(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】包装体付きのプローブカバー体及びプローブカバー体用包装体
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2017216719
(22)【出願日】2017-11-09
【審査請求日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2017081535
(32)【優先日】2017-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石倉 弘三
(72)【発明者】
【氏名】衣川 雄規
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0043205(US,A1)
【文献】登録実用新案第3066510(JP,U)
【文献】特表2010-501267(JP,A)
【文献】特開2015-205124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシングの所定方向一端に配設され且つ被検部にて反射された超音波を受信するセンサを有するプローブとを備える超音波診断装置のプローブに装着されるプローブカバー体
、および、前記プローブカバー体を包装する包装体、を備える包装体付きのプローブカバー体であって、
前記プローブカバー体は、前記超音波診断装置に装着されたときに少なくとも前記センサに対応する部分が前記センサと被検部との間の音響結合を可能な
粘着性かつゲル状の材料から成り、前記ケーシングの一端側部分に被せられるように袋状であって且つ前記ケーシングの一端側部分を締め付けるべく伸縮可能に形成されて
おり、
前記包装体は、前記プローブカバー体を外側から包む非粘着性の外装体と、前記プローブカバー体に内装されて前記プローブカバー体の内周面における対向する部分に介在する非粘着性の内装体とを有する、
包装体付きのプローブカバー体。
【請求項2】
所定方向一方側にある先端側部分と、所定方向他方側にある基端側部分とを有し、
前記先端側部分の内空間は、前記ケーシングの所定方向一端側部分の形状に合わせて先端に向かって先細りに形成され、
前記基端側部分の内空間は、前記ケーシングの中間部分の形状に合わせて、所定方向に真直ぐ又は基端側に先細りに形成されている、請求項1に記載の
包装体付きのプローブカバー体。
【請求項3】
ケーシングと、該ケーシングの所定方向一端に配設され且つ被検部にて反射された超音波を受信するセンサを有するプローブとを備える超音波診断装置のプローブに装着され、 前記超音波診断装置に装着されたときに少なくとも前記センサに対応する部分が前記センサと被検部との間の音響結合を可能なゲル状の材料から成り、前記ケーシングの一端側部分に被せられるように袋状であって且つ前記ケーシングの一端側部分を締め付けるべく伸縮可能に形成されているプローブカバー体を包装するプローブカバー体用包装体であって、
前記プローブカバー体を外側から包んで中に封止する外装体と、
前記プローブカバー体に挿入されており、前記プローブカバー体の内周面における対向する部分に介在する内装体とを備え、
前記プローブカバー体は、粘着性を有するゲル状の材料から成り、
前記外装体及び内装体は、非粘着性を有している、プローブカバー体用包装体。
【請求項4】
前記外装体は、その中に前記内装体が挿入されているプローブカバー体を収容すべく前記プローブカバー体の外周面に合せて形成されている包体を有し、
前記内装体の外周面は、前記プローブカバー体に挿入して前記内装体に前記プローブカバー体を外装させるべく前記プローブカバー体の内周面の形状に合せて形成されている、請求項
3に記載のプローブカバー体用包装体。
【請求項5】
前記内装体は、内孔を有する筒状に形成されて、
前記内装体の内孔は、前記内装体を前記プローブカバー体に挿入する方向である挿入方向に延びている、請求項
3又は4に記載のプローブカバー体用包装体。
【請求項6】
前記内装体は、前記挿入方向に対して直交する直交方向に分割できるようになっている、請求項
5に記載のプローブカバー体用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置のセンサと被検部との音響結合を良好にするためのプローブカバー体、それを備える超音波診断装置用カバー、カバー付き超音波診断装置、おびそれを包装するプローブカバー体用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内を可視化するための装置として、例えば特許文献1のような超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、超音波を送受信することができるプローブを備えており、プローブが画像処理部を介してモニターに接続されている。このように構成される超音波診断装置では、可視化したい部分(即ち、被検部)の表皮にプローブを当て、プローブから超音波を発振させる。そうすると、被検部で超音波が反射され、その反射波をプローブによって受信する。画像処理部は、受信した反射波に基づいて画像処理を行い、画像処理によって得られた画像、即ち被検部の断面がモニターに映し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の超音波診断装置では、プローブと表皮との間の音響結合を良好にすべく体表にエコー用ゲルを塗布し、その上からプローブを体表に当てるようになっている。そのため、プローブの表面にエコー用ゲルが付着し、患者が変わる度にプローブの洗浄を必要とする。そこで、発明者は、以下のようなものを考え付いた。即ち、体表とプローブとの間の音響結合を良好にするゲル状シートをプローブに貼り付け、体表とプローブとの間に介在させるようにする。これにより、患者が変わる度にゲル状シートを貼り変えることによって、液状のエコー用ゲルを除去すべく洗浄を行うことを省くことができる。
【0005】
