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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/32 20140101AFI20220412BHJP
   H02S 40/34 20140101ALI20220412BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20220412BHJP
【FI】
H02S40/32
H02S40/34
H01L31/04 570
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020185414
(22)【出願日】2020-11-05
(62)【分割の表示】P 2016543166の分割
【原出願日】2015-03-24
(65)【公開番号】P2021044560
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】14/228,646
(32)【優先日】2014-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グラッグ、ゴパル クリシャン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ソン ブン
(72)【発明者】
【氏名】カズンズ、ピーター ジョン
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0206378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0325288(US,A1)
【文献】特開2009-200445(JP,A)
【文献】特開2010-074161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0200709(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/30-40/38
H01L 31/05
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高電圧光起電力電池であって、前記複数の高電圧光起電力電池のそれぞれが、光起電力電池の個片化に際して形成された物理的に分離された複数のサブセルを有し、前記複数のサブセルのそれぞれが、個片化され物理的に分離された前記複数のサブセルのそれぞれにおいて、受光表面とは反対の裏面に結合された金属化構造を備え、前記金属化構造が、前記複数のサブセルの少なくとも2つの前記裏面を電気的及び機械的にブリッジする、複数の高電圧光起電力電池と、
前記複数の高電圧光起電力電池からの第1の電圧を第2の電圧へ変換するブーストレス電圧変換装置と、
を備える、
光起電力モジュール
【請求項2】
接続箱を更に備え、
前記ブーストレス電圧変換装置が、前記接続箱のハウジングの内部に設置されている、請求項1に記載の光起電力モジュール
【請求項3】
前記ブーストレス電圧変換装置が、100KHzを超えるスイッチング周波数を備える高周波絶縁トランスを有する、請求項1または2に記載の光起電力モジュール
【請求項4】
前記複数のサブセルが直列に接続される、請求項1から3の何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項5】
前記ブーストレス電圧変換装置が、絶縁を備えたブーストレス直流(DC)電力最適化装置であり、前記第1の電圧及び前記第2の電圧は、両方ともDC電圧である、請求項1から4の何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項6】
前記ブーストレス電圧変換装置が、ブーストレスマイクロインバータであり、
前記第1の電圧が直流(DC)電圧であり、前記第2の電圧が交流(AC)電圧である、請求項1からの何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項7】
前記ブーストレス電圧変換装置が、更に、前記第2の電圧を第3の電圧へ変換する、請求項1からの何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項8】
前記ブーストレス電圧変換装置が、前記第2の電圧を電力グリッドに供給する、請求項1から4および6の何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項9】
前記ブーストレス電圧変換装置が、更に、Vmpが閾値を下回ることに応じて、バイパスモードで動作し、前記Vmpとは前記光起電力モジュールの最大電圧である、請求項1から8の何れか一項に記載の光起電力モジュール
【請求項10】
前記金属化構造が、前記複数のサブセルの間の応力を除去するための溝を有する、請求項1から9の何れか一項に記載の光起電力モジュール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
太陽電池として一般に知られる光起電力(PV)電池は、太陽放射を電気エネルギーに変換するための周知のデバイスである。概して、太陽放射が太陽電池の基板の表面上に衝突し、基板の中に入ることにより、その基板のバルク内に電子‐正孔対が生成される。それらの電子‐正孔対が、基板内のpドープ領域及びnドープ領域に移動することにより、それらのドープ領域の間に電圧差が生じる。それらのドープ領域が、太陽電池上の導電性領域に接続されることにより、その電池から外部回路へと電流が方向付けられる。PV電池が、PVモジュールなどのアレイ内で組み合わされる場合、全てのPV電池から収集される電気エネルギーは特定の電圧及び電流を有する電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】いくつかの実施形態による、物理的に分離されたサブセルを形成するための個片化の前の、太陽電池の断面図を示す。
【0003】
図2】いくつかの実施形態による、物理的に分離されたサブセルを形成するための個片化の後の、太陽電池の断面図を示す。
【0004】
図3】いくつかの実施形態による、電池個片化のためのバックストップとして金属を使用する、一対の個片化されたサブセルの一部の断面図を示す。
【0005】
図4】いくつかの実施形態による、電池個片化のためのバックストップとして緩衝材を使用する、一対の個片化されたサブセルの一部の断面図を示す。
【0006】
図5】いくつかの実施形態による、サブセルにダイシングされた、それぞれの太陽電池の金属化面から見た、様々な例示的な太陽電池の平面図を示す。
図6】いくつかの実施形態による、サブセルにダイシングされた、それぞれの太陽電池の金属化面から見た、様々な例示的な太陽電池の平面図を示す。
