IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20220412BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220412BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/20 515
G03G21/00 384
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017174890
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2019049678
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】麻生 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】諏訪間 大
(72)【発明者】
【氏名】和澄 利洋
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178705(JP,A)
【文献】特開2008-176300(JP,A)
【文献】特開2012-145831(JP,A)
【文献】特開2009-058730(JP,A)
【文献】特開平11-119484(JP,A)
【文献】特開2003-280452(JP,A)
【文献】特開2015-041032(JP,A)
【文献】特開2015-064567(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097616(WO,A1)
【文献】米国特許第05256507(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00-15/01
G03G 15/20
G03G 21/00
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にトナー像を形成する画像形成部と、
前記用紙のトナー像に接触して前記用紙上のトナー像を定着させる定着部材を有する定着部と、
前記用紙上に凸凹を有する凸凹トナー像を形成するように前記画像形成部を制御することで、前記用紙上の前記トナー像表面の光沢度を制御する制御部と、
を備え、
前記定着部材は、前記凸凹トナー像の前記凸凹のつぶれが抑制される硬さを有し、
前記定着部材のマイクロ硬度は、73°以上90°以下であり、
前記凸凹トナー像の前記凸凹の幅及び深さの少なくとも一方は、30μm以下である、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数種類の前記凸凹トナー像を形成するように前記画像形成部を制御する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、前記トナー像が担持される像担持体を露光する露光部を有し、
前記制御部は、前記露光部の露光量を調整することで前記凸凹トナー像を形成するように前記画像形成部を制御する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙上に複数の画像領域がある場合、画像領域毎に凸凹トナー像を形成するように前記画像形成部を制御する、
請求項または請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザーがトナー像の光沢度を選択操作するための操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部により入力された前記光沢度に応じて前記画像形成部を制御する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、画像情報及び用紙の種類に基づいて、自動で前記光沢度を制御するように前記画像形成部を制御する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記用紙の坪量、前記用紙の表面粗さ、及び、用紙表面の平滑度に応じて、前記光沢度を制御するか否かについて決定する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記用紙の種類に応じて、前記定着部材の加熱温度、前記定着部材における荷重、及び、前記定着部材における用紙の搬送速度の少なくとも1つを変更する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム(像担持体)に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムへ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
例えば特許文献1には、スクリーン処理によりトナー像面に凸凹パターンを形成することにより、用紙上のトナー像表面の光沢度を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-145831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、凸凹パターンにおける凸凹が微細化すると、凸凹パターンが形成された用紙が定着ニップを通過する際、定着部材の表面が微細な凸凹に追従できず、当該凸凹パターンが定着部材に押しつぶされてしまい、用紙の表面が平滑化されてしまう。その結果、印刷物の光沢度を自由に調整することができないという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、用紙に凸凹パターンを形成した際に、当該凸凹パターンが平滑化されることを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、
