(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ピストン式圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 27/12 20060101AFI20220412BHJP
F04B 39/10 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
F04B27/12 P
F04B39/10 A
(21)【出願番号】P 2019054597
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2018067762
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】金井 明信
(72)【発明者】
【氏名】近藤 久弥
(72)【発明者】
【氏名】井沢 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-321828(JP,A)
【文献】特開2017-96128(JP,A)
【文献】特開2014-125993(JP,A)
【文献】特開2015-169157(JP,A)
【文献】特開2014-92074(JP,A)
【文献】特開平5-306680(JP,A)
【文献】特開2005-299478(JP,A)
【文献】特開2005-163714(JP,A)
【文献】特開2005-315176(JP,A)
【文献】特開平5-296146(JP,A)
【文献】特開2016-191361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/12
F04B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックを有し、吸入室と、吐出室と、斜板室と、軸孔とが形成されたハウジングと、
前記軸孔内で回転可能に支承された駆動軸と、
前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能であり、前記駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である固定斜板と、
前記シリンダボア内に圧縮室を形成し、前記固定斜板に連結されるピストンと、
前記圧縮室内の冷媒を前記吐出室に吐出させる吐出弁と、
制御圧力を制御する制御弁とを備えたピストン式圧縮機であって、
前記シリンダブロックに設けられ、前記シリンダボアに連通する第1連通路と、
前記駆動軸に一体又は別体に設けられるとともに、前記駆動軸と一体回転可能であり、前記駆動軸の回転に伴い間欠的に前記第1連通路と連通する第2連通路が形成された回転体と、
前記制御圧力に基づき、前記駆動軸の駆動軸心方向に移動することで、前記第2連通路と連通可能な第3連通路が形成されたスプールと、
前記吸入室内の冷媒を前記圧縮室に吸入させる吸入弁とを備え、
前記第3連通路は、前記第2連通路を介して、圧縮行程又は吐出行程にある前記圧縮室に連通する前記第1連通路と、再膨張行程又は吸入行程にある前記圧縮室に連通する前記第1連通路とを連通させることにより、前記吸入室から前記圧縮室に吸入される冷媒の流量を変化させることを特徴とするピストン式圧縮機。
【請求項2】
前記第3連通路は、一つの前記第1連通路と、複数の前記第1連通路とを前記第2連通路により連通させる請求項1記載のピストン式圧縮機。
【請求項3】
前記回転体内には、前記駆動軸心方向に延び、前記第2連通路が連通する弁室が形成され、
前記スプールは前記弁室内に収容されている請求項1又は2記載のピストン式圧縮機。
【請求項4】
前記回転体が前記駆動軸と一体とされている請求項1乃至3のいずれか1項記載のピストン式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピストン式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のピストン式圧縮機が開示されている。この圧縮機は、ハウジングと、駆動軸と、固定斜板と、複数のピストンと、吐出弁とを備えている。
【0003】
ハウジングは、複数のシリンダボアと、シリンダボアに連通する第1連通路とが形成されたシリンダブロックを有している。また、ハウジングには、吸入室と、吐出室と、斜板室と、軸孔とが形成されている。駆動軸には、吸入室と連通する軸内通路が形成されている。
【0004】
駆動軸は、軸孔内で回転可能に支承されている。固定斜板は、駆動軸の回転によって斜板室内で回転可能であり、駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である。ピストンは、シリンダボア内に圧縮室を形成し、固定斜板に連結される。圧縮室と吐出室との間には、圧縮室内の冷媒を吐出室に吐出させるリード弁式の吐出弁が設けられている。
