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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】原子層堆積方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20220412BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/54
H01L21/31
H01L21/316 X
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020160603
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053787
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2021-08-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】亀田 直人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 綾香
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109984(JP,A)
【文献】特開2006-324284(JP,A)
【文献】特表2015-525302(JP,A)
【文献】特許第5206908(JP,B2)
【文献】特許第6052470(JP,B1)
【文献】特開2016-005900(JP,A)
【文献】国際公開第2021/038958(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/170482(WO,A1)
【文献】特開2009-044093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
C23C 16/54
H01L 21/31
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、
酸化膜を構成する元素を含む原料ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該原料ガスの吸着層を形成する原料ガス供給工程と、
原料ガス供給工程で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、
80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を当該オゾンガスにより酸化する酸化剤供給工程と、
酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、原料ガスの吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、を有し、
酸化剤供給工程は、被成膜面に対するオゾンガスの曝露量を1×105ラングミュア以上とし、チャンバ内の圧力を1000Pa以下とし、
被成膜対象物を100℃以下(ただし、100℃を除く)の範囲内で加熱、または当該被成膜対象物を加熱しないことを特徴とする原子層堆積方法。
【請求項2】
原子層堆積装置は、
被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバと、
被成膜対象物を支持する支持部と、
チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
チャンバ内のガスを吸気して当該チャンバ外に排出し、当該チャンバ内の減圧状態を維持するガス排出部と、を備え、
ガス供給部は、
原料ガスをチャンバ内に噴き出す原料ガス噴出口と、
オゾンガスをチャンバ内に噴き出すオゾンガス噴出口と、
不活性ガスをチャンバ内に噴き出す不活性ガス噴出口と、を有していることを特徴とする請求項1記載の原子層堆積方法。
【請求項3】
前記各工程は、チャンバ内に不活性ガスを供給することにより、当該チャンバ内のガス流を調整することを特徴とする請求項1または2記載の原子層堆積方法。
【請求項4】
チャンバ内の容積または形状に基づいて、不活性ガスの供給量を調整することを特徴とする請求項3記載の原子層堆積方法。
【請求項5】
支持部は、複数個の被成膜対象物を出し入れ自在に収容してチャンバ内に配置可能な筐体状の収容壁を有し、
前記収容壁の少なくとも一部には、チャンバ内のガスの通過が可能であって被成膜対象物の通過を遮る通気部が、設けられていることを特徴とする請求項2~4の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項6】
支持部は、被成膜対象物を、被成膜面に沿った四方向のうち相対する二方向において移動自在に支持し、
ガス供給部は、チャンバ内において被成膜対象物の被成膜面と対向して配置されたシャワーヘッドを有し、
シャワーヘッドは、
原料ガス噴出口とオゾンガス噴出口とが、被成膜対象物の被成膜面と対向して前記二方向に所定間隔を隔てて交互に設けられ、
原料ガス噴出口とオゾンガス噴出口との両者間に不活性ガス噴出口が設けられており、
被成膜対象物の前記二方向の移動に応じて、被成膜面に対し前記各工程を行うことを特徴とする請求項2~4の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項7】
シャワーヘッドの各噴出口間のうち少なくとも何れかに、噴出口間排気口が設けられていることを特徴とする請求項6記載の原子層堆積方法。
【請求項8】
支持部は、被成膜対象物の一端側を巻回して支持する一端側ロールと、当該被成膜対象物の他端側を巻回して支持する他端側ロールと、を有し、当該被成膜対象物をロールツーロール方式で移動自在に支持することを特徴とする請求項6または7記載の原子層堆積方法。
【請求項9】
支持部は、被成膜対象物を支持する支持台を有し、当該支持台を被成膜対象物の被成膜面に沿って移動自在であることを特徴とする請求項6または7記載の原子層堆積方法。
【請求項10】
シャワーヘッドは、互いに隣接する原料ガス噴出口およびオゾンガス噴出口による噴出口対が、前記二方向に所定間隔を隔てて複数個配列されていることを特徴とする請求項6~9の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項11】
シャワーヘッドは、
被成膜面に沿った四方向のうち前記二方向と交差している交差方向に、原料ガス噴出口が複数個配列されて原料ガス噴出口群を構成し、
前記交差方向に、オゾンガス噴出口が複数個配列されてオゾンガス噴出口群を構成していることを特徴とする請求項6~10の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項12】
シャワーヘッドの各噴出口は、前記二方向の寸法が1mm~50mmの範囲内であり、被成膜対象物の被成膜面との間の距離が1mm~20mmの範囲内であることを特徴とする請求項6~11の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項13】
シャワーヘッドの各噴出口のうち少なくとも何れかは、被成膜面に沿った四方向のうち前記二方向と交差している交差方向に長いスリット形状であることを特徴とする請求項6~12の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項14】
原料ガスのガス供給量は、原料ガス噴出口における前記二方向と垂直方向の単位長さ当たり0.0001~1sccmとし、
オゾンガスの供給量は、オゾンガス噴出口における前記二方向と垂直方向の単位長さ当たり0.1sccm~10sccmとすることを特徴とする請求項6~13の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項15】
チャンバは、
原料ガス噴出口が設けられている原料ガス処理炉と、
オゾンガス噴出口が設けられているオゾンガス処理炉と、
原料ガス処理炉とオゾンガス処理炉との両者間に介在し、不活性ガス噴出口が設けられている不活性ガス処理炉と、
を有して成り、
支持部は、
被成膜対象物の一端側を巻回して支持する一端側ロールと、
当該被成膜対象物の他端側を巻回して支持する他端側ロールと、
原料ガス処理炉内に配置された第1折り返しロールと、
オゾンガス処理炉内に配置された第2折り返しロールと、
を有し、被成膜対象物を、被成膜面に沿った四方向のうち相対する二方向において移動自在に支持するロールツーロール方式の構造であって、
一端側ロールと他端側ロールとの間の被成膜対象物は、
第1,第2折り返しロールにより折り返されて、原料ガス処理炉内とオゾンガス処理炉内との両者を葛折り状に往復して重畳するように延在し、
原料ガス処理炉とオゾンガス処理炉との両者間を移動する毎に、不活性ガス処理炉内を通過し、
各処理炉の炉壁は、前記葛折り状の被成膜対象物と交差する位置に、当該被成膜対象物が通過可能な処理炉開口部が設けられていることを特徴とする請求項2~4の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項16】
前記葛折り状の被成膜対象物の移動経路において、
原料ガス処理炉内における第1折り返しロールと処理炉開口部との間で当該処理炉開口部に対向した位置と、
オゾンガス処理炉内における第2折り返しロールと処理炉開口部との間で当該処理炉開口部に対向した位置と、
のうち少なくとも一方に、位置調整ロールが設けられていることを特徴とする請求項15記載の原子層堆積方法。
