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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 451
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018057914
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166787
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雅典
(72)【発明者】
【氏名】田村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】丸田 正晃
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001366(JP,A)
【文献】特開2009-119713(JP,A)
【文献】特開2005-029337(JP,A)
【文献】特開2001-071581(JP,A)
【文献】特開平03-036072(JP,A)
【文献】特開2016-221844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 15/00-15/24
B41J 11/00-11/70
B41J 19/00
B41J 25/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に配置され、シートが所定の搬送方向に沿って搬送されることを許容する搬送路と、
前記搬送路において前記シートを前記搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送路上に形成された噴射位置において、所定の画像情報に応じて前記シートに上方から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを保持し、前記装置本体内において前記搬送方向と交差する走査方向に沿って往復移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジを前記走査方向に移動させるキャリッジ移動機構と、
前記噴射位置において前記液体噴射ヘッドに対向するとともに前記走査方向に沿って延びるように前記装置本体に配置され、前記搬送部によって搬送される前記シートを下方から支持するプラテンと、
前記キャリッジ内で前記液体噴射ヘッドを前記プラテンに対して上下に移動させるヘッド移動機構と、
前記液体噴射ヘッドとともに上下移動可能なように前記キャリッジに配置され、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さに応じて所定の信号を出力する検知センサと、
前記キャリッジ移動機構および前記ヘッド移動機構を制御する駆動制御部と、
前記検知センサが出力する信号に応じて、少なくとも前記プラテン上の前記シートの厚さを検出するシート情報検出部と、
前記検知センサが出力する信号に応じて、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さを検出するヘッド位置検出部と、
を備え
前記シート情報検出部は、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する信号の変動に基づいて、前記プラテン上における前記シートの浮き上がりを検出する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ヘッド位置検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記液体噴射ヘッドが前記ヘッド移動機構によって前記基準位置から所定の高さに移動された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する第1比較信号とに基づいて、前記液体噴射ヘッドの前記高さを検出する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート情報検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記プラテン上に前記シートが配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する第2比較信号とに基づいて、前記シートの厚さを検出する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート情報検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記キャリッジ移動機構によって前記キャリッジが前記走査方向に移動され、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する第3比較信号とに基づいて、前記シートの前記走査方向における第1の端部の位置を検出する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート情報検出部は、前記第3比較信号と、前記キャリッジ移動機構によって前記キャリッジが前記走査方向に更に移動され、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する第4比較信号とに基づいて、前記シートの前記走 査方向における前記第1の端部とは反対の第2の端部の位置を検出する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート情報検出部は、前記第1の端部の位置および前記第2の端部の位置に基づいて、前記シートの前記走査方向における幅を検出する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体と、
