(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】横方向で係合されるジッパープルタブを有する手荷物用品
(51)【国際特許分類】
A45C 13/10 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A45C13/10 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018094579
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511214071
【氏名又は名称】サムソナイト アイピー ホールディングス エス.エー.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ポンティ
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02002744(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0066170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0069757(US,A1)
【文献】特開2015-198832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/10
A44B 19/26~19/30
E05B 65/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手荷物用品は、少なくとも2つのジッパースライダーを含むジッパーを含み、
前記少なくとも2つのジッパースライダーのうちの1つは、細長い本体を含む第1のジッパープルタブに接合されており、前記細長い本体は、外側面と内側面とを有し、
前記少なくとも2つのジッパースライダーのうちのもう1つは、細長い本体を含む第2のジッパープルタブに接合されており、前記細長い本体は、外側面と内側面とを有し、
少なくとも1つの磁石が前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブのうちのいずれか又は両方と連結されており、
前記第1のジッパープルタブと前記第2のジッパープルタブとは、磁力によって、前記第1のジッパープルタブと前記第2のジッパープルタブの各内側面の少なくとも部分に沿って横方向で係合され、係合した状態で保持され
、
前記第1のジッパープルタブは係合特徴を含み、
前記第2のジッパープルタブは係合特徴を含み、
ロック機構が前記手荷物用品に連結されており、前記ロック機構は少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部を含み、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部はそれぞれが前記係合特徴のうちの1つを受け入れるようにサイズ決定されており、
横方向で係合された第1のジッパープルタブ及び第2のジッパープルタブは、前記係合特徴を、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部内への受け入れのために位置付ける、手荷物用品。
【請求項2】
前記係合特徴は、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部内に受け入れられる、
請求項1に記載の手荷物用品。
【請求項3】
前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、前記各内側面の前記部分の当接によって係合される、請求項1
又は請求項2に記載の手荷物用品。
【請求項4】
前記各内側面の前記部分の前記当接は、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブの、
前記内側面の互いの相補的形状の係合によるインターロックなしでの面当接を含む、
請求項3に記載の手荷物用品。
【請求項5】
前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、前記磁力によって係合した状態で保持されている場合、横方向で延在する単一のユニットを形成する、請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項6】
前記第1のジッパープルタブの上側面及び底側面のうちの一方又は両方は、前記第2のジッパープルタブの、それぞれ、上側面及び底側面の一方又は両方と面一である、請求項1~
請求項5のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項7】
各ジッパープルタブの前記内側面の横方向で係合される部分は、各ジッパープルタブの上側面に対して実質的に直角に延在する壁を形成する、請求項1~
請求項6のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項8】
前記磁力は、前記第1のジッパープルタブの前記内側面の少なくとも部分と連結された少なくとも第1の磁石を、又は、前記第2のジッパープルタブの前記内側面の少なくとも部分と連結された少なくとも第2の磁石を、又は、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブのそれぞれの前記内側面の少なくとも部分とそれぞれ連結された少なくとも第1の磁石及び少なくとも第2の磁石を含む、請求項1~
請求項7のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項9】
第1の内側面及び/又は第2の内側面の部分がリセスを画定し、少なくとも第1の磁石及び/又は少なくとも第2の磁石はそれぞれのリセス内に受け入れられている、
請求項8に記載の手荷物用品。
【請求項10】
少なくとも第1の磁石は第1の内側面の部分内に完全に埋め込まれており、及び/又は、少なくとも第2の磁石は第2の内側面の部分内に完全に埋め込まれている、
請求項8に記載の手荷物用品。
【請求項11】
前記第1の磁石及び/又は前記第2の磁石はそれぞれ、各内側面の部分と面一であるか、面一より下か、又は面一より上である、
請求項9に記載の手荷物用品。
【請求項12】
前記第1のジッパープルタブ及び/又は前記第2のジッパープルタブの前記内側面の部分の少なくとも一部上に層が位置付けられた、請求項1~
請求項11のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項13】
前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブの各内側面の部分は、直線形状を画定するか、又は相補的な曲線形状を画定する、請求項1~
