(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ポリマー多層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20220412BHJP
B32B 5/22 20060101ALI20220412BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20220412BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20220412BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20220412BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220412BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20220412BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B5/22
B32B7/06
B32B27/12
B32B7/023
B32B27/00 M
C09J7/26
(21)【出願番号】P 2019530820
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(86)【国際出願番号】 US2017064400
(87)【国際公開番号】W WO2018106559
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジャコブ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】エムスランダー,ジェフリー オー.
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006624(JP,A)
【文献】特開昭58-145440(JP,A)
【文献】特公昭46-014550(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 9/00-9/42
C09J 7/00-7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ隣接するインフレーションポリマーフィルム層を含むポリマー多層フィルムであって、前記インフレーションポリマーフィルム層の少なくともいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を含み、前記ストランドのランダムなネットワークは、第1の光学濃度を有し、前記連結領域は、第2の光学濃度を有し、前記第1の光学濃度が前記第2の光学濃度よりも大き
く、少なくとも1つの前記インフレーションポリマーフィルム層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である、ポリマー多層フィルム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記インフレーションポリマーフィルム層が、少なくとも20%の開放気孔率を有する、請求項1に記載のポリマー多層フィルム
。
【請求項3】
連続層を更に含み、前記連続層が、前記連続層の第1主表面から前記連続層の第2主表面まで延びる開口部を含まない、請求項1
又は2に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項4】
前記連続層が感圧接着剤を含まず、少なくとも1つの前記インフレーションポリマーフィルム層が、感圧接着剤を含む、請求項
3に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項5】
前記連続層が第1の感圧接着剤を含み、少なくとも1つの前記インフレーションポリマーフィルム層が、前記第1の感圧接着剤とは異なる第2の感圧接着剤を含む、請求項
4に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項6】
前記連続層が、スキン層である、請求項
5に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項7】
前記ポリマー多層フィルム
の第1の主表面又
は第2の主表面のうちの少なくとも1つは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す、請求項1~
6のいずれか一項に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項8】
縦方向及び横方向を有し、前記ポリマー多層フィルムが、前記横方向において弾性を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項9】
前記ポリマー多層フィルム
の第1の主表面又
は第2の主表面のいずれかに取り付けられた主表面を有するライナーを更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項10】
前記ライナーが、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有する、請求項
9に記載のポリマー多層フィルム。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載のポリマー多層フィルムを含む、グラフィックフィルム物品であって、前記グラフィックフィルム物品が、可視範囲波長又は近赤外範囲波長を有する少なくともいくつかの光を吸収し、前記可視範囲における少なくともいくつかの光を反射し、前記グラフィックフィルム物品から反射された光が、パターン、画像、及び、視覚的なインダイシアから選択されるグラフィックコンテンツを含む、グラフィックフィルム物品。
【請求項12】
請求項1~
10のいずれか一項に記載のポリマー多層フィルムを含む、テープ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年12月9日に出願された米国特許仮出願第62/432361号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
構造及び/又はテクスチャを有する、ポリマーフィルム及びフィルム複合体を、製造し更なる機能性を得ることが、望まれている。このような機能性としては、テクスチャによる表面が平滑な表面に対してより広い表面積となることによる、光学的効果、及び/又は液体吸収若しくは固形分保持の増加を挙げることができる。
【0003】
テクスチャ又は構造は、例えば、パターニング処理されたチルロール上に溶融ポリマーをキャスティングすることによって、ポリマーフィルムに付加することができる。これには、各々の所望のテクスチャ又は構造化されたフィルムに対して、特定のパターニング処理されたロールを使用することが必要とされる。あるいは、パターニング処理されていないポリマーフィルムは、フィルム製造プロセスの後で、フィルム表面の少なくとも一部分を再加熱し、所望の反転のパターンを有するローラのうちの少なくとも1つにより、高圧ニップの間を通すことによって、エンボス加工することができる。この技術には、更なるプロセスのステップが必要とされ、各々の所望の最終的なテクスチャ又は構造のため、パターニング処理されたロールの生産及び使用が必要とされる。
【0004】
テクスチャ加工されたフィルムはまた、ポリマー層を不織布ウェブ上にコーティング又は貼り合わせし、製造することもできる。不織布層により、所望のテクスチャ又は構造が得られ、他方、フィルム層、例えばバリア層又は装飾層などにより、他の機能性が得られる。このプロセスには、所望の最終製品を製造するため、複数のプロセスのステップ、すなわち、不織布ウェブを製造するステップ、及び不織布上にポリマー層の貼り合わせ又はコーティングを施すための少なくとも第2のステップが必要とされる。
【0005】
独自のパターニング処理されたロールを必要とせずに、又はテクスチャ若しくは構造を製造するための副次的プロセスを必要とせずに製造することができる、構造化された及び/又はテクスチャ加工されたポリマーフィルム又はフィルム複合体を製造することが、なお必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示では、少なくとも2つの隣接するポリマー層を含み、ストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域を示すポリマー多層フィルム(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも高く、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、スルーホールが存在しない。)が記載される。いくつかの実施形態では、少なくとも3、4、5、6、又は更には少なくとも7つのポリマー層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す。いくつかの実施形態では、層の全て、又は層のいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層に隣接している。