【0005】
また、この圧縮機では、駆動軸と別体のロータリバルブが設けられている。ロータリバルブは、軸孔内に駆動軸と一体回転可能に設けられている。また、ロータリバルブは、制御弁で制御された制御圧力と吸入圧力との差圧により、駆動軸の駆動軸心方向に移動可能である。ロータリバルブには、吸入室と連通する弁開口が形成されている。弁開口は、ロータリバルブの駆動軸心方向の位置によって第1連通路との駆動軸心周りの連通角度が変化するように形成されている。
【0006】
このロータリバルブは、ロータリバルブの駆動軸心方向の位置により、第1連通路と弁開口とが連通する。このため、吸入室内の冷媒が弁開口及び第1連通路を経て圧縮室に吸入される。この際、弁開口と第1連通路との駆動軸心周りの連通角度が変化するため、圧縮室内に吸入される冷媒の流量が変化し、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量が変化する。こうして、この圧縮機では、斜板の傾斜角度を変更させて容量を変更する圧縮機と比べ、構造の簡素化を実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の圧縮機では、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量を減少させている低流量状態において、ロータリバルブにおける連通角度が小さい弁開口と圧縮室とが連通することにより、圧縮室に冷媒が供給される。また、弁開口と圧縮室との連通が非連通となることにより、吸入行程の途中から圧縮室への冷媒の供給を遮断している。このため、吸入行程時における圧縮室内の圧力が所定の吸入圧力よりも低くなるおそれがある。このため、低流量状態では、そうでない状態よりも圧縮比が高くなり、摩擦による動力損失、振動及びトルク変動が大きくなる懸念がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量を変更可能であるとともに、低流量状態における動力損失、振動及びトルク変動を低減可能なピストン式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のピストン式圧縮機は、複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックを有し、吸入室と、吐出室と、斜板室と、軸孔とが形成されたハウジングと、
前記軸孔内で回転可能に支承された駆動軸と、
前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能であり、前記駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である固定斜板と、
前記シリンダボア内に圧縮室を形成し、前記固定斜板に連結されるピストンと、
前記圧縮室内の冷媒を前記吐出室に吐出させる吐出弁と、
制御圧力を制御する制御弁とを備えたピストン式圧縮機であって、
前記シリンダブロックに設けられ、前記シリンダボアに連通する第1連通路と、
前記駆動軸に一体又は別体に設けられるとともに、前記駆動軸と一体回転可能であり、前記駆動軸の回転に伴い間欠的に前記第1連通路と連通する第2連通路が形成された回転体と、
前記制御圧力に基づき、前記駆動軸の駆動軸心方向に移動することで、前記第2連通路と連通可能な第3連通路が形成されたスプールと、
前記吸入室内の冷媒を前記圧縮室に吸入させる吸入弁とを備え、
前記第3連通路は、前記第2連通路を介して、圧縮行程又は吐出行程にある前記圧縮室に連通する前記第1連通路と、再膨張行程又は吸入行程にある前記圧縮室に連通する前記第1連通路とを連通させることにより、前記吸入室から前記圧縮室に吸入される冷媒の流量を変化させることを特徴とする。
【0011】
本発明の圧縮機では、スプールが制御圧力に基づいて駆動軸の駆動軸心方向に移動し、スプールの第3連通路が回転体の第2連通路と連通する。そして、駆動軸の回転に伴い、圧縮行程又は吐出行程にある圧縮室に連通する第1連通路と、再膨張行程又は吸入行程にある圧縮室に連通する第1連通路とが間欠的に連通する。このため、圧縮行程又は吐出行程にある圧縮室内の冷媒の一部が間欠的に再膨張行程又は吸入行程にある圧縮室に還流され、再膨張行程又は吸入行程にある圧縮室内で再膨張する。そのため、再膨張行程又は吸入行程にある圧縮室内の圧力が吸入室内の吸入圧力よりも低くならないと、吸入弁は開かず、その際には吸入室から冷媒が圧縮室に吸入されないため、圧縮室に吸入される冷媒の流量が減少する。そのため、圧縮室から吐出室に吐出される冷媒の流量が減少する。
【0012】
スプールの第3連通路が回転体の第2連通路と連通しない場合には、圧縮室から吐出室に吐出される冷媒の流量は減少しない。
【0013】
