(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】電極製造装置及び電極製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20220412BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20220412BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20220412BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20220412BHJP
H01M 4/26 20060101ALN20220412BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/70 A
H01G13/00 381
H01G11/86
H01M4/26 Z
(21)【出願番号】P 2018142311
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】合田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】濱口 陽平
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004743(JP,A)
【文献】特開2013-110049(JP,A)
【文献】特開2017-117731(JP,A)
【文献】特開2016-219329(JP,A)
【文献】特開2014-167859(JP,A)
【文献】特開2011-151143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/70
H01G 13/00
H01G 11/86
H01M 4/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、前記突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する電極製造装置であって、
前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の側から前記電極母材を挟み込みつつ、前記電極母材を前記搬送方向に搬送する一対の第1搬送ロールと、
前記第1搬送ロールよりも前記搬送方向の下流に位置し、前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の側から前記電極母材を挟み込みつつ、前記電極母材を前記搬送方向に搬送する一対の第2搬送ロールと、
を備え、
前記第2搬送ロールが前記粗化面部に接触せずに対向しているときに前記第1搬送ロールは前記電極部に接触し、前記第1搬送ロールが前記粗化面部に接触せずに対向しているときに前記第2搬送ロールは前記電極部に接触
し、
前記電極母材は、前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の少なくともいずれかに、前記搬送方向に直交する方向の両端部に前記粗化面部が配置され、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部の間に前記電極部が配置され、
前記第1搬送ロール及び前記第2搬送ロールは、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部に対向せず、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部の間の前記電極部に接触する、電極製造装置。
【請求項2】
一対の前記第1搬送ロールの間隔は、前記第1搬送ロールが前記電極部に接触しつつ前記粗化面部に接触しない間隔に維持され、
一対の前記第2搬送ロールの間隔は、前記第2搬送ロールが前記電極部に接触しつつ前記粗化面部に接触しない間隔に維持されている、請求項
1に記載の電極製造装置。
【請求項3】
帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、前記突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する電極製造方法であって、
一対の第1搬送ロールにより、前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の側から前記電極母材を挟み込みつつ、前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程と、
前記第1搬送ロールよりも前記搬送方向の下流に位置する一対の第2搬送ロールにより、前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の側から前記電極母材を挟み込みつつ、前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程と、
を備え、
前記第1搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程及び前記第2搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程では、前記第2搬送ロールが前記粗化面部に接触せずに対向しているときに前記第1搬送ロールは前記電極部に接触し、前記第1搬送ロールが前記粗化面部に接触せずに対向しているときに前記第2搬送ロールは前記電極部に接触
し、
前記電極母材は、前記導電性シートの前記表面及び前記裏面の少なくともいずれかに、前記搬送方向に直交する方向の両端部に前記粗化面部が配置され、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部の間に前記電極部が配置され、
前記第1搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程及び前記第2搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程では、前記第1搬送ロール及び前記第2搬送ロールは、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部に対向せず、前記搬送方向に直交する方向の両端部の前記粗化面部の間の前記電極部に接触する、電極製造方法。
【請求項4】
前記第1搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程及び前記第2搬送ロールにより前記電極母材を前記搬送方向に搬送する工程では、
一対の前記第1搬送ロールの間隔は、前記第1搬送ロールが前記電極部に接触しつつ前記粗化面部に接触しない間隔に維持され、
