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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】焼成治具
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/505 20060101AFI20220412BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20220412BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20220412BHJP
   F27D 3/12 20060101ALI20220412BHJP
   B22F 3/10 20060101ALI20220412BHJP
   H01F 1/057 20060101ALN20220412BHJP
   H01F 41/02 20060101ALN20220412BHJP
【FI】
C04B35/505
C04B35/64
C04B38/00 303Z
F27D3/12 Z
B22F3/10 M
H01F1/057 170
H01F41/02 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019181753
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021054690
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】石丸 詩門
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-178069(JP,A)
【文献】特開平07-207304(JP,A)
【文献】特開2007-220824(JP,A)
【文献】特開平07-207305(JP,A)
【文献】特開平07-161560(JP,A)
【文献】特表2000-509102(JP,A)
【文献】国際公開第2005/009919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/505
C04B 35/64
C04B 38/00
F27D 3/12
B22F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体を100mass%としたときに、イットリア(Y)を95mass%以上で含有し、
気孔率が2~20%であり、開気孔率が13%以下であり、
開気孔の平均細孔径が1.0μm以下であり、Nd-Fe-B系磁石の焼成に用いられることを特徴とする焼成治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Nd-Fe-B系磁石の焼成に用いられる焼成治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ等の用途において、モータの小型化や高性能化が求められている。モータの小型化においては、磁石の性能向上が重要である。高い磁気特性を有する磁石として、ネオジム,鉄,ホウ素を主成分とするNd-Fe-B系磁石(いわゆる、ネオジム磁石)が広く使用されている。
【0003】
Nd-Fe-B系磁石は、原料合金の粉末を磁場中で圧縮成形し、得られた成形体を、焼結炉で焼結処理し、時効処理することにより製造される。成形体の焼結は、セッターや匣鉢等の焼成治具に載置した状態で炉内に配置し、所定の温度で熱処理(焼結)して行われる。焼成治具は、例えば、特許文献1~2に開示されている。
【0004】
特許文献1は、希土類酸化物焼結体からなり、その表面粗さ(Ra)が50μm以下、気孔率が20%以下、結晶粒径が30μm以下である焼結用治具を開示している。
しかしながら、この焼成治具では、被焼結体であるNd-Fe-B系磁石に対する耐反応性が低いという問題があった。この焼成治具を用いてNd-Fe-B系磁石を焼結したときに、Nd-Fe-B系磁石を構成する元素が反応する。従来の焼成治具において、気孔率が大きくなるほど反応を生じる。特に、焼成治具の表面の開気孔にNd-Fe-B系磁石を構成する元素が浸透・反応する。そうすると、焼成治具に割れが生じやすくなり、繰り返しの使用が困難となっていた。
【0005】
特許文献2は、炭素繊維強化炭素複合材で構成された治具本体の成形体載置面に焼結用敷粉が付着している希土類永久磁石の焼結用治具を開示している。そして、焼結用敷粉が酸化イットリウム(Y)である。
しかしながら、この焼成治具では、焼結用敷粉を配した状態でNd-Fe-B系磁石の焼結を行うため、得られるNd-Fe-B系磁石の表面に焼結用敷粉(Y)が付着しているという問題があった。すなわち、得られるNd-Fe-B系磁石は、その表面に付着したYから拡散した元素を含有する、すなわち、反応生成物を微視的に含むという問題があった。つまり、得られるNd-Fe-B系磁石がYに汚染され、微視的に組成が変化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-178069号公報