【請求項17】
原料ガス供給工程、原料ガスパージ工程、酸化剤供給工程、酸化剤パージ工程の各工程によるサイクルを複数回行い、各原料ガス供給工程のうち少なくとも1工程と残りの工程とにおいて、それぞれ異なる種類の原料ガスを被成膜対象物に供給することを特徴とする請求項1~16の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項18】
酸化膜は、Al23、HfO2、TiO2、ZnO、Ta23、Ga23、MoO3、RuO2、SiO2、ZrO2、Y23のいずれかの吸着層を含む、ことを特徴とする請求項1~17の何れかに記載の原子層堆積方法。
【請求項19】
原料ガス供給工程は、被成膜面に対する原料ガスの曝露量を1×104ラングミュア以上とすることを特徴とする請求項1~18の何れかに記載の原子層堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層堆積方法に関するものであって、例えば半導体デバイス等に適用可能な薄膜を形成する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(例えば、CPUの回路)等の先端デバイスの薄膜を形成(以下、単に成膜と適宜称する)する手法としては、蒸着、スパッタリング、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)が代表的である。なかでも、ALDは、段差被覆性と緻密性に最も優れており、最先端デバイスの薄膜形成手段としては必須のものとなっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ALDでは、主に、被成膜対象物(例えば、シリコンウエハ)が備えられたチャンバ(真空容器等)全体を真空排気する工程、チャンバ内にALDの原料ガス(例えば、TMA(トリメチルアルミニウム))を導入する工程、チャンバから原料ガスを除去する工程、チャンバに原料ガスの酸化剤(例えば、水蒸気)を供給する工程、の4つの工程が繰り返し行われる。チャンバ内に原料ガスを導入し、当該チャンバ内に原料ガスを満たすことで、被成膜対象物の表面に1分子層分の原料ガスが吸着し、当該被成膜対象物の被成膜面に原料ガスの分子層が形成される。
【0004】
そして、チャンバ内に原料ガスの酸化剤を供給することで、被成膜面に形成された原料ガスの分子層が酸化され、当該被成膜面に原料ガスの酸化膜(例えば、酸化アルミニウム)の分子層が形成される。前記4つの工程を繰り返し行うことで、繰り返し回数に応じた膜厚を有する薄膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-057014号公報
【文献】特開2008-294170号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Abstract Book of 12th ACSIN-21 in conjunction with ICSPM21, Tsukuba (2013)、公益社団法人 応用物理学会、2013年11月4日、p.98
【文献】コンパーテック、加工技術研究会、2018年9月15日、2018年9月号
【文献】ニュースリリース 2019年“OERプロセス技術を使用して常温でハイバリア成膜に成功しました”、[オンライン]、2020年7月13日、株式会社明電舎ホームページ、インターネット、〈https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1231056_2469.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のALDによる成膜工程は、成膜温度が高くなってしまう傾向がある。例えば、TMAと水蒸気を十分に反応させるためには、被成膜対象物を比較的高温(例えば300℃~500℃)まで加熱する必要がある。また、最先端デバイスに用いられるGaN、ZnOのような化合物半導体の場合、被成膜面にヘテロエピタキシーやMBE(Molecular Beam Epitaxy)で組成の微妙に異なる薄膜半導体層が数層重ねて形成されることがある。これらの薄膜半導体層は、加熱により組成ずれが発生してしまうおそれがあるため、低温で成膜することが強く求められる。
【0008】
また、他の最先端デバイスでは、ALDによる成膜温度が、室温~100℃が好ましいという考えがある。よって、酸化剤をオゾン(O3)やプラズマ酸素に置き換え、当該酸化剤により発生するラジカルを利用したALDが検討されている。オゾンは熱分解で強力な酸化剤であるOラジカルを発生でき、低温化が可能であったが、それでも被成膜対象物を数百℃に加熱する必要があった。また、最初からOラジカルを供給可能であって最も低温化が可能とされているプラズマ酸素を用いた場合でも、100℃~150℃程度の低温化であり、さらなる低温化が求められている。
【0009】
また、従来のALDによる成膜工程は、成膜時間が長くなる等により成膜効率が低くなってしまう傾向がある。例えば、被成膜面に対し、ALDにより1分子層を成膜するためには、まず当該被成膜面に原料ガスを吸着させ、原料ガスを除去し、当該被成膜面に形成された原料ガス層(吸着層)を酸化する工程を行う必要がある。この工程は、通常数分を要する。例えば、酸化アルミニウムの場合は1分子層の厚みが約0.1nm程度なので、実用的な10nm程度の成膜には約100分子層が必要となり、1分子層あたり30秒としても50分程度もかかってしまう。例えば、CVD等の他の成膜方法であれば、10nm程度の成膜であれば1分以内で成膜可能なことから、他の成膜方法と比較して、ALDの成膜時間の長さは大きなデメリットであり、成膜効率の改善(成膜時間の短縮等)が求められている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ALDによる成膜工程において成膜温度の低減や成膜効率の改善に貢献する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る原子層堆積方法は、前記の課題の解決に貢献できるものであり、その態様としては、原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、酸化膜を構成する元素を含む原料ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該原料ガスの吸着層を形成する原料ガス供給工程と、原料ガス供給工程で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を酸化する酸化剤供給工程と、酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、原料ガスの吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、を有し、酸化剤供給工程は、被成膜面に対するオゾンガスの曝露量を1×105ラングミュア以上とし、チャンバ内の圧力を1000Pa以下とすることを特徴とする。
【0012】
原子層堆積装置の第1の態様は、被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバと、被成膜対象物を支持する支持部と、チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、チャンバ内のガスを吸気して当該チャンバ外に排出し、当該チャンバ内の減圧状態を維持するガス排出部と、を備え、ガス供給部は、原料ガスをチャンバ内に噴き出す原料ガス噴出口と、オゾンガスをチャンバ内に噴き出すオゾンガス噴出口と、不活性ガスをチャンバ内に噴き出す不活性ガス噴出口と、を有していることを特徴としても良い。
【0013】
また、前記各工程は、チャンバ内に不活性ガスを供給することにより、当該チャンバ内のガス流を調整することを特徴としても良い。
【0014】
また、チャンバ内の容積または形状に基づいて、不活性ガスの供給量を調整することを特徴としても良い。
【0015】
また、支持部は、複数個の被成膜対象物を出し入れ自在に収容してチャンバ内に配置可能な筐体状の収容壁を有し、前記収容壁の少なくとも一部には、チャンバ内のガスの通過が可能であって被成膜対象物の通過を遮る通気部が、設けられていることを特徴としても良い。
【0016】
原子層堆積装置の第2の態様において、支持部は、被成膜対象物を、被成膜面に沿った四方向のうち相対する二方向において移動自在に支持し、ガス供給部は、チャンバ内において被成膜対象物の被成膜面と対向して配置されたシャワーヘッドを有し、シャワーヘッドは、原料ガス噴出口とオゾンガス噴出口とが、被成膜対象物の被成膜面と対向して前記二方向に所定間隔を隔てて交互に設けられ、原料ガス噴出口とオゾンガス噴出口との両者間に不活性ガス噴出口が設けられており、被成膜対象物の前記二方向の移動に応じて、被成膜面に対し前記各工程を行うことを特徴とする。
【0017】
また、シャワーヘッドの各噴出口間のうち少なくとも何れかに、噴出口間排気口が設けられていることを特徴としても良い。
【0018】
また、支持部は、被成膜対象物の一端側を巻回して支持する一端側ロールと、当該被成膜対象物の他端側を巻回して支持する他端側ロールと、を有し、当該被成膜対象物をロールツーロール方式で移動自在に支持することを特徴としても良い。
【0019】
また、支持部は、被成膜対象物を支持する支持台を有し、当該支持台を被成膜対象物の被成膜面に沿って移動自在であることを特徴としても良い。
【0020】