図7】いくつかの実施形態による、サブセルにダイシングされた、それぞれの太陽電池の金属化面から見た、様々な例示的な太陽電池の平面図を示す。
図8】いくつかの実施形態による、サブセルにダイシングされた、それぞれの太陽電池の金属化面から見た、様々な例示的な太陽電池の平面図を示す。
図9】いくつかの実施形態による、サブセルにダイシングされた、それぞれの太陽電池の金属化面から見た、様々な例示的な太陽電池の平面図を示す。
【0007】
図10】いくつかの実施形態による、例示的な高電圧PVモジュールを示す。
【0008】
図11】いくつかの実施形態による、高電圧モジュール、及びブーストレス電圧変換装置を含むシステムのブロック図を示す。
【0009】
図12a】いくつかの実施形態による、例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
図12b】いくつかの実施形態による、例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
図12c】いくつかの実施形態による、例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
【0010】
図13a】例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールのための、例示的なシェーディングシナリオを示す。
図13b】例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールのための、例示的なシェーディングシナリオを示す。
図13c】例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールのための、例示的なシェーディングシナリオを示す。
図13d】例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールのための、例示的なシェーディングシナリオを示す。
【0011】
図14a】いくつかの実施形態による、例示的な60個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
図14b】いくつかの実施形態による、例示的な60個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
図14c】いくつかの実施形態による、例示的な60個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は本質的に、単なる例示に過ぎず、本出願の主題の実施形態、またはそのような実施形態の適用若しくは用途を限定することを意図していない。本明細書で使用される「例示的」という語は、「実施例、例、又は例示としての役割を果たすこと」を意味する。本明細書で例示的として説明される任意の実装は、必ずしも、他の実装よりも好ましい又は有利であるとして解釈されるべきではない。更に、前述の技術分野、背景技術、概要、又は以下の発明を実施するための形態で示される、明示又は暗示されるいかなる理論によっても、拘束されることを意図するものではない。
【0013】
本明細書は、「一実施形態」又は「実施形態」という言及を含む。「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。特定の機能、構造、又は特性を、本開示と矛盾しない任意の好適な態様で組み合わせることができる。
【0014】
[用語]以下のパラグラフは、本開示(添付の特許請求の範囲を含む)で見出される用語に関する、定義及び/又は文脈を提供する。
【0015】
「備える」。この用語は、オープンエンド型である。添付の特許請求の範囲で使用されるとき、この用語は、追加の構造又は段階を排除するものではない。
【0016】
「~ように構成され」。様々なユニット又は構成要素は、タスクを実行する「ように構成された」として、記載又は特許請求される場合がある。そのような文脈では、「~ように構成され」は、それらのユニット/構成要素が、動作中にそれらのタスクを実行する構造を含むということを示すことによって、構造を含意するために使用される。それゆえ、それらのユニット/構成要素は、特定のユニット/構成要素が現時点で動作可能ではない(例えば、オン/アクティブではない)場合であっても、そのタスクを実行するように構成されていると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が、1または複数のタスクを実行する「ように構成され」と記載することは、そのユニット/構成要素に関して、米国特許法第112条第6項が適用されないことを、明示的に意図するものである。
【0017】
「第1の」、「第2の」等。本明細書で使用されるとき、これらの用語は、これらの用語が後に置かれる名詞に対するラベルとして使用されるものであり、いかなるタイプの(例えば、空間的、時間的、論理的等)順序付けも暗示するものではない。例えば、「第1の」光起電力モジュールへの言及は、この光起電力モジュールが順番において最初の光起電力モジュールであることを必ずしも示唆するものではない。そうではなく、用語「第1の」は、この光起電力モジュールを別の光起電力モジュール(例えば、「第2の」光起電力モジュール)から区別するために使用される。
【0018】
「基づく」。本明細書で使用するとき、この用語は、決定に影響を及ぼす、1または複数の要因を記載するために使用される。この用語は、決定に影響を及ぼし得る、追加の要因を排除するものではない。すなわち、決定は、単にそれらの要因のみに基づく場合もあり、又は、それらの要因に少なくとも部分的に基づく場合もある。「Bに基づいてAを決定する」という語句を考察する。Bは、Aの決定に影響を及ぼす要因であり得るが、そのような語句は、Aの決定がCにもまた基づくものであることを排除するものではない。他の場合には、Bのみに基づいて、Aが決定されることがある。
【0019】
「結合された」。以下の詳細な説明は、共に「結合された」素子又はノード又は機能について言及する。本明細書で使用するとき、明示的に別途記載される場合を除き、「結合された」とは、1つの素子/ノード/機能が、別の素子/ノード/機能に、直接的又は間接的に接合される(又は、直接的若しくは間接的に連通する)ことを意味するものであり、これは、必ずしも機械的なものではない。
【0020】
また、特定の専門用語もまた、参照のみを目的として、以下の詳細な説明で使用される場合があり、故にそれらの専門用語は限定的であることを意図するものではない。例えば、「上側」、「下側」、「上方」、及び「下方」などの用語は、参照される図面内での方向を指す。「前部」、「後方」、「後部」、「側部」、「外側」、及び「内側」などの用語は、当該構成要素について記載するテキスト及び関連図面を参照することによって明確にされる、一貫性はあるが任意の枠組みにおける構成要素の諸部分の向き及び/又は位置を説明するものである。そのような専門用語は、特に上記の語句、それらの派生語、及び類似の趣旨の語句を含み得る。
