(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】絶縁型降圧DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
H02M3/28 C
(21)【出願番号】P 2019028734
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】原 清仁
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】迫田 慎平
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-288404(JP,A)
【文献】特開2001-275344(JP,A)
【文献】特開平11-225429(JP,A)
【文献】特開2018-113832(JP,A)
【文献】特開2018-153037(JP,A)
【文献】特開2009-284721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、電源と前記トランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチと、前記トランスの2次コイルの後段に設けられる整流回路と、前記整流回路の後段に設けられる平滑回路とを含み、前記スイッチが交互にオン、オフすることにより前記電源から供給される電力を前記トランスを介して出力するパワー回路と、
前記スイッチを交互にオン、オフさせる制御信号を絶縁部を介して前記スイッチに出力する制御回路と、
前記2次コイルと前記整流回路との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧を検出する検出回路と、
前記検出回路により出力される電圧を所定の電圧に変化させるレベルシフト回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記レベルシフト回路から出力される電圧を用いて前記パワー回路または前記制御回路が異常であるか否かを検出する異常検出部と、
前記異常検出部により異常が検出されると、当該絶縁型降圧DCDCコンバータが発電停止していると判断する発電停止判断部と、
を備えることを特徴とする絶縁型降圧DCDCコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁型降圧DCDCコンバータであって、
前記異常検出部は、前記レベルシフト回路から出力される電圧が第1のレベルから第2のレベルに切り替わってから一定時間経過しても前記レベルシフト回路から出力される電圧が前記第2のレベルから前記第1のレベルに切り替わらない場合、前記パワー回路または前記制御回路が異常であることを検出する
ことを特徴とする絶縁型降圧DCDCコンバータ。
【請求項3】
請求項1に記載の絶縁型降圧DCDCコンバータであって、
前記異常検出部は、前記レベルシフト回路から出力される電圧のピーク値が基準電圧より低くなると、前記パワー回路または前記制御回路が異常であることを検出する
ことを特徴とする絶縁型降圧DCDCコンバータ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の絶縁型降圧DCDCコンバータであって、
前記1次コイルに並列接続されるクランプコンデンサと、
前記1次コイルと前記スイッチとの接続点と前記クランプコンデンサとの間に接続され、前記1次コイルに蓄積されるエネルギーを前記クランプコンデンサに移動させて前記1次コイルに蓄積されるエネルギーをリセットさせるクランプスイッチと、
前記2次コイルに並列接続され、前記スイッチがオンしているときにオフし、前記スイッチがオフしているときにオンする第1の整流用スイッチと、
前記2次コイルと前記第1の整流用スイッチとの間に接続され、前記スイッチがオンしているときにオンし、前記スイッチがオフしているときにオフする第2の整流用スイッチと、
を備えることを特徴とする絶縁型降圧DCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁型降圧DCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁型降圧DCDCコンバータとして、トランスと、電源とトランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチとを含み、スイッチが交互にオン、オフすることにより電源から供給される電力をトランスを介して出力するパワー回路と、スイッチを交互にオン、オフさせる制御信号をスイッチに出力する制御部を含む制御回路とを備えるものがある。
【0003】
ところで、パワー回路で扱われる電圧が制御回路で入出力可能な電圧より高い場合、制御部から絶縁部を介してスイッチに制御信号を出力する必要がある。
【0004】
そのため、絶縁型降圧DCDCコンバータが発電停止しているか否かを判断する場合、絶縁部に入力される前の制御信号を制御部にフィードバックし制御部が異常であるか否かを判断することが考えられる。
【0005】
関連する技術として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記絶縁型降圧DCDCコンバータでは、パワー回路で扱われる電圧が制御回路で入出力可能な電圧より高い場合、パワー回路で扱われる電圧を制御回路にフィードバックすることができないため、スイッチやトランスなどに異常があったとしても、その異常を制御部が検出することができず、絶縁型降圧DCDCコンバータが発電停止しているか否かを判断することができないという懸念がある。
【0008】