【0007】
本明細書に記載の実施形態のポリマー多層フィルムは、例えば、テープ及びグラフィック物品に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に記載の例示的なポリマー多層フィルムの概略上面図である。
【0009】
【
図1A】
図1に示す例示的なポリマー多層フィルムの概略側面図である。
【0010】
【
図2】別の例示的なストランドのランダムなネットワーク及び連結領域の概略上面図である。
【0011】
【
図3】本明細書に記載のポリマー多層フィルムを製造するための例示的な装置である。
【0012】
【
図3A】
図3に示す装置で使用する例示的な環状ダイである。
【0013】
【
図4】実施例1のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【
図4A】実施例1のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【0014】
【
図5】実施例2のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【
図5A】実施例2のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【0015】
【
図6】実施例3のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【
図6A】実施例3のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示では、少なくとも2つの隣接するポリマー層を含み、ストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域を示すポリマー多層フィルム(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも高く、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、スルーホールが存在しない。)が記載される。いくつかの実施形態では、少なくとも3、4、5、6、又は更には少なくとも7つのポリマー層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す。いくつかの実施形態では、層の全て、又は層のいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域が現れている別の層に隣接している。いくつかの実施形態では、ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面のうちの少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、第1の主表面及び第2の主表面の各々)は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す。
【0017】
図1及び
図1Aを参照する。例示的なポリマー多層フィルム100は、第1の隣接層及び第2の隣接層、それぞれ101、102を有し、ストランド103のランダムなネットワーク及び連結領域104を各々が示す。示すように、第1の隣接層及び第2の隣接層、101、102は、(任意選択的な)連続層105と106との間に配置されている。層101が見えるよう、連続層105を、
図1には示していない。
【0018】
図2を参照すると、ストランド203のランダムなネットワーク及び連結領域204の別の例が示されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層は、独立して、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、少なくとも1%(いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75%、又は更には少なくとも80%、いくつかの実施形態では、1~80%の範囲)の開放気孔率を有する。
【0021】
概して、本明細書に記載の、少なくとも2つの隣接する層を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す、ポリマー多層フィルムは、環状ダイを使用するインフレーションフィルムプロセスにて、層をオーバーフォーミングし、径方向に向いたフィルムの溶融チューブを「気泡」内の空気圧により形成することによって製造することができ、また、溶融領域内で長さ方向に引張り、フィルムを最終的な所望の厚さまで薄くすることもできる。例えば、
図3を参照すると、本明細書に記載の、少なくとも2つの隣接する層を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す、ポリマー多層フィルムを製造するための装置300は、ホッパ304、押出機306、環状ダイ308、空気リング310、押しつぶしフレーム314、ニップ317を形成するローラ316A、316B、スリットステーション323、及びアイドラーロール318、319を含む。
図3Aを参照すると、積層ダイプレートを含む9層の環状ダイ308の更なる詳細が示されており、各々の個々のダイプレートの積層の層は、機械加工されたポリマーの流路309A、309B、309C、309D、309E、309F、309G、309H、309Iを有する。フィルム製造プロセス中、溶融ポリマーは、流路309A、309B、309C、309D、309E、309F、309G、309H、309Iを通って中央ダイシリンダー310に接触し、次いで、他の層と組み合わせて上向きに流れ、環状ダイ開口部311を出て、多層フィルムチューブ312を形成する。ポリマー多層フィルムにおける層の数は、環状ダイにおいてダイプレートを積層する数によって調整することができる。
【0022】
動作中、樹脂302(典型的にはペレットの形態)及び他の添加剤を、ホッパ304に添加する。溶融樹脂又は流動性の樹脂は、押出機306から出て環状ダイ308内に入る。空気リング310により、均一な空気流が溶融ポリマーの気泡上で得られ、ニップロール316Aと316Bとを接触させることによって形成された、ニップ317を通ることによって、ポリマーの気泡の冷却中に円形フィルムの気泡312が押しつぶされたフィルムチューブ320に形成されることを、安定化しそれに役立つ。押しつぶされたフィルムチューブはアイドラーロール318を横断し、スリットステーション323を通って、更なるアイドラーロール319を通る2枚の平坦なフィルム320A及び320Bが形成される。次いで、フィルム320A及び320Bは、それぞれ個々のロール321A及び321Bに巻き取られる。ポリマー多層フィルムの層は、例えば、押出機内の溶融ポリマー中にガスを導入することによって、フォーミング又はオーバーフォーミングすることができる。ガスは、押出プロセスの熱及び圧力下でポリマー中に容易に吸収される。溶融ポリマーが押出ダイから出る際、吸収された加圧ガスは急速に膨張し、空隙を形成する。適切なプロセス条件を調整することができ、これにより、ポリマーが固化する際、空隙構造が「ロックされ」、発泡構造がポリマーフィルム中で得られる。
【0023】
層のフォーミングは、例えば、その層のための樹脂中に発泡剤を含ませるか、又は注入することによって促進することができる。発泡剤は、当該技術分野において公知であり、溶融ポリマー中への注入ガス(例えば、窒素又は二酸化炭素)を含む。発泡剤は当該技術分野において公知であり、米国特許第8,563,621号(Lapierre)に記載されているアルカリ土類金属炭酸塩とアルカリ金属酸塩とのブレンドを含み、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な市販の発泡剤としては、Polyfil Corp.(Rockaway,NJ)から商品名「ECOCELL H」で市販されているものが挙げられる。ポリマーのための他の例示的な化学的発泡剤は、当該技術分野において公知であり、ヒドラジン、ヒドラジド、及びアゾジカルボンアミド材料(例えば、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)(例えば、ChemPoint(Bellevue,WA)から商品名「CELOGEN OT」でマスターバッチの形態にて入手可能)を含む。別の例示的な化学的発泡剤は、RTP Company(Winona,MN)から商品名「FCX111263」でマスターバッチとして入手可能な吸熱発泡剤である。
【0024】