【文献】特開2007-220824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、Nd-Fe-B系磁石を焼結するときに用いる焼成治具であって、被焼結体に対する高い耐反応性を有する焼成治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の焼成治具は、全体を100mass%としたときに、イットリア(Y)を95mass%以上で含有し、気孔率が2~20%であり、開気孔率が13%以下であり、開気孔の平均細孔径が1.0μm以下であり、Nd-Fe-B系磁石の焼成に用いられることを特徴とする。
本発明の焼成治具は、Nd-Fe-B系磁石に対し、高い耐反応性及び耐熱衝撃性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のセッターの斜視図である。
図2】その他の形態の匣鉢の斜視図である。
図3】試料1の1000倍のSEM写真である。
図4】試料1の5000倍のSEM写真である。
図5】試料3の1000倍のSEM写真である。
図6】試料3の5000倍のSEM写真である。
図7】試料5の1000倍のSEM写真である。
図8】試料5の5000倍のSEM写真である。
図9】試料8の1000倍のSEM写真である。
図10】試料8の5000倍のSEM写真である。
図11】試料9の1000倍のSEM写真である。
図12】試料9の5000倍のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を用いて本発明を具体的に説明する。なお、各実施形態は本発明を具体的に実施した形態を示すものであり、本発明は、これらの形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、これらの実施形態に記載されている事項や技術常識を適宜組み合わせた形態を含んでいる。
なお、本発明において焼結とは、Nd-Fe-B系磁石の成形体において原料粉末の粒子の結合を生じさせて焼結体とする焼結処理だけでなく、焼結処理後の成形体(焼結体)の時効処理を含む。
また、Nd-Fe-B系磁石の焼成とは、Nd-Fe-B系磁石(またはその原料)を焼結する処理だけでなく、焼結温度以下の温度で熱処理する工程を含む。
【0011】
[実施形態]
本形態は、図1に斜視図で示した板状の焼成治具(すなわち、セッター)である。
本形態のセッター1は、全体を100mass%としたときに、イットリア(Y)を95mass%以上で含有し、気孔率が2~20%であり、開気孔率が13%以下であり、開気孔の平均細孔径が1.0μm以下である。そして、本形態のセッター1は、Nd-Fe-B系磁石の焼成に用いられる。
【0012】
本形態のセッター1は、全体を100mass%としたときに、イットリア(Y)を95mass%以上で含有する。イットリアは、Nd-Fe-B系磁石を焼結するときに、Nd-Fe-B系磁石の原料に対し、高い耐反応性を有する。イットリアを95mass%以上で含有することで、本形態のセッター1は、Nd-Fe-B系磁石の原料に対し高い耐反応性を発揮できる。イットリアの含有量が95mass%未満となると、Nd-Fe-B系磁石の原料と反応を生じやすくなり、本形態のセッター1が十分な耐反応性を得られなくなる。本形態のセッター1は、イットリアの含有量が高いほど好ましく、98mass%以上が好ましく、99mass%以上であることがより好ましく、実質的に100mass%であることが最も好ましい。
【0013】
本形態のセッター1において、イットリアの含有割合は、後述の製造方法においてイットリア粉末の割合(質量比)とすることができる。すなわち、イットリア粉末を焼結して製造される場合、原料全体に占めるイットリア粉末の割合である。
【0014】
本形態のセッター1は、気孔率が2~20%である。気孔率が2~20%となることで、耐反応性と耐熱衝撃性に優れたセッターとなる。気孔率が20%を超えて大きくなると、気孔同士が連結し、開気孔率が過剰に大きくなり、耐反応性が低下する。また、気孔率が2%未満となると、セッター1の気孔量が減少し、耐熱衝撃性が低下する。
【0015】
本形態のセッター1は、開気孔率が13%以下である。開気孔とは、セッター1の外周面に開口する気孔であり、外気と接続する気孔である。開気孔が13%を超えると、Nd-Fe-B系磁石の原料と反応を生じやすくなり、本形態のセッター1が十分な耐反応性を得られなくなる。具体的には、Nd-Fe-B系磁石を焼結するときに、Nd-Fe-B系磁石の原料からの物質(元素)がセッター1の開気孔内に浸透する。開気孔内に浸透した物質は、セッター1と反応する。この結果、セッター1の耐反応性が低下する。これに対し、本形態のセッター1では、開気孔率が低く、Nd-Fe-B系磁石の原料からの物質(元素)がセッター1の開気孔内に浸透することが抑えられている。この結果、本形態のセッター1は、高い耐反応性を発揮する。本形態のセッター1は、開気孔率が小さいほど好ましく、8%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0016】
