(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ロール体
(51)【国際特許分類】
B65H 18/28 20060101AFI20220412BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65H18/28
B32B3/30
(21)【出願番号】P 2018554253
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2017043132
(87)【国際公開番号】W WO2018101426
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2016232723
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115134
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017151674
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内田 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸本 康
(72)【発明者】
【氏名】小手川 雄樹
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-042058(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103802(WO,A1)
【文献】特開平08-196800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00-18/28
B65H 75/00
B32B 1/00-43/00
G03H 1/00-5/00
G09F 3/00
G09F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻き重ねられた多層体であるシートを備え、
前記シートは、前記シートが広げられた状態において延在方向に沿って延びる帯状を有し、
前記延在方向と直交する方向が幅方向であり、
前記シートは、複数の第1領域と複数の第2領域とから構成されるパターン区分領域を含み、
前記各第1領域と前記各第2領域とは第1の方向に沿って延びる帯状を有するとともに、前記第1の方向に沿う縁を含み、前記縁は前記延在方向と前記幅方向との両方に交差する方向に沿って延びる形状を有し、
前記パターン区分領域において、前記第1領域と前記第2領域とが、交互に隣り合って並び、
前記シートは、支持層と、前記支持層に支持されるパターン構造とから構成され、前記パターン構造は、前記シートの表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造から構成され、
前記第1領域における要素パターン構造の密度が、前記第2領域における要素パターン構造の密度と異なること、および、
前記第1領域における要素パターン構造の配置が、前記第2領域における要素パターン構造の配置と異なることの少なくとも一方を満た
し、
前記凸部は、
前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、直線状または円弧状を有する複数のプリズムが1つの方向に沿って連なるプリズム群を少なくとも1つ含み、
前記各プリズムは、
前記シートの前記幅方向における断面において、頂点を挟む両側で傾斜角が互いに異なる非対称プリズムである
ロール体。
【請求項2】
軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻き重ねられた多層体であるシートを備え、
前記シートは、前記シートが広げられた状態において延在方向に沿って延びる帯状を有し、
前記シートは、複数の第1領域と複数の第2領域とから構成されるパターン区分領域を含み、
前記各第1領域と前記各第2領域とは、第1の方向に沿って延びる形状を有し、
前記パターン区分領域において、前記第1領域と前記第2領域とは交互に隣り合って並び、
前記各第1領域は、前記第1の方向に沿う縁を含み、前記シートの周方向における前記各第1領域の前記縁の位置は、前記軸方向に沿って連続的に変わり、
前記シートは、支持層と、前記支持層に支持されるパターン構造とから構成され、前記パターン構造は、前記シートの表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造から構成され、
前記第1領域における要素パターン構造の密度が、前記第2領域における要素パターン構造の密度と異なること、および、
前記第1領域における要素パターン構造の配置が、前記第2領域における要素パターン構造の配置と異なることの少なくとも一方を満た
し、
前記凸部は、
前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、直線状または円弧状を有する複数のプリズムが1つの方向に沿って連なるプリズム群を少なくとも1つ含み、
前記各プリズムは、
前記シートの幅方向における断面において、頂点を挟む両側で傾斜角が互いに異なる非対称プリズムである
ロール体。
【請求項3】
前記ロール体は、前記軸方向に沿って延びるとともに、外周面を有する巻芯をさらに備え、
前記シートは、前記巻芯の前記外周面に沿って前記外周面に巻き付けられている
請求項1または2に記載のロール体。
【請求項4】
前記第1の方向は、前記延在方向と前記幅方向との両方に交差する
請求項1に記載のロール体。
【請求項5】
前記シートの前記周方向における前記各第1領域の位置が、前記軸方向に沿って連続的に変わる
請求項2に記載のロール体。
【請求項6】
前記要素パターン構造は、前記第1領域のみに位置する
請求項1から5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項7】
前記要素パターン構造は、前記第1領域の全体にわたって所定の厚さを有した帯状を有する
請求項6に記載のロール体。
【請求項8】
前記パターン構造を含み、前記支持層に支持される凹凸構造体であるパターン層を備え、
前記第1領域は、前記パターン層のなかで前記要素パターン構造を含む厚い部分であり、
前記第2領域は、前記パターン層のなかで前記要素パターン構造を含まない薄い部分である
請求項1から5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項9】
前記パターン構造は、前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、互いに異なる形状を有した2種類以上の前記要素パターン構造を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項10】
前記複数の要素パターン構造は、前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、互いに同じ形状を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項11】
前記パターン構造は、複数の要素パターン構造群を含み、
前記各要素パターン構造群は、前記複数の要素パターン構造から構成され、
前記各第1領域および前記各第2領域は、前記要素パターン構造群を含み、
前記各第1領域に属する前記要素パターン構造の数と、前記各第2領域に属する前記要素パターン構造の数とが、互いに異なる
請求項1から5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項12】
軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻
き重ねられた多層体であるシートを備え、
前記シートは、前記シートが広げられた状態において延在方向に沿って延びる帯状を有し、
前記シートは、支持層と、前記シートの表面に形成され、前記延在方向に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群とを含み、
前記各要素パターン構造群は、前記支持層に支持されて前記シートの表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造から構成され、
前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、1つの前記要素パターン構造群を構成する前記複数の要素パターン構造の集まりを前記各要素パターン構造の縁の少なくとも一部に接する包絡輪郭線で取り囲むことによって区画される領域が要素パターン構造群領域であり、
前記延在方向と平行な線が基準線であり、
前記延在方向と直交する方向が幅方向であり、
前記幅方向における前記要素パターン構造群領域の一方の端部から前記基準線までの長さが、前記延在方向に沿って周期的に変わ
り、
前記凸部は、
前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、直線状または円弧状を有する複数のプリズムが1つの方向に沿って連なるプリズム群を少なくとも1つ含み、
前記各プリズムは、
前記シートの前記幅方向における断面において、頂点を挟む両側で傾斜角が互いに異なる非対称プリズムである
ロール体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール体に関する。
【背景技術】
【0002】
転写箔は、例えば、所定の形状を有するパターン層と、パターン層を支持する支持層とを含むシートを備え、こうした転写箔は、ロールツーロール法を用いて製造されることがある(例えば、特許文献1参照)。転写箔の製造過程では、転写箔を製造する途中や転写箔が完成したときなどに、転写箔を保管したり、転写箔の中間体を1つの装置から他の装置に移動させたりするために、転写箔あるいは中間体のシートが巻芯に巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートは、延在方向に沿って延びる帯状を有し、巻芯の周方向に沿って巻芯に巻き付けられる。シートのパターン層は、延在方向に沿って延びる直線状を有した第1領域と、同じく延在方向に沿って延びる直線状を有するとともに、第1領域よりも薄い第2領域とを有する場合がある。こうしたシートが巻芯に巻き取られると、巻芯のなかで、第1領域が巻き付けられる部位と、第2領域が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定される、すなわち、変化しない。これにより、ロール体には、巻芯の軸方向において、巻芯の径方向に沿う厚さが厚い部分と薄い部分とが形成される。結果として、シートには、軸方向における互いに異なる部分間での厚さの違いに起因して皺が形成され、転写箔の歩留まりが低くなってしまう。
【0005】
なお、こうした課題は、転写箔が備えるシートに限らず、巻芯と巻芯の周方向に沿って巻芯の外周面に巻き付けられるシートとを備えるロール体、また、巻芯に巻き付けられた後に、巻芯が抜き取られたシートを備えるロール体に共通している。
