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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】架橋性組成物及び架橋された組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20220412BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220412BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20220412BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J7/38
C08F220/30
C08F220/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019522569
(86)(22)【出願日】2017-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017047893
(87)【国際公開番号】W WO2018080623
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/413,024
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ビヴァリッジ,ニコル モロゾウィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ベーリング,ロス イー.
(72)【発明者】
【氏名】クリアン,アニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エリス,マーク エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン,カール イー.
(72)【発明者】
【氏名】クレートン,ミシェル エー.
(72)【発明者】
【氏名】マンソン,ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤルッソ,デヴィッド ジェイ.
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-241270(JP,A)
【文献】特表2015-535030(JP,A)
【文献】特表2010-508386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 1/00-201/10
C08F 6/00-246/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性組成物の反応生成物を含む架橋された組成物であって、前記架橋性組成物は、
1)50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する第1の(メタ)アクリレートポリマーであって、前記第1の(メタ)アクリレートポリマーは、
a)アルキル(メタ)アクリレート、及び
b)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であり、前記UV架橋性モノマーは、前記第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する、第1の(メタ)アクリレートポリマーと、
2)50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する第2の(メタ)アクリレートポリマーであって、前記第2の(メタ)アクリレートポリマーは、
a)アルキル(メタ)アクリレート、及び
b)紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であり、前記UV架橋性モノマーは、前記第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する、第2の(メタ)アクリレートポリマーと、
を含み、
前記架橋性組成物は、粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まず、及び
前記架橋された組成物が感圧接着剤である、架橋された組成物
【請求項2】
前記架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、前記第1の(メタ)アクリレートポリマーが80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、前記第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、請求項1に記載の架橋された組成物
【請求項3】
前記架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、前記第1の(メタ)アクリレートポリマーが90~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、前記第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~10重量パーセントの範囲内の量で存在する、請求項1に記載の架橋された組成物。
【請求項4】
前記第1の(メタ)アクリレートポリマー及び前記第2の(メタ)アクリレートポリマーが、それぞれ、0°C以下のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の架橋された組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年10月26日に出願された米国特許仮出願第62/413024号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
架橋性組成物、架橋性組成物を紫外線に曝露することによって形成された架橋された組成物、これらの組成物を含有する物品、及び物品を作製する方法が説明される。
【背景技術】
【0003】
感圧接着テープは、事実上家庭及び仕事場のいたるところに存在する。その最も単純な構成のうちの1つでは、感圧接着テープは、支持体層と、支持体層に付けられた接着剤層とを含む。感圧テープ協議会(Pressure-Sensitive Tape Council)によると、感圧接着剤(PSA)(pressure-sensitive adhesives)は以下に述べる特性(1)アグレッシブで永続的な粘着性、(2)指圧以下での接着性、(3)付着体の充分な保持力及び(4)付着体からきれいに除去するのに十分な凝集力、を有することが知られている。PSAとして良好に機能することが判明している材料としては、粘着性、剥離接着性、及び剪断保持力を所望のバランスで備えた結果として、必要な粘弾性特性を示すように設計及び配合されたポリマーが挙げられる。PSAは、室温(例えば、20℃)で通常の粘着性があるように特徴付けられる。ただ粘つくだけ、又は単に表面に接着するだけの材料はPSAを構成せず、PSAという用語は、必要な剥離強度及び剪断保持力などの追加の粘弾性特性を有する材料を包含する。
【0004】
1つの重要な種類の感圧接着剤として、(メタ)アクリレートポリマーをエラストマー材として有するものが挙げられる。(メタ)アクリレートポリマーは、単独で用いるか、又は粘着付与剤と組み合わせて望ましい接着特性をもたらすことができる。粘着付与剤は、例えば、接着剤組成物のレオロジー及び適合性を変える、接着剤組成物の表面エネルギーを変更し、並びに接着剤組成物の溶融加工特性を変えるために添加することができる。
【発明の概要】
【0005】
架橋性組成物、架橋された組成物、これらの組成物を含有する物品、及び物品を作製する方法が提供される。架橋性組成物は、500,000ダルトン以下の重量平均分子量を各々有する2種の異なる(メタ)アクリレートポリマーを含む。(メタ)アクリレートポリマーのうちの少なくとも一方は、紫外線に曝露された時にポリマー材料中の架橋の形成を生じさせるペンダント芳香族ケトン基を含有する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。架橋された組成物は感圧接着剤として機能することができる。
【0006】
第1の態様では、架橋性組成物が提供される。架橋性組成物は第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含み、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーはそれぞれ50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0007】
第2の態様では、物品が提供される。物品は、基質と、基質に隣接して配置された架橋性組成物のコーティングとを含む。架橋性組成物は、上述されたものと同じである。
【0008】
第3の態様では、架橋された組成物が提供される。架橋された組成物は、紫外線に暴露された架橋性組成物の反応生成物を含有する。架橋性組成物は、上述されたものと同じである。
【0009】
第4の態様では、物品が提供される。物品は、基質と、基質に隣接して配置された架橋された組成物のコーティングとを含む。架橋された組成物は、紫外線に暴露された架橋性組成物の反応生成物を含有する。架橋性組成物は、上述されたものと同じである。
【0010】
第5の態様では、物品の製造方法が提供される。本方法は、基質を準備することと、架橋性組成物を基質に隣接して配置することと、次に、架橋性組成物を紫外光に曝露し、架橋された組成物を形成することと、を含む。架橋性組成物は、上述されたものと同じである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
架橋性組成物、架橋された組成物、これらの組成物をを含有する物品、及び物品を作製する方法が提供される。紫外線放射へ曝露させて架橋された組成物を形成するために、2種の異なる(メタ)アクリレートポリマーを含む架橋性組成物が用いられる。架橋された組成物は感圧接着剤として機能することができる。架橋性組成物は、粗い表面(例えば、発泡体表面)への適用及び/又は表面エネルギーが低い表面への接着に特によく適している。更に架橋された組成物は、必要に応じて、種々の表面からきれいに除去することができる。
【0012】
架橋性組成物は少なくとも2種の異なる(メタ)アクリレートポリマーを含有する。2種の異なる(メタ)アクリレートポリマーは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーと呼ばれる。これらの(メタ)アクリレートポリマーはどちらも比較的低い重量平均分子量を有し、通常は50,000~500,000ダルトンの範囲内、又は50,000~475,000ダルトンの範囲内にある。少なくとも第2の(メタ)アクリレートポリマーは、架橋性組成物が紫外線に曝露された時に架橋を生じさせることができるペンダント芳香族ケトン基を含有する。
【0013】
架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。粘着付与剤の分子量が比較的低いので、架橋された網目中に組み込むことが難しくなり得る。更に粘着付与剤は、架橋性モノマーと同じ波長範囲内の化学線を吸収する傾向がある。これは、架橋された網目の形成に困難を生じさせ、また粘着付与剤が架橋された網目中に組み込まれないため、きれいな除去に悪影響を及ぼし得る。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。多くの実施形態では、(メタ)アクリレートはアクリレートである。同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」は(メタ)アクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指し、用語「(メタ)アクリル」はメタアクリル材料及び/又はアクリル材料(例えば、メタクリル酸及び/又はアクリル酸)を指す。
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリマー材料」及び「ポリマー」は、ホモポリマー、ポリマー、ターポリマー、及び同類のもの、又はこれらの混合物を指すために互換的に用いられる。
【0016】
A及び/又はBという表現などにおける用語「及び/又は」は、Aのみ又はBのみのどちらか、あるいはA及びBの両方を意味する。
【0017】
用語「ある範囲」又は「範囲」は同じ意味で使用され、範囲内の全ての値に加えて範囲の両端値を指す。
【0018】
架橋性組成物中の第1の(メタ)アクリレートポリマーは、第2の(メタ)アクリレートポリマーの存在下で架橋時にエラストマー材を形成する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物である。アルキル基は、直鎖型(例えば1~32個の炭素原子か又は1~20個の炭素原子を有する)、分枝型(例えば3~32個の炭素原子か又は3~20個の炭素原子を有する)、環状型(例えば3~32個の炭素原子か又は3~20個の炭素原子を有する)、あるいはこれらの組み合わせであり得る。
【0019】