請求項12のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項14】
前記ロック機構は手荷物ケースの側壁に取り付けられているか、又は前記ロック機構は前記手荷物ケースから独立している、
請求項1に記載の手荷物用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手荷物用品に関し、特に、手荷物用品のための横方向で係合されるジッパープルタブに関する。
【背景技術】
【0002】
手荷物製品、特に手荷物ケース(スーツケース)は多くの場合、様々な目的のための、とりわけ、相補的な手荷物シェルの開閉における使用及び外部ポケットの開閉における使用などのための、ジッパーを含む。不正アクセスを阻止するために、ジッパーのプルタブは、前記手荷物ケース上に取り付けられたロック機構内に固定される場合がある。ジッパーが2つ以上のプルタブを有する場合、例えば2つのジッパースライダーのそれぞれについて1つのプルタブを有する場合、前記プルタブは、前記ロック機構内に受け入れられるために、互いにインターロックされることなどによって互いに相対的な特定の位置付けを必要とする場合がある。前記プルタブのこの相対的な位置付け又はインターロックは、多くの理由で達成するのが困難な可能性があり、前記理由としては例えば、作業照明が不十分であること、又は前記プルタブが、例えば一方のプルタブの部分が別のプルタブの部分の中に受け入れられた状態若しくは別のプルタブの部分を通して挿入された状態でインターロックされることなど、特定の方法で互いに係合されなければならないこと、などが挙げられる。加えて、使用者は、前記プルタブを前記ロック機構内に受け入れられるための適切な相互係合の向きに操作するために必要な器用さを有さない可能性がある。
【0003】
したがって、改良された手荷物ケースを提供することが望ましく、より具体的には、上述の問題に対処する、且つ/又はより一般的に既存の構成に対する改良又は代替を提供する、改良された自動的に整列されるプルタブを有して構成された、手荷物ケースのための改良されたジッパーロックシステムを提供することが望ましい。
【0004】
様々なキャリーハンドルを含むという点で本開示に関連する可能性がある文献としては、欧州特許出願公開第2926679A1号明細書、欧州特許出願公開第2710915A2号明細書、欧州特許出願公開第2384660A3号明細書(インターロックの例)、国際公開第2016100553A1号パンフレット、中国特許出願公開第104382302A号明細書、中国実用新案第201234621Y号明細書、中国実用新案第205597390U号明細書、中国実用新案第204742861U号明細書(インターロックの例)、及び中国実用新案第204812415U号明細書が含まれる。
【発明の概要】
【0005】
したがって本開示によれば、添付の特許請求の範囲に記載された手荷物用品が提供される。
【0006】
改良されたジッパープルタブ係合構造、及び/又は、前記改良されたジッパープルタブ係合構造と共に使用するように構成されたロック機構、及び/又は、前記ロック機構と共に使用される改良されたジッパープルタブと共に使用するように構成された手荷物ケースが本明細書中で開示され、これらは前記ジッパープルタブの横方向での係合を、使用者によるより容易な操作のために可能にするものである。加えて又は代替として、前記開示は、前記ジッパープルタブを、ジッパープルタブの方向付けを可能にするための磁力を使用して、横方向での係合構成において分離可能に固定することを可能にする。前記ジッパープルタブのそのような横方向での係合は、使用者にとってより好都合な取り扱いのために有益であり得る。前記ジッパープルタブのそのような横方向での係合はまた、一方のジッパープルタブの部分が他方のジッパープルタブの部分の中に、又は他方のジッパープルタブの部分を通して受け入れられることなどによる特定の方法での機械的インターロック係合を必要とすることなしでの、ロック機構内への受け入れのために有益であり得る。加えて又は代替として、本開示はまた、指若しくは手の器用さが限られているか又は視覚能力が限られている使用者によって、前記ジッパープルがロック機構内への受け入れのために必要に応じて整列されることを、及び、整列されたジッパープルタブが前記ロック機構内に係合されることを可能にし得る。前記ジッパープルタブのそのような横方向での係合は、向上した外観及びより整った構成を提供する。
【0007】
一構成では、前記ジッパープルタブは磁力によって互いに整列される。前記磁力は、前記ジッパープルタブを緩く一緒に保持する大きさのものであってもよく、且つ互いからの比較的容易な分離を可能にしてもよい。加えて又は別個に、前記ジッパープルタブは、いずれのジッパープルタブのいかなる部分も他のジッパープルタブと機械的にインターロックされることなしに、横方向で互いに当接される。加えて又独立に、整列されたジッパープルタブは、上述のように、ロック機構と係合されてもよい。
【0008】
本開示は、例えば手荷物用品が暗い環境内にある場合、又は使用者の指若しくは手の器用さが限られている場合などに、使用者が前記手荷物用品のジッパーをより容易にロックすることを可能にする。本開示はまた、前記ジッパーをロックすることの簡便性及び容易さを向上し、第1のジッパープルタブがロック受入開口部内に受け入れられた後で、しかし第2のジッパープルタブが前記ロック受入開口部内に受け入れられる前に、前記ロック機構のコンビネーションが誤って変更される危険を低減する。本明細書中に記載される横方向で係合されるジッパープルタブは、所望の位置付け及び整列を容易にし、且つ前記ロック機構と係合するために単一のユニットとして操作され得、それにより、これらの利点のうちの1つ又は組み合わせを満たす。
【0009】
一構成では、手荷物用品が、少なくとも2つのジッパースライダーを含むジッパーを含み、前記少なくとも2つのジッパースライダーのうちの一方は、細長い本体を含む第1のジッパープルタブに接合されており、前記細長い本体は、外側面と内側面と係合特徴とを有する。前記少なくとも2つのジッパースライダーのうちの他方は、細長い本体を含む第2のジッパープルタブに接合されており、前記細長い本体は、外側面と内側面と係合特徴とを有する。前記第1のジッパープルタブと前記第2のジッパープルタブとは、磁力によって、それらの各内側面の少なくとも部分に沿って横方向で係合され、係合した状態で分離可能に保持される。
【0010】
