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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20220412BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220412BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G21/16 133
G03G21/16 161
G03G15/20 510
B41J29/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018098227
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019203965
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】池谷 岳志
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-030420(JP,A)
【文献】特開2008-275929(JP,A)
【文献】特開2007-047404(JP,A)
【文献】特開平10-190911(JP,A)
【文献】特開2004-004307(JP,A)
【文献】特開2014-025999(JP,A)
【文献】米国特許第05926671(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内に着脱可能に収容された所定ユニットと、上記所定ユニットを該画像形成装置本体に装着された状態でロックするロック部材と、該画像形成装置本体の側壁に形成された開口部を開閉する開閉カバーとを備えた画像形成装置であって、
上記開閉カバーは、軸部を支点に回動することで上記開口部を開閉する回動式カバーであり、
上記所定ユニットは、上記開閉カバーを上記画像形成装置本体から取外さない限り、上記開口部から該画像形成装置本体外に取り外し不能に構成され、
上記開閉カバーの回動中心部に着脱可能に係合して上記軸部として機能するとともに該開閉カバーを上記画像形成装置本体に連結する連結支持部材と、
上記ロック部材による上記所定ユニットのロックを解除可能なアンロック機構とをさらに備え、
上記連結支持部材は、上記アンロック機構を作動させるためのロック解除用部材としても使用可能に構成されている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
上記画像形成装置本体における上記開口部に臨む箇所には、上記開閉カバーから取り外された上記連結支持部材を組付け可能な被組付け部が設けられ、
上記アンロック機構は、上記被組付け部に組付けられた上記連結支持部材を介して所定の操作力が付与されることで、上記ロック部材による上記所定ユニットのロックを解除するように構成されている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
上記連結支持部材は特定形状部を有し、
上記被組付け部は、上記特定形状部に嵌合する嵌合部を有し、
上記連結支持部材は、上記特定形状部を上記嵌合部に嵌合させることで上記被組付け部に組付けられる、画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の画像形成装置において、
上記ロック部材は、上記所定ユニットをロックするロック位置と該ロックが解除されたアンロック位置との間で移動可能であり、
上記ロック部材を、上記ロック位置に付勢する付勢部材をさらに備え、
上記アンロック機構は、上記所定ユニットの側面から突出する突出ピン部と、該突出ピン部に対して揺動可能に支持された揺動部材とを備え、
上記揺動部材は、上記突出ピン部に外挿された筒部と、該筒部から径方向外側に突出するともに周方向に間隔を空けて設けられた第一突出片及び第二突出片を有していて、上記第一突出片に対して上記連結支持部材を介して上記所定の操作力が入力されることで、上記第二突出片が上記筒部と共に上記突出ピン部回りに回転して上記ロック部材を上記付勢部材の付勢力に抗して上記アンロック位置まで駆動するように構成されている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンター等の画像形成装置は、用紙に画像形成を行うための様々なユニットを備えている。このユニットの一例として、用紙に担持されたトナー像を加熱及び加圧して該用紙に定着させる定着ユニットや、トナー像を形成するための感光体ドラム等を有するドラムユニット等が挙げられる。
