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特許7056192光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220412BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220412BHJP
   B41J 2/447 20060101ALI20220412BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B3/00 A
G02B7/02 A
G02B7/02 B
B41J2/447 101A
B41J2/45
B41J2/447 101P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018018589
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135525
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌彦
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154334(JP,A)
【文献】特開2008-080758(JP,A)
【文献】特開2012-212009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 3/00
B41J 2/447
B41J 2/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光で情報を感光体に書き込む光書込装置であって、
平坦な台面を含み、当該台面を前記感光体に対向させるように設置された保持台と、
全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に伸びている発光領域を含み、前記保持台によって前記保持台の台面と板面が平行であるように保持されている光源基板と、
全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に対して垂直な方向の1つに光軸を揃えた状態で当該長尺方向に並んでいるレンズの配列を含むレンズアレイと、
前記レンズアレイの長尺方向と各レンズの光軸との両方に平行な前記レンズアレイの中心面の両側から前記レンズアレイを挟み、前記光源基板と互いに長尺方向が平行であるように前記レンズアレイを保持している保持部材と
を備え、
前記保持部材は、前記レンズアレイの中心面の両側で前記レンズアレイと対向する表面のそれぞれが、前記レンズアレイの長尺方向の少なくとも1箇所において前記レンズアレイと、前記保持台の台面の法線方向において点接触する接触部を含み、
前記保持部材の接触部と前記レンズアレイとの接触点はいずれも、前記保持台の台面から等距離に位置し、
前記レンズアレイが前記保持部材の接触部と、前記保持台の台面の法線方向において点接触する位置には、前記レンズアレイの長尺方向における中央部が含まれ、
当該中央部では、前記レンズアレイと前記保持部材の接触部との隙間が薄層接着され、
当該中央部以外では、前記レンズアレイと前記保持部材との隙間が厚肉接着されていることを特徴とする光書込装置。
【請求項2】
前記保持部材の接触部は、
前記レンズアレイに向かって突出し、先端で前記レンズアレイに、前記保持台の台面の法線方向において点接触する突起
を含む請求項1に記載の光書込装置。
【請求項3】
前記保持部材は、自身に前記レンズアレイを接着している接着層を含み、
前記レンズアレイは、前記接着層が形成されるまでは、前記レンズアレイと前記保持部材の接触部との接触点をすべて含む前記保持台の台面に平行な平面と、前記レンズアレイの中心面との間の交線のまわりに回転可能である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光書込装置。
【請求項4】
前記レンズアレイは、
前記レンズアレイの中心面の上を前記レンズアレイの長尺方向に伸びる直線を中心軸とする円筒面の少なくとも一部を含み、前記保持部材の接触部に対向する曲面
を含み、
前記保持部材の接触部は、
前記レンズアレイのレンズ間に共通の光軸方向から傾いており、前記レンズアレイの曲面と、前記保持台の台面の法線方向において点接触する斜面
を含む請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光書込装置。
【請求項5】
前記保持部材は、自身に前記レンズアレイを接着している接着層を含み、
前記レンズアレイは、前記接着層が形成されるまでは、前記保持部材の接触部に挟まれた状態で前記保持台の台面の法線方向に変位可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の光書込装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記接触部とそれ以外との部分とが互いに異なる部材で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載の光書込装置。
【請求項7】
光で情報を感光体に書き込む光書込装置であって、
平坦な台面を含み、当該台面を前記感光体に対向させるように設置された保持台と、
全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に伸びている発光領域を含み、前記保持台によって前記保持台の台面と板面が平行であるように保持されている光源基板と、
全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に対して垂直な方向の1つに光軸を揃えた状態で当該長尺方向に並んでいるレンズの配列を含むレンズアレイと、
前記レンズアレイの長尺方向と各レンズの光軸との両方に平行な前記レンズアレイの中心面の両側から前記レンズアレイを挟み、前記光源基板と互いに長尺方向が平行であるように前記レンズアレイを保持している保持部材と
を備え、
前記保持部材は、前記レンズアレイの中心面の両側で前記レンズアレイと対向する表面のそれぞれが、前記レンズアレイの長尺方向の少なくとも1箇所において前記レンズアレイと、前記保持台の台面の法線方向において点接触する接触部を含み、
前記保持部材の接触部と前記レンズアレイとの接触点はいずれも、前記保持台の台面から等距離に位置し、
前記レンズアレイは、
前記レンズアレイの中心面の上を前記レンズアレイの長尺方向に伸びる直線を中心軸とする円筒面の少なくとも一部を含み、前記保持部材の接触部に対向する曲面
を含み、
前記保持部材の接触部は、
前記レンズアレイのレンズ間に共通の光軸方向から傾いており、前記レンズアレイの曲面と、前記保持台の台面の法線方向において点接触する斜面
を含み、
前記レンズアレイは、前記レンズアレイと前記保持部材の接触部との接触点をすべて含む前記保持台の台面に平行な平面と前記レンズアレイの中心面との間の交線のまわりに回転可能であり、前記交線と前記円筒面の中心軸とが同一直線上に位置する
ことを特徴とする光書込装置。
【請求項8】
電子写真式の画像形成装置であり、
感光体と、
前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の光書込装置と、
前記静電潜像をトナーで現像する現像部と、
前記現像部が現像したトナー像を前記感光体からシートへ転写する転写部と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真式の画像形成装置に関し、特に、感光体を露光する光書込装置の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光書込装置は「プリントヘッド(PH)」とも呼ばれ、プリンター、コピー機等、電子写真式の画像形成装置において感光体表面の露光に利用される。光書込装置は画像データによる変調光を、感光体表面の上を一方向に伸びる直線状領域(以下、「1ライン」という。)に照射する。ライン単位の露光の繰り返しにより感光体表面には、画像データに従った帯電量の2次元分布、すなわち静電潜像が形成される。
【0003】