一方、この圧縮機では、圧縮室内の圧力が吸入室内の吸入圧力よりも低くなれば、吸入弁が開き、吸入室内の冷媒が圧縮室内に吸入される。このため、吸入行程時における圧縮室内の圧力が過度に低くなることはない。このため、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量を減少させている低流量状態と、そうでない状態とで圧縮比が高くなることはない。このため、低流量状態であっても、摩擦による動力損失、振動及びトルク変動が大きくならない。
【0014】
したがって、本発明の圧縮機では、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量を変更可能であるとともに、低流量状態における動力損失、振動及びトルク変動を低減可能である。
【0015】
また、この圧縮機では、高圧の冷媒が供給先の圧縮室内で再膨張してピストンを押圧し、動力の低減効果を得ることができる。
【0016】
第3連通路は、一つの第1連通路と、複数の第1連通路とを第2連通路により連通させてもよい。この場合、供給先の圧縮室を複数とし、複数のピストンを押圧して動力の効果的な低減効果を得ることができる。
【0017】
回転体内には、駆動軸心方向に延び、第2連通路が連通する弁室が形成され得る。そして、スプールは弁室内に収容されていることが好ましい。この場合、圧縮行程又は吐出行程にある圧縮室に連通する第1連通路から作用する高圧がスプールに直接的に作用せず、スプールが駆動軸心方向に移動し易い。
【0018】
回転体が駆動軸と一体とされていることが好ましい。この場合、部品点数を削減し、製造コストのより一層の低廉化を実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の圧縮機では、圧縮室から吐出室へ吐出する冷媒の流量を変更可能であるとともに、低流量状態における動力損失、振動及びトルク変動を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1のピストン式圧縮機の断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1のピストン式圧縮機の要部断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、回転弁の展開図である。
【
図6】
図6は、実施例1のピストン式圧縮機におけるある圧縮室の体積と圧力との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例2のピストン式圧縮機の要部断面図である。図(A)ではスプールが後端に位置し、図(B)ではスプールが前端に位置している。
【
図8】
図8は、実施例2のピストン式圧縮機の他の要部断面図である。図(A)ではスプールが後端に位置し、図(B)ではスプールが前端に位置している。
【
図9】
図9は、実施例2のピストン式圧縮機に係り、回転弁の展開図である。
【
図10】
図10は、実施例2のピストン式圧縮機におけるある圧縮室の体積と圧力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1のピストン式圧縮機は、
図1に示すように、ハウジング1と、駆動軸3と、固定斜板5と、6個のピストン7(
図3参照)と、吸入弁9と、吐出弁11と、制御弁13と、スプール15とを備えている。
【0023】
ハウジング1は、フロントハウジング17、シリンダブロック19及びリヤハウジング21を有している。以下、圧縮機のフロントハウジング17側を前方とし、リヤハウジング21側を後方とする。
【0024】
フロントハウジング17とシリンダブロック19とは互いに締結され、両者間に斜板室23を形成している。リヤハウジング21には、環状の吸入室21aと、環状の吐出室21bとが形成されている。斜板室23は図示しない通路によって吸入室21aに連通している。吐出室21bは吸入室21aの外周側に位置している。リヤハウジング21には、吸入室21aを外部に開く吸入口21cと、吐出室21bを外部に開く吐出口21dとが形成されている。
【0025】
シリンダブロック19とリヤハウジング21とは、両者間に弁ユニット25を有して互いに締結されている。シリンダブロック19には、
図3に示すように、前後に貫通する6個のシリンダボア19a~19fが形成されている。シリンダブロック19は、
図1に示すように、弁ユニット25を貫通してリヤハウジング21内まで延びている。フロントハウジング17及びシリンダブロック19には駆動軸3の駆動軸心O方向に延びる軸孔27が形成されている。軸孔27は、リヤハウジング21内において、吸入室21aよりも内側に位置している。
【0026】
シリンダブロック19には、
図3に示すように、シリンダボア19a~19fから駆動軸心Oに向かって延び、シリンダボア19a~19fと軸孔27とを連通する第1連通路29a~29fが形成されている。リヤハウジング21には、
図1に示すように、シリンダブロック19の軸孔27と連通する制御圧室21eが形成されている。