本形態のセッター1は、開気孔の平均細孔径が1.0μm以下である。開気孔の平均気孔径がこの範囲となることで、本形態のセッター1は、高い耐反応性を発揮する。開気孔の平均気孔径が1.0μmを超えて大きくなると、Nd-Fe-B系磁石の原料からの物質(元素)がセッター1の開気孔内に浸透しやすくなる。つまり、セッター1の耐反応性が低下する。
本形態のセッター1において、上記の開気孔についての特性は、少なくともNd-Fe-B系磁石と当接する表面の部分が有していればよいが、外周面の全面であることが好ましい。
【0017】
本形態のセッター1は、Nd-Fe-B系磁石の焼成に用いられる。Nd-Fe-B系磁石は、その具体的な組成が限定されない。Nd-Fe-B系磁石は、例えば、Nd:20mass%~40mass%、B:0.5mass%~4.5mass%、Fe:残部となるような組成を有する。
【0018】
Nd-Fe-B系磁石は、添加元素が添加されていてもよい。添加元素Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ga等をあげることができ、これらから1種又は2種以上を選択して用いることができる。これら添加元素Mの添加量は、残留磁束密度等の磁気特性を考慮して、3mass%以下とすることが好ましい。添加元素Mの添加量が多すぎると、磁気特性が劣化するおそれがある。
【0019】
[製造方法]
本形態のセッター1は、その製造方法が限定されない。例えば、以下の製造方法を用いることができる。
まず、イットリア粉末と造孔材粉末とを所定の割合となるように秤量し、均一に混合する。
イットリア粉末は、その粒度特性が限定されず、平均粒径(D50)が0.5μm~2.0μmの粉末であることが好ましい。
【0020】
造孔材粉末は、焼成したときに消失して、セッター1を多孔質体とする造孔材として機能する微粒子(よりなる粉末)であれば、その材料は限定されるものではない。造孔材としては、たとえば、マイクロビーズをあげることができる。
【0021】
マイクロビーズは、アクリル樹脂,フェノール樹脂の少なくとも一方よりなることが好ましい。マイクロビーズがこれらの樹脂より選ばれる樹脂よりなることで、焼成体の気孔を所望の細孔径(気孔特性)とすることができる。アクリル樹脂,フェノール樹脂の少なくとも一方よりなるマイクロビーズは、焼成時に消失させるときに発生する熱量が、マイクロビーズがカーボンのみからなる場合よりも小さい。
さらに、マイクロビーズは、中実体であっても、内部が空洞となっている中空体であっても、いずれでもよい。
【0022】
造孔材粉末は、その粒度特性が限定されないが、セッター1の気孔特性(気孔率,開気孔)を有することができる粒度特性を有することが好ましく、例えば、平均粒径(D50)が5μmの粉末であることが好ましい。
イットリア粉末と造孔材粉末の混合割合(例えば、イットリア粉末に対する造孔材粉末の割合)は、上記の気孔率となる割合とすることができる。
続いて、混合粉末を所定の形状(セッター1の形状)に成形する。
【0023】
混合粉末の成形は、成形型(金型)を用いた型成形であることが好ましい。この型成形によると、成形体は、成形型との当接面(表面)近傍は高密度に、内部は低密度に、それぞれ形成される。つまり、内部の気孔率(閉気孔の気孔率)が大きく、表面の気孔率(開気孔率)が小さな成形体を形成できる。
その後、成形体を焼成(焼結)する。
【0024】
成形体の焼成は、混合粉末のイットリアを焼結できる条件(加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気)であればよい。また、焼成時の加熱により、造孔材が消失(焼失)する。なお、成形体の焼成は、焼結温度より低い温度での焼成(脱脂)を行った後に、焼結することが好ましい。
以上により、本形態のセッター1を製造できる。
【0025】
[その他の形態]
本形態は、図2に斜視図で、その構成を示した匣鉢2である。なお、本形態の特に言及しない構成は、実施形態のセッター1と同様の構成である。
本形態の匣鉢2は、載置部20と壁部21を有する。本形態の匣鉢2は、図2に示したように、槽状を有する。本形態の匣鉢2は、実質的に、実施形態のセッター1の周縁部に、全体として環状の壁部21が立設した構成である。
本形態の匣鉢2は、形状が異なること以外は、実施形態のセッター1と同様な構成である。すなわち、本形態の匣鉢2は、実施形態のセッター1と同様な効果を発揮する。
さらに、本発明は、セッター1や匣鉢2のみに限定されない。熱処理に用いられる焼成治具として知られた構成(形状)としてもよい。
【実施例
【0026】
以下、実施例及び比較例のセッターを用いて本発明を具体的に説明する。
(試料1~8)
平均粒径(D50)が0.5μm~2.0μmのイットリア粉末と、平均粒径(D50)が5μmの造孔材粉末(具体的には、中実のアクリル樹脂粒子よりなるマイクロビーズ)とを、表1に示した割合で秤量し、均一に混合した。ここで、造孔材の割合は、イットリア粉末の質量を100mass%としたときの割合である。