また、シャワーヘッドは、互いに隣接する原料ガス噴出口およびオゾンガス噴出口による噴出口対が、前記二方向に所定間隔を隔てて複数個配列されていることを特徴としても良い。
【0021】
また、シャワーヘッドは、被成膜面に沿った四方向のうち前記二方向と交差している交差方向に、原料ガス噴出口が複数個配列されて原料ガス噴出口群を構成し、前記交差方向に、オゾンガス噴出口が複数個配列されてオゾンガス噴出口群を構成していることを特徴としても良い。
【0022】
また、シャワーヘッドの各噴出口は、前記二方向の寸法が1mm~50mmの範囲内であり、被成膜対象物の被成膜面との間の距離が1mm~20mmの範囲内であることを特徴としても良い。
【0023】
また、シャワーヘッドの各噴出口のうち少なくとも何れかは、被成膜面に沿った四方向のうち前記二方向と交差している交差方向に長いスリット形状であることを特徴としても良い。
【0024】
また、原料ガスのガス供給量は、原料ガス噴出口における前記二方向と垂直方向の単位長さ当たり0.0001~1sccmとし、オゾンガスの供給量は、オゾンガス噴出口における前記二方向と垂直方向の単位長さ当たり0.1sccm~10sccmとすることを特徴としても良い。
【0025】
原子層堆積装置の第3の態様において、チャンバは、原料ガス噴出口が設けられている原料ガス処理炉と、オゾンガス噴出口が設けられているオゾンガス処理炉と、原料ガス処理炉とオゾンガス処理炉との両者間に介在し、不活性ガス噴出口が設けられている不活性ガス処理炉と、を有して成り、支持部は、被成膜対象物の一端側を巻回して支持する一端側ロールと、当該被成膜対象物の他端側を巻回して支持する他端側ロールと、原料ガス処理炉内に配置された第1折り返しロールと、オゾンガス処理炉内に配置された第2折り返しロールと、を有し、被成膜対象物を、被成膜面に沿った四方向のうち相対する二方向において移動自在に支持するロールツーロール方式の構造であって、一端側ロールと他端側ロールとの間の被成膜対象物は、第1,第2折り返しロールにより折り返されて、原料ガス処理炉内とオゾンガス処理炉内との両者を葛折り状に往復して重畳するように延在し、原料ガス処理炉とオゾンガス処理炉との両者間を移動する毎に、不活性ガス処理炉内を通過し、各処理炉の炉壁は、前記葛折り状の被成膜対象物と交差する位置に、当該被成膜対象物が通過可能な処理炉開口部が設けられていることを特徴とする。
【0026】
また、前記葛折り状の被成膜対象物の移動経路において、原料ガス処理炉内における第1折り返しロールと処理炉開口部との間で当該処理炉開口部に対向した位置と、オゾンガス処理炉内における第2折り返しロールと処理炉開口部との間で当該処理炉開口部に対向した位置と、のうち少なくとも一方に、位置調整ロールが設けられていることを特徴としても良い。
【0027】
前記態様においては、原料ガス供給工程、原料ガスパージ工程、酸化剤供給工程、酸化剤パージ工程の各工程によるサイクルを複数回行い、各原料ガス供給工程のうち少なくとも1工程と残りの工程とにおいて、それぞれ異なる種類の原料ガスを被成膜対象物に供給することを特徴としても良い。
【0028】
また、酸化膜は、Al23、HfO2、TiO2、ZnO、Ta23、Ga23、MoO3、RuO2、SiO2、ZrO2、Y23のいずれかの吸着層を含む、ことを特徴としても良い。
【0029】
また、被成膜対象物を100℃以下の範囲内で加熱、または当該被成膜対象物を加熱しないことを特徴としても良い。
【0030】
また、原料ガス供給工程は、被成膜面に対する原料ガスの曝露量を1×104ラングミュア以上とすることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0031】
以上示したように本発明によれば、ALDによる成膜工程において成膜温度を低減や成膜効率の改善に貢献可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1によるALD方法に適用可能なALD装置11の概略を説明するための概略構成図。
図2】酸化膜21の形成に係る成膜工程図。
図3】酸化膜21の形成例を示す反応模式図。
図4】工程S1~S4による成膜サイクルの一例を説明するための経過時間に対する圧力変化特性図。
図5】実施例1により種々の温度で成膜サイクルを実施した場合の酸化膜21の膜厚特性図。
図6】実施例1により酸化膜21が形成されたPEN製フィルムの経過時間に対する水蒸気透過率特性図。
図7】実施例1による酸化膜21の印加電界強度に対するリーク電流密度特性図。
図8】実施例2によるALD方法に適用可能なALD装置12の概略を説明するための概略構成図。
図9】実施例3によるALD方法に適用可能なALD装置13の概略を説明するための概略構成図。
図10】ALD装置13による酸化膜21の形成例を説明するための概略模式図(被成膜面二方向に沿った断面図)。
図11】シャワーヘッド4aの各噴出口等を説明するための概略断面図(図9の正面からシャワーヘッド4aを臨んだ場合の図;図9の一部分に相当する図)。
図12】実施例4によるALD方法に適用可能なALD装置14の概略を説明するための概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態の原子層堆積方法(以下、ALD方法と適宜称する)は、例えば成膜温度を比較的高温にしたり、酸化剤により発生するラジカルを利用した従来のALD方法(以下、単に従来ALD方法と適宜称する)とは、全く異なるものである。
【0034】
すなわち、本実施形態のALD方法は、ALDによる原子層堆積装置(以下、ALD装置と適宜称する)のチャンバ内に位置する被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、当該ALD装置により、原料ガス供給工程,原料ガスパージ工程,酸化剤供給工程,酸化剤パージ工程の各工程を適宜行うものである。
【0035】
そして、酸化剤供給工程においては、チャンバ内に80体積%以上のオゾンガスを供給し、当該オゾンガスの被成膜面に対する曝露量を1×105ラングミュア以上とし、当該チャンバ内の圧力を1000Pa以下とする。
【0036】
このような本実施形態によれば、例えば、被成膜対象物を加熱したり酸化剤としてラジカルを利用しなくても、被成膜面に吸着している原料ガスを十分に酸化することができ、所望の酸化膜を形成することが可能となる。また、高濃度のオゾンガスを用いたALD方法では、従来ALD方法と比較して低温(例えば100℃以下)で酸化膜を形成することも可能であるため、例えばSi基板等のように耐熱性が比較的高い基板だけでなく、当該耐熱性が比較的低い合成樹脂で形成された基板またはフィルム等においても、酸化膜を適宜形成することが可能となる。
【0037】
例えば、従来ALD方法で利用されているラジカルにおいては、寿命が比較的短いため、チャンバ内で広く拡散することが困難であり、凹凸状の被成膜面に吸着している原料ガスを酸化することが困難となってしまうことも考えられる。このため、被成膜対象物においては、被成膜面が平坦である平板状の基板等に限定されたり、枚葉処理に限定されてしまうおそれがあった。
【0038】
一方、本実施形態においては、酸化剤として高濃度のオゾンガスを適用するため、当該オゾンガスをチャンバ内で広く拡散することができ、たとえ被成膜面が凹凸状であっても、所望の酸化膜を形成することが十分可能である。また、複数の被成膜対象物をチャンバ内に配置し、それぞれの被成膜面に対して一括で酸化膜を形成することも可能となる。これにより、ALDによる成膜工程において成膜温度の低減や成膜効率の改善に貢献可能であることが判る。また、プラズマを用いないため、成膜した酸化膜がプラズマダメージレスであると言える。
【0039】
本実施形態のALD方法は、前述のように酸化剤供給工程におけるオゾンガスの濃度,曝露量,分圧を適宜設定したものであって、被成膜対象物の被成膜面に対して所望の酸化膜を形成できる態様であれば良く、種々の分野(例えば、ALD,CVD等による成膜分野,改質分野,チャンバ分野,オゾンガス分野,不飽和炭化水素ガス分野等)の技術常識を適宜適用し、必要に応じて先行技術文献等を適宜参照して設計変形することが可能であり、その一例として以下に示す実施例1~4が挙げられる。
【0040】
なお、以下の実施例1~4は、例えば互いに同様の内容について同一符号を引用する等により、詳細な説明を適宜省略しているものとする。
【0041】
≪実施例1≫
<ALD装置11の主な構成>
図1は、実施例1によるALD方法を説明するものであって、当該実施例1で適用可能なALD装置11の概略を示すものである。図1のALD装置11は、被成膜対象物2を出し入れ自在に収容可能なチャンバ(反応容器)3と、チャンバ3内に各種ガスを供給するガス供給部4と、チャンバ3内のガスを吸気して当該チャンバ3外に排出するガス排出部5と、を主として備えている。チャンバ3内に収容した被成膜対象物2は、例えば図外の支持部により適宜支持することが可能である。
【0042】
ガス供給部4は、原料ガスをチャンバ3内に噴き出す原料ガス噴出口41と、オゾンガスをチャンバ3内に噴き出すオゾンガス噴出口42と、不活性ガスをチャンバ3内に噴き出す不活性ガス噴出口43と、有している。これら噴出口41~43においては、例えばチャンバ3における被成膜対象物2と対向する位置(図1ではチャンバ3の図示上方側の位置)に設けられ、それぞれ配管41a,42a,43aを介して、原料ガス供給装置41b,オゾンガス発生装置42b,不活性ガス供給装置43bが接続されている。
【0043】