【0027】
駆動軸3は軸孔27内に回転可能に支承されている。駆動軸3は、外周面に図示しない摺動層を有し、フロントハウジング17及びシリンダブロック19に直接支持されている。フロントハウジング17と駆動軸3との間には軸封装置31が設けられている。軸封装置31はハウジング1の内部と外部とを封止する。駆動軸3内には、駆動軸3の後端に開いて制御圧室21eと連通し、後端から前方に延びる弁室33が形成されている。弁室33は、制御圧室21e側に位置する大径部33aと、大径部33aより前方に位置し、大径部33aと同軸であって大径部33aより小径の小径部33bとからなる。大径部33aと小径部33bとの間には段部33cが形成されている。小径部33bは、駆動軸3に形成された通路33dによって斜板室23に連通しており、吸入圧力Psに維持されている。
【0028】
駆動軸3の外周面には、駆動軸心O方向に延びる第1溝3a及び第2溝3bが凹設されている。この圧縮機では、
図3及び
図4に示すように、第1溝3aと第2溝3bとは、駆動軸3の回転方向で例えば240°ずれている。また、
図1に示すように、第1溝3aの前端には径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第1孔3cが形成されている。第2溝3bの前端にも径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第2孔3dが形成されている。
【0029】
大径部33a内には、駆動軸心O方向に移動可能なスプール15が設けられている。スプール15の駆動軸心O方向の外周面中央には、
図3に示すように、環状溝15aが凹設されている。スプール15は環状溝15aを除いて円柱状をなしている。小径部33bにはスプール15を制御圧室21e側に付勢するバネ35が設けられている。スプール15は段部33cによって前進端が規制されるようになっている。大径部33aには、スプール15の抜け止めを行なうとともに、スプール15の後退端を規制するサークリップ37が設けられている。
【0030】
図1及び
図4に示すように、駆動軸心O方向において、第1溝3a及び第2溝3bの後端は、駆動軸3の回転によって間欠的に第1連通路29a~29fと連通する位置とされている。第1溝3a及び第2溝3bの前端並びに第1孔3c及び第2孔3dは、
図2及び
図4に示すように、前進端に位置したスプール15の環状溝15aと連通する位置とされている。駆動軸3が本発明の回転体であり、第1溝3a、第2溝3b、第1孔3c及び第2孔3dが第2連通路である。環状溝15aが第3連通路である。
【0031】
図1に示すように、固定斜板5は駆動軸3に圧入されて固定されている。フロントハウジング17と固定斜板5との間にはスラスト軸受39が設けられている。固定斜板5は駆動軸心O方向と直交する面に対してなす傾斜角度が一定である。
【0032】
シリンダボア19a~19f内にピストン7が設けられている。ピストン7は、シリンダボア19a~19f内に圧縮室41を形成する。ピストン7の前部には凹部7aが形成され、凹部7aの前後面と固定斜板5との間には前後で対をなすそれぞれ半球状のシュー43が設けられている。ピストン7は、シュー43によって固定斜板5に連結されている。
【0033】
弁ユニット25は、リテーナ25a、吐出リード弁25b、弁板25c及び吸入リード弁25dがこの順で積層されたものである。リテーナ25aがリヤハウジング21側に位置する。リテーナ25a、吐出リード弁25b及び弁板25cには、吸入リード弁25dが開けば、吸入室21aと圧縮室41とを連通させる吸入ポート25eが形成されている。また、弁板25c及び吸入リード弁25dには、吐出リード弁25bが開けば、吐出室21bと圧縮室41とを連通させる吐出ポート25fが形成されている。弁ユニット25及び吸入ポート25eが吸入弁9を構成し、弁ユニット25及び吐出ポート25fが吐出弁11を構成している。
【0034】
リヤハウジング21には制御弁13が設けられている。制御弁13には第1給気通路13b及び第2給気通路13cが接続されている。また、リヤハウジング21には、制御弁13と吸入室21aとを連通する検知通路13aが形成されている。なお、制御圧室21eと吸入室21aとは図示しない抽気通路によって接続されている。制御弁13は、吸入室21a内の吸入圧力Psを感知することにより、第1給気通路13b及び第2給気通路13cの弁開度が調整され、吐出圧力Pdの吐出室21bから制御圧室21eへの冷媒の流量を制御する。つまり、制御弁13は、制御圧室21e内の冷媒の制御圧力Pcを制御する。また、制御圧室21eは、抽気通路を通じて、制御圧室21eの制御圧力Pcが低減される。制御弁13は、最高で吐出圧力Pdとなる制御圧力Pcの冷媒を制御圧室21eに供給する。
【0035】