例示的なアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2-オクチルデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びヘプタデカニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの例示的な分枝アルキル(メタ)アクリレートは、PCT特許出願公開第WO2011/119363号(Clapperら)に記述される、12~32個の炭素原子を有するゲルベアルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0020】
アルキル(メタ)アクリレートの量は、多くの場合、第1のモノマー組成物中のモノマーの少なくとも60モルパーセントである。例えば、第1のモノマー組成物は、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、少なくとも65モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、少なくとも75モルパーセント、少なくとも80モルパーセント、少なくとも85モルパーセント、少なくとも90モルパーセント、又は少なくとも95モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレートを含有することができる。アルキル(メタ)アクリレートの量は、最大100モルパーセント、最大99モルパーセント、最大98モルパーセント、又は最大95モルパーセントとなり得る。
【0021】
第1のモノマー組成物は、多くの場合、1種以上の任意の極性モノマーを含む。本明細書で使用されるとき、用語「極性モノマー」は、単一のエチレン性不飽和基及び極性基を有するモノマーを指す。極性基は、多くの場合、ヒドロキシル基、酸性基、一級アミド基、二級アミド基、三級アミド基、アミノ基、又はエーテル基(即ち、式-R-O-R-のアルキレン-オキシ-アルキレン基を少なくとも1つ含有する基であり、式中のRはそれぞれ1~4個の炭素原子を有するアルキレンである)である。極性基は塩の形態のものであることができる。例えば、酸性基はアニオンの形態のものであることができ、カチオン性対イオンを有することができる。多くの実施形態では、カチオン性対イオンは、アルカリ金属のイオン(例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウムイオン)、アルカリ土類のイオン(例えば、カルシウム、マグネシウム、又はストロンチウムイオン)、アンモニウムイオン、又は1つ以上のアルキル若しくはアリール基で置換されたアンモニウムイオンである。様々なアミド基又はアミノ基は、カチオンの形態であることができ、アニオン性対イオンを有することができる。多くの実施形態では、アニオン性対イオンは、ハロゲン化物、酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、リン酸塩などである。
【0022】
ヒドロキシル基を有する例示的な極性モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド)、エトキシル化ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、(米国ペンシルベニア州エクストンの)SartomerからCD570、CD571、及びCD572の商品名で市販されているモノマー)、及びアリールオキシ置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシ-2-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート)が挙げられるが、これに限定されないされるものではない。
【0023】
酸性基を有する例示的な極性モノマーは、例えば、カルボン酸モノマー、ホスホン酸モノマー、スルホン酸モノマー、これらの塩、又はこれらの組み合わせがあり得る。例示的な酸性モノマーとしては(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸などが挙げられるが、これに限定されるものではない。多くの実施形態において、極性モノマーは、(メタ)アクリル酸である。
【0024】
一級アミド基を有する例示的な極性モノマーは、(メタ)アクリルアミドである。二級アミド基の例示的な極性モノマーとしては、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、又はN-オクチル(メタ)アクリルアミドなどのN-アルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これに限定されるものではない。三級アミド基を有する例示的な極性モノマーとしては、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、並びにN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジブチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
アミノ基を有する極性モノマーとしては、様々なN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。例としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0026】
エーテル基を有する例示的な極性モノマーとしては、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシル化アルキル(メタ)アクリレート、並びにポリ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、及びポリ(プロピレンオキシド)(メタ)アクリレートなどのポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリレートが挙げられるが、これに限定されるものではない。ポリ(アルキレンオキシド)アクリレートは、ポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートと呼ばれることが多い。これらのモノマーは、ヒドロキシル基又はアルコキシ基等の任意の適切な末端基を有することができる。例えば、末端基がメトキシ基である場合、モノマーは、メトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートと呼ぶことができる。
【0027】
多くの実施形態では、第1のモノマー組成物は、酸性基又は塩基性基を有する極性モノマーを含む。塩基性基を有するモノマーは、多くの場合、一級アミド基、二級アミド基、又はアミノ基を有する窒素含有モノマーである。
【0028】
極性モノマーは、多くの場合、架橋された組成物(例えば、架橋された組成物のコーティング)の基質への接着を高めるため、及び架橋された組成物の凝集力を高めるために、第1のモノマー組成物中に含まれる。存在する場合には、極性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき最大40モルパーセントの量で含まれ得る。多くの実施形態では、極性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大35モルパーセント、最大30モルパーセント、最大25モルパーセント、最大20モルパーセント、最大15モルパーセント、又は最大10モルパーセントの量で存在する。第1のモノマー組成物は、多くの場合、少なくとも1モルパーセント、少なくとも2モルパーセント、少なくとも3モルパーセント、少なくとも4モルパーセント、又は少なくとも5モルパーセントの極性モノマーを含有する。極性モノマーは、例えば、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、0~40モルパーセントの範囲内、1~40モルパーセントの範囲内、1~35モルパーセントの範囲内、1~30モルパーセントの範囲内、1~25モルパーセントの範囲内、0~20モルパーセントの範囲内、1~20モルパーセントの範囲内、1~15モルパーセントの範囲内、0~10モルパーセントの範囲内、1~10モルパーセントの範囲内、又は2~10モルパーセントの範囲内の量で存在することができる。
【0029】
第1のモノマー組成物中のモノマーと適合性(例えばそれらとの混和性)がある任意の他のモノマーを含むことができる。他のモノマーの例としては、様々なアリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレート)、ビニルエーテル、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)、オレフィン系モノマー(例えばエチレンプロピレン、又はブチレン)、スチレン、スチレン誘導体(例えばα-メチルスチレン)などが挙げられる。更に他の例示的なモノマーは、2-ビフェニルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリール置換アルキル(メタ)アクリレート又はアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレートである。多くの実施形態では、(メタ)アクリレートはアクリレートである。第1のモノマー組成物は、通常は複数の(メタ)アクリロイル基又は複数のビニル基を有するモノマーを含まない。
【0030】
第1のモノマー組成物は、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを任意で含めることができる。紫外線に曝露された時に、芳香族ケトン基は別の重合鎖又は同じ重合鎖の別の部分から水素原子を取り出すことができる。この取り出しによって、重合鎖間又は同じ重合鎖内に架橋が生成される。多くの実施形態では、芳香族ケトン基はベンゾフェノンの誘導体(即ち、ベンゾフェノン含有基)である。即ち、UV架橋性モノマーは、多くの場合、ベンゾフェノン系モノマーである。UV架橋性モノマーの例としては、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
UV架橋性モノマーは、モノマーの総モルに基づき最大0.3モルパーセント(即ち、0~0.3モルパーセント)の量で第1のモノマー組成物中に存在することができる。紫外線への曝露によって重合反応が開始される場合には、この量が制限されることが多い。即ち、UV架橋性モノマーは、重合プロセスの間に望ましくないゲル化を生じさせ得る。いくつかの例では、UV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大0.2モルパーセント、最大0.1モルパーセント、又は最大0.05モルパーセントとなり得る。
【0032】
いくつかの第1のモノマー組成物は、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含む。いくつかの例では、第1のモノマー組成物は、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含む。他の例では、第1のモノマー組成物は、75~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~25モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含む。更に他の例では、第1のモノマー組成物は、85~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~15モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含む。更に他の例では、第1のモノマー組成物は、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含む。これらの量は第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づく。
【0033】
第1のモノマー組成物に加えて、第1の(メタ)アクリレートポリマーを調製するために用いられる第1の反応混合物は、通常はモノマーの重合を開始するためのフリーラジカル開始剤を含む。フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤であり得る。好適な熱開始剤としては、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)であるVAZO67、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)であるVAZO64、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)であるVAZO52、及び1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)であるVAZO88、を含む、(米国デラウェア州ウィルミントンの)E.I.DuPont de Nemours Co.からVAZOという商品名で市販されている様々なアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド及びAtofina(ペンシルベニア州フィラデルフィアの)Chemical,Inc.からLUPERSOLという商品名で市販されているペルオキシド(例えば、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンであるLUPERSOL101及び2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンであるLUPERSOL130)などの様々なペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド及びtert-ブチルヒドロペルオキシドなどの様々なヒドロペルオキシド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