図1の噴出口41,43の場合、一つに纏められて共通の噴出口としてチャンバ3に設けられており、当該共通の噴出口に対し、配管41a,43aが合流して接続された構成となっている。このような構成によれば、原料ガス供給装置41bの原料ガスをチャンバ3内に供給する場合のキャリアガスとして、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスを利用することができる。
【0044】
また、例えば、不活性ガス供給装置43bに接続されている配管43cを、配管42aと合流(図1では点線で描写するように合流)して噴出口42に接続した構成によれば、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスを、オゾンガス発生装置42bのオゾンガスと共に噴出口42からチャンバ3内に噴き出すことも可能(後述の図8図9図12も同様に可能)となる。
【0045】
ガス排出部5は、例えばチャンバ3における各噴出口41~43から距離を隔てた位置(図1ではチャンバ3の図示側方側の位置)に設けられる。このガス排出部5は、チャンバ3内のガスを吸気して当該チャンバ3外に排出し、当該チャンバ3内を減圧状態(例えばチャンバ3内が真空環境下となるような状態)に維持することが可能な構成とする。図1のガス排出部5の場合、排気管5a,真空ポンプ5b等を有した構成となっている。
【0046】
<ALD装置を用いる場合の成膜工程>
ALD装置11においては、図2に示す原料ガス供給工程S1,原料ガスパージ工程S2,酸化剤供給工程S3,酸化剤パージ工程S4を順次実行することにより、チャンバ3内の被成膜対象物2の被成膜面20に所望の酸化膜21を形成することが可能となる。
【0047】
図2において、まず原料ガス供給工程S1では、原料ガス供給装置41bの原料ガス(目的とする酸化膜21を構成する元素を含む原料ガス)を噴出口41からチャンバ3内に供給する。これにより、図3(a)の反応模式図のように、チャンバ3内の被成膜対象物2の被成膜面20に対して原料ガスが吸着し、当該原料ガスによる吸着層21aが形成される。図3(a)では、基板状の被成膜対象物2における被成膜面20に対し、1分子層のTMAガスが吸着されている状態を描写するものとなっている。
【0048】
なお、被成膜対象物2の被成膜面20に例えば不純物等が付着している場合には、原料ガス供給工程S1の前段において被成膜面20を清浄(例えば不活性ガス供給装置43bの不活性ガスをチャンバ3に供給してパージ)し、当該被成膜面20に対して原料ガスを吸着し易くしておくことが好ましい。
【0049】
原料ガス供給工程S1の後、原料ガスパージ工程S2では、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスを噴出口43からチャンバ3内に供給したり、当該チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気して排出する。これにより、前記原料ガス供給工程S1で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面20に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面20から除去する。
【0050】
次に、酸化剤供給工程S3では、オゾンガス発生装置42bのオゾンガスを噴出口42からチャンバ3内に供給する。これにより、図3(b)の反応模式図のように、被成膜面20に形成されている吸着層21aが酸化(図3ではメチル基(CH3)が酸化)され、当該被成膜面20における次の成膜のための吸着可能領域20aが形成されることとなる。この図3(b)の反応模式図に示すような酸化反応は、室温(25℃)でも可能である。
【0051】
そして、酸化剤パージ工程S4では、原料ガスパージ工程S2と同様に、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスを噴出口43からチャンバ3内に供給したり、当該チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気して排出する。これにより、前記酸化剤供給工程S3で供されたオゾンガスの余剰ガスと、前記原料ガスの吸着層21aを酸化することで生じたガスと、を被成膜面20から除去する。
【0052】
以上のような各工程S1~S4によるサイクル(以下、単に成膜サイクルと適宜称する)を適宜繰り返すことにより、被成膜面20に対して所望厚さの酸化膜21を形成することが可能となる。この成膜サイクルにおける各種成膜条件は、例えば目的とする酸化膜21に応じて、適宜設定することが可能である。
【0053】
また、前記成膜サイクルを複数回行う場合、例えば各原料ガス供給工程S1のうち少なくとも1工程と残りの工程とを、それぞれ異なる種類の原料ガスを被成膜対象物2に供給することにより、それぞれ異なる原料ガスの吸着層21aからなる多層構造の酸化膜21(すなわち、複数の吸着層21aが積層された酸化膜21)を、構成できることとなる。
【0054】
<各工程S1~S4における不活性ガス>
原料ガスパージ工程S2や酸化剤パージ工程S4においては、チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気すると同時に、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスをチャンバ3内に適宜供給することにより、当該チャンバ3内のガスのガス流が促進され、余剰ガス等の除去(パージ)に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0055】
また、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスは、原料ガス供給工程S1や酸化剤供給工程S3においても、適宜供給しても良い。
【0056】
例えば、チャンバ3内のガスがガス供給部4に逆流すると、当該逆流したガスによりガス供給部4(後述の実施例3ではシャワーヘッド4a)にパーティクルの付着や成膜が起こったり、当該ガス供給部4から供給する原料ガスやオゾンガスのガス流が妨げられることが考えられるが、前記のように不活性ガスを適宜供給することにより、当該逆流の抑制が可能となる。
【0057】
また、チャンバ3内の容積・形状等によっては(例えば容積が大きい場合(例えば容積1m3超の場合)や形状が複雑な場合には)、ガス供給部4から供給する原料ガスやオゾンガスのガス流が低くなってしまう場合があるが、前記のように不活性ガスを適宜供給(具体的には、チャンバ3の容積・形状に基づいて不活性ガスの供給量を調整したり、当該不活性ガスを断続的に供給)することにより、当該ガス流を促進することが可能となる。
【0058】
したがって、各工程S1~S4においては、それぞれ不活性ガスを適宜供給することにより、チャンバ3内におけるガス流を適宜調整できる。これにより、原料ガスやオゾンガスを所望の供給量で供給することが容易になったり、チャンバ3内のガスの排出が容易となることが判る。
【0059】
<被成膜対象物2の一例>
被成膜対象物2においては、成膜サイクルを適宜実行して被成膜面20に所望の酸化膜21を形成できるものであれば良く、その一例として固形状,基板状,粉体状(例えば多数の粒子状の被成膜対象物2の集合体),フィルム状,シート状,布状,繊維状等の種々のものが挙げられる。
【0060】
また、原料ガスと80体積%以上の高濃度のオゾンガスとを用いて酸化膜を形成する手法では、当該酸化膜を比較的低温で形成することが可能であるため、例えば基板またはフィルム等の場合、Si基板等の比較的耐熱性が高い基板等に限定されることはなく、耐熱性が比較的低い合成樹脂で形成された基板等に酸化膜を形成することもできる。
【0061】
被成膜対象物2が樹脂を用いてなる場合、当該樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリプロピレン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いたものが挙げられる。
【0062】
その他、PE(ポリエチレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、POM(ポリオキシメチレン、または、アセタール樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、PA(ポリアミド)、PFA(4フッ化エチレン、パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PVD(ポリ二塩化ビニル)等を用いたものも挙げられる。
【0063】
被成膜対象物2の被成膜面20においては、単なる平坦状に形成されたものに限定されず、種々の態様であっても良い。例えば図1に示す被成膜対象物2は、複数個のフィン状突起が形成された固形状であり、被成膜面20において凹凸状の段差等が形成されたものとなっている。
【0064】
例えば後述の実施例3,4のように被成膜対象物2が長尺フィルム状の場合、長手方向に延在する平坦な表裏面の両方または片方を被成膜面20とすることができる。
【0065】
また、被成膜対象物2は、例えば成膜性能の向上を図る目的で、適宜加熱(例えば熱電対や赤外線ヒータ等の加熱機構により加熱;図示省略)しても良い。具体例としては、被成膜面20の成膜温度が室温程度~100℃の範囲内となるように、必要に応じて加熱することが挙げられる。
【0066】
<原料ガスの一例>