加えて又は代替として、ロック機構が前記手荷物用品に連結されていてもよい。前記ロック機構は、前記手荷物ケース上に位置付けられていてもよく、且つ前記手荷物ケースの側面のうちの1つに、ジッパーに隣接して固定されていてもよく、又は前記ロック機構は、前記手荷物ケースから独立していてもよく、例えば南京錠などであってもよい。前記ロック機構は少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部であってもよく、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部はそれぞれが前記係合特徴のうちの1つを受け入れるようにサイズ決定されていてもよい。横方向で係合された第1のジッパープルタブ及び第2のジッパープルタブは、前記係合特徴を、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部内への受け入れのために位置付ける。加えて又は代替として、前記係合特徴は、前記少なくとも2つのジッパープルタブ受入開口部内に受け入れられてもよい。
【0011】
別の構成では、上記に加えて又は上記の代替として、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、前記各内側面の前記部分の当接によって係合される。さらに加えて、前記各内側面の前記部分の前記当接は、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブの、インターロックなしでの面当接を含む。
【0012】
別の構成では、上記に加えて、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、横方向で延在する単一のユニットを形成する。
【0013】
さらなる構成は、前記第1のジッパープルタブの上側面が前記第2のジッパープルタブの上側面と面一であることを、又は、前記第1のジッパープルタブの底側面が前記第2のジッパープルタブの底側面と面一であることを含む。
【0014】
別の構成では、各ジッパープルタブの前記内側面の横方向で係合される部分は、各ジッパープルタブの上側面に対して実質的に直角に延在する壁を形成する。
【0015】
本開示のさらなる構成では、前記磁力は、前記第1のジッパープルタブの前記内側面の少なくとも部分と連結された少なくとも第1の磁石を、又は、前記第2のジッパープルタブの前記内側面の少なくとも部分と連結された少なくとも第2の磁石を、又は、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブのそれぞれの前記内側面の少なくとも部分とそれぞれ連結された少なくとも第1の磁石及び少なくとも第2の磁石を含む。前記第1の磁石は前記第1のジッパープルタブの部分内に完全に埋め込まれることによって連結されていてもよく、前記第2の磁石は前記第2のジッパープルタブの部分内に完全に埋め込まれることによって連結されていてもよい。
【0016】
さらなる構成は、第1の内側面及び/又は第2の内側面の部分がリセスを画定し、少なくとも第1の磁石及び/又は少なくとも第2の磁石がそれぞれのリセス内に受け入れられていることを含む。加えて、前記第1の磁石及び/又は前記第2の磁石はそれぞれ、各内側面の部分と面一であるか、面一より低いか、又は面一より高い。
【0017】
加えて、前記第1のジッパープルタブ及び/又は前記第2のジッパープルタブの前記内側面の少なくとも部分上に層が位置付けられていてもよい。前記層は各ジッパープルタブ上の前記第1の磁石及び/又は前記第2の磁石の上に重ならず、前記各ジッパープルタブ上の前記第1の磁石及び/又は前記第2の磁石を露出させる。
【0018】
さらなる構成では、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブの各内側面の部分は、直線形状を画定するか、又は相補的な曲線形状を画定する。
【0019】
追加の構成、例、及び特徴は、部分的に以下の説明において述べられ、本明細書を検討することにより当業者にとって明らかとなり、又は開示される主題の実施によって知ることができる。本開示の本質及び利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分と、本開示の一部を形成する図面とを参照することによって実現可能である。本開示の様々な態様及び特徴のそれぞれは、いくつかの場合には別個に、又は他の場合には本開示の他の態様及び特徴と組み合わせて、有利に使用されてもよいということを当業者は理解するであろう。
【0020】
次に本発明について、以下の図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】自動的に整列されるジッパープルタブを有する手荷物ケースの正面斜視図である。
【
図2】
図1に示した手荷物ケースの上部分の拡大斜視図であり、ロック機構に接合される前の整列されたジッパープルタブが示されている。
【
図3】
図1に示した手荷物ケースの上部分の拡大斜視図であり、前記ロック機構と係合された整列されたジッパープルタブが示されている。
【
図4】ロック機構と係合された2対の整列されたプルタブの部分図である。
【
図5】横方向で係合される前の第1のジッパープルタブ及び第2のジッパープルタブの拡大図である。
【
図6】横方向で係合された場合の第1のジッパープルタブ及び第2のジッパープルタブの拡大図である。
【
図9】
図7の代表的な断面図に類似した代表的な断面図である。
【
図10】
図8の代表的な断面図に類似した代表的な断面図である。
【
図11】
図9の代表的な断面図に類似した、しかし各ジッパープルタブの外表面に施された層を示す、代表的な断面図である。
【
図12】
図10の代表的な断面図に類似した、しかし各ジッパープルタブの外表面に施された層を示す、代表的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、接合されたジッパープルタブの向上した取り扱いを可能にするための、及び別個に、手荷物ケースのロック機構の向上した動作を可能にするための、横方向で係合されるジッパープルタブを有する手荷物ケース100などの手荷物用品の一実施形態が示されている。前記ジッパープルタブは、前記プルタブを前記ロック機構と係合する際の、単一のユニットとしての操作を容易にするように構成されてもよい。前記ジッパープルタブは、互いに整列され、それらの内側面の少なくとも部分に沿って横方向で互いに係合され、且つ互いに係合した状態で解放可能に保持されてもよく、それにより、前記手荷物用品上のジッパーをロックするための使用者によるより容易な操作のための、単一のユニットが少なくとも一時的に形成されてもよい。この横方向での係合及び解放可能な固定により、係合されたジッパープルタブがより容易に前記ロック機構と整列されることが可能になる。別個に、前記横方向での係合及び解放可能な固定により、前記係合されたジッパープルタブが単一のユニットを形成して、閉じられたジッパーをロックするために前記ロック機構内により容易に挿入されることが可能になり得る。いくつかの例では、前記ジッパープルタブは、それらの内側面の少なくとも部分に沿って、(例えば、一方のプルタブの部分を他方のプルタブの部分内に又は他方のプルタブの部分を通して挿入することなどによる)前記ジッパープルタブの間のインターロックなしに、内側表面の当接によって係合する。この構成において、前記ジッパープルタブは同時に又はほぼ同時に前記ロック機構内に挿入されてもよい。これにより多くの場合、前記ロック機構に前記ジッパープルタブをロックすることはより簡単になり得る。これはまた、暗い環境内で前記ジッパーをロックすることにおいて、又は使用者の器用さが限られているか若しくは視覚能力が限られている可能性がある場合に、助けになり得る。