用紙にトナー像を形成する画像形成部と、
前記用紙のトナー像に接触して前記用紙上のトナー像を定着させる定着部材を有する定着部と、
前記用紙上に凸凹を有する凸凹トナー像を形成するように前記画像形成部を制御することで、前記用紙上の前記トナー像表面の光沢度を制御する制御部と、
を備え、
前記定着部材は、前記凸凹トナー像の前記凸凹のつぶれが抑制される硬さを有し、
前記定着部材のマイクロ硬度は、73°以上90°以下であり、
前記凸凹トナー像の前記凸凹の幅及び深さの少なくとも一方は、30μm以下である
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用紙に凸凹パターンを形成した際に、当該凸凹パターンが平滑化されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図3A】凸凹パターンの一例を示す図である。
図3B】凸凹パターンの一例を示す図である。
図3C】凸凹パターンの一例を示す図である。
図3D】凸凹パターンの一例を示す図である。
図3E】凸凹パターンの一例を示す図である。
図3F】用紙上の複数の画像領域に凸凹パターンが形成された例を示す図である。
図4A】定着前の用紙上の凸凹パターンを示す図である。
図4B】従来の定着ベルトにより定着される凸凹パターンを示す図である。
図4C】従来の定着ベルトにより定着された後の凸凹パターンを示す図である。
図5】本実施の形態における定着ベルトにより定着される凸凹パターンを示す図である。
図6】本実施の形態における定着ベルトにより定着された後の凸凹パターンを示す図である。
図7】操作部におけるユーザーの選択画面の一例を示す図である。
図8】用紙の種類、坪量、定着温度を対応付けたテーブルである。
図9】定着ニップにおける荷重による圧力と、搬送速度との設定条件を示す図である。
図10】画像形成装置に係る光沢度制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
図11】マイクロ硬度を変えた定着ベルト毎に、凸凹パターンの凹み部の幅を変えた場合の実験結果である。
図12】マイクロ硬度を変えた定着ベルト毎に、凸凹パターンの凹み部の深さを変えた場合の実験結果である。
図13】マイクロ硬度93°の定着ベルトにより定着されたトナー像表面の撮像結果である。
図14】マイクロ硬度90°の定着ベルトにより定着されたトナー像表面の撮像結果である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0012】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0013】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0014】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0015】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0016】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0017】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Mを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Mの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0018】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0019】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0020】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0021】
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0022】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0023】