【0021】
高電圧太陽電池(本明細書において光起電力電池とも称される)、太陽モジュール(本明細書において光起電力モジュールとも称される)、及びそれらの用途が開示される。以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解をもたらすべく、具体的な操作等の多数の具体的詳細が記載されている。これらの具体的な詳細がなくても、本開示の実施形態を実施可能であることが、当業者には明らかであろう。他の場合には、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にすることのないよう、周知技術については、詳細に記載されていない。
【0022】
明細書は最初に、高電圧ウェハ(例えば、太陽電池)及びPVモジュールを形成する例示的な構造及び技術について記載されており、次にブーストレス電圧変換装置を備える、様々な例示的な高電圧モジュールについて記載されている。様々な例が明細書の随所に提供されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、太陽電池は、例えば、2、4、16個等のより小さな個々のダイオードにダイシングされてよく、その結果、コンタクトフィンガー沿いの電流伝達長がより短くなることに加え、面積がより小さくなることによって、電流が低減される。
【0024】
一実施形態において、各サブセルは、ダイシングされた後に互いに相互接続されてよい一方、他の実施形態においては、高電圧ウェハ及び太陽電池は、モジュール相互接続を増加させることなく、又はより小さい電池の取り扱いを要求することなく、太陽電池ウェハのダイシング、又は個片化を可能にすべく、ハンドルとして金属化を使用することによって形成され得る。例示的な一実施形態において、単一の太陽電池(例えば、125cm、156cm、210cm)は、モジュールの電流及び電圧の柔軟性に加え、金属化の柔軟性を実現すべく、より小さな電池へとさらに分割される。
【0025】
モジュールの電流及び電圧の柔軟性を示す一例として、単一のシリコンP/Nダイオードが0.6~0.74Vの開回路電圧(Voc)を有するシナリオについて検討する。いくつかの太陽電池の最大電圧(Vmp)はおよそ0.63Vである。したがって、単一のダイオードセルは、0.63Vの電圧を有するであろう。このような例において、10個のサブダイオードが単一の全域ウェハ上で製造され、直列で接続される(図9の例に示される)場合、電池全体の電圧は6.3Vとなるであろう(標準的な電池のおよそ1/10の電流、又は約0.5A)。この電圧の96個の電池が、モジュール内に直列に配置される場合、モジュールの動作電圧は約604.8V DCとなるであろう。これにより、30~65V DCの標準的なモジュールVmpとは対照的な高電圧モジュールが形成される。本明細書において高電圧モジュールとは、当該高電圧モジュールと同一サイズの標準的なモジュールのVmpよりも桁違いに大きなVmpを有するモジュールを意味するものとして使用される。本明細書において開示されるように、この電圧範囲を備える高電圧モジュールの1つの用途としては、インバータ又は電力最適化装置内におけるパワーエレクトロニクスの簡易化、縮小化、又はさらにはその必要性を排除する機能である。
【0026】
いくつかの実施形態において、親セル内のサブセルを一緒に保持し、機械的一体性をもたらすべく、金属化スキームが使用され、その結果、モジュールの構築時に処理の複雑性が追加されることが必ずしも必要とされず、電池は物理的に分離されたままである。いくつかの実施形態は更に、サブセル相互接続内における、ビルトインの応力除去の使用を伴う。記載される実施形態は、製造における複雑さ、若しくは金属化の諸問題を扱うことなく、またはフィールド信頼性の懸念が増えることなく、より大きなウェハへの拡張を可能にし得る。
【0027】
様々な実施形態において、モノリシックな金属化構造が、個片化前に複数のサブセルを共に結合するためのバックプレーンとして使用され得る。このような実施形態において、金属化構造の裏面とは別の、別個のバックプレーンが必要とされない。この手法は、個々のサブセルの取り扱い、又は追加のレベルの金属相互接続を要求しない、対応する親セル上でのセル間の接続を可能にする。更に、この手法は、ビルトイン金属化の相互接続を可能にし、従って、従来の相互接続パッドのデッドスペースを除去または著しく低減する。本明細書に記載される実施形態により、1/2セル、1/4セル、10セル又は6セル設計を使用する、いくつかの例示的なレイアウトが、以下により詳細に記載される。いくつかの構成においては、3×3、4×4、又は親セルを備える何らかの他のサブセル構成を含む設計といった、他の設計が想到されることに留意する。いくつかの実施形態は、バックコンタクト太陽電池を対象とし、いくつかの実施形態は、制御可能な電圧及び電流を備えるダイシングされたマルチダイオードセル、可動電圧及び電流を備えるモジュールの映像、並びに比較的大きなセルの作成を可能にする。
【0028】
様々な実施形態において、相互セル接続のために応力除去をビルトインする設計が上記の個片化手法と共に実装され、クラックのリスクを低減する。更に、いくつかの実施形態において、エッジ損失(edge losses)の低減のための手法が実装される。このような一実施形態において、太陽電池の受光表面のテクスチャ化の前に、予め溝形成が行われる。その後破壊プロセスが行われ、場合により分離後の不動態化プロセスが行われる。
【0029】
様々な実施形態において、基板又はウェハ(例えば、シリコン)の分離プロセス中における、金属の損傷のリスクに対処するための手法が記載される。例示的な一実施形態において、金属が直接スクライブされないように、アブレーション停止部として緩衝材を使用することにより、損傷をなくす、又は少なくとも軽減する。
【0030】
追加のリスクとしては、例えばSiを完全に分離しないことにより、又はサイクル中に分離されたSi領域を互いに接触させることにより、基板を通じて短絡が生じることが挙げられる。1または複数の実施形態が、短絡及びシリコンの摩耗というリスクを軽減するために、複数の個々のシリコン部分の間の溝を充填すべく、封止材を導入することによって、このような問題に対処する。このような一実施形態において、エッジを不動態化及び絶縁するために、耐金属不動態化材料が一次又は二次反射防止コーティング(ARC)層として使用される。
【0031】