原料ガス供給工程S1で適用する原料ガスは、酸化膜を形成する元素(例えば、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、錫(Sn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、鉛(Pb)等;以下これらの元素を金属または金属元素という)を構成元素として含む態様が挙げられる。
【0067】
例えば、Si-O結合若しくはSi-C結合を有する有機シリコンまたは金属元素-酸素結合若しくは金属元素-炭素結合を有する有機金属を含有する原料ガスや、有機金属錯体またはケイ素や金属の水素化物等の原料ガスが挙げられる。
【0068】
より具体的には、原料ガスとして、シラン(ケイ化水素の総称)、TEOS(TetraEthyl OrthoSillicate)、TMS(TriMthoxySilane)、TES(TriEthoxySilane)、TMA(TriMethyl Alminium)、TEMAZ(Tetrakis(ethylmethylamino)zirconium)、3DAMAS(トリ・ジメチルアミノ・シラン;SiH[N(CH323)、TDMAT(テトラキス・ジメチルアミノ・チタニウム;Ti[N(CH324)、TDMAH(テトラキス・ジメチルアミノ・ハフニウム;Hf[N(CH324)等を用いたものが挙げられる。また、金属元素1種類だけでなく複数種類の金属元素を含む異種複核錯体(例えば、特開2016-210742等に記載の錯体)を用いたものも挙げられる。
【0069】
また、原料ガスは、例えばキャリアガス(N2,Ar,He等)を用いてチャンバ3内に供給(例えば1LSM以下で供給)するようにしても良い。図1の場合には、不活性ガス供給装置43bの不活性ガスをキャリアガスとして用いることが可能である。
【0070】
<オゾンガスの一例>
酸化剤供給工程S3で適用するオゾンガスは、種々の濃度のものを適用することが可能であるが、オゾン濃度が高いほど好ましい。具体的には、高濃度のオゾンガスにおいて、オゾン濃度(体積%濃度)を80~100体積%とすること好ましい。このような高濃度のオゾンガスは、オゾン含有ガスから蒸気圧の差に基づいてオゾンのみを液化分離した後、再び液化したオゾンを気化させて得ることができる。
【0071】
オゾンガス発生装置42bとしては、例えば、特開2001-304756号公報や特開2003-20209号公報の特許文献に開示されているものが挙げられる。このようなオゾンガス発生装置42bは、オゾンと他のガス(例えば、酸素)の蒸気圧の差に基づきオゾンのみを液化分離して高濃度のオゾン(オゾン濃度≒100体積%)を生成している。特に、オゾンのみを液化および気化させるチャンバを複数備えると、これらのチャンバを個別に温度制御することにより、連続的に高濃度のオゾンガスを供給することができる。
【0072】
なお、高濃度のオゾンガスを生成する市販の装置として、例えば、明電舎製のピュアオゾンジェネレータ(MPOG-HM1A1)がある。
【0073】
<不活性ガスの一例>
不活性ガスは、例えば原料ガスパージ工程S2や酸化剤パージ工程S4において適用可能なものであれば良い。その一例としては、N2,Ar,He等の不活性ガスが挙げられる。
【0074】
<ガス供給部4の一例>
ガス供給部4は、噴出口41~43を有し、原料ガス,オゾンガス,不活性ガスを例えば所望の供給量(流量等),圧力等でチャンバ3に供給できれば良く、種々の態様を適用することが可能である。
【0075】
噴出口41~43は、チャンバ3に対して単に1個ずつ設けるだけでなく、それぞれ複数個設けても良い。また、噴出口41~43の形状は、適宜設定することが可能であり、その一例として円形,矩形,楕円,スリット状等にすることが挙げられる。
【0076】
噴出口41~43から供給される各ガスの供給量や圧力においては、例えば配管41a~43aに図外の流量可変バルブ等を設けることにより、適宜設定することが可能である。
【0077】
<ガス供給量,圧力等の一例>
チャンバ3に供給する原料ガス,オゾンガス,不活性ガスの供給量や、当該各ガスによる圧力(例えばチャンバ3内のオゾンガスによる圧力(分圧)。後述の実施例3では、例えば噴出口41~43等と被成膜面20との間の圧力)等は、適宜制御して設定することが可能であり、その一例としてはチャンバ3内の被成膜対象物2の種類,形状,個数や、当該各ガスの種類,濃度等を考慮して設定することが挙げられる。
【0078】
具体例としては、図4に示すように各工程S1~S4による成膜サイクルを実施する場合において、成膜サイクルによるチャンバ3内のプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まるように、各ガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。より具体的には、不活性ガス噴出口43からチャンバ3内に対して不活性ガスを供給(例えば後述のように断続的に供給)し、当該供給によりベース圧力が1Pa~1000Pa程度の範囲内に収まるように適宜制御して設定することが挙げられる。成膜サイクル1回に要する時間は適宜設定することが可能であり、特に限定されるものではないが、例えば数秒~数十秒(例えば3秒~60秒)程度に設定することが挙げられる。
【0079】
また、酸化剤供給工程S3において80体積%以上のオゾンガスをチャンバ3に供給する場合、当該オゾンガスの被成膜面20に対する曝露量を1×105ラングミュア以上とし、当該チャンバ3内のオゾンガスによる圧力が100Pa以下となるように、当該オゾンガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。
【0080】
例えば、チャンバ3内に、オゾンガスの他に不活性ガスが存在している場合には、当該オゾンガスの分圧が100Pa以下となるように設定することとなる。また、オゾンガスの供給による圧力上昇においては、100Pa以下、好ましくは50Pa以下、より好ましく10Pa以下となるように適宜設定することが挙げられる。
【0081】
このような酸化剤供給工程S3によれば、原料ガス供給工程S1において被成膜面20に吸着した吸着層21aを、十分に酸化することが可能となる。
【0082】
原料ガス供給工程S1においてチャンバ3に供給する原料ガスの供給量等は、例えば当該原料ガスを被成膜面20に吸着させ、後段の酸化剤供給工程S3において十分に酸化(酸化膜を形成)できるように設定すれば良く、特に限定されるものではない。
【0083】
具体例としては、被成膜面20に対する原料ガスの曝露量が1×104ラングミュア以上となるように、当該原料ガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。また、原料ガスの曝露量は、当該原料ガスの吸着率によって変化する。このため、例えば異なる種類の原料ガスであっても、被成膜面20に対する吸着率が同程度の場合には、当該各原料ガスの供給量はそれぞれ同程度に設定することが考えられる。この吸着率が同程度の原料ガスの一例としては、TMA,TDMAT,TDMAH等が挙げられる。
【0084】
原料ガスパージ工程S2,酸化剤パージ工程S4において、チャンバ3に供給する不活性ガスの供給量等は、前記のようにプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まる態様であれば良く、適宜設定することが可能である。例えば、ガス排出部5によってパージしている状態の場合には、当該パージをアシストできる程度に設定することが挙げられる。具体例としては、チャンバ3に対して不活性ガスを断続的に供給し、当該チャンバ3内における原料ガスやオゾンガスを希釈し過ぎないように適宜設定(例えば、オゾンガス供給量の10倍以内に設定)することが挙げられる。
【0085】
<ガス排出部5の一例>
ガス排出部5による排気は、前記のようにチャンバ3内のプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まるように、当該チャンバ3内の減圧状態を維持できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。
【0086】
図1のガス排出部5の場合、排気管5a,真空ポンプ5b等を有した構成となっているが、その他にオゾンキラー(オゾンを分解する除害筒等の除害設備;図示省略),排気バルブ(開度調整可能なバルブ等;図示省略)等を適宜有した構成とすることも挙げられる。また、真空ポンプ5bは、オゾンに耐性のある構成(例えば、ドライポンプ)を適用することが好ましい。
【0087】
また、ガス排出部5において複数の排気ラインを設けておき、各工程S1~S4において当該各排気ラインを使い分けるようにしても良い。これにより、各工程S1~S4において排気するガスをそれぞれ専用の除害設備に振り分けて処理することが可能となる。
【0088】
<支持部の一例>
チャンバ3内に収容した被成膜対象物2を支持する支持部は、例えば被成膜面20に対する成膜を妨げないように支持できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。具体例としては後述の実施例2~4に示す態様が挙げられる。
【0089】
<ALD装置11による成膜例>
以上示した実施例1に基づいて、ALD装置11による成膜サイクルを適宜実施し、被成膜対象物2における被成膜面20に対してAl23の酸化膜21を形成して検証したところ、図5図7に示すような結果が得られた。
【0090】
なお、この検証条件として、原料ガス供給工程S1で供給する原料ガスにはTMAを適用し、酸化剤供給工程S3で供給するオゾンガス(濃度80~100体積%)による圧力上昇を50Paとし、当該オゾンガスの暴露時間は3秒以下とした。また、被成膜対象物2において、図5図6に示す成膜ではPEN製フィルムを適用し、図7に示す成膜ではSi基板を適用した。また、成膜温度は、室温程度となるように設定した