【0003】
これらのユニットは、装置本体に対してロック部材を介して着脱可能に装着されていて、必要に応じてロックを解除して装置本体から取り外され、修理又は新品と交換した後に装置本体に再装着される。
【0004】
例えば特許文献1には、定着ユニットを装置本体にロックするロック部材の一例が開示されている。このロック部材は、装置本体に設けられたフック係合部に係合する爪部を有している。定着ユニットには、ロック部材と連動する一対の取手を有している。定着ユニットは、この一対の取手が装置本体の開口部側を向くように装置本体に装着されている。開口部は開閉カバーにより閉塞されている。定着ユニットを取外す際には、上記開閉カバーを開いて、一対の取手を両手で掴んで内側に回転させる。これにより、ロック部材が回転して爪部とフック係合部との係合が外れる。これにより、定着ユニットは装置本体から取出し可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-191400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、装置本体に設けられる開口部は、定着ユニット(所定ユニット)の着脱作業以外にも、他部品の交換作業やジャム紙の除去作業を行う際にも使用される。
【0007】
このため、上記特許文献1に示すように、取手を回すだけで定着ユニット(所定ユニット)のロックが解除される画像形成装置では、ユーザーがジャム処理作業等を行っている際に誤って取手を回してしまう場合がある。この結果、所定ユニットのロックが意図せずに解除されて所定ユニットの装着位置が正規の位置からずれてしまうという問題がある。
【0008】
この問題を回避するべく、所定ユニットをビス等により装置本体に固定することが考えられる。しかしビスを使用したとしても、ドライバー等の工具を使用すればビスを簡単に取り外すことができる。このため、ユーザーが所定ユニットのロック用のビスを誤って取外してしまう可能性を排除することはできない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザーが所定ユニットのロックを誤って解除してしまうのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置本体内に着脱可能に収容された所定ユニットと、上記所定ユニットを該画像形成装置本体に装着された状態でロックするロック部材と、該画像形成装置本体の側壁に形成された開口部を開閉する開閉カバーとを備えている。
【0011】
そして、上記開閉カバーは、軸部を支点に回動することで上記開口部を開閉する回動式カバーであり、上記所定ユニットは、上記開閉カバーを上記画像形成装置本体から取外さない限り、上記開口部から該画像形成装置本体外に取り外し不能に構成され、上記開閉カバーの回動中心部に着脱可能に係合して上記軸部として機能するとともに該開閉カバーを上記画像形成装置本体に連結する連結支持部材と、上記ロック部材による上記所定ユニットのロックを解除可能なアンロック機構とをさらに備え、上記連結支持部材は、上記アンロック機構を作動させるためのロック解除用部材としても使用可能に構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザーが所定ユニットのロックを誤って解除してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態における画像形成装置を示す概略構成図である。
図2図2は、実施形態における画像形成装置を示す外観斜視図である。
図3図3は、実施形態における画像形成装置の開閉カバーを開いた状態を示す図3相当図である。
図4図4は、開閉カバーの回動中心部を拡大して示す拡大斜視図である。
図5図5は、図3のV-V線断面図である。
図6図6は、開閉カバーの連結支持部材を示す外観斜視図である。
図7図7は、画像形成装置本体に設けられたロック部材によりロックされた定着ユニットを装置内方側から見た斜視図である。
図8図8は、ロック部材が定着ユニットをロックするロック位置にある状態を示す図7のVIII-VIII線断面相当図である。
図9図9は、ロック部材による定着ユニットのロックが解除された状態を示す図8相当図である。
図10図10は、定着ユニットを上側から見た平面図である。
図11図11は、図10のXI部を拡大して示す拡大図である。
図12図12は、ロック部材によるロックが解除された状態を示す図11相当図である。