光書込装置には光走査方式と発光素子配列方式とがある。「光走査方式」は、レーザー光をポリゴンミラーで偏向させることにより感光体表面の1ラインを連続的に露光する。「発光素子配列方式」は、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)等の発光素子の配列と、ロッドレンズ(登録商標)、セルフォック(登録商標)レンズ等の屈折率分布(grandient index:GRIN)レンズの配列とで感光体表面の1ライン全体を同時に露光する。光走査方式とは異なり発光素子配列方式は、ポリゴンミラーとその駆動モーターとによる騒音がなく、発光素子から感光体までの光路長が短い分小型であるので、電子写真式の画像形成装置を特にオフィスと家庭とへ更に普及させる上で有利である。
【0004】
発光素子配列方式は光源基板とレンズアレイとを含む。光源基板は全体が長尺な板形状を呈しており、長尺方向の直線状領域(以下、「発光領域」という。)に発光素子の配列を含む。各発光素子からの光の出射方向、すなわち各発光素子の光軸方向は、発光領域の板面の法線方向に揃えられている。光源基板は保持台(「光源ホルダー」ともいう。)の平坦な台面の上に配置され、その台面から法線方向に突出する支持部材により長尺方向の複数箇所で支持されている。これにより、光源基板は長尺方向が主走査方向に平行に保たれ、各発光素子の光軸方向が保持台の台面の法線方向に揃えられている。この台面の法線方向が伸びる先に感光体が位置する。レンズアレイは、光軸に対して垂直に並ぶGRINレンズの配列の一体成形物であってその全体が配列方向に長尺な板形状を呈している。レンズアレイは周囲を保持枠(「レンズホルダー」ともいう。)で抱えられている。この保持枠が保持台に固定されることにより、レンズアレイは光源基板と感光体との中間に配置されて長尺方向が主走査方向に平行に保たれ、GRINレンズの光軸が保持台の台面の法線方向、すなわち発光素子の光軸方向と一致する。こうして、レンズアレイはその光を感光体表面に結像させる。
【0005】
レンズアレイによる発光領域の像が感光体表面に静電潜像として残る。この静電潜像を高画質化するには、発光領域の像を感光体表面上の正確な位置に再現させねばならず、それには、発光素子とGRINレンズとの間で光軸方向を更に高精度に一致させることが必要である。たとえば、特許文献1に開示されたレンズホルダーでは、レンズアレイに向かって突出するねじの配列が発光素子の光軸方向に平行に並び、その光軸方向の複数箇所で先端をレンズアレイに接触させている。各ねじはその軸まわりの回転により先端を、発光素子の光軸方向とレンズアレイの長尺方向との両方に平行な平面に対して垂直に変位させる。ねじ間での先端位置の差に応じてレンズアレイは、その長尺方向に平行な軸のまわりでの回転角を変化させる。こうして、レンズホルダーからの各ねじの突出量により、発光素子の光軸に対するGRINレンズの光軸の傾きが調節可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-160401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発光素子配列方式には更なる高性能化が求められている。そのための工夫としては、たとえば有機発光ダイオード(OLED)を光源として利用することが考えられている。OLEDはLEDと比べて、黒レベルが低く、色表現力が高く、消費電力が低く、小型/薄型/軽量化が容易である点で有利である。その反面、OLEDはLEDよりも発光量が弱い。したがって、OLEDの利用にはGRINレンズのF値の増大が必要である。F値の増大は焦点深度を狭めるので、レンズアレイによる発光領域の像と感光体表面との間に許される位置の誤差が更に制限される。すなわち、感光体表面に対する発光素子とGRINレンズとの位置決めが更に高精度化されなければならない。
【0008】
しかし、発光素子とGRINレンズとの間で光軸方向の一致の精度を更に高めることは難しい。たとえば、特許文献1に開示されたようにレンズホルダーのねじを利用すれば、レンズアレイを長尺方向に平行な軸のまわりで回転させて発光素子の光軸に対するGRINレンズの光軸の傾きを変えることは可能である。しかし、ねじ間での先端位置の差に応じて変化するのは、厳密には、発光素子とGRINレンズとの間での光軸の傾きだけではなく、感光体表面に対するレンズアレイの回転軸の位置も含まれる。この回転軸の変位に伴ってレンズアレイは感光体表面に対し、特に発光素子の光軸方向において変位する。この変位が過大であれば、レンズアレイによる発光領域の像と感光体表面との間での位置の誤差が許容範囲を超えかねない。感光体表面に対するレンズアレイの過大な変位を防ぎながら発光素子とGRINレンズとの間での光軸の傾きを除去することは、ねじごとに先端の位置を調節するだけでは容易ではなく、光書込装置の製造工程を複雑化させるので好ましくない。
【0009】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に感光体表面に対してレンズアレイを変位させることなく、発光素子とGRINレンズとの間での光軸の傾きを除去可能な光書込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの観点における光書込装置は光で情報を感光体に書き込む。この光書込装置は、平坦な台面を含み、その台面を感光体に対向させるように設置された保持台と、全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に伸びている発光領域を含み、保持台によって保持台の台面と板面が平行であるように保持されている光源基板と、全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に対して垂直な方向の1つに光軸を揃えた状態でその長尺方向に並んでいるレンズの配列を含むレンズアレイと、このレンズアレイの長尺方向と各レンズの光軸との両方に平行なレンズアレイの中心面の両側からレンズアレイを挟み、光源基板と互いに長尺方向が平行であるようにレンズアレイを保持している保持部材とを備えている。この保持部材は、レンズアレイの中心面の両側でレンズアレイと対向する表面のそれぞれが、レンズアレイの長尺方向の少なくとも1箇所においてレンズアレイと、保持台の台面の法線方向において点接触する接触部を含む。保持部材の接触部とレンズアレイとの接触点はいずれも、保持台の台面から等距離に位置する。
そして、レンズアレイが保持部材の接触部と、保持台の台面の法線方向において点接触する位置には、レンズアレイの長尺方向における中央部が含まれ、この中央部では、レンズアレイと保持部材の接触部との隙間が薄層接着され、この中央部以外では、レンズアレイと保持部材との隙間が厚肉接着されている。
【0011】
保持部材の接触部は、レンズアレイに向かって突出し、先端でレンズアレイに、保持台の台面の法線方向において点接触する突起を含んでいてもよい。保持部材は、自身にレンズアレイを接着している接着層を含んでいてもよい。レンズアレイは、接着層が形成されるまでは、レンズアレイと保持部材の接触部との接触点をすべて含む保持台の台面に平行な平面と、レンズアレイの中心面との間の交線のまわりに回転可能であってもよい。レンズアレイは、保持部材の接触部に対向する曲面を含んでいてもよい。この曲面は、レンズアレイの中心面の上を長尺方向に伸びる直線を軸とする円筒面の少なくとも一部を含んでいてもよい。保持部材の接触部は、レンズアレイのレンズ間に共通の光軸方向から傾いており、レンズアレイの曲面と、保持台の台面の法線方向において点接触する斜面を含んでいてもよい。レンズアレイはまた、接着層が形成されるまでは、保持部材の接触部に挟まれた状態で保持台の台面の法線方向に変位可能であってもよい。
【0012】