【0023】
引き続き
図1を参照すると、手荷物ケース100は、使用者の持ち物を中に格納するための手荷物ケース100の包囲された内部容積を画定する複数の壁から形成される概して直方体の構造を含む。手荷物ケース100は、手荷物ケース100の主要な前面及び後面を形成する対向する前壁102及び後壁104と、手荷物ケース100の側面を形成する対向する側壁106、108と、手荷物ケース100の上面及び底面を形成する対向する上端壁110及び底端壁112とを含んでもよい。全体として、壁102、104、106、108、110、112は手荷物ケース100の外部構造を画定し、そしてこの外部構造により、前記包囲された内部容積が画定される。図示されているように、横方向で係合されたジッパープルタブは、前記手荷物ケースと連結されたロック機構と係合されてもよい。前記ロック機構は、前記手荷物ケース上に位置付けられていてもよく、且つ前記手荷物ケースの側面のうちの1つに、ジッパーに隣接して固定されていてもよく、又は前記ロック機構は、前記手荷物ケースから独立していてもよく、例えば南京錠などであってもよい。
【0024】
手荷物ケース100は、軟質側面ケース、硬質側面ケース、又は混合型ケースとして一般に知られるタイプのものであってもよい。あるいは前記手荷物ケースはまた、ビジネスケース、ラップトップケース、又は、ジッパーによって固定される開口部を有するその他の類似したケースタイプであってもよい。
【0025】
手荷物ケース100は、主要面に平行な第1の開口線114を用いて、
図1に関して概して垂直な平面に沿って分割されてもよい。手荷物ケース100は、前壁102を含む蓋部116と、後壁104を含む基部118とを含んでもよい。
図1に示す実施形態において、第1の開口線114は前面よりも後面に近く配置されていてもよいが、手荷物ケース100上の他の相対位置に配置されていてもよい。第1の開口線114の周囲に沿って位置付けられた第1のジッパー130は、手荷物ケース100を開閉するために蓋部116を基部118に固定する。手荷物ケース100は、入れ子式の伸縮可能ハンドルを含んでもよい。手荷物ケース100はまた、手荷物ケース100の運搬及び持ち上げを容易にするための1又は複数の固定式キャリーハンドル120を含んでもよい。ホイールアセンブリ122が、手荷物ケース100の底端の近くで、前記壁のうちの少なくとも1つに、多くの場合は底端壁112に取り付けられていてもよい。各ホイールアセンブリ122は手荷物ケース100のコーナーに近接して位置付けられていてもよい。各ホイールアセンブリ122は、ホイール軸の周りを回転するようにフォークブラケット126に回転可能に取り付けられた1又は複数のホイール124を含んでもよい。前記ホイール軸は概して水平且つ手荷物ケース100の底端壁112に平行であってもよく、フォークブラケット126は、手荷物ケース100の底端壁112に対して直角の概して垂直な軸の周りを回転するように、手荷物ケース100の底端壁112に回転可能に取り付けられていてもよい。そのような構成により、水平ホイール軸及び垂直軸という2つの直交する軸の周りをホイール124が回転することが可能になる。
【0026】
代替の実施形態では、ホイールアセンブリ122は、手荷物ケース100の後壁104の近くにそれぞれ取り付けられた一対の固定軸ホイールで置き換えられてもよい。前記固定軸ホイールは、後壁104に概して平行な、共通の概して水平な固定軸の周りを回転する。前記固定軸ホイールのそれぞれは、手荷物ケース100の底端コーナーに配置されていてもよい。
【0027】
蓋部116は、従来の方法でヒンジ128を介して側壁に沿って基部118に接続されていてもよく、手荷物ケース100は、前記内部容積にアクセスするためにジッパー130を開けることによって第1の開口線114において開かれてもよい。ヒンジ128は布ストリップで、ジッパー付き若しくはジッパーなしで、又はその他の任意の既知の方法で形成されていてもよい。いくつかの例では、手荷物ケース100は、左側壁106又は右側壁108に沿ってヒンジ接続されていてもよく、他の例では、手荷物ケース100は、手荷物ケース100の底部に沿って、又はその他の任意の面に沿ってヒンジ接続されていてもよい。
【0028】
手荷物ケース100は、所望により、前記手荷物ケースの包囲された内部をより小さな空間に分離するためのポケット132をさらに含んでもよい。ポケット132は外部ポケットとして示されているが、いくつかの例ではまた、内部ポケットであってもよい。ポケット132は、第2の開口線134を介して、手荷物ケース110の外表面を通してアクセスされてもよい。第2の開口線134は、例えば一例では、第2の開口線134に沿って位置付けられた第2のジッパー136を使用することによって選択的に開閉されてもよい。
【0029】
図2を参照すると、第1のジッパー130及び所望により存在する第2のジッパー136は、それぞれ、第1のジッパートラック138及び第2のジッパートラック140を含んでもよい。第1のジッパートラック138及び第2のジッパートラック140のそれぞれは、1又は複数のジッパースライダーを使用して選択的にインターロックされてもよいインターロック歯を有する一対のジッパーテープを含む。図示されている手荷物ケース100の実施形態では、第1のジッパー130は、第1のジッパープルタブ146が取り付けられた第1のジッパースライダー142と、第2のジッパープルタブ148が取り付けられた第2のジッパースライダー144とを含む。所望により存在する第2のジッパーが利用される場合の第2のジッパー136(
図4を参照)は、第1のジッパースライダー149が取り付けられた第1のジッパースライダー145と、第2のジッパースライダー151が取り付けられた第2のジッパースライダー147とを含む。
【0030】
引き続き
図2を参照すると、第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148は、使用者によって操作される単一のユニットを形成するように、それらの内側面155、185に沿って整列及び係合され且つ分離可能に一緒に固定されて示されている。この構成において、各ジッパープルタブの底部から延在するものである係合特徴162、188は、ロック機構166内の各受入開口部172、192と整列される。