画像形成ユニット41は、露光部の一例としての露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0024】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0025】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0026】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0027】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0028】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0029】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0030】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0031】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0032】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0033】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0034】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0035】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0036】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0037】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0038】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0039】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0040】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0041】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。定着ベルト61は、本発明の「定着部材」に対応する。
【0042】
なお、本実施の形態における定着ローラー63は、直径60mm、厚さ15mm、セル径30μmのスポンジを有するものを例示している。また、定着ローラー63の硬度は、例えばアスカーC硬度30°である。
【0043】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0044】
なお、本実施の形態における加圧ローラー64は、直径60mm、厚さ2mmであり、材質がシリコンゴム及び表層PFAチューブのものを例示している。また、加圧ローラー64の硬度は、例えばJISA硬度30°である。
【0045】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
【0046】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0047】
また、本実施の形態では、用紙Sに形成されるトナー像表面の光沢度を調整するため、制御部101が、トナー像表面に所定の凸凹パターンを形成するように画像形成部40を制御する。凸凹パターンは、凸凹を有する凸凹トナー像である。
【0048】
具体的に、制御部101は、画像形成条件に応じて、複数種類の凸凹パターンを形成するように画像形成部40を制御する。複数種類の凸凹パターンは、露光装置411の露光量を調整することにより形成される。
【0049】
凸凹パターンとしては、例えば、図3A図3Eに示すような、所定の濃度で形成された所定トナー像Tと、所定トナー像Tが形成された領域内に、所定の濃度とは濃度が異なる凹み部Dとを設けたパターンが挙げられる。
【0050】
凹み部Dは、所定トナー像Tの領域内に複数箇所設けられており、凹み部Dと、所定トナー像Tとの間で段差、つまり、凸凹が形成される。なお、図3A図3Eにおいては、所定トナー像Tの領域内に、5つの凹み部Dが形成されたものを例示している。
【0051】
例えば、図3Aに示す略正方形の凹み部D1には、トナー像が形成されていない。また、図3Aに示す凹み部D1は、1ドット分の大きさであり、幅及び深さが30μm以下である。
【0052】
また、図3Bに示す凹み部D2には、所定トナー像Tよりも濃度の小さいトナー像が形成されている。そのため、図3Bに示す凸凹パターンの凸凹は図3Aに示す凸凹パターンの凸凹よりも深さが浅くなっている。
【0053】
図3Aに示すような凸凹パターンの凹み部D1には、トナー像がなく、深い凹みが形成されるので、凸凹はつぶれにくいが、用紙Sの地色が見えることもあるので、濃度低下や濃度ムラが起きやすい。それに対し、図3Bに示すような凸凹パターンの凹み部D2は、露光装置411の露光量を、トナー像Tの部分よりも弱めることでトナー像Tよりも濃度が小さいトナー像を形成する。そのため、凹み部D2では、浅い凹みとなるが、トナー像が形成されるので、図3Aの凹み部D1付近の濃度低下や濃度ムラ等が最低限に抑えられる。
【0054】
また、図3Cに示す凹み部D3は、図3Aに示す凹み部D1を略2分割したものとなる。つまり、図3Cに示す凸凹パターンは、図3Aに示す凸凹パターンよりも微細な凸凹を有する。
【0055】
また、図3Dに示す凸凹パターンには、凹み部D1と,凹み部D1に隣接する凸部Cとがそれぞれ設けられている。凹み部D1は、図3Aに示す凹み部D1と同様であり、凸部Cには、所定トナー像Tよりも濃度が大きいトナー像が形成されている。そのため、図3Dに示す凸凹パターンは、凹み部D1と、所定トナー像Tと、凸部Cとの間で凸凹が形成される。