本開示は、巻芯に巻き付けられた後のシートにおいて皺が生じることを抑えることを可能としたロール体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのロール体は、軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻き重ねられた多層体であるシートを備え、前記シートは、前記シートが広げられた状態において、延在方向に沿って延びる帯状を有する。前記延在方向と直交する方向が幅方向であり、前記シートは、複数の第1領域と複数の第2領域とから構成されるパターン区分領域を含む。前記各第1領域と前記各第2領域とは第1の方向に沿って延びる帯状を有するとともに、前記第1の方向に沿う縁を含み、前記縁は前記延在方向と前記幅方向との両方に交差する方向に沿って延びる形状を有する。前記パターン区分領域において、前記第1領域と前記第2領域とが、交互に隣り合って並ぶ。前記シートは、支持層と、前記支持層に支持されるパターン構造とから構成される。ロール体は、前記第1領域における要素パターン構造の密度が、前記第2領域における要素パターン構造の密度と異なること、および、前記第1領域における要素パターン構造の配置が、前記第2領域における要素パターン構造の配置と異なることの少なくとも一方を満たす。
【0007】
上記構成によれば、第1領域の縁と第2領域の縁とが、それぞれ延在方向と幅方向との両方に交差する方向に沿って延び、かつ、第1領域と第2領域とが交互に並ぶため、巻芯のなかで、第1領域の縁が巻き付けられる部位と、第2領域の縁が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。それゆえに、第1領域と第2領域との境界において、巻芯の径方向に沿う厚さの差が緩和されやすくなり、巻芯の軸方向において、巻芯の径方向に沿う厚さが急激に変わることが抑えられる。結果として、巻芯に巻き付けられたシートにおいて皺が生じることが抑えられる。
【0008】
上記課題を解決するためのロール体は、軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻き重ねられた多層体であるシートを備え、前記シートは、前記シートが広げられた状態において延在方向に沿って延びる帯状を有する。前記シートは、複数の第1領域と複数の第2領域とから構成されるパターン区分領域を含み、前記各第1領域と前記各第2領域とは、第1の方向に沿って延びる形状を有する。前記パターン区分領域において、前記第1領域と前記第2領域とは交互に隣り合って並ぶ。前記各第1領域は、前記第1の方向に沿う縁を含み、前記シートの周方向における前記各第1領域の前記縁の位置は、前記軸方向に沿って連続的に変わる。前記シートは、支持層と、前記支持層に支持されるパターン構造とから構成され、前記パターン構造は、前記シートの表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造から構成される。ロール体は、前記第1領域における要素パターン構造の密度が、前記第2領域における要素パターン構造の密度と異なること、および、前記第1領域における要素パターン構造の配置が、前記第2領域における要素パターン構造の配置と異なることの少なくとも一方を満たす。
【0009】
上記構成によれば、巻芯の周方向における第1領域の縁の位置が軸方向に沿って連続的に変わる、言い換えれば、巻芯において、第1領域の縁が巻き付けられる部位と、第2領域の縁が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。そのため、第1領域と第2領域との境界において、巻芯の径方向に沿う厚さの差が緩和されやすくなり、巻芯の軸方向において、巻芯の径方向に沿う厚さが急激に変わることが抑えられる。それゆえに、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0010】
上記ロール体において、前記ロール体は、前記軸方向に沿って延びるとともに、外周面を有する巻芯をさらに備え、前記シートは、前記巻芯の前記外周面に沿って巻き付けられてもよい。上記構成によれば、シートが巻芯によって支持されるため、シートの形状が変わりにくい。
【0011】
上記ロール体において、前記第1の方向は、前記延在方向と前記幅方向との両方に交差してもよい。
【0012】
上記構成によれば、第1領域と第2領域とが、それぞれ延在方向と幅方向との両方に交差する第1の方向に沿って延び、かつ、第1領域と第2領域とが交互に並ぶため、巻芯のなかで、第1領域の縁が巻き付けられる部位と、第2領域の縁が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。それゆえに、巻芯の軸方向において、巻芯の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。結果として、巻芯に巻き付けられたシートにおいて皺が生じることが抑えられる。
【0013】
上記ロール体において、前記巻芯の前記周方向における前記各第1領域の位置が、前記軸方向に沿って連続的に変わってもよい。
【0014】
上記構成によれば、巻芯の周方向における第1領域の位置が軸方向に沿って連続的に変わる。言い換えれば、巻芯において、第1領域が巻き付けられる部位と、第2領域が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。そのため、第1領域と第2領域との間において、巻芯の軸方向において、巻芯の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。それゆえに、巻芯に巻き付けられたシートにおいて皺が生じることが抑えられる。
【0015】
上記ロール体において、前記要素パターン構造は、前記第1領域のみに位置してもよい。上記構成によれば、第2領域における要素パターン構造の密度が最小である構成において、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0016】
上記ロール体において、前記要素パターン構造は、前記第1領域の全体にわたって所定の厚さを有した帯状を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、凸部を形成する要素パターン構造が配列方向において隙間を空けて並ぶ構成において、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0018】
上記ロール体において、前記パターン構造を含み、前記支持層に支持される凹凸構造体であるパターン層を備え、前記第1領域は、前記パターン層のなかで前記要素パターン構造を含む厚い部分であり、前記第2領域は、前記パターン層のなかで前記要素パターン構造を含まない薄い部分であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1領域と第2領域との両方が所定の厚さを有したパターン層の一部を含む構成において、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0020】
上記ロール体において、前記パターン構造は、前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、互いに異なる形状を有した2種類以上の前記要素パターン構造を含んでもよい。
【0021】
上記構成によれば、全ての要素パターン構造が同じ形状を有する構成と比べて、パターン構造の形状を複雑にすることができる。
【0022】
上記ロール体において、前記複数の要素パターン構造は、前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、互いに同じ形状を有してもよい。
【0023】
上記構成によれば、全ての要素パターン構造が同じ形状を有する構成であっても、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0024】
上記ロール体において、前記パターン構造は、複数の要素パターン構造群を含み、前記各要素パターン構造群は、前記複数の要素パターン構造から構成され、前記各第1領域および前記各第2領域は、前記要素パターン構造群を含み、前記各第1領域に属する前記要素パターン構造の数と、前記各第2領域に属する前記要素パターン構造の数とが、互いに異なってもよい。
【0025】
上記構成によれば、第1領域だけでなく第2領域も要素パターン構造群を含むため、第1領域のみが要素パターン構造群を含む構成と比べて、シートが拡がる平面と対向する平面視でのパターン構造の形状がより複雑になる。
【0026】
上記課題を解決するためのロール体は、軸方向に沿って延びる筒状を有するように巻重ねられた多層体であるシートを備え、前記シートは、前記シートが広げられた状態において延在方向に沿って延びる帯状を有する。前記シートは、支持層と、前記シートの表面に形成され、前記延在方向に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群とを含む。前記各要素パターン構造群は、前記支持層に支持されて前記シートの表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造から構成される。前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、1つの前記要素パターン構造群を構成する前記複数の要素パターン構造の集まりを前記各要素パターン構造の縁の一部に接する包絡輪郭線で取り囲むことによって区画される領域が要素パターン構造群領域である。前記延在方向と平行な線が基準線であり、前記延在方向と直交する方向が幅方向である。前記幅方向における前記要素パターン構造群領域の一方の端部から前記基準線までの長さが、前記延在方向に沿って周期的に変わる。
【0027】
上記構成によれば、要素パターン構造群領域のなかで、幅方向における少なくとも一方の端部から、延在方向に平行な基準線までの長さが、延在方向に沿って周期的に変わるため、幅方向における要素パターン構造群領域の端部のなかで、基準線との間の長さが周期的に変わる端部では、巻芯の軸方向において端部の位置が周期的に変わる。それゆえに、巻芯の軸方向におけるシートの端部の位置が変わらない構成と比べて、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0028】
上記ロール体において、前記凸部は、前記シートが拡がる平面と対向する平面視において、直線状または円弧状を有する複数のプリズムが1つの方向に沿って連なるプリズム群を少なくとも1つ含み、前記各プリズムは、前記シートの前記幅方向に沿う断面において、頂点を挟む両側で傾斜角が互いに異なる非対称プリズムであってもよい。
【0029】
上記構成によれば、巻芯のなかで、第1領域が巻き付けられる部位と、第2領域が巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されないため、第1領域に位置する要素パターン構造が複数のプリズムを含んでいても、シートを巻芯に巻き付けることによるプリズムの変形を抑えることができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、巻芯に巻き付けられた後のシートにおいて皺が生じることが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態のロール体における構造を示す斜視図。
【
図2】ロール体が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図3】
図2のII-II線に沿う構造を示す断面図。
【
図8】比較例のロール体における構造を示す斜視図。
【