【0031】
図3を参照すると、係合された第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148が単一のユニットとしてロック機構166に向けて下に移動された場合、係合特徴162、188は各受入開口部172、192内に受け入れられ、概して同時に又はほぼ同時にロック機構166に固定される。あるいは
図2における構成から、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、前記ジッパープルタブを前記ロック機構内の前記受入開口部上で整列することにおいて使用者を助けるために、横方向で互いに係合されて単一のユニットを形成してもよい。前記ロック機構上で整列されたら、前記ジッパープルタブは互いから分離されて、それぞれ個別に前記ロック機構内の各受入開口部と係合されてもよい。この代替のシナリオでは、たとえ前記ジッパープルタブの係合が単一のユニットとして前記ロック機構と係合されない場合でも、前記ジッパータブの横方向での係合により、前記ジッパータブを前記ロック機構上で容易に整列するための使用者の能力が向上する。
【0032】
図4は、2つのジッパー130及び136を有する手荷物用品の代替の例を示す。ジッパープルタブ146、148は、それぞれ前記ジッパープルタブの内側面155、185に沿って横方向で係合され且つ分離可能に固定され、次に、ロック機構166と係合される。第2のジッパー136上のジッパープルタブ145、147は、それぞれ前記ジッパープルタブの内側面196、198に沿って横方向で係合され且つ分離可能に固定され、次に、ロック機構166内に形成された追加の受入開口部と係合される。
【0033】
図2をさらに参照すると、第1のジッパー130は、本体150を含んでもよい第1のジッパープルタブ146を含む。第2のジッパープルタブ148は、前記第1のジッパープルタブに類似した以下で説明する構成を有してもよい。本体150は、上表面152と下表面153との間で延在する本体150の外側壁154及び内側壁155(
図5を参照)によって上表面152と下表面153とが接合された、細長い本体であってもよい。上表面152及び下表面153は、
図2に示すように概して平坦且つ互いに平行であってもよく、又は他の形態を取ってもよい。本体150は、第1のジッパースライダー142から第1のジッパープルタブ146の自由端156までの距離によって規定される長さと、細長い本体150の側壁154と155との間の距離によって規定される幅とを含んでもよい。前記長さは前記幅よりも大きくてもよい。本体150のそのような構成により、第1のジッパートラック138に沿って第1のジッパースライダー142を移動させるために第1のジッパープルタブ146を使用する場合に使用者が把持するのに比較的容易な対象が提供される。第1の開口線114に沿って第1のジッパースライダー142を移動させるために第1のジッパープルタブ146を使用するための、使用者が把持するのに好都合な対象を本体150が提供する限りは、本体150の他の構成も可能である。
【0034】
第1のジッパープルタブ146と同様に、第2のジッパープルタブ148は、上表面182と下表面183との間で延在する本体180の外側壁184及び内側壁185(
図5を参照)によって上表面182と下表面183とが接合された、細長い本体を含む。上表面182及び下表面183は、
図2に示すように概して平坦且つ互いに平行であってもよい。本体180は、第2のジッパースライダー144から第2のジッパープルタブ148の自由端186までの距離によって規定される長さと、細長い本体180の対向する外側壁184と内側壁185との間の距離によって規定される幅とを含んでもよい。前記長さは前記幅よりも大きくてもよい。本体180のそのような構成により、第1のジッパートラック138に沿って第2のジッパースライダー144を移動させるために第2のジッパープルタブ148を使用する場合に使用者が把持するのに比較的容易な対象が提供される。第1の開口線114に沿ってジッパースライダー144を移動させるために第2のジッパープルタブ148を使用するための、使用者が把持するのに好都合な対象を本体180が提供する限りは、本体180の他の構成も可能である。一例では、前記本体は鋳造亜鉛で作られる。
【0035】
第1及び第2のジッパープルタブ146、148のそれぞれは、本体150、180のそれぞれから下向きに延在する係合特徴162、186をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、係合特徴162、188は、本体150、180の下表面153、183からそれと交差するように、且つ本体150、180の側壁154、184に概して平行に延在してもよい。係合特徴162、188はロック開口部164、190(
図5を参照)を画定してもよく、ロック開口部164、190は、第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148をロック機構166に固定するために、手荷物ケース100と連結されたロック機構166のピン、フックなどを、それを通して受け入れることが可能である。ロック機構166は前記手荷物ケース上に位置付けられていてもよく、且つ前記手荷物ケースの側面のうちの1つに、ジッパー(1又は複数)に隣接して固定されていてもよく、又は前記ロック機構は、前記手荷物ケースから独立していてもよく、例えば南京錠などであってもよい。
【0036】
係合特徴162、188はループ、突起、又はその他の任意の好適な構造であってもよい。係合特徴162、188がループの形状を取る場合、前記ループは概してU字形、アーチ形、又はその他の任意の好適な形状であってもよく、且つ第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148の自由端156、186にそれぞれ近接して位置付けられていてもよい。ループ162は、それ自体で又は本体150と共に全体として、ロック開口部164を画定してもよい。
【0037】
ロック機構166は、コンビネーションダイヤル168及び鍵穴170を含んでもよい。ロック機構166は、ロック機構166のハウジング174内に画定された、且つ第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148の係合特徴162、188の少なくとも一部をそれぞれ受け入れる、ジッパープルタブ受入開口部172、192をさらに含んでもよい。ジッパープルタブ受入開口部172、192はそれぞれが、スロット、穴の形態を取ってもよく、又は各係合特徴162、188の少なくとも一部を受け入れることが可能なその他の任意の好適な構造であってもよい。この例及び他の例において、前記ジッパープルタブがそれらの内側面の少なくとも部分に沿って横方向で互いに係合された場合、前記係合特徴は、ロック機構166の隣接する受入開口部172、192内に係合特徴162、188が受け入れられることを可能にするように規定された距離だけ間隔をあけられている。