この圧縮機は車両の空調装置に用いられる。駆動軸3がエンジンやモータによって駆動されれば、固定斜板5が斜板室23内で駆動軸3によって回転する。このため、ピストン7がそれぞれピストン7の下死点からピストン7の上死点まで移動し、その後、ピストン7の上死点からピストン7の下死点まで移動する。このため、ピストン7がピストン7の上死点からピストン7の下死点に向けて移動すると、圧縮室41の容積が拡大し、圧縮室41内の圧力が吸入室21aより低くなれば、吸入リード弁25dが開いて吸入室21aと圧縮室41とが連通し、吸入室21aから吸入圧力Psの冷媒が圧縮室41に吸入される。そして、ピストン7がピストン7の下死点からピストン7の上死点に向けて移動すると、圧縮室41の容積が縮小し、圧縮室41内の圧力が吐出室21bより高くなれば、吐出リード弁25bが開いて吐出室21bと圧縮室41とが連通し、圧縮室41から吐出圧力Pdの冷媒が吐出室21bに吐出される。
【0036】
つまり、圧縮室41では、
図6に示すように、A点からB点において再膨張行程が行なわれ、B点からC点において吸入行程が行なわれ、C点からD点において圧縮行程が行なわれ、D点からA点において吐出行程が行なわれる。再膨張行程では、ピストン7が上死点からやや下死点に向かう段階において、圧縮室41に残留する高圧の冷媒が再膨張を生じる。吸入行程では、再膨張行程の終了後、ピストン7が下死点に向かう段階において、吸入室21a内の冷媒が圧縮室41に吸入される。圧縮行程では、吸入行程の終了後、ピストン7が下死点から上死点に向かう段階において、圧縮室41に吸入した冷媒が圧縮される。吐出行程では、圧縮行程の終了後、ピストン7が上死点に近づく段階において、圧縮室41で圧縮した冷媒が吐出室21bに吐出される。吸入室21aには吸入口21cから蒸発器を経た冷媒が供給される。また、吐出室21b内の冷媒は吐出口21dを経て凝縮器に吐出される。
【0037】
図1に示すように、駆動軸3の回転によってピストン7がピストン7の上死点に近づいた場合、例えば、
図4に示すように、シリンダボア19aの圧縮室41は、圧縮行程を終え、吐出行程に移行しようとしている。この場合、第1溝3aは、シリンダボア19aに連通する第1連通路29aと連通している。一方、シリンダボア19eの圧縮室41は、吸入行程を行なっている。第2溝3bは、シリンダボア19eに連通する第1連通路29eと連通している。
【0038】
この状態において、制御弁13が制御圧室21e内の制御圧力Pcを低くしておれば、
図1に示すように、スプール15は、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧によってバネ35の付勢力に屈し、弁室33の後方に後退している。このため、スプール15の環状溝15aは駆動軸3の第1孔3cと第2孔3dとを非連通としている。
【0039】
一方、制御弁13が制御圧室21e内の制御圧力Pcを高くすれば、スプール15は、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧によってバネ35の付勢力に抗し、弁室33の前方に前進する。このため、
図2~4に示すように、スプール15の環状溝15aが駆動軸3の第1孔3cと第2孔3dとを連通させる。
【0040】
こうして、この圧縮機では、
図4及び
図5に示すように、駆動軸3の回転に伴い、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41と、吸入行程にあるシリンダボア19eの圧縮室41とが第1連通路29a、第1溝3a、第1孔3c、環状溝15a、第2孔3d、第2溝3b及び第1連通路29eによって間欠的に連通することとなる。
【0041】
このため、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41内の冷媒の一部が間欠的に吸入行程にあるシリンダボア19eの圧縮室41に還流され、シリンダボア19eの圧縮室41内で再膨張する。そのため、シリンダボア19eの圧縮室41内の圧力が吸入室21a内の吸入圧力Psよりも低くならないと、吸入弁9の吸入リード弁25dは開かず、その際には吸入室21aから冷媒が圧縮室41に吸入されないため、シリンダボア19eの圧縮室41に吸入される冷媒の流量が減少する。そのため、シリンダボア19eの圧縮室41から吐出室21bに吐出される冷媒の流量が減少する。こうして、
図2に示すように、スプール15が弁室33の前方に前進しておれば、圧縮機は低流量状態となる。
【0042】
図1に示すように、スプール15が弁室33の後方に後退しておれば、スプール15の環状溝15aが駆動軸3の第1孔3c及び第2孔3dと連通せず、シリンダボア19eの圧縮室41から吐出室21bに吐出される冷媒の流量は減少しない。このため、この場合には、圧縮機は高流量状態となる。なお、この圧縮機は、低流量状態と高流量状態との間で徐々に流量が変化することが可能である。
【0043】
この圧縮機では、