図9】比較例のロール体が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図10】
図8のIII-III線に沿う構造を示す断面図。
【
図11】変形例におけるシートの構造を示す断面図。
【
図12】変形例におけるシートの構造の一部を示す部分平面図。
【
図13】変形例におけるシートの一部構造を拡大して示す部分拡大平面図。
【
図14】変形例における要素パターン構造の一部構造を拡大して示す部分拡大断面図。
【
図15】変形例におけるシートの一部構造を拡大して示す部分平面図。
【
図16】変形例における要素パターン構造の一部構造を拡大して示す部分拡大断面図。
【
図17】変形例におけるシートの一部構造を拡大して示す部分平面図。
【
図18】変形例における要素パターン構造の一部構造を拡大して示す部分拡大断面図。
【
図19】第2実施形態のロール体の第1例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図20】ロール体の第2例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図21】ロール体の第3例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図22】ロール体の第4例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図23】ロール体の第4例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【
図24】ロール体の第5例が備えるシートにおける構造の一部を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
図1から
図10を参照して、ロール体を具体化した第1実施形態を説明する。以下では、ロール体の構成、ロール体の作用、および、比較例のロール体を順番に説明する。
【0033】
[ロール体の構成]
図1から
図6を参照してロール体の構成を説明する。なお、
図1および
図2では、第1領域と第2領域とを区別しやすくする目的で、第1領域にドットが付されている。
【0034】
図1が示すように、ロール体10は、巻芯11とシート12とを備えている。巻芯11は、軸方向に沿って延びるとともに、外周面11Sを有している。シート12は、延在方向D1に沿って延びる帯状を有するとともに、巻芯11の周方向DCに沿って外周面11Sに巻き付けられている。ロール体10において、シート12は巻芯11によって支持されるため、シート12の形状が変わりにくい。
【0035】
言い換えれば、シート12は、軸線方向に沿って延びる筒状を有するように巻き重ねられた多層体である。ロール体10は巻芯11とシート12とから構成されているが、シート12のみから構成されてもよい。この場合には、巻芯11は、シート12が巻き重ねた後に、シート12から取り外される。このとき、シート12によって区画される空間は、巻芯スペースである。
【0036】
巻芯11は円筒状を有し、回転軸Aを中心に回転する。回転軸Aの延びる方向が軸方向である。軸方向は、筒状を有するシート12が延びる方向でもある。回転軸Aを中心として、巻芯11の外周面11Sに沿って回転する方向が巻芯11の周方向DCである。周方向DCは、シート12の外周面に沿う方向でもある。巻芯11の外周面11Sには、シート12が複数回巻き重ねられている。
【0037】
図2が示すように、延在方向D1と直交する方向が幅方向D2である。シート12が広げられた状態において、シート12は、延在方向D1と幅方向D2とに沿って拡がる帯状を有し、シート12における延在方向D1に沿う長さは幅方向D2に沿う長さよりも大幅に長い。
【0038】
シート12は、複数の第1領域12Aと複数の第2領域12Bとから構成されるパターン区分領域12Pを含んでいる。各第1領域12Aと各第2領域12Bとは第1の方向に沿って延びる帯状領域であり、各帯状領域は、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びる形状を有している。言い換えれば、各帯状領域は、延在方向D1と幅方向D2との両方に対して直角以外の角度で交差する方向に沿って延びる直線状を有している。各帯状領域の延びる方向は、帯状領域の始点と終点とを結ぶ直線が延びる方向である。第1の方向は、延在方向D1と幅方向D2とに交差している。
【0039】
複数の帯状領域において、第1領域12Aと第2領域12Bとが、配列方向に沿って交互に隣り合って並んでいる。第1領域12Aと第2領域12Bとは、配列方向において互いに接している。第1領域12Aと第2領域12Bとが並ぶ配列方向は、シート12が拡がる平面における1つの方向であればよい。
【0040】
シート12が拡がる平面と対向する平面視において、第1領域12Aが延びる方向と直交する方向に沿う長さが、第1領域12Aの幅である。シート12が拡がる平面と対向する平面視において、第2領域12Bが延びる方向と直交する方向に沿う長さが、第2領域12Bの幅である。第1領域12Aの幅は、第2領域12Bの幅よりも小さいが、第1領域12Aの幅は第2領域12Bの幅よりも大きくてもよいし、第1領域12Aの幅と第2領域12Bの幅とは互いに等しくてもよい。
【0041】
図3が示すように、シート12は、支持層21と、パターン構造22とから構成されている。パターン構造22は支持層21に支持され、パターン構造22はシート12の表面12Sにおいて凸部を形成する複数の要素パターン構造22aから構成されている。シート12では、第1領域12Aにおける要素パターン構造22aの密度が、第2領域12Bにおける要素パターン構造22aの密度と異なっている。
【0042】
シート12において、要素パターン構造22aの表面と、支持層21の表面のなかで要素パターン構造22aに覆われていない部分とが、凹凸面であるシート12の表面12Sを構成している。シート12が拡がる平面と対向する平面視において、各第1領域12Aが有する面積に対する、その第1領域12Aに属する要素パターン構造22aの面積の割合が、各第1領域12Aにおける要素パターン構造22aの密度である。また、シート12が拡がる平面と対向する平面視において、各第2領域12Bが有する面積に対する、その第2領域12Bに属する要素パターン構造22aの面積の割合が、各第2領域12Bにおける要素パターン構造22aの密度である。
【0043】
パターン構造22は複数の要素パターン構造22aを含み、各第1領域12Aは、複数の要素パターン構造22aのうち、他の第1領域12Aを構成する要素パターン構造22aとは異なる要素パターン構造22aを含んでいる。支持層21は複数の支持部21aを含み、各帯状領域は、複数の支持部21aのうち、他の帯状領域を構成する支持部21aとは異なる支持部21aを含んでいる。
【0044】
第1領域12Aと第2領域12Bとの各々が、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延び、かつ、第1領域12Aと第2領域12Bとが交互に並ぶため、巻芯11のなかで、第1領域12Aが巻き付けられる部位と、第2領域12Bが巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない、すなわち、変化する。それゆえに、第1領域12Aと第2領域12Bとの間において、要素パターン構造22aの密度が互いに異なっても、巻芯11の軸方向において、巻芯11の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。結果として、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0045】
支持層21およびパターン構造22の各々は、1つの層から構成される単層構造を有してもよいし、複数の層から構成される多層構造を有してもよい。支持層21およびパターン構造22が多層構造を有するときには、多層構造を構成する複数の層には、互いに異なる材料から形成された層が含まれてもよい。言い換えれば、パターン構造22を構成する各要素パターン構造22aは、1つの層から構成される単層構造を有してもよいし、複数の層から構成される多層構造を有してもよい。
【0046】
要素パターン構造22aは、第1領域12Aのみに位置している。そのため、第2領域12Bにおける要素パターン構造22aの密度が最小である構成において、シート12における巻芯11の径方向に沿う厚さのばらつきを抑えることができる。
【0047】
第1領域12Aにおいて、要素パターン構造22aは、第1領域12Aの全体にわたって所定の厚さを有した帯状を有している。そのため、凸部を形成する要素パターン構造22aが配列方向において隙間を空けて並ぶ構成において、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0048】
より詳しくは、各要素パターン構造22aは、要素パターン構造22aが属する第1領域12Aと同じ方向、すなわち延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びる直線状を有している。要素パターン構造22aは、第1領域12Aの全体にわたってほぼ同じ厚さを有している。
【0049】
配列方向において隣り合う2つの要素パターン構造22aの間には、第2領域12Bの全体にわたる窪み22bが形成されている。各窪み22bは、第2領域12Bと同じ方向、すなわち延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びる直線状を有している。このように、第1領域12Aと第2領域12Bとの間では、第1領域12Aが要素パターン構造22aを有する一方で、第2領域12Bが要素パターン構造22aを有しない。そのため、第1領域12Aと第2領域12Bとの間において、要素パターン構造22aの密度が異なっている。
【0050】
図4から
図6の各々は、巻芯11の軸方向と直交する面に沿うロール体10の断面構造における一例を示している。
図4から
図6の各々は、軸方向における位置が互いに異なる部分におけるロール体10の断面構造を示している。加えて、
図4から
図6の各々は、同一の第1領域12Aにおける互いに異なる部分を含む断面構造を示している。また、
図4から
図6では、図示の便宜上、シート12を1つの円で示し、かつ、1つの第1領域12Aを巻芯11に巻き付けられたシート12の最表層に位置するように示している。
【0051】
上述したロール体10のシート12は、以下の構成でもある。すなわち、シート12は、複数の第1領域12Aと複数の第2領域12Bとから構成されるパターン区分領域12Pを含み、各第1領域12Aと各第2領域12Bとは、第1の方向に沿って延びる形状を有する。パターン区分領域12Pにおいて、第1領域12Aと第2領域12Bとは、交互に隣り合って並んでいる。巻芯11の周方向DCにおける各第1領域12Aの位置は、軸方向に沿って連続的に変わっている。
【0052】
図4は、軸方向の第1位置におけるロール体10の断面構造を示している。
図4が示すように、ロール体10のうち、軸方向の第1位置には、第1領域12Aの第1部分12A1が位置している。第1部分12A1は、シート12のうち、巻芯11の周方向DCにおける所定の部位に位置している。第1部分12A1は、例えば、軸方向の第1位置において回転軸Aの直上に位置している。
【0053】