前記装置本体に配置され、シートが所定の搬送方向に沿って搬送されることを許容する搬送路と、
前記搬送路において前記シートを前記搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送路上に形成された噴射位置において、所定の画像情報に応じて前記シートに上方から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを保持し、前記装置本体内において前記搬送方向と交差する走査方向に沿って往復移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジを前記走査方向に移動させるキャリッジ移動機構と、
前記噴射位置において前記液体噴射ヘッドに対向するとともに前記走査方向に沿って延びるように前記装置本体に配置され、前記搬送部によって搬送される前記シートを下方から支持するプラテンと、
前記キャリッジ内で前記液体噴射ヘッドを前記プラテンに対して上下に移動させるヘッド移動機構と、
前記液体噴射ヘッドとともに上下移動可能なように前記キャリッジに配置され、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さに応じて所定の信号を出力する検知センサと、
前記キャリッジ移動機構および前記ヘッド移動機構を制御する駆動制御部と、
前記検知センサが出力する信号に応じて、少なくとも前記プラテン上の前記シートの厚さを検出するシート情報検出部と、
前記検知センサが出力する信号に応じて、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さを検出するヘッド位置検出部と、
を備え、
前記検知センサは、
水平な軸回りに揺動可能なアクチュエータであって、当該アクチュエータは前記プラテンまたは前記シートに当接可能な先端部を有する、アクチュエータと、
前記アクチュエータの前記軸回りの揺動角度に応じて、異なるパルス信号を出力する検知部と、
を有する、画像形成装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のシートに画像を形成する画像形成装置として、例えばインクジェット式プリンターにおいては、微量のインク(液体)を印字対象に噴射する液体噴射ヘッド(印字部)が用いられる。シートが所定の搬送方向に搬送され、液体噴射ヘッドが前記搬送方向と直交する走査方向に往復移動されながらインクを噴射すると、シート上に文字や画像が形成される。
【0003】
特許文献1には、シートとしての布地に画像を形成する画像形成装置が開示されている。画像形成装置の装置本体は、液体噴射ヘッドの走査方向に沿って延びるように配置された布保持体(プラテン)と、複数の搬送ローラーと、を有する。布保持体が布地を保持した状態で、搬送ローラーが回転すると、布地が搬送されながら、液体噴射ヘッドによって布地上に画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-239105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような技術では、液体噴射ヘッドは、所定のキャリッジに保持された状態で、装置本体に配置されたガイドに沿って往復移動する。液体噴射ヘッドとシートとの間隔は、形成される画像の画質に大きく影響する。このため、布地などのシートと液体噴射ヘッドとの間隔を検出するための、専用の位置検出機構が必要とされた。更に、液体噴射ヘッドによる液体の噴射条件は、シートの厚さに応じて調整されることが多い。また、使用者によって画像形成装置に予め入力されるシートの厚さ情報と実際に搬送されるシートの厚さが異なると、シート上に形成される画像の画質が低下することがある。このため、実際に搬送されるシートの厚さを検出するために、専用の厚さ検出機構が必要とされる。以上のように、シートと液体噴射ヘッドとの間隔を検出するための専用の位置検出機構や、搬送されるシートの厚さを検出するための専用の厚さ検出機構が搭載されると、画像形成装置のコストが増大するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、同じ検知センサの出力情報を利用して液体噴射ヘッドとシートとの間隔およびシートの厚さを検出することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に配置され、シートが所定の搬送方向に沿って搬送されることを許容する搬送路と、前記搬送路において前記シートを前記搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送路上に形成された噴射位置において、所定の画像情報に応じて前記シートに上方から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを保持し、前記装置本体内において前記搬送方向と交差する走査方向に沿って往復移動可能なキャリッジと、前記キャリッジを前記走査方向に移動させるキャリッジ移動機構と、前記噴射位置において前記液体噴射ヘッドに対向するとともに前記走査方向に沿って延びるように前記装置本体に配置され、前記搬送部によって搬送される前記シートを下方から支持するプラテンと、前記キャリッジ内で前記液体噴射ヘッドを前記プラテンに対して上下に移動させるヘッド移動機構と、前記液体噴射ヘッドとともに上下移動可能なように前記キャリッジに配置され、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さに応じて所定の信号を出力する検知センサと、前記キャリッジ移動機構および前記ヘッド移動機構を制御する駆動制御部と、前記検知センサが出力する信号に応じて、少なくとも前記プラテン上の前記シートの厚さを検出するシート情報検出部と、前記検知センサが出力する信号に応じて、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さを検出するヘッド位置検出部と、を備える。