図6に示すように、一般的な圧縮機が示す圧縮室の体積と圧力との関係A→B→C→Dに対し、P部分の仕事量を減らし、Q部分の仕事量も減らすことになる。このため、一般的な圧縮機が示す関係よりも、斜線の部分だけ仕事量が減少する。
【0044】
一方、この圧縮機では、例えば、シリンダボア19eの圧縮室41内の圧力が吸入室21a内の吸入圧力Psよりも低くなれば、吸入弁9の吸入リード弁25dが開き、吸入室21a内の冷媒がシリンダボア19eの圧縮室41内に吸入される。このため、吸入行程時におけるシリンダボア19eの圧縮室41内の圧力が過度に低くなることはない。このため、圧縮室41から吐出室21bへ吐出する冷媒の流量を減少させている低流量状態と、そうでない状態とで圧縮比が高くなることはない。このため、低流量状態であっても、摩擦による動力損失、振動及びトルク変動が大きくならない。
【0045】
したがって、この圧縮機では、圧縮室41から吐出室21bへ吐出する冷媒の流量を変更可能であるとともに、低流量状態における動力損失、振動及びトルク変動を低減可能である。
【0046】
また、この圧縮機では、例えば、環状溝15aは、第1溝3a、第1孔3c、第2溝3b及び第2孔3dを介し、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41に連通する第1連通路29aと、吸入行程にあるシリンダボア19eの圧縮室41に連通する第1連通路29eとを連通させているため、シリンダボア19aの圧縮室41内の高圧の冷媒が供給先であるシリンダボア19eの圧縮室41内で再膨張してピストン7を押圧し、動力の低減効果を得ることができる。
【0047】
さらに、この圧縮機では、駆動軸3内に弁室33を形成し、スプール15が弁室33内に収容されている。このため、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41に連通する第1連通路29aから作用する高圧がスプール15に直接的に作用せず、スプール15が駆動軸心O方向に移動し易い。
【0048】
また、この圧縮機では、駆動軸3が回転体とされているため、部品点数を削減し、製造コストのより一層の低廉化を実現することができる。
【0049】
また、この圧縮機では、斜板の傾斜角度を変更させて容量を変更していないことから、構造の簡素化を実現できる。
【0050】
なお、実施例1の圧縮機において、
図4に示すように、圧縮行程にあるシリンダボア19bやシリンダボア19cの圧縮室41に連通する第1連通路29b、29cと、吸入行程にあるシリンダボア19dやシリンダボア19eの圧縮室41に連通する第1連通路29d、29eとを連通させることも可能である。また、また、吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41に連通する第1連通路29aと、再膨張行程にあるシリンダボア19fの圧縮室41に連通する第1連通路29fとを連通させたり、吸入行程にあるシリンダボア19dやシリンダボア19eの圧縮室41に連通する第1連通路29d、29eとを連通させることも可能である。
【0051】
また、実施例1の圧縮機では、第1給気通路13bと第2給気通路13cとを経て吐出室21bから制御圧室21eに導入する冷媒の流量を制御弁13によって変化させる入れ側制御を行っている。このため、制御圧室21eの制御圧力Pcを迅速に高圧にすることができ、高流量状態から低流量状態への流量変化を速やかに行うことができる。
【0052】
また、この圧縮機は、制御圧室21eの制御圧力Pcが高くなることによって低流量状態を実現しているため、車両の加速時にエンジン等の負荷を迅速に軽減することができる。
【0053】
(実施例2)
実施例2の圧縮機は、
図7~9に示すように、駆動軸45及びスプール47が実施例1と異なる。
【0054】
すなわち、駆動軸45の外周面には、
図7に示すように、駆動軸心O方向に延びる第1溝45a、第2溝45b及び第3溝45cが凹設されている。この圧縮機では、
図9に示すように、駆動軸45の回転方向において、第1溝45aと第2溝45bとは例えば240°ずれ、第1溝45aと第3溝45cとは例えば300°ずれている。
【0055】
図7に示すように、第1溝45aの前端には径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第1孔45dが形成されている。第2溝45bの前端にも径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第2孔45eが形成されている。第3溝45cの前端にも径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第3孔45fが形成されている。
【0056】
また、
図8に示すように、駆動軸45の外周面には、駆動軸心O方向に延びる第4溝45g及び第5溝45hが凹設されている。この圧縮機では、