本発明の別の観点における光書込装置は光で情報を感光体に書き込む。この光書込装置は、平坦な台面を含み、その台面を感光体に対向させるように設置された保持台と、全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に伸びている発光領域を含み、保持台によって保持台の台面と板面が平行であるように保持されている光源基板と、全体が長尺の板形状を呈していると共に、長尺方向に対して垂直な方向の1つに光軸を揃えた状態でその長尺方向に並んでいるレンズの配列を含むレンズアレイと、このレンズアレイの長尺方向と各レンズの光軸との両方に平行なレンズアレイの中心面の両側からレンズアレイを挟み、光源基板と互いに長尺方向が平行であるようにレンズアレイを保持している保持部材とを備えている。この保持部材は、レンズアレイの中心面の両側でレンズアレイと対向する表面のそれぞれが、レンズアレイの長尺方向の少なくとも1箇所においてレンズアレイと、保持台の台面の法線方向において点接触する接触部を含む。保持部材の接触部とレンズアレイとの接触点はいずれも、保持台の台面から等距離に位置する。レンズアレイは、このレンズアレイの中心面の上をレンズアレイの長尺方向に伸びる直線を中心軸とする円筒面の少なくとも一部を含み、保持部材の接触部に対向する曲面を含み、保持部材の接触部は、レンズアレイのレンズ間に共通の光軸方向から傾いており、レンズアレイの曲面と、保持台の台面の法線方向において点接触する斜面を含む。レンズアレイは、このレンズアレイと保持部材の接触部との接触点をすべて含む保持台の台面に平行な平面とレンズアレイの中心面との間の交線のまわりに回転可能であり、この交線とこの円筒面の中心軸とが同一直線上に位置する。

【0013】
本発明の1つの観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であり、感光体と、その感光体の表面を露光して静電潜像を形成する上記の光書込装置と、その静電潜像をトナーで現像する現像部と、現像部が現像したトナー像を感光体からシートへ転写する転写部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明による光書込装置では上記のとおり、保持部材がレンズアレイの中心面の両側でレンズアレイと対向する表面のそれぞれに接触部を含む。これらの接触部は、レンズアレイの長尺方向の少なくとも1箇所においてレンズアレイと、保持台の台面の法線方向において点接触する。いずれの接触部においても、接触点は保持台の台面から等距離に位置する。これにより、レンズアレイは、保持部材に接触したまま長尺方向に平行な軸のまわりに回転可能であるだけでなく、その軸が回転角にかかわらず一定の位置に留まる。こうして、この光書込装置は、感光体表面に対してレンズアレイを変位させることなく、発光素子とレンズとの間での光軸の傾きを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置であるプリンターの外観を示す斜視図である。(b)は、(a)の示す直線b-bに沿ったそのプリンターの模式的な断面図である。(c)は、(b)の示す感光体ユニットの1つの拡大図である。
図2】(a)は、図1の(c)の示す光書込部の分解組立図であり、(b)は、その光書込部の上面図である。
図3】(a)は、図2の(a)の示す直線IIIa-IIIaに沿った光書込部の縦断面図である。(b)は、(a)の示す光源基板に組み込まれた電子回路系統のブロック図である。
図4】(a)、(b)はそれぞれ、図2の(a)の示す直線IVa-IVa、IVb-IVbに沿った光書込部の横断面図である。(c)は、(a)の示すGRINレンズの1つにおける光路を示す模式図である。(d)は、(b)の示す接触部の1つを含むレンズホルダーの部分的な横断面図である。
図5】(a)、(b)は、図4の示すレンズアレイが接着剤で固定された状態におけるレンズホルダーの部分的な横断面図であり、(c)はそのレンズホルダーの部分的な上面図である。
図6】(a)は、ストッパーの一例が付加された光書込部の長尺方向における一端部の斜視図である。(b)は、(a)の示す直線b-bに沿った光書込部の横断面図であり、(c)は、(a)の示す横断面の正面図である。(d)は、(a)の示すロッカー部材の単体の斜視図である。
図7】(a)は、トルク伝達部の一例が付加された光書込部の長尺方向における一端部の斜視図である。(b)は、その横断面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はプリンターである。その筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
【0018】
[画像形成装置の内部構造]
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b-bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は電子写真式のカラープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
【0019】
給送部10は、まずピックアップローラー12を用いて、給紙カセット11に収容されたシートの束からシートSH1を1枚ずつ分離する。給送部10は次にタイミングローラー13を用いて、分離したシートを作像部20へ、その動作にタイミングを合わせて送出する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズはたとえば、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
【0020】
作像部20はたとえば中間体転写方式であり、タンデム配置の感光体ユニット20Y、20M、20C、20K、中間転写ベルト21、1次転写ローラー22Y、22M、22C、22K、および2次転写ローラー23を含む。中間転写ベルト21は従動プーリー21Lと駆動プーリー21Rとの間に回転可能に掛け渡されている。これらのプーリー21L、21Rの間の空間には4つの感光体ユニット20Y-20Kと4本の1次転写ローラー22Y-22Kとが1つずつ対を成すように配置され、中間転写ベルト21を間に挟んで対向している。2次転写ローラー23は中間転写ベルト21を間に挟んで駆動プーリー21Rとニップを形成している。このニップには、タイミングローラー13から送出されたシートSH2が通紙される。
【0021】
感光体ユニット20Y-20Kでは感光体ドラム24Y、24M、24C、24Kが、対向する1次転写ローラー22Y-22Kに、中間転写ベルト21を間に挟んだ状態で接触してニップを形成している。感光体ユニット20Y-20Kは、中間転写ベルト21が(図1の(b)では反時計方向に)回転する間、その同じ表面部分が1次転写ローラー22Y-22Kと感光体ドラム24Y-24Kとの間のニップを通過する際にその表面部分に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のうち異なる1色のトナー像を形成する。中間転写ベルト21のその表面部分にはこれら4色のトナー像が重ねられて1つのカラートナー像が形成される。このカラートナー像が駆動プーリー21Rと2次転写ローラー23との間のニップを通過するタイミングに合わせて、そのニップへシートSH2がタイミングローラー13から通紙される。これによりそのニップではカラートナー像が中間転写ベルト21からシートSH2へ転写される。
【0022】
定着部30は、作像部20から送出されたシートSH3にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながらそれらの間のニップにシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH3の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH3の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH3の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH3を排紙部40へ送り出す。
【0023】
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3を排紙口42から排紙トレイ41へ排紙する。具体的には、排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を用いて、定着部30の上部から排紙口42へ移動してきたシートSH3を排紙口42から送出して排紙トレイ41に載せる。
【0024】
[感光体ユニットの構造とそれによる画像形成処理]