図と関連して以下により詳細に記載されるように、本明細書に記載の特定の実施形態は、およそ20マイクロメートル超の厚さを有する金属又は金属化構造が、電池を一緒に保持するために金属を使用することにより、太陽電池内のシリコン(Si)のクラックをさもなければ伴う、電力損失を防ぐために、使用され得るということの理解に基づいて、実装され得る。本明細書に記載の実施形態は、サブセルを有する全域ウェハに結合された金属構造(例えば、めっき、又はホイル、又はリボン等による)を提供する。金属は、サブセル相互接続がサブセル金属化と同一操作で形成されるように、パターニングされる。更に、フルセルの中にサブセルが配置され、これにより、Siは、得られる金属化構造を介して接続される整数個のサブダイオードを提供するように分離されてよい。十分な厚さの金属化構造を使用する接続に続き、ダイオードが分離されてよい。このような一実施形態において、金属は、例えば、丸い溝を備える、複数の電池間の応力除去機能を含むべく、めっき又は形成中にパターニングされてもよい。分離の後、縁部における再結合による電力損失を制限するため、及びまた短絡に対する絶縁を提供するため、エッジは不動態化、及び/又は絶縁されてよい。
【0032】
本明細書に含まれる概念のいくつかの例示的な例として、図1及び図2はそれぞれ、本開示の実施形態により、物理的に分離されたサブセルを形成するための個片化の前と後における、太陽電池の断面図を示す。
【0033】
図1を参照すると、太陽電池100は、そこに配置された金属化構造104を有する、基板102を含む。太陽電池100は、基板102内、又はその上方に交互のN型及びP型領域を含む。一実施形態において、金属化構造104は、以下でより詳細に記載されるように、モノリシックな金属化構造である。図2を参照すると、太陽電池100は、互いに物理的に分離されたサブセル108及び110を有する太陽電池106をもたらすべく、個片化又はダイシングされている。一実施形態において、太陽電池100はレーザーアブレーションを使用して個片化されており、これについては以下により詳細に記載する。図2に示されるように、一実施形態において、個片化の際に形成され、もたらされた溝112が、封止材114によって充填される。一実施形態において、図2にも示されるように、金属化構造104の一部116は、2つのサブセル108及び110をブリッジしている。特定の実施形態において、サブセル108及び110は、直列又は並列ダイオード構造を提供しており、その例について、以下に詳細に記載する。
【0034】
図1及び図2を再び参照し、金属化構造104の部分116が、例えば、基板102材料のレーザーアブレーション等のダイシング中に、機械的支持及びバックストップの両方として使用される。第1の特定の例において、図3は、本開示の実施形態による、電池個片化のためのバックストップとして金属を使用する、一対の個片化されたサブセルの一部の断面図を示す。図3を参照すると、サブセル108及び110は、基板102の個片化の際に形成され、それらの間に溝112を有する。金属化構造104の部分116は、基板102の裏面に直接形成され、したがって、金属又は金属領域が、個片化中にバックストップとして使用される。
【0035】
第2の特定の例において、図4は、本開示の実施形態による、電池個片化のためのバックストップとして緩衝材(例えば、ポリマー)を使用する、一対の個片化されたサブセルの一部の断面図を示す。図4を参照すると、サブセル108及び110は、基板102の個片化の際に形成され、それらの間に溝112を有する。しかしながら、金属化構造104の部分116はポリマー領域120上に形成され、これが次に、基板102の裏面に直接形成され、したがって緩衝材が、個片化中にバックストップとして使用される。図3及び図4のいずれかの場合において、一実施形態において、金属化構造104を以下でより詳細に記載されるように、モノリシックな金属化構造として見なし得ることが理解される。更に、一実施形態において、いずれの場合でも、サブセル相互接続が、サブセル金属と同一操作で作成される。あるいは、サブセル相互接続は、外部的に適用されてもよいが、追加的な処理操作が必要となるであろう。
【0036】
図1図3を再び参照すると、より具体的には、一実施形態において、太陽電池は複数のサブセルを含む。サブセルのそれぞれが個片化され、物理的に分離された半導体基板部分を有する。個片化され、物理的に分離された半導体基板部分の隣接するものは、それらの間に溝を有する。太陽電池はまた、金属化構造を含む。金属化構造の一部は、複数のサブセル同士を結合する。更に、個片化され、物理的に分離された半導体基板部分の隣接するもの同士の間の溝は、金属化構造の一部を露出する。
【0037】
一実施形態において、金属化構造は、ホイル(例えば、追加のシード層を備える又は備えないアルミニウムホイルなどの導電性ホイル)から作成されるか、又はめっきプロセスによって作成される。このような一実施形態において、比較的厚い(例えば25μm超)バックメタルが使用される場合、金属への部分的レーザーアブレーションへの何らかの耐性が付与され得る。しかしながら、薄い金属化構造(例えば、25μm未満)が使用される場合、信頼性試験に合格するために必要とされる金属の電気的及び物理的完全性を維持すべく、アブレーションが、金属化構造を一切スクライブすることなしに停止される必要があり得る。金属化構造は、めっき、印刷、結合手順の使用(例えば、ホイルの場合)により作成されてもよく、又は堆積、リソグラフィ、及びエッチング手法によって作成されてもよい。
【0038】
一実施形態において、緩衝ストップが実装される場合(図4と関連して記載されるように)、緩衝ストップは、ポリイミドなどのポリマーである。当該ポリマーは全体的に堆積され、その後パターニングされるか、又は例えば印刷により、所望される部分にのみ堆積されてもよい。他の実施形態において、このような緩衝ストップは、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、又は酸窒化ケイ素(SiON)などが挙げられるがこれらに限定されない誘電材料で構成される。このような一実施形態においては、誘電材料は、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)又は物理気相成長(PVD)などが挙げられるが、これらに限定されない堆積技術を使用して形成される。
【0039】
本明細書に記載の1または複数の実施形態は、全てのサブセルにわたり、単一レベルの「モノリシック」である金属化の実装を伴うと理解されたい。したがって、得られる電池金属化は、相互接続金属化と同一であり得、同一プロセスで同時に作成され得る。このような一実施形態において、モノリシックな金属化構造の使用は、完成した後続の全てのダイオードが金属化されるような、電池分離の実装に繋がる。しかしながら、他の実施形態において、多工程プロセスが使用されてもよい。より具体的な実施形態において、モノリシックな金属化手法は、緩衝又は保護層(例えば、図4に記載される)と共に実装され、その上方にモノリシックな金属化構造が形成される。このような実施形態は、以下により詳細に記載されるように、金属自体を露出することなく、緩衝又は保護層上におけるアブレーション停止を可能にし得る。
【0040】