図9に示すように、駆動軸45の回転方向において、第4溝45gと第5溝45hとは例えば60°ずれている。
【0057】
図8に示すように、第4溝45gの後端には径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第4孔45iが形成されている。第5溝45hの後端にも径方向に延びて弁室33の大径部33aと連通する第5孔45jが形成されている。
【0058】
図7及び
図8に示すように、スプール47には、スプール47の外周面前方に第1環状溝47aが凹設され、スプール47の外周面後方に第2環状溝47bが凹設されている。スプール47は第1、2環状溝47a、47bを除いて円柱状をなしている。
【0059】
駆動軸心O方向において、第1溝45a、第2溝45b及び第3溝45cの後端並びに第4溝45g及び第5溝45hの前端は、第1連通路29a~29fと連通する位置とされている。第1溝45a、第2溝45b及び第3溝45cの前端並びに第1孔45d、第2孔45e及び第3孔45fは、
図7(B)に示すように、前進端に位置したスプール47の第1環状溝47aと連通する位置とされている。第4溝45g及び第5溝45hの後端並びに第4孔45i及び第5孔45jは、
図8(B)に示すように、前進端に位置したスプール47の第2環状溝47bと連通する位置とされている。駆動軸45が本発明の回転体である。第1溝45a、第2溝45b、第3溝45c、第1孔45d、第2孔45e、第3孔45f、第4溝45g、第5溝45h、第4孔45i及び第5孔45jが第2連通路である。第1環状溝47a及び第2環状溝47bが第3連通路である。
【0060】
この圧縮機では、駆動軸45の回転によってピストン7が上死点に近づいた場合、例えば、
図9に示すように、シリンダボア19aの圧縮室41は、圧縮行程を終え、吐出行程に移行しようとしている。この場合、第1溝45aは、シリンダボア19aに連通する第1連通路29aと連通している。一方、シリンダボア19eの圧縮室41は、吸入行程を行なっている。第2溝45bは、シリンダボア19eに連通する第1連通路29eと連通している。また、シリンダボア19fの圧縮室41は、再膨張行程を行なっている。第3溝45cは、シリンダボア19fに連通する第1連通路29fと連通している。
【0061】
この状態において、制御弁13が制御圧室21e内の制御圧力Pcを低くしておれば、
図7(A)及び
図8(A)に示すように、スプール47は、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧によってバネ35の付勢力に屈し、弁室33の後方に後退している。このため、スプール47の第1環状溝47aは駆動軸45の第1孔45dと第2孔45e及び第3孔45fとを非連通としている。また、スプール47の第2環状溝47bは駆動軸45の第4孔45iと第5孔45jとを非連通としている。
【0062】
一方、制御弁13が制御圧室21e内の制御圧力Pcを高くすれば、スプール47は、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧によってバネ35の付勢力に抗し、弁室33の前方に前進する。このため、
図7(B)及び
図8(B)に示すように、スプール47の第1環状溝47aが駆動軸45の第1孔45dと第2孔45e及び第3孔45fとを連通させる。また、スプール47の第2環状溝47bが駆動軸45の第4孔45iと第5孔45jとを連通させる。
【0063】
こうして、この圧縮機では、駆動軸45の回転に伴い、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41と、吸入行程にあるシリンダボア19eの圧縮室41とが第1連通路29a、第1溝45a、第1孔45d、第1環状溝47a、第2孔45e、第2溝45b及び第1連通路29eによって連通することとなる。また、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41と、再膨張行程にあるシリンダボア19fの圧縮室41とが第1連通路29a、第1溝45a、第1孔45d、第1環状溝47a、第3孔45f、第3溝45c及び第1連通路29fによって連通することとなる。
【0064】
このため、圧縮行程及び吐出行程にあるシリンダボア19aの圧縮室41内の高圧の冷媒の一部が間欠的に吸入行程にあるシリンダボア19eの圧縮室41や、再膨張行程にあるシリンダボア19fの圧縮室41に還流され、シリンダボア19e、19fの圧縮室41内で再膨張する。
【0065】
また、圧縮行程にあるシリンダボア19cの圧縮室41と、シリンダボア19cの圧縮室41よりも低圧で圧縮行程にあるシリンダボア19dの圧縮室41とが第1連通路29c、第1溝45a、第1孔45d、第2環状溝47b、第2孔45e、第2溝45b及び第1連通路29dによって連通することとなる。
【0066】