一対の前記第2搬送ロールの間隔は、前記第2搬送ロールが前記電極部に接触しつつ前記粗化面部に接触しない間隔に維持される、請求項
3に記載の電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、電極製造装置及び電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の導電性シートの表面及び裏面に活物質が塗工されている電極母材を搬送することにより電極を製造する技術が知られている。例えば、特許文献1には、帯状の導電性シートの表面又は裏面に活物質が塗工されている電極母材を一対のロールで挟み込みつつ搬送することにより、活物質の厚みを均一にする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する場合がある。粗化面部は、例えば、電極母材から製造された電極を樹脂枠に溶着するときに、電極と樹脂枠との溶着の強度を向上させるために設けられる。しかしながら、上述のような電極製造装置は、電極母材の電極部と同様に電極母材の粗化面部も同じ圧力で挟み込みつつ搬送する。この場合、ロールで粗化面部の突起部を直接に押さえ付けることにより、粗化面部の突起部が導電性シートから脱落することがある。
【0005】
そこで本発明は、粗化面部には接触せずに電極母材を搬送することができる電極製造装置及び電極製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する電極製造装置であって、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する一対の第1搬送ロールと、第1搬送ロールよりも搬送方向の下流に位置し、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する一対の第2搬送ロールとを備え、第2搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第1搬送ロールは電極部に接触し、第1搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第2搬送ロールは電極部に接触する電極製造装置である。
【0007】
この構成によれば、帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する電極製造装置において、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する一対の第1搬送ロールと、第1搬送ロールよりも搬送方向の下流に位置し、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する一対の第2搬送ロールとを備え、第2搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第1搬送ロールは電極部に接触し、第1搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第2搬送ロールは電極部に接触する。このため、第1搬送ロール及び第2搬送ロールのいずれも電極部に接触しつつ、粗化面部には接触せずに電極母材を搬送することができる。
【0008】
この場合、電極母材は、導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、搬送方向に直交する方向の両端部に粗化面部が配置され、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間に電極部が配置され、第1搬送ロール及び第2搬送ロールは、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部に対向せず、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間の電極部に接触することが好適である。
【0009】
この構成によれば、導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、搬送方向に直交する方向の両端部に粗化面部が配置され、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間に電極部が配置されている電極母材に対し、第1搬送ロール及び第2搬送ロールは、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部に対向せず、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間の電極部に接触する。このため、ロールの搬送方向に直交する方向の幅が長く、ロールが搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部に対向している場合に、ロールが撓むことにより、ロールが粗化面部に接触することを防止することができる。
【0010】
また、一対の第1搬送ロールの間隔は、第1搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持され、一対の第2搬送ロールの間隔は、第2搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持されていることが好適である。
【0011】
この構成によれば、一対の第1搬送ロールの間隔は、第1搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持され、一対の第2搬送ロールの間隔は、第2搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持されているため、より確実に、第1搬送ロール及び第2搬送ロールのいずれも電極部に接触しつつ、粗化面部には接触せずに電極母材を搬送することができる。
【0012】
また、本発明は、帯状の導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、突起部が突出した粗化面部と、突起部よりも高く突出した電極部とが搬送方向に沿って交互に配置された電極母材を搬送することにより電極を製造する電極製造方法であって、一対の第1搬送ロールにより、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する工程と、第1搬送ロールよりも搬送方向の下流に位置する一対の第2搬送ロールにより、導電性シートの表面及び裏面の側から電極母材を挟み込みつつ、電極母材を搬送方向に搬送する工程とを備え、第1搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程及び第2搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程では、第2搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第1搬送ロールは電極部に接触し、第1搬送ロールが粗化面部に接触せずに対向しているときに第2搬送ロールは電極部に接触する電極製造方法である。