図2に関連して記載されるように、ダイシングされた太陽電池は更に、個片化され、物理的に分離された半導体基板部分の隣接するもの同士の間の溝の中に配置された封止材(例えば、EVA、ポリオレフィン等)を含む。このような一実施形態において、封止材は、隣接するサブセル部分の間に、短絡耐性および摩耗耐性をもたらす。一実施形態において、封止材は、当該封止材が隣接するサブセルの間に短絡防止を十分にもたらすように、およそ1000V/cm超の絶縁破壊強度を有する。一実施形態において、封止材が適用される場合、封止材が、個片化から生じる細い溝へと流れ込むことを保証すべく、封止材は十分に低い粘度又は高いメルトフローを有する。一実施形態において、封止材による溝の充填は、Si/金属/ポリマー複合物の形成により、システムの機械的強度を改善するよう機能する。
【0041】
本開示の実施形態により、ダイシングされた太陽電池の各サブセルは、およそ同一電圧特性、及びおよそ同一電流特性を有する。一実施形態において、複数のサブセルは、複数の並列ダイオード、直列ダイオード、又はこれらの組み合わせである。一実施形態において、太陽電池、したがってサブセル部分はバックコンタクト太陽電池であり、金属化構造は、個片化され、物理的に分離された半導体基板部分それぞれの、受光表面と対向する裏面上に配置される。このような一実施形態において、複数のサブセルのそれぞれの裏面は、およそ同一の表面積を有する。特定の実施形態において、複数のサブセルのそれぞれの受光表面は、以下により詳細に記載されるように、テクスチャ化された表面である。他の実施形態において、太陽電池はフロントコンタクト太陽電池である。
【0042】
本開示の一実施形態により、個片化され、物理的に分離された半導体基板部分のそれぞれは、例えば、N型単結晶基板から作成された、バルク単結晶シリコン基板部分である。このような一実施形態において、各シリコン部分は、基板自体に形成される、1または複数のN+領域(例えば、リン又はヒ素ドープ領域)、及び1または複数のP+領域(例えば、ホウ素ドープ領域)を含む。他の実施形態において、各シリコン部分は、シリコン基板の上方に形成された、1または複数の多結晶シリコンN+領域、及び1または複数の多結晶シリコンP+領域を含む。
【0043】
個片化された太陽電池内における複数のサブセルの、様々な数の構成及び電気的結合が、本明細書に記載の実施形態の精神及び範囲内において想到され得ることを理解されたい。図5図9の例は様々な例示的(例えば、2×2、又は2×1)なサブセル配置を示すが、いくつかの実施形態において、他の配置(例えば、3×3、4×4等)が使用され得る。また、図5図9の例は、直列又は並列の構成を示すが、いくつかの実施形態において、直列及び並列の構成の組み合わせが実装され得る。
【0044】
第1の例において、図5は、本開示の実施形態により、4個のサブセルにダイシングされた、太陽電池400Aの金属化面から見た平面図を示す。図5を参照すると、太陽電池400Aは、4個のサブセル402A、404A、406A、及び408Aをもたらすように、個片化されている。金属化ライン410Aは、これらのサブセルのそれぞれが接するところで、4電池設計を一緒に保持するために使用される。一実施形態において、図5に示されるように、応力除去機能420Aが、金属化ライン410Aに含まれる。また、第1の隣接する電池位置412A及び第2の隣接する電池位置414Aへの金属化結合が示されている。
【0045】
再び図5を参照すると、ダイオード概略図450Aが、並列の4電池設計の電気的構成を示す。一実施形態において、複数の個々のサブセルは、フルサイズの単一のダイオードセルの1/4の電流であり、当該単一のダイオードセルと同一電圧を有し、これに対し、組み合わされた4つのダイオードのフルセルは、フルサイズの単一のダイオードセルと同一電流及び同一電圧を有する。分離後の再結合が最少となるように、拡散領域にスクライブカットが行われてよい。金属ライン長は、標準的な電池の1/2であり、セルブリッジは1/4であり、これは、同一サイズの電池の金属厚みの低減を可能にすること、又は金属厚みを増加させる必要なしに、より大きなウェハへと拡張することのいずれかを可能にし得る。
【0046】
第2の例において、図6は、本開示の別の実施形態により、4個のサブセルにダイシングされた、別の太陽電池400Bの金属化面から見た平面図を示している。図6を参照すると、太陽電池400Bは、4個のサブセル402B、404B、406B、及び408Bをもたらすように、個片化されている。金属化ライン410Bは、これらのサブセルのそれぞれが接するところで、4電池設計を一緒に保持するために使用される。一実施形態において、図6に示されるように、応力除去機能420Bが、金属化ライン410Bに含まれる。また、第1の隣接する電池位置412B及び第2の隣接する電池位置414Bへの金属化結合が示されている。
【0047】
再び図6を参照すると、ダイオード概略図450Bが、並列の4電池設計の電気的構成を示している。一実施形態において、複数の個々のサブセルは、フルサイズの単一のダイオードセルの1/4の電流であり、当該単一のダイオードセルと同一の電圧を有し、これに対し、組み合わされた4つのダイオードのフルセルは、フルサイズの単一のダイオードセルと同一電流及び同一電圧を有する。分離後の再結合が最少となるように、拡散領域にスクライブカットが行われてよい。金属ライン長は、標準的な電池の1/4であり、これは、同一サイズの電池の金属厚みの低減を可能にすること、又は金属厚みを増加させる必要なしに、より大きなウェハへと拡張することのいずれかを可能にし得る。
【0048】
第3の例において、図7は、本開示の実施形態により、並列の構成の2つのサブセルにダイシングされた、太陽電池500Aの金属化面から見た平面図を例示している。図7を参照すると、太陽電池500Aは、2つのサブセル502A及び504Aをもたらすように、個片化されている。金属化ライン510Aは、これらのサブセルのそれぞれが接するところで、2電池設計を一緒に保持するために使用される。一実施形態において、図7に示されるように、応力除去機能520Aが、金属化ライン510Aに含まれる。また、第1の隣接する電池位置512A及び第2の隣接する電池位置514Aへの金属化結合が示されている。
【0049】
再び図7を参照すると、ダイオード概略図550Aが、並列2電池設計の電気的構成を示している。一実施形態において、複数の個々のサブセルは単一ダイオードフルセルの1/2の電流であり、当該単一のダイオードセルと同一電圧を有し、これに対し、組み合わされた2つのダイオードのフルセルは、フルサイズの単一のダイオードセルと同一電流及び同一電圧を有する。分離後の再結合が最少となるように、拡散領域にスクライブカットが行われてよい。2つの1/2電池を一緒に保持する単一の金属接合をもたらすべく、金属ライン長は標準的な電池の1/2である。
【0050】