混合粉末を成形型を用いて圧縮成形し、100×100×2mmの方形の板状の成形体を製造した。
成形体は、自然乾燥され、その後、大気雰囲気400℃で24時間保持して脱脂した。
そして、脱脂した成形体を1600℃×2時間の条件で加熱し焼結した。
以上により、試料1~8のセッターを製造した。
【0027】
【表1】
【0028】
(試料9~11)
平均粒径(D50)が0.5μm~2.0μmのイットリア粉末(上記試料1~8と同じ粉末)を熱処理して、結晶粒子を成長させる。その後、焼成体を破砕し、平均粒径(D50)が3μm~4μm,4μm~8μm,8μm~12μmのイットリア粉末を製造した。
その後、製造したイットリア粉末から板状の成形体を造孔材粉末を用いることなく成型し、成形体を焼結して、試料9~11のセッターを製造した。試料9~11の製造において、成形体や焼結条件は試料1~8と同様である。
試料9~11のセッターは、原料のイットリア粉末の平均粒径(D50)が異なること以外は、試料1~8のセッターと同様な構成である。
【0029】
[物性]
製造した各試料のセッターの見掛気孔率,かさ比重,真密度,気孔率(全気孔率),開気孔率,閉気孔率,開気孔の平均細孔径,閉気孔割合を測定し、表1に合わせて示した。
見掛気孔率及びかさ比重は、水銀ポロシメータを用いて測定した。
真密度は、JIS R1620に記載のピクノメータ法を用いて測定した。
気孔率(全気孔率)は、100-(かさ比重/真密度)×100の式で算出した。
開気孔率は、見掛気孔率であり、水銀ポロシメータを用いて測定した。
閉気孔率は、気孔率(全気孔率)-開気孔率で算出した。
開気孔の平均細孔径は、水銀ポロシメータを用いて測定した。
閉気孔割合は、(閉気孔率/気孔率)×100で算出した。
表1に示したように、試料2~6のセッターが実施例に相当し、試料1,7~11のセッターが比較例に相当する。
【0030】
試料1,3,5,8,9のセッターの表面(Nd-Fe-B系磁石が載置される載置面)のSEM写真(1000倍,5000倍)を撮影した。試料1のSEM写真を図3(1000倍)及び図4(5000倍)に、試料3のSEM写真を図5(1000倍)及び図6(5000倍)に、試料5のSEM写真を図7(1000倍)及び図8(5000倍)に、試料8のSEM写真を図9(1000倍)及び図10(5000倍)に、試料9のSEM写真を図11(1000倍)及び図12(5000倍)に、それぞれ示した。
図5図8に示すように、試料3及び試料5のセッターは、開口径が小径の開気孔がまばらに開口していることが確認できる。
【0031】
対して、試料1のセッターは、図3図4に示すように、開気孔が確認できない、緻密な表面となっていることが確認できる。試料8のセッターは、図9図10に示すように、大径の開気孔が開口していることが確認できる。試料9のセッターは、図11図12に示すように、小径の開気孔が全面に開口していることが確認できる。
【0032】
[評価]
各試料の評価として、Nd-Fe-B系合金を焼結し、セッター表面を観察し評価した。評価結果を表2に示した。
Nd-Fe-B系磁石は、Nd-Fe-B系合金粉末を準備し、圧縮成形して板状の成形体(40mm×40mm×3mm)を製造する。
製造した成形体を、各試料のセッターの載置面上に載置した。
このセッターを焼結炉に入れ、5Pa以下に減圧し、1200℃×2時間の焼結処理を行った。
【0033】
この焼結処理を1,5,10回繰り返し、各試料のセッターの表面を観察した。セッターに割れ(大きなクラック)が生じていた場合は×とした。セッター表面にNd-Fe-B系合金の痕跡が確認できた場合は△とした。セッター表面に痕跡や割れが確認できない場合は○とした。
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示したように、本発明の実施例に相当する試料2~6のセッターは、セッター表面に痕跡や割れが確認できなかった。すなわち、Nd-Fe-B系合金に対して、耐反応性及び耐熱衝撃性に優れていることが確認できた。
対して、試料1のセッターは、1回の焼結で割れが確認され、Nd-Fe-B系合金の焼結に用いることができないことが確認できた。
【0036】
試料7のセッターは、5回以上の焼結を行うと、Nd-Fe-B系合金の痕跡が確認され、Nd-Fe-B系合金に対する耐反応性が低いことが確認できた。試料8のセッターは、1回の焼結から、Nd-Fe-B系合金の痕跡が確認され、Nd-Fe-B系合金に対する耐反応性が低いことが確認できた。試料9~試料11のセッターは、焼結回数が多くなるとNd-Fe-B系合金の痕跡が確認され、Nd-Fe-B系合金に対する耐反応性が低いことが確認できた。すなわち、比較例に相当する試料1のセッターは、耐熱衝撃性が低い。試料7~試料11のセッターは、耐反応性が低い。
【符号の説明】
【0037】
1:セッター、2:匣鉢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12