【0008】
本構成によれば、検知センサは、前記液体噴射ヘッドとともに上下移動可能なように前記キャリッジに配置され、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さに応じて所定の信号を出力する。また、シート情報検出部は、前記検知センサが出力する信号に応じて、少なくとも前記プラテン上の前記シートの厚さを検出する。更に、ヘッド位置検出部は、前記検知センサが出力する信号に応じて、前記シートまたは前記プラテンに対する前記液体噴射ヘッドの高さを検出する。したがって、共通の検知センサの出力情報を利用して、液体噴射ヘッドとシートとの間隔およびシートの厚さを検出することが可能となる。この.結果、それぞれの検出動作に個別の検知センサが配置される場合と比較して、画像形成装置のコストを低減しつつ、シートに対して安定した画像を形成することが可能となる。
【0009】
上記の構成において、前記ヘッド位置検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記液体噴射ヘッドが前記ヘッド移動機構によって前記基準位置から所定の高さに移動された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する第1比較信号とに基づいて、前記液体噴射ヘッドの前記高さを検出するものが望ましい。
【0010】
本構成によれば、ヘッド位置検出部は、基準信号と第1比較信号とに基づいて、液体噴射ヘッドの高さを検出する。したがって、シートに画像が形成される前に、基準信号および第1比較信号に基づいて、液体噴射ヘッドを所望の高さに配置することができる。
【0011】
上記の構成において、前記シート情報検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記プラテン上に前記シートが配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する第2比較信号とに基づいて、前記シートの厚さを検出することが望ましい。
【0012】
本構成によれば、シート情報検出部は、基準信号と第2比較信号とに基づいて、シートの厚さを検出する。したがって、シートの厚さが異なる場合でも、液体噴射ヘッドを所望の高さに配置し、シートに安定して画像を形成することができる。
【0013】
上記の構成において、前記シート情報検出部は、前記液体噴射ヘッドが前記プラテンに対して所定の基準位置に配置された状態において前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する基準信号と、前記キャリッジ移動機構によって前記キャリッジが前記走査方向に移動され、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する第3比較信号とに基づいて、前記シートの前記走査方向における第1の端部の位置を検出することが望ましい。
【0014】
本構成によれば、シート情報検出部は、基準信号と第3比較信号とに基づいて、シートの第1の端部の位置を検出する。このため、走査方向において液体噴射ヘッドによる画像の書き出し位置を安定して設定することができる。
【0015】
上記の構成において、前記シート情報検出部は、前記第3比較信号と、前記キャリッジ移動機構によって前記キャリッジが前記走査方向に更に移動され、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記プラテンとの間の距離に応じて出力する第4比較信号とに基づいて、前記シートの前記走査方向における第1の端部とは反対の第2の端部の位置を検出することが望ましい。
【0016】
本構成によれば、シート情報検出部は、基準信号と第4比較信号とに基づいて、シートの第2の端部の位置を検出する。このため、走査方向において液体噴射ヘッドによる画像の書き終わり位置を安定して設定することができる。
【0017】
上記の構成において、前記シート情報検出部は、前記第1の端部の位置および前記第2の端部の位置に基づいて、前記シートの前記走査方向における幅を検出することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、シート情報検出部は、第1の端部および第2の端部の位置からシートの幅を安定して検出することができる。
【0019】
上記の構成において、前記シート情報検出部は、前記検知センサが前記液体噴射ヘッドと前記シートとの間の距離に応じて出力する信号の変動に基づいて、前記プラテン上における前記シートの浮き上がりを検出することが望ましい。
【0020】
本構成によれば、共通する検知センサの出力信号の変動を利用して、シートの浮き上がりを検出することができる。
【0021】
上記の構成において、前記検知センサは、水平な軸回りに揺動可能なアクチュエータであって、当該アクチュエータは前記プラテンまたは前記シートに当接可能な先端部を有する、アクチュエータと、前記アクチュエータの前記軸回りの揺動角度に応じて、異なるパルス信号を出力する検知部と、を有することが望ましい。
【0022】