そこで、本発明の一側面に係る目的は、制御回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止だけでなくパワー回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止も判断することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一つの形態である絶縁型降圧DCDCコンバータは、トランスと、電源とトランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチと、トランスの2次コイルの後段に設けられる整流回路と、整流回路の後段に設けられる平滑回路とを含み、スイッチが交互にオン、オフすることにより電源から供給される電力をトランスを介して出力するパワー回路と、スイッチを交互にオン、オフさせる制御信号を絶縁部を介してスイッチに出力する制御回路と、2次コイルと整流回路との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧を検出する検出回路と、検出回路により検出される電圧を所定の電圧に変化させるレベルシフト回路とを備える。
【0010】
制御回路は、レベルシフト回路から出力される電圧を用いてパワー回路または制御回路が異常であるか否かを検出する異常検出部と、異常検出部により異常が検出されると、絶縁型降圧DCDCコンバータが発電停止していると判断する発電停止判断部とを備える。
【0011】
レベルシフト回路から出力される電圧が制御回路に入出力可能な電圧である場合、レベルシフト回路から出力される電圧を用いて制御回路においてパワー回路または制御回路が異常であるか否かを検出するとともに、その異常検出結果により絶縁型降圧DCDコンバータが発電停止しているか否かを判断することができる。すなわち、本発明に係る一つの形態である絶縁型降圧DCDCコンバータでは、制御回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止だけでなくパワー回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止も判断することができる。
【0012】
また、異常検出部は、レベルシフト回路から出力される電圧が第1のレベルから第2のレベルに切り替わってから一定時間経過してもレベルシフト回路から出力される電圧が第2のレベルから第1のレベルに切り替わらない場合、パワー回路または制御回路が異常であることを検出するように構成してもよい。
【0013】
また、異常検出部は、レベルシフト回路から出力される電圧のピーク値が基準電圧より低くなると、パワー回路または制御回路が異常であることを検出するように構成してもよい。
【0014】
また、絶縁型降圧DCDCコンバータは、1次コイルに並列接続されるクランプコンデンサと、1次コイルとスイッチとの接続点と、クランプコンデンサとの間に接続され、1次コイルに蓄積されるエネルギーをクランプコンデンサに移動させて1次コイルに蓄積されるエネルギーをリセットさせるクランプスイッチと、2次コイルに並列接続され、スイッチがオンしているときにオフし、スイッチがオフしているときにオンする第1の整流用スイッチと、2次コイルと第1の整流用スイッチとの間に接続され、スイッチがオンしているときにオンし、スイッチがオフしているときにオフする第2の整流用スイッチとを備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、制御回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止だけでなくパワー回路の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータの発電停止も判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の絶縁型降圧DCDCコンバータの一例を示す図である。
【
図2】検出回路、レベルシフト回路、及び異常検出部の例を示す図である。
【
図3】検出回路、レベルシフト回路、及び異常検出部の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
【
図4】検出回路、レベルシフト回路、及び異常検出部の例を示す図である。
【
図5】検出回路、レベルシフト回路、及び異常検出部の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の絶縁型降圧DCDCコンバータの一例を示す図である。
【0018】
図1に示す絶縁型降圧DCDCコンバータ1は、アクティブクランプ方式のフォワード型DCDCコンバータであって、パワー回路2と、制御回路3と、検出回路4と、レベルシフト回路5とを備える。また、絶縁型降圧DCDCコンバータ1は、ハイブリッド車や電気自動車などの車両に搭載され、高圧バッテリBhi(電源)から供給される電力を低圧バッテリBloやスターターモータやライトなどの負荷Lo2に電力を供給する。高圧バッテリBhiは、走行モータを駆動するインバータなどの負荷Lo1に電力を供給し、低圧バッテリBloは、負荷Lo2に電力を供給する。
【0019】