第4の例において、図8は、本開示の実施形態により、直列の構成の2つのサブセルにダイシングされた、太陽電池500Bの金属化面から見た平面図を示している。図8を参照すると、太陽電池500Bは、2つのサブセル502B及び504Bをもたらすように、個片化されている。金属化ライン510Bは、これらのサブセルのそれぞれが接するところで、2電池設計を一緒に保持するために使用される。一実施形態において、図8に示されるように、応力除去機能520Bが、金属化ライン510Bに含まれる。また、第1の隣接する電池位置512B及び第2の隣接する電池位置514Bへの金属化結合が示されている。
【0051】
再び図8を参照すると、ダイオード概略図550Bが、直列2電池設計の電気的構成を示している。一実施形態において、サブセルは1/2の電流で、単一ダイオードフルセルと同一電圧であり、組み合わせたフルセルは、電流は1/2であるが、同一サイズの単一のダイオードセルの2倍の電圧である。スクライブカットが、エミッタ接合に沿って行われてよい。2つの1/2電池を一緒に保持する単一の金属接合をもたらすように、金属ライン長は標準的な電池の半分である。
【0052】
図9を参照すると、別の例が示されている。図示の通り、図9は、直列接続で配置された10個のサブダイオードで作成された、フルサイズの電池を示している。この組み合わされた電池の電圧は、同一サイズの単一のダイオードセルの10倍である。一例として、その電圧は、6.3Vmpであろう。組み合わされた電池の電流は、元の電池の電流の1/10(例えば、約0.5A)であろう。このタイプの高電圧電池は、例えば、約600Vのモジュール電圧を生じるであろう、96個の電池のモジュール等のモジュールで使用され得る。このタイプの電池設計における、電流の10分の1への低減は、抵抗加熱によって生じるピーク温度を低減することにより、信頼性及び安全性を改善し得る。
【0053】
本明細書に記載の通り、インバータを使用するAC電力用途、又はDC電力最適化装置を使用する用途において、このような高電圧電池及び高電圧モジュールを使用すること、当該インバータ又は当該電力最適化装置の出力に一致させるべく電圧をスケーリングすることにより、構成要素の費用の節約をもたらすことができる(例えば、標準的パネル電圧(例えば、約30~65V)から典型的な住宅用又は商業用の電力ニーズ(例えば、約240Vrms AC)にわたる、昇圧パワーエレクトロニクスの必要性を低減する、又は無くすことにおいて)。
【0054】
ここで図10を参照すると、例示的な高電圧モジュールが示されている。PVモジュールは、通常動作中に太陽に面する前面と、前面と対向する裏面とを有する。PVモジュールは、フレーム及び複数のPV電池を含む積層体を含み得る。積層体は、複数のPV電池を包囲し、囲む、1または複数の封止層を含み得る。カバー(例えば、ガラス、又は何らかの他の透明な又は実質的に透明な材料)が、封止層に積層されてよい。当該封止層は、積層体の最も後方の層であるバックシートを含んでよく、積層体の残部を保護する対候性の電気絶縁層をもたらす。バックシートは、ポリマーバックシートであってよく、積層体の封止層に積層されてよく、又はバックシートは複数の封止層の1つと一体であってもよい。
【0055】
図10は、PVモジュール1000の裏面を示している。PV電池、ブスバー、及びコネクタなどの、特定の構成要素が図10内に破線で示されており、これらの構成要素はバックシートによって少なくとも部分的に覆われており、従って、裏面から見たときに、図示のように可視でないであろうことを示している、ということに留意する。図10のこのような描写は、PVモジュール1000の様々な構成要素の理解を容易にするためになされている。
【0056】
図示の通り、高電圧モジュール1000は、複数の高電圧PV電池を含み得る。PVモジュール1000は、48個のPV電池1002のアレイを示しているが、他のPVモジュールは、60個の電池、96個の電池、128個の電池等、他の個数のPV電池を含み得る。更に、詳細に図示されないが、特定の縦列内の隣接するPV電池1002が当該縦列内の1または複数の他の隣接するPV電池1002と直列に接続されるように、6つの縦列が相互接続されている。図示の通り、PV電池1002の2つの縦列のグループは、電池接続部1004によって直列に接続されている。
【0057】
本明細書に記載の通り、高電圧太陽電池は、例えば開示のモノリシックな金属化/個片化技術により、又は従来的な技術により、直列及び/又は並列に接続されたサブダイオードを含み得る。例えば、一実施形態において、高電圧モジュール1000は96個の電池から成るモジュールであり得、当該96個の電池は、図9に記載されるサブセル配置を有し、約600VのVmpを有するモジュールをもたらす。様々な実施形態において、サブセルがどのように相互接続されるか(例えば、直列、並列、又はそれらの何らかの組み合わせ)に関わらず、これらの相互接続されたサブセルを含む電池は、直列に接続され得る。
【0058】
電池の各縦列/ストリングの一端において、ブスバー1006が、複数の電池のストリングを、接続箱1008に電気的に結合する。続いて、接続箱1008は、PVモジュール1000のバックシート(又はフレーム)に機械的に結合されている。このような実施形態において、ブスバー1006は、ブスバー1006にアクセス可能であり、ブルバー1006が接続箱1008に結合され得るように、バックシートを貫通している。接続箱1008はまた、DC電力最適化装置のインバータ(例えば、マイクロインバータ)等の電力変換装置1010に(例えば、ケーブルを介して)結合されてよい。図示の通り、電力変換装置1010は、接続箱1008のハウジングの内部または中に収容されているが、他の実施形態においては、電力変換装置1010は、接続箱1008の外側に設置されてよい。本明細書に記載の通り、高電圧モジュールを使用すると、電力変換装置におけるパワーエレクトロニクスに対する必要性を最小化でき、これによって電力変換装置に必要とされる空間を低減できる。特に、一実施形態において、電力変換装置は、ブーストレス電圧変換装置であり得る。結果として、一実施形態において、電力変換装置のエレクトロニクスは、電力変換装置が接続箱1008内にフィットし得るよう十分に小さくできる。
【0059】
ここで図11を参照すると、高電圧モジュール1100a~1100n及びブーストレス電圧変換装置1110a~1100nを含むシステム1100のブロック図が示されている。図示の通り、高電圧モジュール1100aは、ブーストレス電圧変換装置1110aに、出力として、高電圧1130a(例えば、300V DC、600V DC等)を提供する。電圧が既に高電圧であるため、ブーストレス変換装置1110aは、ブースト段階、又はバックブースト段階、及び金属フィルムストレージを含まない。
【0060】