本構成によれば、シートまたはプラテンに接触することでアクチュエータが揺動し、当該アクチュエータの揺動角度に応じて出力されるパルス信号によって、液体噴射ヘッドとシートとの間隔およびシートの厚さを検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同じ検知センサの出力情報を利用して液体噴射ヘッドとシートとの間隔およびシートの厚さを検出することが可能な画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線方向の断面図である。
図3図3は、アウターカバーを取り外した状態の、前記画像形成装置の正面図である。
図4図4は、前記画像形成装置に搭載されているキャリッジの全体斜視図である。
図5図5は、アウターカバーを取り外した状態の、前記画像形成装置の斜視図である。
図6図6は、図5に示される画像形成装置の拡大斜視図である。
図7A図7Aは、図6に示される検知センサの正面図である。
図7B図7Bは、図7Aに示される検知センサのアクチュエータの側面図である。
図8図8は、図6に示される前記画像形成装置の断面図であって、スライド部材を通る断面で見た図である。
図9図9は、図6に示される前記画像形成装置の断面図であって、上下駆動モータを通る断面で見た図である。
図10図10は、図4に示されるキャリッジの断面図であって、上下駆動モータを通る断面で見た図である。
図11図11は、図4に示されるキャリッジの断面図であって、上下駆動モータを通る断面で見た図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る制御部のブロック図である。
図13図13は、アクチュエータがシートの第1の端部を検出する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<プリンターの全体構成>
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。まず、本発明に係る液体噴射装置が適用されるインクジェット式プリンターについて説明する。図1は、実施形態に係るインクジェット式プリンター1の外観を示す斜視図、図2は、図1のII-II線方向の断面図、図3は、アウターカバー102を取り外した状態の、プリンター1の正面図である。なお、図1図3、後出の図において、前後、左右、上下の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、何ら方向の限定を企図したものではない。
【0026】
プリンター1は、各種サイズの紙シートや樹脂シート、或いは布生地などの各種ワークW(シート)に、インクジェット方式で印字、印画などの印刷処理を行うプリンターであって、とりわけ大サイズ且つ長尺のワークWに対する印刷処理に好適なプリンターである。プリンター1は、キャスター付きのベースフレーム101と、このベースフレーム101に載置され、前記印刷処理を実行する装置本体11とを含む。
【0027】
装置本体11は、ワーク搬送路12、搬送ローラー13、ピンチローラーユニット14及びキャリッジ2を含む。ワーク搬送路12は、印刷処理の施されるワークWを、後方側から装置本体11へ搬入し、前方側から搬出するための、前後方向に延びる搬送路である。ワーク搬送路12は、ワークWが前方向(所定の搬送方向)に沿って搬送されることを許容する。搬送ローラー13(搬送部)は、左右方向に延び、ワーク搬送路12のワークWを間欠送りする駆動力を発生するローラーである。すなわち、搬送ローラー13は、装置本体11においてワークWを前記搬送方向に搬送する。ピンチローラーユニット14は、搬送ローラー13に対して上方から対向するように配置され、搬送ローラー13と搬送ニップを形成するピンチローラーを備えている。ピンチローラーユニット14は、左右方向に所定間隔を置いて複数個配置されている。
【0028】
キャリッジ2は、ワークWに対して印刷処理を行うユニットが搭載され、ベースフレーム101上において左右方向(所定の方向)に沿って往復移動が可能な移動体である。ベースフレーム101の後方側には、キャリッジ2の前記往復移動をガイドするガイドレール15H(図6)を備えたキャリッジガイド15が、左右方向に延在するように立設されている。キャリッジガイド15には、タイミングベルト16が左右方向に周回移動が可能に組み付けられている。キャリッジ2は、タイミングベルト16に対する固定部を有し、タイミングベルト16の正転又は逆転の前記周回移動に伴って、前記ガイドレール15Hに案内されつつ、左右方向に移動する。
【0029】
前記印刷処理は、搬送ローラー13及びピンチローラーユニット14がワークWを間欠送りし、ワークWの停止中にキャリッジ2が左右方向に移動して当該ワークWを印画走査するという態様で実行される。なお、ワーク搬送路12において、キャリッジ2の通過経路の下方には、ワークWを吸引する機能が付設されたプラテン121(図2)が配置されている。前記印刷処理時には、ワークWがプラテン121に吸着された状態で、キャリッジ2が印画走査(画像形成動作)を実行する。
【0030】
装置本体11は、アウターカバー102によって覆われている。アウターカバー102の右方側の領域には、サイドステーション103が配置されている。サイドステーション103の内部には、印刷処理用のインク(所定の液体)を貯留する不図示のインクカートリッジを保持する、不動のインクカートリッジ棚17が収容されている。すなわち、インクカートリッジは、装置本体11内に固定され、インクを貯留する。なお、インクカートリッジは、少なくとも一つ配置されている。
【0031】