このため、圧縮行程中のシリンダボア19cの圧縮室41内の高圧の冷媒の一部が間欠的に圧縮行程にあるシリンダボア19dの圧縮室41に還流され、シリンダボア19dの圧縮室41内で再膨張する。こうして、
図7(B)及び
図8(B)に示すように、スプール47が弁室33の前方に前進しておれば、圧縮機は低流量状態となる。
【0067】
図7(A)及び
図8(A)に示すように、スプール47が弁室33の後方に後退しておれば、圧縮機は高流量状態となる。なお、この圧縮機においても、低流量状態と高流量状態との間で徐々に流量が変化することが可能である。
【0068】
この圧縮機では、
図10に示すように、一般的な圧縮機が示す圧縮室の体積と圧力との関係A→B→C→Dに対し、P部分の仕事量を減らし、Q部分の仕事量も減らすとともに、R部分の仕事量を減らし、S部分の仕事量も減らすことになる。このため、一般的な圧縮機が示す関係よりも、斜線の部分だけ仕事量が減少する。
【0069】
また、この圧縮機では、高圧の冷媒の供給先の圧縮室41を複数としているため、複数のピストン7を押圧して動力の効果的な低減効果を得ることができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0070】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0071】
例えば、上記実施例1、2の圧縮機では、第2連通路が高圧側の一つの圧縮室を低圧側の一つ又は二つの圧縮室と連通させたが、全ての圧縮室を連通させない限り、高圧側の二以上の圧縮室を低圧側の二以上の圧縮室と連通させることも可能である。
【0072】
また、上記実施例1、2の圧縮機では、駆動軸が回転体とされているが、回転体を駆動軸と別体としてもよい。また、スプールが回転体内の弁室に収容されているが、スプールが回転体の外周側に設けられていてもよい。
【0073】
実施例1、2では、制御圧室21eがリヤハウジング21に設けられているが、制御圧室21eは、リヤハウジング21に設けられる場合に限られず、リヤハウジングに突出しているシリンダブロック19の部分に設けられてもよい。また、実施例1、2の圧縮機よりも短い駆動軸3を採用し、駆動軸3の後端と弁ユニット25との間に制御圧室21eを設けてもよい。さらに、リヤハウジングの軸孔に制御圧室を設けてもよく、駆動軸の後端部分のみが制御圧室になっていてもよい。
【0074】
また、弁室33の小径部33bは、吸入室21aと連通していてもよい。この場合、斜板室23と吸入室21aとが連通している必要はない。
【0075】
また、実施例1、2の圧縮機において、制御弁13への電流のON、OFFを切り替えて制御圧力Pcを制御する外部制御を行ってもよい。
【0076】
さらに、実施例1、2の圧縮機において、制御圧室21eの制御圧力Pcを高めることによって流量が大きくなるように構成してもよい。この場合、制御弁13に電流をOFFすることによって弁開度を小さくするように構成すると、圧縮機の停止時において、弁開度が小さく、制御圧室21eの制御圧力Pcを低くし、低流量状態にすることができることから、低流量状態で圧縮機を起動できるため、起動ショックを低減することができる。
【0077】
また、実施例1、2の圧縮機において、抽気通路を経て制御圧室21eから吸入室21aに導出する冷媒の流量を制御弁13によって変化させる抜き側制御を行ってもよい。この場合には、圧縮機の流量変化に使用する吐出室21b内の冷媒量を少なくできることから、圧縮機の効率を上げることができる。また、この場合、制御弁13に電流をOFFすることによって弁開度を大きくするように構成すると、圧縮機の停止時において、弁開度が大きく、制御圧室21eの制御圧力Pcを低くし、低流量状態にすることができるため、低流量状態で圧縮機を起動できるため、起動ショックを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は車両の空調装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
19a~19f…シリンダボア
21a…吸入室
21b…吐出室
23…斜板室
27…軸孔
1…ハウジング(17…フロントハウジング、19…シリンダブロック、21…リヤハウジング)
29a~29f…第1連通路
3、45…駆動軸、回転体
5…固定斜板
41…圧縮室
7…ピストン
11…吐出弁
13…制御弁
3a、3b、3c、3d、45a、45b、45c、45d、45e、45f、45g、45h、45i、45j…第2連通路(3a、45a…第1溝、3b、45b…第2溝、45c…第3溝、3c、45d…第1孔、3d、45e…第2孔、45f…第3孔、45g…第4溝、45h…第5溝、45i…第4孔、45j…第5孔)
15、47…スプール
9…吸入弁
15a、47a、47b…第3連通路(15a…環状溝、47a…第1環状溝、47b…第2環状溝)
33…弁室