いくつかの実施形態では、成形剤を樹脂に添加し、押出機内に供給する。発泡剤及び他の処理条件を選択又は調整することで、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層を含む、所望の又は許容可能なポリマー多層フィルムが得られる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、紫外線(UV)吸収剤を含む。UV吸収層(例えばUV保護層)は、UV光(いくつかの実施形態では、任意のUV光)を吸収することにより、UV光が引き起こす経時的なダメージ/分解(degradation:劣化)から、他の層又は基材を保護することに役立ち得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、UV吸収剤は、少なくとも70%(いくつかの実施形態では、少なくとも80%、又は更には90%)の180nm~400nmの波長領域においてUV光を吸収する、長波長にシフトしたUV吸収剤(RUVA)である。典型的には、RUVAは、ポリマー中で高溶解性であり、高吸収性であり、光耐久性であり、保護層の形成のための押出プロセスのための、少なくとも200℃~300℃の温度範囲で熱安定性であることが望ましい。いくつかの実施形態では、RUVAは、モノマーと共重合可能であり、フリーラジカル開始剤硬化、UV硬化、ガンマ線硬化、電子ビーム硬化、又は熱硬化プロセスのうちの少なくとも1つによって保護コーティング層を形成する。例示的なUVAは、例えば、国際公開第2014/10055(A1)号(Olsonら)、同第2014/100580(A1)号(Olsonら)、同第2015/200655号(Olsonら)、同第2015/200669号(Olsonら)、及び同第2015/200657号(Olsonら)に記載されるようなUVAオリゴマーであり、その開示が参考として本明細書に組み込まれる。
【0027】
RUVAは、典型的には、長波長UV領域(すなわち、300nm~400nm)において高まったスペクトル有効範囲を有し、ほとんどのポリマーにおいて黄変の原因となり得る長波長UV光を遮断することができる。典型的なUV保護層は、約13マイクロメートル(μm)~380μmの範囲の厚さを有し、RUVA担持濃度が約2~10重量%の範囲である。例示的なRUVAとしては、ベンゾトリアゾール化合物、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BASF Corporation(Florham,NJ)から、商品名「CGL-0139」で入手可能)、ベンゾトリアゾール(例えば、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール)、及び2(-4,6-ジフェニル-1-3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノールが挙げられる。更なる市販のRUVAとしては、BASF Corporationから、商品名「TINUVIN 1577」、「TINUVIN 1600」、及び「TINUVIN 777」で入手可能なものが挙げられる。他の例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Duncan,SC)から、商品名「TA11-10 MB03」で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)UVAマスターバッチにて入手可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含む。例示的なHALSとしては、BASF Corporationから、商品名「CHIMASSORB 944」及び「TINUVIN 123」で入手可能なものが挙げられる。別の例示的なHALSは、例えば、BASF Corp.から、商品名「TINUVIN 944」で入手可能である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、酸化防止剤を含む。例示的な酸化防止剤としては、BASF Corporationから、商品名「IRGANOX 1010」及び「ULTRANOX 626」で入手可能なものが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、酸化防止剤を含む。酸化防止剤により、発色、並びにポリマー多層フィルムの物理的特性及び機械的特性の劣化を、低減又は防止することができる。例示的な酸化防止剤材料としては、例えば、Cytec Solvay Group(Woodland Park,NJ)から商品名「CYANOX 1790」及び「CYANOX 2777」で市販されているものが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、親水性材料を含む。親水性添加剤により、水性液体の吸収を増加させることができる。このことは、例えば、製品を洗浄し、こぼれ及び水性洗浄剤を吸収するのに、並びに医療用途で体液を吸収するのに有用な場合がある。例示的な親水性材料としては、例えば、JLK Industries(Coopersburg,PA)から商品名「JDOSS 50P」で入手可能なアニオン性界面活性剤、又は例えば、Global 7 Industries(Franklin,NJ)から商品名「HETOXAMIDE C4」で入手可能なノニオン性界面活性剤(PEG-5コカミド)が挙げられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、少なくとも1つの帯電防止材料を含む。帯電防止材料により、例えば、仕上げた製品への塵埃及び埃の誘引を低減すること、放出物によるスパークを低減すること、可燃性液体及びガスの着火を低減すること、電子マイクロ回路へのダメージを低減すること、並びに搬送機器の詰まりを低減することができる。例示的な帯電防止材料としては、Cytec Solvay Group(Woodland Park,NJ)から商品名「CTASTAT 609」及び「CYASTAT SN」で入手可能なものが挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、剥離剤を含む。例示的な剥離剤は、アルキルジメチコン、ポリビニルオクタデシルカルバメート、又はエチレンビス-ステアラミドのうちの少なくとも1つを含む。アルキルジメチコンは、例えば、米国特許第9,187,678号(Boardmanら)に記載されている。ポリビニルオクタデシルカルバメートは、例えば、Mayzo,Inc.(Suwanee,GA)から商品名「ESCOAT P-77」(直鎖状低密度キャリア樹脂中のポリビニルオクタデシルカルバメート)で市販されている。エチレンビス-ステアラミドは、例えば、Ampacet Corporation(Tarrytown,NY)から商品名「AMPACET 100666」で入手可能である。感圧接着テープ又は接着テープは、多くの場合、ロール形態で得られ、テープ構造体は、バッキング、バッキングの一方の主表面上の接着剤層、及びバッキングの他方の主表面上の剥離層を含む。剥離層により、テープを、ロールから制御されたレベルで繰り出すことが可能になる。剥離特性を有する他の物品は、様々な用途で使用されている。テープ、ダイカット接着剤物品、及びラベルをはじめとする、任意の接着剤コーティング物品には、実用性の問題として、剥離コーティング又は別個の剥離ライナーが必要とされる。剥離コーティング又は剥離ライナーにより、物品が持続して接着しない表面が得られる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、滑剤又はブロッキング剤のうちの少なくとも1つを含む。滑剤により、フィルムの表面特性を改質し、フィルム層と他の表面との間の摩擦を低下させることができる。効果的にするために、滑剤は、ポリマーから表面に移る必要があり、したがって、ある程度のポリマーとの非相溶性を有することが必要となる。
【0035】
例示的な滑剤としては、エルカミド又はオレアミドなどの脂肪酸アミドが挙げられる。処理中、滑剤は非晶質溶融物中に可溶化するが、ポリマーが冷却及び結晶化するにつれ、脂肪酸、アミドは「絞り出され」、潤滑層がポリマー表面に形成される。滑剤の添加により、フィルムの粘着及び引張を低減又は防止することができ、スループットを高めるのに役立つ。例示的な滑剤は、例えば、Ampacet Corporation(Tarrytown,NY)から商品名「AMPACET 100497」(1%のエルカミドを低密度ポリエチレンキャリア樹脂中に含有するマスターバッチ)、及び「#10358」(5%のオレアミドのマスターバッチ、ポリエチレンキャリア中)で市販されている。
【0036】