サイドステーション103の前方部分は、キャリッジ2の退避空間となるキャリッジ退避エリア104である。図3に示すように、ベースフレーム101には、ワーク搬送路12に応じた間隔を左右方向に置いて、左フレーム105及び右フレーム106が立設されている。これら左右フレーム105、106間が、前記印刷処理が実行可能な印刷エリアとされている。キャリッジガイド15は、前記印刷エリアよりも長い左右幅を有しており、キャリッジ2は前記印刷エリアの右外側まで移動可能である。前記印刷処理が実行されないとき、キャリッジ2はキャリッジ退避エリア104に退避する。
【0032】
ベースフレーム101の後方側には、印刷処理対象のワークWの巻回体である送り出しロールWaを収容する送り出し部107が備えられている。また、ベースフレーム101の前方側には、印刷処理後のワークWの巻回体である巻き取りロールWbを収容する巻き取り部108が備えられている。巻き取り部108は、巻き取りロールWbの巻回軸を回転駆動する図略の駆動源を備え、テンションローラー109で所定の張力をワークWに付与しつつ、当該ワークWを巻き取る。
【0033】
<キャリッジの構成>
図4は、キャリッジ2の全体斜視図である。図5は、アウターカバー102を取り外した状態の、プリンター1の斜視図である。図6は、図5に示されるプリンター1の部分的な拡大斜視図である。
【0034】
キャリッジ2には、ワークWに対してインク(液体)を噴射するヘッドユニット21(液体噴射ヘッド)と、インクカートリッジからヘッドユニット21へインクを供給する液体供給ユニット3とが搭載されている。すなわち、キャリッジ2は、ヘッドユニット21を保持し、装置本体11内において前記ワークWの搬送方向と交差する走査方向(左右方向)に沿って往復移動可能とされている。図4では、2台のヘッドユニット21と、8台の液体供給ユニット3とがキャリッジ2に搭載されている例を示している。すなわち、1台のヘッドユニット21当たり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクを供給するために、4台の液体供給ユニット3が装備されている。なお、各液体供給ユニット3に異なる色のインクが充填され、2つのヘッドユニット21から最大8色のインクが噴射される態様でもよい。
【0035】
ヘッドユニット21は、ヘッドユニット21上に形成された噴射位置(プラテン121上の位置)において、所定の画像情報に応じてワークWに上方からインク(液体)を噴射する。
【0036】
キャリッジ2は、ヘッドユニット21及びヘッドユニット21を保持するキャリッジフレーム20を備える。キャリッジフレーム20は、最も下方に位置する下段フレーム201と、下段フレーム201の上方に間隔を置いて配置された上段フレーム202と、上段フレーム202の上面に組み付けられたラック203と、上段フレーム202の後方部分に取り付けられた背面フレーム204とを含む。下段フレーム201と上段フレーム202とは、上下方向に延びる連結支柱205によって連結されている。背面フレーム204には、ボールねじ機構を備えた駆動シャフト63(図11)が搭載されており、そのボールねじで駆動されるナット部からなる雌ネジ部60S(図11)が、下段フレーム201に取り付けられている。また、背面フレーム204には、上下方向に延びるガイド支柱206が備えられている。前記ボールねじ機構の駆動により、下段フレーム201及び上段フレーム202の連結体は、ガイド支柱206でガイドされつつ、上下方向へ移動することができる。つまり、キャリッジ2の本体部分は、背面フレーム204に対して上下方向に移動可能である。
【0037】
下段フレーム201には、ヘッドユニット21が搭載されている。キャリッジ2の本体部分は上記の通り上下方向に移動可能であるので、ワークWに対するヘッドユニット21の上下方向の高さ位置が調整可能である。上段フレーム202には、液体供給ユニット3が搭載されている。8台の液体供給ユニット3は、ラック203内において左右方向に整列された態様で、上段フレーム202に支持されている。背面フレーム204には、キャリッジガイド15のガイドレール15Hでガイドされるスライド部材61H(図8)や、タイミングベルト16への固定部等が具備されている。
【0038】
図5に示すように、キャリッジガイド15は、左フレーム105および右フレーム106に開口された開口部を通じて、左フレーム105および右フレーム106よりも左右方向外側まで延びている。キャリッジガイド15は、キャリッジ2と係合し、前記走査方向に沿ってキャリッジ2をガイドする。図6を参照して、キャリッジガイド15は、中空状のガイド本体15Gと、ガイドレール15Hと、ケーブル支持部15Sと、を有する。
【0039】
ガイド本体15Gは、キャリッジガイド15の本体部分であって、キャリッジ2の走査方向(左右方向)と直交する断面で見た場合、矩形形状を有する。換言すれば、ガイド本体15Gは、上下および前後に延びる4つの面を備える。ガイド本体15Gは、アルミ材からなる。前述のタイミングベルト16は、ガイド本体15Gの前側面の前方とガイド本体15Gの中空内部とを周回するように配設されている。
【0040】
ガイドレール15Hは、ガイド本体15Gのうち、前方かつ下方の角部に隣接するようにガイド本体15Gに固定されている。なお、図6に示すように、ガイドレール15Hは、断面矩形形状を有する棒状の部材である。ガイドレール15Hは、アルミ材からなる。一方、キャリッジ2に備えられたスライド部材61H(図8)は、当該ガイドレール15Hと係合するように、上方が開口されたコの字形状を有する。
【0041】
プラテン121は、前記噴射位置においてヘッドユニット21に対向するとともに前記走査方向に沿って延びるように装置本体11に配置され、搬送ローラー13によって搬送されるワークWを下方から支持する。プラテン121は、アルミ材からなる。
【0042】
図7Aは、図6に示される検知センサ50の正面図である。図7Bは、図7Aに示される検知センサ50のアクチュエータ502の側面図である。
【0043】