図13図13は、図3のXIII方向矢視図である
図14図14は、図13のXIV部を拡大して示す拡大図である。
図15図15は、連結支持部材を被組付プレートに組付けた状態を示す図14相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
《実施形態》
図1は、実施形態における画像形成装置1の一例を示す概略構成図を示す。この例では、画像形成装置1はタンデム方式のカラープリンターからなる。以下の説明において、前側、後側は、画像形成装置1の前側、後側(図1の紙面垂直方向の手前側、奥側)を意味し、左側、右側は、画像形成装置1を前側から見たときの左側、右側を意味するものとする。
【0016】
上記画像形成装置1は、外観視で矩形箱状をなす画像形成装置本体2を有している。画像形成装置本体2内には画像形成部3が収容されている。この画像形成部3は、ネットワーク接続等がされたコンピューター等の外部機器から伝送されてくる画像データーに基づき画像を用紙Pに転写形成する。画像形成部3の下方には、レーザー光を照射する露光装置4が配置され、画像形成部3の上方には、転写ベルト5が配置されている。露光装置4の下方には、用紙Pを貯留する給紙部6が配置されている。転写ベルト5の右側の上方には、用紙Pに転写形成された画像に定着処理を施す定着ユニット8(所定ユニットの一例)が配置されている。画像形成装置本体2の上部には、定着ユニット8で定着処理が施された用紙Pを排出する排紙部9が形成されている。画像形成装置1内には、給紙部6から排紙部9に向かって延びる用紙搬送路Tが設けられている。画像形成装置1における用紙搬送路Tに隣接する右側壁部2aには矩形状の開口部7が形成されている。この開口部7は、回動式の開閉カバー20によって閉塞されている。
【0017】
上記画像形成部3は、転写ベルト5に沿って一列に配置された4つの画像形成ユニット10を備えている。これら画像形成ユニット10は、感光体ドラム11を有している。各感光体ドラム11の直下には、帯電器12が配置され、各感光体ドラム11の左側には、現像装置13が配置され、各感光体ドラム11の直上には、一次転写ローラー14が配置され、各感光体ドラム11の右側には、感光体ドラム11の周面をクリーニングするクリーニング部15が配置されている。
【0018】
各感光体ドラム11は、帯電器12によって周面が一様に帯電され、当該帯電後の各感光体ドラム11の周面に対して、上記コンピューター等から入力された画像データーに基づく各色に対応したレーザー光が露光装置4から照射される。この結果、各感光体ドラム11の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置13から現像剤が供給されて、各感光体ドラム11の周面にイエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックのトナー像が形成される。これらトナー像は、一次転写ローラー14に印加された一次転写バイアスにより転写ベルト5にそれぞれ重ねて転写される。
【0019】
転写ベルト5の右側には、二次転写ローラー16が配置されている。二次転写ローラー16は、転写ベルト5と当接した状態で配置されている。二次転写ローラー16は、給紙部6から用紙搬送路Tに沿って搬送されてくる用紙Pを該二次転写ローラー16と転写ベルト5とで挟持する。二次転写ローラー16には二次転写バイアスが印加されており、この印加された二次転写バイアスにより転写ベルト5上のトナー像が用紙Pに転写される。尚、図中の符号17は、用紙Pを画像形成部3に供給するタイミングを調整するレジストローラーであり、符号23は用紙Pをガイドするガイドローラーである。
【0020】
定着ユニット8は、加熱ローラー18と加圧ローラー19とを備え、これら加熱ローラー18と加圧ローラー19とにより用紙Pを挟持して用紙Pを加圧しながら加熱する。そうして、定着ユニット8は、用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着させる。定着処理後の用紙Pは、排紙部9に排出される。
【0021】
[開閉カバーの構成]
次に図1図3を参照して開閉カバー20について説明する。開閉カバー20は、開口部7の形状に対応して略矩形板状に形成されている。開閉カバー20の内壁面20a(画像形成装置1の内方側の面)にはガイド部材21が取付けられている。ガイド部材21は、用紙搬送路Tに沿って延びる用紙ガイド面21aを有している。用紙ガイド面21aには、二次転写ローラー16、レジストローラー17及びガイドローラー23が設けられている。