【0038】
操作時に、且つロック機構166とのジッパープルタブ146の係合の例によれば、係合特徴162の十分な部分がジッパープルタブ受入開口部172内に位置付けられたら、ロック機構166のハウジング174内に含まれるピン、フックなどがロック開口部164を通して位置付けられてもよく、それにより、ジッパープルタブ受入開口部172からの係合特徴162の除去が防止され、したがって第1のジッパープルタブ146がロック機構166に固定されてもよい。前記ピン、前記フックなどがロック開口部164から除去されるまで第1のジッパープルタブ146がロック機構166内のジッパープルタブ受入開口部172から除去され得ず、それにより第1のジッパープルタブ146がロック機構166に効果的に固定されるように、ロック機構166及び第1のジッパープルタブ146はさらに構成される。その上、前記ピン、前記フックなどがロック開口部164内に位置付けられたら、使用者が最初にロックのコンビネーションダイヤル168を使用して正しいコンビネーションを入力するか、又は鍵穴170内に挿入された鍵を利用して、ロック機構166のハウジング174内に含まれる前記ロック機構をロック解除するまで、前記ピン、前記フックなどがロック開口部164から出る動きは防止される。一例では、前記ジッパープルタブが個別に又は横方向で互いに係合されている場合に前記ロック機構に相対的に位置付けることにおいて助けになるように、前記ジッパープルタブのうちのいずれか一方又は両方を引き付けるために、1又は複数の磁石がロック機構のハウジング内に又はロック機構のハウジングと連結されていてもよい。
【0039】
ジッパープルタブ146、148及び特に内側面の構造と横方向での係合とは、
図5~
図8で、横方向で係合される前の相対位置及び分離可能に一緒に固定された相対位置において、より詳細に示されている。
図5において最も良く示されているように、各ジッパープルタブ146、148の内側面155、185は、各ジッパープルタブの上表面及び下表面によって規定される高さと、前記各ジッパープルタブの主本体150、180の長さによって規定される長さとを有する壁であってもよい。各ジッパープルタブの前記内側面は、磁力によって、解放可能に固定可能な方法で他方に横方向で係合して(
図6を参照)、2つのジッパープルタブによって形成された且つ分離可能に一緒に保持された単一のユニットを形成するように構成される。一例では、前記2つのジッパープルタブが互いに比較的近い場合、例えば一例では互いの約1/2インチ(約1.27cm)以内である場合、前記ジッパープルタブの間の磁気吸引によって、前記プルタブが各内側面の少なくとも部分に沿って自動的に横方向で係合し、横方向で延在する単一のユニットを形成することが引き起こされる。前記内側面の間の横方向での係合は、一例では、前記内側面を画定する壁の面当接によるものであってもよく、ジッパープルタブの間のいかなるインターロック構造係合も存在しない。前記磁力は、一例では、前記2つのジッパープルタブの前記内側面の間に加えられる磁力である。前記磁力は使用者によって分離可能であり、例えばそれにより前記2つのジッパープルタブは、ロック機構166内に係合されていない場合、それらの各スライダーを前記ジッパーに沿って移動するために個別に使用されてもよい。別の例では、各スライダー142、144がジッパー130上で互いに隣接している場合、例えば互いに係合している場合に、前記2つのジッパープルタブはそれらの各内側面の少なくとも部分に沿って自動的に横方向で係合してもよい。前記磁力は、前記ジッパープルタブを緩く一緒に保持する大きさのものであってもよく、且つ互いからの比較的容易な分離を、前記ジッパープルタブを互いから面倒な状態で離す必要なしに可能にしてもよい。これは、機械的にインターロックされたジッパープルタブを、一方のジッパープルタブを他方から解き放すことによって分離することに比較して、達成がより容易である。
【0040】
図5に示すように、ジッパープルタブ146の内側面155は、前記ジッパープルタブの長さに沿って延在する。この例では、前記内側面は、前記ジッパープルタブの長さの約25%に沿って第1の厚さを規定する第1の部分202と、前記ジッパープルタブの長さの残りの約75%に沿って第2の厚さを規定する第2の部分204とを有する。第1のジッパープルタブ146の第1の部分202は、第1の部分202内に形成された大き目のアパーチャ208を通して受け入れられたスライダー142上のクリップ206によって、スライダー142に連結されている。第2のジッパープルタブ148は、同じ方法でスライダー144と連結されている。これにより、ジッパープルタブ146はスライダー142に相対的に移動することが可能になり、他方のジッパープル148との整列及び係合が容易になる。この例では、第2のジッパープルタブ148の内壁185は同様の構造を有する。
【0041】
引き続き
図5を参照すると、開口部210を有するリセス208がジッパープルタブ146の第2の部分204内に形成されており、その中に磁石212が受け入れられている。この例では、リセス208は、第2の部分204の長さの大部分に沿って延在する長さ寸法を規定し、これはジッパープルタブ146の全長の半分より大きく、より具体的には、前記ジッパープルタブの長さの約65%であってもよい。リセス208内に位置付けられた磁石212は、リセス208の長さ寸法及び高さ寸法の両方において概して延在し、前記リセスの開口部210を通して露出された磁石を有する。この例では、
図7において最も良く示されているように、第2のジッパープルタブ148の内壁185も、開口部216を有するリセス214を画定し、その中に磁石218がやはり受け入れられている。しかし磁石218は、第1のジッパープルタブ146内の磁石212によって露出された極に比較して反対の極が前記リセスの前記開口部に向くように、向けられている。前記磁石は、前記ジッパープルタブが所定の形状に鋳造される際に所定の位置に形成されることによって、前記ジッパープルタブ内の各位置内に固定されていてもよく、又は、接着剤を用いて、若しくは圧入若しくは楔挿入などの機械的手段によって、前記リセス内に固定されていてもよい。前記磁石は、いくつかの実施形態では、前記ジッパープルタブの本体内に、例えば一例ではそれらが前記ジッパープルタブ内の所定の場所に鋳造される際に、完全に埋め込まれてもよく且つ全面的に覆われてもよい。本明細書中での使用のために記載される前記磁石は永久磁石を含む。