多くの実施形態では、光開始剤が使用される。いくつかの例示的な光開始剤は、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインメチルエーテル若しくはベンゾインイソプロピルエーテル)又は置換ベンゾインエーテル(例えばアニソインメチルエーテル)である。他の光開始剤の例は、2,2-ジエトキシアセトフェノン又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン((米国ニュージャージー州フローラムの)BASF Corp.から商品名IRGACURE 651で市販、又は(米国フィラデルフィア州エクストンの)Sartomerから商品名ESACURE KB-1で市販されている)などの置換アセトフェノンである。更に別の例示的な光開始剤は、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α-ケトール、2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド、及び、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。他の好適な光開始剤としては、例えば、(IRGACURE 184の商品名で市販されている)1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、(IRGACURE 819の商品名で市販されている)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、(IRGACURE 2959の商品名で市販されている)1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、(IRGACURE 369の商品名で市販されている)2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、(IRGACURE 907の商品名で市販されている)2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、及び(DAROCUR 1173の商品名で(米国ニューヨーク州タリータウンの)Ciba Specialty Chemicals Corp.から市販されている)2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられる。
【0035】
第1の反応混合物は、得られた(メタ)アクリレートポリマー(例えば、(メタ)アクリレートポリマー)の分子量を制御するために、任意で連鎖移動剤を更に含有してもよい。有用な連鎖移動剤の例としては四臭化炭素、アルコール(例えばイソプロパノール)、メルカプタン若しくはチオール(例えばラウリルメルカプタン、ブチルメルカプタン、エタンチオール、イソオクチルチオグリコレート、2-エチルヘキシルチオグリコレート、2-エチルヘキシルメルカプトプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、三級ドデシルメルカプタン)及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。アルコールではない連鎖移動剤が用いられるいくつかの実施形態では、重合性混合物は、多くの場合、モノマーの総重量に基づき、最大2重量パーセント、最大1重量パーセント、最大0.5重量パーセント、最大0.2重量パーセント、又は最大0.1重量パーセントの移動剤を含む。しかし、連鎖移動剤がアルコールである場合には、重合性混合物中の連鎖移動剤の量は、最大5重量パーセント、最大10重量パーセント、又は最大20重量パーセントとなり得る。連鎖移動剤が存在する場合には、第1の反応混合物は、モノマーの総重量に基づき、少なくとも0.005重量パーセント、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.02重量パーセント、又は少なくとも0.05重量パーセントの連鎖移動剤を含有することができる。
【0036】
第1の反応混合物の重合は、有機溶媒の存在下、又は不在の下で生じることができる。有機溶媒が重合性混合物中に含まれる場合、その量は、多くの場合、望ましい粘度を提供するように選択される。任意の所望の量の有機溶媒を用いることができる。例えば、その量は、第1の反応混合物の最大50重量パーセント以上、最大40重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大10重量パーセントとなり得る。適切な有機溶媒の例としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル酢酸塩、エチル酢酸塩、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、有機溶媒がほとんど存在しないか、又は全く存在しない状態で重合が生じる。即ち、第1の反応混合物は有機溶媒を含まないか、又は最小限の量の有機溶媒を含有する。使用される場合には、有機溶媒は、多くの場合、第1の反応混合物の総重量に基づき、10重量パーセント未満、5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満の量で存在する。使用される場合には、任意の有機溶媒は、多くの場合、重合反応の完了時に除去されるが、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのブレンドされた混合物中には存在することができる。
【0038】
第1の反応混合物は、任意の好適な方法を用いて重合させることができる。重合は、一段階でも多段階でも起こり得る。つまり、モノマー及び/又は熱開始剤の全て又は一部分を好適な反応容器内に投入し、重合させてもよい。例えば、有機溶媒及び熱開始剤を含有する第1の反応混合物を混合し、50℃~100℃の範囲内などの高温で数時間加熱することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、米国特許第5,986,011号(Ellisら)及び同第5,637,646号(Ellis)に記載のような、断熱的プロセスを用いて調製される。この重合方法では、熱開始剤又は開始剤群を含む、反応成分が反応容器内に密閉される。内容物は混合され、酸素をパージされ、まだ誘導温度になっていない場合には、次に、誘導温度まで温められる。誘導温度は通常40℃~75℃の範囲内にあるが、これはモノマー、開始剤、及び使用される開始剤の量などの様々な因子に依存する。重合は、100℃~200℃の範囲内のピーク反応温度を有する本質的に断熱された条件下で行われ、断熱条件が必須となる。ステップの合間に任意の冷却を伴う複数の反応ステップを用いて、連続するそれぞれのステップ時の重合転化を増大させ、分子量を制御することができる。任意で、複数のステップにおいて様々な反応成分を添加して、得られたポリマー材料の特性(例えば、分子量、分子量分布、及びポリマー組成物)を制御することができる。
【0040】
いくつかの重合方法では、後に除去が必要となる有機溶媒の使用を最小限に抑えることが望ましくなり得る。1つの好適な方法は、パージして酸素を除去したポリマーパウチ内に第1の(メタ)アクリレートポリマーを形成することである。この方法は、米国特許第5,804,610号(Hamerら)及び第6,294,249号(Hamerら)に更に説明されており、第1の(メタ)アクリレートポリマーが、その後、ホットメルト加工方法を用いて架橋性組成物の他の成分と化合される場合に、特に有利である。
【0041】
この重合方法では、第1の反応混合物の様々な成分を、第1の反応混合物の存在下で溶解せず、紫外線を透過する能力を有する包装材料(例えば、ポリマーパウチ)内に密閉することができる。包装材料は、通例、この材料が流動することになる温度である、第1の(メタ)アクリレートポリマーの加工温度以下の融点を有するように選択される。包装材料は、多くの場合、200℃以下、175℃以下、又は150℃以下の融点を有する。包装材料は、多くの場合、エチレン-酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、又はアイオノマー材料の軟質熱可塑性ポリマーフィルムから調製される。ポリマーフィルムは、多くの場合、少なくとも0.01ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、又は少なくとも0.03ミリメートルの厚さを有する。厚さは、多くの場合、最大0.30ミリメートル、最大0.25ミリメートル、最大0.20ミリメートル、最大0.15ミリメートル、又は最大0.10ミリメートルである。多くの場合、架橋性組成物中に添加される包装材料の量を最小限に抑えるために、より薄いフィルムが望まれる。包装材料の量は、通常は包装材料及び第1の反応混合物の総重量の少なくとも0.5重量パーセントである。例えば、この量は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、又は更に、少なくとも3重量パーセントである。この量は、包装材料及び第1の反応混合物の総重量に基づき、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、最大10重量パーセント、又は最大5重量パーセントとなり得る。いくつかの実施形態では、この量は、包装材料及び第1の反応混合物の総重量に基づき、1~20重量パーセント、1~10重量パーセント、又は2~10重量パーセントの範囲内である。
【0042】
包装材料は、多くの場合、底部及び各側縁部にわたって互いにヒートシールされた2本の熱可塑性フィルムから調製されたポリマーパウチの形態のものである。第1の反応混合物がポリマーパウチ内に配置され、次に、ポリマーパウチの上部がヒートシールされ、第1の反応混合物を完全に包囲する。ポリマーパウチの上部をシールする前に、典型的には、できるだけ多くの空気を除去することが望ましい。重合反応を実質的に阻害するのに十分な量でない場合には、少量の空気は容認することができる。
【0043】
第1の反応混合物の重合は紫外線への曝露時に生じる。好適なUV源は、多くの場合、280~400ナノメートルの範囲内の少なくとも60パーセント、少なくとも65パーセント、少なくとも70パーセント、又は少なくとも75パーセントの発光スペクトルを有し、0.1~25mW/cmの範囲内の強度を有する。反応混合物の温度は、多くの場合、シールされたポリマーパウチを、5℃~50℃の範囲内、5℃~40℃の範囲内、5℃~30℃の範囲内、又は5℃~20℃の範囲内の温度に制御された水槽又は熱伝達流体中に浸すことによって制御される。
【0044】
選択された特定の重合方法にかかわらず、重合反応の結果得られた生成物はランダムポリマーである。このポリマー材料は、多くの場合、少なくとも50,000ダルトン、少なくとも75,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトン、少なくとも125,000ダルトン、少なくとも150,000ダルトン、又は少なくとも200,000ダルトンに等しい重量平均分子量を有する。重量平均分子量は、最大500,000ダルトン、最大475,000ダルトン、最大450,000ダルトン、最大400,000ダルトン、最大375,000ダルトン、最大350,000ダルトン、又は最大350,000ダルトンとなり得る。重量平均分子量は、例えば、第1の反応混合物中に含まれる連鎖移動剤の量を変えることで変更することができる。
【0045】
第1のモノマー組成物中に含まれるモノマーは、20℃以下、10℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、又は-50℃以下のガラス転移温度を有する第1の(メタ)アクリレートポリマーを提供するように選択される。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定又は動的機械分析を用いて測定することができる。第1の(メタ)アクリレートポリマーはエラストマー性であり、通常は感圧接着剤のダルキスト基準を満たす。
【0046】