巻芯11の周方向DCにおいて、巻芯11の外周面11Sにおける一点であって、かつ、回転軸Aの直上に位置する点を基準点Pに設定し、巻芯11の中心である回転軸Aから基準点Pに向けて延びる直線を基準線LBに設定する。基準線LBと、巻芯11の外周面11Sにおける所定の点と回転軸Aとを結ぶ直線Lとが形成する角度が位相である。第1部分12A1における位相は、0°である。
【0054】
図5は、軸方向の第2位置であって、第1位置とは異なる位置におけるロール体10の断面構造を示している。
【0055】
図5が示すように、ロール体10のうち、軸方向の第2位置には、第1領域12Aの第2部分12A2が位置している。第2部分12A2は、シート12のうち、巻芯11の周方向DCにおける所定の部位であって、第1部分12A1が位置する部位とは異なる部位に位置している。すなわち、第1部分12A1と、第2部分12A2とは、周方向DCにおける位相が互いに異なっている。第2部分12A2の位相は、第1部分12A1の位相とは異なるα°である。
【0056】
図6は、軸方向の第3位置であって、第1位置および第2位置とは異なる位置におけるロール体10の断面構造を示している。軸方向において、第2位置は、第1位置と第3位置とに挟まれている。
【0057】
図6が示すように、ロール体10のうち、軸方向の第3位置には、第1領域12Aの第3部分12A3が位置している。第3部分12A3は、シート12のうち、巻芯11の周方向DCにおける所定の部位であって、第1部分12A1が位置する部位、および、第2部分12A2が位置する部位とは異なる部位に位置している。
【0058】
すなわち、第3部分12A3の位相は、第1部分12A1の位相および第2部分12A2の位相の両方と互いに異なっている。第3部分12A3の位相は、第1部分12A1の位相とは異なるβ°であり、かつ、第2部分12A2の位相であるα°とも異なる角度である。
【0059】
このように、シート12における各第1領域12Aは、巻芯11の外周面11Sに対して螺旋状に巻き付けられるため、第1領域12Aにおいて、巻芯11の周方向DCでの位相が軸方向に沿って連続的に変わる。言い換えれば、巻芯11において、第1領域12Aが巻き付けられる部位と、第2領域12Bが巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。
【0060】
そのため、第1領域12Aにおける要素パターン構造22aと、第2領域12Bにおける要素パターン構造22aの密度とが互いに異なっても、ロール体10では、巻芯11の軸方向において、巻芯11の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。それゆえに、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0061】
[ロール体の作用]
図7を参照してロール体10の作用を説明する。
図7は、巻芯11の回転軸Aに沿って延びる面に沿ったロール体10の断面を示している。
図7では、図示の便宜上、支持層21の厚さ、および、パターン構造22が含む要素パターン構造22aの厚さが誇張されている。
【0062】
図7が示すように、巻芯11に巻き付けられたシート12では、巻芯11の軸方向DAのうち、第1領域12Aの位置する部位が、巻芯11の径方向DRにおける位置が変わることに伴って連続的に変わる。また、巻芯11の軸方向DAのうち、第2領域12Bの位置する部位が、巻芯11の径方向DRにおける位置が変わることに伴って連続的に変わる。
【0063】
そのため、ロール体10では、軸方向DAにおいて第1領域12Aが位置する部位と、軸方向DAにおいて第2領域12Bが位置する部位とが固定されない。それゆえに、第1領域12Aの厚さと第2領域12Bの厚さが異なっても、第1領域12Aの厚さと第2領域12Bの厚さとの差が、軸方向DAにおいて固定されない。これにより、ロール体10の軸方向DAにおいて、径方向DRに沿う厚さのばらつきが抑えられ、結果として、こうした厚さのばらつきに起因してシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0064】
なお、巻芯11にシート12が巻き付けられるときには、
図7が示すように、要素パターン構造22aが、支持層21のなかで各要素パターン構造22aが位置する部分よりも巻芯11の外周面11S寄りに位置するようにシート12が巻芯11に巻き付けられてもよい。すなわち、要素パターン構造22aがシート12の巻芯に向かう表面に位置するように、シート12が巻芯11に巻き付けられてもよい。またあるいは、支持層21のなかで各要素パターン構造22aの位置する部分が、その要素パターン構造22aよりも巻芯11の外周面11S寄りに位置するようにシート12が巻芯11に巻き付けられてもよい。すなわち、要素パターン構造22aがシート12の巻芯に向かう表面とは反対の表面に位置するように、シート12が巻芯11に巻き付けられてもよい。
【0065】
[比較例のロール体]
図8から
図10を参照して、比較例のロール体の構成を説明する。
図8が示すように、ロール体Rは、上述した第1実施形態のロール体10と同様、軸方向に沿って延びる巻芯R1を備え、巻芯R1は外周面R1Sを有している。巻芯R1の外周面R1Sには、シートR2が巻芯R1の周方向DCに沿って巻き付けられる。
【0066】
図9が示すように、シートR2は、複数の第1領域R2Aと複数の第2領域R2Bとを含んでいる。シートR2が拡がる平面と対向する平面視において、第1領域R2Aおよび第2領域R2Bは、それぞれ延在方向D1に沿って延びる直線状を有し、かつ、第1領域R2Aと第2領域R2Bとは、幅方向D2に沿って交互に並んでいる。
【0067】
図10が示すように、シートR2は、支持層R21とパターン構造R22とから構成されている。第1領域R2Aは、支持層R21の一部と要素パターン構造R22aとから構成される一方で、第2領域R2Bは、支持層R21の一部のみから構成される。
【0068】
そのため、ロール体Rにおいて、第1実施形態のロール体10と同様、第1領域R2Aにおける要素パターン構造R22aの密度が、第2領域R2Bにおける要素パターン構造R22aの密度よりも大きい。
【0069】
上述したように、第1領域R2Aおよび第2領域R2Bの各々は、延在方向D1に沿って延び、かつ、第1領域R2Aと第2領域R2Bとが、幅方向D2に沿って交互に並んでいる。そのため、巻芯R1にシートR2が巻き付けられると、第1領域R2Aが巻き付けられる部位と、第2領域R2Bが巻き付けられる部位とが、巻芯R1の軸方向DAにおいて固定される。これにより、ロール体Rのうち、第1領域R2Aが重なる部位では、巻芯R1の径方向DRに沿う厚さが相対的に大きくなる一方で、第2領域R2Bが重なる部位では、径方向DRに沿う厚さが相対的に小さくなる。
【0070】
このように、比較例のロール体Rでは、ロール体Rの軸方向において、径方向DRに沿う厚さにばらつきが生じることによって、巻芯R1に巻き付けられたシートR2に皺が生じてしまう。
【0071】
以上説明したように、ロール体の第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)巻芯11のなかで、第1領域12Aが巻き付けられる部位と、第2領域12Bが巻き付けられる部位とが、軸方向DAにおいて固定されない。そのため、ロール体10では、巻芯11の軸方向DAにおいて、巻芯11の径方向DRに沿う厚さのばらつきが抑えられる。それゆえに、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0072】
(2)第2領域12Bにおける要素パターン構造22aの密度が最小である構成において、シート12における巻芯11の径方向DRに沿う厚さのばらつきを抑えることができる。
【0073】
(3)凸部を形成する要素パターン構造22aが配列方向において隙間を空けて並ぶ構成において、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0074】
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・第1領域12Aおよび第2領域12Bは直線状に限らず、少なくとも1つの屈曲部を有する折線状を有してもよいし、少なくとも1つの屈曲部を有する曲線状を有してもよい。こうした構成であっても、要素パターン構造22aが、第1領域12Aの全体にわたって位置し、かつ、所定の厚さを有していれば、上述した(3)と同等の効果を得ることはできる。また、要素パターン構造22aが第1領域12Aのみに位置していれば、上述した(2)と同等の効果を得ることはできる。さらには、第1領域12Aおよび第2領域12Bの各々が、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延び、かつ、配列方向に沿って交互に並んでいれば、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0075】
・要素パターン構造22aは、延在方向D1に沿って所定の周期で繰り返されてもよい。すなわち、各要素パターン構造22aは、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びる直線状を有し、かつ、延在方向D1における長さが、シート12の延在方向D1に沿う長さよりも短くてもよい。
【0076】
・
図11が示すように、シート12がパターン層23を備える構成であってもよい。パターン層23は、支持層21に支持される凹凸構造体であり、第1領域12Aは、パターン層23のなかで要素パターン構造22aを含む厚い部分であり、第2領域12Bは、パターン層23のなかで要素パターン構造22aを含まない薄い部分であってもよい。すなわち、パターン層23が、第1領域12Aに含まれる第1部分23aと、第2領域12Bに含まれる第2部分23bとを有し、第1部分23aのなかで、第2部分23bよりも突き出た部分が要素パターン構造22aである構成でもよい。こうした構成では、第1部分23aのなかで、第2部分23bよりも突き出た部分によってパターン構造22が構成され、また、パターン層23における凹凸面が、シート12の表面12Sの一例である。
【0077】
上記構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(4)異なる厚さを有する第1領域12Aと第2領域12Bとから構成されたパターン層23の一部を含む構成において、巻芯11に巻き付けられたシート12に皺が生じることが抑えられる。
【0078】
・第1領域12Aおよび第2領域12Bは、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って延びていなくてもよい。すなわち、延在方向D1に沿って延びてもよいし、幅方向D2に沿って延びてもよい。こうした構成では、第1領域12Aおよび第2領域12B、すなわち帯状領域において、各帯状領域の延びる方向に沿う各帯状領域の縁の少なくとも一部が、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って延びていればよい。換言すれば、各帯状領域の縁が延在方向D1に沿って延びておらず、かつ、幅方向D2に沿って延びていない部分を含んでいればよい。
【0079】
例えば、
図12が示すように、シート12aにおいて、第1領域12Aaは、延在方向D1に沿って延びる形状を有するとともに、第1領域12Aaの延びる方向に沿う縁12Aeを含んでいる。各縁12Aeは、延在方向D1に沿って並ぶ複数の屈曲部を有した波線状を有し、これにより、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びている。すなわち、各縁12Aeは、延在方向D1に沿って延びておらず、かつ、幅方向D2に沿って延びていない部分を含んでいる。