他方、プローブは、超音波を送受信すべくセンサを有しており、ゲル状シートをプローブに貼り付ける場合には主にセンサ及びその付近だけを覆うように貼り付けられる。そのため、体表上でプローブを走査している間にゲル状シートが位置ズレを起こして、体表とプローブとの間に隙間が生じることがある。そうすると、プローブと体表との間の音響結合に影響を与え、被検部の断面が見えにくくなることがある。位置ズレが生じる度に貼り直すことも考えられるが、そうするとその都度ゲル状シートの位置調整を行う必要があり、診断作業の効率が低下する。
【0006】
そこで本発明は、プローブを走査している際にプローブに対するずれを抑制でき、仮にずれても音響結合に対する影響を抑えることができるプローブカバー体、それを備える超音波診断装置用カバー、カバー付き超音波診断装置、及びそれを包装するプローブカバー体用包装体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプローブカバー体は、ケーシングと、該ケーシングの所定方向一端に配設され且つ被検部にて反射された超音波を受信するセンサとを有するプローブを備える超音波診断装置のプローブに装着されるプローブカバー体であって、前記センサと被検部との間の音響結合を可能なゲル状の材料から成り、前記ケーシングの一端側部分に被せられるように袋状であって且つ前記ケーシングの一端側部分を締め付けるべく伸縮可能に形成されているものである。
【0008】
本発明に従えば、ケーシングの一端側部分に被せることができ且つそこを締め付けることができるので、プローブを走査する際にプローブカバー体がセンサに対してずれることを抑制することができる。また、プローブを走査する際にプローブカバー体がセンサに対して仮にずれても、プローブカバー体の音響結合が良好な部分がセンサを覆っている状態を維持することができる。それ故、プローブを走査する際にプローブカバー体がセンサに対してずれても音響結合に影響を与えることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プローブを走査している際にプローブに対するプローブカバー体のずれを抑制でき、仮にずれても音響結合に対する影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のカバー付き超音波診断装置を正面から見た正面図である。
【
図2】
図1のカバー付き超音波診断装置において、超音波診断装置、袋体及びプローブカバー体の各々を別々に示した正面図である。
【
図3】
図2の超音波診断装置を下から見た底面図である。
【
図4】
図2に示すプローブカバー体を右側方から見た右側面図である。
【
図5】第2実施形態のカバー付き超音波診断装置を正面から見た正面図である。
【
図6】プローブカバー体を包装するプローブカバー体用包装体を分解して示す分解斜視図である。
【
図7】
図6のプローブカバー体用包装体に関して、内装体が挿入されたプローブカバー体が包体に部分的に挿入されている状態を示す斜視図である。
【
図8】
図6のプローブカバー体用包装体に関して、内装体が挿入されたプローブカバー体が包体に収容されている状態を示す斜視図である。
【
図9】内装体が挿入されたプローブカバー体の開口端部が押し広げられている状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示すプローブカバー体に超音波診断装置が挿入されている状態を示す正面図である
【
図11】その他の実施形態のカバー付き超音波診断装置を正面から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するカバー付き超音波診断装置1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0012】
[第1実施形態]
図1に示すカバー付き超音波診断装置1は、皮下にある組織、即ち血管等の皮下組織の断面を可視化するためのものであり、
図2に示すように超音波診断装置2、袋体3、及び超音波診断装置用カバー4を備えている。以下では、超音波診断装置2、袋体3、及び超音波診断装置用カバー4の構成の一例について説明する。
【0013】
<超音波診断装置>
超音波診断装置2は、体表に当てられた状態で被検部である皮下組織に超音波を発振すると共に皮下組織にて反射された超音波(即ち、反射波)を受信する。また、超音波診断装置2は、受信した反射波に基づいて画像処理を行い、被検部の断面を映し出すようになっている。このような機能を有する超音波診断装置2は、
図2に示すようにケーシング11と、プローブ12と、モニター13とを有している。ケーシング11は、例えばポリプロピレン、ポリアセタール、及びポリカーボネート等の合成樹脂から成り、正面視で大略矩形状且つ断面扁平状の箱体(
図3も参照)である。また、ケーシング11の下端部分である先端側部分11aは、先端11bに向かって先細りの台形状に形成され、ケーシング11の先端11bにはプローブ12が配置されている。即ち、超音波診断装置2は、その先端2aにプローブ12を有している。また、ケーシング11は、中間部分において後側に反り返るように湾曲し、その湾曲部11cから基端側部分にかけて後側に傾倒している。更に、ケーシング11の前面(即ち、主面)11dには、モニター13が配置され、モニター13は画像を映し出すようになっている。以下では、プローブ12とモニター13について更に詳細に説明する。
【0014】
プローブ12は、超音波を送受信するように構成されており、センサ12aを有している。センサ12aは、例えば圧電素子等の振動子及び音響レンズによって構成されている。このように構成されているセンサ12aは、ケーシング11内に収容される制御装置(図示せず)に接続され、制御装置からの指令に応じて超音波を発振するようになっている。また、センサ12aは、皮下の各組織から反射してくる反射波を受信し、受信する超音波に応じた信号を制御装置に出力する。即ち、センサ12aの振動子が下の各組織から反射してくる反射波によって振動して、その振動に応じた信号を制御装置に出力する。このような機能を有するセンサ12aは、
図2及び
図3にも示すようにケーシング11の先端11bに配置されている。
【0015】