パワー回路2は、トランスTと、コンデンサC1と、スイッチSWと、クランプコンデンサCcと、クランプスイッチSWcと、整流回路6と、平滑回路7とを備え、スイッチSWが交互にオン、オフすることにより、高圧バッテリBhiから供給される電力をトランスT、整流回路6、及び平滑回路7を介して低圧バッテリBloに出力する。整流回路6は、整流用スイッチSWr1(第1の整流用スイッチ)と、整流用SWr2(第2の整流用スイッチ)とを備える。平滑回路7は、インダクタLと、コンデンサC2とを備える。なお、トランスTの1次コイルL1と2次コイルL2の巻数比は、1次コイルL1の巻数:2次コイルL2の巻数=N:1とし、高圧バッテリBhiの電圧が降圧され低圧バッテリBloに出力されるものとする。また、スイッチSW、クランプスイッチSWc、及び整流用スイッチSWr1、SWr2は、それぞれ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などとする。また、整流用スイッチSWr1、SWr2をダイオードに替えてもよい。また、絶縁型降圧DCDCコンバータ1は、高圧バッテリBhiとトランスTの1次コイルL1との間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチSWが交互にオン、オフすることにより高圧バッテリBhiから供給される電力をトランスT、整流回路6、及び平滑回路7を介して出力するものであれば、アクティブクランプ方式のフォワード型DCDCコンバータに限定されない。
【0020】
高圧バッテリBhiのプラス端子がコンデンサC1の一方の端子、クランプコンデンサCcの一方の端子、及びトランスTの1次コイルL1の一方の端子に接続され、高圧バッテリBhiのマイナス端子がコンデンサC1の他方の端子及びスイッチSWのソース端子に接続されている。スイッチSWのドレイン端子が1次コイルL1の他方の端子及びクランプスイッチSWcのソース端子に接続されている。クランプスイッチSWcのドレイン端子がクランプコンデンサCcの他方の端子に接続されている。トランスTの2次コイルL2の一方の端子が整流用スイッチSWr1のドレイン端子及びインダクタLの一方の端子に接続され、2次コイルL2の他方の端子が整流用スイッチSWr2のドレイン端子に接続されている。インダクタLの他方の端子がコンデンサC2の一方の端子及び低圧バッテリBloのプラス端子に接続されている。整流用スイッチSWr1のソース端子が整流用スイッチSWr2のソース端子、コンデンサC2の他方の端子、及び低圧バッテリBloのマイナス端子に接続されている。
【0021】
制御回路3は、制御部8と、絶縁部9、10とを備える。なお、制御部8は、例えば、IC(Integrated Circuit)やマイクロコンピュータなどにより構成される。また、絶縁部9、10は、それぞれ、例えば、フォトカプラなどにより構成される。
【0022】
制御部8は、絶縁型降圧DCDCコンバータ1の出力電力が目標電力になるように、スイッチSWを交互にオン、オフさせる制御信号のデューティ比を制御し、その制御信号を絶縁部9を介してスイッチSWのゲート端子に出力する。スイッチSWが交互にオン、オフすると、高圧バッテリBhiから供給される電力が交流に変換されて1次コイルL1から2次コイルL2に伝わる。
【0023】
また、制御部8は、クランプスイッチSWcを交互にオン、オフさせる制御信号を絶縁部10を介してクランプスイッチSWcのゲート端子に出力する。なお、制御部8は、スイッチSWをオンさせているとき、クランプスイッチSWcをオフさせ、スイッチSWをオフさせているとき、クランプスイッチSWcがオンさせる。これにより、1次コイルL1に蓄積されるエネルギーをクランプコンデンサCcに移動させ、1次コイルL1に蓄積されるエネルギーをリセットさせることができる。
【0024】
また、制御部8は、整流用スイッチSWr1を交互にオン、オフさせる制御信号を整流用スイッチSWr1のゲート端子に出力するとともに、整流用スイッチSWr2を交互にオン、オフさせる制御信号を整流用スイッチSWr2のゲート端子に出力する。なお、制御部8は、スイッチSWをオンさせているとき、整流用スイッチSWr1をオフさせるとともに整流用スイッチSWr2をオンさせる。また、制御部8は、スイッチSWをオフさせているとき、整流用スイッチSWr1をオンさせるとともに整流用スイッチSWr2をオフさせる。スイッチSW及び整流用スイッチSWr2がオンし、整流用スイッチSWr1がオフすると、2次コイルL2からインダクタL及びコンデンサC2を介して低圧バッテリBloに電流が流れる。また、スイッチSW及び整流用スイッチSWr2がオフし、整流用スイッチSWr1がオンすると、整流用スイッチSWr1からインダクタL及びコンデンサC2を介して低圧バッテリBloに電流が流れる。
【0025】
これにより、高圧バッテリBhiから供給される電力をトランスT、整流回路6、及び平滑回路7を介して低圧バッテリBloに出力させることができる。
【0026】
検出回路4は、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpを検出する。例えば、検出回路4は、2次コイルL2の一方の端子と整流用スイッチSWr1のドレイン端子との接続点pの電圧Vpを検出する。
【0027】
レベルシフト回路5は、検出回路4により出力される電圧Vdを電圧Vsに変化させる。例えば、レベルシフト回路5は、検出回路4により出力される電圧Vdのピーク値が制御回路3の入力可能な電圧の上限値以下になるように、電圧Vdを電圧Vsに変化させる。
【0028】
また、制御部8は、異常検出部81と、発電停止判断部82とを備える。なお、異常検出部81や発電停止判断部82はソフトウェアにより構成されてもよいし、ハードウェアにより構成されてもよい。また、異常検出部81は、制御部8の外部に設けられていてもよい。
【0029】
異常検出部81は、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsを用いてパワー回路2または制御回路3が異常であるか否かを検出する。例えば、異常検出部81は、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsがハイレベル(第1のレベル)からローレベル(第2のレベル)に切り替わってから一定時間経過してもレベルシフト回路5から出力される電圧がローレベルからハイレベルに切り替わらない場合、パワー回路2または制御回路3が異常であることを検出する。または、異常検出部81は、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsのピーク値が基準電圧より低くなると、パワー回路2または制御回路3が異常であることを検出する。