ブロッキング剤により、層のブロッキングを低減又は防止することができる。ポリオレフィン及び他のプラスチックフィルムは、一緒に接着する傾向を有し、多くの場合、層を分離することが困難になる。ブロッキングと呼ばれるフィルム層間のこの接着は、いくつかのポリマーの固有の特性である。ブロッキング防止添加剤をフィルムに添加することにより、この接着を最小限に抑え、層間のブロッキング力を低下させることができる。プラスチック中に混錬されると、これらの添加剤により、微細粗面が生じ、フィルム層間の接着が低減され、ブロッキング傾向が低下する。例示的なブロッキング防止剤は、典型的には、珪藻土、タルク、炭酸カルシウム、粘土、雲母、及びセラミック球などの無機材料である。例示的なブロッキング防止剤は、例えば、Polyfil Corporation(Rockaway,NJ)から商品名「ABC5000」で、及びAmpacet Corp.から商品名「AMPACET 102077」で市販されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、耐摩耗材料を含む。耐摩耗材料を添加することにより、仕上げた製品の掻き傷、損傷、及び摩耗を低減することができる。例示的な耐摩耗添加剤は、例えば、Dow Corning(Auburn,MI)から商品名「MB25-381」(シロキサンポリマーを含有するマスターバッチ)で市販されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、染料又は顔料のうちの少なくとも1つを含む(例えば、白色、黄色、緑色、青色、赤色、橙色、褐色、黒色などの色を付与している)。例示的な染料としては、例えば、Clariant International AG(Muttenz,Switzerland)から商品名「CLARIANT REMAFIN PE63421213-ZN」(緑色染料マスターバッチ)で市販されているものが挙げられる。例示的な顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び二酸化ジルコニウムが挙げられる。例示的な顔料による、二酸化チタン顔料のポリオレフィンキャリア中の市販のマスターバッチには、Standridge Color Corporation(Social Circle,GA)からの商品名「#11937」がある。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、インク又は塗料受容材料のうちの少なくとも1つを含む。インク受容材料は、フィルムの機能性又は美観を改善するために、表示要素又は装飾要素をフィルムに付加するのに望ましい場合がある。例示的な受容材料としては、例えば、米国特許第6,316,120号(Emslander)に記載されているような、エチレン/ビニルアセテート/一酸化炭素ターポリマーが挙げられ、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、金属(例えば、アルミニウム、青銅、ステンレス鋼、亜鉛、鉄、スズ、銀、金、及び/又はチタン)粒子を含む。金属粒子により、スパークル又は真珠光沢などの独特な装飾的態様をフィルムに施すことができる。例示的な金属粒子添加剤は、例えば、Cary Company(Addison,IL)から商品名「PELLEX A240-50」(金属グリッターマスターバッチ)で市販されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つの層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層をはじめとする、本明細書に記載のポリマーフィルムの少なくとも1つの層は、接着剤(感圧接着剤を含む)を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層をはじめとする、本明細書に記載のポリマーフィルムの少なくとも1つの層は、感圧接着剤を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層は、感圧接着剤を含む。例示的な感圧接着剤としては、例えば、3M Company(St.Paul,MN)から、商品名「OCA8171」及び「OCA8172」で入手可能なものが挙げられる。押出可能な感圧接着剤は、例えば、クラレ(大阪)から商品名「LIR-290」、「LA2330」、「LA2250」、「LA2140E」、及び「LA1114」で、及びExxon Mobil(Irving,TX)から商品名「ESCORE」で市販されている。感圧接着剤の粘着性は、例えば、粘着付与剤で調整することができる。
【0044】
他の例示的な接着剤としては、例えば、Exxon Mobil Corp.から、商品名「EXXON BUTYL 065」、「EXXON BUTYL 068」、及び「EXXON BUTYL 268」(約1.05~約2.30mol%の範囲の不飽和を有すると考えられる)で、United Chemical Products(Velizy-Villacoublay,France)から、商品名「BK-1675N」(約1.7mol%の不飽和を有すると考えられる)で、LANXESS(Sarnia,Ontario,Canada)から、商品名「LANXESS BUTYL 301」(約1.85mol%の不飽和を有すると考えられる)、「LANXESS BUTYL 101-3」(約1.75mol%の不飽和を有すると考えられる)、及び「LANXESS BUTYL 402」(約2.25mol%の不飽和を有すると考えられる)で、並びにカネカ(大阪)から、商品名「SIBSTAR」(コポリマーのmol%に基づいて、約15~約30mol%で異なっていると考えられるスチレン含有量を有し、ジブロック及びトリブロックの両方として入手可能)で、入手可能なイソブチレン/イソプレンコポリマーが挙げられる。例示的なポリイソブチレン樹脂は、例えば、Exxon Chemical Co.(Irving,TX)から、商品名「VISTANEX」で、Goodrich Corp.(Charlotte,NC)から、商品名「HYCAR」で、及び日本ブチル(関東地方)から、商品名「JSR BUTYL」で市販されている。
【0045】
概して、好適なポリイソブチレンは、広範囲の分子量及び広範囲の粘度を有してもよい。いくつかの実施形態では、ポリイソブチレンは、少なくとも約300,000グラム/モル(いくつかの実施形態では、少なくとも約400,000、又は更には少なくとも500,000グラム/モル以上)の重量平均分子量(ポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィにより測定したとき)を有する。いくつかの実施形態では、ポリイソブチレンは、300,000グラム/モル未満(いくつかの実施形態では、最大約280,000、275,000、270,000、260,000、250,000、240,000、230,000、220,000、210,000グラム/モル、又は最大200,000グラム/モル)の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ジイソブチレン中20℃で固有粘度によって測定したときの粘度によって定義する場合、ポリイソブチレンは、100,000~10,000,000グラム/モル(いくつかの実施形態では、500,000~5,000,000グラム/モル)の範囲の粘度平均分子量を有する。多くの異なる分子量及び粘度のポリイソブチレンが市販されている。いくつかの実施形態では、ポリイソブチレンの分子量は、感圧接着剤を製造するプロセス中に変化する。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリイソブチレンを含む感圧接着剤は、水素添加炭化水素粘着付与剤(いくつかの実施形態では、ポリ(環状オレフィン))を更に含む。いくつかの実施形態では、水素添加炭化水素粘着付与剤は、感圧接着剤組成物の総重量に基づいて、約5~約90重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ(環状オレフィン)は、感圧接着剤組成物の総重量に基づいて、約10~約95重量%のポリイソブチレンとブレンドされている。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、感圧接着剤組成物の総重量に基づいて約5~約70重量%の範囲の水素添加炭化水素(例えば、ポリ(環状オレフィン))粘着付与剤、及び感圧接着剤組成物の総重量に基づいて約30~約95重量%のポリイソブチレンを含む。いくつかの実施形態では、水素添加炭化水素粘着付与剤(いくつかの実施形態では、ポリ(環状オレフィン))は、感圧接着剤組成物の総重量に基づいて、20重量%未満(いくつかの実施形態では、15重量%未満)の量で存在する。例えば、水素添加炭化水素粘着付与剤(いくつかの実施形態では、ポリ(環状オレフィン))は、感圧接着剤組成物の総重量に基づいて、5~19.95重量%、5~19重量%、5~17重量%、5~15重量%、5~13重量%、又は更には5~10重量%の範囲で存在してもよい。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、アクリルモノマー及びポリアクリレートを含まない。例示的なポリイソブチレン感圧接着剤としては、国際公開第2007/087281号(Fujitaら)で報告されているものなどの、水素添加ポリ(環状オレフィン)及びポリイソブチレン樹脂を含む、接着剤組成物が挙げられ、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
