IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図1
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図2
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図3
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図4
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図5
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図6
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図7
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図8
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図9
  • 特許-内燃機関の排気浄化装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/36 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
F01N3/36 C ZAB
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019025428
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020133451
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆徳
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206262(JP,A)
【文献】特開2009-156078(JP,A)
【文献】特開2006-77691(JP,A)
【文献】特開2011-220300(JP,A)
【文献】特開2018-184845(JP,A)
【文献】特開2016-981(JP,A)
【文献】特開2008-51089(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108110(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008001101(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04- 3/38
F01N 9/00-11/00
B01D 53/73
B01D 53/86-53/90
B01D 53/94-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に開口部を有する排気管と、
前記排気管の排気流れ方向の下流側に設けられる排気浄化触媒と、
前記排気管の外壁面に取り付けられ、前記開口部の外周を覆う筒状部材と、
前記筒状部材に設けられ、前記開口部よりも外側から、前記排気流れ方向と対向する方向に液体を添加する添加弁と、
前記排気管の内壁面に設けられ、前記添加弁からの液体が衝突する衝突面を有する排気管部材と、
を備え、
前記衝突面は、前記排気流れ方向の下流側から上流側に向かうほど前記筒状部材から離れるように傾斜し、
前記筒状部材の中心軸を通り、かつ、前記添加弁からの液体の添加方向と平行な断面において、前記筒状部材の取り付け位置よりも前記排気流れ方向の上流側に位置する前記排気管の内壁面が、前記取り付け位置に近い箇所では前記開口部の径方向に延び、前記取り付け位置から離れた箇所では前記筒状部材から離れる方向に屈曲する
ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-128046号公報には、ターボチャージャと排気浄化触媒の間に添加弁を備える内燃機関の排気浄化装置が開示されている。排気浄化触媒は、添加弁からの液体(軽油)を利用して排気に含まれる窒素酸化物(NOx)を還元する。添加弁は、排気の流れ方向に対向し、かつ、ターボチャージャの排出口に向けて添加液を添加する。この排出口付近では、排気の流れが旋回流となっている。そのため、上記添加態様によれば、添加弁からの液体と排気の混合を促進して排気浄化触媒でのNOxの還元率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-128046号公報
【文献】特開2015-010508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
添加弁からの液体が衝突可能な位置に排気管部材を設けることを考える。このような排気管部材によれば、衝突に伴って液体を微粒化させて排気中に分散させることができる。したがって、添加弁からの液体と排気の混合を促進することができる。つまり、このような排気管部材によれば、ターボチャージャの排出口に向けた添加の有無に関係なく、添加弁からの液体と排気の混合を促進することができる。
【0005】
ただし、添加弁よりも上流側に排気管部材を設けた場合、排気管部材に衝突させた液体が排気によって下流側に押し流される。そのため、排気中に分散させた液体が、添加弁に付着する可能性がある。付着した液体が固化すると、デポジットとして添加弁に堆積する。そうすると、添加弁の添加動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも1つに鑑みてなされたものであり、排気の流れ方向に対向して液体を添加する添加弁と、添加弁からの液体が衝突可能な位置に設けられた排気管部材と、を備える排気浄化装置において、排気管部材に衝突させた液体が添加弁に付着するのを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するための内燃機関の排気浄化装置であり、次の特徴を有する。