【0022】
開閉カバー20は、その下端縁を支点にして全閉位置と開放位置との間で回動可能になっている。全閉位置では、図2に示すように開閉カバー20によって開口部7が閉塞されている。開放位置は、図3に示すように開閉カバー20を全閉位置から装置本体外方側に所定角度だけ傾動(回動)させた状態である。
【0023】
開放位置における開閉カバー20の開放角度は不図示のストッパー部材により制限されている。開閉カバー20が開放位置にある状態では、ユーザーは開口部7を通じて画像形成装置本体2内にアクセスしてジャム紙を取り除いたり所定部品を交換したりすることができるものの、定着ユニット8を画像形成装置本体2の外部に取り出すことはできない。
【0024】
すなわち、開閉カバー20の最大開放角度は、定着ユニット8が開閉カバー20と画像形成装置本体2との間を通過できない程度に設定されている。定着ユニット8は、開閉カバー20を画像形成装置本体2から取り外さない限り、開口部7を通じて画像形成装置本体2外に取り出し不能になっている。
【0025】
[開閉カバーの支持構造]
次に図4及び図5を参照して、画像形成装置本体2に対する開閉カバー20の支持構造を説明する。画像形成装置本体2における開口部7の下端部付近には、開閉カバー20の下端部を挟んで前後方向に対向する一対のカバー支持部2bが形成されている。一対のカバー支持部2bにより開閉カバー20の支持構造は同じであるため、図4及び図5では、前側のカバー支持部2bのみを示している。
【0026】
各カバー支持部2bは支持孔2cを有する円筒状に形成されている。開閉カバー20の下端部の前後方向の両側面には、支持孔2cと同軸に支持孔20bが形成されている。支持孔2c及び支持孔20bには、連結支持部材30の軸部32が挿通されている。そうして、開閉カバー20は軸部32に対して回動可能に支持されている。
【0027】
[連結支持部材の構成]
図6に示すように、連結支持部材30は、矩形状のプレート部31と、プレート部31の一側面から突出する上記軸部32とを有している。軸部32は、その基端側の大径部32aと先端側の小径部32bとで構成されている。大径部32aの外周面は、カバー支持部2bの支持孔2cの内周面に嵌合する。小径部32bの外周面は、開閉カバー20の支持孔20bの内周面に嵌合する。プレート部31の軸部32側とは反対側の面には板状摘み部31aが突設されている。開閉カバー20が閉位置にある状態ではこの板状摘み部31aが画像形成装置本体2の内壁面に対し僅かな隙間を持って対向する。そうして画像形成装置本体2の内壁面よって連結支持部材30の抜けが阻止される。一方、開閉カバー20が開放位置に移動すると連結支持部材30が画像形成装置本体2の外側に露出する。したがって、ユーザーは板状摘み部31aを把持して連結支持部材30を上記両支持孔2c,20bから抜き取ることができる(図5の二点鎖線参照)。連結支持部材30を抜き取ると、開閉カバー20を拘束する部材が無くなり、開閉カバー20を画像形成装置本体2から取外し可能になる。
【0028】
[定着ユニットの構成]
画像形成装置本体2内における開閉カバー20の内方側には、上記定着ユニット8が着脱可能に装着されている。
【0029】
図7に示すように、定着ユニット8は、加熱ローラー18及び加圧ローラー19を内部に収容する筐体80を有している。筐体80は、加熱ローラー18及び加圧ローラー19の軸方向に延びる中空箱状をなしている。筐体80を画像形成装置本体2内に装着した状態では、筐体80の長手方向と画像形成装置本体2の前後方向とが一致している。筐体80は、画像形成装置本体2内に設けられたロック部材40により装着状態でロックされる。
【0030】
筐体80における開閉カバー20側とは反対側の側壁には、ロック部材40が挿通される一対の挿通孔80aが形成されている。筐体80の上面にはロック部材40による該筐体80のロックを解除するためのアンロック機構81が設けられている。アンロック機構81は専用のロック解除用部材によって駆動される。上記連結支持部材30はこのロック解除用部材として使用可能になっている。
【0031】
[定着ユニットのロック機構]
図7図9を参照して、定着ユニット8を装着状態にロックするロック機構70の詳細について説明する。ロック機構70は、上記ロック部材40と、ロック部材40をロック側に付勢する圧縮コイルバネ41(付勢部材の一例。図8及び図9にのみ示す)とを有している。
【0032】
ロック部材40は、画像形成装置本体2に対して前後方向にスライド可能に取付けられている。具体的には、ロック部材40は、スライド板部40a、一対の突出片40b、一対の爪部40cを有している。