様々な実施形態において、ブーストレス変換装置1110aは、第1の電圧(例えば、高電圧DC)を第2の電圧に変換するよう構成されている。いくつかの実施形態において、ブーストレス変換装置1110aは更に、第2の電圧を第3の電圧に変換し得る。例えば、一実施形態において、第1の電圧は、高電圧モジュールからの高電圧DC(例えば、約600V)であり得、第2の電圧は半波整流された中間的電圧であり得、第3の電圧は、グリッドレディAC電圧(例えば、120/240V AC)であり得る。このような例において、第2の電圧は中間的電圧である。いくつかの実施形態において、例えば、DC電力最適化装置の用途において、第1の電圧及び第2の電圧の両方がDC電圧であり、ブーストレス変換装置の入力と出力との間に中間的電圧が存在しないことがある。様々な実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、Vmp>1.43Vgridを有する。
【0061】
図示の通り、ブーストレス変換装置1110aは、高周波絶縁トランス1112a及びACアンフォールディング(AC unfolding)段階1114aを含む。いくつかの実施形態において、例えば、ブーストレス変換装置1110aがDC電力最適化装置(例えば、絶縁を備えた)である実施形態においては、ACアンフォールディング段階1114aが存在しなくてよいことに留意する。
【0062】
一実施形態において、高周波絶縁トランス1112aは、高電圧モジュール1100aを下流構成要素から絶縁しつつ、高電圧1130aを伝達するよう構成されている。高周波絶縁トランス1112aは、高周波絶縁トランス1112aがおよそ100KHzより大きなスイッチング周波数を有し、従って、100KHz超の周波数で切り替わるよう構成されているため、高周波と称される。高周波絶縁トランスは、高電圧において切り替えが行われるために使用され得る。更に、高周波スイッチングを使用することにより、より小さい磁気を使用することができ、それによって、熱消散のより少ない、より小さな絶縁トランスを可能とする。従って、より小さな電圧変換装置が使用され得、これによって接続箱への組み込みを可能にし得る。
【0063】
ブーストレス変換装置1110aがマイクロインバータである実施形態において、高周波絶縁トランス1112aは、ACアンフォールディング段階1114aに伝達された高電圧を提供できる。絶縁トランスの場合におけるように、ACアンフォールディング段階1114aは、高周波(例えば、100KHz超)スイッチング装置とともに設計されてよい。一実施形態において、ACアンフォールディング段階1114aは、サイクロコンバーターベースのACアンフォールディング段階であり得る。ACアンフォールディング段階1114aは、本明細書に記載のように、電圧をグリッドレディAC電圧に変換するよう構成され得る。
【0064】
様々な実施形態において、いくつかの高電圧パネル及び対応するブーストレス変換装置は、システムの一部であり得る。例えば、一実施形態において、第1の高電圧PVモジュールは第1のブーストレスマイクロインバータに結合され、第2の高電圧PVモジュールは第2のブーストレスマイクロインバータに結合される等である。第2のブーストレスマイクロインバータからの出力は、直列又は並列に一緒に組み合わされ、その後グリッドに結合されてよい。従って、システムは、ストリング内に複数の高電圧パネル及びブーストレス変換装置を含み得る。
【0065】
別の実施形態において、各高電圧パネル及びブーストレス変換装置は、グリッドに直接結合される。他の実施形態において、開示されるシステムは、グリッドレスの用途において実装され得る。
【0066】
図11は、高電圧モジュールのブーストレス変換装置に対する一対一の対応を示しているが、他の実施形態においては、複数の高電圧モジュールが特定のブーストレス変換装置に結合されてよく(例えば、1つのマイクロインバータにつき2つの高電圧モジュール)、又は複数のブーストレス変換装置が、特定の高電圧モジュールに結合されてよい(例えば、1つの高電圧モジュールにつき、2つのマイクロインバータ)。一実施形態において、1つのマイクロインバータにつき複数の高電圧モジュールという構成は、VIN<1kVを満たすよう決定されてよい。例えば、高電圧モジュールが1kV DCのVmpを有する場合、1つの高電圧モジュールのみが特定のマイクロインバータに対して出力してよく、これに対し、各高電圧モジュールが300VのVmpを有する場合、1、2、又は3つの高電圧モジュールが、単一の共有されるマイクロインバータに対し出力してよい。他の例もまた存在する。
【0067】
図12a~図12cは、図13a~図13dのシェーディングシナリオにおける、例示的な96個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示している。図示の通り、図13a~図13dは、12個の電池8列を有する、96個の電池から成るモジュールにおけるシェーディングを示しており、各セルは、9つのサブセルにダイシングされている。図13a、図13b、図13c、及び図13dは2%、5%、9%、及び17%のシェーディングをそれぞれ示している。このようなシェーディングは、木、建築構造物(例えば、煙突、サテライトディッシュ等)による場合があり、一日を通じて、サイズ及びパターンが変化し得る。従って、シェーディングパターンは、特定の高電圧モジュールの性能を示す単純な例である。図12a~図12cにおける、全ての直列の線は、各電池のサブセルが全て直列であることを意味し、全て並列の線は、各電池のサブセルが全て並列であることを意味し、3×3とは、各サブセルが、3つのサブセルの直列のストリングを、並列に3つ有することを意味する。上記の全て直列、全て並列、及び3×3以外の他の例も存在し得ることに留意する。
【0068】
図12aは、最大電力比率が、全て直列構成において概ねより大きく、特に、これらの特定のシェーディングパターンにおけるより低いレベルのシェーディングにおいて、より大きいことを示している。図12bは、Vmp/Vocの比率は、全て直列構成に関し、より低いシェーディングレベルにおいて、他の構成よりも高く、より高いシェーディングレベルにおいて、より低いことを示している。図12cは、全ての直列構成におけるVmpが概ねに、他の構成よりも、例示的なシェーディングレベルの多くにおいて、高いことを示している。
【0069】
図12a~図12cと同様、図14a~図14cは、図13a~図13dのものに類似するシェーディングシナリオにおいて、各電池が16のサブセルにダイシングされた、例示的な60個の電池から成る高電圧モジュールの例示的な性能を示している。
【0070】
図12a~図12cと同様、図14a~図14cは概して、特に、これらの特定のシェーディングパターンのより低いレベルのシェーディングにおいて、直列構成がより良好な性能を有することを示している。更に、96個の電池から成るモジュール及び60個の電池から成るモジュールの両方ともは概して、高電圧電池を有するモジュールは、シェーディングが無いか部分的なシェーディングである場合に、従来的なモジュールよりも高いVmpをもたらし得、サブセルの全て直列接続は、電力及びVmp損失の観点において、部分的なシェーディングに対し、比較的良好な耐性をもたらし得る(損失は、例えば、形状又は強度などのシェーディング条件に依存する)ことを示している。