【0013】
この場合、電極母材は、導電性シートの表面及び裏面の少なくともいずれかに、搬送方向に直交する方向の両端部に粗化面部が配置され、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間に電極部が配置され、第1搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程及び第2搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程では、第1搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程及び第2搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程では、第1搬送ロール及び第2搬送ロールは、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部に対向せず、搬送方向に直交する方向の両端部の粗化面部の間の電極部に接触することが好適である。
【0014】
また、第1搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程及び第2搬送ロールにより電極母材を搬送方向に搬送する工程では、一対の第1搬送ロールの間隔は、第1搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持され、一対の第2搬送ロールの間隔は、第2搬送ロールが電極部に接触しつつ粗化面部に接触しない間隔に維持されることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電極製造装置及び電極製造方法によれば、粗化面部には接触せずに電極母材を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の実施形態を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電極製造装置を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図3の電極母材の面付近を拡大視した断面図である。
【
図5】(A)は
図3の電極製造装置の一部を示す平面図であり、(B)は
図3の電極製造装置の作用を示す側面図である。
【
図6】(A)は従来の電極製造装置の一部を示す平面図であり、(B)は従来の電極製造装置の搬送ローラが正極及び負極に接触している状態を示す側面図であり、(C)は従来の電極製造装置の搬送ローラが電極板の面に接触している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。例えば、X軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が鉛直方向である。
【0018】
図1を参照して、蓄電装置の実施形態について説明する。
図1に示される蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は、例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、及びリチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0019】
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向(Z軸方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向に直列に接続される。積層方向において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、正極端子24が接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、負極端子26が接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向に交差する方向(X軸方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
【0020】
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向に交差する方向(Y軸方向)に延在する。積層方向から見て、導電板14の面積は、蓄電モジュール12の面積よりも小さいが、蓄電モジュール12の面積と同じかそれより大きくてもよい。また、積層方向から見て、導電板14は蓄電モジュール12を覆っていてもよい。
【0021】
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)と、を備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。積層方向から見て、絶縁フィルム22の面積は導電板14の面積よりも大きく、絶縁フィルム22は導電板14を覆っていてもよい。また、積層方向から見て、各拘束プレート16A,16Bの面積は、蓄電モジュール12の面積よりも大きく、各拘束プレート16A,16Bは蓄電モジュール12を覆っていてもよい。積層方向から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H2が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔H1及び挿通孔H2は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
【0022】
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16Aから他方の拘束プレート16Bに向かって挿通孔H1及び挿通孔H2に通される。他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向に拘束荷重が付加される。
【0023】
図2を参照して、蓄電装置を構成する蓄電モジュールについて説明する。
図2に示される蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極32が積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向から見て、積層体30は、例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。