【0033】
スライド板部40aは、前後方向に延びる鉛直板状をなしている。スライド板部40aは、画像形成装置本体2に設けられた不図示のガイド部材によって前後方向に移動可能にガイドされている。スライド板部40aの後側寄りの部分には直方体状のブロック部40dが一体形成されている。ブロック部40dの上面には、アンロック機構81によりロック解除方向の押圧力を受ける被押圧部40e(図7参照)が突設されている。
【0034】
上記一対の突出片40bは、スライド板部40aの前後方向の両端部から定着ユニット8側(右側)に突出している。定着ユニット8を画像形成装置本体2内に装着した状態では、各突出片40bが、筐体80の側壁に形成された挿通孔80aに挿通される。一対の爪部40cは、各突出片40bの先端部に形成されている。
【0035】
上記圧縮コイルバネ41は、ロック部材40の後端部と画像形成装置本体2の後壁との間に圧縮状態で配置されている。そして、圧縮コイルバネ41はロック部材40を常時、前側に付勢している。
【0036】
図8に示すロック状態では、圧縮コイルバネ41によりロック部材40が前側に付勢されることにより、一対の爪部40cが、筐体80の内壁面に形成された被係合ブロック部80bに係合している(図8参照)。この状態から、ロック部材40を圧縮コイルバネ41の付勢力に抗して後側に移動させると、図9に示すように、一対の爪部40cと被係合ブロック部80bとの係合が解除される。そうして、ロック部材40による定着ユニット8のロックが解除されてアンロック状態になる。
【0037】
[定着ユニットのロック機構]
次に図10図12を参照してアンロック機構81について説明する。アンロック機構81は、ロック部材40による定着ユニット8のロックを解除するための機構である。
【0038】
具体的には、アンロック機構81は、筐体80の上面から突出する円柱状の突出ピン部80cと、突出ピン部80cに揺動可能に支持された揺動部材82とを有している。
【0039】
揺動部材82は、筒部82a、第一突出片82b及び第二突出片82cを有している。筒部82aは、突出ピン部80cに揺動可能に外嵌されている。第一突出片82bは、筒部82aの外周面から径方向外側に突出している。第一突出片82bは前後方向に平行に延びている。第二突出片82cも同様に、筒部82aの外周面から径方向外側に突出している。第二突出片82cは、上側から見て第一突出片82bに対して鋭角(例えば60°)に配置されている。第二突出片82cの先端部は、僅かに折れ曲がってロック部材40のスライド方向(前後方向)に垂直な板状をなしている。
【0040】
図11に示すように、ロック部材40により定着ユニット8がロックされた状態では、第二突出片82cの先端部はロック部材40の被押圧部40eよりも前側に位置していて被押圧部40eに当接していない。この状態から、揺動部材82の第一突出片82bに対して所定の操作力Fを付与すると、図12に示すように揺動部材82が図の時計回り方向に回転する。この結果、第二突出片82cの先端部がロック部材40の被押圧部40eを後側に押圧して、ロック部材40が後側にスライドする。これにより、ロック部材40の一対の爪部40cと被係合ブロック部80bとの係合が解除される(図9参照)。上記操作力Fは、連結支持部材30を被組付けプレート2e(被組付け部)に組付けて押し込むことで付与される。
【0041】
[被組付けプレートの構成]
図13及び図14に示すように、上記被組付けプレート2eは、画像形成装置本体2のフレーム部材に固定された水平板部2dに立設されている。水平板部2dは、定着ユニット8の装着空間の上側近傍に位置している。被組付けプレート2eは開口部7に臨むように配置されている。被組付けプレート2eは、開閉カバー20を取り外すことで開口部7から外部に露出する。被組付けプレート2eは前後方向に長い矩形板状をなしている。被組付けプレート2eの前端部には、連結支持部材30の軸部32が挿通される嵌合孔2fが形成されている。連結支持部材30を被組付けプレート2eに組付ける際には、先ず、連結支持部材30の軸部32を先端側から嵌合孔2fに挿通して行く。軸部32の大径部32aの外周面が嵌合孔2fの内周面に差し掛かったとき、軸部32の先端面が揺動部材82の第一突出片82bに当接する。この段階では、プレート部31と被組付けプレート2eとの間には僅かに隙間が存在する。プレート部31が被組付けプレート2eに当接するまで連結支持部材30を押し込むことで、軸部32の先端より揺動部材82の第一突出片82bに上記操作力Fが付与される。