キャリッジ2は、検知センサ50を備える。検知センサ50は、キャリッジ2の下段フレーム201の左側縁に配置されている(図6)。検知センサ50は、ヘッドユニット21とともに上下移動可能なようにキャリッジ2に配置される。検知センサ50は、ワークWまたはプラテン121に対するヘッドユニット21の高さに応じて所定の信号を出力する。検知センサ50は、本体部500と、検知部501と、アクチュエータ502と、を有する。
【0044】
本体部500は、検知センサ50の各部材を支持する。本体部500は、下段フレーム201に固定されている。
【0045】
検知部501は、本体部500の下方に配置される。検知部501は、アクチュエータ502の軸部502A回りの揺動角度に応じて、異なるパルス信号(信号)を出力する。検知部501は、発光部501Aと、受光部501Bと、を有する。発光部501Aと受光部501Bとの間には、図7Aに示すように、アクチュエータ502の遮光部502Cが配置される。発光部501Aは、不図示の検出光を出射する。受光部501Bは、発光部501Aから出射された検出光を受光する。
【0046】
アクチュエータ502は、検知部501に揺動可能に支持されている。アクチュエータ502は、軸部502Aと、接触部502Bと、遮光部502Cと、を有する。軸部502Aは、検知部501の下端部に前後方向(水平方向)に延びるとともに回動可能に支持されており、アクチュエータ502の揺動における支点となる。接触部502Bは、軸部502Aから前方且つ下方に延びている。接触部502Bは、検知部501(ヘッドユニット21)の上下移動に伴って、プラテン121またはワークWに当接可能な湾曲した先端部を有する。遮光部502Cは、軸部502Aに対して接触部502Bと反対側に配置されており、図7Bに示すように、扇形形状を有する。遮光部502Cには、所定の角度で開口された細長状のスリット502Dが複数配置されている。当該複数のスリット502Dは、アクチュエータ502の軸部502A回りの揺動における径方向に沿って延びている。図7Bでは、検知部501において出射される出射光の位置がスポット501Sで図示されている。接触部502Bの先端部(湾曲部)がプラテン121またはワークWに当接し、アクチュエータ502が図7Bの矢印方向に揺動すると、アクチュエータ502の揺動角度に応じた数のスリット502Dがスポット501Sにおいて検出光を透過する。この結果、アクチュエータ502の揺動角度に応じたパルス信号が検知センサ50から出力される。
【0047】
図8は、図6に示されるプリンター1の断面図であって、スライド部材61Hを通る断面で見た図である。図9は、図6に示されるプリンター1の断面図であって、上下駆動モータ62を通る断面で見た図である。図10および図11は、図4に示されるキャリッジ2の断面図であって、上下駆動モータ62を通る断面で見た図である。なお、図10は、キャリッジ2内においてヘッドユニット21が所定の基準高さ(待機位置)に配置された状態を示しており、図11は、ヘッドユニット21が上記基準高さよりも下方の下端位置に配置された状態を示している。
【0048】
図8図9を参照して、キャリッジ2は、キャリッジ側支持部61と、スライド部材61Hと、上下駆動モータ62(ヘッド移動機構)と、駆動シャフト63と、雌ネジ部60Sと、を有する。キャリッジ側支持部61は、キャリッジガイド15のガイドレール15Hの下方において、キャリッジ2の後端部に備えられた支持板である。スライド部材61Hは、キャリッジ側支持部61上に固定されており、断面視で略コの字形状を有する。スライド部材61Hが、キャリッジガイド15のガイドレール15Hと係合することで、キャリッジ2がガイドレール15Hに沿って走査方向に移動する。
【0049】
上下駆動モータ62は、キャリッジ2に搭載されており、キャリッジ2の本体部分を上下に移動させる。上下駆動モータ62から下方に延びる駆動シャフト63が、下段フレーム201に形成された雌ネジ部60Sと係合している。この結果、上下駆動モータ62の回転に応じて、ヘッドユニット21を保持したキャリッジ2の本体部分が上下に移動する。この際、上下駆動モータ62の正回転によってヘッドユニット21が上方に移動し、上下駆動モータ62の逆回転によってヘッドユニット21が下方に移動する。
【0050】
図12は、本実施形態に係る制御部90のブロック図である。プリンター1は、制御部90と、キャリッジモータ70(キャリッジ移動機構)と、表示部1Sと、を備える。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、前述の検知センサ50、上下駆動モータ62に加え、キャリッジモータ70、表示部1Sなどが電気的に接続されている。
【0051】
キャリッジモータ70は、キャリッジガイド15の右端部近傍に配置されたモータである。キャリッジモータ70は、キャリッジ2を前記走査方向に移動させる。具体的に、キャリッジモータ70が回転されると、前述のタイミングベルト16が周回移動する。この結果、タイミングベルト16に接続されたキャリッジ2が、ガイドレール15Hに沿って左右方向(走査方向)に移動する。キャリッジモータ70の回転方向が正逆方向に切換えられることで、キャリッジ2が往復移動する。
【0052】
表示部1Sは、プリンター1のサイドステーション103に配置されている。表示部1Sは、たとえばタッチパネル式の液晶パネルであって、プリンター1の種々の動作情報、画像形成情報などを表示する。
【0053】
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部901、情報量収集部902(シート情報検出部)、ヘッド位置設定部903(ヘッド位置検出部)および記憶部904を備えるように機能する。
【0054】