【0056】
また、図3Eに示す凸凹パターンには、所定トナー像Tの領域内における5箇所に、それぞれ異なる凹み部が形成されている。図3Eの所定トナー像Tにおける左上の位置の凹み部D4と、略中央の位置の凹み部D5は、図3Aに示す凹み部D1を4分割したものであるが、トナー像のない部分の形状がそれぞれ異なっている。凹み部D4は、トナー像のない部分が四角形状であり、凹み部D5は、トナー像のない部分が三角形状である。
【0057】
所定トナー像Tにおける右上の位置の凹み部D2は、図3Bに示す凹み部D2と同様であり、左下の位置の凹み部D1及び凸部Cは、図3Dに示す凹み部D1及び凸部Cと同様である。また、所定トナー像Tにおける右下の位置の凹み部D6は、凹み部D2を2分割したものである。
【0058】
また、図3Fに示すように、制御部101は、画像領域Bが複数領域ある場合において、図3A図3Eに示す凸凹パターンの何れかを各領域に形成するようにしても良い。図3Fでは、用紙上における2つの画像領域において、図3Aに示す凸凹パターンと、図3Dに示す凸凹パターンとを形成した例を示している。これにより、画像領域B毎に光沢度を制御可能となる。
【0059】
このように複数種類の凸凹パターンを使い分けることで、トナー像表面における光沢度を自由に調整することが可能となる。しかしながら、凸凹パターンにおける凸凹が微細化するほど、又は、凹みが浅くなるほど、定着ベルト61の表面が、比較的硬い材質で構成されている場合、定着ベルト61の表面が変形しにくいので、当該凸凹に追従できなくなる可能性がある。
【0060】
具体的には、例えば、図4Aに示すように、定着前の用紙Sに凸凹パターンが形成された場合、用紙S上に形成されたトナー像Tには、凹み部Dが形成されている。しかし、図4Bに示すように、用紙Sが定着ニップを通過するときに、定着ベルト61の表面が凹み部Dに沿うように変形して入り込まずに、凹み部D周辺のトナー像Tが一方的に押しつぶされてしまう。
【0061】
その結果、図4Cに示すように、用紙S上には、平坦なトナー像T1が定着されてしまう。すなわち、用紙Sのトナー像表面が平滑化されてしまうという問題が生じてしまう。このようになると、トナー像表面における光の乱反射が減って、トナー像表面が高光沢度化してしまうので、光沢度を自由に調整できなくなってしまう。
【0062】
そこで、本実施の形態では、定着ベルト61は、凸凹パターンの凸凹のつぶれが抑制される硬さを有する。凸凹パターンの凸凹のつぶれが抑制される硬さは、凸凹パターンの凸凹形状に追従するように定着ベルト61が変形するような硬さであり、マイクロ硬度が90°以下となる硬さである。
【0063】
なお、本実施の形態の定着ベルト61は、直径99mm、厚さ70μmのポリイミド基体と、厚さ200μmのシリコンゴムと、表層であるPFAチューブとから構成されたものが例示されている。
【0064】
これにより、図5に示すように、定着ベルト61の表面が凹み部Dの部分に入り込む。つまり、定着ベルト61が凸凹パターンの凸凹に追従するので、凹み部Dを押しつぶすことなく、用紙Sにトナー像Tを定着させることができる。その結果、図6に示すように、定着後のトナー像T1において凹み部Dを残すことができる。
【0065】
そのため、例えば、図3Bに示すような、比較的段差の小さい凸凹パターンであっても、確実に凹み部Dを残すことができるので、所望の光沢度制御を行うことができる。
【0066】
また、制御部101は、例えば、操作部22からユーザーにより入力された光沢度情報に応じて画像形成部40を制御するようにしても良い。例えば、操作部22が、図7に示すような操作パネルで構成される場合について、制御の一例として説明する。
【0067】
図7に示すように、操作パネル上には、画像領域における、文字を構成する文字部分と、トナーが集中した部分を表すベタソリッド部分とのそれぞれにおいて、光沢度のレベルをユーザーにより選択できるような操作画面がされている。
【0068】
図7における「低」は、比較的低いレベルの光沢度を示し、「高」は、比較的高レベルの光沢度を示し、「中」は、「低」と「高」との間のレベルの光沢度であって、主にデフォルトで設定されるレベルの光沢度を示している。
【0069】
例えば、ユーザーが文字部分を中レベルの光沢度を選択し、ベタソリッド部分を低レベルの光沢度を選択した場合、その光沢度情報を制御部101が取得して、当該光沢度情報に基づいて画像形成部40を制御する。これにより、ユーザーの所望する光沢度に調整することができる。
【0070】
ところで、光沢度は、用紙の厚さや表面形状等の影響を受けやすい。厚紙の場合、熱容量が大きいため、トナー像が用紙Sに定着される際の熱が用紙Sに奪われやすくなるし、また、表面が比較的粗い紙の場合、表面の凸凹部分における凹みに入り込んだトナーに熱が伝わりにくい。
【0071】
このような用紙Sの場合、トナーが完全に溶融しない、又は、平滑化されにくいので、光沢度が比較的低くなる。そのため、このような用紙Sだと、光沢度制御をすることにより、過剰な低光沢度化及び画質の劣化が生じてしまう。
【0072】
そこで、制御部101は、画像情報及び用紙Sの種類に基づいて、自動で光沢度を制御するようにしても良い。画像情報としては、文字やベタソリッド等が挙げられる。用紙Sの種類としては、普通紙やエンボス紙等、様々な種類が挙げられる。
【0073】