架橋性組成物中の第1の(メタ)アクリレートポリマーの量は、多くの場合、(メタ)アクリレートポリマーの総重量(例えば、第1の(メタ)アクリレートポリマーの量第2の(メタ)アクリレートポリマーの量を足した合計)に基づき80~98重量パーセントの範囲内にある。例えば、架橋性組成物は、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90重量パーセント、又は少なくとも95重量パーセントの第1の(メタ)アクリレートポリマーを含むことができる。第1の(メタ)アクリレートポリマーの量は、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、最大98重量パーセント、最大97重量パーセント、最大96重量パーセント、最大95重量パーセント、最大94重量パーセント、最大93重量パーセント、最大92重量パーセント、最大91重量パーセント、又は最大90重量パーセントとなり得る。
【0047】
第1の(メタ)アクリレートポリマーに加えて、架橋性組成物は、第1の(メタ)アクリレートポリマーと異なる組成物である第2の(メタ)アクリレートポリマーを更に含有する。特に、第2の(メタ)アクリレートポリマーは、(1)アルキル(メタ)アクリレート、置換アルキル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物に(2)紫外線によって架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを加えたものを含む第2のモノマー組成物の反応生成物である。UV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。
【0048】
第2のモノマー組成物に使用するのに適したアルキル(メタ)アクリレートは、上述した第1のモノマー組成物に使用するものと同じである。第2のモノマー組成物は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき最大99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレートを含むことができる。例えば、第2のモノマー組成物は、最大98モルパーセント、最大95モルパーセント、最大90モルパーセント、最大85モルパーセント、又は最大80モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレートを含有することができる。第2のモノマー組成物は、多くの場合、少なくとも60モルパーセント、少なくとも65モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、少なくとも75モルパーセント、又は少なくとも80モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレートを含有する。
【0049】
第2のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーは、上述した第1のモノマー組成物中の任意のモノマーと同じである。UV架橋性モノマーが第1の(メタ)アクリレートポリマー中に含まれる場合でも、それは第2の(メタ)アクリレートモノマー中により高いレベルで存在する。より具体的には、UV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。例えば、UV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、少なくとも2モルパーセント、少なくとも3モルパーセント、少なくとも4モルパーセント、又は少なくとも5モルパーセントに等しい量で存在することができる。UV架橋性モノマーの量は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大10モルパーセント若しくは更にそれ以上、最大8モルパーセント、又は最大6モルパーセントであることができる。いくつかの実施形態では、UV架橋性モノマーの量は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、1~10モルパーセントの範囲内、2~10モルパーセントの範囲内、3~10モルパーセントの範囲内、4~10モルパーセントの範囲内、又は5~10モルパーセントの範囲内である。
【0050】
UV架橋性モノマーは、紫外線に曝露された時に光架橋剤として機能する芳香族架橋性基を含む。芳香族ケトン基は、多くの場合、ベンゾフェノン誘導体であり、別の重合鎖又は同じ重合鎖の別の部分から水素原子を取り出すことができる。第2の(メタ)アクリレートポリマーが第1の(メタ)アクリレートポリマーの存在下で紫外線に曝露されると、この取り出しによって、第1の(メタ)アクリレート化合物の架橋、及びエラストマー材の形成が生じる。UV架橋性モノマーの例は、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノンなどの、ベンゾフェノン含有モノマーである。
【0051】
アルキル(メタ)アクリレート及びUV架橋性モノマーに加えて、第2のモノマー組成物は、上述した第1のモノマー組成物のための任意のモノマーを含むことができる。例えば、第2のモノマー組成物は極性モノマーを含むことができる。第1のモノマー組成物中で用いるために説明された任意の極性モノマーを、第2のモノマー組成物中で用いることができる。存在する場合には、極性モノマーの量は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき最大40モルパーセントとなり得る。多くの実施形態では、極性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大39モルパーセント、最大35モルパーセント、最大30モルパーセント、最大25モルパーセント、最大20モルパーセント、最大15モルパーセント、又は最大10モルパーセントの量で存在する。第2のモノマー組成物は、多くの場合、少なくとも1モルパーセント、少なくとも2モルパーセント、少なくとも3モルパーセント、少なくとも4モルパーセント、又は少なくとも5モルパーセントの極性モノマーを含有する。極性モノマーは、例えば、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、0~40モルパーセントの範囲内、0~39モルパーセントの範囲内、0~35モルパーセントの範囲内、0~30モルパーセントの範囲内、0~25モルパーセントの範囲内、1~25モルパーセントの範囲内、1~20モルパーセントの範囲内、1~15モルパーセントの範囲内、1~10モルパーセントの範囲内、又は2~10モルパーセントの範囲内の量で存在することができる。
【0052】
多くの実施形態では、第2のモノマー組成物は、酸性基又は塩基性基を有する極性モノマーを含む。塩基性基を有するモノマーは、多くの場合、一級アミド基、二級アミド基、三級アミド、又はアミノ基などを有する窒素含有モノマーである。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマー中に相補的な極性モノマーを用いることが有効となり得る。例えば、酸性基を有するモノマーを第1のモノマー組成物中に含むことができ、その一方で、塩基性基を有するモノマーを第2のモノマー組成物中に含むことができる。代替的に、塩基性基を有するモノマーを第1のモノマー組成物中に含むことができ、その一方で、酸性基を有するモノマーを第2のモノマー組成物中に含むことができる。いくつかの実施形態では、酸性基を有する極性モノマーは(メタ)アクリル酸モノマーであり、塩基性基を有する極性モノマーはアミド又はアミノ基を有する。これらの相補的な極性モノマーの存在は、2種の(メタ)アクリレートポリマーの間の相互作用を増大させ、第2の(メタ)アクリレートポリマーによる第1の(メタ)アクリレートポリマーの効果的な架橋を促進することができる。更に、2種の(メタ)アクリレートポリマーの間の引力相互作用(酸塩基又は水素結合相互作用)によって、これらの相補的な極性モノマーの存在が、架橋された組成物の凝集力を増大させ得る。
【0054】
第2のモノマー組成物中のモノマーと適合性(例えばそれらとの混和性)がある任意の他のモノマーを含むことができる。他のモノマーの例としては、様々なアリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、ビニルエーテル、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)、オレフィン系モノマー(例えばエチレンプロピレン、若しくはブチレン)、スチレン、スチレン誘導体(例えばα-メチルスチレン)、などが挙げられる。第2のモノマー組成物は、通常複数の(メタ)アクリロイル基又は複数のビニル基を有するモノマーを含まない。更に他の例示的なモノマーは、2-ビフェニルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリール置換アルキル(メタ)アクリレート又はアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレートである。多くの実施形態では、(メタ)アクリレートはアクリレートである。第1のモノマー組成物は、通常複数の(メタ)アクリロイル基又は複数のビニル基を有するモノマーを含まない。
【0055】
いくつかの例示的な第2のモノマー組成物は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート及び少なくとも1モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する。例えば、第2のモノマー組成物は、最大99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有することができる。より具体的な例では、第2のモノマー組成物は、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントのUV架橋性モノマー、及び0~39モルパーセントの極性モノマーを含有するか、又は65~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントのUV架橋性モノマー、及び0~34モルパーセントの極性モノマーを含有する。
【0056】
他の例示的な第2のモノマー組成物は、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき、最大98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、少なくとも1モルパーセントの極性モノマー、及び少なくとも1モルパーセントの架橋性モノマーを含有する。より具体的な例では、第2のモノマー組成物は、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10重量パーセントの架橋性モノマーを含有するか、又は65~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~34モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントの架橋性モノマーを含有する。更により具体的な例では、第2のモノマー組成物は、75~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~24モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントの架橋性モノマーを含有する。更により具体的な例は、80~97モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~18モルパーセントの極性モノマー、及び2~10モルパーセントの架橋性モノマーを含む。
【0057】
第2のモノマー組成物から第2の(メタ)アクリレートポリマーを重合させるために、第2の反応混合物が調製される。第2の反応混合物は、通常第2のモノマー組成物にフリーラジカル開始剤を加えたものが含まれる。フリーラジカル開始剤は、典型的には、第1の(メタ)アクリレートポリマーの不在下における第2の(メタ)アクリレートポリマーの早期の架橋を防止するために、光開始剤よりも熱開始剤が選択される。即ち、熱開始剤が、未反応の架橋性基を有する第2の(メタ)アクリレートポリマーを形成するために用いられる。その後、未反応の架橋性基は、第1の(メタ)アクリレートポリマーの存在下で紫外線に曝露された時に反応することができる。第1の反応混合物中に用いられる、上述のもの任意かつ好適な熱開始剤又は熱開始剤の組み合わせは、第2の反応混合物中に用いることができる。熱開始剤は、多くの場合、アゾ化合物、過酸化物化合物、又はこれらの化合物の1つ以上の混合物である。
【0058】
第2の(メタ)アクリレートポリマーを形成するために用いられる第2の反応混合物に、他の成分を添加することもできる。いくつかの実施形態では、上述の第1の反応混合物中で用いた連鎖移動剤を添加することができる。好適な量は第1の反応混合物の場合と同じである。
【0059】
第2の反応混合物は、上述の第1の反応混合物の重合のため任意の好適な方法を用いて重合させることができる。第2の反応混合物の重合は、有機溶媒の存在下、又は不在下で生じることができる。有機溶媒が重合性混合物中に含まれる場合、その量は、多くの場合、望ましい粘度を提供するように選択される。任意の所望の量の有機溶媒を用いることができる。例えば、その量は、第1の反応混合物の最大50重量パーセント以上、最大40重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大10重量パーセントであり得る。適切な有機溶媒の例としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル酢酸塩、エチル酢酸塩、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0060】