前記排気浄化装置は、排気管と、排気浄化触媒と、筒状部材と、添加弁と、排気管部材と、を備えている。
前記排気管は、壁面に開口部を有している。
前記排気浄化触媒は、前記排気管の排気流れ方向の下流側に設けられている。
前記筒状部材は、前記排気管の外壁面に取り付けられている。前記筒状部材は、前記開口部の外周を覆う。
前記添加弁は、前記筒状部材に設けられている。前記添加弁は、前記開口部よりも外側から、前記排気流れ方向と対抗する方向に液体を添加する。
前記排気管部材は、前記排気管の内壁面に設けられている。前記排気管部材は、衝突面を有する。前記衝突面には、前記添加弁からの液体が衝突する。
前記衝突面は、前記排気流れ方向の下流側から上流側に向かうほど前記筒状部材から離れるように傾斜する。
前記筒状部材の中心軸を通り、かつ、前記添加弁からの液体の添加方向と平行な断面において、前記筒状部材の取り付け位置よりも前記排気流れ方向の上流側に位置する前記排気管の内壁面が、前記取り付け位置に近い箇所では前記開口部の径方向に延び、前記取り付け位置から離れた箇所では前記筒状部材から離れる方向に屈曲する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衝突面が上述したように傾斜しており、また、排気管の内壁面が上述したような断面形状を有しているので、開口部の上流側における液体の流れを制御して排気管から筒状部材への液体の流入を抑えることが可能となる。したがって、液体が添加弁に付着するのを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1および2に係る排気浄化装置の構成を説明する図である。
図2】実施の形態1に係る排気浄化装置の曲り部周辺の構成を説明する図である。
図3】実施の形態1に係る排気浄化装置の曲り部周辺の構成を説明する図である。
図4】実施の形態1に係る排気浄化装置の曲り部周辺の構成を説明する図である。
図5】衝突面の好ましい傾斜例を説明する図である。
図6】実施の形態1において、添加弁から添加された液体の流れを説明する図である。
図7】第1比較例としての排気浄化装置において、添加弁から添加された液体の流れを説明する図である。
図8】第2比較例としての排気浄化装置において、添加弁から添加された液体の流れを説明する図である。
図9】実施の形態2に係る排気浄化装置の曲り部周辺の構成を説明する図である。
図10】実施の形態2において、添加弁から添加された液体の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【0011】
1.実施の形態1
先ず、図1乃至8を参照しながら、本発明の実施の形態1について説明する。
【0012】
1.1 排気浄化装置の構成
(1) 装置全体の構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る排気浄化装置の構成を説明する図である。図1に示す排気浄化装置1は、ツインターボ型のディーゼルエンジン(図示しない)からの排気を浄化するための装置である。図1に示す排気管10は、プライマリターボ(図示しない)に接続されており、排気管12はセカンダリターボ(図示しない)に接続されている。排気管10と排気管12は下流側で合流している。なお、本明細書における「上流側」および「下流側」は、排気流れ方向を基準とする。この「排気流れ方向」は、典型的には、排気管10や排気管12の中心軸の延在方向と平行となる。
【0013】
排気管10と排気管12の合流部よりも下流側には、排気浄化触媒14が配置されている。排気浄化触媒14は、例えば、DOC(Diesel Oxidation Catalyst)、DPF(Diesel Particulate Filter)、NOx吸着還元触媒などから構成される。DOCは、排気に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)や一酸化窒素(NO)を酸化して、水(HO)、二酸化炭素(CO)や二酸化窒素(NO)に変換する。DPFは、排気に含まれる微粒子を捕集する。NOx吸着還元触媒は、酸化雰囲気においてNOxを吸蔵し、HCを含む還元雰囲気においてNOxを放出して窒素(N)に還元する。
【0014】
別の例として、排気浄化触媒14は、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒から構成される。尿素SCR触媒は、アンモニア(NH)を含む還元雰囲気においてNOxをNに還元する。
【0015】
(2) 排気管の構成
排気管10および排気管12は、その途中で大きく屈曲している。図2乃至4は、排気管10の曲り部16周辺の構成を説明する図である。図2は、図1に示すX-Z平面と平行な平面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。図3は、図1に示すY-Z平面と平行な平面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。図4は、図1に示すX-Y平面と平行な平面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。なお、図1においては、上下方向をZ軸方向とし、排気浄化触媒14の配置方向をY軸方向とする。
【0016】
図2および3に示すように、曲り部16の壁面には開口部20が形成されている。曲り部16の外壁面には、筒状部材18が取り付けられている。筒状部材18の内壁面は、開口部20の外周を覆う。図2には、筒状部材18の上流側における取り付け位置24と、下流側における取り付け位置26と、が示されている。取り付け位置24および26を通る線L1は、X軸に対して傾斜している。