【0024】
各バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の面34cに設けられた正極36と、電極板34の面34dに設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。
【0025】
積層方向において、積層体30の上端には、積層体30の内側に対向した面34dに負極38が配置された電極板34が配置される。この電極板34は負極側終端電極に相当する。積層方向において、積層体30の下端には、積層体30の内側に対向した面34cに正極36が配置された電極板34が配置される。この電極板34は正極側終端電極に相当する。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(
図1参照)に接続される。
【0026】
蓄電モジュール12は、バイポーラ電極32の積層方向に延在し、積層体30を収容する筒状の樹脂部50を備える。樹脂部50は、複数の電極板34の周縁部34aを保持する。樹脂部50は、積層体30を取り囲むように構成されている。樹脂部50は、バイポーラ電極32の積層方向から見て例えば矩形形状を有している。すなわち、樹脂部50は例えば矩形枠状である。
【0027】
樹脂部50は、電極板34の周縁部34aを保持する第1シール部52と、積層方向に交差する方向(X軸方向及びY軸方向)において第1シール部52の外側に設けられた第2シール部54とを有する。
【0028】
樹脂部50の内壁を構成する第1シール部52は、複数のバイポーラ電極32(すなわち積層体30)における電極板34の周縁部34aの全周にわたって設けられている。第1シール部52は、電極板34の周縁部34aに例えば溶着されており、その周縁部34aを封止する。すなわち、第1シール部52は、電極板34の周縁部34aに接合されている。各バイポーラ電極32の電極板34の周縁部34aは、第1シール部52に保持されている。積層体30の両端に配置された電極板34の周縁部34aも、第1シール部52に保持されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1シール部52とによって液密に仕切られた内部空間が形成されている。当該内部空間には、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
【0029】
樹脂部50の外壁を構成する第2シール部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する第1シール部52の外周面52aを覆っている。第2シール部54の内周面54aは、第1シール部52の外周面52aに例えば溶着されており、その外周面52aをシールする。すなわち、第2シール部54は、第1シール部52の外周面52aに接合されている。第1シール部52に対する第2シール部54の溶着面(接合面)は、例えば4つの矩形平面をなす。
【0030】
電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の周縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。未塗工領域では、電極板34が露出している。その未塗工領域が、樹脂部50の内壁を構成する第1シール部52に保持されている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。積層方向から見て、電極板34の面34dにおける負極38の形成領域は、電極板34の面34cにおける正極36の形成領域に対して一回り大きくてもよい。
【0031】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40は、例えば矩形形状を有する。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されてもよい。
【0032】
樹脂部50(第1シール部52及び第2シール部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。樹脂部50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
【0033】
次に、
図3、
図4、
図5(A)及び
図5(B)を参照して、蓄電モジュール12のバイポーラ電極32の電極製造装置について説明する。
図3に示される電極製造装置200は、バイポーラ電極32の製造装置である。電極製造装置200は、帯状の導電性シート61の表面61a及び裏面61bに、突起部が突出した粗化面部62と、突起部よりも高く突出した電極部63とが搬送方向Dに沿って交互に配置された電極母材60を搬送し、帯状の長尺な電極母材60を切断することにより、バイポーラ電極32を製造する。
【0034】
電極母材60は、バイポーラ電極32のもととなる電極材料であり、帯状の長尺な導電性シート61と、導電性シート61に設けられた複数の活物質層(正極36及び負極38)と、を有する。導電性シート61は、電極板34のもととなる部材であり、表面61aと、表面61aとは反対側の裏面61bと、を有する。複数の活物質層は、導電性シート61の長手方向、つまり搬送方向Dに沿って間欠的に配列されている。複数の活物質層は、複数の正極活物質層(正極36)と、複数の負極活物質層(負極38)と、を含む。
【0035】
複数の正極36は、導電性シート61の表面61aにおいて、搬送方向Dに沿って所定のピッチで間欠的に配列されている。複数の負極38は、導電性シート61の裏面61bにおいて、長手方向に沿って所定のピッチで間欠的に配列されている。導電性シート61の厚み方向から視て、正極36と負極38とは導電性シート61を介して互いに重なるように、正極36及び負極38は配置されている。導電性シート61の表面61a及び裏面61bにおいて、搬送方向Dに沿って間欠的に配列された正極36及び負極38の部位が電極部63である。また、導電性シート61の表面61a及び裏面61bにおいて、搬送方向Dに沿って間欠的に配列された正極36及び負極38の間の部位が粗化面部62である。導電性シート61の表面61a及び裏面61bにおいて、電極部63の搬送方向Dの範囲の長さは、粗化面部62の搬送方向Dの範囲の長さ以上である。
【0036】
正極36及び負極38は、導電性シート61の厚み方向から視て、例えば矩形形状を有する。搬送方向Dに互いに隣り合う2つの正極36の間には、導電性シート61の表面61aが露出している粗化面部62が設けられている。