更に詳細に説明すると、ケーシング11の先端11bには、底面視で大略矩形状の取付孔11dが左右方向中央部分に形成されており、取付孔11dには、センサ12aが嵌まり込んでいる。センサ12aは、底面視で取付孔11dと略同形状に形成されている。センサ12aの下面は、下方に突出するように湾曲しており、部分円柱面状に形成されている。このように形成されるセンサ12aは、その下面がケーシング11の先端11bと略面一にて配置されており、センサ12aの周縁部分とケーシング11の取付孔11dを規定する内周縁部との間に生じる段差15が極力低くなるように取付孔11dに嵌め込まれている。このように配置されるセンサ12aは、前述の通り、反射波に基づく信号を制御装置に出力する。制御装置は、その信号に基づいて画像処理を行う画像処理機能を有しており、画像処理によって得られる画像データをモニター13に出力する。
【0016】
画像表示部の一例であるモニター13は、例えば液晶型モニター及び有機EL型モニターであり、画像データに応じた画像を表示するようになっている。即ち、モニター13には、センサ12aで受信した反射波に基づいて作成される画像、例えば被検部の断面を映し出すようになっている。このような機能を有するモニター13は、前述の通りケーシング11の前面11eに配置されている。更に詳細に説明すると、モニター13の左右の幅は、ケーシング11の左端付近から右端付近までに渡り、上下の高さはケーシング11において湾曲部11cから基端付近までに渡っている。
【0017】
このように構成されている超音波診断装置2は、そのプローブ12を被検部の体表に当て、その状態でプローブ12のセンサ12aの振動子から超音波を発振させる。発振される超音波は、被検部にて反射されてセンサ12aの振動子まで戻る。そうすると、センサ12aの振動子が反射波に応じて振動し、振動子はその振動に応じた信号を制御装置に出力する。制御装置は、その信号に基づいて画像処理を行い、それによって被検部の断面がモニター13に映し出される。このような機能を有する超音波診断装置2は、被検部及びその付近の断面を確認すべく、使用者によって把持されて体表上を走査されるようにして使用される。そのため、超音波診断装置2に関して滅菌処理を行わない場合、その表面に付着する細菌やウィルス等による感染が生じることがある。そのような細菌やウィルス等による感染を予防すべく、超音波診断装置2は袋体3に入れられている。
【0018】
<袋体>
袋体3は、滅菌処理が施された無菌の袋であり、正面視で上下方向に若干長尺の大略矩形状に形成されている。より詳細に説明すると、袋体3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ塩化ビニル等の材料から成る透明な袋であり、例えば大略矩形状の透明な2つのシートを重ね合わせてそれらの3辺(左右及び上側の辺)を接着することによって形成される。なお、袋体3の製造方法は、必ずしもこのような方法に限定されず、1つのシートを折り曲げて開いている3辺のうちの2辺を接着して形成するような方法であってもよい。このように形成される袋体3は、その下側に開口3aを有している。また、袋体3の幅(即ち、左右方向の寸法)は、超音波診断装置2の幅より大きく形成されており、開口3aから袋体3内に超音波診断装置2を入れて収容できるようになっている。他方、袋体3の高さ(即ち、上下方向の寸法)は、超音波診断装置2の高さより低くなっており、超音波診断装置2を袋体3内に収容した状態でケーシング11の先端側部分11aが袋体3の開口3aから突出している。そして、ケーシング11の先端側部分11aには、そこを覆うべく超音波診断装置用カバー4が被せられている。
【0019】
<超音波診断装置用カバー>
超音波診断装置用カバー4は、前述の通り、ケーシング11の先端側部分11aに被せられており、プローブ12のセンサ12aを被覆している。本実施形態では、超音波診断装置用カバー4がプローブカバー体14だけで構成されており、以下では、
図2を参照しながらプローブカバー体14について説明する。プローブカバー体14は、断面扁平状の袋状に形成され、プローブカバー体14の外縁は、正面視で大略U字状になっている。このような形状を有するプローブカバー体14は、先端側(即ち、下側)が閉じられ、且つ基端側(上側)に開口14aを有している。より詳細に説明すると、プローブカバー体14の外周面は、ケーシング11の湾曲部11cから先端側部分11aにかけての外周面と略同形状で形成されており、プローブカバー体14の内周面は、ケーシング11の湾曲部11cから先端側部分11aにかけての外周面と同じような形状を有し且つそれより小さく形成されている。即ち、プローブカバー体14の先端側部分14bは、ケーシング11の先端側部分11aと同様に正面視で先端に向かって先細りの台形状に形成され、基端側部分14cは、正面視で先端側から基端側に真直ぐ延在するように形成されている。
【0020】
このような形状を有するプローブカバー体14は、例えばスチレン系、ウレタン系、及びシリコーン系のエラストマーゲル(本実施形態では、スチレン系エラストマーゲル)によって伸縮可能に構成されている。これにより、プローブカバー体14は、その開口端部14dを広げることができ、広げることによって中に超音波診断装置2の先端側部分、即ちケーシング11の先端側部分11aを入れることができるようになっている。また、プローブカバー体14は、開口端部13dだけでなくその全体を拡げることができるので、プローブカバー体14の中に入れられた後も超音波診断装置2をプローブカバー体14内の先端側へと進めることができる。そうすると、超音波診断装置2の先端2a(即ち、プローブ12のセンサ12a)がやがてプローブカバー体14の底面に当たるようになっており、こうすることでケーシング11の湾曲部11cより先端側をプローブカバー体14に収めることができる。また、超音波診断装置2を更に押し込むことによってセンサ12aをプローブカバー体14に密着させることができ、密着させた状態でプローブカバー体14を超音波診断装置2に装着することができる。
【0021】
[超音波診断について]
このように構成されているカバー付き超音波診断装置1では、ケーシング11の先端側部分11aに被せるように且つプローブ12に密着させるようにして超音波診断装置2にプローブカバー体14が装着される。そして、その後に超音波診断装置2は