図5は、種々の成膜温度で成膜サイクルを実施した場合の酸化膜21の膜厚特性を示すものである。この図5によると、成膜温度が室温(25℃)程度の場合に、GPC(Growth Per Cycle)が1.7Å/cycleであることが読み取れる。なお、比較例として、従来ALD方法により比較的高温の成膜温度で酸化膜21を形成したところ、GPCは1.0~1.2Å/cycle程度であった。したがって、本実施例1によれば、従来ALD方法と比較して、良好な成膜速度特性が得られることを確認できた。
【0091】
図6は、被成膜対象物2の膜厚方向一端側の被成膜面20に膜厚40nmの酸化膜21を形成した場合であって、当該被成膜対象物2の経過時間に対する水蒸気透過率特性を示すものである。この図6によると、時間経過と共に、水蒸気透過率が4.4×10-4g/m2/day程度に収束していくことが読み取れる。なお、酸化膜21を形成する前の被成膜対象物2の水蒸気透過率を測定したところ、10-1g/m2/day程度であった。したがって、本実施例1によれば、酸化膜21において、良好なバリア性が得られることを確認できた。
【0092】
図7は、酸化膜21における印加電界強度に対するリーク電流密度特性を示すものである。この図7によると、酸化膜21において10MV/cm以上の絶縁破壊強度が得られていることを読み取れる。したがって、本実施例1によれば、酸化膜21において、リーク電流を十分抑制でき、良好な絶縁性が得られることを確認できた。
【0093】
なお、この検証において、被成膜面20に対するオゾンガスの曝露量を確認したところ、1.1×106ラングミュア程度(すなわち、1×105ラングミュアの1桁上回る程度)に至っていた。
【0094】
≪実施例2≫
実施例2は、複数個の被成膜対象物2、例えば後述図8(b)に示すような多数の粒子状の被成膜対象物2の集合体(以下、単に被成膜対象集合体と適宜称する)22を収容して支持し、各被成膜対象物2の被成膜面20に対して同時に酸化膜21を形成できるようにしたものである。
【0095】
<ALD装置12の主な構成>
図8は、実施例2によるALD方法を説明するものであって、当該実施例2で適用可能なALD装置12の概略を示すものである。図8のALD装置12は、チャンバ3内に配置可能な筐体状の収容壁61を有した支持部6を備えており、当該収容壁61内に複数個の被成膜対象物2を収容して支持できる構成となっている。
【0096】
収容壁61は、複数個の被成膜対象物2を出し入れ自在に収容可能な構成となっている。また、収容壁61の少なくとも一部には、孔径が被成膜対象物2の最大外径(粒子径等)よりも小さい通気孔を複数有した通気部62が、設けられている。図8の収容壁61の場合、円筒状の構造であって、軸心方向両端側の位置に通気部62が設けられている。
【0097】
支持部6においては、前記のように複数個の被成膜対象物2を出し入れ自在に収容して被成膜面20に酸化膜21を形成できれば良く、種々の態様を適用することが可能である。
【0098】
例えば、収容壁61において、回転自在(図8の収容壁61の場合、例えば軸回転自在)な構成とすることにより、当該収容壁61内の被成膜対象物2を撹拌しながら成膜することができる。これにより、被成膜対象物に対する酸化膜の形成斑が生じないように抑制できる可能がある。
【0099】
通気部62においては、チャンバ3内のガス(原料ガス,オゾンガス,不活性ガス等)の通過が可能であって被成膜対象物の通過を遮ることができるものであれば良く、種々の態様を適用することが可能である。その一例としては、集合体22の各被成膜対象物2の粒子径よりも小さい通気孔を複数有したメッシュ構造のものが挙げられる。
【0100】
<ALD装置12による成膜例>
以上示した実施例2に基づいて、ALD装置12による成膜サイクルを適宜実施し、多数の粒子状の被成膜対象物2の集合体22における被成膜面20に対して、Al23の酸化膜21を形成して検証した。なお、この検証条件は、実施例1と同様とし、被成膜対象物2には粒子径が1mm以下のものを適用した。
【0101】
その結果、実施例1と同様に、酸化膜21において良好な成膜速度特性,バリア性,絶縁性が得られることを確認できた。
【0102】
≪実施例3≫
実施例3は、被成膜対象物2において、被成膜面20に沿った四方向のうち相対する二方向(以下、単に被成膜面二方向と適宜称する)で移動(二方向のうち一方に移動、または双方に往復動)させながら、当該被成膜面20に酸化膜21を形成できるようにしたものである。
【0103】
<ALD装置13の主な構成>
図9は、実施例3によるALD方法を説明するものであって、当該実施例3で適用可能なALD装置13の概略を示すものである。図9のALD装置13は、チャンバ3内に収容された被成膜対象物2において、当該チャンバ3内に設けられている支持部7により、被成膜面20に沿った長手方向(被成膜面に沿った四方向のうち相対する二方向(以下、単に被成膜面二方向と適宜称する))に対し移動自在に支持できるように構成されている。
【0104】
図9の支持部7は、いわゆるロール to ロール方式のものであって、長尺フィルム状の被成膜対象物2の一端側が巻回された巻き軸である一端側ロール71と、当該被成膜対象物2の他端側が巻回された巻き軸である他端側ロール72と、当該一端側ロール71と他端側ロール72との間に配置された搬送ロール73a,73bと、を有し、各ロールが適宜回動する構成となっている。
【0105】
このような支持部7により、一端側ロール71,他端側ロール72のうち一方から送り出された被成膜対象物2は、搬送ロール73a,73bを経由して、他方に巻き取られることとなる。すなわち、支持部7によれば、被成膜対象物2を被成膜面二方向において適宜移動させることが可能となる。また、図9の支持部7の場合、搬送ロール73a,73bの両者がチャンバ3内の上方側において所定間隔を隔てて配置されており、当該両者間を移動する被成膜対象物2の被成膜面20が、当該チャンバ3内の上方側に対向(後述のシャワーヘッド4aと対向)するようになっている。
【0106】
チャンバ3における上方側には、シャワーヘッド4aを有したガス供給部4が設けられている。このシャワーヘッド4aは、噴出口41~43をそれぞれ複数個有した構造であって、搬送ロール73a,73bの両者間を移動する被成膜対象物2の被成膜面20と対向する位置に、設けられている。
【0107】
シャワーヘッド4aの噴出口41~43には、原料ガス供給装置41b,オゾンガス発生装置42b,不活性ガス供給装置43bが、それぞれ配管41a,42a,43aを介して接続されている。これにより、当該各装置41b~43bからのガスを、それぞれ噴出口41~43からチャンバ3内に適宜供給できる構成となっている。
【0108】
<支持部7の他例>
支持部7においては、チャンバ3内に収容された被成膜対象物2を被成膜面二方向において移動自在に支持できる態様であれば良く、図9に示すようなロール to ロール方式によるものに限定されるものではない。例えば、被成膜対象物2を支持する支持台(例えば、特許6052470号公報の図1中の符号7で示すような支持台)を有した方式(以下、単に支持台方式と適宜称する)であって、当該支持台を被成膜面二方向に移動自在(被成膜面20がシャワーヘッド4aと対向するように移動自在)にした構成が挙げられる。
【0109】
<シャワーヘッド4aの一例>
図10は、シャワーヘッド4aの一例を示すものである。なお、図10(および後述の図11)中において、符号を付していない実線矢印は各ガスの供給方向の一例、点線矢印は各ガスの排気方向の一例を示すものである。
【0110】
図10のシャワーヘッド4aにおいては、搬送ロール73a,73bの両者間を移動する被成膜対象物2の被成膜面20と対向する部位4bに、噴出口41,42がそれぞれ複数個設けられている。
【0111】
これら噴出口41,42の両者は、被成膜面二方向に所定間隔を隔てて交互に位置し、互いに隣接する噴出口41,42による噴出口対(例えば図10中の符号Tで示す噴出口対)が、被成膜面二方向に所定間隔を隔てて複数個配列された構成となっている。
【0112】
また、噴出口41,42との両者間に、噴出口43が設けられている。また、噴出口41~43の各噴出口間には、噴出口間排気口44が設けられている。この排気口44は、当該排気口44と被成膜面20との間のガス等を吸気して、チャンバ3外に排出できる構成となっている。
【0113】
<シャワーヘッド4aにおける噴出口41~43,排気口44の一例>
シャワーヘッド4aにおける噴出口41~43,排気口44それぞれ(以下、纏めて単に噴出口等と適宜称する)は、単に被成膜面二方向に沿って複数個配列して設けるだけでなく、当該被成膜面二方向と交差している交差方向(以下、単に交差方向と適宜称する)にも複数個配列して設けても良い。例えば、噴出口41を交差方向に複数個配列して原料ガス噴出口群を構成したり、噴出口42を交差方向に複数個配列してオゾンガス噴出口群を構成することが挙げられる。
【0114】
また、噴出口等の態様(形状、大きさ等)や、被成膜対象物2の被成膜面20との間の距離は、それぞれ同一にすることに限定されず、それぞれ異なっていても良い。
【0115】