【0042】
[定着ユニットの取り外し作業]
以上のように構成された画像形成装置1において、定着ユニット8を画像形成装置本体2から取り外す際には、先ず、連結支持部材30をカバー支持部2bから取り外す。そうして、開閉カバー20をフリーの状態にして画像形成装置本体2から取り外す。これにより定着ユニット8を開口部7から画像形成装置本体外に取り出し可能な状態になるが、定着ユニット8のロックを解除する必要がある。そこで、上記取り外した連結支持部材30を上述した手順で被組付けプレート2eに組付けて押し込む。そうして、アンロック機構81を作動させてロック部材40による定着ユニット8のロックを解除してから、定着ユニット8を画像形成装置本体外に取り外す。
【0043】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態では、定着ユニット8の取り外しを行う際に必ず取り外さなくてはいけない部品である連結支持部材30をロック解除用部品として使用するようにした。これにより、ユーザーが定着ユニット8の取り外し作業以外の作業を行う際に誤ってアンロック機構81を作動させるのを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態では、アンロック機構81は、被組付けプレート2eに組付けた連結支持部材30を介して所定の操作力Fが付与されることで、ロック部材40による定着ユニット8のロックを解除するように構成されている。
【0045】
この構成によれば、ユーザーが、連結支持部材30を介しアンロック機構81に対し意図的に操作力Fを付与しない限り、定着ユニット8のロックが解除されることはない。よって、定着ユニット8のロックが意図せずに解除されるのを防止することができる。
【0046】
また、本実施形態では、被組付けプレート2eは、連結支持部材30の軸部32の大径部32a(特定形状部)に嵌合する嵌合孔2f(嵌合部)を有している。そして、連結支持部材30は、この大径部32aを嵌合孔2fに嵌合させることで被組付けプレート2eに組付けられる。
【0047】
この構成によれば、被組付けプレート2eに互換部品が組付けられるのを極力回避することができる。よって、定着ユニット8の取り外し作業以外の作業を実行する際に、アンロック機構81が作動する可能性を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、アンロック機構81は、突出ピン部80cに対して揺動可能に支持された揺動部材82を有し、揺動部材82は、突出ピン部80cに外挿された筒部82aと、該筒部82aから径方向外側に突出するともに周方向に間隔を空けて設けられた第一突出片82b及び第二突出片82cを有している。そして、アンロック機構81は、第一突出片82bに対して連結支持部材30を介して上記所定の操作力Fが入力されることで、第二突出片82cが筒部82aと共に突出ピン部80c回りに回転してロック部材40を圧縮コイルバネ41の付勢力に抗してアンロック位置(図9の位置)まで駆動するように構成されている。
【0049】
この構成によれば、アンロック機構81を定着ユニット8の筐体80の上面に収まるようにコンパクトに配置することができる。
【0050】
《他の実施形態》
上記実施形態では、所定ユニットの一例として定着ユニット8を挙げて説明したが、これに限ったものではない。所定ユニットは、例えば画像形成ユニット10や現像ユニット等であってもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置1がプリンターである例について説明したが、これに限ったものでない。すなわち、画像形成装置1は、複写機、ファクシミリー、又は複合機(MFP)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明は画像形成装置について有用であり、特に、プリンター、複写機、ファクシミリー又は複合機(MFP)等に有用である。
【符号の説明】
【0052】
F :所定の操作力
1 :画像形成装置
2 :画像形成装置本体
2e :被組付けプレート(被組付け部)
8 :定着ユニット
20 :開閉カバー
30 :連結支持部材
32 :軸部
32a :大径部(特定形状部)
40 :ロック部材
41 :圧縮コイルバネ(付勢部材)
80c :突出ピン部
81 :アンロック機構
82 :揺動部材
82a :筒部
82b :第一突出片
82c :第二突出片
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