図1の(c)は、図1の(b)の示す感光体ユニットの1つ20Kの拡大図である。この感光体ユニット20Kは感光体ドラム24Kに加え、帯電部201、光書込部202、現像部203、クリーニングブレード204、およびイレーサー205を含む。これらは感光体ドラム24Kの周囲に配置され、その外周面に対して電子写真式による画像形成処理のうち定着以外、すなわち、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電を行う。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の構造を含む。
【0025】
感光体ドラム24Kは、外周面241が感光体で覆われたアルミニウム等の導電体製の円筒部材であり、その中心軸(図1の(c)では、感光体ドラム24Kの円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)242のまわりを回転可能に支持されている。感光体は、露光量に依存して帯電量が変化する素材であり、アモルファスセレン、セレン合金、アモルファスシリコン等の無機材料、または複数の有機材料の積層構造(OPC)を含む。図1の(c)は示していないが、感光体ドラム24Kの中心軸242は、ギア、ベルト等、回転力の伝達機構を通して駆動モーターに接続されている。その駆動モーターからの回転力で感光体ドラム24Kが(図1の(c)では時計方向に)1回転すると、感光体の各表面部分が周囲の処理部201、202、203、204、205に順番に面してそれらの処理を受ける。
【0026】
帯電部201は、感光体ドラム24Kの外周面241から間隔をおいてその軸方向に伸びるワイヤーまたは薄板形状の電極211を含む。帯電部201はこの電極211に対してたとえば負の高電圧を印加することにより、この電極211と感光体ドラム24Kの外周面241との間にコロナ放電を生じさせる。この放電が、帯電部201に面した感光体の表面部分を負に帯電させる。
【0027】
光書込部202は本発明の実施形態による光書込装置の主要な機能部であり、感光体ドラム24Kの帯電部分のうち軸方向(主走査方向)に伸びる直線状領域、すなわち1ラインを露光する。このとき、光書込部202は感光体ドラム24Kへの照射光量を、画像データが表す階調値に基づいて変調する。感光体ドラム24K上の1ラインでは露光量が高いほど帯電量が減少するので、画像データが表す階調値分布に対応する帯電量分布、すなわち静電潜像が形成される。1ラインに対するこの露光動作を光書込部202は、感光体ドラム24Kの回転に同期して繰り返す。これにより感光体ドラム24Kの外周面にはその回転方向、すなわち副走査方向に露光済みのラインが連なり、静電潜像が2次元的に拡がる。
【0028】
現像部203は感光体ドラム24K上の静電潜像をK色のトナーで現像する。具体的には、現像部203はまず2本のオーガスクリュー231、232で2成分現像剤DVLを撹拌し、そのときの摩擦で現像剤DVLの含むトナーを負に帯電させる。現像部203は次に現像ローラー233を用いて、現像剤DVLを感光体ドラム24Kとの間のニップへ搬送する。これと並行して現像部203は、現像ローラー233に対して負の高電圧を印加する。これにより、静電潜像のうち帯電量の比較的少ない領域は現像ローラー233よりも電位が上がるので、現像ローラー233の搬送する現像剤から、帯電量の減少分に応じた量のトナーが分離して付着する。こうして静電潜像がトナー像として顕在化する。
【0029】
このトナー像は感光体ドラム24Kの回転に伴い、それと1次転写ローラー22Kとの間のニップへ移動する。1次転写ローラー22Kに対しては正の高電圧が印加されているので、負に帯電したトナー像が感光体ドラム24Kの外周面から中間転写ベルト21へ転写される。
【0030】
クリーニングブレード204は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さが感光体ドラム24Kの外周面241のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード204の板面のうち感光体ドラム24Kの外周面241に面した方は、その長辺の1つ(エッジ)が感光体ドラム24Kの軸方向に対して平行な状態でその外周面241に接触し、その外周面241からトナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。こうして、その外周面が清掃される。
【0031】
イレーサー205は、たとえば感光体ドラム24Kの軸方向に配列されたLEDから感光体ドラム24Kの外周面241に光を照射する。その外周面241のうち照射光を受けた部分からは残存する電荷が消失する。こうして、その外周面241が除電される。
【0032】
[光書込部の構造]
図2の(a)は光書込部202の分解組立図であり、(b)は、その光書込部202の上面図である。図3の(a)は、図2の(a)の示す直線IIIa-IIIaに沿った光書込部202の縦断面図である。図4の(a)、(b)はそれぞれ、図2の(a)の示す直線IVa-IVa、IVb-IVbに沿った光書込部202の横断面図である。縦断面は、光書込部202の幅方向(図ではY軸方向)に対して垂直な断面であり、横断面は、光書込部202の長尺方向(図ではX軸方向)に対して垂直な断面である。光書込部202は発光素子配列方式であり、光源基板310、レンズアレイ320、およびレンズホルダー330を含む。
【0033】
-光源基板-
光源基板310は、全体が長尺形状の透明なガラス基板または樹脂基板であり、たとえば長さ数十cm×幅数cm×厚さ数百μmである。光源基板310は、発光領域311、封止部材312、および集積回路(IC)チップ313を含む。発光領域311は、たとえば長さ数十cm×幅数mmの矩形領域であり、光源基板310の幅方向(Y軸方向)の中央部を長尺方向(X軸方向)のほぼ全体にわたって伸びている。発光領域311は、片側の板面314(図では下面)に直に形成された、LED、OLED等の固体発光素子を複数含む。これらの素子が発光すると、光は光源基板310を透過して、反対側の板面315(図では上面)からその法線方向(図ではZ軸の正方向)へ出射する。封止部材312は、たとえばガラス、または金属酸化物もしくは窒化物とポリマーとの多層構造体であり、発光領域311の発光素子側の板面314の上で発光領域311を囲んで外部から気密に隔離する。これにより、外気中の水分および酸素から発光素子が保護される。ICチップ313は、光源基板310の長尺方向の一端部(図3の(a)では左端部)において発光素子側の板面314に実装されている。ICチップ313は、光源基板310の長尺方向(X軸方向)に細長い矩形状であり、その中に発光素子に対する駆動回路が組み込まれている。
【0034】
図3の(b)は、光源基板310に組み込まれた電子回路系統のブロック図である。この系統は、発光素子配列351、選択回路352、および駆動回路353を含む。発光素子配列351は、光源基板310の発光領域311に直に形成された固体発光素子、たとえばOLEDの配列である。図3の(b)が示す例では、発光素子360が数μm-十数μm角の矩形状であり、光源基板310の長尺方向に沿って数十μmのピッチで数千個×3列の千鳥配置に並んでいる。発光素子360は外部からの輝度信号に応じて駆動電流量を変化させる。この駆動電流量が多いほど発光素子360の輝度が高い。選択回路352は、光源基板310上に直に形成された薄膜トランジスタ(TFT)回路であり、発光素子360を順番に駆動回路353に接続する。駆動回路353は特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)で構成され、光源基板310上に直に実装されたICチップ313の中に組み込まれている(chip on grass:COG)。駆動回路353はフレキシブル印刷回路基板(FPC)354を通してプリンター100内の光源制御部355に接続されており、そこからデジタルの画像データを受信する。この画像データを駆動回路353はアナログの輝度信号に変換し、選択回路352により接続された発光素子へ送信する。
【0035】
-レンズアレイ-