駆動制御部901は、キャリッジモータ70および上下駆動モータ62のオンオフ、回転方向、回転数(回転速度)を制御する。なお、駆動制御部901は、プリンター1に備えられたその他の駆動部材を制御する。
【0055】
情報量収集部902は、検知センサ50が出力する信号に応じて、少なくともプラテン121上のワークW(シート)の厚さを検出する。なお、本実施形態では、後述のとおり、情報量収集部902は、ワークWの右端部の位置、左端部の位置、ワークWの走査方向における幅なども検出する。
【0056】
ヘッド位置設定部903は、検知センサ50が出力する信号に応じて、ワークWまたはプラテン121に対するヘッドユニット21の高さを検出する。
【0057】
記憶部904は、駆動制御部901、情報量収集部902およびヘッド位置設定部903によって参照される各種の閾値、演算式、テーブルなどの情報を予め記憶している。
【0058】
次に、プリンター1において実行される検出動作について詳述する。本実施形態では、共通の検知センサ50の出力情報を利用して、ヘッドユニット21とワークWとの間隔およびワークWの厚さを検出することが可能となる。この結果、ワークWに対して安定した画像を形成することが可能となる。
【0059】
プリンター1では、検知センサ50が出力する信号に応じて、ヘッドユニット21のワークWまたはプラテン121に対するヘッドユニット21の高さが検出されるとともにヘッドユニット21が適切な高さに設定される。具体的に、ヘッド位置設定部903は、ヘッドユニット21がプラテン121に対して所定の基準位置に配置された状態において検知センサ50がヘッドユニット21とプラテン121との間の距離(高さ)に応じて出力する基準信号と、ヘッドユニット21が上下駆動モータ62によって前記基準位置から所定の高さに移動された状態において検知センサ50がヘッドユニット21とプラテン121との間の距離に応じて出力する第1比較信号とに基づいて、ヘッドユニット21の前記高さを検出する。
【0060】
一例として、検知センサ50のアクチュエータ502の接触部502Bの先端(下端)がプラテン121に当接し、予め設定されたパルス信号が出力された状態が上記の基準位置に設定されている。このとき、ヘッドユニット21はプラテン121の上方1mmの位置に配置される。この状態から所定のパルス数が更に検出されるまで、ヘッドユニット21が上下駆動モータ62によって上方または下方に移動されることで、ヘッドユニット21を所望の位置に配置することができる。すなわち、移動後のヘッドユニット21の位置(高さ)も、検知センサ50が出力する信号(第1比較信号)によって検出することができる。なお、接触部502Bの回動角度(検出されるスリット502Dの数)とヘッドユニット21の上下方向における距離との関係は予め記憶部904に格納されている。このように、ヘッド位置設定部903は、基準信号と第1比較信号とに基づいて、ヘッドユニット21の高さを検出する。したがって、ワークWに画像が形成される前に、基準信号および第1比較信号に基づいて、ヘッドユニット21を所望の高さに配置することができる。
【0061】
また、本実施形態では、情報量収集部902は、ヘッドユニット21がプラテン121に対して所定の基準位置に配置された状態において検知センサ50がヘッドユニット21とプラテン121との間の距離に応じて出力する基準信号と、プラテン121上にワークWが配置された状態において検知センサ50がヘッドユニット21とワークWとの間の距離に応じて出力する第2比較信号とに基づいて、ワークWの厚さを検出する。なお、基準信号の検出方法は、上記のヘッドユニット21の位置が設定される場合と同様である。一方、ワークWがプラテン121上に搬送されると、検知センサ50のアクチュエータ502の接触部502Bの先端部がワークWによって僅かに上方に押し上げられる。この際のアクチュエータ502の揺動角度によって、ワークWの厚さが検出される。そして、予め記憶部904に格納された、ワークWの厚さに応じた適切な高さ位置に、ヘッドユニット21が上下移動される。
【0062】
なお、ワークWの厚さ検出は、使用者によって補助されるものでもよい。すなわち、予め基準信号が検出された状態で、表示部1S上の所定の操作ボタンによってヘッドユニット21が最も上方まで移動される。この後、ワークWがプラテン121上に載置された状態で、再びヘッドユニット21が下降される。そして、検知センサ50のアクチュエータ502の接触部502Bの先端部がワークWに当接した際に出力される検知センサ50の信号(第2比較信号)によって、ワークWの厚さが検出されてもよい。
【0063】
このような構成によれば、情報量収集部902は、基準信号と第2比較信号とに基づいて、ワークWの厚さを検出する。したがって、ワークWの厚さが異なる場合でも、ヘッドユニット21を所望の高さに配置し、ワークWに安定して画像を形成することができる。
【0064】
更に、本実施形態では、情報量収集部902は、ヘッドユニット21がプラテン121に対して所定の基準位置に配置された状態において検知センサ50がヘッドユニット21とプラテン121との間の距離(高さ)に応じて出力する基準信号と、キャリッジモータ70によってキャリッジ2が前記走査方向に移動され、検知センサ50がヘッドユニット21とワークWとの間の距離(高さ)に応じて出力する第3比較信号とに基づいて、ワークWの前記走査方向における第1の端部の位置を検出する。図13は、検知センサ50のアクチュエータ502がワークWの第1の端部を検出する様子を示す斜視図である。なお、基準信号の検出方法は、上記のヘッドユニット21の位置が設定される場合と同様である。一方、ワークWがプラテン121上に図13の矢印DW方向に搬送された状態で、キャリッジ2が図13の矢印DSに示すように走査されると、検知センサ50のアクチュエータ502の接触部502Bの先端部がワークWによって僅かに上方に押し上げられる。この際のアクチュエータ502の揺動角度に応じた検知センサ50の出力信号(第3比較信号)によって、ワークWの厚さが検出される。また、予めキャリッジモータ70が出力するパルス数がカウントされることで、情報量収集部902がワークWの第1の端部W1の位置を取得することができる。すなわち、キャリッジ2が往復移動領域の右端部の待機位置に配置された状態から、キャリッジ2の移動とともに前記キャリッジモータ70のパルス数がカウントされることで、当該第1の端部W1の位置を検出、再現することができる。