例えば図11に示すように、噴出口等の被成膜面二方向の寸法(交差方向に長いスリット状の噴出口等の場合、スリット幅)V1~V8は、10-1mm~数百mmの範囲内、好ましくは1mm~100mmの範囲内に設定することが挙げられる。また、各噴出口等と被成膜対象物2の被成膜面20との間の距離h1~h8は、数mm~数百mmの範囲内、好ましくは1mm~100mmの範囲内、より好ましく(特に噴出口42)は1mm~20mmの範囲内に設定することが挙げられる。図11の場合、噴出口42に係る距離h8が、他の噴出口等に係る距離h1~h7よりも大きく設定された描写となっている。
【0116】
各噴出口等間のピッチ(図11ではW1~W8)は、例えば、それぞれ当該噴出口等の開口寸法を考慮して適宜設定することが挙げられる。
【0117】
<被成膜対象物2の一例>
被成膜対象物2においては、支持部7により移動自在に支持可能(例えば、ロール to ロール方式や支持台方式により支持可能)なものであって、当該被成膜対象物2を被成膜面二方向において移動させながら被成膜面20に酸化膜21を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0118】
図9に示す被成膜対象物2の場合、長尺フィルム状であって、長手方向に延在する平坦な表裏面が被成膜面20(図9では表裏面のうち一方が被成膜面20)となり、支持部7により、当該長手方向(被成膜面二方向)において移動自在に支持されている。
【0119】
<ガス供給量,圧力等>
シャワーヘッド4aにおける噴出口41~43からチャンバ3に供給する原料ガス,オゾンガス,不活性ガスの流量(供給量)や、当該各ガスによる圧力等は、実施例1,2と同様に適宜設定することが可能であるが、各噴出口等間のピッチ、被成膜対象物2の被成膜面二方向への移動速度,各噴出口等の排気速度(成膜箇所の圧力)等を考慮して、設定することが挙げられる。
【0120】
前記のように被成膜対象物2の被成膜面二方向への移動速度等を考慮した設定により、例えば、オゾンガスの被成膜面20に対する曝露量を1×105ラングミュア以上、当該オゾンガスによる圧力を100Pa以下、被成膜面20に対する原料ガスの曝露量を1×104ラングミュア以上にすることが可能となる。これにより、原料ガス供給工程S1において被成膜面20に吸着した吸着層21aを、酸化剤供給工程S3において十分に酸化することが可能となる。
【0121】
具体例としては、オゾンガスの流量において、噴出口42における被成膜面二方向と垂直方向の単位長さ当たり、0.1sccm~10sccmとすることが挙げられる。
【0122】
原料ガスの流量においては、噴出口41における被成膜面二方向と垂直方向の単位長さ当たり、0.0001sccm~1sccmとすることが挙げられる。
【0123】
不活性ガスの流量においては、プロセス圧力が1000Paを超えない範囲で、比較的多く設定(例えばオゾンガス流量よりも多く設定)することが挙げられる。
【0124】
被成膜対象物2の被成膜面二方向への移動速度は、各噴出口等間のピッチ等を考慮して、適宜設定することが挙げられる。このように設定した移動速度の大きさ等に応じて、各噴出口等と被成膜面20との間に対流が生じ、例えば当該被成膜面20に対する各ガスの反応を促し、成膜し易さ等に貢献できる可能性がある。
【0125】
<ALD装置13を用いる場合の成膜工程の一例>
ALD装置13により成膜を行う場合、例えば、支持部7に支持された被成膜対象物2を一端側ロール71から他端側ロール72に対して移動(図9では、図示左側から図示右側へ移動)させることにより、当該被成膜対象物2を被成膜面二方向に移動ながら成膜サイクルを適宜実施することとなる。
【0126】
この場合、被成膜面20は、例えば図10に示すように領域A1~A4の順に通過し、当該領域A1~A4において以下に示すように各工程S1~S4が実施されることとなる。
【0127】
まず、領域A1においては、原料ガス供給工程S1により、噴出口41から原料ガスが噴き出される。これにより、図3(a)に示した反応模式図のように、原料ガスが被成膜面20に吸着して、当該原料ガスによる吸着層21aが形成される。
【0128】
この領域A1における原料ガス供給工程S1の後、当該工程S1で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面20に吸着することで生じたガス(CH4ガス)は、排気口44やガス排出部5により除去、または原料ガスパージ工程S2により除去される。この原料ガスパージ工程S2では、噴出口43から不活性ガスが噴き出され、余剰ガス等が領域A1から除去されることとなる。
【0129】
次に、領域A2においては、酸化剤供給工程S3により、噴出口42からオゾンガスが噴き付けられる。これにより、図3(b)に示した反応模式図のように、被成膜面20に吸着した原料ガスによる吸着層21aが酸化して、酸化膜21が形成される。そして、酸化膜21の表面においては、次の成膜のための吸着可能領域20aが形成されることとなる。
【0130】
この領域A2における酸化剤供給工程S3の後、当該工程S3で供されたオゾンガスの余剰ガスと、吸着層21aを酸化することで生じたガスは、噴出口間排気口44やガス排出部5により除去、または酸化剤パージ工程S4により除去される。この酸化剤パージ工程S4では、不活性ガス噴出口43から不活性ガスが噴き出され、余剰ガス等が領域A2から除去されることとなる。
【0131】
以上示した領域A1,A2における各工程S1~S4の成膜サイクルは、当該A1,A2より後段の領域(例えば図10の領域A3,A4)においても同様に実施されることとなる。
【0132】
以上示したように、成膜サイクルを適宜実施することにより、被成膜面20に対して所望の酸化膜21を形成できることが判る。また、成膜サイクルを複数回行うことにより、酸化膜21において所望の膜厚に形成することも可能となる。
【0133】
成膜サイクルを複数回行う手法としては、例えば被成膜対象物2を被成膜面二方向において一方に移動または双方に往復動させることにより、領域A1~A4の成膜サイクルを複数回適宜行うことが挙げられる。
【0134】
<ALD装置13による成膜例>
以上示した実施例3に基づいて、ALD装置13による成膜サイクルを適宜実施し、長尺フィルム状の被成膜対象物2の被成膜面20に対して、Al23の酸化膜21を形成して検証した。なお、この検証条件は、実施例1と同様とし、被成膜対象物2にはPEN製フィルムを適用した。
【0135】
その結果、実施例1と同様に、酸化膜21において良好な成膜速度特性,バリア性(実施例3では水蒸気透過率が4.0×10-4g/m2/day程度),絶縁性が得られる他に、以下に示すことを確認できた。
【0136】
すなわち、実施例3によれば、当該被成膜対象物2を被成膜面二方向に移動させながら、成膜サイクルの各工程S1~S4を同時に適宜進行できるため、実施例1,2と比較すると、成膜時間を短縮化し易くなる可能性がある。
【0137】
また、原料ガス噴出口41とオゾンガス噴出口42との間に、不活性ガス噴出口43や噴出口間排気口44が設けられているため、例えば原料ガスやオゾンガスがチャンバ3内で分散することを抑制できる。これにより、例えばチャンバ3の内壁面等において、原料ガスやオゾンガスによるパーティクルの付着や成膜を抑制でき、当該チャンバ3等のメンテナンス(チャンバ3内の洗浄処理等)に係る負担を軽減できる可能性がある。
【0138】
≪実施例4≫
実施例4は、実施例3に示したロール to ロール方式を応用したものであって、チャンバ3を複数個のガス処理炉に分割された構造とし、成膜サイクルの各工程S1~S4を当該各ガス処理炉に適宜分担して実施できるようにしたものである。
【0139】
<ALD装置14の主な構成>
図12は、実施例4によるALD方法を説明するものであって、当該実施例4で適用可能なALD装置14の概略を示すものである。図12のALD装置14は、分割構造のチャンバ30と、支持部8と、を備えており、当該支持部8により、長尺フィルム状の被成膜対象物2を被成膜面二方向に対して移動自在に支持できるように構成されている。
【0140】
チャンバ30は、原料ガス噴出口41が設けられている原料ガス処理炉31と、オゾンガス噴出口42が設けられているオゾンガス処理炉32と、当該原料ガス処理炉31とオゾンガス処理炉32との両者間に介在し不活性ガス噴出口43が設けられている不活性ガス処理炉33と、を有して成る。
【0141】
図12のチャンバ30の場合、原料ガス処理炉31を挟んだ不活性ガス処理炉33の反対側の位置にも、当該不活性ガス処理炉33と同様の構造の不活性ガス処理炉34が設けられている。この不活性ガス処理炉34は、例えば後述の一端側ロール71,他端側ロール72と原料ガス処理炉31との間において被成膜面20を清浄するために適用することが可能であるが、適宜省略することも可能である。
【0142】
各処理炉31~34の炉壁には、当該路壁における被成膜対象物2の移動経路と交差する位置に、当該被成膜対象物2が通過可能な処理炉開口部31a~34aがそれぞれ設けられている。これら処理炉開口部31a~34aは、それぞれ処理炉31~34内の減圧状態を妨げないように被成膜対象物2を通過させることが可能な構成(例えば真空チャンバ用の平行シール型スリットバルブ等を用いた構成)とする。
【0143】
支持部8は、いわゆるロール to ロール方式のものであって、被成膜対象物2の一端側が巻回された巻き軸である一端側ロール71と、当該被成膜対象物2の他端側が巻回された巻き軸である他端側ロール72と、原料ガス処理炉31内に配置された第1折り返しロール74と、オゾンガス処理炉32内に配置された第2折り返しロール75と、を有し、各ロールが適宜回動する構成となっている。
【0144】
図12の支持部8の場合、一端側ロール71および他端側ロール72が、チャンバ30の外周側であって、原料ガス処理炉31(および不活性ガス処理炉34)を挟んだ不活性ガス処理炉33の反対側に位置するように、設けられている。