図5に示すようにプローブ12が体表に押し当てられる。なお、プローブ12と体表との間における音響結合が好ましくない場合には、音響結合を良好にすべく、体表にエコー用ゲル等の液状ゲルが塗布する場合がある。プローブカバー体14は、前述するように伸縮可能であると共にセンサ12aと被検部の体表との間において音響結合を良好にする材料から成る。従って、プローブカバー体14がセンサ12aと体表との間に介在することによって、センサ12aと体表との間の音響結合を更に良好にすることができる。これにより、被検部の断面が良好な状態でモニター13に映し出される。
【0022】
また、プローブカバー体14は、ケーシング11の湾曲部11cから先端側部分11aにかけての外周面と略同形状で且つ若干小さく形成され且つ伸縮可能に構成されている。それ故、プローブカバー体14は、引っ張られた状態でケーシング11に被せられており、ケーシング11を締め付けるように超音波診断装置2に装着される。従って、超音波診断装置2に対するプローブカバー体14のずれが抑制されており、プローブカバー体14をセンサ12aに密着性の低下を抑えることができるようになっている。このように、プローブカバー体14をセンサ12aに対してずれることなく密着させることができるので、超音波診断装置2は体表上を走査させる場合でも、センサ12aに対するプローブカバー体14の密着性が低下することを抑制することができる。それ故、センサ12aと体表との間の音響結合を良好な状態に保つことができる。なお、プローブカバー体14は、先端側部分14bだけでなく基端側部分14cも有しているので、ケーシング11と密着する部分の表面積を広くとることができ、超音波診断装置2に対するプローブカバー体14のずれを更に抑制することができる。
【0023】
また、プローブカバー体14は、ケーシング11の先端側部分11aに被せることができ且つそこを締め付けることができるので、プローブ12を走査する際にセンサ12aに対してプローブカバー体14がずれることを抑制することができる。また、プローブ12を走査する際にセンサ12aに対してプローブカバー体14が多少のずれても、プローブカバー体14がセンサ12aを覆っている状態を維持することができる。それ故、プローブ12を走査する際にプローブカバー体14がセンサ12aに対して仮にずれても音響結合に影響を与えることを抑制することができる。
【0024】
更に、カバー付き超音波診断装置1では、プローブカバー体14が袋体3の開口3aを塞ぐべく使用されている。即ち、プローブカバー体14の基端側部分14cには、その開口14aにケーシング11と共に袋体3の開口端部3bも挿入されている。これにより、袋体3の開口端部3bが、プローブカバー体14の開口端部14dによってケーシング11の外表面に押さえ付けられ、その結果プローブカバー体14によって袋体3の開口3aが塞がれる。これにより、袋体3内の超音波診断装置2をその中に封入し、超音波診断装置2を袋体3の外側の空間、即ち外側空間から隔離することができる。このように隔離することによって、超音波診断装置2に付着する細菌やウィルス等が使用中に拡散することを抑制することができ、細菌やウィルス等による感染を予防することができる。また、プローブカバー体14によって袋体3の開口端部3bをしっかりと押えることができるので、使用者が袋体3越しに超音波診断装置2を把持して走査しても、袋体3の開口端部3bがプローブカバー体14から外れることを抑制することができる。これにより、超音波診断装置2を袋体3内にてしっかりと収めておくことができ、超音波診断装置2に対して滅菌処理を行わずしても細菌やウィルス等による感染することなく被検部の断面を映し出させることができる。即ち、超音波診断装置2に対する滅菌処理を省略することができる。
【0025】
また、プローブカバー体14を構成するエラストマーゲルは、粘着性を有しており、超音波診断装置2に被せられていない状態においてプローブカバー体14の前側部分と後側部分とがくっついて開口14aが閉じていることがある。それ故、プローブカバー体14は、
図4に示すようにその開口端部14dが前側から後側に向かって上方に傾斜するように形成され、前側部分が後側部分より低くなっている。これにより、プローブカバー体14の前側部分と後側部分とがくっついた状態でも、後側部分において前側部分より高くなっている部位を後側に引っ張ることによって開口14aを容易に開くことができる。
【0026】
更に、プローブカバー体14を構成するエラストマーゲルは、弾力性を有しているので、プローブカバー体14を超音波診断装置2に押し付けることによって、プローブカバー体14を隙間に入り込ませることができる。即ち、超音波診断装置2では、取付孔11dにセンサ12aが嵌め込まれており、センサ12aの周りにはケーシング11との間に僅かながら段差15が生じていることがある。
このような段差15があっても、プローブカバー体14を弾性変形可能であって且つセンサ12a全体及びその周辺を覆っているので、プローブカバー体14をケーシング11に対して引っ張り上げることによって段差15にプローブカバー体14を入り込ませることができる。これにより、センサ12aとプローブカバー体14との間に隙間が生じることを抑制することができる。センサ12aの下面は、その全体がレンズとなっており、センサ12aの下面全体をプローブカバー体14で覆うことが好ましいので、センサ12aの周りの段差15にもプローブカバー体14を入り込ませることによって、センサ12aの外周縁とプローブカバー体14との間の隙間が生じることによる音響結合の低下を抑えることができる。
【0027】
[第2実施形態]
第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1Aは、第1実施形態のカバー付き超音波診断装置1と構成が類似している。以下では、第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1Aの構成について、第1実施形態のカバー付き超音波診断装置1と異なる点について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1Aは、皮下にある血管等を可視化しながら針等を穿刺する際に用いられるものであり、超音波診断装置2、袋体3、及び超音波診断装置用カバー4に加えてガイド付きブラケット5を備えている。ガイド付きブラケット5は、ブラケット本体21とガイド部22とを有している。ブラケット本体21は、正面視で大略台形のカバー状の部材であり、その内空間がケーシング11の先端側部分11aの外形形状に合わせて形成されている。より詳細には、ブラケット本体21の内空間は、ケーシング11の先端側部分11aより若干大きく形成されており、先端側部分11aに被せたプローブカバー体14の上に更に被せて先端側部分11aに装着できるように構成されている。