【0030】
発電停止判断部82は、異常検出部81によりパワー回路2または制御回路3が異常であると検出されると、絶縁型降圧DCDCコンバータ1が発電停止していると判断する。
【0031】
このように、実施形態の絶縁型降圧DCDCコンバータ1によれば、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsが制御回路3に入出力可能な電圧である場合、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsを用いて制御回路3においてパワー回路2または制御回路3が異常であるか否かを検出するとともに、その異常検出結果により絶縁型降圧DCDコンバータ1が発電停止しているか否かを判断することができる。すなわち、実施形態の絶縁型降圧DCDCコンバータ1では、制御回路3の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータ1の発電停止だけでなくパワー回路2の異常に伴う絶縁型降圧DCDCコンバータ1の発電停止も判断することができる。これにより、絶縁型降圧DCDCコンバータ1の発電が停止している旨を制御回路3から車両全体を制御する上位制御部に伝えることができるため、低圧バッテリBloのみから負荷Lo2に電力が供給され続けることを低減することができ、低圧バッテリBloの容量低下に伴う低圧バッテリBloの電圧低下により負荷Lo2を駆動させることができなくなることを抑制することができる。
【0032】
<検出回路4、レベルシフト回路5、及び異常検出部81の例>
図2は、検出回路4、レベルシフト回路5、及び異常検出部81の例(その1)を示す図である。
【0033】
また、
図3(a)は、検出回路4の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図3(b)は、レベルシフト回路5の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図3(c)は、後述する1ショットパルス出力回路13の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図3(d)は、後述する電圧上昇回路14の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図3(e)は、後述するコンパレータCOMP1の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。なお、
図3(a)~
図3(e)に示す直交座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0034】
図2に示す検出回路4は、ダイオードDと、抵抗R1とを備え、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpを検出する。ダイオードDのカソード端子が接続点pに接続され、ダイオードDのアノード端子が抵抗R1を介して所定の電源に接続されている。スイッチSWが交互にオン、オフすることで2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧が発振しているとき、
図3(a)に示すように、ダイオードDのアノード端子にかかる電圧、すなわち、検出回路4により出力される電圧Vdがゼロと所定の電源の電圧Vcとの間で発振する。また、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpが発振していないとき、電圧Vdは発振せず、ゼロのままになる。また、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが異常である場合、制御部8がスイッチSWを交互にオン、オフさせようとしても、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpが発振しない。
【0035】
図2に示すレベルシフト回路5は、抵抗R2、R3を備え、検出回路4により出力される電圧Vdを電圧Vsに変化させる。抵抗R2の一方の端子がダイオードDのアノード端子に接続され、抵抗R2の他方の端子が抵抗R3を介してグランドに接続されている。すなわち、レベルシフト回路5は、電圧Vdを抵抗R2、R3により分圧し、抵抗R3にかかる電圧を電圧Vsとして出力する。
図3(b)に示すように、電圧Vsの変動幅(振幅値)は、電圧Vdの変動幅(振幅値)より小さくなる。
【0036】
図2に示す異常検出部81は、1ショットパルス出力回路13と、電圧上昇回路14と、コンパレータCOMP1と、定電圧源Pv1とを備える。電圧上昇回路14は、スイッチSWvと、定電流源Pc1、Pc2と、コンデンサC3とを備える。なお、スイッチSWvは、例えば、MOSFETなどにより構成されるものとする。
【0037】
1ショットパルス出力回路13は、
図3(c)に示すように、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsが立ち下がる度に、ローレベルからハイレベルに切り替わり一定時間T1経過後ハイレベルからローレベルに切り替わる電圧Vshotを出力する。
【0038】
スイッチSWvは、電圧Vshotがローレベルであるとき、オフし、電圧Vshotがハイレベルであるとき、オンする。スイッチSWvがオフしているとき、定電流源Pc1からコンデンサC3に電流が流れ、
図3(d)に示すように、コンデンサC3の電圧Vvが上昇する。スイッチSWvがオフからオンに切り替わると、コンデンサC3から定電流源Pc2を介してスイッチSWvに電流が流れ、コンデンサC3の電圧Vvが低下する。