多くの実施形態では、有機溶媒が添加されないか(即ち、第2の反応混合物は有機溶媒を含まない)、又は最小限の量の有機溶媒のみが添加される。有機溶媒の量は、通常は第2の反応混合物の10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、又は1重量パーセント以下である。第2の反応混合物中に用いられる任意の有機溶媒は、通常は重合反応の完了時に除去されるが、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーがブレンドされた混合物中に存在することができる。好適な有機溶媒には、上述の第1の反応混合物に使用するものが挙げられる。
【0061】
ランダムポリマーである第2の(メタ)アクリレートポリマーは、通常は少なくとも50,000ダルトン、少なくとも75,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトン、少なくとも125,000ダルトン、少なくとも150,000ダルトン、又は少なくとも200,000ダルトンに等しい重量平均分子量を有する。重量平均分子量は、最大500,000ダルトン、最大475,000ダルトン、最大450,000ダルトン、最大425,000ダルトン、最大400,000ダルトン、最大375,000ダルトン、又は最大350,000ダルトンであり得る。重量平均分子量は、例えば、第1の反応混合物中に含まれる連鎖移動剤の量を変えることによって変更することができる。
【0062】
第2の(メタ)アクリレートポリマーは、通常は20℃以下、10℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、又は-50℃以下のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定を用いて測定することができる。第2の(メタ)アクリレートポリマーはエラストマー性であり、典型的には、感圧接着剤のダルキスト基準を満たす。
【0063】
架橋性組成物中の第2の(メタ)アクリレートポリマーの量は、多くの場合、(メタ)アクリレートポリマーの総重量(例えば、第1の(メタ)アクリレートポリマーの重量第2の(メタ)アクリレートポリマーを足した重量)に基づき2~20重量パーセントの範囲内である。例えば、架橋性組成物は、少なくとも2重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも6重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセントの第2の(メタ)アクリレートポリマーを含むことができる。第2の(メタ)アクリレートポリマーの量は、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、最大20重量パーセント、最大18重量パーセント、最大16重量パーセント、最大14重量パーセント、又は最大12重量パーセントになり得る。
【0064】
キログラム単位の(メタ)アクリレートポリマーの総重量を(メタ)アクリレートポリマー中のUV架橋剤の総モルで割ったものは、150キログラム/モル以下である。別の言い方をすれば、第1の(メタ)アクリレートポリマーの重量と第2の(メタ)アクリレートポリマーの重量の合計を、第1の(メタ)アクリレートポリマーと第2の(メタ)アクリレートポリマーを形成するために用いられるUV架橋性モノマーのモルの合計で割ったものは、150キログラム/モル以下である。これは(メタ)アクリレートポリマーの架橋密度の逆数である。この数値が低いほど架橋量は大きい。架橋量が大きいほど、凝集力が向上する傾向がある。この値は、多くの場合、140キログラム/モル以下、130キログラム/モル以下、120キログラム/モル以下、110キログラム/モル以下、100キログラム/モル以下、90キログラム/モル以下、又は80キログラム/モル以下である。
【0065】
架橋性組成物及び/又は架橋された組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。粘着付与剤への言及において、「実質的に含まない(substantially free)」は、架橋性組成物、架橋された組成物、又はその両方が、組成物の総重量に基づき、1重量パーセント以下、0.75重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.25重量パーセント以下、又は0.1重量パーセント以下の粘着付与剤を含有することを意味する。ほとんどの実施形態では、架橋性組成物及び/又は架橋された組成物は粘着付与剤を含まない。
【0066】
例えば、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、充填剤、顔料、染料、着色剤、揺変性付与剤、加工助剤、ナノ粒子、繊維、及びこれらの組み合わせなどの、様々な任意の成分を架橋性組成物に添加することができる。このような添加剤が存在する場合には、通常、架橋性組成物の固形物に、合計で、10重量パーセント未満、5重量パーセント未満、3重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満寄与する。
【0067】
第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーは互いにブレンドされ、架橋性組成物を形成する。これらの成分を互いにブレンドする任意の好適な方法を用いることができる。ブレンド方法は有機溶媒の存在下、又は不在下で行うことができる。有機溶媒の存在下で行われる場合には、任意の所望の量の有機溶媒を用いることができる。いかなる有機溶媒も除去する必要があるため、多くの場合、有機溶媒の使用を最小限に抑えるか、又は無くすことが望ましい。有機溶媒が存在する場合には、溶媒は、多くの場合、架橋性組成物を基質上にコーティングした後に除去される。除去は、架橋の前、架橋の後、又は架橋と同時に行うことができる。
【0068】
多くの実施形態では、有機溶媒を含まないか、又は実質的に含まない架橋性組成物を形成することは利点となり得る。有機溶媒への言及において使用するとき、用語「実質的に含まない(substantially free)」は、架橋性組成物の全固形物が、架橋性組成物の総重量に基づき、90重量パーセント超、95重量パーセント超、97重量パーセント超、98重量パーセント超、又は99重量パーセント超であることを意味する。
【0069】
多くの実施形態では、ブレンド方法は、様々な成分を溶融状態において混合することを含む。このようなブレンド方法は、ホットメルト混合方法又はホットメルトブレンド方法と呼ぶことができる。バッチ及び連続混合機器の両方を使用することができる。架橋性組成物の成分をブレンドするためのバッチ法の例としては、BRABENDER(例えば、(米国ニュージャージー州ハケンサックの)C.W.Brabender Instruments,Inc.から市販されているBRABENDER PREP CENTER)、又は(米国コネチカット州アンソニアの)Farrel Co.から入手可能であるBANBURY内部混合及びロール粉砕機器を使用するものが挙げられる。連続混合法の例としては、単軸押出成形、二軸押出成形、ディスク押出成形、往復単軸押出成形、及びピンバレル単軸押出成形が挙げられる。連続方法は、分配要素、ピン混合要素、静的混合要素、並びにMADDOCK混合要素及びSAXTON混合要素などの分散要素を利用することができる。
【0070】
1台又は複数台のホットメルト混合機器が、架橋性組成物を調製するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1台を超えるホットメルト混合機器を使用するのが望ましいことがある。ホットメルト加工機器(例えば第1の押出成形機、ホットメルト反応器、ドラムアンローダー)の産出物を、第1の(メタ)アクリレートポリマーを、第2の(メタ)アクリレートポリマー、粘着付与剤、又はその両方とホットメルト混合するために二軸押出成形機などの第2の押出成形機内に供給することができる。
【0071】
ホットメルト混合プロセスの産出物は、ブレンドされた架橋性組成物である。このブレンドされた架橋性組成物をコーティングとして基質に適用することができる。バッチ装置が使用される場合には、ホットメルトブレンドされた架橋性組成物を装置から取り出し、基質にコーティングするためにホットメルトコーター又は押出成形機に入れることができる。押出成形機が使用される場合には、ホットメルトブレンドされた架橋性組成物は、基質上に直接押し出され、コーティングを形成することができる。
【0072】
押し出されたコーティングは、通常は基質上に堆積される。このようにして、他の一態様においては、物品が提供される。物品は基質と、基質に隣接して配置された架橋性組成物のコーティングとを含む。架橋性組成物は、上述したものと同じであり、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含む。本明細書で使用される場合、用語「隣接して」は、第2の層の近くに配置された第1の層を指す。第1の層及び第2の層は、接触することができる、又は、別の層によって相互に分離することができる。例えば、基質が架橋性組成物に接触する場合、又は、プライマー層、若しくは、架橋性組成物の基質への接着を高める表面改質層等の別の層によって架橋性組成物から分離される場合、基質を架橋性組成物に隣接して配置することができる。架橋性組成物は、通常は基質の主表面へのコーティングとして適用され、また、物品は、架橋性組成物によってコーティングされた基質である。
【0073】
表現「架橋性組成物のコーティング(coating of the crosslinkable composition)」は表現「架橋性組成物コーティング(crosslinkable composition coating)」と互換的に使用される。同様に、表現「架橋された組成物のコーティング(coating of the crosslinked composition)」は表現「架橋された組成物コーティング(crosslinked composition coating)」と互換的に使用される。
【0074】
任意の好適な基質を、物品に使用することができる。例えば、基質は、可撓性又は非可撓性とすることができ、また、ポリマー材料、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組み合わせから形成することができる。いくつかの基質は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらのポリマー)、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(例えば、PMMA)、エチレン/ビニルアセテートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、及びセルロース系材料(例えば、酢酸セルロース、セルローストリアセテート、及びエチルセルロース)から調製したものといったポリマーフィルムである。その他の基質は、金属箔、不織布材(例えば、紙、布、不織スクリム)、織布材、発泡体(例えば、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)、などである。いくつかの例示的な紙基質としては、限定するものではないが、ライスパルプから作製されたクレープ紙、増粘剤飽和クレープ紙、松もしくはユーカリパルプから作製されたフラットバック紙、及び薄葉紙が挙げられる。いくつかの例示的な織布及び不織布基質は、セルロース系又はポリプロピレン系のものである。いくつかの基質については、表面を処理し、架橋された組成物、架橋された組成物、又はその両方への接着を改善することが望ましい場合がある。このような処理としては、例えば、プライマー層や表面改質層の適用(例えば、コロナ処理、又は表面磨耗)、又はそれらの両方が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、基質は剥離ライナーである。剥離ライナーは、通常、架橋性組成物又は架橋された組成物に対して低い親和性を有する。例示的な剥離ライナーは、紙(例えば、クラフト紙)、又は他の種類のポリマー材料から製造可能である。いくつかの剥離ライナーは、シリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の外層でコーティングされている。
【0076】
架橋性組成物コーティングは、紫外線に暴露された際に効果的に架橋され得る、任意の所望の厚さを有することができる。多くの実施形態において、架橋性組成物コーティングの厚さは、20ミル(500マイクロメートル)以下、10ミル(250マイクロメートル)以下、5ミル(125マイクロメートル)以下、4ミル(100マイクロメートル)以下、3ミル(75マイクロメートル)以下又は2ミル(50マイクロメートル)以下である。厚さは、多くの場合、少なくとも0.5ミル(12.5マイクロメートル)又は少なくとも1ミル(25マイクロメートル)である。例えば、架橋性組成物コーティングの厚さは、0.5ミル(2.5マイクロメートル)~20ミル(500マイクロメートル)の範囲内、0.5ミル(5マイクロメートル)~10ミル(250マイクロメートル)の範囲内、0.5ミル(12.5マイクロメートル)~5ミル(125マイクロメートル)の範囲内、1ミル(25マイクロメートル)~3ミル(75マイクロメートル)の範囲内、又は1ミル(25マイクロメートル)~2ミル(50マイクロメートル)の範囲内であり得る。