【0029】
また、ブラケット本体21には、その左右の側面に係合孔(図示しない)がそれぞれ形成されている。また、ケーシング11の先端側部分11aにおいて左右の側面には、各係合孔に対向する位置に係合突起(図示せず)が形成されており、ケーシング11の先端側部分11aにブラケット本体21を装着すると係合突起がプローブカバー体14を被ったまま係合孔に係合するようになっている。これにより、ブラケット本体21によってプローブカバー体14がケーシング11に係止さ、ケーシング11に対するプローブカバー体14のずれを、ブラケット本体21が装着されない場合に比べて更に抑えることができる。
【0030】
更に、ブラケット本体21の内周面は、前述の通り、ケーシング11の先端側部分11aより若干大きく形成されているが、先端側部分11aの外周面とブラケット本体21の内周面との間の隙間の寸法は、プローブカバー体14の厚みより小さく形成されている。それ故、ブラケット本体21を先端側部分11aに装着すると、プローブカバー体14が伸ばされるようにしてケーシング11の基端側へと引っ張られる。これにより、プローブカバー体14が、ブラケット本体21を装着しない場合よりもセンサ12aに更に押し付けられ、更にセンサ12aに密着させることができる。即ち、プローブ12を体表に押し付けずともセンサ12aにプローブカバー体14をしっかりと密着させることができるので、体表に押し付けることなく当てるだけで被検部の断面をモニター13に映し出させることができる。これにより、表皮付近にある静脈等をつぶすことなく、モニター13に映し出させることができる。このような機能を有するブラケット本体21は、嵌合用突起部分21aを更に有している。
【0031】
嵌合用突起部分21aは、ブラケット本体21の前面(即ち、ケーシング11の前面11eと同じ側の面)21bに一体的に設けられている。嵌合用突起部分21aは、ブラケット本体21の前面21bにおいて左右方向中央に配置されており、ブラケット本体21の前面21bから前方に突出するように形成されている。このように形成されている嵌合用突起部分21aには、ガイド部22が嵌合されている。ガイド部22は、留置針等の針組立体の針(図示せず)を皮下組織に穿刺する際に、穿刺する針を案内して針の穿刺方向を決定づけるものであり、側面視で大略台形のブロック状に形成されている。
【0032】
このような形状を有するガイド部22は、その前端面22aがブラケット本体21の前面21bに対して所定の角度α(例えば、20度≦α≦80度)を成しており、ガイド部22の前端面22aは、ブラケット本体21の前面21bに対して傾けて形成されている。また、前端面22aには、その左右方向中心部分にガイド孔形成部分22bが形成されている。ガイド孔形成部分22bは、前端面22aからそれに直交する方向に突出し且つ前端面22aに沿って前斜め上方に延在している。また、ガイド孔形成部分22bの断面(即ち、前端面22aに直交する断面)が大略半円状に形成され、ガイド孔形成部分22bには、その軸線に沿ってガイド孔22cが形成されている。これによりガイド部22には、前斜め上方に延びるガイド孔22cが形成されている。ガイド孔22cは、ガイド部22を前斜め上方に貫通しており、その上側から針組立体の針を入れて下側から針先を出すことができるようになっている。また、ガイド孔形成部分22bには、更に周面に取出し口22dが形成されている。
【0033】
取出し口22dは、
図4に示すように前方(即ち、超音波診断装置2側と反対側)に開口し且つガイド孔形成部分22bの周面であって正面視で左右中央部分(即ち、最も前方に突出している部分)に形成されている。また、取出し口22dは、ガイド孔22cの中心軸線L1に沿って延在しており、ガイド孔形成部分22bにおいて上端から下端に渡って真直ぐ延在している。また、ガイド部22は、ガイド孔形成部分22bを撓ませることができるようになっており、ガイド孔22cに挿入された針を取出し口22dに向かって引く(又はガイド付きブラケット5を針から離す方向(即ち後側)に動かす)と、取出し口22dが広げられてそこから針を抜くことができるようになっている。
【0034】
[穿刺作業について]
このように構成されているカバー付き超音波診断装置1Aは、ケーシング11の先端側部分11aにプローブカバー体14を被せた後、更にその上からガイド付きブラケット5が装着される。なお、第1実施形態と同様に必要に応じて体表に液状ゲル等を塗布してもよい。装着した後、超音波診断装置2はプローブ12が体表に押し当てられ、それによって被検部の断面がモニター13に映し出される。使用者は、モニター13に映し出された被検部の断面を見ながら血管の位置を探り、血管の位置を確認するとガイド孔22cに針組立体の針を挿入する。挿入した後、使用者が針組立体を押し込むことと針がガイド孔22cによって案内され、針先が血管に向かって進んでいく。更に、押し込むことによって針先が血管に穿刺され、その様子をモニター13によって確認することができる。
【0035】
血管に針先が穿刺されたことが確認されると、押し進めた位置にて針組立体を留置し、その後ガイド孔22cから針組立体の針を抜く。即ち、針組立体から超音波診断装置2を離すように後側に倒すことによって、取出し口22dを介してガイド孔22cから針が抜かれる。このようにして、針をガイド孔22cから抜いた後も針組立体はその位置に留置することができ、その後の処置(例えば、透析、投液及び採血等の処置)を施すことができる。
【0036】
このように構成されているカバー付き超音波診断装置1Aは、前述する作用効果以外にも、第1実施形態のカバー付き超音波診断装置1と同様の作用効果を奏する。
【0037】
[プローブカバー体用包装体]