図4に示されるように、表面61aの粗化面部62では、突起部61pが突出している。粗化面部62には、例えば、電解メッキ処理により、導電性シート61の表面61aに複数の突起部61pが形成されている。電極部63にも突起部61pが形成されているが、正極36を形成する正極活物質により突起部61pは露出せずに被覆されている。このため、電極部63は、表面61aにおいて突起部61pよりも高く突出している。表面61aと同様に、搬送方向Dに互いに隣り合う2つの負極38の間には、導電性シート61の裏面61bが露出している粗化面部62が設けられている。
【0037】
図5(A)に示されるように、電極母材60は、導電性シート61の表面61a及び裏面61bに、導電性シート61の短手方向、つまり搬送方向Dに直交する方向の両端部に粗化面部62が配置され、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間に電極部63が配置されている。本実施形態では、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63は、搬送方向Dに直交する方向に分割された複数の領域である。搬送方向Dに直交する方向に互いに隣接する電極部63の領域の間には、粗化面部62と同様に導電性シート61の表面61a及び裏面61bが露出し、突起部61pが突出している。なお、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63は分割されておらず、導電性シート61の表面61a及び裏面61bが露出していなくともよい。
【0038】
図3に示されるように、電極製造装置200は、電極母材搬送装置100、切断装置120、電極搬送装置130及びコントローラ160を備える。電極母材搬送装置100は、電極母材60を供給するとともに、搬送方向Dに電極母材60を搬送する。供給機構110は、供給ロール111、アキューム機構113、ロール114,115,116,117、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152を備える。
【0039】
供給ロール111は、回転により電極母材60を連続的又は間欠的に繰り出す。ロール114~117は、フリーロールである。電極母材60は、ロール114~117に順に架け渡されている。つまり、ロール114~117は、電極母材60の搬送経路を規定する。ロール116は、不図示の駆動機構により上下に移動可能に構成されている。ロール116は、ダンサーロールとも称される。
【0040】
ロール115~117によって、アキューム機構113が構成される。アキューム機構113は、電極母材60を間欠的に搬出する機構である。アキューム機構113は、供給ロール111から連続的に電極母材60が繰り出されている状態において、ロール116を上下に移動させることにより、ロール115からロール117に至る搬送経路の経路長を変更する。ロール116は、例えば、電極母材60の張力に応じて上下に移動される。これにより、電極母材60は、電極母材60の張力を維持しつつ、ロール117から間欠的に搬出される。なお、供給ロール111がブレーキ機構を有してもよく、ブレーキ機構が電極母材60を引っ張ることで電極母材60に張力が付与されてもよい。また、本実施形態では、ロール117から第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の間では、電極母材60は、表面61aが上方を向くように搬送される。
【0041】
一対の第1搬送ロール151は、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する。一対の第2搬送ロール152は、第1搬送ロール151よりも搬送方向Dの下流に位置し、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する。第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152は、ロール114~117のようなフリーロールではなく、不図示の動力源により回転駆動される。第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の回転は、コントローラ160により制御される。第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の外周面は、例えば、ゴムにより覆われている。
【0042】
図5(B)に示されるように、第2搬送ロール152が粗化面部62に接触せずに対向しているときに第1搬送ロール151は電極部63に接触する。また、
図3に示されるように、第1搬送ロール151が粗化面部62に接触せずに対向しているときに第2搬送ロール152は電極部63に接触する。なお、電極母材60の搬送に伴い、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152のいずれもが電極部63に接触している状態となってもよい。
【0043】
例えば、電極母材60の表面61a及び裏面61bのいずれかにおける搬送方向Dに粗化面部62を挟んで互いに隣接する電極部63のそれぞれに対して、第1搬送ロール151の電極母材60との接触位置と第2搬送ロール152の電極母材60との接触位置との間隔は、搬送方向Dの下流側の電極部63の後縁部と搬送方向Dの上流側の電極部63の前縁部との間隔以下であり、搬送方向Dの下流側の電極部63の前縁部と搬送方向Dの上流側の電極部63の後縁部との間隔以上である。なお、製造される電極母材60の規格の変更に対応するために、電極母材60の表面61a及び裏面61bのいずれかにおける第1搬送ロール151と第2搬送ロール152との間隔は適宜変更可能でもよい。
【0044】
図5(A)に示されるように、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152は、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62に対向せず、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63に接触する。つまり、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の搬送方向Dに直交する方向の幅は、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63の幅以下である。なお、製造される電極母材60の規格の変更に対応するために、搬送方向Dに直交する方向の幅が異なる第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152が適宜備えられ、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の動力源の回転軸にそれぞれ着脱自在でもよい。
【0045】
図3及び