【0077】
他の態様において、架橋された組成物及び架橋された組成物を含む物品が提供される。架橋された組成物は、紫外線に暴露された架橋性組成物の反応生成物である。物品は、基質と、基質に隣接して配置された、架橋された組成物のコーティングとを含む。基質と、架橋された組成物を形成するのに使用される架橋性組成物は、上記と同一である。好適な紫外線源は、上記と同一である。
【0078】
架橋された組成物は、典型的には、感圧接着剤である。このように、架橋された組成物のコーティングを有する物品は感圧接着剤層を有し、このような物品の典型的な多くの用途に使用することができる。感圧接着剤層に隣接する基質は、特定の用途に応じて選択することができる。例えば、基質をシート材料とすると、得られる物品に装飾的なグラフィックを提供するか、又は、反射性の製品とすることができる。他の実施例において、基質は、ラベル材料(接着剤層を有するラベルが物品として得られる)又はテープバッキング(接着テープが物品として得られる)とすることができる。更に他の実施例において、基質は、剥離ライナーとすることができ、転写テープを物品として得ることができる。転写テープは、感圧接着剤層を別の基質又は表面に転写するのに使用することができる。その他の基質及び表面としては、例えば、パネル(例えば自動車パネル等の金属パネル)又はガラス窓が挙げられる。
【0079】
一部の物品は、接着テープである。接着テープは、架橋性組成物がテープバッキングの片面に付着された片面接着テープとするか、又は、テープバッキングの両主表面上に感圧接着剤層を有する両面接着テープとすることができる。2つの感圧接着剤層のうちの少なくとも1つは、上記の架橋性組成物である。両面接着テープは、多くの場合、剥離ライナー、布地、発泡体、スクリム、薄葉紙、又はポリマー材料(例えばポリエチレンテレフタレート)上に担持されている。
【0080】
いくつかの特定の接着剤物品はマスキングテープを含む。このような物品の利点は、塗装された基質(例えば、自動車の外部塗装面及び内部ラッテクス塗装面)並びに(処理又は未処理の)金属基質(例えば、ステンレス鋼)などの種々の基質からきれいに除去できることである。接着剤物品は、使用後に、接着剤からの望ましくない残留物を基質上に全く残すことなく、きれいに除去することができる。架橋された組成物中に粘着付与剤が無いことは、きれいな除去性を向上させる傾向がある。
【0081】
他の特定の接着剤物品としては、発泡体バッキング(即ち、架橋された組成物が発泡体基質などの粗い表面に隣接している)が挙げられる。第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーの双方の低い分子量は、発泡体基質への架橋された組成物の接着を向上させる傾向がある。
【0082】
接着剤物品は任意の好適な表面に接着させることができる。いくつかの実施形態では、接着剤物品は低表面エネルギー表面に接着される。
【0083】
更に別の態様では、物品を調製する方法が提供される。本方法は、基質を準備し、架橋性組成物を基質に隣接して配置し、次に、架橋性組成物を紫外光に曝露し、架橋された組成物を形成することと、を含む。架橋性組成物は少なくとも2種の異なる(メタ)アクリレートポリマーを含有し、粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。(メタ)アクリレートポリマーには第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーが含まれ、それぞれが50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物である。第1のモノマー組成物中の任意のUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能となる芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマー、を含む第2のモノマー組成物の反応生成物である。第2のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。
【0084】
本方法の多くの実施形態では、架橋性組成物は、架橋性組成物を溶融状態で押出成形することによって、基質に隣接して配置される。架橋性組成物の様々な成分は、押出成形前にホットメルトとして互いに混合される。即ち、基質は、押出成形機から出てくる、ホットメルトがブレンドされた架橋性組成物でコーティングされる。架橋性組成物の押出成形されたコーティングは、紫外線へ曝露することで架橋させることができる。このような方法は、良好な凝集力及び剪断保持力をもたらすために必要とされる架橋反応からコーティングプロセスを分離することを可能にする。
【0085】
コーティングプロセスは、架橋をほとんど又は全く有しない(メタ)アクリレートポリマーを用いて実行することができる。このようなポリマー材料は、通常のホットメルト加工条件下で容易に流動することができる。ホットメルト加工は、有機溶媒を用いないか、又は用いる有機溶媒を最小限にできるという利点がある。それゆえ、このような加工方法は環境的に好ましい。
【0086】
架橋プロセス(例えば、紫外線へのコーティングされた架橋性組成物の曝露)は、得られた架橋された組成物が、以下の実施例においてにおいて説明されるゲル含有量試験に従って分析された時に、架橋量が少なくともいくらかの不溶性ゲルを生じさせるのに十分になるまで継続される。不溶性ゲル率は、多くの場合、架橋された組成物の少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセントである。不溶性ゲル率は、多くの場合、架橋された組成物の95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、又は80重量パーセント以下である。
【0087】
架橋された組成物中の架橋量は、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーの相対量を変えることによって変化させることができる。この相対量の変更によって、架橋性組成物中のUV架橋性基の量の増大又は減少のいずれかをもたらすことができる。架橋の程度は、UV架橋性基を有する単一の(メタ)ポリマーを含有する組成物と比べて、より容易に調整することができる。組成物などにおいては、架橋量を変えることで、通常は異なる量のUV架橋性基を有する別の(メタ)ポリマーの調製が必要となる。
【0088】
架橋性組成物、架橋された組成物、これらの組成物を含有する物品、及び物品を作製する方法の様々な実施形態が提供される。
【0089】
実施形態1Aは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含む架橋性組成物であって、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーそれぞれが、50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーの反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーの反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0090】
実施形態2Aは、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、第1の(メタ)アクリレートポリマーが80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、実施形態1Aの架橋性組成物である。
【0091】
実施形態3Aは、UV架橋性モノマーがベンゾフェノン系モノマーである、実施形態1A又は2Aの架橋性組成物である。
【0092】
実施形態4Aは、第1のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、第2のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、又はその両方である、実施形態1A~3Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0093】
実施形態5Aは、第1のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーが、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0.01~0.3の範囲内の量で存在する、実施形態1A~4Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0094】
実施形態6Aは、第1の反応混合物が酸基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含むか、又は第1の反応混合物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が酸性基を有する極性モノマーを更に含む、実施形態1A~5Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0095】
実施形態7Aは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、100,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する、実施形態1A~6Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0096】
実施形態8Aは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、動的機械分析を用いて決定された時に、20℃以下のTgを有する、実施形態1A~7Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0097】
実施形態9Aは、第1のモノマー組成物が、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1A~8Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0098】
実施形態10Aは、第1のモノマー組成物が、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態9Aの架橋性組成物である。
【0099】
実施形態11Aは、極性モノマーが酸性基又は塩基性基を有する、実施形態9A又は10Aの架橋性組成物である。塩基性基を有する極性モノマーは、多くの場合、窒素含有モノマーである。
【0100】
実施形態12Aは、第2のモノマー組成物が、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1A~11Aのうちのいずれか1つの架橋性組成物である。
【0101】
実施形態13Aは、第2のモノマー組成物が、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態12Aの架橋性組成物である。
【0102】
実施形態1Bは、基質と、基質に隣接して配置された架橋性組成物のコーティングとを含む物品である。架橋性組成物は、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含み、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれは、50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であって、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であって、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0103】
実施形態2Bは、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、第1の(メタ)アクリレートポリマーが80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、実施形態1Bの物品である。
【0104】
実施形態3Bは、UV架橋性モノマーがベンゾフェノン系モノマーである、実施形態1B又は2Bの物品である。
【0105】
実施形態4Bは、第1のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、第2のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、又はその両方である、実施形態1B~3Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0106】