【0080】
第1領域12Aaの縁12Aeは、第1領域12Aaに隣り合う第2領域12Baの縁12Beでもある。すなわち、第2領域12Baの縁12Beも、延在方向D1に沿って並ぶ複数の屈曲部を有した波線状を有し、これにより、延在方向D1と幅方向D2との両方に交差する方向に沿って延びている。すなわち、各縁12Beは、延在方向D1に沿って延びておらず、かつ、幅方向D2に沿って延びていない部分を含んでいる。
【0081】
言い換えれば、第1領域12Aaにおいて、巻芯11の周方向における各第1領域12Aaが含む縁12Aeの位置は、軸方向に沿って連続的に変わっている。
【0082】
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)巻芯11のなかで、第1領域12Aaの縁12Aeが巻き付けられる部位と、第2領域12Baの縁12Beが巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。それゆえに、第1領域12Aaと第2領域12Baとの境界において、巻芯11の径方向に沿う厚さの違いが緩和されやすくなり、要素パターン構造の密度が互いに異なっても、巻芯11の軸方向において、巻芯11の径方向に沿う厚さが急激に変わることが抑えられる。結果として、巻芯11に巻き付けられたシート12aに皺が生じることが抑えられる。
【0083】
・
図12を用いて先に説明した構成では、第1領域12Aaの縁12Aeおよび第2領域12Baの縁12Beは、それぞれ延在方向D1に沿って並ぶ複数の屈曲部を有した折線状を有してもよいし、1つの屈曲部を有する折線状を有してもよいし、弧状を有してもよい。
【0084】
・各要素パターン構造は、複数のプリズム群を含む構成であってもよい。以下に参照する
図13には、シート12bが拡がる平面と対向する方向から見たシート12bの平面構造における一部が拡大して示されている。
【0085】
図13が示すように、シート12bが拡がる平面と対向する平面視において、1つの第1領域12Abが、幅方向D2において2つの第2領域12Bbに挟まれている。第1領域12Abには、複数のセルCが区画されている。言い換えれば、第1領域12Abに位置する要素パターン構造22pには、複数のセルCが区画されている。複数のセルCには、シート12bが拡がる平面と対向する平面視において、三角形状を有するセルC、および、四角形状を有するセルCが含まれている。このように、複数のセルCには、シート12bが拡がる平面と対向する平面視における形状が互いに異なるセルCが含まれてもよいし、全てのセルCにおいて、シート12bが拡がる平面と対向する平面視での形状が等しくてもよい。
【0086】
各セルCには、複数のプリズムPrから構成されるプリズム群が位置している。各プリズム群では、シート12bが拡がる平面と対向する平面視において、円弧状を有する複数のプリズムPrが1つの方向に沿って連なっている。複数のプリズム群には、プリズムPrが連なる方向が互いに異なるプリズム群が含まれている。また、複数のプリズム群には、1つのプリズム群に属するプリズムPrの数が互いに異なるプリズム群、あるいは、複数のプリズムPrが連なる方向におけるプリズムPrのピッチが互いに異なるプリズム群が含まれている。なお、全てのプリズム群において、プリズムPrが連なる方向が互いに等しくてもよいし、全てのプリズム群において、各プリズム群に含まれるプリズムPrの数、あるいは、複数のプリズムPrが連なる方向におけるプリズムPrのピッチが等しくてもよい。
【0087】
要素パターン構造22pでは、延在方向D1に沿って複数のプリズム群が並び、かつ、幅方向D2に沿って複数のプリズム群が並んでいる。なお、要素パターン構造22pでは、延在方向D1において1つのプリズム群のみが位置する一方で、幅方向D2に沿って複数のプリズム群が並ぶ構成でもよいし、幅方向D2において1つのプリズム群のみが位置する一方で、延在方向D1に沿って複数のプリズム群が並ぶ構成でもよい。また、要素パターン構造22pは1つのプリズム群のみから構成されてもよい。
【0088】
各プリズムPrは、シート12bが拡がる平面と対向する平面視において円弧状を有しているが、直線状を有してもよい。なお、複数のプリズム群には、円弧状を有するプリズムPrから構成されるプリズム群と、直線状を有するプリズムPrから構成されるプリズム群との両方が含まれてもよいし、全てのプリズム群において、各プリズムPrが直線状を有してもよい。
【0089】
図14は、シート12bの厚さ方向に沿う断面構造、かつ、複数のプリズムPrが延びる方向と直交する断面構造、言い換えれば幅方向D2における断面構造であって、要素パターン構造22pに含まれる1つのプリズム群に対応する断面構造の一例を示している。なお、
図14では、複数のプリズムPrが連なる方向に沿って、プリズムPrのピッチが次第に小さくなる、すなわち、プリズムPrの断面において、頂点を挟む2つの傾斜角のうちの一方が次第に小さくなる例が記載されている。しかしながら、複数のプリズムPrが連なる方向において、プリズムPrのピッチは、先に参照した
図13に示されるように一定であってもよいし、頂点を挟む2つの傾斜角はいずれも、複数のプリズムが連なる方向において一定であってもよい。
【0090】
図14が示すように、各プリズムPrは、シート12bの厚さ方向に沿う断面において、頂点を挟む両側で傾斜角が互いに異なる非対称プリズムである。より詳しくは、各プリズムPrは頂点Praを有し、シート12bの厚さ方向に沿う断面において、頂点Praを挟む両側のなかで、一方における傾斜角が第1傾斜角θ1であり、他方における傾斜角が第2傾斜角θ2である。第1傾斜角θ1および第2傾斜角θ2の各々は、支持層21において要素パターン構造22pが位置する面と、プリズムPrが有する傾斜面とが形成する角度である。第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2とは互いに異なる大きさであり、第1傾斜角θ1が鋭角である一方で、第2傾斜角θ2が直角である。なお、第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2との両方が鋭角であってもよい。
【0091】
複数のプリズムPrが連なる方向に沿って、プリズムPrにおける第1傾斜角θ1は次第に小さくなる。すなわち、複数のプリズムPrが連なる方向において、プリズムPrのピッチは次第に大きくなる。これに対して、複数のプリズムPrが連なる方向において、第2傾斜角θ2は一定である。なお、複数のプリズムPrが連なる方向に沿って、第1傾斜角θ1および第2傾斜角θ2の両方が、連続的に変化してもよい。
【0092】
要素パターン構造22pは、シート12bの厚さ方向において、各プリズムPrと支持層21との間に位置する支持部22p1有している。各プリズムPrは、支持部22p1に対して支持層21が位置する側とは反対側に向けて支持部22p1から突き出ている。複数のプリズムPrは、支持部22p1を介して互いに繋がっている。なお、要素パターン構造22pは支持部22p1を有してなくてもよい。
【0093】
要素パターン構造22pの形成材料には、光透過性を有した材料が用いられてもよいし、要素パターン構造22pに入射した光のほとんどを反射する特性を有した材料が用いられてもよい。要素パターン構造22pの形成材料が光透過性を有した材料であるときには、要素パターン構造22pの形成材料には、例えば、光透過性を有した各種の樹脂や誘電体を用いることができる。要素パターン構造22pの形成材料が、要素パターン構造22pに入射した光のほとんどを反射する特性を有した材料であるときには、要素パターン構造22pの形成材料には、例えば、金属を用いることができる。要素パターン構造22pは、光透過性を有する材料によって形成された層と、光を反射する材料によって形成された層との両方を含んでもよい。
【0094】
要素パターン構造22pは、複数のプリズムPrが連なる方向が互いに異なるセルCを含み、また、1つのプリズム群に含まれるプリズムPrの数が互いに異なるセルCを含んでいる。そのため、複数のプリズムPrが並ぶ方向が互いに異なるセルC間、および、1つのプリズム群に含まれるプリズムPrの数が互いに異なるセルC間において、各セルCにおける光を透過する特性や、光を反射する特性を互いに異ならせることができる。
【0095】
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)巻芯11のなかで、第1領域12Abが巻き付けられる部位と、第2領域12Bbが巻き付けられる部位とが、軸方向において固定されない。そのため、第1領域12Abに位置する要素パターン構造22pが複数のプリズムPrを含んでいても、シート12bを巻芯11に巻き付けることによって生じるプリズムPrの変形が抑えられる。
【0096】
・
図13および
図14を参照して先に説明した構成は、さらに以下のように変更することができる。すなわち、第1領域において、複数のプリズムPrを含む部分がプリズム部であり、第1領域は、幅方向D2においてプリズム部を挟む緩衝部を含んでもよい。緩衝部の高さは、プリズム部の高さよりも低く、かつ、緩衝部は、支持層21に接する面とは反対側の面に凹凸面を含んでいる。また、第1領域は、幅方向D2において、プリズム部と緩衝部との間に遷移部をさらに含んでもよい。遷移部の高さは、例えば、プリズム部の高さと緩衝部の高さとの間の大きさである。なお、プリズム部、緩衝部、および、遷移部の高さは、各部における高さの最大値である。
図15および
図16を参照して、こうしたシートをより詳しく説明する。
【0097】
図15には、シート12cが拡がる平面と対向する方向から見たシート12cの平面構造における一部が拡大して示されている。また、
図16には、シート12cの厚さ方向に沿う断面構造、かつ、複数のプリズムPrが延びる方向と直交する断面構造が示されている。
【0098】
図15が示すように、シート12cが拡がる平面と対向する平面視において、1つの第1領域12Acが、幅方向D2において2つの第2領域12Bcに挟まれている。第1領域12Abは、延在方向D1と幅方向D2とに交差する方向に沿って延びるプリズム部Ac1と、2つの緩衝部Ac2と、2つの遷移部Ac3とを備えている。2つの緩衝部Ac2は、幅方向D2においてプリズム部Ac1を挟んでいる。各遷移部Ac3は、幅方向D2において、プリズム部Ac1と各緩衝部Ac2との間にそれぞれ位置している。各緩衝部Ac2および各遷移部Ac3は、プリズム部Ac1が延びる方向に沿って延びている。
【0099】
シート12cが拡がる平面と対向する平面視において、各緩衝部Ac2の面積を合計した面積は、プリズム部Ac1の面積よりも大きいことが好ましく、各緩衝部Ac2の面積が、プリズム部Ac1の面積よりも大きいことがより好ましい。言い換えれば、幅方向D2において、各緩衝部Ac2の幅を合計した長さは、プリズム部Ac1の幅よりも長いことが好ましく、各緩衝部Ac2の幅が、プリズム部Ac1の幅よりも長いことがより好ましい。
【0100】
図16が示すように、第1領域12Acにおいて、プリズム部Ac1の高さが最も高く、緩衝部Ac2の高さが最も低い。緩衝部Ac2は、上述したように、支持層21に接する面とは反対側の面に凹凸面を含んでいる。こうした凹凸面には、光を回折する機能、光の反射を防止する機能、光を散乱する機能、および、光を干渉させる機能のいずれかを有する凹凸面を採用することができる。また、凹凸面は、互いに異なる機能を有した複数の部分を含むこともできる。