第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aに備わるプローブカバー体14は、前述の通り、粘着性を有するエラストマーゲルから成る。それ故、プローブカバー体14では、装着前等において、プローブカバー体14の内周面の対向する部分、例えば前側部分と後側部分とがくっついて密着することがある。このような事態に対処するべく、プローブカバー体14では、前述の通り、開口14aを開きやすくするために後側部分の上端が前側部分の上端より高くなっており、高くなっている部分を後側に引くことで、プローブカバー体14の開口14aを開きやすくなっている。他方、超音波診断装置2に装着する前、即ちプローブカバー体14が包装されている状態において、プローブカバー体14の開口14aが開いたままの状態であれば、装着する際にそのまま超音波診断装置2の先端側部分をプローブカバー体14に挿入することができ、くっついた部分を引き離す作業を省くことができる。それ故、プローブカバー体14を包装するプローブカバー体用包装体30では、プローブカバー体14のプローブカバー体14の内周面における対向する部分がくっつくかないように以下のように構成されている。
【0038】
図6に示すようにプローブカバー体用包装体30は、例えばブリスターパッケージであり、外装体31と内装体32とを備えている。外装体31は、その中にプローブカバー体14を収めて封止することができる。即ち、外装体31は、包体33と、シール部材34とを有している。包体33は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、及びポリスチレン等の樹脂から成る透明又は有色の容器であり、箱状部33aを有している。箱状部33aは、薄肉であって大略直方体状の箱形(換言すると、有底筒状)に形成されており、その中にプローブカバー体14全体が嵌り込むようになっている。より詳細に説明すると、箱状部33aの内周面は、プローブカバー体14の外周面の形状に合わせて、本実施形態では略同一形状に形成されており、その中にプローブカバー体14が嵌り込んで収まるようになっている。また、箱状部33aの内周面は、それ自体、又はそこに表面処理又はコーティングが施される等して非粘着性(即ち、離型性)を有しており、内装体32の外周面にプローブカバー体14の内周面がくっつきにくいようになっている。このように構成されている箱状部33aの開口端部にはフランジ33bが形成されている。フランジ33bは、箱状部33aの開口端部において周方向全周にわたって形成されており、開口端部から外方に延在している。フランジ33bの外縁は、箱状部33aの外縁と同様に平面視で大略矩形状に形成されている。また、フランジ33bの外周縁部は、略平坦に形成されており、フランジ33bの外周縁部には、包体33内を封止すべくシール部材34が貼り付けられている。
【0039】
シール部材34は、シート状の部材であり、滅菌ガス等の気体を透過しつつウイルス及び菌の透過を防ぐことができるようになっている。このような機能を有するシール部材34は、平面視で大略矩形状であり、その外縁形状がフランジ33bの外縁形状と略一致している。即ち、シール部材34は、包体33のフランジ33bに載せられてその外周縁部がフランジ33bの外周縁部に溶着又は接着される。これにより、包体33内にプローブカバー体14を収めた状態でその中を封止することができる。他方、シール部材34は、滅菌ガス等の気体を透過させることができるので、封止した後、包体33内に滅菌ガスを流し込むことによってプローブカバー体14に付着するウイルス及び菌を死滅させることができる。このようにして外装体31内にはプローブカバー体14が収容されており封止されている。また、このように収容されているプローブカバー体14には、内装体32が挿入されている。
【0040】
内装体32は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、及びポリスチレン等の樹脂から成る薄肉筒状の部材である。更に詳細に説明すると、内装体32は、薄肉筒状の本体部32aを有している。本体部32aの外周面は、プローブカバー体の内周面の形状に合わせて、本実施形態では略同じ形状にて形成されている。これにより、内装体32では、本体部32aをプローブカバー体14に挿入することによって本体部32aに外装できるようになっている(
図7参照)。また、内装体32の外周面は、そこに表面処理又はコーティングが施される等して非粘着性(即ち、離型性)を有しており、内装体32の外周面にプローブカバー体14の内周面がくっつきにくようになっている。また、本体部32aの先端側部分は、プローブカバー体14の先端側部分14bと同様に先細りの台形形状に形成されている。
【0041】
このように構成されている本体部32aは、プローブカバー体14より上下方向の長さが短く形成されており、本体部32a全体をプローブカバー体14の中に挿入して収めることができるようになっている。また、プローブカバー体14は、本体部32aが挿入されている状態で包体33の箱状部33a内に入れられる。前述の通り、箱状部33aの内周面がプローブカバー体14の外周面と合わせて形成されているので、本体部32aが挿入されたプローブカバー体14を箱状部33aに嵌め込むと箱状部33aと本体部32aとの間にプローブカバー体14が収まり、その間でプローブカバー体14が保持される。また、箱状部33aの内周面及び本体部32aの外周面の先端側部分は、共にプローブカバー体14の先端側部分に合せてテーパ状に形成されている。それ故、本体部32aは、箱状部33aに嵌め込む際に所定の位置へと位置決めされる。このように位置決めされる本体部32aの基端部には、フランジ32bが形成されている。
【0042】