実施形態5Bは、第1のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーが、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0.01~0.3の範囲内の量で存在する、実施形態1B~4Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0107】
実施形態6Bは、第1の反応混合物が酸基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含むか、又は第1の反応混合物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が酸性基を有する極性モノマーを更に含む、実施形態1B~5Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0108】
実施形態7Bは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、100,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する、実施形態1B~6Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0109】
実施形態8Bは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、動的機械分析を用いて決定された時に、20℃以下のTgを有する、実施形態1B~7Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0110】
実施形態9Bは、第1のモノマー組成物が、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1B~8Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0111】
実施形態10Bは、第1のモノマー組成物が、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態9Bの物品である。
【0112】
実施形態11Bは、極性モノマーが酸性基又は塩基性基を有する、実施形態9B又は10Bの物品である。塩基性基を有する極性モノマーは、多くの場合、窒素含有モノマーである。
【0113】
実施形態12Bは、第2のモノマー組成物が、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1B~11Bのうちのいずれか1つの物品である。
【0114】
実施形態13Bは、第2のモノマー組成物が、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態12Bの物品である。
【0115】
実施形態1Cは、紫外線に暴露された架橋性組成物の反応生成物を含有する架橋された組成物である。架橋性組成物は、上述されたものと同じである。架橋性組成物は、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含み、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれは、50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0116】
実施形態2Cは、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、第1の(メタ)アクリレートポリマーが80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、実施形態1Cの架橋された組成物である。
【0117】
実施形態3Cは、UV架橋性モノマーがベンゾフェノン系モノマーである、実施形態1C又は2Cの架橋された組成物である。
【0118】
実施形態4Cは、第1のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、第2のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、又はその両方である、実施形態1C~3Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0119】
実施形態5Cは、第1のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーが、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0.01~0.3の範囲内の量で存在する、実施形態1C~4Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0120】
実施形態6Cは、第1の反応混合物が酸基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含むか、又は第1の反応混合物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が酸性基を有する極性モノマーを更に含む、実施形態1C~5Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0121】
実施形態7Cは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、100,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する、実施形態1C~6Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0122】
実施形態8Cは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、動的機械分析を用いて決定された時に、20℃以下のTgを有する、実施形態1C~7Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0123】
実施形態9Cは、第1のモノマー組成物が、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1C~8Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0124】
実施形態10Cは、第1のモノマー組成物が、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態9Cの架橋された組成物である。
【0125】
実施形態11Cは、極性モノマーが酸性基又は塩基性基を有する、実施形態9C又は10Cの架橋された組成物である。塩基性基を有する極性モノマーは、多くの場合、窒素含有モノマーである。
【0126】
実施形態12Cは、第2のモノマー組成物が、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1C~11Cのうちのいずれか1つの架橋された組成物である。
【0127】
実施形態13Cは、第2のモノマー組成物が、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態12Cの架橋された組成物である。
【0128】
実施形態1Dは、基質と、基質に隣接して配置された架橋された組成物のコーティングとを含む物品である。架橋された組成物は、紫外線に暴露された架橋性組成物の反応生成物を含有する。架橋性組成物は、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含み、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれは、50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0129】
実施形態2Dは、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、第1の(メタ)アクリレートポリマーが、80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、実施形態1Dの物品である。
【0130】
実施形態3Dは、UV架橋性モノマーがベンゾフェノン系モノマーである、実施形態1D又は2Dの物品である。
【0131】
実施形態4Dは、第1のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、第2のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、又はその両方である、実施形態1D~3Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0132】
実施形態5Dは、第1のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーが、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0.01~0.3の範囲内の量で存在する、実施形態1D~4Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0133】
実施形態6Dは、第1の反応混合物が酸基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含むか、又は第1の反応混合物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が酸性基を有する極性モノマーを更に含む、実施形態1D~5Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0134】
実施形態7Dは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、100,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する、実施形態1D~6Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0135】
実施形態8Dは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、動的機械分析を用いて決定された時に、20℃以下のTgを有する、実施形態1D~7Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0136】
実施形態9Dは、第1のモノマー組成物が、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1D~8Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0137】
実施形態10Dは、第1のモノマー組成物が、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態9Dの物品である。
【0138】
実施形態11Dは、極性モノマーが酸性基又は塩基性基を有する、実施形態9D又は10Dの物品である。塩基性基を有する極性モノマーは、多くの場合、窒素含有モノマーである。
【0139】
実施形態12Dは、第2のモノマー組成物が、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1D~11Dのうちのいずれか1つの物品である。
【0140】
実施形態13Dは、第2のモノマー組成物が、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態12Dの物品である。
【0141】
実施形態1Eは、物品の製造方法である。本方法は、基質を準備し、架橋性組成物を基質に隣接して配置し、次に、架橋性組成物を紫外光に曝露し、架橋された組成物を形成することと、を含む。架橋性組成物は、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーを含み、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれは、50,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する。第1の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)任意の、紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第1のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0~0.3モルパーセントの範囲内の量で存在する。第2の(メタ)アクリレートポリマーは、a)アルキル(メタ)アクリレート、及びb)紫外線に曝露された時に架橋可能である芳香族ケトン基を有するUV架橋性モノマーを含む第2のモノマー組成物の反応生成物であり、このUV架橋性モノマーは、第2のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき少なくとも1モルパーセントに等しい量で存在する。架橋性組成物は粘着付与剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0142】