【0101】
遷移部Ac3は、緩衝部Ac2と同様、支持層21と接する面とは反対側の面に凹凸面を含むことができる。遷移部Ac3の凹凸面には、緩衝部Ac2と同様の構成を採用することができる。あるいは、遷移部Ac3において、支持層21と接する面とは反対側の面が傾斜面であってもよい。傾斜面は、遷移部Ac3の高さが、プリズム部Ac1から緩衝部Ac2に向う方向に沿って次第に小さくなるような傾斜を有している。
【0102】
プリズム部Ac1、緩衝部Ac2、および、遷移部Ac3は、1つの層として一体に形成することができる。これにより、プリズム部Ac1、緩衝部Ac2、および、遷移部Ac3の位置が、他の部分の位置に対してずれることが抑えられる。こうした第1領域12Acを形成するときには、1つの原版を用いてもよいし、各別に形成された原版であって、プリズム部用原版、緩衝部用原版、および、遷移部用原版を繋ぐことによって1つの原版として用いてもよい。
【0103】
シート12cが巻芯に巻き取られたときに、第1領域12Acが緩衝部Ac2を備えることによって、緩衝部Ac2には、プリズム部Ac1に掛かる圧力と、第2領域12Bcに掛かる圧力との間の大きさを有した圧力が掛かる。そのため、プリズム部Ac1に掛かる圧力と第2領域12Bcに掛かる圧力との間において、圧力が急激に変わることが抑えられる。結果として、シート12cが巻かれたときにプリズム部Ac1が変形することがより抑えられる。
【0104】
また、第1領域12Acが遷移部Ac3を備えることによって、プリズム部Ac1と緩衝部Ac2との間の段差が遷移部Ac3によって緩和される。そのため、プリズム部Ac1の変形がより抑えられる。
【0105】
なお、第1領域12Abは、延在方向D1と幅方向D2とに交差する方向に沿って延びるプリズム部Ac1と、幅方向D2におけるプリズム部Ac1の片側にのみ1つの緩衝部Ac2と、プリズム部Ac1と緩衝部Ac2との間に1つの遷移部Ac3とを備えた構成とすることもできる。また、第1領域12Abは、延在方向D1と幅方向D2とに交差する方向に沿って延びるプリズム部Ac1と、プリズム部Ac1に隣接した1つの緩衝部Ac2とのみを備えた構成とすることもできる。
【0106】
さらに、第1領域12Abは、延在方向D1と幅方向D2とに交差する方向に沿って延びるプリズム部Ac1と、幅方向D2においてプリズム部Ac1を挟む2つの緩衝部Ac2とのみを備えた構成とすることもできる。また、第1領域12Abは、延在方向D1と幅方向D2とに交差する方向に沿って延びるプリズム部Ac1と、プリズム部Ac1を挟む2つの緩衝部Ac2と、2つの緩衝部Ac2のうちのいずれかとプリズム部Ac1との間に1つの遷移部Ac3とを備える一方で、他方の緩衝部Ac2とプリズム部Ac1とが隣接する構成とすることもできる。
【0107】
・
図13および
図14を参照して先に説明した構成は、さらに以下のように変更することができる。すなわち、
図13および
図14を参照して先に説明した構成は、
図11を用いて先に説明した構成と組み合わせて実施することができる。
図17が示すように、シート12dが拡がる平面と対向する平面視において、1つの第1領域12Adが、幅方向D2において2つの第2領域12Bdに挟まれている。第1領域12Adには、上述した第1領域12Abと同様、複数のセルCが区画されている。
【0108】
第2領域12Bdは、延在方向D1に沿って延びる突条Bd1を備えている。第2領域12Bdは、複数の突条Bd1を備え、かつ、複数の突条Bd1は、幅方向D2に沿って離間して並んでいる。なお、第2領域12Bdは、1つの突条Bd1のみを備えてもよい。
【0109】
図18が示すように、シート12dは、支持層21とパターン層23dとから構成されている。第1領域12Adおよび第2領域12Bdの各々は、パターン層23dにおける互いに異なる一部を含んでいる。第1領域12Adに含まれる複数のプリズムPrが要素パターン構造22pであり、第1領域12Adは、パターン層23dのなかで厚い部分である。第2領域12Bdは、パターン層23dのなかで要素パターン構造22pを含まない薄い部分である。
【0110】
こうした構成によれば、支持層21上にパターン層23dを形成するときに、以下の効果を得ることができる。すなわち、シート12dを製造するときには、支持層21にパターン層23dを形成するための塗膜を形成した後に、塗膜に対してプリズムPrを形成するための原版を押し当てる。このとき、プリズムPrと同時に突条Bd1を形成するため、原版は、突条Bd1に対応するパターンを有している。これにより、パターン層23dを形成するための塗膜のなかで、第2領域12Bdに対応する部分にも原版のパターンが押し当てられるため、塗膜のなかで、第2領域12Bdに対応する部分が、支持層21から浮き上がることが抑えられる。
【0111】
また、第2領域12Bdが突条Bd1を備えるため、第2領域12Bdが突条を有しない場合と比べて、シート12dが巻芯11に巻き付けられたときに、第2領域12Bdの一部が、第2領域12Bdの他の一部と接しても、これらの間においてブロッキングが生じることが抑えられる。
【0112】
・
図17および
図18を用いて先に説明した構成は、
図15および
図16を用いて先に説明した構成と組み合わせて実施することができる。すなわち、パターン層23dのなかで第1領域12Adに対応する部分は、緩衝部Ac2および遷移部Ac3少なくとも一方を備えてもよい。
【0113】
・第1実施形態では、第1領域での要素パターン構造の密度と、第2領域での要素パターン構造の密度とが互いに異なる構成を説明した。これに限らず、例えば、第1領域での要素パターン構造の密度と、第2領域での要素パターン構造の密度とが互いに等しくともよく、この場合には、第1領域での要素パターン構造の配置と、第2領域での要素パターン構造の配置とが互いに異なっていればよい。またあるいは、第1領域での要素パターン構造の密度と、第2領域での要素パターン構造の密度とが互いに異なり、かつ、第1領域での要素パターン構造の配置と、第2領域での要素パターン構造の密度とが違いに異なってもよい。
【0114】
[第2実施形態]
図19から
図24を参照して、ロール体を具体化した第2実施形態を説明する。第2実施形態のロール体は、第1実施形態のロール体と比べて、第1領域が複数の要素パターン構造を含む点で異なっている。そのため、以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第1実施形態のロール体と共通する構成の詳しい説明を省略する。また、以下では、ロール体における第1例から第5例の構成を順番に説明する。
【0115】
なお、
図19から
図24の各々では、シートが拡がる平面と対向する平面視において、要素パターン構造が位置する部分と要素パターン構造が位置しない部分とを区別しやすくする目的で、要素パターン構造にドットが付されている。
【0116】
[第1例]
図19を参照して第2実施形態のロール体における第1例を説明する。
図19が示すように、シート30において、第1領域30Aおよび第2領域30Bの各々は、延在方向D1および幅方向D2の両方と交差する方向に沿って延びる直線状を有している。
【0117】
シート30は、支持層31とパターン構造32とから構成されている。パターン構造32は、複数の要素パターン構造32aから構成され、かつ、1つの第1領域30Aには、複数の要素パターン構造32aが属している。
【0118】
パターン構造32は、シート30が拡がる平面と対向する平面視において、互いに異なる形状を有した2種類以上の要素パターン構造32aを含んでいる。そのため、全ての要素パターン構造32aが同じ形状を有する構成と比べて、パターン構造32の形状を複雑にすることができる。
【0119】
パターン構造32において、各要素パターン構造32aは、所定の厚さを有する部分である。パターン構造32は、第1領域30Aに位置する一方で、第2領域30Bには位置していない。第1領域30Aにおいて、複数の要素パターン構造32aは、第1領域30Aが延びる方向に沿って離間して並んでいる。
【0120】
各要素パターン構造32aは、シート30が拡がる平面と対向する平面視において、アルファベットのうちの1つを表現する形状を有している。各要素パターン構造32aは、アルファベットの「G」、「E」、「N」、「U」、および、「I」のいずれかを表現する形状を有している。
【0121】
言い換えれば、ロール体の第1例において、シート30は、支持層31と、シート30の表面に形成され、延在方向D1に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群32bとを含んでいる。各要素パターン構造群32bは、支持層31に支持されてシート30の表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造32aから構成されている。ロール体の第1例では、「G」、「E」、「N」、「U」、「I」、「N」、および、「E」のそれぞれを表現する形状を有した要素パターン構造32aによって、1つの要素パターン構造群32bが構成されている。1つの要素パターン構造群32bを構成する複数の要素パターン構造32aは、延在方向D1と幅方向D2との両方と交差する方向に沿って並んでいる。シート30のなかで、延在方向D1に沿って延び、かつ、幅方向D2においてシート30の一部を占める帯状の領域において、複数の要素パターン構造群32bが所定の周期で繰り返されている。
【0122】
シート30が拡がる平面と対向する平面視において、要素パターン構造群領域GRは、1つの要素パターン構造群32bを構成する複数の要素パターン構造32aの集まりを、各要素パターン構造32aの縁の一部に接する包絡輪郭線OLで取り囲むことによって区画される。包絡輪郭線OLは、1つの要素パターン構造群32bに属する全ての要素パターン構造32aに接している。包絡輪郭線OLは、要素パターン構造32aが並ぶ方向に沿って延びる直線を含んで設定されることが好ましい。
【0123】
ロール体の第1例において、延在方向D1と平行な線が基準線LDである。基準線LDは、シート30に重なる位置に設定されているが、シート30から離れた位置に設定されてもよい。幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの少なくとも一方の端部から基準線LDまでの長さが、延在方向D1に沿って周期的に変わっている。ロール体の第1例では、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの長さは、1つの要素パターン構造群領域GRのなかで変わり、こうした要素パターン構造群領域GRが延在方向D1に沿って周期的に繰り返されることによって、各端部から基準線LDまでの距離が延在方向D1に沿って周期的に変わっている。
【0124】
[第2例]
図20を参照して第2実施形態のロール体における第2例を説明する。
図20が示すように、シート40において、第1領域40Aおよび第2領域40Bは、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って延びる直線状を有している。
【0125】
シート40は、支持層41とパターン構造42とから構成され、パターン構造42は、複数の要素パターン構造群42bを含んでいる。各要素パターン構造群42bは、複数の要素パターン構造42aから構成されている。各第1領域40Aおよび各第2領域40Bは、要素パターン構造群42bを含んでいる。