任意選択的な第4の層のための例示的な水素添加炭化水素粘着付与剤は、例えば、荒川化学工業(大阪)から、商品名「ARKON P」及び「ARKON M」で市販されている。これらの材料は無色透明の水素添加炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。商品名「ARKON P」(例えば、P-70、P-90、P-100、P-115、及びP-140)の水素添加炭化水素粘着付与剤は、完全に水素添加されていると言われており、一方で、商品名「ARKON M」(例えば、M-90、M-100、M-115、及びM-135)のものは、部分的に水素添加されている。商品名「ARKON P-100」で入手可能な水素添加炭化水素粘着付与剤は、約850グラム/モルの数平均分子量、約100℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有すると言われている。商品名「ARKON P-140」で入手可能な水素添加炭化水素粘着付与剤は、約1250グラム/モルの数平均分子量、約140℃の軟化点、及び約90℃のガラス転移温度を有する。商品名「ARKON M-90」で入手可能な水素添加炭化水素粘着付与剤は、約730グラム/モルの数平均分子量、約90℃の軟化点、及び約36℃のガラス転移温度を有する。商品名「ARKON-M-100」で入手可能な水素添加炭化水素粘着付与剤は、約810グラム/モルの数平均分子量、約100℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有する。
【0048】
任意選択的な第4の層のための他の例示的な水素添加炭化水素粘着付与剤は、例えば、Exxon Chemicalから、商品名「ESCOREZ 1315」、「ESCOREZ 1310LC」、「ESCOREZ 1304」、「ESCOREZ 5300」、「ESCOREZ 5320」、「ESCOREZ 5340」、「ESCOREZ 5380」、「ESCOREZ 5400」、「ESCOREZ 5415」、「ESCOREZ 5600」、「ESCOREZ 5615」、「ESCOREZ 5637」、及び「ESCOREZ 5690」で入手可能である。
【0049】
「1300」シリーズの樹脂は、高軟化点を有する脂肪族樹脂であると、営業用文献に記載されている。「ESCOREZ 1315」樹脂は、約2200グラム/モルの重量平均分子量、約112℃~約118℃の範囲の軟化点、及び約60℃のガラス転移温度を有すると言われている。「ESCOREZ 1310LC」樹脂は、淡色、約1350グラム/モルの重量平均分子量、約95℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有すると言われている。「ESCOREZ 1304」樹脂は、約1650グラム/モルの重量平均分子量、約97℃~約103℃の範囲の軟化点、及び約50℃のガラス転移温度を有すると言われている。
【0050】
「5300」シリーズの樹脂は、無色透明の脂環式炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されており、約370グラム/モル~約460グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約85℃~約140℃の範囲の軟化点、及び約35℃~約85℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0051】
「5400」シリーズの樹脂は、非常に淡色の脂環式炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されており、約400グラム/モル~約430グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約103℃~約118℃の範囲の軟化点、及び約50℃~約65℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0052】
「5600」シリーズの樹脂は、非常に淡色の芳香族変性脂環式樹脂であり、芳香族水素原子の百分率は、樹脂中の全水素原子の重量に基づいて、約6~約12重量%の範囲であると、営業用文献に記載されている。更に、「5600」シリーズの樹脂は、約480グラム/モル~約520グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約87℃~約133℃の範囲の軟化点、及び約40℃~約78℃の範囲のガラス転移温度を有すると言われている。
【0053】
任意選択的な第4の層のための他の例示的で好適な水素添加炭化水素粘着付与剤は、例えば、Eastman(Kingsport,TN)から、商品名「REGALREZ 1085」、「REGALREZ 1094」、「REGALREZ 1126」、「REGALREZ 1139」、「REGALREZ 3102」、及び「REGALREZ 6108」で入手可能である。これらの樹脂は、水素添加芳香族の純粋モノマー炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。これらは、約850グラム/モル~約3100グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約87℃~約141℃の範囲の軟化点温度、及び約34℃~約84℃の範囲のガラス転移温度を有する。「REGALEZ 1018」は、発熱しない用途に使用することができる。この粘着付与樹脂は、約350グラム/モルの重量平均分子量、約19℃の軟化点、及び約22℃のガラス転移温度を有する。
【0054】
他の例示的な水素添加炭化水素粘着付与剤は、例えば、Cray Valley(Exton,PA)から、商品名「WINGTACK 95」、及び「WINGTACK RWT-7850」で入手可能である。これらの粘着付与樹脂は、脂肪族C5モノマーのカチオン重合により得られる合成樹脂であると、営業用文献に記載されている。商品名「WINGTACK 95」で入手可能な粘着付与樹脂は、約1700グラム/モルの重量平均分子量、98℃の軟化点、及び約55℃のガラス転移温度を有する淡黄色固体である。商品名「WINGTACK RWT-7850」で入手可能な粘着付与樹脂は、約1700グラム/モルの重量平均分子量、約102℃の軟化点、及び52℃のガラス転移温度を有する淡黄色固体である。
【0055】
他の例示的な水素添加炭化水素粘着付与剤は、例えば、Eastmanから、商品名「PICCOTAC 6095-E」、「PICCOTAC 8090-E」、「PICCOTAC 8095」、「PICCOTAC 8595」、「PICCOTAC 9095」、及び「PICCOTAC 9105」で入手可能である。これらの樹脂は、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、又は芳香族変性C5樹脂であると、営業用文献に記載されている。商品名「PICCOTACK 6095-E」で入手可能な粘着付与剤は、約1700グラム/モルの重量平均分子量及び約98℃の軟化点を有する。商品名「PICCOTACK 8090-E」で入手可能な粘着付与剤は、約1900グラム/モルの重量平均分子量及び約92℃の軟化点を有する。商品名「PICCOTACK 8095」で入手可能な粘着付与剤は、約2200グラム/モルの重量平均分子量及び約95℃の軟化点を有する。商品名「PICCOTAC 8595」で入手可能な粘着付与剤は、約1700グラム/モルの重量平均分子量及び約95℃の軟化点を有する。商品名「PICCOTAC 9095」で入手可能な粘着付与剤は、約1900グラム/モルの重量平均分子量及び約94℃の軟化点を有する。商品名「PICCOTAC 9105」で入手可能な粘着付与剤は、約3200グラム/モルの重量平均分子量及び約105℃の軟化点を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、水素添加炭化水素粘着付与剤は、水素添加ポリ(環状オレフィン)ポリマーである。ポリ(環状オレフィン)ポリマーは、概して、低水分透過性を有し、例えば、粘着付与剤として機能することにより、ポリイソブチレン樹脂の接着特性に影響を与え得る。例示的な水素添加ポリ(環状オレフィン)ポリマーとしては、水素添加石油樹脂;水素添加テルペン系樹脂(例えば、ヤスハラケミカル(広島)から、商品名「CLEARON」の等級P、M及びKで入手可能);水素添加樹脂又は水素添加エステル系樹脂(例えば、Hercules Inc.