【0017】
また、取り付け位置24の上流側において、曲り部16の内壁面は、取り付け位置24に近い箇所では線L1と平行な方向(つまり、開口部20の径方向)に延び、取り付け位置24から離れた箇所ではZ軸方向に屈曲している。これは、曲り部16の形状によるものである。
【0018】
(3) 添加弁の構成
添加弁22は、開口部20よりも外側から排気管10の内側に向けて液体(例えば、軽油、尿素水、アンモニア水など)を添加する。添加弁22からの液体の添加方向は、下流側から上流側に向かう方向である。つまり、液体の添加方向は、排気流れ方向に対向している。
【0019】
(4) 排気管部材の構成
曲り部16には、排気管部材30が設けられている。排気管部材30は、添加弁22からの液体を微粒化して排気中に分散させる。排気管部材30は、衝突面32と、縦規制面34と、横規制面36と、支持面38と、を備えている。
【0020】
衝突面32は、添加弁22からの液体の衝突を受ける面である。図2乃至4に示すように、衝突面32は、曲り部16の内部に位置している。衝突面32の延在方向は、X軸方向と略平行である。ここでいう「略平行」とは、2直線がなす角度が0°でなくてもよいことを意味している。略平行とは、例えば、2直線がなす角度が0±30°である状態をいう。
【0021】
また、衝突面32は、Z軸に対して傾斜している。具体的に、衝突面32は、上流側に向かうほど筒状部材18から離れるように傾斜している。図5は、衝突面32の好ましい傾斜例を説明する図である。図5に示す角度θは、衝突面32の最も上流側における液体の反射角を表している。衝突面32は、例えば、この角度θを調整することで設計される。衝突面32は、例えば、衝突時に発生する液膜がここから垂れることのない範囲内で、この角度θが最も小さくなるように設計される。
【0022】
添加弁22から添加された液体は、衝突面32に衝突することで微粒化し、周囲に拡散する。衝突面32に衝突した後の液体は、排気によって押し流されて下流側に向かう(詳細は後述)。縦規制面34は、衝突面32に衝突した後の液体のZ軸方向における流れを規制する面である。縦規制面34の上流側は、曲り部16の内部に位置している。縦規制面34は、X軸方向と略平行に延びている。
【0023】
横規制面36は、衝突面32に衝突した後の液体のY軸方向における流れを規制する面である。横規制面36は、縦規制面34同様、X軸方向と略平行に延びている。横規制面36と縦規制面34は、略垂直に繋がっている。ここでいう「略垂直」とは、2直線のなす角度が90°でなくてもよいことを意味している。略垂直とは、例えば、2直線がなす角度が90±30°である状態をいう。
【0024】
支持面38は、排気管部材30を曲り部16の内壁面に支持する面である。支持面38、縦規制面34同様、X軸方向と略平行に延びている。支持面38は、曲り部16の内壁面に繋がっている。支持面38は、横規制面36の下流側の一部とも繋がっている。
【0025】
1.2 添加液体の流れ
図6は、添加弁22から添加された液体の流れを説明する図である。図2同様、図6は、図1に示すX-Z平面と平行な平面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。図6は、筒状部材18の中心軸を通り、かつ、添加弁22からの液体の添加方向と平行な面で排気管10を切断したときの断面図にも相当する。
【0026】
図6に矢印で示すように、添加弁22からの液体は、衝突面32で反射して上流側に向かう。ただし、排気管10には排気が流れていることから、衝突面32で反射した液体は、排気によって押し流されて下流側に向かう。このとき、進行方向を反転させた液体の一部は、縦規制面34に沿って流れる。進行方向を反転させた液体のまた別の一部は、取り付け位置24の近くを流れる。取り付け位置24の近くを流れる液体は、曲り部16の内壁面の形状を利用して、線L1と平行な方向に進む。
【0027】
1.3 排気浄化装置による効果
図7は、排気浄化装置1の第1比較例としての排気浄化装置2において、添加弁22から添加された液体の流れを説明する図である。図6同様、図7は、筒状部材18の中心軸を通り、かつ、添加弁22からの液体の添加方向と平行な面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。
【0028】
図7に示す排気浄化装置2と、図6等に示した排気浄化装置1の違いは、排気管部材の形状にある。具体的に、排気浄化装置2の曲り部16の内部には、排気管部材40が設けられている。排気管部材40は、衝突面42と、横規制面44と、支持面46と、を備えている。衝突面42の機能は、衝突面32および縦規制面34の機能を兼ねている。横規制面44の機能は、横規制面36のそれと同じである。支持面46の機能は、支持面38のそれと同じである。
【0029】
図7に示すように、衝突面42の延在方向は、X軸方向と平行である。そのため、衝突面42での液体の反射角が衝突面32でのそれに比べて大きくなる。そうすると、反射後における液体の上流側への移動距離が相対的に短くなるので、進行方向を反転させた液体が開口部20を介して筒状部材18に流入し易く、添加弁22に付着する液体の量が多くなり易い。
【0030】
図8は、排気浄化装置1の第2比較例としての排気浄化装置3において、添加弁22から添加された液体の流れを説明する図である。図6同様、図8は、筒状部材18の中心軸を通り、かつ、添加弁22からの液体の添加方向と平行な面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。
【0031】