【0126】
パターン構造42において、1つの要素パターン構造群42bに属する複数の要素パターン構造42aは、幅方向D2に沿って離間して並んでいる。各要素パターン構造群42bに属する複数の要素パターン構造42aは、第1例における複数の要素パターン構造32aと同様の構成である。
【0127】
1つの第1領域40Aに属する複数の要素パターン構造群42bは、延在方向D1および幅方向D2の両方と交差する方向に沿って離間して並んでいる。なお、1つの第2領域40Bに複数の要素パターン構造群42bが属するときには、1つの第1領域40Aに属する複数の要素パターン構造群42bと同様、複数の要素パターン構造群42bは、延在方向D1および幅方向D2の両方と交差する方向に沿って離間して並ぶことが好ましい。
【0128】
1つの第1領域40Aに属する要素パターン構造群42bの数は、1つの第2領域40Bに属する要素パターン構造群42bの数よりも大きい。より詳しくは、1つの第1領域40Aには3つの要素パターン構造群42bが属し、1つの第2領域40Bには1つの要素パターン構造群42bが属している。
【0129】
なお、1つの第1領域40Aに属する要素パターン構造群42bの数が1つの第2領域40Bに属する要素パターン構造群42bの数と異なっていれば、1つの第1領域40Aに属する要素パターン構造群42bの数は3以外であってもよいし、1つの第2領域40Bに属する要素パターン構造群42bの数は1以外であってもよい。あるいは、1つの第1領域40Aに属する要素パターン構造群42bの数は、1つの第2領域40Bに属する要素パターン構造群42bの数よりも小さくてもよい。
【0130】
第2例によれば、第1領域40Aだけでなく第2領域40Bも要素パターン構造群42bを含むため、第1領域40Aのみが要素パターン構造群42bを含む構成と比べて、シート40が拡がる平面と対向する平面視において、パターン構造42が有する形状がより複雑になる。
【0131】
言い換えれば、ロール体の第2例において、シート40は、支持層41と、シート40の表面に形成され、延在方向D1に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群42bとを含んでいる。各要素パターン構造群42bは、支持層41に支持されてシート40の表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造42aから構成されている。
【0132】
1つの要素パターン構造群42bを構成する複数の要素パターン構造42aは、幅方向D2に沿って並んでいる。各要素パターン構造群42bは、シート40の幅方向D2におけるほぼ全体にわたる長さを有し、かつ、複数の要素パターン構造群42bが延在方向D1に沿って所定の周期で繰り返されている。複数の要素パターン構造群42bでは、幅方向D2において、要素パターン構造群42bの中央とシート40の中央とがほぼ一致するように位置する要素パターン構造群42bが1つおきに位置している。こうした要素パターン構造群42bの間に、幅方向D2において、一方の端部寄りに位置する要素パターン構造群42bと、他方の端部寄りに位置する要素パターン構造群42bとが、1つずつ交互に位置している。
【0133】
包絡輪郭線OLは、1つの要素パターン構造群42bに属する全ての要素パターン構造42aに接している。包絡輪郭線OLは、要素パターン構造42aが並ぶ方向に沿って延びる直線を含んで設定されることが好ましい。ロール体の第2例では、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの長さが、要素パターン構造群領域GR間にて延在方向D1に沿って周期的に変わっている。
【0134】
[第3例]
図21を参照して第2実施形態のロール体における第3例を説明する。
図21が示すように、シート50において、第1領域50Aおよび第2領域50Bは、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って延び、かつ、第1領域50Aおよび第2領域50Bの延びる方向に沿う各領域の縁は、複数の屈曲部を有する折線状を有している。第1領域50Aおよび第2領域50Bは、それぞれ各領域の延びる方向に沿って複数の括れ部を有する帯状を有している。第1領域50Aの幅と第2領域50Bの幅とは、互いにほぼ等しい。
【0135】
シート50は、支持層51とパターン構造52とから構成され、1つの第1領域50Aには、複数の要素パターン構造52aが属している。第1領域50Aにおいて、複数の要素パターン構造52aは、第1領域50Aの延びる方向に沿って離間して並んでいる。シート50が拡がる平面と対向する平面視において、各要素パターン構造52aは六角形状を有し、各要素パターン構造52aを区画する6つの辺のうち、互いに平行な2つの辺が幅方向D2に沿って延びている。
【0136】
これに対して、1つの第2領域50Bには、1つの要素パターン構造52aが属している。第2領域50Bにおいて、要素パターン構造52aは、幅方向D2における中央に位置し、第2領域50Bの要素パターン構造52aにおける幅方向D2の位置は、各第1領域50Aに属する1つの要素パターン構造52aにおける幅方向D2の位置と等しい。そのため、パターン構造52において、第2領域50Bに属する要素パターン構造52aを含む複数の要素パターン構造52aが、延在方向D1に沿って連なっている。全ての要素パターン構造52aは、互いに同じ形状を有している。
【0137】
第3例によれば、全ての要素パターン構造が同じ形状を有する構成であっても、巻芯11の軸方向における所定の位置に要素パターン構造が連続して巻き付けられることが抑えられ、シート50において、巻芯11の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。
【0138】
言い換えれば、ロール体の第3例において、シート50は、支持層51と、シート50の表面に形成され、延在方向D1に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群52bとを含んでいる。各要素パターン構造群52bは、支持層51に支持されてシート50の表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造52aから構成されている。
【0139】
ロール体の第3例では、六角形状を有した複数の要素パターン構造52aによって、1つの要素パターン構造群52bが構成されている。1つの要素パターン構造群52bを構成する複数の要素パターン構造52aは、延在方向D1と交差する方向に沿って並んでいる。延在方向D1において、複数の要素パターン構造群52bは離間して並び、延在方向D1における2つの要素パターン構造群52bの間に、1つの要素パターン構造52aが位置している。
【0140】
包絡輪郭線OLは、各要素パターン構造52aが有する辺の一部に沿うように設定されている。ロール体の第4例では、要素パターン構造群領域GRにおける幅方向D2の端部を区画する辺が、延在方向D1および幅方向D2の両方に対して傾いている。そのため、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの長さは、1つの要素パターン構造群52bのなかで変わり、こうした要素パターン構造群領域GRが延在方向D1に沿って繰り返されることによって、端部から基準線LDまでの距離が延在方向D1に沿って周期的に変わっている。
【0141】
[第4例]
図22および
図23を参照して第2実施形態のロール体における第4例を説明する。
図22が示すように、シート60において、第1領域60Aおよび第2領域60Bは、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って並んでいる。第1領域60Aの延びる方向に沿う第1領域60Aの縁は、複数の屈曲部を有する折線状を有し、第1領域60Aは、第1領域60Aが延びる方向に沿って複数の括れ部を有する帯状を有している。第2領域60Bは、複数の屈曲部を有する折線状を有している。第1領域60Aの幅は、第2領域60Bの幅よりも大きい。
【0142】
シート60は、支持層61とパターン構造62とから構成され、1つの第1領域60Aには、複数の要素パターン構造62aが属している。複数の要素パターン構造62aは、シート60が拡がる平面と対向する平面視において、互いに同じ形状を有している。
【0143】
各要素パターン構造62aは六角形状を有し、各要素パターン構造62aを区画する6つの辺のうち、互いに平行な2つの辺が延在方向D1に沿って延びている。1つの第1領域60Aに属する複数の要素パターン構造62aは、第1領域60Aが延びる方向に沿って間隔を空けて並んでいる。
【0144】
これに対して、第2領域60Bには、1つの要素パターン構造62aも属していない。すなわち、第2領域60Bは、支持層61の一部のみから構成されている。
こうした第4例によっても、第3例と同等の効果を得ることができる。
【0145】
言い換えれば、
図23が示すように、ロール体の第4例において、シート60は、支持層61と、シート60の表面に形成され、延在方向D1に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群62bとを含んでいる。各要素パターン構造群62bは、支持層61に支持されてシート60の表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造62aから構成されている。
【0146】
ロール体の第4例では、六角形状を有した要素パターン構造62aによって、1つの要素パターン構造群62bが構成されている。1つの要素パターン構造群62bを構成する複数の要素パターン構造62aは、幅方向D2に沿って並んでいる。複数の要素パターン構造群62bが延在方向D1に沿って所定の周期で繰り返されている。複数の要素パターン構造群62bでは、1つの要素パターン構造群62bに属する要素パターン構造62aの数が互いに異なり、これにより、幅方向D2における端部の位置が互いに異なる2種の要素パターン構造群62bが、延在方向D1に沿って交互に並んでいる。2種の要素パターン構造群62bのうち、一方の要素パターン構造群62bは3つの要素パターン構造62aを含み、他方の要素パターン構造群62bは2つの要素パターン構造62aを含んでいる。
【0147】
包絡輪郭線OLは、各要素パターン構造62aが有する辺の一部に沿うように設定されている。ロール体の第4例では、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの長さが、要素パターン構造群領域GR間にて延在方向D1に沿って周期的に変わっている。
【0148】
[第5例]
図24を参照して第2実施形態のロール体における第5例を説明する。
図24が示すように、シート70において、第1領域70Aおよび第2領域70Bは、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って延びている。第1領域70Aは、シート70が拡がる平面と対向する平面視において、延在方向D1および幅方向D2の両方に交差する方向に沿って、複数の菱形が連なった帯状を有している。
【0149】