【0145】
第1折り返しロール74および第2折り返しロール75は、それぞれ一端側ロール71と他端側ロール72との間の被成膜対象物2を、各々の位置(各処理炉31,32内)にて折り返すように支持している。
【0146】
これにより、一端側ロール71と他端側ロール72との間の被成膜対象物2は、例えば図12で描写するように、原料ガス処理炉31内とオゾンガス処理炉32内との両者を葛折り状に往復し、重畳するように延在して支持されている。また、原料ガス処理炉31とオゾンガス処理炉32との両者間を移動(以下、単に両者間移動と適宜称する)する毎に、不活性ガス処理炉33内を通過することとなっている。
【0147】
第1折り返しロール74および第2折り返しロール75は、それぞれ被成膜対象物2の重畳方向に複数個配列されている。この配列数を適宜変化させることにより、被成膜対象物2の両者間移動数を所望通りに設定することが可能となる。
【0148】
ALD装置14においては、各噴出口41~43に対し、ALD装置11~13と同様の配管41a~43a,装置41b~43b等がそれぞれ接続されることとなるが、図12では適宜省略した描写としている。また、処理炉31~34には、ALD装置11~13と同様のガス排出部5が設けられ、当該処理炉31~34内の減圧状態をそれぞれ維持できる構成となるが、図12では適宜省略した描写としている。
【0149】
<ALD装置14を用いる場合の成膜工程の一例>
ALD装置14により成膜を行う場合、まず、支持部8に支持された被成膜対象物2を一端側ロール71から他端側ロール72に対して移動させる。そして、被成膜対象物2が両者間移動して往復する毎に、各工程S1~S4の成膜サイクルが実施されることとなる。
【0150】
このような成膜サイクルを適宜実施することにより、被成膜面20に対して所望の酸化膜21を形成できることが可能となる。成膜サイクルを複数回行う手法としては、例えば被成膜対象物2を被成膜面二方向において一方に移動または双方に往復動させることにより、当該成膜サイクルを複数回適宜行うことが挙げられる。
【0151】
<ガス供給量,圧力等>
噴出口41~43からチャンバ30に供給する原料ガス,オゾンガス,不活性ガスの供給量(充填量)や、当該各ガスによる圧力等は、実施例1,2と同様に適宜設定することが可能であるが、被成膜対象物2の被成膜面二方向への移動速度等を考慮して、設定することが挙げられる。
【0152】
本実施例4のように複数個の処理炉31~34を有した構造のチャンバ30によれば、当該処理炉31~34に原料ガス,オゾンガス,不活性ガスを適宜供給(例えば、原料ガス,オゾンガス,不活性ガスをそれぞれ異なる処理炉31~34に供給)して充填でき、当該充填後においては、各処理炉31~34間で互いに混合されることがない。
【0153】
このため、例えば処理炉31,32それぞれに所定量の原料ガス,オゾンガスを供給して充填した後は、酸化膜21の成膜に寄与できる状態(被成膜面20に対するオゾンガス,原料ガスの曝露量がそれぞれ1×105ラングミュア以上,1×104ラングミュア以上)であれば、新たに追加して供給したり入れ替える必要はない。例えば、高濃度のオゾンガスは、室温~400℃程度の範囲内であれば、オゾン同士の衝突等による熱分解反応が抑制され、酸化膜21の成膜に対して十分長く寄与することが可能となる。
【0154】
したがって、処理炉31~34に供給して充填した各ガスは、常に供給する必要はなく、定期的(例えば1時間毎)に入れ替えれば良い。
【0155】
また、チャンバ30においても、処理炉31,32それぞれに原料ガス,オゾンガスを供給する場合には、不活性ガスを適宜供給しても良い。これにより、処理炉31,32内におけるガス流を適宜調整でき、原料ガスやオゾンガスを所望の供給量で供給したり当該処理炉31,32内で拡散させることが容易になったり、当該処理炉31,32内のガスの排出が容易となることが判る。
【0156】
また、各処理炉31~34の圧力はそれぞれ異なっていても良い。例えば、処理炉31,32の圧力においては、当該処理炉31,32からのガス漏れが起こらない範囲で設定することが挙げられる。一方、処理炉33,34の場合、当該処理炉33,34内の不活性ガスは漏れても比較的安全(原料ガス,オゾンガスと比較して安全)であるため、処理炉31,32よりも高く設定しても良い。
【0157】
被成膜対象物2の被成膜面二方向への移動速度は、チャンバ30内の各ガスの濃度や圧力等を考慮して、適宜設定することが挙げられる。このように設定した移動速度の大きさ等に応じて、被成膜面20において対流が生じ、例えば当該被成膜面20に対する各ガスの反応を促し、成膜し易さ等に貢献できる可能性がある。
【0158】
具体例としては、被成膜対象物2が両者間移動する毎の処理炉31,32の通過時間(滞在時間)をそれぞれ0.1秒以上,1秒以上に設定することが挙げられる。
【0159】
<第1折り返しロール74,第2折り返しロール75の一例>
第1折り返しロール74および第2折り返しロール75の形状や配列等は、適宜設定することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0160】
第1折り返しロール74や第2折り返しロール75の配列数が多くなると、例えばALD装置14のチャンバ30において、被成膜対象物2が重畳する方向(以下、単に重畳方向と適宜称する)への大型化を招いたり、当該チャンバ30に対するガスの供給量が増えてしまうことも考えられる。また、処理炉開口部31a~33aの形成領域が拡大したり当該処理炉開口部31a~33aに対する被成膜対象物2の侵入角度が大きくなり、当該処理炉開口部31a~33aと被成膜対象物2との間に隙間が生じた場合には、ガス漏れが起こることも考えられる。
【0161】
このような場合、例えば図12に示すように前記葛折り状の被成膜対象物2の移動経路において、処理炉31内における第1折り返しロール74と処理炉開口部31aとの間で当該処理炉開口部31aに対向した位置に、位置調整ロール76を設けることが挙げられる。また、処理炉32内においても同様に、第2折り返しロール75と処理炉開口部32aとの間で当該処理炉開口部32aと対向した位置に、位置調整ロール77を設けることが挙げられる。
【0162】
図12の位置調整ロール76,77の場合、それぞれの重畳方向の配列寸法が、第1,第2折り返しロール74,75それぞれの重畳方向の配列寸法よりも狭くなるように、配列されている。これにより、前記葛折り状の被成膜対象物2が、前記重畳方向に収束するように支持されている。
【0163】
以上のように位置調整ロール76,77を配置することにより、ALD装置14の小型化や、各ガスの供給量の縮小に貢献することが可能となる。また、処理炉開口部31a~33aに対する被成膜対象物2の侵入角度を小さくし、ガス漏れを抑制することも可能となる。
【0164】
<ALD装置14による成膜例>
以上示した実施例4に基づいて、ALD装置14による成膜サイクルを適宜実施し、長尺フィルム状の被成膜対象物2の被成膜面20に対して、Al23の酸化膜21の形成を試みた。なお、この検証条件は、実施例1と同様とし、被成膜対象物2にはPEN製フィルムを適用した。
【0165】
その結果、実施例1と同様に、酸化膜21において良好な成膜速度特性,バリア性(実施例4では水蒸気透過率が4.0×10-4g/m2/day程度),絶縁性が得られ、さらに実施例3と同様に、成膜時間を短縮化し易くしたりメンテナンスに係る負担を軽減できる可能性がある他に、以下に示すことを確認できた。
【0166】
すなわち、実施例4は、チャンバ30の各処理炉31~34に充填する各ガスにおいて、常に入れ替える必要がないため、実施例3と比較すると、当該各ガスを効率良く使用(供給量を減少)できる可能性がある。
【0167】
以上、具体的な実施形態を示して本発明のALD方法について説明したが、当該ALD方法は本実施形態に限定されるものではなく、その特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、その設計変更されたものも、本発明の技術的範囲に属する。
【0168】
例えば、本実施形態のALD方法の成膜プロセスの前後にCVDプロセスを行うことで、同一の被成膜対象物2の被成膜面20にALD膜とCVD膜を備える多層構造の膜を形成することも可能である。例えば、CVDで高速成膜が可能で弾性耐力の高いSiO2膜をCVD成膜し、SiO2膜の間に水蒸気透過性の高いAl23膜をALD成膜すると、単層膜では実現しない多機能性を有する多層構造の膜を低温で成膜可能となる。
【0169】
また、ALD装置11~14の各構成要素においては、被成膜面20に対して所望の酸化膜21を形成できる範囲で、適宜省略しても良い。例えば、ガス排出部5によるチャンバ3内のガスの吸気により、原料ガスパージ工程S2,酸化剤パージ工程S4等を十分実現できる場合には、不活性ガス噴出口43等を適宜省略することが挙げられる。ALD装置13の場合は、噴出口間排気口44等を適宜省略(例えば、各噴出口間のうち一部のみに噴出口間排気口を設ける等)することも挙げられる。
【符号の説明】
【0170】
11~14…ALD装置
2…被成膜対象物、20…被成膜面、20a…吸着可能領域、21…酸化膜,21a…吸着層
3,30…チャンバ
31~34…処理炉
4…ガス供給部
4a…シャワーヘッド
41…原料ガス噴出口、42…オゾンガス噴出口、43…不活性ガス噴出口、44…噴出口間排気口
5…ガス排出部
6~8…支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12