(Wilmington,DE)から、商品名「FORAL AX」及び「FORAL 105」で、並びに荒川化学工業(大阪)から、商品名「PENCEL A」、「ESTERGUM H」及び「SUPER ESTER A」で入手可能);不均化樹脂又は不均化エステル系樹脂(例えば、荒川化学工業から、商品名「PINECRYSTAL」で入手可能);水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂(例えば、ペンテン、イソプレン又はピペリンなどのC5留分を、石油ナフサの熱分解により製造された1,3-ペンタジエンと共重合することにより得られる水素添加C5型石油樹脂、(例えば、Exxon Chemical Co.から、商品名「ESCOREZ 5300」及び「ESCOREZ 5400」で、並びに、Eastman Chemical Co.から、商品名「EASTOTAC H」で入手可能));部分水素添加芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂(例えば、Exxon Chemical Co.から、商品名「ESCOREZ 5600」で入手可能);石油ナフサの熱分解により製造された、インデン、ビニルトルエン、及びα-又はβ-メチルスチレンなどのC9留分を、共重合することにより得られるC9型石油樹脂の水素添加から生じる樹脂(例えば、荒川化学工業から、商品名「ARCON P」又は「ARCON M」で入手可能);並びに、上記C5留分及びC9留分の共重合された石油樹脂の水素添加から生じる樹脂(例えば、出光昭和シェル(東京)から商品名「IMARV」で入手可能)が挙げられる。いくつかの実施形態では、水素添加ポリ(環状オレフィン)は、水素添加ポリ(ジシクロペンタジエン)であり、これは、PSAに利点(例えば、低水分透過性及び透明性)をもたらし得る。
【0057】
水素添加炭化水素粘着付与剤は、概して、ポリイソブチレンと同様の、化合物の極性を特徴付ける指標である溶解度パラメータ(SP値)を有し、またポリイソブチレンとの良好な相溶性(すなわち、混和性)を示し、これにより、透明フィルムを形成することができる。粘着付与樹脂は、典型的には非晶質であり、5000グラム/モル以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量が約5000グラム/モルより高い場合、ポリイソブチレン材料との相溶性が低下する、粘着性が低下する、又はその両方となる場合がある。分子量は、多くの場合は、4000グラム/モル以下である(いくつかの実施形態では、2500、2000、1500、1000グラム/モル以下、又は更には500グラム/モル以下であり、いくつかの実施形態では、分子量は200~5000、200~4000、200~2000、又は更には200~1000グラム/モルの範囲である)。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、少なくとも1つの連続(すなわち、1つの主表面から別の主表面まで伸びている開口部を含まない)層を更に含む。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層に隣接する連続層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域からテクスチャ加工される(例えば、連続層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域のテクスチャに少なくとも部分的に適合し得る)。例示的な連続層は、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む。
【0059】
連続層は、連続層組成物の構成成分を含む押出可能な組成物のホットメルト押出などの、当該技術分野において公知の技術によって得ることができる。押出可能な連続層を製造するための例示的な方法は、例えば、Progelhof,R.C.,and Throne,J.L.,”Polymer Engineering Principles”Hanser/Gardner Publications,Inc.,Cincinnati,OH,1993に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
あるいは、例えば、少なくとも1つの層を別個のシートとして押し出し、一緒に貼り合わせしてもよい。いくつかの実施形態では、基材により、最も高価な樹脂の使用を最小限に抑えながら、様々な層内のいくつかの樹脂の最良の特性を有利に組み合わせることができ、画像受容媒体の価値の高度化及びコスト低減をもたらすことができる。例えば、基材層は、概して低コストの樹脂で製造することができ、多層フィルムに特に所望の物理的特性をもたらすように選択することができる。これらの特性としては、寸法安定性、耐引裂性、適合性、エラストマー特性、ダイカット性、剛性、及び耐熱性を挙げることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、連続層は、スキン層である。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つの層は、2つの連続層の間に配置されている。いくつかの実施形態では、連続層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す2つの層の間に配置されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の連続層が感圧接着剤を含まず、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、感圧接着剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の連続層が第1の感圧接着剤を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、第2の感圧接着剤を含む。
【0063】
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す2つ以上の層を含むいくつかの実施形態では、少なくとも2つのこのような層には、ストランド及び連結領域の異なるランダムなネットワークを示す。
【0064】
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す2つ以上の層を含むいくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す1つの層が、感圧接着剤を含まず、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層が、感圧接着剤を含む。
【0065】
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す2つ以上の層を含むいくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す1つの層は、第1の感圧接着剤を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層は、第2の異なる感圧接着剤を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、第2の連続層を更に含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第1の層が、第1の連続層と第2の連続層との間に配置されている。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、1μm~1000μmの範囲の厚さ(いくつかの実施形態では、25μm~500μm、50μm~250μm、又は更には2μm~10μmの範囲の厚さ)を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムが、縦方向及び横方向を有し、ポリマー多層フィルムが、横方向において弾性を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、少なくとも1つのライナーを更に含む。例えば、ライナーは主表面を有し、その主表面が、ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面のいずれかに取り付けられている。いくつかの実施形態では、ポリマー多層フィルムの各々の主表面は、それに取り付けられたライナーを有する。いくつかの実施形態では、ライナーは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示すポリマー多層フィルムを含む。いくつかの実施形態では、ライナーが、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー多層フィルムは、ライナーの主表面上に接着剤(例えば、感圧接着剤)層を有する。ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有するライナーでは、ライナーの主表面上の接着剤の主表面は、ライナーの主表面の裏返しにした表面を有する。いくつかの実施形態では、ライナーの主表面に取り付けられたポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面は、接着剤(例えば、感圧接着剤)表面である。ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有するライナーでは、ライナーに取り付けられたポリマー多層フィルムの主表面は、ライナーの主表面の裏返しにした表面を有する。