レンズアレイ320は、全体が長尺形状を呈した透明なガラス板または樹脂板であり、たとえば長さ数十cm×幅数cm×厚さ数cmである。レンズアレイ320の2枚の板面321、322の間には、長尺方向(図2図4ではX軸方向)に並ぶGRINレンズ323の配列が封止されている。各GRINレンズ323は透明なガラス製または樹脂製の円柱であり、たとえば直径数百μm-数mm×長さ数cmである。いずれのGRINレンズ323も光軸がレンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)に対して垂直な一方向、特にレンズアレイ320の板面321、322の短辺方向(図2図4ではZ軸方向)に揃えられている。各GRINレンズ323は一方の端面324(図では下面)を光源基板310の光出射面315に対向させ、他方の端面325(図では上面)を感光体ドラム24Kの外周面241に向けている。これにより各GRINレンズ323は、光源基板310から一方の端面324へ入射する光を他方の端面325から感光体ドラム24Kの外周面241へ出射させる。
【0036】
図4の(c)は、GRINレンズの1つ323における光路を示す模式図である。GRINレンズ323の内部では屈折率が、中心軸から外周面に向かって放物線状に低下するように分布している。この屈折率分布により、GRINレンズ323の一方の端面324から入射した光は、軸方向に沿って正弦波状の軌跡を描きながら伝搬し、一定の距離、たとえば数mm-十数mmを進むごとに結像を繰り返す。したがって、GRINレンズ323の他方の端面325から出射した光は、GRINレンズ323の軸方向の長さAXLに合わせて正立像または倒立像を結ぶ。図4の(c)では白抜きの矢印が示すように正立像である。この像のぼけは、結像点PBFの前後、GRINレンズ323の焦点深度DOF=数百μmの範囲内では許容レベルに抑えられる。
【0037】
-レンズホルダー-
レンズホルダー330は全体が長尺な板状部材であり、たとえば樹脂から成る。レンズホルダー330は片側の板面(図2図4では下面)に凹部331を含む。凹部331はレンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)のほぼ全体にわたって広がっている。凹部331の縁は全体が長尺の矩形状を呈しており、光源基板310の板面よりも長さと幅とがいずれも大きい。凹部331はまた光源基板310の厚さよりも深い。したがって、図2の(a)が示すようにレンズホルダー330が光源基板310に上から被さると、図3の(a)、図4の(a)、(b)が示すように、凹部331の内側に光源基板310の全体が収容される。
【0038】
レンズホルダー330は更に、凹部331とは反対側の板面(図2図4では上面)にスリット332を含む。スリット332はレンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)のほぼ全体にわたって伸びている。スリット332の縁は全体が長尺の矩形状を呈しており、レンズアレイ320の端面324、325よりも長さと幅とがいずれも大きい。スリット332の内側の空間はレンズホルダー330の高さ方向(図2図4ではZ軸方向)に広がり、凹部331の内側の空間と連通している。したがって、スリット332にはレンズアレイ320が、端面の一方324を光源基板310の光出射面315に向けた姿勢で挿入可能である。スリット332の内側ではレンズホルダー330の内面333、334が長尺方向(X軸方向)に広がっている。これらの内面333、334はいずれも長尺方向(X軸方向)に平行な平面であり、互いに対しても平行度が高い。レンズアレイ320がスリット332に挿入された際、その板面321、322と1枚ずつ対向する。各内面333、334は、図2の(b)、図3の(a)、図4の(b)が示すように、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)における両端部と中央部とに接触部335、336、337を含む。各接触部335-337は、内面333、334からレンズアレイ320の板面321、322に向かった突起であり、たとえば直径数百μm-数mmの半球形状である。これらの突起335-337は、レンズアレイ320がスリット332に挿入された際、その板面321、322と先端、すなわち半球の頂点が接触する(図4の(b)参照)。これにより、レンズホルダー330は、レンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)とGRINレンズ323の光軸(Z軸方向)との両方に平行なレンズアレイ320の中心面CPLの両側からレンズアレイ320を挟み、光源基板310と互いに長尺方向が平行であるようにレンズアレイ320を保持する。この状態でレンズアレイ320とレンズホルダー330とは互いに接着剤(図は示していない。)で固定されている。接触部335-337の詳細については後述する。
【0039】
[光書込部の支持構造]
図2図4は、光書込部202に加えてその支持構造を示す。この支持構造は保持台400と複数の支持部材410とを含む。光書込部202とこの支持構造との全体で本発明の実施形態による光書込装置は構成されている。
【0040】
保持台400は、プリンター100のシャーシ(図は示していない。)に固定された長尺の棒状部材であり、剛性の高い素材、たとえば、電気亜鉛メッキ鋼(SECC)、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属製の溝形鋼板(横断面が「コ」の字形状である鋼板)で形成されている。保持台400の台面401は、保持台400の長尺方向(図2図4ではX軸方向)に伸びている実質的な平面(すなわち、理想的な平面からのずれが許容範囲内である曲面)である。台面401は、たとえば溝形鋼の背面(「コ」の字の縦線部分)であり、図4の(a)、(b)が示すように、その法線方向(Z軸方向)に感光体ドラム24Kが位置するように設置されている。台面401は更に、図4の(a)、(b)が示すように幅方向(Y軸方向)の両縁でレンズホルダー330の両縁を支持し、図3の(a)が示すように長尺方向(X軸方向)の両端でレンズホルダー330の両端を支持する。この状態で台面401とレンズホルダー330とは互いに接着剤(図は示していない。)で固定されている。
【0041】
各支持部材410は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成るピンであり、たとえば直径数mm×長さ数mm-十数mmの円柱形状である。各支持部材410の先端面(図2図4では上端面)は、長尺方向(図ではZ軸方向)に対して垂直な平面である。各支持部材410は台面401の貫通穴から台面401の法線方向(図ではZ軸の正方向)へ突出し、先端面を光源基板310のうち発光領域311の近傍、特に封止部材312に接触させる。台面401から支持部材410の先端面までの距離(図では高さ)はたとえば数十μm-数百μmであり、光書込部202の組み立て工程では支持部材410ごとに、たとえば数百nm-数μm単位で調節可能である。
【0042】
図2図4が示す例では台面401の貫通穴が台面401の幅方向(Y軸方向)に2つずつ並び、台面401の長尺方向(X軸方向)には等間隔、たとえば数cm間隔で数個-十数個並んでいる。したがって、これらの貫通穴と同様な2列に支持部材410は並び、先端面を光源基板310の幅方向の中央部に、その長尺方向の複数箇所において接触させている。これにより、光源基板310は、長尺方向、幅方向がそれぞれ台面401の長尺方向(X軸方向)、幅方向(Y軸方向)に平行に保たれる。
【0043】
[レンズアレイに対するレンズホルダーの接触部]
図2の(b)が示すように、レンズホルダー330の接触部335-337は1対ずつレンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)における両端部と中央部とにおいてレンズアレイ320を間に挟んで対向している。これらの接触部335-337は、図3の(a)が示すように、保持台400の台面401から等距離、すなわち同じ高さHFXに位置する。これにより接触部335-337がレンズアレイ320と接触する点はいずれも、レンズホルダー330の内面333、334の互いに対する平行度と、保持台400の台面401の法線方向(Z軸方向)に対する平行度とのいずれにもかかわらず、その台面401からの高さHFXが等しい。これは次の理由に因る。
【0044】