図5(B)に示されるように、一対の第1搬送ロール151の間隔は、第1搬送ロール151が電極母材60の電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持される。また、一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔は、第2搬送ロール152が電極母材60の電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持されている。つまり、一対の第1搬送ロール151のそれぞれの間隔及び一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔は、定寸管理がなされている。
【0046】
なお、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152が電極部63に接触しつつ粗化面部62には接触しない範囲の任意の間隔が設定されてもよい。一対の第1搬送ロール151のそれぞれの間隔及び一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔が当該任意の間隔より大きいときには、一対の第1搬送ロール151及び一対の第2搬送ロール152は所定の圧力で電極母材60を挟み込む定圧管理がなされてもよい。一対の第1搬送ロール151のそれぞれの間隔及び一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔が当該任意の間隔以下であるときには、一対の第1搬送ロール151のそれぞれの間隔及び一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔が当該任意の間隔以下にならないように定寸管理がなされてもよい。
【0047】
また、製造される電極母材60の規格の変更に対応するために、一対の第1搬送ロール151のそれぞれの間隔及び一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔は適宜変更可能でもよい。また、直径が異なる第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152が複数備えられ、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152の動力源の回転軸にそれぞれ着脱自在でもよい。
【0048】
切断装置120は、搬送方向Dに直交する方向に電極母材60の粗化面部62を切断することにより、個片化されたバイポーラ電極32を形成する。切断装置120は、下刃121と、上刃122と、駆動装置123とを備える。下刃121は、固定刃であり、電極母材60の下側に配置されている。上刃122は、可動刃であり、駆動装置123によって上下に移動可能に構成されている。下刃121と上刃122とは、搬送方向Dに直交する方向に延在している。
【0049】
上刃122は、下刃121に対して所定の角度で傾斜していてもよい。つまり、上刃122は、上刃122の幅方向の一端から他端に向けて順に下刃121に接触するように傾斜している。この傾斜角は、シャー角とも称される。下刃121と上刃122との間に電極母材60の粗化面部62を挟み込むことで、電極母材60を粗化面部62で切断する。下刃121及び上刃122は、せん断力を利用して切断を行うので、シャー刃とも称される。駆動装置123は、例えば、ソレノイド、及びシリンダといったアクチュエータである。駆動装置123は、コントローラ160からの制御信号によって上刃122を上下に移動させる。
【0050】
電極搬送装置130は、個片化されたバイポーラ電極32を搬送する。電極搬送装置130は、例えば、ベルトコンベアである。電極搬送装置130は、バイポーラ電極32を受け取って、バイポーラ電極32を次工程に搬送する。
【0051】
コントローラ160は、電極製造装置200の動作を制御する。コントローラ160は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリと、入出力インターフェースと、を備えるコンピュータである。ROMには、各種プログラム及びデータが格納されている。コントローラ160は、切断装置120に電極母材60を切断させるタイミングを制御する。また、コントローラ160は、電極母材搬送装置100による電極母材60の搬送の速度を制御する。
【0052】
次に、本実施形態の電極製造方法について説明する。
図3に示されるように、一対の第1搬送ロール151により、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程が行われる。電極母材60の搬送に伴い、
図5(B)に示されるように、第1搬送ロール151よりも搬送方向Dの下流に位置する一対の第2搬送ロール152により、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程が行われる。
【0053】
第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向D搬送する工程では、
図5(B)に示されるように、第2搬送ロール152が粗化面部62に接触せずに対向しているときに、第1搬送ロール151は電極部63に接触する。つまり、この工程では、第2搬送ロール152は粗化面部62に接触せずに空転するが、電極部63に接触した第1搬送ロール151により電極母材60の搬送が行われる。一方、
図3に示されるように、第1搬送ロール151が粗化面部62に接触せずに対向しているときに、第2搬送ロール152は電極部63に接触する。つまり、この工程では、第1搬送ロール151は粗化面部62に接触せずに空転するが、電極部63に接触した第2搬送ロール152により電極母材60の搬送が行われる。
【0054】
電極母材60の搬送に伴い、第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程が交互に行われる。なお、第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程では、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152のいずれもが電極部63に接触する時間帯があってもよい。つまり、第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程が行われる時間帯は重複していてもよい。
【0055】
図5(A)に示されるように、第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程では、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152は、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62に対向せず、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63に接触する。