フランジ32bは、本体部32aの基端部において周方向全周にわたって形成され、且つ前記基端部から外側へと延在している。それ故、本体部32aをプローブカバー体14に挿入した状態でプローブカバー体14の開口端に当たり、本体部32aが必要以上にプローブカバー体14内に押し込まれることを抑制することができる。また、フランジ32bは、平面視で大略矩形状に形成されており、薄肉で形成されている。更に、包体33のフランジ33bには、内装体32のフランジ32bに対応させて凹部33cが形成されている。即ち、包体33のフランジ33bは、その外周縁部より内側部分が外周縁部より低くなって段状に形成されており、フランジ33bの内側部分によって凹部33cが形成されている。凹部33cの内周面は、平面視で内装体32のフランジ32bの外縁形状と略一致しており、凹部33cに内装体32のフランジ32bが嵌り込むようになっている。より具体的には、内装体32の本体部32aを箱状部33aに挿入し、本体部32aが箱状部33a内において前述する所定の位置に収まることによって、凹部33cにフランジ32bが嵌り込むようになっている。これにより、本体部32aと箱状部33aとの間にプローブカバー体14が保持された状態にて内装体32を包体33に装着することができ(
図8参照)、更に包体33にシール部材34を溶着することでプローブカバー体14が形崩れすることなく包装することができる。
【0043】
このように構成されているプローブカバー体用包装体30では、
図8に示すようにシール部材34を包体33から外し、包体33からプローブカバー体14が取り出される。また、プローブカバー体14は、例えば以下のようにして包体33から取り出される。即ち、内装体32は、前述の通り大略筒状に形成されており、その内孔32cには、例えば
図9に示すように2本の指40L,40Rを内孔32cに入れることができる。入れられた2つの指40L,40Rを内装体32の内周面における左右両側部分の各々に引っ掛けて2つの指40L,40Rを互いに離すようにして内装体32に荷重を掛ける。この状態で2つの指40L,40Rを上方に持ち上げると、内装体32のフランジ32bが凹部33cから外れ、プローブカバー体14ごと内装体32が包体33から持ち上げられる。そして、プローブカバー体14全体が包体33から出るまで2つの指40L、40Rを持ち上げることで、プローブカバー体14が包体33から取り出される。
【0044】
このようにしてプローブカバー体14を取り出すことで、内装体32はプローブカバー体14に挿入されたままにすることができる。それ故、内装体32は、少なくともプローブカバー体14が超音波診断装置2の先端側部分(即ち、ケーシング11の先端側部分11a)に取り付けるまでプローブカバー体14内に挿入したままとすることができ、装着前においてプローブカバー体14の前側部分と後側部分とがくっつくことを防ぐことができる。他方、プローブカバー体14は、超音波診断装置2の先端側部分(即ち、ケーシング11の先端側部分11a)に取り付ける際、開口14aに超音波診断装置2の先端側部分を入れるべく開口端部14dを広げる必要がある。それ故、内装体32は、プローブカバー体14に挿入した状態のままプローブカバー体14を押し広げることを可能にすべく2つに分割できるようになっている(
図9の内装体32L,32R参照)。
【0045】
即ち、内装体32は、内装体32の本体部32aの前側部分及び後側部分に目打ち35,35が施されている。目打ち35,35は、本体部32aの前側部分及び後側部分の左右方向中央部に複数の溝又は孔を上下方向に並べることによって、上下方向に延びるように形成されている。それ故、本体部32aに対して左右方向において互いに離れる方向の荷重をかけると、目打ち35,35によって本体部32aが左右両側に割けるようになっている。また、フランジ32bには、この目打ち35,35に対応する位置に、内側に向かって延びる切欠き36が形成されており、本体部32aを割いた際にフランジ32bもまた2つに割けるようになっている。
【0046】
このように構成されている内装体32では、プローブカバー体14を取り出すべく内孔32cの中に入れられる2つの指40L,40Rが内装体32の内周面における左右両側部分の各々に引っ掛けられている。プローブカバー体14を取り出した後、各指40L,40Rを更に左右方向に互いに離していくと、やがて目打ち35,35にて内装体32が割かれて左右に2つに分割される(
図9の内装体32L,32R参照)。このように割くことによって、内装体32を挿入したままプローブカバー体14の開口端部14dを左右に広げることができる。即ち、プローブカバー体14の開口14aを閉じられることなく開口端部14dを広げることができる。また、プローブカバー体14に内装体32が挿入されたままにすることで、2つに分割された内装体32L,32Rの中に超音波診断装置2の先端側部分を挿入することができる。つまり、超音波診断装置2の先端側部分とプローブカバー体14の内周面との間に内装体32L,32Rを介在させている状態で、超音波診断装置2の先端部分をプローブカバー体14に挿入することができる。このように内装体32L,32Rを介在させることによって超音波診断装置2の先端側部分をプローブカバー体14に円滑に挿入することができる(
図10参照)。
【0047】
また、内装体32の内孔32cは、基端側(即ち、上方)だけでなく先端側(下方)にも開口しており、内装体32L,32Rの中に超音波診断装置2の先端側部分を挿入すると内装体32L,32Rの先端側から超音波診断装置2のプローブ12を表出させることができる。それ故、内装体32L,32Rが挿入されたままの状態でプローブ12をプローブカバー体14の底面に押し当て、プローブ12のセンサ12aをプローブカバー体14に密着させることができる。また、内装体32は、左右2つに分割されることによって装着した後においてプローブカバー体14の開口14aであってプローブカバー体14の内周面と超音波診断装置2の先端側部分との間の隙間d,dから抜いて取り出すことができる(
図10の二点鎖線参照)。このように内装体32をプローブカバー体14から抜くことによって、プローブカバー体14を超音波診断装置2の先端側部分全体に密着させることができ、走査中においてプローブカバー体14が超音波診断装置2の先端部分に対してずれることを抑制することができる。なお、内装体32は、挿入したままの状態でもセンサ12aをプローブカバー体14に密着させることができるので、装着後において必ずしもプローブカバー体14から抜く必要はない。
【0048】