図4の(d)は、接触部の1つ336を含むレンズホルダー330の部分的な横断面図である。レンズホルダー330は、光書込部202の組み立て工程において保持台400の台面401に固定される際、いずれの接触部335-337も半球形状の中心CNTが台面401から等距離HFXに位置決めされる。この場合、スリット332の内側に位置するレンズホルダー330の内面334が台面401の法線方向(Z軸方向)から傾いていたとしても、接触部336の半球面のうちその中心CNTから台面401の幅方向(Y軸方向)において最も遠い点PDMは、台面401からの距離が中心CNTと同じ値HFXに維持される。この最遠点PDMが、スリット332に挿入されたレンズアレイ320の板面と接触するので、いずれの接触部335-337もレンズアレイ320との接触点PDMが保持台400の台面401から同じ高さHFXに位置する。
【0045】
光書込部202の組み立て工程では、まず光源基板310とレンズホルダー330とが保持台400の台面401の上で位置決めされ、治具で固定される。次にスリット332にレンズアレイ320が挿入され、その長尺方向が台面401に平行であるように調節される。この段階ではまだレンズアレイ320は、互いに向かい合う接触部335-337の間に挟まれているだけである。いずれの接触部335-337もレンズアレイ320との接触点PDMが台面401から同じ高さHFXに位置する。したがって、これらの接触点PDMをすべて含む台面401に平行な仮想平面VPLとレンズアレイ320の中心面CPLとの間の交線LNTのまわりに、レンズアレイ320は回転可能である(図4の(b)参照)。特にこの交線LNT、すなわちレンズアレイ320の回転軸は、レンズアレイ320の回転角にかかわらず、台面401から同じ高さに維持される。光書込部202の組み立て工程では続いて、光源基板310の発光領域311が発光させられ、レンズアレイ320による結像点の位置が計測される。この計測の結果から台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きが特定される。この傾きが除去されるように、交線LNTのまわりにおけるレンズアレイ320の回転角の調節と、レンズアレイ320による結像点の位置計測とが繰り返される。この間、レンズアレイ320の回転軸は台面401から同じ高さに維持されるので、感光体ドラム24Kの外周面241からレンズアレイ320までの距離も変わらない。それ故、レンズアレイ320の位置については回転角以外に再調節の必要がない。こうして、レンズホルダー330の内面333、334の平面度、平行度にかかわらず、台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きが容易に除去される。
【0046】
[レンズアレイとレンズホルダーとの間の接着層]
保持台400の台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きが除去された後、レンズアレイ320はレンズホルダー330に接着剤で固定される。このとき、硬化した接着剤で形成される接着層には、好ましくは、次のような条件で適度な弾性が与えられ、スリット332における配置が決定される。
【0047】
光源基板310における発光素子とその駆動回路との発熱に伴って温度が上昇すると、光源基板310、レンズアレイ320、レンズホルダー330、および保持台400の台面401はいずれも熱膨張により、特に長尺方向(X軸方向)に大きく伸長する。これらの部材310-330、401間では、このときの伸長量が異なる。温度上昇が過剰な場合、これらの伸長量間の差に伴う発光素子とGRINレンズとの間での光軸のずれが過大になり、感光体ドラム24Kの外周面241における結像点の位置誤差が許容上限に迫りうる。この位置誤差を極力抑えるには、光源基板310、レンズアレイ320、およびレンズホルダー330のいずれにも台面401に対する熱膨張の起点(不動点)を、共通の長尺方向(X軸方向)における中央に持たせればよい。
【0048】
図5の(a)、(b)は、レンズアレイ320が接着剤で固定された状態におけるレンズホルダー330の部分的な横断面図であり、(c)はそのレンズホルダー330の部分的な上面図である。図5の(c)が直線a-a、b-bで示すとおり、図5の(a)が示す断面は、レンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)における中央の接触部335を含み、図5の(b)が示す断面は片端の接触部336を含む。
【0049】
レンズアレイ320とレンズホルダー330との間の接着層は薄層接着部501と厚肉接着部502とを含む。薄層接着部501は、図5の(a)が示すように、中央の接触部335の先端PDMとレンズアレイ320の板面との隙間に充填されて硬化した接着剤の薄膜であり、レンズホルダー330の幅方向(Y軸方向)の厚さが接触部335の表面粗さと同程度、たとえば数μmである。厚肉接着部502は、図5の(b)が示すように、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)における位置が片端の接触部336と等しいスリット332の縁とレンズアレイ320の板面との隙間に充填されて硬化した接着剤の層である。厚肉接着部502は、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)における位置が反対側の端の接触部337と等しいスリット332の縁とレンズアレイ320の板面との隙間にも形成されている。厚肉接着部502は、図5の(c)が示すように、レンズホルダー330の幅方向(Y軸方向)の厚さがスリット332の縁とレンズアレイ320との隙間と同程度、たとえば数十μm-数百μmであり、片端の接触部336、337と長尺方向(X軸方向)の中心が同じ位置である。接着剤はたとえばシリコーン樹脂系等の弾性接着剤であり、レンズアレイ320の重量に対してはいずれの接着部501、502も十分に高い剛性、すなわち接着強さを持つ。一方、厚肉接着部502と比べて薄層接着部501はかなり薄く、たとえば0.01-0.1倍の厚さでしかないので、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)に平行なせん断力に対する剛性(せん断弾性率)が高い。これにより、レンズアレイ320では常に中央の接触部335との接触点が長尺方向(X軸方向)における熱膨張の起点(不動点)となり、その両側に位置するレンズアレイ320の部分は長尺方向(X軸方向)に伸長して起点からの距離を増大させる。これは次の理由に因る。レンズアレイ320とレンズホルダー330との間での熱膨張量の差に起因して接着層501、502に生じる熱応力は、長尺方向(X軸方向)に平行なせん断力SHFである。したがって、熱応力SHFが同程度の強さであれば、薄層接着部501よりも先に厚肉接着部502が長尺方向(X軸方向)にたわむ(図5の(c)参照)。熱応力に従ってこのたわみが生じる程度に厚肉接着部502の面積は上限が設計される。光源基板310と台面401との間の接着層、およびレンズホルダー330と台面401との間の接着層に対しても同様な工夫が施される。その結果、光源基板310、レンズアレイ320、およびレンズホルダー330がいずれも台面401に対する熱膨張の起点(不動点)を長尺方向(X軸方向)の中央に持つ。それ故、温度上昇が過剰であっても、熱膨張量の差に伴う発光素子とGRINレンズとの間での光軸の過大なずれはレンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)の両端部に限られ、感光体ドラム24Kの外周面241における結像点の位置誤差は主走査方向の中央部では抑えられる。
【0050】