シート70が拡がる平面と対向する平面視において、第2領域70Bは帯状を有し、第2領域70Bにおいて、第2領域70Bの延びる方向に沿う縁が複数の屈曲部を有した折線状を有している。第2領域70Bは、六角形状を有した部分が第2領域70Bの延びる方向に沿って連なる部分を含んでいる。また、第2領域70Bは、第2領域70Bの延びる方向に沿って複数の括れ部を有する帯状を有している。
【0150】
シート70は、支持層71とパターン構造72とから構成され、1つの第1領域70Aには、複数の要素パターン構造72aが属している。各要素パターン構造72aは菱形状を有し、複数の要素パターン構造72aは、第1領域70Aの延びる方向に沿って連なっている。
【0151】
これに対して、各第2領域70Bには、1つの要素パターン構造72aも属していない。言い換えれば、各第2領域70Bは、支持層71の一部のみから構成されている。
こうした第5例によっても、第3例と同等の効果を得ることができる。
【0152】
言い換えれば、ロール体の第5例において、シート70は、支持層71と、シート70の表面に形成され、延在方向D1に沿って周期的に並ぶ複数の要素パターン構造群72bとを含んでいる。各要素パターン構造群72bは、支持層71に支持されてシート70の表面において凸部を形成する複数の要素パターン構造72aから構成されている。シート70が拡がる平面と対向する平面視において、菱形状を有した複数の要素パターン構造72aによって、1つの要素パターン構造群72bが構成されている。1つの要素パターン構造群72bを構成する複数の要素パターン構造72aは、延在方向D1と幅方向D2との両方と交差する方向に沿って並んでいる。各要素パターン構造群72bは、幅方向D2のほぼ全体にわたる長さを有し、かつ、延在方向D1において複数の要素パターン構造群72bが所定の周期で繰り返されている。
【0153】
包絡輪郭線OLは、1つの要素パターン構造群72bに属する各要素パターン構造72aの外縁に沿って設定されている。菱形状を有した要素パターン構造72aを構成する各辺が、延在方向D1および幅方向D2の両方に対して傾いている。そのため、1つの要素パターン構造群領域GRのなかで、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの長さが、延在方向D1に沿って周期的に変わり、これにより要素パターン構造群領域GRの各端部から基準線LDまでの距離が、延在方向D1に沿って周期的に変わっている。
【0154】
以上説明したように、ロール体の第2実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(7)第1例から第5例の各々のように、複数の要素パターン構造を含む第1領域によれば、第1領域の全体にわたって連続する1つの要素パターン構造を有する構成と比べて、複数の要素パターン構造によって、複雑な形状を表現することができる。
【0155】
(8)第1例および第2例の各々のように、パターン構造が、互いに異なる形状を有した2種類以上の要素パターン構造を含む構成では、全ての要素パターン構造が同じ形状を有する構成と比べて、パターン構造の形状を複雑にすることができる。
【0156】
(9)第3例から第5例の各々のように、全ての要素パターン構造が同じ形状を有する構成であっても、巻芯11の軸方向における所定の位置に要素パターン構造が連続して巻き付けられることが抑えられ、シートにおいて、巻芯11の径方向に沿う厚さのばらつきが抑えられる。
【0157】
(10)第2例のように、第1領域40Aだけでなく第2領域40Bも要素パターン構造群42bを含む構成では、第1領域40Aのみが要素パターン構造群42bを含む構成と比べて、シート40が拡がる平面と対向する平面視において、パターン構造42が有する形状がより複雑になる。
【0158】
(11)要素パターン構造群領域GRのなかで、幅方向D2における各端部から、延在方向D1に平行な基準線LDまでの長さが、延在方向D1に沿って周期的に変わるため、巻芯の軸方向において各端部の位置が周期的に変わる。それゆえに、巻芯の軸方向における各端部の位置が変わらない構成と比べて、巻芯に巻き付けられたシートに皺が生じることが抑えられる。
【0159】
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・要素パターン構造群領域GRは、幅方向D2における要素パターン構造群領域GRの一方の端部から基準線LDまでの長さが延在方向D1に沿って周期的に変わる一方で、他方の端部から基準線LDまでの長さが延在方向D1において一定であってもよい。こうした構成であっても、要素パターン構造群領域GRのなかで、少なくとも延在方向D1に沿って基準線LDから端部までの距離が周期的に変わる端部では、シートに皺が生じることが抑えられる。
【0160】
・第1例から第5例の各々は、
図11を参照して先に説明した第1実施形態の変形例における構成と組み合わせて実施してもよい。すなわち、各例において、シートが支持層とパターン層とを備え、パターン層が、パターン構造を含む凹凸構造体であってもよい。そして、パターン層では、第2領域に含まれる部分であって、かつ、要素パターン構造が位置しない部分も所定の厚さを有してもよい。
【0161】
・第2例において、第1領域40Aに属する要素パターン構造群42bと、第2領域40Bに属する要素パターン構造群42bとは、シート40が拡がる平面と対向する平面視において、互いに異なる形状を有してもよい。すなわち、第1領域40Aに属する要素パターン構造群は、複数の第1要素パターン構造から構成され、第2領域40Bに属する要素パターン構造群は、第1要素パターン構造とは異なる第2要素パターン構造から構成されてもよい。
【0162】
・各要素パターン構造は、シートが拡がる平面と対向する平面視において、上述した形状に限らず、文字、数字、記号、および、絵柄などのいずれか1つを表現する形状を有していてもよい。
【0163】
・第2実施形態の各例におけるロール体は、第1実施形態の変形例と同様、シートを備える一方で、巻芯を備えない構成であってもよい。
【0164】
[実施例]
基材として、23μmの厚さを有するポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、下記の組成を有するレリーフ層用インキを乾燥後の厚さが1μmになるようにグラビア印刷法を用いて基材に塗工した。これにより、5000mの長さを有する6本の原反を準備した。そして、各原反を巻芯に巻き付けることによってロール体を得た。
【0165】
[レリーフ層用インキ]
ウレタンアクリレート 50.0質量部
メチルエチルケトン 30.0質量部
酢酸エチル 20.0質量部
光開始剤 1.5質量部
【0166】
なお、ウレタンアクリレートとして日立化成(株)製のヒタロイド7903シリーズ:多官能(ヒタロイドは登録商標)を用い、かつ、光開始剤としてBASF社製のイルガキュア184(イルガキュアは登録商標)を用いた。
【0167】
次いで、巻芯に巻き付けた原反を繰り出し、ロールフォトポリマー法を用いて、レリーフ層用インキを用いて形成した塗工層に、外周面が凹凸面である円筒状の原版を押し当てて、塗工層のうち、基材に接する面とは反対側の面を凹凸面に加工した。塗工層に原版を押し当てるとき、プレス圧力を2Kgf/cm2に設定し、プレス温度を80℃に設定し、プレススピードを10m/minに設定した。
【0168】
塗工層に原版を押し当てると同時に、基材に対して塗工膜が位置する側とは反対側から紫外線を照射することによって、塗工膜を硬化させた。紫外線を照射するときには高圧水銀灯を用い、かつ、露光量を300mJ/cm2に設定した。これにより、深さが120nmであり、周期が700nmである正弦波状を有したレリーフ面を有するレリーフ層を形成し、基材とレリーフ層とから構成される支持層を得た。そして、支持層を巻芯に巻き付けることによって、ロール体を得た。
【0169】
ロール体から支持層を繰り出し、ロール式の真空蒸着装置を用いて、レリーフ層のレリーフ面の全体に70nmの厚さを有するアルミニウム層を形成した。その後、アルミニウム層を有する支持層を巻芯に巻き付けることによって、ロール体を得た。
【0170】
ロール体からアルミニウム層と支持層との積層体を繰り出し、アルミニウム層の上に、グラビア印刷法を用いて下記の組成を有するマスク用インキを塗布することによって、マスクを形成した。このとき、6つのロール体において、互いに異なる形状を有するマスクを形成した。
【0171】
第1のロール体には、実施例1のロール体を得るために、
図2を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成し、第2のロール体には、実施例2のロール体を得るために、
図19を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成した。また、第3のロール体には、実施例3のロール体を得るために、
図20を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成し、第4のロール体には、実施例4のロール体を得るために、
図21を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成した。
【0172】
また、第5のロール体には、実施例5のロール体を得るために、
図22を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成し、第6のロール体には、比較例1のロール体を得るために、
図9を用いて先に説明したパターン層を形成するためのマスクを形成した。また、乾燥後において、各マスクが3μmの厚さを有するようにアルミニウム層にマスク用インキを塗工した。
【0173】
[マスク用インキ]
ポリアミド樹脂 20.0質量部
エタノール 50.0質量部
トルエン 30.0質量部
【0174】
支持層とアルミニウム層との積層体にアルカリエッチング処理を行うことによって、支持層と要素パターン構造とから構成されたシートを得た。そして、シートを巻芯に巻き付けることによって、ロール体を得た。
【0175】
[評価]
実施例1から実施例5の各々のロール体、および、比較例1のロール体において、シートを繰り出し、シートに皺が形成されているか否かを目視によって判断した。実施例1から実施例5の各々のロール体では、シートに皺が生じていないことが認められた一方で、比較例1のロール体では、シートに皺が生じていることが認められた。
【符号の説明】
【0176】
10,R…ロール体、11,R1…巻芯、11S,R1S…外周面、12,12a,12b,12c,12d,30,40,50,60,70,R2…シート、12A,12Aa,12Ab,12Ac,12Ad,30A,40A,50A,60A,70A,R2A…第1領域、12Ae,12Be…縁、12A1,23a…第1部分、12A2,23b…第2部分、12A3…第3部分、12B,12Ba,12Bb,12Bc,12Bd,30B,40B,50B,60B,70B,R2B…第2領域、12P…パターン区分領域、12S…表面、21,31,41,51,61,71,R21…支持層、21a,22p1…支持部、22,32,42,52,62,72,R22…パターン構造、22a,22p,32a,42a,52a,62a,72a,R22a…要素パターン構造、22b…窪み、23,23d…パターン層、32b,42b,52b,62b,72b…要素パターン構造群、A…回転軸、Ac1…プリズム部、Ac2…緩衝部、Ac3…遷移部、Bd1…突条、C…セル、GR…要素パターン構造群領域、L…直線、LB,LD…基準線、OL…包絡輪郭線、P…基準点、Pr…プリズム、Pra…頂点。