このように構成されているプローブカバー体用包装体30は、内装体32をプローブカバー体14に挿入するように構成されているので、プローブカバー体14の内周面の対向する部分同士(例えば、前側部分と後側部分と)がくっつくことを防ぐことができる。それ故、プローブカバー体14に指40L,40Rや超音波診断装置2の先端側部分を挿入しやすくすることができる。また、内装体32が筒状に形成されているので、内装体32内に指40L,40R等を入れることができ、挿入した指40L,40Rを使ってプローブカバー体14の外側に触れずにプローブカバー体14を包体33から抜いたり、プローブカバー体14の開口端部14dを拡げたりすることができる。
【0049】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aでは、ケーシング11にプローブ12とモニター13とが一体的に形成されているものについて想定されているが、必ずしもそのようなものに限定されない。例えば、カバー付き超音波診断装置1Bは、
図11に示すようなケーシング11Bにプローブ12Bだけが設けられ、モニターが別途配置されているようなものであってもよい。また、ケーシング11Bの形状も前述するような正面視で大略矩形の箱形に限定されず、先端側部分が残余部分に対して幅広に形成されていてもよい。この場合、ケーシング11Bの先端側部分11aの先端側領域が先端側に向かって先細りに形成され、基端側領域が基端側に向かって先細りに形成される。それ故、プローブカバー体14Bは、ケーシング11Bの形状に合わせてその基端側部分14cが基端側に向かって先細りに形成される。このように形成することによって、プローブカバー体14Bがケーシング11Bから更にずれにくくすることができる。
【0050】
第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aにおいて、プローブカバー体14の外周面がケーシング11の湾曲部11cから先端側部分11aにかけての外周面と略同形状に形成されているが、必ずしもそのような形状である必要はない。プローブカバー体14の内周面もまた同様であり、必ずしも前述する外周面と同じような形状を有している必要はなく、プローブカバー体14をケーシング11の先端側部分11aに装着した際に先端側部分11aを締め付けるように密着させることができる形状であればよい。更に、プローブカバー体14は、必ずしも基端側部分14cを有している必要はなく、先端側部分14bだけを有していてもよい。即ち、プローブカバー体14が正面視で台形状に形成されていてもよい。
【0051】
また、第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aでは、プローブカバー体14の全体がゲル状の材料によって構成されているが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、プローブカバー体14のセンサ12aに対応する部分にのみ音響結合が良好なゲル状の材料によって構成され、残余の部分が伸縮性を有する別の材料によって構成されてもよい。なお、対応する部分には、底面視でセンサ12aと重なる領域だけでなくセンサ12aの周辺をも含む部分である。これにより、ケーシング11に対してプローブカバー体14が仮にずれても、ゲル状の材料から成る部分がセンサ12aを覆った状態を維持することができ、音響結合に影響を与えることを抑制することができる。
【0052】
更に、第1及び第2実施形態のカバー付き超音波診断装置1,1Aでは、超音波診断装置2に袋体3を被せているが、必ずしも被せる必要はなく超音波診断装置用カバー4だけを被せてもよい。更に第2実施形態のガイド付きブラケット5では、ブラケット本体21にガイド部22が取り付けられているが、針の案内が必要でなければ、必ずしもガイド部22が取り付けられている必要はない。
【0053】
更に、本実施形態のプローブカバー体用包装体30では、プローブカバー体14に挿入される内装体32が筒状に形成されているが、必ずしもそのような形状である必要はない。例えば、内装体32は、板状やフィルム状等の形状であってもよく、プローブカバー体14に挿入した際にプローブカバー体14の内周面における互いに対向する部分、例えば前側部分と後側部分との間に介在してくっつかないようにできるものであればよい。
【0054】
また、内装体は、筒状であっても先端側に底を有する有底筒状に形成されていてもよい。有底筒状である場合、内装体の先端側に開口がないので、内装体に超音波診断装置2の先端側部分が挿入された後、左右に分割された内装体の各部分をプローブカバー体14から抜いて取外す必要がある。また、超音波診断装置2にプローブカバー体14を取り付ける方法は、必ずしも上述するような方法に限定されない。即ち、プローブカバー体14の外周面の先端部分を超音波診断装置2のセンサ12a付近に押し付け、その状態から内装体32に入れた複数の指によってプローブカバー体をプローブ12に被せるように裏返して超音波診断装置2の先端側部分に装着するようにしてもよい。
【0055】
更に、内装体32には目打ち35,35が施されているが、必ずしも目打ち35,35である必要はなく、内装体32を2つに割けることができるように脆弱部を形成すればよい。脆弱部は、例えば材料を変えて形成したり、厚みを薄くする等したりして形成される。また、このような脆弱部は、必ずしも必要ではなく、フランジ32bもまた必ずしも必要ではない。更に、包体33もまた必ずしもプローブカバー体14の形状に合わせて形成する必要はなく、プローブカバー体14を包むべく包装袋であってもよい。この場合、包装袋の開口付近を閉じられるようにすることによって、シール部材のような別部材を設けることなく外装体を構成することができる。また、外装体31と内装体32とは、別体である必要はなく、一体であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B カバー付き超音波診断装置
2 超音波診断装置
3 袋体
3b 開口端部
4 超音波診断装置用カバー
5 ガイド付きブラケット
11,11B ケーシング
11a 先端側部分
11c 湾曲部
12,12B プローブ
12a センサ
13 モニター(画像表示部)
14,14B プローブカバー体
14b 先端側部分
14c 基端側部分
30 プローブカバー体用包装体
31 外装体
32 内装体
32c 内孔