[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるプリンター100では上記のとおり、光書込部202のレンズホルダー330が、レンズアレイ320の中心面CPLの両側でレンズアレイ320と対向する内面333、334のそれぞれに接触部335-337を含む。これらの接触部335-337は、レンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)における中央部と両端部とでレンズアレイ320と、保持台400の台面401の法線方向(Z軸方向)において点接触する。いずれの接触部335-337においても、接触点PDMは保持台400の台面401から等距離HFXに位置する。したがって、これらの接触点PDMをすべて含む仮想平面VPLとレンズアレイ320の中心面CPLとの間の交線LNTのまわりに、レンズアレイ320は回転可能である。この回転軸LNTは、レンズアレイ320の回転角にかかわらず、台面401から同じ高さHFXに維持される。すなわち、台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きを除去する作業の間、レンズアレイ320の回転軸LNTは台面401から同じ高さHFXに維持されるので、感光体ドラム24Kの外周面241からレンズアレイ320までの距離も変わらない。それ故、レンズアレイ320の位置については回転角以外に再調節の必要がない。こうして、光書込部202では、レンズホルダー330の内面333、334の平面度、平行度にかかわらず、台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きの除去作業を簡単化することができる。
【0051】
[変形例]
(A)図1の示す画像形成装置100は、タンデム配置の感光体ユニット20Y-20Kと中間転写ベルト21とを備えた中間体転写方式のカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、直接転写方式のカラープリンター、モノクロプリンター、ファクシミリ機、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。
【0052】
(B)図1の(c)ではドラム24Kの外周面241が感光体で覆われている。その他にドラム24Kに代えてベルトの外周面が感光体で覆われていてもよい。このベルトはドラム24Kと同様、帯電部、現像部、クリーニングブレード、およびイレーサーに囲まれるように配置される。ベルトが1回転すると、これらの処理部に順番に感光体の各表面部分が対向して、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電の各処理を受ける。
【0053】
(C)図3の(c)の示す光源基板310ではOLEDの配列が、光源基板310の長尺方向に沿った3列の千鳥配置である。発光素子の配列はその他に、列数が1、2、または4以上であってもよく、千鳥配置に代えて格子配置であってもよい。
【0054】
(D)図2図4の示す接触部335-337は、レンズホルダー330の内面333、334からレンズアレイ320の板面321、322に向かって突出した半球状の突起である。しかし、この例に限らず、接触部は他の形状であってもよい。接触部の横断面(レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)に対して垂直な断面)においてレンズアレイ320との接触点とその近傍とが円弧を成し、その円弧の中心が、いずれの接触部においても、保持台400の台面401から等距離に位置していればよい。さらに、接触部はレンズホルダー330と一体成形されていても、レンズホルダー330の穴に嵌め込まれたピン等の別部材であってもよい。
【0055】
図2図4の示す接触部335-337は、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)において中央部と両端部との3箇所に設けられている。しかし、この例に限らず、接触部は、長尺方向における1箇所だけでも、2箇所でも、4箇所以上でもよい。さらに、点接触であるのは台面401の法線方向(Z軸方向)においてのみであってもよく、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)では線接触であってもよい。すなわち、接触部は、レンズホルダー330の内面333、334の上を長尺方向に伸びる棒状の突起であってもよい。
【0056】
(E)図5の示すレンズアレイ320とレンズホルダー330との間の接着層501、502はレンズホルダー330の接触部335-337と、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)において中心位置が共通である。この例に限らず、接着層は他の配置であってもよい。たとえば、各接着層はレンズホルダー330の接触部335-337とは、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)における中心位置がずれていても、接触部335-337よりも数が多くてもよい。また、光源基板310、レンズアレイ320、レンズホルダー330、および保持台400の台面401の間での熱膨張量の差に伴う発光素子とGRINレンズとの間での光軸のずれが問題にならない程度である場合、薄層接着部501が省略されてもよく、接着層はスリット332の全周にわたって設けられていもよい。
【0057】
(F)レンズホルダー330に接着されるまでレンズアレイ320はレンズホルダー330の突起335-337の間に単に挟まれているだけであるので、外部から受ける振動、衝撃によっては保持台400の台面401の法線方向(Z軸方向)に変位しうる。レンズアレイ320がレンズホルダー330に接着された後でも、レンズアレイ320の重みに起因する接着層のクリープ歪みに伴う台面401の法線方向(Z軸方向)における変位が過大になる危険性は残る。これらの変位を防ぐための構造(以下、ストッパーという。)がレンズアレイ320とレンズホルダー330との双方に更に付加されてもよい。
【0058】
図6の(a)は、ストッパーの一例が付加された光書込部202の長尺方向(X軸方向)における一端部の斜視図である。この端部からは長尺方向において外側(X軸の正方向)の部分が切り取られているので、ストッパーの横断面が見えている。図6の(b)は、(a)の示す直線b-bに沿った光書込部202の横断面図であり、(c)は、(a)の示す横断面の正面図である。ストッパーはロッカー部材601と受け部602とを含む。図は示していないが、好ましくは、同様なストッパーが光書込部202の他端にも付加されている。なお、光源基板310からの光を遮らない限り、ストッパーは光書込部202の端部よりも内側に設けられてもよい。
【0059】
図6の(d)は、ロッカー部材601の単体の斜視図である。ロッカー部材601はたとえば半円柱形状の金属部材または樹脂部材であり、その直径がレンズアレイ320の幅(Y軸方向のサイズ)よりも長い。ロッカー部材601は、一体成形品であっても、2つ以上の部品が組み合わされた集合体であってもよい。ロッカー部材601の外面のうち半円柱形状の軸AXSを含む平面領域611(図では上面)には凹部612がある。凹部612はロッカー部材601の軸AXSに対して左右対称な直方体形状の穴であり、幅WDT(図ではY軸方向のサイズ)がレンズアレイ320の幅と等しく、深さDPT(図ではZ軸方向のサイズ)がレンズアレイ320の高さの半値に等しい。凹部612には、図6の(a)が示すように、レンズアレイ320の端部が挿入される。これにより、ロッカー部材601の軸AXSはレンズアレイ320の中心面CPLの上をレンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)に伸び、ロッカー部材601の外周面613はこの軸AXSを中心軸とする円筒面の半分となる。
【0060】
受け部602は、スリット332を含むレンズホルダー330の板面のうち長尺方向(X軸方向)の端部から高さ方向(Z軸方向)に突出した1対の突起である。これらの突起対は、レンズホルダー330の幅方向(Y軸方向)に対して垂直な中心面に対して対称な形状であり、レンズホルダー330の高さ方向(Z軸方向)から傾いた斜面621、622をそれぞれ含む。これらの斜面621、622はスリット332の内側の空間を挟んで互いに対向しており、いずれもスリット332の内側に近いほど光源基板310に近い(図では低い)。斜面621、622の間隔は、光源基板310から最も遠い部分(図では上端)ではロッカー部材601の直径よりも広く、最も近い部分(図では下端)ではその直径よりも狭い。したがって、スリット332にレンズアレイ320が挿入されると、ロッカー部材601の外周面613が受け部602の斜面621、622に、高さ方向(Z軸方向)において点接触する。すなわち、これらの斜面621、622は、突起335-337と共に、レンズホルダー330の接触部に含まれる。特にこれらの斜面621、622は保持台400の台面401の法線方向(Z軸方向)から傾いているので、ロッカー部材601の外周面612との接触により台面401からのレンズアレイ320の距離(高さ)を決める。この高さは次の条件を満たすように設計されている。図6の(b)、(c)が示すように、ロッカー部材601の軸AXSがレンズホルダー330の接触部336の中心CNT、すなわちレンズアレイ320とレンズホルダー330との接触点PDMと共に台面401から等距離HFXに位置決めされる。これにより、ロッカー部材601の軸AXSはレンズアレイ320の回転軸LNTと同一直線上に位置する。