【0070】
本明細書に記載の実施形態のポリマー多層フィルムは、例えば、テープ及びグラフィック物品(例えば、グラフィックフィルム)に有用である。「グラフィックフィルム」は、可視又は近赤外の範囲において波長を有する少なくともいくらかの光を吸収して、可視範囲内において少なくともいくらかの光を反射し、反射光にいくらかのグラフィックコンテンツが収まる、フィルムである。グラフィックコンテンツは、パターン、画像、又は他の視覚的なインダイシア(indicia)を含んでもよい。グラフィックフィルムは印刷されたフィルムであってもよく、又はグラフィックが、印刷以外の手段によって作成されていてもよい。例えば、グラフィックフィルムは、パターニング処理された穿孔状態による穿孔反射フィルムであってもよい。グラフィックはまた、エンボス加工によって作成されていてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィックフィルムは、部分的に透過性のグラフィックフィルムである(例えば、バックライトによる標識(例えば、バックライトによる交通標識)で使用される)。広告宣伝用表示には、多くの場合、傍らの面及び天幕などの構造表面上で見えるグラフィック画像、又はバナーとして吊り下がっているグラフィック画像が含まれる。表示を作製するために、画像を、接着剤の付いた画像受容媒体上に形成してもよく、場合により、グラフィックマーキングフィルムと呼ばれ、次には所望の基材に接着される。グラフィック表示は、5年以上の長期設置物を意図することもできるが、多くの場合、比較的短期間(3ケ月~1年)の屋外設置物である。短期間の表示の場合、画像受容媒体は、望ましくは、インク及び/又はトナーが表面に容易に適用され除去される、良好な印刷適性及び接着を有する、低コスト、耐候性で、耐久性のあるグラフィックマーキングフィルムである。
例示的実施形態
1. 少なくとも2つの隣接するポリマー層を含み、ストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域を示すポリマー多層フィルム(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも高く、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、スルーホールが存在しない。)。いくつかの実施形態では、少なくとも3、4、5、6、又は更には少なくとも7つのポリマー層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す1つ以上の更なるポリマー層は、感圧接着剤を含み、その各々は、第1の感圧接着剤と同じであっても異なっていてもよく、又は互いに異なっていてもよい。
2. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、独立して、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む、例示的実施形態1に記載のポリマー多層フィルム。
3. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つの層が、少なくとも1%(いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75%、又は更には少なくとも80%、いくつかの実施形態では、1~80%の範囲)の開放気孔率を有する、例示的実施形態1又は2に記載のポリマー多層フィルム。
4. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つの層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である、例示的実施形態1~3のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
5. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、感圧接着剤を本質的に含まない、例示的実施形態4に記載のポリマー多層フィルム。
6. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、感圧接着剤を含む、例示的実施形態4に記載のポリマー多層フィルム。
7. 第1の連続層を更に含む、例示的実施形態1~4のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
8. 第1の連続層が感圧接着剤を含まず、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、感圧接着剤を含む、例示的実施形態7に記載のポリマー多層フィルム。
9. 第1の連続層が第1の感圧接着剤を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、第2の感圧接着剤を含む、例示的実施形態7に記載のポリマー多層フィルム。
10. 第1の感圧接着剤が、第2の感圧接着剤よりも高い粘着性を有する、例示的実施形態9に記載のポリマー多層フィルム。
11. 第1の感圧接着剤が、第2の感圧接着剤よりも低い粘着性を有する、例示的実施形態7に記載のポリマー多層フィルム。
12. 第1の連続層が、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む、例示的実施形態7に記載のポリマー多層フィルム。
13. 第1の連続層が、スキン層である、例示的実施形態7~12のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
14. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層を更に含む、例示的実施形態7、12、又は13のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
15. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層が、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を含む第1の層とは異なる、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を有する、例示的実施形態14に記載のポリマー多層フィルム。
16. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第1の連続層が感圧接着剤を含まず、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層が、感圧接着剤を含む、例示的実施形態15に記載のポリマー多層フィルム。
17. ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第1の層が第1の感圧接着剤を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層が、第2の異なる感圧接着剤を含む、例示的実施形態15に記載のポリマー多層フィルム。
18. 第1の感圧接着剤が、第2の感圧接着剤よりも高い粘着性を有する、例示的実施形態15に記載のポリマー多層フィルム。
19. 第1の連続層が、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第1の層と第2の層との間に配置されている、例示的実施形態14~18のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
20. ポリマー多層フィルムが、第2の連続層を更に含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第1の層が、第1の連続層と第2の連続層との間に配置されている、例示的実施形態7~18のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
21. ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面のうちの少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、第1の主表面及び第2の主表面の各々)は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す、例示的実施形態1~20のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
22. 1μm~1000μmの範囲の厚さ(いくつかの実施形態では、25μm~500μm、50μm~250μm、又は更には2μm~10μmの範囲の厚さ)を有する、例示的実施形態1~21のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
23. 染料又は顔料のうちの少なくとも1つを更に含む(例えば、白色、黄色、緑色、青色、赤色、橙色、褐色、黒色などの色を付与している)、例示的実施形態1~22のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
24. 少なくとも1つの帯電防止材料を更に含む、例示的実施形態1~23のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
25. インク又は塗料受容材料のうちの少なくとも1つを更に含む、例示的実施形態1~24のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
26. 金属(例えば、アルミニウム、青銅、ステンレス鋼、亜鉛、鉄、スズ、銀、金、及び/又はチタン)粒子を更に含む、例示的実施形態1~25のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
27. 剥離剤を更に含む、例示的実施形態1~26のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
28. 耐摩耗材料を更に含む、例示的実施形態1~27のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
29. 滑剤又はブロッキング防止剤のうちの少なくとも1つを更に含む、例示的実施形態1~28のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
30. ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を更に含む、例示的実施形態1~29のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
31. UV安定剤を更に含む、例示的実施形態1~30のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
32. 親水性材料を更に含む、例示的実施形態1~31のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
33. 縦方向及び横方向を有し、ポリマー多層フィルムが、横方向において弾性を有する、例示的実施形態1~32のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
34. ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面のいずれかに取り付けられた主表面を有するライナーを更に含む、例示的実施形態1~33のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。いくつかの実施形態では、ポリマー多層フィルムの各々の主表面は、それに取り付けられたライナーを有する。
35. ライナーが、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示すポリマー多層フィルムを含む、例示的実施形態34に記載のポリマー多層フィルム。
36. ライナーが、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有する、例示的実施形態34又は35のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。
37. ライナーの主表面上に接着剤(例えば、感圧接着剤)層を有する、例示的実施形態34~36のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有するライナーでは、ライナーの主表面上の接着剤の主表面は、ライナーの主表面の裏返しにした表面を有する。
38. ライナーの主表面に取り付けられたポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面が、接着剤(例えば、感圧接着剤)表面である、例示的実施形態34~36のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルム。ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す主表面を有するライナーでは、ライナーに取り付けられたポリマー多層フィルムの主表面は、ライナーの主表面の裏返しにした表面を有する。
39. 例示的実施形態1~38のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルムを含む、グラフィック物品。
40. 例示的実施形態1~38のいずれか1つに記載のポリマー多層フィルムを含む、テープ(例えば、ダクトテープ)。
【0071】
本発明の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これら実施例において述べられる特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。全ての部分及びパーセントは、特に指示のない限り、重量に基づく。
【0072】
実施例1
7層のフィルムを製造するには、7層環状積層ダイ(Labtech Engineering(Samut Prakan,Thailand)から商品名「COEX7層」(LF-400型)で入手)を使用して、7枚の積層ダイプレートのみが存在することを除き、
図3及び
図3Aに示される装置を使用した。ダイへの空気流を手動で制御し、約2:1のブローアップ比とした。続いて、気泡を、ダイの上で約3メートル(10フィート)に押しつぶし、巻き取った。供給材料を送り込むには、約30:1の長さ対直径比を有する、7個の独立した直径20mmの押出機によった。
【0073】
第1の押出機を使用し、低密度ポリエチレン(LyondellBasell(Houston,TX)から商品名「PETROTHENE NA217000 5.6 MFI」で入手)を溶融し、環状積層ダイの内部路内に押出した。溶融温度を180℃に維持した。第2、第3、第4、及び第5の押出機を使用し、同じ樹脂を続く第1の樹脂の外層中に供給した。第6の押出機を使用し、96%の同じポリエチレンと4%の化学的発泡剤(Polyfil Corp.(Rockaway,NJ)から商品名「ECOCELL H」で入手)とを含有する、ブレンドを供給した。215℃の溶融温度を層6にて維持した。第7の押出機を使用し、第6の押出機と同じブレンドを、環状積層ダイの外層に180℃の溶融温度で供給した。30回転/分のスクリュー速度を使用した。ダイ温度を180℃に維持した。
【0074】
得られたポリマー多層フィルムの画像を
図4及び
図4Aに示す(ストランド403のランダムなネットワーク及び連結領域404を御覧のこと)。
【0075】
実施例2
ポリマー多層フィルムを調製するには、第1及び第2の押出機に低密度ポリエチレンのみを入れたこと、並びに残りの押出機に化学的発泡剤と低密度ポリエチレンとの記載されたブレンドを入れたことを除いて、実施例1に記載のようにした。化学的発泡剤を入れている全ての層について、215℃の溶融温度を維持した。ダイ温度を180℃に維持した。
【0076】
得られたポリマー多層フィルムの画像を
図5及び
図5Aに示す(ストランド503のランダムなネットワーク及び連結領域504を御覧のこと)。
【0077】
実施例3
ポリマー多層フィルムを調製するには、感圧接着剤(PolyOne(Avon Lake,OH)から商品名「KRATON MD6748」(4.8 MFI)で入手)を使用し、化学的発泡剤とブレンドしたことを除いて、実施例1に記載のようにした。
【0078】
得られたポリマー多層フィルムの画像を
図6及び
図6Aに示す(ストランド603のランダムなネットワーク及び連結領域604を御覧のこと)。
【0079】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者にとって自明であろう。本発明は、例示目的のために本出願に記載されている実施形態に限定されるものではない。