【0039】
コンパレータCOMP1のプラス入力端子がコンデンサC3に接続され、コンパレータCOMP1のマイナス入力端子が定電圧源Pv1のプラス端子に接続され、コンパレータCOMP1の出力端子が発電停止判断部82に接続されている。コンパレータCOMP1は、
図3(d)及び
図3(e)に示すように、電圧Vvが定電圧源Pv1の基準電圧Vref1より低いとき、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが異常でない旨を示すローレベルの電圧Veを出力する。また、コンパレータCOMP1は、電圧Vvが基準電圧Vref1より高くなると(時刻t1)、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが異常である旨を示すハイレベルの電圧Veを出力する。なお、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが正常から異常になり、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsがハイレベルからローレベルに切り替わってから電圧Vvが基準電圧Vref1より高くなるまでの時間を一定時間T2とする。
【0040】
これにより、異常検出部81は、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsがハイレベルからローレベルに切り替わってから一定時間T2経過してもレベルシフト回路5から出力される電圧Vsがローレベルからハイレベルに切り替わらない場合、パワー回路2または制御回路3が異常であることを検出することができる。
【0041】
そして、発電停止判断部82は、異常検出部81から出力される電圧Veがローレベルからハイレベルになると、絶縁型降圧DCDCコンバータ1が発電停止していると判断する。
【0042】
図4は、検出回路4、レベルシフト回路5、及び異常検出部81の例(その2)を示す図である。なお、
図4に示す検出回路4及びレベルシフト回路5は、
図2に示す検出回路4及びレベルシフト回路5と同様とする。
【0043】
また、
図5(a)は、検出回路4の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図5(b)は、レベルシフト回路5の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図5(c)は、後述するピークホールド回路15の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。
図5(d)は、後述するコンパレータCOMP2の出力電圧のタイミングチャートを示す図である。なお、
図5(a)~
図5(d)に示す直交座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0044】
図4に示す異常検出部81は、ピークホールド回路15と、コンパレータCOMP2とを備える。
【0045】
ピークホールド回路15は、
図5(c)に示すように、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsのピーク値を一定周期(例えば、スイッチSWのスイッチング周期)毎に保持し電圧Vhとして出力する。すなわち、ピークホールド回路15は、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpが発振している場合、ハイレベルの電圧Vh(後述する基準電圧Vref2より高い電圧)を継続して出力し、2次コイルL2と整流回路6との間のハイサイドの電源ラインにかかる電圧Vpが発振していない場合、ローレベルの電圧Vh(基準電圧Vref2より低い電圧)を継続して出力する。
【0046】
コンパレータCOMP2のマイナス入力端子がピークホールド回路15の出力端子に接続され、コンパレータCOMP2のプラス入力端子が定電圧源Pv2のプラス端子に接続され、コンパレータCOMP2の出力端子が発電停止判断部82に接続されている。コンパレータCOMP2は、
図5(c)及び
図5(d)に示すように、電圧Vhが定電圧源Pv2の基準電圧Vref2より高いとき、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが異常でない旨を示すローレベルの電圧Veを出力する。また、コンパレータCOMP2は、電圧Vhが基準電圧Vref2より低くなると(時刻t2)、パワー回路2のスイッチSW及びトランスT、並びに、制御回路3の制御部8及び絶縁部10の少なくとも1つが異常である旨を示すハイレベルの電圧Veを出力する。
【0047】
これにより、異常検出部81は、レベルシフト回路5から出力される電圧Vsのピーク値(電圧Vh)が基準電圧Vref2より低くなると、パワー回路2または制御回路3が異常であることを検出することができる。
【0048】
そして、発電停止判断部82は、異常検出部81から出力される電圧Veがローレベルからハイレベルになると、絶縁型降圧DCDCコンバータ1が発電停止していると判断する。
【0049】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 絶縁型降圧DCDCコンバータ
2 パワー回路
3 制御回路
4 検出回路
5 レベルシフト回路
6 整流回路
7 平滑回路
8 制御部
9、10 絶縁部
81 異常検出部
82 発電停止判断部
Bhi 高圧バッテリ
Blo 低圧バッテリ
Lo1、Lo2 負荷
C1、C2 コンデンサ
Cc クランプコンデンサ
SW スイッチ
SWc クランプスイッチ
SWr1、SWr2 整流用スイッチ
T トランス
L インダクタ