【0042】
図6を参照すると、第1のジッパープルタブ146及び第2のジッパープルタブ148が、対向する内側面内に位置付けられた磁石の反対極の間に作られる磁力によって、それらの各内側面に沿って横方向で係合され分離可能に一緒に固定されて示されている。前記内側面は、この例では、2つの内側面の間の面当接によって係合される。前記面当接は、この一例では、各ジッパープルタブの第2の部分の長さに沿ったものである。前記面当接には、前記第1のジッパープルタブと前記第2のジッパープルタブとの間のいかなる機械的インターロックも伴わず、分離可能な固定力が、横方向で係合されたジッパープルタブを横方向で係合された状態に保つために必要とされる。言い換えると、この例の2つのジッパープルタブの間に加えられる前記分離可能な固定力、この例では前記磁力がなければ、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブは、位置が変えられた場合、横方向で互いに係合された状態のままとはならない。
【0043】
図7は、
図5の線7-7に沿って取られた断面図であり、横方向で係合する前の2つのジッパープルタブ146及び148を示している。磁石212はジッパープルタブ146のリセス208内に位置付けられており、磁石212の外面220は内側面155から引っ込んでいる。同様に、磁石218はリセス214内に位置付けられており、その外面222は内側面185から引っ込んでいる。上述のように、磁石212の外面220は、磁石218の外面222に比べて反対の極である。これらの磁石の反対の極は、互いに適度に近く位置付けられた場合、例えば約4分の1インチ(約0.64cm)~2分の1インチ(約1.27cm)以内に近接して位置付けられた場合、互いに引き付け合い、前記2つのジッパープルタブが各内側面の少なくとも部分に沿って自動的に横方向で係合することを引き起こすための分離可能な固定力を作る。
【0044】
図8は、
図6の線8-8に沿って取られた断面図であり、この例では磁石212及び218によって作られた、分離可能な磁力の下で各内側面が横方向で係合された場合の、2つのジッパープルタブ146及び148を示している。ジッパープルタブ146及び148の前記内側面は、それらの長さの部分に沿って、この例では少なくとも各第2の部分に沿って係合する。
図8を詳細に参照すると、ジッパープルタブ146の内側面155の、リセス208の上及び下の部分は、ジッパープル148の内側面185の、リセス214の上及び下の部分と面当接して係合する。第1のプルタブ146の第2の部分204の、リセス208の両端における部分も、ジッパープルタブ148の第2の部分の、リセス214の両端における対応する部分と面当接してもよい。磁石212の外面220と磁石218の外面222との間に形成される間隙は、前記2つのジッパープルタブを一緒に保持するための十分な磁力を可能にするものであり、また、前記リセス内に位置付けられた前記磁石の寸法公差が、性能を低下させることなしにある程度変化することを可能にするものである。この横方向で係合された構成において、ジッパープルタブ146、148の係合特徴162、188のそれぞれは、ロック機構166の受入開口部172、192に十分に類似した又は等しい距離だけ横方向で間隔をあけられている。この間隔により、横方向で係合されたジッパープルタブ146、148が前記ロック機構に向けて下向きに移動され、前記係合特徴が前記ロック機構の受入開口部172、192内に位置付けられることが可能になる。この横方向で係合された構成における場合、一例では、ジッパープルタブ146、148は概して垂直に整列されていてもよく、例えば上側面152、183は互いに概して面一であってもよく、且つ/又は、底側面153、183は互いに概して面一であってもよく、且つ/又は、各係合特徴162、188の底部は互いに概して面一である(
図2を参照)。これらの面は、他の例では互いに面一でなくてもよい。
【0045】
図7及び
図8には、各ジッパープルタブの前記内側面の横方向で係合された部分が、各ジッパープルタブの上側面152、182に対して実質的に直角に延在する壁を形成することも示されている。各ジッパープルタブの内側面155と185との間の境界面は、(図の向きに対して)比較的垂直な広がりを画定する境界面を有するものとして、ここで及び他の例において示されている。
【0046】
図9及び
図10は、
図7及び
図8に類似した代表的な概略図であり、外表面220’及び222’がそれぞれ内側面155及び185と概ね面一であるようにサイズ決定され且つ/又は位置付けられた磁石212’及び218’を示している。2つのジッパープルタブ146及び148が係合された場合、外面220’及び222’も係合されてもよい。この例において示すように、この横方向での係合も、内側面155及び185の面当接によって画定される。
【0047】
図11及び
図12は、
図9及び
図10に類似した代表的な概略図であり、材料の層224がジッパープルタブ146、148に施されてもよいことを示している。材料の層224は、単一の材料の層であってもよく、又は2つ以上の材料層の薄層であってもよい。例示的な層としては、前記ジッパープルタブのグリップ特性を向上するために、ディップモールディング又はオーバーモールディングなどによって前記ジッパープルタブの外表面に施される材料が含まれてもよい。層224は磁石212及び218の上及び下の内側面部分上に延在してもよく、しかし磁石212’、218’の外表面220’及び222’上には延在しなくてもよい(前記磁石の前記外表面がインセットであるか面一であるかに関係なく)。あるいは、
図11及び
図12の破線によって示されているように、材料の層224は外表面220’及び222’上に延在してもよい(前記磁石の前記外表面がインセットであるか面一であるかに関係なく)。外表面220’及び222’を覆う層224によって、前記磁石が使用による損傷から保護され得ると共にそれらの有効寿命が延長され得る。層224は、前記ジッパープルタブの間に加えられる分離可能な磁力に顕著な影響は及ぼさない可能性がある。前記磁石の強度は、任意の劣化を補償するように変更されてもよい。別の例では、磁石212及び218は、前記ジッパープルタブの前記本体の内部に、前記内側面の近くで全面的に埋め込まれてもよい。
【0048】
前記ジッパープルタブは両方が磁石(1又は複数)を含むものとして上述したが、別の例では、一方のジッパープルタブのみがそれと連結された磁石(1又は複数)を有してもよく、他方のジッパープルタブはその内側面に沿って強磁性金属構成を少なくとも有し、それにより前記磁石からの磁力の下で引き付けられて2つの内側面の係合を引き起こしてもよい。
