aと、実行部58とを含む。図18に示される機能構成は、上述の図8に示される機能構成と比較すると、取得部54の代わりに取得部54Aを備える点と、判断部56の代わりに判断部56Aを備える点とで異なる。実行部58の機能については上述の通りであるので、以下ではその説明については繰り返さない。
【0156】
(a)取得部54A
まず、図18に示される取得部54Aの機能について説明する。一例として、取得部54Aは、情報処理装置400(図2参照)に実装される。
【0157】
取得部54は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す物理情報を検出部45から取得する。図18には、検出部45の一例として、上述の位置センサ190が示されている。位置センサ190は、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す検出値を上記物理情報として検出する。
【0158】
取得部54Aが位置センサ190の検出値を取得するタイミングは、任意である。典型的には、取得部54Aは、作業者がHSKツーリング60をツーリング保持部70に装着したことに基づいて、位置センサ190から検出値を取得する。
【0159】
より具体的には、工作機械100のドアD1(図1参照)には、開閉センサ(図示しない)が設けられている。作業者は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着が完了したことに基づいてドアD1を閉める。そこで、取得部54Aは、当該開閉センサの出力値がドアD1の開状態を示す値からドアD1の閉状態を示す値に変化したことに基づいて、位置センサ190から検出値を取得する。
【0160】
他の例として、工作機械100には、装着完了ボタン(図示しない)が設けられている。作業者は、ツーリング保持部70に対するHSKツーリング60の装着が完了したことに基づいて、当該装着完了ボタンを押下する。そこで、取得部54Aは、当該装着完了ボタンが押下されたことに基づいて、位置センサ190から検出値を取得する。
【0161】
(b)判断部56A
次に、図18に示される判断部56Aの機能について説明する。一例として、判断部56Aは、情報処理装置400(図2参照)に実装される。
【0162】
判断部56Aは、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の幅が所定値以上であることを位置センサ190の検出値が示す場合に、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたと判断する。
【0163】
判断部56Aによる装着異常の判断アルゴリズムは、位置センサ190の種類に応じて設計される。一例として、位置センサ190が物体の有無を2値で示す近接センサであるとする。この場合、位置センサ190の出力値が「0」であることは、位置センサ190の前に連動部材90が存在しないことを示す。一方で、位置センサ190の出力値が「1」であることは、位置センサ190の前に連動部材90が存在することを示す。
【0164】
そこで、判断部56Aは、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際における位置センサ190の検出値が「0」を示す場合、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたと判断する。一方で、判断部56Aは、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際における位置センサ190の検出値が「1」を示す場合、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されたと判断する。
【0165】
他の例として、位置センサ190が物体までの距離を出力する距離センサであるとする。この場合、位置センサ190の出力値が所定値以上であることは、位置センサ190の前に連動部材90が存在しないことを示す。一方で、位置センサ190の出力値が所定値よりも小さいことは、位置センサ190の前に連動部材90が存在することを示す。
【0166】
そこで、判断部56Aは、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際における位置センサ190の検出値が所定値以上である場合、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたと判断する。一方で、判断部56Aは、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着された際における位置センサ190の検出値が所定値よりも小さい場合、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されたと判断する。
【0167】
<L.まとめ>
以上のようにして、工作機械100は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に装着されている間に、HSKツーリング60とツーリング保持部70との隙間の状態を示す物理情報を検出部45から取得する。そして、工作機械100は、当該物理情報に基づいて、HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されているか否かを判断する。HSKツーリング60がツーリング保持部70に正常に装着されていないと判断された場合には、工作機械100は、予め定められた警告処理を実行する。これにより、作業者は、HSKツーリング60がツーリング保持部70に異常に装着されたことに気付くことができる。
【0168】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0169】
10 工作機械、40A 工具収納部、40B 加工機本体、45 検出部、50 制御部、54 取得部、54A 取得部、56 判断部、56A 判断部、58 実行部、60 HSKツーリング、62 ツールホルダ、63 フランジ、64 HSKシャンク、65A 溝部、65B 溝部、70 ツーリング保持部、70P ポット、75 挿入口、75A 係合部、75B 係合部、90 連動部材、100 工作機械、110 駆動部、111M モータドライバ、112M モータ、113 駆動スプロケット、114 従動スプロケット、115 無端チェーン、120 駆動部、121A ATCドライバ、122A モータ、122B モータ、124 基準画像、125 入力画像、126 差分画像、130 駆動部、131B モータドライバ、131C モータドライバ、131X モータドライバ、131Y モータドライバ、131Z モータドライバ、132B モータ、132C モータ、132X モータ、132Y モータ、132Z モータ、150 マガジン、165 中心軸、166 アーム、166A 工具把持部、166B 工具把持部、170 主軸、180 カメラ、190 位置センサ、200 CPUユニット、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 フィールドバスコントローラ、209 内部バス、220 補助記憶装置、222 制御プログラム、300 CNCユニット、301 制御回路、302 ROM、303 RAM、304 通信インターフェイス、305 通信インターフェイス、306 フィールドバスコントローラ、309 内部バス、320 補助記憶装置、322 加工プログラム、400 情報処理装置、401 制御回路、402 ROM、403 RAM、404 通信インターフェイス、405 カメラインターフェイス、409 内部バス、420 補助記憶装置、422 制御プログラム、500 操作盤、501 制御回路、502 ROM、503 RAM、504 通信インターフェイス、505 ディスプレイ、506 操作キー、509 内部バス、520 補助記憶装置、522 制御プログラム。
【要約】
【課題】工作機械に対するHSKシャンクの装着異常を検出するための技術を提供する。
【解決手段】工作機械は、ツーリングの挿入口を有するツーリング保持部を備える。ツーリングは、工具を保持するための工具保持部と、挿入口に挿入されるHSKシャンクとを含む。工作機械は、さらに、ツーリングとツーリング保持部との隙間の状態を示す物理情報を検出するための検出部と、工作機械を制御するための制御部とを備える。制御部は、ツーリングがツーリング保持部に装着されている間に、検出部から物理情報を取得するための取得部と、取得された物理情報に基づいて、ツーリングがツーリング保持部に正常に装着されているか否かを判断するための判断部と、ツーリングがツーリング保持部に正常に装着されていないと判断された場合に、予め定められた処理を実行するための実行部とを含む。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18