【0071】
いずれの例示的な構成においても、およそ10%のシェーディングにおいて、Vmpは依然として約300Vであり、よってVmpは依然として、ブーストレス電圧変換装置と共に使用され得る高電圧モジュールとして動作し得ることに留意されたい。一実施形態において、電圧変換装置は、ブーストレスモードにおいて動作するよう構成され得るが、例えば、シェーディングがVmpを特定の値(例えば、300V、260V等)より下に下げる場合、ブーストモードに切り替えて動作するようにも構成され得、これによりモジュールの出力が依然として高電圧であり得る。一実施形態において、ブーストモードに切り替えて動作する代わりに、ブーストレス電圧変換装置は、バイパスモードで動作し、モジュールをバイパスするよう構成され得る。
【0072】
開示される高電圧太陽電池、モジュールは、費用、体積、及び重量を低減させ得、ブーストレス電圧変換装置の効率性を向上させ得る。
【0073】
具体的な実施形態が上述されてきたが、これらの実施形態は、特定の機能に関して単一の実施形態のみが説明される場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示で提供される機能の例は、別途の規定がない限り、制約的ではなく例示的であることを意図するものである。上記の説明は、本開示の利益を有する当業者に自明であるような、代替例、修正例、及び均等技術を包含することを意図する。
【0074】
本開示の範囲は、本明細書で対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かに関わらず、本明細書で(明示的又は暗示的に)開示される任意の機能又は複数の機能の組み合わせ、またはそれらの任意の一般化を含む。従って、本願(又は、本願に基づく優先権を主張する出願)の経過中に、複数の機能の任意のそのような組み合わせに対して、新たな請求項を起草できる。具体的には、添付の特許請求の範囲に関し、従属請求項の機能を、独立請求項のそれと組み合わせることができ、それぞれの独立請求項の機能を、任意の適切な態様で、添付の特許請求の範囲に挙げられる特定の組み合わせに限らず、組み合わせることができる。
【0075】
一実施形態において、光起電力モジュールは、複数の高電圧光起電力電池を含む高電圧光起電力積層体を含み、複数の高電圧光起電力電池のそれぞれが、複数のサブセルを含む。光起電力モジュールはまた、高電圧光起電力積層体からの第1の電圧を第2の電圧に変換するように構成されているブーストレス電圧変換装置を含む。
【0076】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、ブーストレスマイクロインバータであり、第1の電圧は直流(DC)電圧であり、第2の電圧は交流(AC)電圧である。
【0077】
一実施形態において、光起電力モジュールは接続箱を更に含み、ブーストレス電圧変換装置は、接続箱のハウジング内に設置される。
【0078】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、100KHzを超えるスイッチング周波数を備える、高周波絶縁トランスを含む。
【0079】
一実施形態において、複数の光起電力電池の特定の1つにおける複数のサブセルが、直列に接続され、複数の光起電力電池もまた、直列で接続されている。
【0080】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は第2の電圧を第3の電圧に変換するよう更に構成されている。
【0081】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、Vmp>1.43Vgridを有する。
【0082】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、絶縁されたブーストレス直流(DC)電力最適化装置であり、第1の電圧及び第2の電圧は、両方ともDC電圧である。
【0083】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、電力グリッドに第2の電圧を供給するよう構成されている。
【0084】
一実施形態において、ブーストレス電圧変換装置は、高電圧光起電力モジュールのVmpが閾値を下回ることに応じて、バイパスモードで動作するよう更に構成されている。
【0085】
一実施形態において、光起電力システムは、第1の高電圧光起電力モジュール、及び第1の高電圧光起電力モジュールに結合された第1のブーストレスマイクロインバータを含み、第1のブーストレスマイクロインバータは、直流(DC)電圧を交流(AC)電圧に変換するよう構成され、第1のブーストレスマイクロインバータは、第2の高電圧光起電力モジュールに結合された第2のブーストレスマイクロインバータに結合されている。
【0086】
一実施形態において、光起電力システムは、第1の高電圧光起電力モジュールに結合された接続箱を更に含み、第1のブーストレスマイクロインバータは、接続箱の中に設置されている。
【0087】
一実施形態において、第1のブーストレスマイクロインバータは、100KHzを超えるスイッチング周波数を備える、高周波絶縁トランスを含む。
【0088】
一実施形態において、第1の高電圧光起電力モジュールは複数の光起電力電池を含み、複数の光起電力電池のそれぞれは、複数のサブセルを含む。
【0089】
一実施形態において、光起電力システムは、第2の高電圧光起電力モジュールと、第2の高電圧光起電力モジュールに結合された第2のブーストレスマイクロインバータとを更に含み、第2のブーストレスマイクロインバータは、第3の高電圧光起電力モジュールに結合された第3のブーストレスマイクロインバータに結合され、第1、第2、及び第3の高電圧光起電力モジュールは直列に接続されている。
【0090】
一実施形態において、第1のブーストレスマイクロインバータは、Vmp>1.43Vgridを有する。一実施形態において、第1のブーストレスマイクロインバータは、第1の高電圧光起電力モジュールのVmpが閾値を下回ることに少なくとも部分的に基づいて、異なるモードに切り替わるよう更に構成されている。
【0091】
一実施形態において、接続箱は、光起電力積層体に結合されたハウジングと、ハウジング内のブーストレスマイクロインバータとを含み、マイクロインバータは、直流(DC)電圧を、交流(AC)電圧に変換するよう構成されている。
【0092】
一実施形態において、光起電力積層体は、高電圧光起電力積層体である。一実施形態において、マイクロインバータは、100KHzを超えるスイッチング周波数を備える、絶縁トランスを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C