【0049】
上述の磁石は、隣接するジッパープルタブの内側面内に形成されるリセス内に位置付けられる必要はない。代わりに、磁石(1又は複数)は、リセス(1又は複数)内に位置付けられることなしに、前記ジッパープルタブのうちの一方又は両方の内側面を形成する壁と連結されてもよい。1又は複数の磁石は、各内側面の一方又は両方のそれぞれに、接着剤又は他のタイプのファスナによって連結されてもよい。あるいは、一方のジッパープルタブは、リセス内に位置付けられることなしに内側面に連結された磁石を有してもよく、他方のジッパープルタブは、リセス内に位置付けられることによって他方のジッパープルタブの内側面に連結された磁石を有してもよい。層224は、前記ジッパープルタブへの前記磁石の連結方法に関係なく、前記ジッパープルタブ上に施されてもよい。
【0050】
他の例では、前記分離可能な磁力は、前記内側面の長さの少なくとも部分に沿って、又は前記内側面の全長に沿って、又は前記内側面の長さの部分若しくは全部に沿って形成される2つ以上の(複数の)別個の領域に沿って加えられてもよい。例えば、前記分離可能な磁力は、ジッパープルタブの前記内側面の長さの約100%~前記ジッパープルタブの長さの10%未満の範囲の長さに沿って加えられてもよい。前記分離可能な磁力はまた、前記ジッパープルタブの前記第2の部分の間で加えられてもよく、又は前記ジッパープルタブの前記第1の部分の間で加えられてもよく、又は両方又は全ての部分の間で連続的に加えられてもよい。あるいは、前記分離可能な磁力は、前記ジッパープルタブの前記内側面の2つ以上の領域において、例えば、前記第1の部分内の2つ以上の領域、前記第2の部分内の2つ以上の領域、又は2つの部分のそれぞれにおける1若しくは複数の領域などにおいて加えられてもよい。いくつかの例では、側壁内にリセスは形成されなくてもよい。あるいは、前記分離可能な磁力を作るために磁石が使用される場合、各ジッパープルタブ上で2つ以上の磁石が使用されてもよい。磁石がリセスと共に利用される場合、磁石は前記リセスの長さより短くてもよく、前記リセスの高さより低くてもよく、リセス内に2つ以上の磁石が位置付けられてもよい。
【0051】
前記分離可能な磁力は、前記ジッパープルタブのうちの少なくとも1つであって、少なくとも部分的に強磁性材料で作られた他のジッパープルタブを引き付けるように磁化された、前記ジッパープルタブのうちの少なくとも1つを有することと、前記ジッパープルタブの間の横方向での係合をいかなるインターロック構造もなしに引き起こすための十分な分離可能な磁力であって、前記ロック機構との整列のための及び加えて前記ロック機構との係合のための操作に好適な単一のユニットを形成するための、十分な分離可能な磁力を有することと、を含んでもよい。前記ジッパープルタブの前記内側面に沿った前記磁石の向きは、各実施形態において、前記ジッパープルタブの間の好ましい磁力効果を作るために所望に応じて向けられてもよい。
【0052】
例えば146、148などの各ジッパープルタブの内側面は、各ジッパープルタブの上側面及び底側面に対して概して直角であるとして表されている。この構成では、横方向で係合された場合、例えば
図8に示すように、ジッパー内側面は互いに垂直に整列されている。前記内側面は、各ジッパープルタブの前記上側面及び前記底側面に対して直角以外であってもよく、しかし横方向で係合された場合に前記上側面及び前記底側面が概ね面一又は平坦のままであり得るように、一方の側壁の、その各上側面及び底側面に相対的な角度は、他方の内側面の、その上側面及び底側面に相対的な角度と相補的でなければならない可能性がある。
【0053】
さらなる構成では、前記第1のジッパープルタブ及び前記第2のジッパープルタブの各内側面の部分は直線形状を画定する。それらはまた、相補的な曲線形状を画定してもよく、前記曲線形状は、
図7~
図12に示す内側面の境界面によって表されている垂直面などの垂直面内にあってもよい。垂直面内の曲線は、
図7~
図12に示すまっすぐな壁の係合に類似した、面当接する横方向での係合をもたらし、インターロック構造は形成しない。
【0054】
本開示による装置及び関連する方法について、動作原理を説明するための特定の実施形態を参照して説明した。したがって上記の説明は例示のためのものであり、限定するためのものではない。説明した実施形態に対する様々な修正及び変更が、本明細書中の教示に照らして当業者にとって明らかであろう。当業者は例えば、本明細書中に明示的に図示又は記載されてはいないが、記載された原理を具現化し、したがって本開示の精神及び範囲内にある、様々なシステム、構成、及び方法を考案することが可能であり得る。したがって、開示された実施形態のそのような変更、変形、及び修正の全ては、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲内にあることが意図される。
【0055】
適切な場合、共通の構造特徴及び方法特徴に対して共通の参照用語が使用される。しかし、説明の目的のために、類似した又は同じ構造要素又は方法要素に対して独特の参照用語が場合によっては使用される。したがって、類似した又は同じ構造要素又は方法要素に対する、共通の又は異なる参照用語の使用は、本明細書中の記載を超える類似性又は差異を意味することを意図するものではない。
【0056】
全ての相対性及び方向に関する言及(上側(upper)、下側(lower)、上方(upward)、下方(downward)、左(left)、右(right)、左方(leftward)、右方(rightward)、上(top)、底(bottom)、側(side)、上(above)、下(below)、前(front)、中(middle)、後(back)、垂直(vertical)、水平(horizontal)などを含む)は、本明細書中に記載した特定の実施形態を読者が理解するのを助けるための例として示されたものである。これらは特許請求の範囲において特に明記しない限り、特に位置、向き、又は本発明の使用に関する要件又は制限であると解釈されるべきではない。接続に関する言及(例えば、取り付けられ(attached)、連結され(coupled)、接続され(connected)、接合され(joined)など)は広く解釈されるべきであり、要素の接続の間の中間部材、及び要素間の相対移動を含んでもよい。したがって、接続に関する言及は、特許請求の範囲において特に明記しない限り、2つの要素が直接接続され互いに固定された関係にあることを必ずしも意味しない。
【0057】
本発明の原理及び動作方式について、好ましい実施形態において説明及び図示した。しかし本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に説明及び図示したものとは異なるように実施されてもよいということが理解されるべきである。