【0056】
図5(A)に示されるように、第1搬送ロール151により電極母材60を搬送方向Dに搬送する工程及び第2搬送ロール152により電極母材60を搬送方向D搬送する工程では、一対の第1搬送ロール151の間隔は、第1搬送ロールが電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持される。また、一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔は、第2搬送ロール152が電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持される。
【0057】
電極母材搬送装置100により搬送された電極母材60は、切断装置120により切断され、バイポーラ電極32が製造される。製造されたバイポーラ電極32は、電極搬送装置130により搬送される。
【0058】
本実施形態では、帯状の導電性シート61の表面61a及び裏面61bに、突起部61pが突出した粗化面部62と、突起部61pよりも高く突出した電極部63とが搬送方向Dに沿って交互に配置された電極母材60を搬送することによりバイポーラ電極32を製造する電極製造装置200において、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する一対の第1搬送ロール151と、第1搬送ロール151よりも搬送方向Dの下流に位置し、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの側から電極母材60を挟み込みつつ、電極母材60を搬送方向Dに搬送する一対の第2搬送ロール152とを備え、第2搬送ロール152が粗化面部62に接触せずに対向しているときに第1搬送ロール151は電極部63に接触し、第1搬送ロール151が粗化面部62に接触せずに対向しているときに第2搬送ロール152は電極部63に接触する。このため、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152のいずれも電極部63に接触しつつ、粗化面部62には接触せずに電極母材60を搬送することができる。
【0059】
つまり、
図6(A)及び
図6(B)に示すような従来の電極製造装置では、一対の搬送ロール150を備えている。搬送ロール150は、電極母材60を同じ圧力で挟み込むように定圧管理がされている。このため、
図6(B)及び
図6(C)に示されるように、搬送ロール150は、電極母材60の電極部63と同様に電極母材60の粗化面部62も同じ圧力で挟み込みつつ搬送する。
図6(C)に示されるように、搬送ロール150が粗化面部62に接触したときには、搬送ロール150で粗化面部62の突起部61pを直接に押さえ付けることにより、粗化面部62の突起部61pが導電性シート61から脱落することがある。一方、本実施形態の電極製造装置200及び電極母材搬送装置100では、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152のいずれも電極部63に接触しつつ、粗化面部62には接触せずに電極母材60を搬送するため、粗化面部62の突起部61pが導電性シート61から脱落することを低減できる。
【0060】
また、本実施形態では、導電性シート61の表面61a及び裏面61bの少なくともいずれかに、搬送方向Dに直交する方向の両端部に粗化面部62が配置され、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間に電極部63が配置されている電極母材60に対し、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152は、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62に対向せず、搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62の間の電極部63に接触する。このため、
図6(A)に示す従来の電極製造装置のように、搬送ロール150の搬送方向Dに直交する方向の幅が長く、搬送ロール150が搬送方向Dに直交する方向の両端部の粗化面部62に対向している場合に、搬送ロール150が撓むことにより、搬送ロール150が粗化面部62に接触することを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、一対の第1搬送ロール151の間隔は、第1搬送ロール151が電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持され、一対の第2搬送ロール152のそれぞれの間隔は、第2搬送ロール152が電極部63に接触しつつ粗化面部62に接触しない間隔に維持されているため、より確実に、第1搬送ロール151及び第2搬送ロール152のいずれも電極部63に接触しつつ、粗化面部62には接触せずに電極母材60を搬送することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、導電性シート61の表面61a及び裏面61bに粗化面部62と電極部63とが搬送方向Dに沿って交互に配置されたバイポーラ電極32の電極母材60が搬送される態様について中心に説明した。しかし、例えば、帯状の導電性シート61の表面61a及び裏面61bの少なくともいずれかに、突起部61pが突出した粗化面部62と、突起部61pよりも高く突出した電極部63とが搬送方向Dに沿って交互に配置された電極母材60を搬送することにより電極が製造されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…蓄電装置、12…蓄電モジュール、14…導電板、14a…空隙、16…拘束部材、16A,16B…拘束プレート、18…ボルト、20…ナット、22…絶縁フィルム、24…正極端子、26…負極端子、30…積層体、32…バイポーラ電極、34…電極板、34a…周縁部、34c…面、34d…面、36…正極、38…負極、40…セパレータ、50…樹脂部、52…第1シール部、52a…外周面、54…第2シール部、54a…内周面、60…電極母材、61…導電性シート、61a…表面、61b…裏面、61p…突起部、62…粗化面部、63…電極部、100…電極母材搬送装置、111…供給ロール、113…アキューム機構、114,115,116,117…ロール、120…切断装置、121…下刃、122…上刃、123…駆動装置、130…電極搬送装置、150…搬送ロール、151…第1搬送ロール、152…第2搬送ロール、160…コントローラ、200…電極製造装置、H1,H2…挿通孔、D…搬送方向。