【0061】
光書込部202の組み立て工程において、レンズアレイ320が回転軸LNTのまわりに回転すると、ロッカー部材601も同じ軸AXSのまわりに回転する。このとき、ロッカー部材601の軸AXSからその外周面613と受け部602の斜面621、622との間の接触点STPまでの距離はロッカー部材601の半径RRCに等しく維持される。したがって、ロッカー部材601の軸AXSとレンズアレイ320の回転軸LNTとが、レンズアレイ320の回転角にかかわらず、台面401から同じ高さHFXに維持されるので、感光体ドラム24Kの外周面241からレンズアレイ320までの距離も変わらない。それ故、レンズアレイ320の位置については回転角以外に再調節の必要がない。特にロッカー部材601が受け部602に支えられているので、レンズアレイ320の回転角の調節中、台面401からのレンズアレイ320の高さが更に安定に一定値HFXに維持される。こうして、光書込部202では、台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きの除去作業を更に簡単化することができる。
【0062】
なお、ロッカー部材601の凹部612は、図6の(d)とは異なり、底614の無い切り欠きであってもよい。この凹部612にレンズアレイ320の端部が挿入される際、図6の(c)が破線で示す底614が無ければ、その端部の下面に接触する部分がないので、台面401からのレンズアレイ320の高さは完全には決まらない。しかし、ロッカー部材601は、レンズホルダー330の接触部335-337とは異なり、レンズアレイ320の板面に面接触するので、その板面に与える摩擦力が強い。したがって、接触部335-337だけで挟まれる場合よりもレンズアレイ320は台面401の法線方向(Z軸方向)には変位しにくい。これにより、その法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きを除去した後でも、必要に応じ、台面401からのレンズアレイ320の高さを更に微調節可能である。
【0063】
(G)光書込部202の組み立て工程では、レンズアレイ320を治具で直に支えて回転軸LNTのまわりに回転させる。その他に、レンズアレイ320に外部からの回転力を伝えるための構造(以下、トルク伝達部という。)がレンズアレイ320の端部に設けられてもよい。
【0064】
図7の(a)は、トルク伝達部の一例が付加された光書込部202の長尺方向(X軸方向)における一端部の斜視図である。この端部からは長尺方向において外側(X軸の正方向)の部分が切り取られているので、トルク伝達部の横断面が見えている。図7の(b)は、その横断面の正面図である。トルク伝達部はピン701と受け部702とを含む。図は示していないが、同様なトルク伝達部が光書込部202の他端にも付加されていてもよい。
【0065】
ピン701はたとえば円柱形状の金属部材または樹脂部材であり、その直径がレンズアレイ320の幅(Y軸方向のサイズ)よりも短い。ピン701の一端面はレンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)の一端面に接着され、または埋め込まれており、特にピン701の軸SHFが、レンズアレイ320の長尺方向(X軸方向)に平行なその中心軸の延長線上に位置する。
【0066】
受け部702は、レンズホルダー330の長尺方向(X軸方向)におけるスリット332の縁に設けられた切り欠きである。この切り欠き702は、レンズホルダー330の幅方向(Y軸方向)に対して垂直な中心面に対して対称な形状であり、レンズホルダー330の高さ方向(Z軸方向)から傾いた斜面721、722を含む。これらの斜面721、722は切り欠き702の内側の空間を挟んで互いに対向しており、いずれも切り欠き702の内側に近いほど光源基板310に近い(図では低い)。斜面721、722の間隔は、光源基板310から最も遠い部分(図では上端)ではピン701の直径よりも広く、最も近い部分(図では下端)ではその直径よりも狭い。したがって、スリット332にレンズアレイ320が挿入されると、ピン701の外周面711が受け部702の斜面721、722に接触するので、保持台400の台面401からのレンズアレイ320の距離(高さ)が決まる。この高さは次の条件を満たすように設計されている。台面401に対してピン701の軸SHFがレンズホルダー330の接触部335-337の中心と同じ高さHFXに位置決めされる。これにより、レンズアレイ320の中心軸SHFが、レンズアレイ320の板面とレンズホルダー330の接触部335-337との間の接触点で決まるレンズアレイ320の回転軸LNTと一致する。
【0067】
光書込部202の組み立て工程において、レンズアレイ320を回転軸LNTのまわりに回転させるには、ピン701を回転させればよい。このとき、ピン701の軸SHFからその外周面711と受け部702の斜面721、722との間の接触点STPまでの距離はピン701の半径RPNに等しく維持される。したがって、ピン701の軸SHFとレンズアレイ320の回転軸LNTとが、レンズアレイ320の回転角にかかわらず、台面401から同じ高さHFXに維持されるので、感光体ドラム24Kの外周面241からレンズアレイ320までの距離も変わらない。それ故、レンズアレイ320の位置については回転角以外に再調節の必要がない。特にピン701が受け部702に支えられているので、レンズアレイ320の回転角の調節中、台面401からのレンズアレイ320の高さが更に安定に一定値HFXに維持される。さらに、レンズアレイ320に治具を直に接触させなくてもよいので、レンズアレイ320を誤って変位させる危険性が低い。また、レンズアレイ320の回転に必要なトルクは、ピン701の直径、およびピン701と受け部702との間の接触面積によって容易に設計可能である。こうして、光書込部202では、台面401の法線方向(Z軸方向)に対するGRINレンズ323の光軸の傾きの除去作業を更に簡単化することができる。
【0068】
なお、光源基板310からの光を遮らない限り、図6の示すストッパー601、602がトルク伝達部701、702の内側に更に付加されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、電子写真式の画像形成装置が備える光書込装置に関し、上記のとおり、レンズアレイがレンズホルダーとの点接触により保持され、いずれの接触点も同じ高さに維持される。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 プリンター
20Y、20M、20C、20K 感光体ユニット
21 中間転写ベルト
21L 従動プーリー
21R 駆動プーリー
22Y、22M、22C、22K 1次転写ローラー
23 2次転写ローラー
24Y、24M、24C、24K 感光体ドラム
202 光書込部
310 光源基板
311 発光領域
312 封止部材
313 ICチップ
314、315 光源基板の板面
320 レンズアレイ
321、322 レンズアレイの板面
323 GRINレンズ
324、325 レンズアレイの端面
330 レンズホルダー
331 レンズホルダーの凹部
332 スリット
333、334 レンズホルダーの内面
335-337 レンズホルダーの接触部
400 保持台
401 保持台の台面
410 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7