図8に示す排気浄化装置3と、図6等に示した排気浄化装置1の違いは、取り付け位置24の上流側における曲り部16の形状にある。具体的に、排気浄化装置3では、曲り部16の内壁面が取り付け位置24の箇所からZ軸方向に屈曲している。このような形状の場合、取り付け位置24の上流側の曲り部16の内壁面に沿って流れる液体の一部が、開口部20を介して筒状部材18の内部に流入し易くなる。
【0032】
この点、排気浄化装置1によれば、衝突面32が上述したように傾斜しており、また、取り付け位置24の上流側における曲り部16の内壁面が上述したような断面形状を有している。そのため、開口部20の上流側における液体の流れを制御して、排気管10から筒状部材18への液体の流入を抑えることが可能となる。したがって、液体が添加弁22に付着するのを抑えることが可能となる。
【0033】
また、排気浄化装置1では、衝突面32が上述したように傾斜しているので、反射後における液体の上流側への移動距離を相対的に長くすることも可能となる。したがって、排気と液体の混合時間を確保して液体を排気中に十分に拡散させることが可能となる。したがって、進行方向を反転させた液体の一部が筒状部材18に流入した場合であっても、この流入量を減らして、添加弁22に付着する液体の量を少なくすることができる。
【0034】
2.実施の形態2
次に、図9および10を参照しながら、本発明の実施の形態2について説明する。以下において、上記実施の形態1と重複する説明については適宜省略する。
【0035】
2.1 排気管の構成
図9は、本発明の実施の形態2に係る排気浄化装置4の曲り部16周辺の構成を説明する図である。図9は、図2同様、図1に示すX-Z平面と平行な平面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。図9は、筒状部材18の中心軸を通り、かつ、添加弁22からの液体の添加方向と平行な面で排気管10を切断したときの断面図にも相当する。
【0036】
図9に示すように、曲り部16には開口部50が形成されている。筒状部材52は、曲り部16の外壁面に取り付けられて開口部50を覆う。筒状部材52の上流側における取り付け位置54は、図2で説明した取り付け位置24と同じ位置である。一方、筒状部材52の下流側における取り付け位置56は、図2で説明した取り付け位置26よりも下流側に位置している。この理由は、筒状部材52の内壁面が取り付け位置56に近い箇所において湾曲しているためである。
【0037】
図2等で説明した線L1同様、取り付け位置54および56を通る線L2は、X軸に対して傾斜している。取り付け位置54の上流側において、曲り部16の内壁面は、取り付け位置54に近い箇所では線L2と平行な方向に延び、取り付け位置54から離れた箇所ではZ軸方向に屈曲している。
【0038】
また、取り付け位置54に近い曲り部16の内壁面には、壁部材58が設けられている。壁部材58は、この内壁面に溶接により取り付けられる板状部材であり、開口部50の上流側の一部を塞いでいる。
【0039】
2.2 添加液体の流れ
図10は、添加弁22から添加された液体の流れを説明する図である。図9同様、図10は、筒状部材18の中心軸を通り、かつ、添加弁22からの液体の添加方向と平行な面で排気管10を切断したときの断面図に相当する。
【0040】
図10に矢印で示すように、添加弁22からの液体は、衝突面32で反射して上流側に向かう。衝突面32で反射した液体は、排気によって押し流されて下流側に向かう。このとき、進行方向を反転させた液体の一部は、縦規制面34に沿って流れる。進行方向を反転させた液体のまた別の一部は、取り付け位置54の近くを流れる。取り付け位置54の近くを流れる液体は、曲り部16の内壁面の形状および壁部材58を利用して、線L2と平行な方向に進む。
【0041】
2.3 排気浄化装置による効果
排気浄化装置4によれば、上記実施の形態1に係る排気浄化装置1による効果に加え、次の効果を得ることができる。すなわち、排気浄化装置4は、壁部材58を有しているので、開口部50の上流側における液体の流れを制御して、排気管10から筒状部材18への液体の流入をより一層抑えることが可能となる。したがって、液体が添加弁22に付着するのをより一層抑えることが可能となる。
【0042】
また、排気浄化装置4によれば、筒状部材52の内壁面が取り付け位置56に近い箇所において湾曲している。そのため、進行方向を反転させた液体の一部が筒状部材18に流入した場合であっても、取り付け位置56の形状を利用して曲り部16に戻り易くすることができる。したがって、添加弁22に付着する液体の量を少なくすることができる。
【0043】
3.その他の実施の形態
上記実施の形態1または2に係る排気浄化装置は、次のように変形することもできる。
【0044】
上記排気浄化装置1および4は、ツインターボ型のディーゼルエンジンを前提とした。しかし、シングルターボ型のディーゼルエンジンを前提としてもよいし、自然吸気型のディーゼルエンジンを前提としてもよい。更には、ガソリンエンジンを前提としてもよい。なお、ガソリンエンジンを前提とする場合は、エンジンの仕様に応じて排気浄化触媒の構成を適宜変更することが望ましい。
【0045】
上記排気浄化装置1および4では、排気管部材30が曲り部16の内壁面に設置された。しかし、曲り部16よりも上流側の排気管10の内壁面に、排気管部材30が設置されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、4 排気浄化装置
10、12 排気管
14 排気浄化触媒
16 曲り部
18、52 筒状部材
20、50 開口部
22 添加弁
24、26、54、56 取り付け位置
30 排気管部材
32 衝突面
34 縦規制面
36 横規制面
38 支持面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10