実施形態2Eは、架橋性組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの総重量に基づき、第1の(メタ)アクリレートポリマーが80~98重量パーセントの範囲内の量で存在し、第2の(メタ)アクリレートポリマーが2~20重量パーセントの範囲内の量で存在する、実施形態1Eの方法である。
【0143】
実施形態3Eは、UV架橋性モノマーがベンゾフェノン系モノマーである、実施形態1E又は2Eの方法である。
【0144】
実施形態4Eは、第1のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、第2のモノマー組成物が極性モノマーを更に含むか、又はその両方である、実施形態1E~3Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0145】
実施形態5Eは、第1のモノマー組成物中のUV架橋性モノマーが、第1のモノマー組成物中のモノマーの総モルに基づき0.01~0.3の範囲内の量で存在する、実施形態1E~4Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0146】
実施形態6Eは、第1の反応混合物が酸基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含むか、又は第1の反応混合物が塩基性基を有する極性モノマーを更に含み、第2のモノマー組成物が酸性基を有する極性モノマーを更に含む、実施形態1E~5Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0147】
実施形態7Eは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、100,000~500,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を有する、実施形態1E~6Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0148】
実施形態8Eは、第1の(メタ)アクリレートポリマー及び第2の(メタ)アクリレートポリマーのそれぞれが、動的機械分析を用いて決定された時に、20℃以下のTgを有する、実施形態1E~7Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0149】
実施形態9Eは、第1のモノマー組成物が、60~100モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~40モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1E~8Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0150】
実施形態10Eは、第1のモノマー組成物が、90~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~10モルパーセントの極性モノマー、及び0~0.3モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態9Eの方法である。
【0151】
実施形態11Eは、極性モノマーが酸性基又は塩基性基を有する、実施形態9E又は10Eの方法である。塩基性基を有する極性モノマーは、多くの場合、窒素含有モノマーである。
【0152】
実施形態12Eは、第2のモノマー組成物が、60~99モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、0~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態1E~11Eのうちのいずれか1つの方法である。
【0153】
実施形態13Eは、第2のモノマー組成物が、60~98モルパーセントのアルキル(メタ)アクリレート、1~39モルパーセントの極性モノマー、及び1~10モルパーセントのUV架橋性モノマーを含有する、実施形態12Eの方法である。
【実施例
【0154】
方法
ローリングボールタック
作業面を配置し、完全に水平になるように調整する。ボールを転がす前に、その都度、5.6グラムの標準金属ボールをヘプタン槽を用いて徹底的に洗浄し、リントフリーの漂白した吸収材料で拭いて乾かし、任意の残りの溶媒残留物を除去する。
【0155】
試験対象の試験片を、接着剤側を上にして、作業面上に配置する。試験片は、傾斜台が試験片の上方に配置された後に、少なくとも12インチ(300mm)のテープが露出するように位置付けられる。傾斜台の反対側に位置する試験片の端部は、テープによって作業面に保持される。清浄で乾燥したトングを用いて、5.6グラムのボールを傾斜台の最上部におけるリリースピンの上側に配置する。ボールの中心から作業面までの鉛直距離は2.75インチ(7mm)である。リリースピンを押し下げることによって、ボールは解放されて傾斜台を滑り降り、ボールが接着剤表面上を転がって停止することが可能となる。ボールが最初に接着剤と接触する場所から、ボールが停止する地点までの距離を測定する。
【0156】
停止距離の測定値はミリメートル単位で報告される。特定のテープサンプルに対して2回以上の試験を実行した時には、距離の測定値を平均した。試験を開始するごとに、5.6グラムのボールを洗浄し、新しいテープストリップを使用した。
【0157】
高温/低温剥離試験
50マイクロメートル(2ミル)の名目上の接着剤コーティング厚を有する幅150mmのテープサンプルから、幅12.7mm、長さ150~200mm(幅0.5インチ、長さ6~8インチ)のテープストリップを切り出した。次にテープサンプルを、2kg(4.5ポンド)の硬質ゴムローラを2度用いて、BASFによって販売されているベースコート/クリアコート自動車塗装仕上げを施された、(米国ミシガン州ヒルズデールの)Advanced Coatings Technologies,Inc.から入手可能な幅100mm(幅4”)の塗装された金属試験パネルに適用した。代替的に、(米国オハイオ州フェアフィールドの)ChemInstrumentsのステンレス鋼試験パネル(Lot K 3M 10/10)にサンプルを適用した。
【0158】
4つ~8つの異なるテープサンプルを、サンプルの間に2~4mmの間隔を置いて並列に並べた。全ての接着テープの自由端部をサンプルと垂直な単一の木製舌圧子に接着させ、これにより、全てのサンプルを均一の速度で一斉に剥離することが可能になるようにした。93.3℃(200°F)のオーブンの内部において、30分の劣化(aging:エージング)後に、おおよそ250~300cm/分(100~120インチ/分)の剥離速度で、テープの最初の50mmを、手で、130°~140°の角度で剥離した。次に、試験パネルをオーブンから取り出し、周囲条件においてスレートベンチトップ上で5分間冷却することを可能にした。次に、周囲条件近くにおいて、テープの残りの50mmを、手で、130°~140°の角度で、おおよそ250~300cm/分(100~120インチ/分)の剥離速度で剥離した。次に、試験パネルの残留接着剤について評価した。目に見える接着剤が残っていなければ清浄な除去と見なし、少しでも接着剤残留物があれば汚染と見なした。
【0159】
分子量分布:
ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)を使用して、ポリマーをそれらの分子量及び多分散指数(polydispersity index、PDI)について評価した。ポリマーを0.5%(ポリマーの重量/溶媒の体積)の濃度でテトラヒドロフラン中に溶解させ、0.2マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレンフィルターに通過させた。得られた溶液のサンプルを、(米国マサチューセッツ州ミルフォードのWaters Corp.から入手した)35℃における2つのPLgel 5マイクロメートルMIXED-Dカラム(Styragel HR5E 7.8mm×300mm)、並びにUV検出器(Model 2487)及び屈折率検出器(Model 2410)を備える、(米国マサチューセッツ州ミルフォードの)Waters CorporationのGPCユニットを使用して分析した。投入後、サンプルを1ミリリットル/分で溶出させた。ポリスチレン標準液を使用して較正を実施した。重量平均分子量(Mw)を決定し、キロダルトン(kDa)単位で報告した。
【0160】
剪断貯蔵弾性率及びガラス転移温度(Tg)
接着フィルムサンプルの弾性率及びガラス転移温度(Tg)は、レオロジー動的機械分析器((米国デラウェア州ニューキャッスルの)TA Instruments(New Castle,DE,USA)製のモデルDHR-3 Rheometer)を平行板モードを用いて測定した。サンプルは、溶媒和接着剤をシリコーン剥離ライナー上にコーティングし、強制空気オーブン中にて70℃で乾燥させることによって調製した。次に、得られたフィルムをおおよそ1ミリメートル(0.039インチ)の厚さまで層状にした。次に、直径8ミリメートル(0.315インチ)の円形ダイを使用してレオロジーサンプルを打ち抜き、剥離ライナーの除去後、それぞれの直径が8ミリメートルの2枚の平行板の間の中心に置いた。接着剤を有する板をレオメーター中に配置し、接着フィルムの端が、上部の板と下部の板の各端と同等になるまで圧縮した。次に、温度を2段階の傾斜で変化させ、最初に平行板を3℃/分で40℃から-60℃へ降下させながら、印加応力が3,500Paを超えるまで、1%の一定のひずみを持たせながら、平行板を1ラジアン/秒の角振動数で振動させ、印加応力が3,500Paを超えた時点で、試験モードを、3,500Paの一定の印加応力に切り替え、3℃/分で温度の降下を継続した。第2段階はサンプルを30℃に戻して平衡させ、次に、平行板を1ラジアン/秒の角速度で振動させながら、5パーセントの一定のひずみをもって、3℃/分で30℃から150℃の最大温度に向けて上昇させた。しかし、剪断貯蔵弾性率(G’)が100Pa未満に落ちると、データ収集を停止した。剪断貯蔵弾性率(G’)及び剪断損失弾性率(G”)を測定し、温度の関数としてのtanδ(G”/G’)を計算するために使用した。tanδ曲線のピークをガラス転移温度とした。
【0161】
【表1】
【0162】
ポリマーP1~P16:溶媒ベースのサンプルの調製
ポリマー1については、95.0グラムの2-EHA、5.0グラムのAA、1.0グラムのEtAc中のVAZO 67の20重量パーセント溶液、0.48グラムのEtAc中のIOTGの5重量パーセント溶液、及び98.5グラムのEtAcを1リットルのガラスコハク色瓶に添加した。内容物を混合し、窒素で4分間泡立たせた後、密封し、ラウンドロメーター回転水槽(米国サウスカロライナ州ロックヒルのSDL Atlas)中に、65℃で24時間置いた。24時間後、サンプルをラウンドロメーターから取り出し、周囲条件を用いて冷却した。サンプルをGPCを使用して分析し、Mwが465kDaであると決定した。
【0163】
ポリマーP2~P16を、以下の表2に示す変更を除き、ポリマーP1と同様の仕方で調製した。表2は、(メタ)アクリレートポリマーを形成するために使用した組成をまとめている。モノマー量は、モノマーの全重量を基準として重量パーセントで示されている。溶媒(EtAc)の量、VAZO 67の量、IOTGの量、及びTDDMの量はpph(百分率(part per hundred)-100グラムの(メタ)アクリレートポリマーに基づく添加量)である。表3は、ポリマーP1~P16に関する特性情報をまとめている。
【0164】
【表2】
【0165】
【表3】
【0166】
実施例1~12及び比較例CE1~CE4:テープサンプルの調製
重合後に、全てのポリマー溶液を目視検査によって評価し、それらの粘度がナイフコーティングのために許容されるかどうかを判定した。P7及びいくつかの他のより高い分子量の溶液は、粘度が高すぎると識別し、EtAcで更に希釈して、表3に報告した固形分%を達成した。それゆえ、P7は、50グラムのEtAcをガラス瓶に添加し、往復震盪機上で24時間混合することによって、50固形分%から40固形分%へ低下させた。
【0167】
比較例1(CE1)は、4オンスコハク色ジャーに添加し、ジャーローラ上で一晩混合した、30グラムのP2溶液、2.33グラムのP10溶液、及び3.75グラムのKH-85ロジンエステル粘着付与剤のブレンドで構成した。次に、溶液を7ミルの間隙を介して低接着性裏面クレープ紙上にナイフコーティングし(クレープ紙は、スチレン-ブタジエンゴムラッテクス溶液を用いて飽和させた26ポンド/リーム(42.5グラム/m)の紙シートから作製し、クレープパターンと垂直な方向において測定した時に20ポンド/インチの破断点引張強度及び8パーセントの破断点伸びを有する、厚さ0.0037インチ(0.094ミリメートル)の最終的な飽和クレープ紙を生成した)、70℃で少なくとも20分間乾燥させ、厚さ2ミルの乾燥接着テープを生じさせた。次に、接着剤を、ガラスだけでカバーして、Fusion加工システム上においてHバルブによる20mJのUVC放射線を用いて硬化させた。実施例1~12及び比較例CE2~CE4を、以下の表4に示す変更を除き、比較例1と同様の仕方で調製した。表5に、実施例1~12及び比較例CE1~CE4の特性を載せている。
【0168】
【表4】
【0169】
【表5】