【0065】
このような構成によれば、情報量収集部902は、基準信号と第3比較信号とに基づいて、ワークWの第1の端部(W1)の位置を検出する。このため、走査方向においてヘッドユニット21による画像の書き出し位置を安定して設定することができる。
【0066】
更に、情報量収集部902は、上記の第3比較信号と、キャリッジモータ70によって前記キャリッジ2が前記走査方向に更に移動され、検知センサ50がヘッドユニット21とプラテン121との間の距離(高さ)に応じて出力する第4比較信号とに基づいて、ワークWの前記走査方向における第1の端部W1とは反対の第2の端部の位置を検出することができる。すなわち、上記の第1の端部W1が検出される場合とは反対に、検知センサ50のアクチュエータ502が当接する対象がワークWからプラテン121に切換る際のアクチュエータ502の揺動角度に応じた検知センサ50の出力信号の変化(第3比較信号から第4比較信号への変化)によって、第2の端部が検出される。この際、キャリッジモータ70が出力するパルス数が第1の端部から継続してカウントされることで、情報量収集部902がワークWの第2の端部(不図示)の位置を取得することができる。
【0067】
このような構成によれば、情報量収集部902は、基準信号と第4比較信号とに基づいて、ワークWの第2の端部の位置を検出する。このため、走査方向においてヘッドユニット21による画像の書き終わり位置を安定して設定することができる。
【0068】
更に、情報量収集部902は、第1の端部の位置および第2の端部の位置に基づいて、ワークWの前記走査方向における幅を検出することができる。すなわち、アクチュエータ502が第1の端部から第2の端部に至るまでの時間と、この間のキャリッジモータ70が出力するパルス数から、ワークWの幅が検出可能となる。この場合、画像形成に先だってワークWの幅が検出されているため、ワークWに形成される画像がワークWに対してずれることやはみ出すことを予め防止することができる。また、このように検出されたワークWの幅を表示部1Sに出力し表示させることもできる。
【0069】
更に、本実施形態では、情報量収集部902は、キャリッジ2の走査方向への移動中に、検知センサ50がヘッドユニット21とワークWとの間の距離に応じて出力する信号の変動に基づいて、プラテン121上におけるワークWの部分的な浮き上がりを検出することができる。また、このように検出されたワークWの浮き情報を表示部1Sに出力し表示させることもできる。
【0070】
このような構成によれば、共通する検知センサ50の出力信号の変動を利用して、ヘッドユニット21の高さ位置やワークWの幅に加え、ワークWの浮き上がりを検出することができる。
【0071】
また、本実施形態では、検知センサ50が、水平な軸回りに揺動可能なアクチュエータ502と、アクチュエータ502の前記軸回りの揺動角度に応じて、異なるパルス信号を出力する検知部501と、を有する。このため、ワークWまたはプラテン121に接触することでアクチュエータ502が揺動し、当該アクチュエータ502の揺動角度に応じて出力されるパルス信号によって、ヘッドユニット21とワークWとの間隔およびワークWの厚さを検出することが可能となる。なお、図13に示すようにアクチュエータ502の接触部502Bが下方に向かって突出した湾曲形状を有していることで、キャリッジ2とともに検知センサ50が往復移動するように走査された場合であっても、接触部502BとワークWの端縁とが引っ掛かることが防止される。
【0072】
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取り得る。
【0073】
(1)上記実施形態では、検知センサ50が検知部501およびアクチュエータ502を含む態様にて説明したが、検知センサ50は、レーザ変位計などのように距離を測定可能な他のセンサからなるものでもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、アクチュエータ502が軸部502Aを支点として揺動する態様にて説明したが、アクチュエータ502は、上下方向にスライド移動するような他の態様でもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 プリンター(画像形成装置)
11 装置本体
2 キャリッジ
21 ヘッドユニット(液体噴射ヘッド)
12 ワーク搬送路(搬送路)
121 プラテン
13 搬送ローラー
2 キャリッジ
21 ヘッドユニット
50 検知センサ
500 本体部
501 検知部
501A 発光部
501B 受光部
502 アクチュエータ
502A 軸部
502B 接触部
502C 遮光部
502D スリット
60S 雌ネジ部
61 キャリッジ側支持部
61H スライド部材
62 上下駆動モータ
63 駆動シャフト
70 キャリッジモータ
90 制御部
901 駆動制御部
902 情報量収集部
903 ヘッド位置設定部
904 記憶部
W ワーク(シート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13