また、同じ種類の用紙Sであっても、坪量、表面粗さや平滑度が異なるので、これらのパラメーターも考慮して光沢度制御を行うことが好ましい。そこで、制御部101は、用紙Sの坪量、用紙Sの表面粗さ、及び、用紙S表面の平滑度に応じて、光沢度の制御を実行するか否かについて決定するようにしても良い。
【0074】
例えば、制御部101は、用紙Sの坪量が所定量(例えば、62g/m)以上である、用紙Sの種類が例えば、書籍用紙、ラフ紙又はエンボス紙である、及び、用紙Sの平滑度が所定度(例えば、11秒)以上であるの何れかに該当する場合、光沢度の制御を実行しないと決定する。このようにすることで、過剰な低光沢度化及び画質の劣化が生じることを抑制することができる。
【0075】
また、制御部101は、用紙Sの種類に応じて、定着ベルト61の加熱温度、定着ニップにおける荷重、及び、定着ベルト61における用紙Sの搬送速度の少なくとも1つを変更する。
【0076】
例えば、制御部101は、図8及び図9を参照して、定着ベルト61の加熱温度、定着ニップにおける荷重、及び、定着ベルト61における用紙Sの搬送速度を決定する。なお、図8における「ベック平滑度」は、以下の説明では単に「平滑度」として説明する。また、図9における「圧力」は、定着ニップにおける荷重による圧力を示し、「速度」は、定着ベルト61における用紙Sの搬送速度を示している。
【0077】
具体的に、制御部101は、図8を参照して、定着ベルト61の加熱温度を決定する。図8では、用紙Sが、坪量が75~216g/mの範囲内の普通紙である、坪量が75~135g/mの範囲内の書籍用紙である、坪量が75~91g/mの範囲内のラフ紙である場合、加熱温度が200℃に設定され、その他の条件では、加熱温度が195℃に設定されている。
【0078】
そして、制御部101は、図8における各条件と、図9に示される定着条件とを照らし合わせることで、定着ニップにおける荷重及び定着ベルト61における用紙Sの搬送速度を決定する。定着条件としては、例えば、図9に示される第1条件から第5条件までの条件である。
【0079】
第1条件は、荷重による圧力が最も小さく、搬送速度が最も大きくなっている。第2条件は、第1条件よりも荷重による圧力が大きくなっており、搬送速度が第1条件と同じである。
【0080】
第3条件は、第2条件よりも荷重による圧力が大きくなっており、搬送速度が第2条件と同じである。第4条件は、第3条件と荷重による圧力が同じであり、搬送速度が第3条件よりも小さくなっている。第5条件は、第4条件と荷重による圧力が同じであり、搬送速度が第4条件よりも小さくなっている。
【0081】
また、図8における坪量40~49g/mの塗工紙、上質紙及び普通紙の条件は、第1条件に設定されている。図8における坪量50~105g/mの範囲内の塗工紙及び上質紙の条件は、第2条件に設定されている。
【0082】
図8における坪量106~162g/mの塗工紙、坪量106~216g/mの上質紙、坪量50~216g/mの普通紙、坪量40~91g/mの書籍用紙、坪量40~80g/mのラフ紙、坪量40~61g/mのエンボス紙の条件は、第3条件に設定されている。
【0083】
図8における坪量217~256g/mの上質紙、坪量92~135g/mの書籍用紙、坪量81~91g/mのラフ紙、坪量62~74g/mのエンボス紙の条件は、第4条件に設定されている。
【0084】
図8における坪量163~350g/mの塗工紙、坪量257~350g/mの上質紙、坪量217~350g/mの普通紙、坪量136~350g/mの書籍用紙、坪量92~350g/mのラフ紙、坪量75~350g/mのエンボス紙の条件は、第5条件に設定されている。
【0085】
このように、用紙の坪量が大きく、かつ、平滑度が小さくなる程、トナー像に熱を伝えやすいように、荷重による圧力を大きくし、かつ、搬送速度を小さくする条件に設定される。つまり、図8及び図9のように用紙の種類に適した加熱温度、定着荷重及び搬送速度が設定されることにより、用紙の種類に応じた定着の条件とすることができる。
【0086】
また、制御部101は、図8を参照して光沢度を制御するようにしても良い。例えば、制御部101は、比較的坪量が高く、かつ、平滑度が小さい条件である、図8における破線で囲まれた条件のときに、光沢度の制御を実行しないと決定し、それ以外の条件では光沢度の制御を実行すると決定するようにしても良い。
【0087】
次に、画像形成装置1における光沢度制御を実行するときの動作例について説明する。図10は、画像形成装置1に係る光沢度制御の動作例の一例を示すフローチャートである。図10における処理は、制御部101が印刷処理の実行指示を受け付けたときに実行される。
【0088】
図10に示すように、制御部101は、用紙の情報を取得する(ステップS101)。次に、制御部101は、取得した用紙の情報に応じて定着条件を設定する(ステップS102)。
【0089】
次に、制御部101は、用紙の情報、つまり、用紙の種類に応じて光沢度の制御を実行するか否かについて判定する(ステップS103)。判定の結果、光沢度の制御を実行しない場合(ステップS103、NO)、処理はステップS105に遷移する。
【0090】
一方、光沢度の制御を実行する場合(ステップS103、YES)、制御部101は、複数種類の凸凹パターンの中から最適な凸凹パターンを選択する(ステップS104)。次に、制御部101は、画像形成処理を実行する(ステップS105)。ステップS105の後、本制御は終了する。
【0091】
以上のような本実施の形態によれば、用紙Sに凸凹パターンを形成した際に、当該凸凹パターンの凹み部D内に定着ベルト61が入り込む。特に、図3Bに示すように比較的深さが浅い凹み部D2の場合でも、定着ベルト61が、凹み部D2内にしっかりと入り込む。
【0092】
そのため、凹み部Dの形状を維持したまま、トナー像Tを用紙Sに定着させることができるので、当該凸凹パターンが平滑化されることを抑制することができる。その結果、印刷物の光沢度を自由に調整することができる。
【0093】
ところで、凹み部Dの形状を維持するのに、例えば、透明トナー等を用いて凹み部Dが潰されないようにする構成が考えられる。このような構成の場合、透明トナー用の現像装置412が必要となるため、画像形成装置1が大型化するおそれがある。
【0094】
しかし、本実施の形態では、定着ベルト61を凹み部D内に入り込ませるため、透明トナーを用いる必要がない。そのため、画像形成装置1を大型化することなく、用紙S上のトナー像表面の光沢度を制御することができる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、定着部材として定着ベルト61を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばローラー定着方式の定着部の場合、上側定着部を構成するローラーであっても良い。
【0096】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0097】
最後に、本実施の形態に係る画像形成装置1の評価実験について説明する。まず、図1に示す画像形成装置1において、マクロ硬度の異なる、複数の定着ベルト61を用いて、用紙に形成されたトナー像の表面の光沢度を、定着ベルト61毎に測定し、当該表面が平滑化したか否かについて確認した。
【0098】
実験条件としては、画像形成装置1の周囲の温度が20℃、湿度が50%RHであり、用紙が坪量186g/mの紙(サンマット、北越紀州製紙株式会社製)であり、用紙に形成する画像をブルーのベタ画像とした。光沢度計(MULTI GLOSS 268Plus、コニカミノルタ株式会社製)による測定角度は60°とした。
【0099】
また、定着ベルト61としては、マイクロゴム硬度計(MD-1capa、高分子計器株式会社製)によりマイクロ硬度を測定したものを用い、マイクロ硬度が、73~93°の範囲内のものを用いた。
【0100】
図11は、マイクロ硬度を変えた定着ベルト61毎に、凸凹パターンの凹み部の幅を変えた場合の実験結果を示している。図12は、マイクロ硬度を変えた定着ベルト61毎に、凸凹パターンの凹み部の深さを変えた場合の実験結果を示している。図11及び図12における横軸は、マイクロ硬度を変えた定着ベルト61をマイクロ硬度で示している。また、測定された光沢度が35°以下の場合、トナー像の表面が平滑化していないと判断し、光沢度が36°以上の場合、トナー像の表面が平滑化したと判断した。
【0101】
図11及び図12における黒丸は、光沢度が15~25°の範囲内であったことを示しており、白丸は、光沢度が26~30°の範囲内であったことを示している。図11及び図12における三角は、光沢度が31~35°の範囲内であったことを示しており、バツは、光沢度が36°以上であったことを示している。
【0102】
図11及び図12に示すように、マイクロ硬度が93°の定着ベルト61の場合、凹み部の幅又は深さが30μm未満になると、徐々に光沢度が高くなり、平滑化しやすくなる傾向であることが確認できる。図13に示す走査電子顕微鏡により撮像した結果を見ても、凸凹が小さくなっていることが確認できる。
【0103】
それに対し、図11及び図12に示すように、マイクロ硬度が90°以下の定着ベルト61の場合、凹み部の幅又は深さが30μm未満の場合でも、平滑化していないことが確認できる。図14に示す走査電子顕微鏡により撮像した結果を見ても、トナー1個分(縦5~15μm、横5~15μm、深さ5~15μm)の凹みが残っていることが確認できる。なお、図13及び図14には、走査電子顕微鏡の倍率を1000倍としたものを示している。
【0104】
このことから、定着ベルト61のマイクロ硬度が90°以下の場合、トナー像の表面が平滑化しないことが確認でき、本発明の有効性が確認できた。
【0105】
また、定着ベルト61のマイクロ硬度が小さくなる程、定着ベルト61の厚みが増す傾向があることが確認された。表1にマイクロ硬度毎における定着ベルト61の厚みを示す。
【0106】
【表1】
【0107】
定着ベルト61のマイクロ硬度が73°、つまり、定着ベルト61の厚みが550μmとなった場合、定着ベルト61が昇温するのに時間がかかり、結果として電力がかかることが確認された。これは、定着ベルト61が厚くなるほど、熱容量が大きくなることに起因するものと考えられる。そのため、定着ベルト61のマイクロ硬度は、省エネルギーの観点から、73°以上とすることが好ましいものと考えられる。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成装置
22 操作部
40 画像形成部
60 定着部
61 定着ベルト
101 制御部
411 露光装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14